JP3276109B2 - 磁性体薄膜及び磁気ヘッド - Google Patents

磁性体薄膜及び磁気ヘッド

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JP3276109B2 JP2000017269A JP2000017269A JP3276109B2 JP 3276109 B2 JP3276109 B2 JP 3276109B2 JP 2000017269 A JP2000017269 A JP 2000017269A JP 2000017269 A JP2000017269 A JP 2000017269A JP 3276109 B2 JP3276109 B2 JP 3276109B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッド等の磁
気回路部品に応用する磁性体薄膜及び磁気ヘッドに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】高転送レートを要求されるHDTV用磁
気ヘッドや、小型化が進む磁気回路部品には、数十MH
zで軟磁気特性の優れた磁性体薄膜が望まれている。高
飽和磁束密度を有する金属磁性体の軟磁気特性には、金
属磁性体の結晶磁気異方性エネルギー、磁歪定数、また
その磁区構造が大きな影響を与えることが知られてお
り、これまで金属磁性体の軟磁気特性を向上させる手段
として、パーマロイと非磁性体を積層した多層膜の保磁
が単層膜より10分の1程度まで小さくなること(Na
ture,194,1035,1962)が提案されており、これは積層す
る事で非磁性層をはさんだ磁性層間の静磁結合を高め、
磁束の漏れを抑制することで磁壁抗磁力が小さくなるた
めであることがJ.C.Slonczewski(J.Appl.Phys.,37,126
8.1965)などによって理論的に説明され、静磁結合効果
として知られている。また近年では、薄膜内に交換結合
距離より小さい金属磁性結晶粒子を配向性がランダムに
なるように分散させ、しかも磁性金属結晶粒同士の交換
結合が行える程度に結晶粒子間を近接化することで見か
けの結晶磁気異方性エネルギーを減少させ、軟磁気特性
を向上させた磁性薄膜が応用、理論の両面から精力的に
研究されている(IEEE Trans.Magn., vol.26,pp.1397,1
990等)。これらナノクリスタライン軟磁性薄膜の実現の
手段として1つには、非磁性元素を含んだ非晶質状態の
金属磁性体薄膜を熱処理することで、数ナノメータオー
ダーの磁性結晶粒子を析出させる方法(MAG-23,27,274
6,1987)、また別の手段としては、非磁性層と磁性層を
数ナノメーター周期で積層する事で微細な構造を制御す
る処方(Appl.Phys.Lett.,52,672,1988)がそれぞれ微細
化効果として知られている。また蒸着法によって磁気ヘ
ッド用薄膜を得ることが提案されている(特開昭61−
233409号公報、同63−254708号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来、前
記のJ.C.Slonczewski の理論にしたがって1.2テスラ
以上の高飽和磁束密度材料を積層化し静磁結合を高める
ことで軟磁気特性を向上させるためには、非磁性層を1
nm程度まで極端に薄くしても、保磁力は単層膜の半分
程度にしか減少できない。これは高飽和磁束密度材料が
一般に高い結晶磁気異方性を持つがゆえんである。また
このような1nm程度の非磁性層をもつ積層膜を形成し
た場合、例えばSiO2/Feのように非磁性層/金属
磁性層界面の界面自由エネルギーは本質的に大きいため
に、明瞭な層構造を得ることが出来ず、また例えばCu
/Feのように金属非磁性層/金属磁性層界面であれ
ば、該軟磁性積層薄膜を工業応用時に熱処理した場合、
層間拡散のためにさらに層構造が破壊され、磁性層同士
が直接結合し、磁性層間同士に交換結合が働き、静磁結
合が支配的でなくなるために磁区構造変化による軟磁気
特性の向上が期待できないという課題があった。
【0004】また特開昭61−233409号公報、同
63−254708号公報等で提案されている従来の交
換結合距離以下にまで微結晶粒化したナノクリスタライ
ン磁性薄膜は、非晶質状態からの微結晶粒子析出タイプ
においては、低温では、非晶質のままで飽和磁束密度が
小さく、また熱処理温度が高すぎると粒成長により交換
結合距離以上の粒サイズにまで成長するために軟磁気特
性の熱安定性が悪く、特定の熱処理温度が、一般には5
00℃程度に限られる。これがために、例えば、磁性体
薄膜を磁気ヘッドに応用した場合などヘッドのガラス融
着のための熱処理プロセスで、信頼性の高い高融点ガラ
スを用いることが出来ず、ヘッド生産時の歩留まり、ヘ
ッド自体の信頼性の向上が出来ないという課題があっ
た。また該熱処理温度が限定されるため、熱処理温度に
ばらつきがあると、特性のばらつきが生じるという課題
があった。また非磁性層と磁性層を数ナノメーターオー
ダー周期で積層するタイプのナノクリスタライン磁性薄
膜においては、非磁性層を厚くすることで粒成長を抑制
できるために、熱処理安定性を向上させることが可能で
あるが、磁性体全体に占める非磁性体の率が高くなるた
めに、飽和磁束密度が低くなる。また磁性層間に介在す
る非磁性層は膜面に垂直方向の交換結合を弱め、かつ蒸
着法により非磁性層上に成長する磁性層は特定の結晶面
に配向成長し易いために、非磁性層を介して膜面に垂直
方向に隣合う磁性結晶粒同士の互いの結晶面がランダム
でなくなる。このため、見かけの結晶磁気異方性の低下
が十分でなく軟磁気特性が改善できないという課題があ
った。
【0005】また従来、上記の静磁結合効果と微細化効
果を複合した磁性薄膜、即ち、膜面に対して垂直方向に
静磁結合をとるに十分に厚い非磁性層と、膜面内におい
ては膜面内平均結晶粒径が数ナノメータである磁性層を
積層した磁性体薄膜においては、例えば膜面内の結晶粒
径を小さくするために磁性層そのものを数ナノメータま
で薄くすると、見かけの飽和磁束密度が小さくなるとい
う課題がある。この点を例えば純鉄のように飽和磁束密
度の高い材料を用いることで補おうとすれば、実用上満
足できる耐腐食性が得られないという課題があった。
【0006】また従来、工業生産性の点から、数ナノメ
ータ〜十数ナノメータの極薄膜が積層された磁性体薄膜
を歩留まり良く製造するためには、成膜速度を抑制しな
ければならず、この結果、生産効率が向上できないとい
う課題があった。
【0007】本発明は、前記従来の高飽和磁束密度を有
する磁性体薄膜の様々な課題を解決するために、磁性体
薄膜の組成と微細構造を制御することで、1.3テスラ
以上の高飽和磁束密度を有しながら、耐食性と熱処理安
定性、及び軟磁気特性に優れた磁性体薄膜及びこれを用
いた磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の磁性体薄膜は、金属磁性体合金の結晶粒子
で構成された磁性体薄膜であって、前記粒子内に非磁性
元素、酸化物生成自由エネルギーがFeより低い元素、
及び窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元素から
選ばれる少なくとも一種類の元素が含まれており、かつ
結晶粒の成長を抑制し、高温の熱処理においても軟磁気
特性を保持するために前記元素が前記粒子内部より表面
に向かって高濃度になるように組成勾配しているという
構成を備えたものである。前記において自由エネルギー
は、RTlnP(x)で表され、Rは気体定数、Tは絶
対温度、P(x)は純物質及びその純粋酸化物と平衡に
ある気体xの分圧を示す。
【0009】前記構成においては、組成勾配している磁
性薄膜を主磁性層とし、前記主磁性層より飽和磁束密度
が少なくとも0.1テスラ以上小さい中間層が交互に積
層されているのが好ましい。
【0010】また前記構成においては、組成勾配が、膜
の面方向よりも厚さ方向に大きいことが好ましい。
【0011】また前記構成においては、主磁性層内に酸
化物生成自由エネルギーまたは窒化物生成自由エネルギ
ーがFeより低い物質が少なくとも1種以上含まれるこ
とが好ましい。
【0012】また前記においては、主磁性層内の酸化物
生成自由エネルギーまたは窒化物生成自由エネルギーが
Feより低い物質が、Al、Si、Ti、Cr、及びV
から選ばれる少なくとも1つの元素であることが好まし
い。
【0013】また前記構成においては、主磁性層内に少
なくともC、B、O、Nから選ばれた1種以上の元素を
含むことが好ましい。
【0014】また前記構成においては、主磁性層の平均
膜厚dAが3≦dA≦100nm、中間層の平均膜厚d
Bが0.1≦dB≦10nmで、0<dB/dA≦0.
5の範囲であることが好ましい。
【0015】また前記構成においては、中間層が、酸化
物生成自由エネルギーもしくは窒化物生成自由エネルギ
ーがFeより低い元素が少なくとも一種類と、C、B、
O、Nから選ばれた1種以上の元素とを含むことが好ま
しい。
【0016】また前記構成においては、中間層が、B、
Si、Cr、V、Mo、Ta、Al、Ti、Zr等から
選ばれた炭化物、Fe、Al、Si、Ta、Ti、M
g、Zr、Mn、Ca、Cr、B、V、Nb、W、Z
n、C、Mo、Ce、Hfから選ばれた窒化物、酸化物
及び炭化物から選ばれる少なくとも一つの物質であるこ
とが好ましい。
【0017】また前記構成においては、中間層が、金属
磁性元素を含むことが好ましい。前記金属磁性元素とし
ては、たとえばFe,Co,Niなどが挙げられる。
【0018】また前記構成においては、中間層が、平均
膜厚5nm以下の磁性層Aと平均膜厚5nm以下の分離
層Bが少なくとも一層づつ交互に積層された多重構造を
持つ多重中間層であり、主磁性層の平均膜厚DMと、前
記多重中間層の平均膜厚DIとがDI<DMの範囲であ
ることが好ましい。
【0019】また前記構成においては、主磁性層の平均
膜厚DMが3nm以上100nm以下で、多重中間層の
平均膜厚DIが0.2nm以上15nm以下、かつ前記
多重中間層は、平均膜厚5nm以下の分離層Bと、平均
膜厚5nm以下の磁性層Aとで構成されていることが好
ましい。
【0020】また前記構成においては、磁性層A内に酸
化物生成自由エネルギーまたは窒化物生成自由エネルギ
ーがFeより低い物質が少なくとも1種含まれることが
好ましい。
【0021】また前記構成においては、磁性層A内に少
なくともC、B、O、Nから選ばれた1種以上の元素を
含むことが好ましい。
【0022】また前記構成においては、分離層B内に酸
化物生成自由エネルギーもしくは窒化物生成自由エネル
ギーがFeより低い元素が少なくとも一種類と、C、
B、O、Nから選ばれた1種以上の元素とを含むことが
好ましい。
【0023】また前記構成においては、分離層B内に金
属磁性元素が含まれることが好ましい。
【0024】また前記構成においては、中間層が実質的
に略球状または略楕円体の磁性結晶粒子からなる磁性層
であることが好ましい。前記において、「実質的に略球
状または略楕円体」とは、球状または略楕円体とみなせ
る磁性結晶粒子が中間層の50%以上を占めている状態
をいう。
【0025】また前記構成においては、主磁性層の平均
膜厚が3〜15nm、中間層の平均膜厚が3〜15nm
であることが好ましい。前記において膜厚は磁性薄膜形
成時の成膜時間管理を主とし、TEM、SEMによる直
接観察することもでき、5nm以下の膜についてはさら
にXRDから観察される超格子回折線のうちから複数の
手法を組み合わせて測定できる。
【0026】また前記構成においては、中間層内に酸化
物生成自由エネルギーもしくは窒化物生成自由エネルギ
ーがFeより低い元素MBが少なくとも一種類以上と、
C、B、N、Oの中から選ばれた少なくとも1種類以上
の元素XBが含まれ、主磁性層内に酸化物生成自由エネ
ルギーもしくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低
い元素であるMAが含まれるとき、前記元素MAと前記元
素XBの化合物生成自由エネルギーをG(MA、XB)、
前記元素MBと前記元素XBの化合物生成自由エネルギー
をG(MB、XB)とすると、G(MA、XB)≧G
(MB、XB)なる関係を満たす元素が含まれることが好
ましい。
【0027】また前記構成においては、中間層内に酸化
物生成自由エネルギーもしくは窒化物生成自由エネルギ
ーがFeより低い元素MBが少なくとも一種類以上と、
C、B、N、Oの中から選ばれた少なくとも1種類以上
の元素XBが含まれ、主磁性層内に酸化物生成自由エネ
ルギーもしくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低
い元素MAが少なくとも一種類以上と、C、B、N、O
の中から選ばれた少なくとも1種類以上の元素XAが含
まれるとき、前記元素MAと前記元素XAの化合物生成自
由エネルギーをG(MA、XA)、前記元素MBと前記元
素XBの化合物生成自由エネルギーをG(MB、XB)と
すると、 G(MA、XA)≧G(MB、XB) なる関係を満たす元素が含まれることが好ましい。
【0028】また前記構成においては、元素MBと元素
A の化合物生成自由エネルギーをG(MB A )、元
素MAと元素XBの化合物生成自由エネルギーをG
(MA、XB)とすると、 G(MB、XA)≧G(MB、XB) G(MA、XB)≧G(MB、XB) なる関係を満たす元素が含まれることが好ましい。
【0029】また前記構成においては、主磁性層と中間
層が、少なくとも1種の元素を共有しており、前記元素
が主磁性層と中間層都の間で略連続的に組成勾配を有す
ることが好ましい。
【0030】また前記構成においては、主磁性層と中間
層が少なくとも一種の元素を共有し、前記主磁性層と前
記中間層の界面での前記主磁性層内の前記元素濃度a原
子量%と、前記中間層内の前記元素濃度b原子量%と
が、0<a/b≦5.0の範囲で略連続的に組成勾配を
有することが好ましい。
【0031】次に本発明の磁気ヘッドは、前記のいずれ
かに記載の磁性体薄膜を磁気ヘッドの磁性体部分に用い
たことを特徴とする。
【0032】本発明の磁性体薄膜を製造する方法は、基
板上に酸化物または窒化物生成自由エネルギーがFeよ
り低い少なくとも1種の元素と、Fe,Co,及びNi
から選ばれる少なくとも一種類の元素を含む主磁性前駆
体層と、中間前駆体層を交互に少なくとも1層ずつ形成
し、次いで熱処理して、実質的に柱状構造を有する磁性
結晶粒子の平均高さdlと、平均直径dsが0.3≦d
s/dl≦0.9の範囲で表される形状比を持つ磁性結
晶粒子からなる主磁性層と、前記主磁性層より飽和磁束
密度が少なくとも0.1テスラ以上小さい中間層が交互
に積層された磁性体薄膜を形成する。前記において基板
としては、非磁性基板で、とくに熱膨張係数が50〜8
0×10-7/℃程度の基板、またはフェライト基板が好
ましい。前記において前駆体とは、熱処理前の材料をい
う。
【0033】前記製造方法においては、主磁性前駆体層
を形成する際に、ドーパントとして、酸素,窒素,ボロ
ン,炭素から選ばれる少なくとも一種類の元素を添加
し、金属磁性体合金の結晶粒子内に非磁性元素、酸化物
生成自由エネルギーがFeより低い元素、及び窒化物生
成自由エネルギーがFeより低い元素から選ばれる少な
くとも一種類の元素が含まれており、かつ前記元素が前
記粒子内部より表面に向かって高濃度になるように組成
勾配している磁性薄膜を形成することが好ましい。
【0034】また前記製造方法においては、中間前駆体
層が、主磁性前駆体層に含まれる酸化物または窒化物生
成自由エネルギーがFeより低い少なくとも1種の元素
より酸化物または窒化物生成自由エネルギーが高い元素
が1種類以上含まれることが好ましい。
【0035】また前記製造方法においては、中間前駆体
層が、アモルファスまたは2nm以下の磁性結晶粒子を
母相とする層であり、熱処理することにより磁性層Aと
分離層Bとを形成し、多重構造の中間層を形成すること
が好ましい。前記において母相とは、層または膜(中間
前駆体層を含む)のうち50%以上を占める構成物をい
う。
【0036】また前記製造方法においては、主磁性前駆
体層と、中間前駆体層とを、同一蒸着源を用いた蒸着法
によりそれぞれ形成し、中間前駆体層は酸素または窒素
を含むガスの雰囲気で蒸着することが好ましい。
【0037】また前記製造方法においては、ドーパント
の添加量が1ppm〜10atm%であることが好まし
い。
【0038】また前記製造方法においては、熱処理の温
度が400〜700℃の範囲、処理時間0.5〜5時間
の範囲であることが好ましい。
【0039】前記において、「実質的に柱状構造」と
は、柱状または柱状とみなせる磁性結晶粒子が主磁性層
の50%以上を占めている状態をいう。また前記主磁性
層とは、磁性体薄膜の飽和磁束密度のうち50%以上を
占める磁性層をいう。
【0040】
【作用】本発明は金属磁性体合金の結晶粒子で構成され
た磁性体薄膜であって、前記粒子内に少なくとも一種以
上の非磁性元素、または酸化物生成自由エネルギーまた
は窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元素が含ま
れており、かつ前記元素が粒子内部より表面に向かって
高濃度になるように組成勾配していることを特徴とする
磁性薄膜または前記磁性薄膜を主磁性層とし、前記主磁
性層より飽和磁束密度が少なくとも0.1テスラ以上小
さい中間層が交互に積層された磁性体薄膜により良好な
軟磁気特性を達成できる。これは主として主磁性層内の
結晶粒子に粒内で組成勾配を持たせることで結晶粒の成
長を抑制することができ、高温の熱処理においても良好
な軟磁気特性を発揮できるためである。特に前記粒子内
の組成勾配が面内方向よりも垂直方向において大きい
時、層構造自体の熱安定性が高まり、また面内の磁性体
粒子の磁気的結合を強めることができるために熱安定性
に優れた軟磁気特性が実現できる。
【0041】また本発明の磁性体薄膜は主磁性層内に酸
化物生成自由エネルギーまたは窒化物生成自由エネルギ
ーがFeより低い物質が少なくとも1種以上含まれるこ
とで磁性体結晶粒子粒界部での粒界拡散が適度に防止で
き、かつ本発明の特定の形状比を持つ磁性結晶粒子を容
易に実現、および本発明の磁性結晶粒子内に組成勾配を
持たせた構造を容易に実現できる。特に酸化物生成自由
エネルギーまたは窒化物生成自由エネルギーがFeより
低い物質が特にAl、Si、Ti、Cr、及びVから選
ばれる少なくとも1種以上であるとき好ましい。さらに
主磁性層内に少なくともC、B、O、Nから選ばれた1
種以上の元素を含むとき、さらに主磁性層を形成する磁
性結晶粒子の形状比、粒内組成勾配の微細構造を容易に
実現でき、熱処理安定性が向上する。
【0042】本発明の磁性体薄膜は、主磁性層の平均膜
厚dAが3≦dA≦100nm、中間層の平均膜厚dB
が0.1≦dB≦10nmで、しかも0<dB/dA≦
0.5であることで高飽和磁束密度の軟磁気特性を実現
できる。中間層が酸化物生成自由エネルギーもしくは
化物生成自由エネルギーがFeより低い元素が少なくと
も一種類以上と、少なくともC、B、O、Nから選ばれ
た1種以上の元素とを含むとき、主磁性層の構造安定性
が高まり、さらに軟磁気特性の熱安定性が向上する。ま
た中間層内に金属磁性元素が含まれるとき、金属磁性層
/中間層の界面自由エネルギーの減少により、中間層厚
みを薄くすることができ、磁性層間または磁性結晶粒子
間の磁気結合を良好に出来るために優れた軟磁気特性を
実現できる。
【0043】本発明の磁性体薄膜は中間層が、平均膜厚
5nm以下の磁性層Aと分離層Bが、少なくとも一つず
つ以上交互に積層された多重構造を持つ多重中間層であ
り、主磁性層の平均膜厚DMと、前記多重中間層の平均
膜厚DIとがDI<DMの範囲であることで、多重中間
層内の磁性層Bが持つ磁気的特徴のために、非磁性層単
独で磁性層の分離を行うよりも、磁性層間の静磁的結合
を強くできるために優れた軟磁気特性が実現でき、かつ
僅かな量の非磁性体により磁性層間の分離を良好に行う
ことが出来るために、膜全体の飽和磁束密度減少を抑
制できる。特に主磁性層の平均膜厚DMが3nm以上1
00nm以下で、多重中間層の平均膜厚DIが0.2n
m以上15nm以下で、前記多重中間層は、平均膜厚5
nm以下の分離層Bと、平均膜厚5nm以下の磁性層A
とで構成されている時に優れた軟磁気特性を得ることが
出来る。特に磁性層A内に酸化物生成自由エネルギーま
たは窒化物生成自由エネルギーがFeより低い物質が少
なくとも1種以上含まれるとき磁性層A内の磁性結晶粒
子の微細構造が実現し易く、また、磁性層A内に少なく
ともC、B、O、Nから選ばれた1種以上の元素を含む
とき磁性層A内の磁性結晶粒子の微細構造の熱的安定性
が向上する。また分離層B内に酸化物生成自由エネルギ
ーもしくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元
素が少なくとも一種類以上と、少なくともC、B、O、
Nから選ばれた1種以上の元素とを含むことで多重中間
層と主磁性層の拡散反応が抑制でき、分離層B内に金属
磁性元素が含まれることで、熱処理により、分離層の構
造が明瞭になりさらに本発明の磁性体薄膜の軟磁気特性
の熱処理安定性が向上する。
【0044】本発明の磁性体薄膜は中間層が、実質的に
略球状または略楕円体の磁性結晶粒子からなる磁性層で
あることで、主磁性層を主に構成する金属磁性結晶粒子
とのあいだで結晶配向面のランダム性が制御し易く、膜
の磁気特性の均一性を高め、また構造に起因する、膜の
熱膨張係数、磁歪定数の制御が容易に出来る。特に、実
質的に略球状または略楕円体の磁性結晶粒子からなる中
間層の平均膜厚が3〜15nm、主磁性層の平均膜厚が
3〜15nmのときに優れた軟磁気特性を実現できる。
特に中間層内に酸化物生成自由エネルギーまたは窒化物
生成自由エネルギーがFeより低い物質が少なくとも1
種以上含むことで、本発明の好ましい構造の熱安定性を
高めることが出来る。さらに中間層内に少なくともC、
B、O、Nから選ばれた1種以上の元素を含むことで、
本発明の好ましい中間層構造を容易に形成することが出
来る。
【0045】本発明の磁性体薄膜は、中間層内に酸化物
生成自由エネルギーもしくは窒化物生成自由エネルギー
がFeより低い元素MBが少なくとも一種類以上と、
C、B、N、Oの中から選ばれた少なくとも1種類以上
の元素XBが含まれ、主磁性層内に酸化物生成自由エネ
ルギーもしくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低
い元素であるMAと前記元素XBの化合物生成自由エネル
ギーをG(MA、XB)、前記元素MBと前記元素XBの化
合物生成自由エネルギーをG(MB、XB)とすると、 G(MA、XB)≧G(MB、XB) なる関係を満たす元素が含まれる磁性体薄膜であるため
に磁性層/中間層界面の反応が適度に抑制できるため
に、界面反応にともなう構造、特性、熱膨張係数等の変
化を制御できる。
【0046】本発明の磁性体薄膜は、中間層内に酸化物
生成自由エネルギーもしくは窒化物生成自由エネルギー
がFeより低い元素MBが少なくとも一種類以上と、
C、B、N、Oの中から選ばれた少なくとも1種類以上
の元素XBが含まれ、主磁性層内に酸化物生成自由エネ
ルギーもしくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低
い元素MAが少なくとも一種類以上と、C、B、N、O
の中から選ばれた少なくとも1種類以上の元素XAが含
まれ、前記元素MAと前記元素XAの化合物生成自由エネ
ルギーをG(MA、XA)、前記元素MBと前記元素XB
化合物生成自由エネルギーをG(MB、XB)とすると、
G(MA、XA)≧G(MB、XB)なる関係を満たす元素
が含まれる磁性体薄膜であり特に、元素MBと元素XA
化合物生成自由エネルギーをG(MB、XA)、元素MA
と元素XBの化合物生成自由エネルギーをG(MA
B)とすると、 G(MB、XA)≧G(MB、XB) G(MA、XB)≧G(MB、XB) なる関係を満たす元素が含まれる磁性体薄膜であるため
に、主磁性層内の解離反応と磁性層/中間層界面の反応
が適度に抑制でき、界面反応にともなう構造、特性、熱
膨張係数等の変化を制御できる。
【0047】本発明の磁性体薄膜は、主磁性層と中間層
が、少なくとも1種の元素を共有しており、前記元素が
主磁性層、中間層で略連続的に組成勾配を有するために
積層間の結合を強め、膜の強度と磁気特性を向上させる
ことができる。特に主磁性層と中間層が少なくとも一種
の元素を共有し、前記主磁性層と前記中間層の界面での
前記主磁性層内の前記元素濃度a原子量%と、前記中間
層内の前記元素濃度b原子量%とが、0<a/b≦5.
0の範囲で表される略連続的な組成勾配を有することで
界面応力等を減少でき、安定した層構造と優れた軟磁気
特性が実現できる。
【0048】主磁性層に含まれる酸化物または窒化物
由エネルギーがFeより低い少なくとも1種の元素よ
り、酸化物または窒化物生成自由エネルギーが高い元素
が、中間層内に少なくとも1種含まれる磁性体薄膜を熱
処理することで、主磁性層内の磁性結晶粒子の組成勾配
が垂直方向で大きい構造にすることができる。
【0049】本発明の従来の課題を解決できる多重中間
層を持つ軟磁性薄膜は、主磁性層Mと磁性金属を含むア
モルファス層が交互に積層された積層膜を形成した後、
前記アモルファス層から多重中間層である磁性層Aの析
出と分離層Bの形成を行うことで高速成膜が実現でき
る。
【0050】本発明の磁性体積層薄膜は1テスラ以上の
高飽和磁束密度を有し、且つ低保磁力で初透磁率の高周
波特性がよいため、基盤上に形成し磁気ヘッドとして用
いることで、高保磁力媒体に、高密度信号を記録するこ
とができる。さらに耐熱性、耐摩耗性に優れた特性を有
するので、磁気ヘッドの経時劣化が小さい。さらに、4
00〜800℃の範囲の無磁場雰囲気で熱処理できるた
めに強度に優れたガラス融着などの製造プロセスを経る
ことができる。
【0051】次に本発明の磁性体薄膜の製造方法によれ
ば、本発明の磁性体薄膜を効率良く合理的に製造でき
る。
【0052】次に本発明の磁気ヘッドは、前記のいずれ
かに記載の磁性体薄膜を磁気ヘッドの磁性体部分に用い
たことにより、高融点ガラスが使用でき、耐摩耗性、高
信頼性が実現でき、また高電磁変換効率、記録密度の向
上が達成できる。
【0053】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。以下の実施例においては、磁性結晶粒子の平
均高さdlと、平均直径dsは、それぞれXRD(X−
ray デフラクト パターン)の半値幅、及びSE
M、TEMによる観察を合わせて測定した。
【0054】図1は本発明の一実施例の磁性体薄膜1の
断面図を概念的に示したもので、主磁性層2と、これよ
り飽和磁束密度が少なくとも0.1テスラ以上小さい中
間層3が交互に積層されている。主磁性層2の厚さは3
〜100nmの範囲が好ましく、中間層3の厚さは0.
1〜10nmの範囲が好ましい。また、積層構造全体の
厚さは、100nm〜10μm程度の範囲が好ましい。
主磁性層2は主に磁性結晶粒子4で形成され、中間層3
を破って成長しているものも存在する。たとえば中間層
3を複数層突き抜けるような大きな磁性結晶粒子5が存
在していてもよい。中間層の飽和磁束密度は主磁性層よ
り0.1テスラ以上小さいことが望ましく、非磁性物質
で構成されていても良い。また特にdsが1≦ds≦4
0nmの範囲内であることが望ましい。
【0055】次に図2(a)〜(b)は、本発明の一実
施例の磁性結晶粒子11の形状を概念的に示したもの
で、図2(a)は主磁性層を構成する実質的に柱状構造
を有する磁性結晶粒子の平均高さdlと平均直径ds
が、0.3≦ds/dl≦0.9の範囲で表される形状
比を持つ磁性結晶粒子を示す。図2(b)は、粒子内に
組成勾配を有する磁性結晶粒子12を示すもので、粒子
内の線は組成線を示す。
【0056】次に図3は、本発明の一実施例の多重中間
層25を有する積層構造の磁性体薄膜20を示す。この
積層構造の磁性体薄膜20は、主磁性層21と多重中間
層25とからなり、多重中間層25は分離層B22,2
2とその中間の磁性層A23とから構成される。磁性層
A23の中には空隙部24が存在していても良い。図3
に示す多重中間層25を有する積層構造の磁性体薄膜に
おいては、主磁性層21の厚さは3〜100nmの範囲
が好ましく、多重中間層25の厚さは0.2〜15nm
の範囲が好ましく、分離層B22の厚さは0.1〜5n
mの範囲が好ましく、磁性層A23の厚さは0.1〜5
nmの範囲が好ましい。また、分離層B22が1層と磁
性層A23が1層とで1ペアとした場合、1〜4ペアの
層にするのが好ましい。
【0057】次に図4は、本発明の一実施例の積層構造
の磁性体薄膜30を示す。この積層構造の磁性体薄膜3
0は、主磁性層31と中間層32とから構成される。主
磁性層31と中間層32はともに粒子状態に形成されて
おり、中間層32には空隙が存在していても良い。
【0058】次に図5は、従来から当業界で実用化され
ているMIG(Metal in gap)タイプの磁気ヘッドの斜
視図である。図5において、41はボディー部分である
フェライト部、42はフェライト部41の厚さ方向に形
成した2本の磁性体薄膜部、43は2本の磁性体薄膜部
を固定する低融点ガラス部、44は磁力線を垂直方向に
送り出すためのギャップ部、45はテープの走行面、4
6は電磁コイルを巻くための通過孔である。低融点ガラ
ス部43の低融点ガラスは、従来軟化点が350℃〜5
00℃のものを用いていたが、本発明の磁性体薄膜を用
いると、高温に耐えることができるので、軟化点が55
0℃以上のガラスでも使用できる。もちろん軟化点が5
50℃未満のガラスを用いても差し支えない。また耐摩
耗性が高く、高信頼性が実現でき、また高電磁変換効
率、記録密度の向上が達成できる。
【0059】次に図6は、従来から当業界で実用化され
ている合金積層膜タイプの磁気ヘッドの斜視図である。
図6において、51はボディー部分である非磁性体部、
52は結晶化ガラス部、53は磁力線を垂直方向に送り
出すためのギャップ部、54はテープの走行面、55は
低融点ガラス部、56は電磁コイルを巻くための通過
孔、57はテープ走行面に沿った複数本の磁性体薄膜
層、58は前記磁性体薄膜層57の間に存在する絶縁層
である。低融点ガラス部55の低融点ガラスは、従来軟
化点が約500℃のものを用いていたが、本発明の磁性
体薄膜を用いると、高温に耐えることができるので、軟
化点が550℃以上のガラスでも使用できる。もちろん
軟化点が550℃未満のガラスを用いても差し支えな
い。また耐摩耗性が高く、高信頼性が実現でき、また高
電磁変換効率、記録密度の向上が達成できる。
【0060】次に本実施例の磁性体薄膜の中間層につい
て説明する。中間層内には酸化物生成自由エネルギーも
しくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元素M
が少なくとも一種類以上と、少なくともC、B、O、N
から選ばれた1種以上の元素を含むことが望ましく、特
にこれらの元素が、例えばB、Si、Cr、V、Mo、
Ta、Al、Ti、Zr等から選ばれた炭化物、または
Fe、Al、Si、Ta、Ti、Mg、Zr、Mn、C
a、Cr、B、V、Nb、W、Zn、C、Mo、Ce、
Hf等から選ばれた窒化物、酸化物または炭化物を一種
以上含むことが望ましい。また特に中間層内に金属磁性
元素が含まれることが望ましい。
【0061】本実施例の中間層が実質的に略球状または
略楕円体の磁性結晶粒子からなる磁性層である磁性体薄
膜は、特に主磁性層の平均膜厚が3〜15nm、中間層
の平均膜厚が3〜15nmであることが望ましい。特に
中間層内に酸化物生成自由エネルギーまたは窒化物生成
自由エネルギーがFeより低い物質が少なくとも1種以
上含まれることが望ましく、さらに中間層内に少なくと
もC、B、O、Nから選ばれた1種以上の元素を含むこ
とが望ましい。
【0062】以下の実施例中に示す組成は、ICP(高
周波誘導結合プラズマ)、EDS(エネルギー分散型X
線分析)の分析に加え、酸化、窒化による重量増の計測
を組み合わせることで評価した。また、結晶粒子の形状
等、磁性体薄膜、および積層磁性体薄膜の微細構造はT
EMまたはSEM観察、薄膜より判定した。また、平均
結晶粒径はTEMまたはXRD(X線回折)より決定し
た。以下に示す磁性層の膜厚及び中間層の膜厚は、それ
ぞれ単層の成膜速度から計算した値、またはTEM、S
EM観察から求めた値を用いている。また、以下の組成
比の単位は特に断わりのない限り原子量%で表すものと
する。
【0063】以下の表に示す界面近傍組成は3nm程度
の範囲に絞れるEDSにより平均的に求めた組成であ
る。また以下に示す組成比の単位は特に断わりのない限
り原子量%で表すものとする。
【0064】(実施例1) 本実施例は実質的に円柱状構造を持つ磁性体結晶粒子の
高さと平均直径の形状比を制御して得られた磁性体薄膜
の磁気特性、及びこの構造が安定に存在できる中間層の
種類を調べたものである。
【0065】Feターゲットを用いたマグネトロンスパ
ッタで、基板温度を20〜300℃の範囲、放電Arガ
ス圧0.5〜30mTorrの範囲で変えて形成した10n
mの磁性層と、SiO2ターゲットを用いて作成した2
nmの中間層を交互に積層した磁性体薄膜を形成した。
また同様に、Feターゲットを用いたマグネトロンスパ
ッタで、基板温度を20〜300℃の範囲、放電Arガ
ス圧0.5〜30mTorrの範囲で変えて形成した40n
mの主磁性層と、SiO2ターゲットを用いて形成した
2nmの中間層を交互に積層した厚さ3μmの磁性体薄
膜を形成した。ここで、中間層は基板温度と放電ガス圧
を固定して、放電ガス種類をAr+O2を用いた。
【0066】形成した磁性体薄膜を350℃で熱処理し
た後TEM観察を行なった結果、主磁性層厚が10n
m、および40nmの何れの磁性体薄膜も、柱状構造と
みなせる形状をしており、柱の高さは、各磁性層の膜厚
とほぼ等しい値であった。柱の平均直径は放電ガス圧が
高いほど、基板温度が低いほど細く、また磁性層厚みが
薄い膜ほど細い傾向があった。柱状構造の磁性結晶粒子
の平均直径を平均高さで割った値を形状比と定義し、以
上の磁性体薄膜の抗磁力Hcとともに(表1)に示す。
【0067】
【表1】
【0068】(表1)に示す結果から、磁性結晶粒子
が、柱状構造とみなせる形状をしており、これらの柱状
構造の平均高さdl、平均直径dsが、0.3≦ds/
dl<0.9の範囲で表される形状比を持つとき、これ
らの磁性結晶粒子でできた磁性体を、主磁性層として用
いると軟磁気特性が良好であることがわかる。これは、
膜面内の磁気結合と、膜に垂直方向の磁気結合の配分比
が上記の条件のときに最適化され、高配向により局所異
方性分散が抑えられたものと考えられる。
【0069】本実施例では金属磁性体としてFeを用い
たが、FeのほかCo、Ni、Fe−Co、Co−N
i、Fe−Ni、Fe−Co−Ni等を主組成とする金
属磁性体合金でも同様な効果があることを確認した。
【0070】(実施例2) 本実施例は実質的に円柱状構造を持つ磁性体結晶粒子の
好ましい平均直径dsの範囲を調べたものである。
【0071】Feターゲットを用いたマグネトロンスパ
ッタで、基板温度を20〜300℃の範囲、放電Arガ
ス圧1〜20mTorrの範囲で変え、主磁性層膜厚を様々
に変えて形成した磁性層と、Alターゲットを用いて作
成したAl 2 3 組成の中間層1nmを交互に積層した磁
性体薄膜を形成した。ここで、中間層は基板温度と放電
ガス圧を固定して、放電ガスとしてAr+O2を用い
た。形成した磁性体薄膜を350℃で熱処理した後、T
EM観察を行なった結果、何れの主磁性層も、柱状構造
とみなせる磁性結晶粒子からなり、柱の高さは、各主磁
性層の膜厚とほぼ等しい値であった。柱状構造の磁性結
晶粒子の平均直径を平均高さで割った値を形状比と定義
し、本実施例の磁性体薄膜の抗磁力Hcとともに(表
2)に示す。
【0072】
【表2】
【0073】次にCo上にFeチップを乗せたターゲッ
トを用いたマグネトロンスパッタで、基板温度を20〜
300℃の範囲、放電Arガス圧0.5〜25mTorrの
範囲で変え、主磁性層膜厚を様々に変えて形成した30
Fe−70Co組成の主磁性層と、Alターゲットを用
いて作成したAl23組成の中間層1nmを交互に積層
した磁性体薄膜を形成した。ここで、中間層は基板温度
と放電ガス圧を固定して、放電ガス種類をAr+O2
用いた。形成した磁性体薄膜を350℃で熱処理した後
TEM観察を行なった結果、何れの主磁性層も、柱状構
造とみなせる磁性結晶粒子からなり、柱の高さは、各主
磁性層の膜厚とほぼ等しい値であった。柱状構造の磁性
結晶粒子の平均直径を平均高さで割った値を形状比と定
義し、以上の磁性体薄膜の抗磁力Hcとともに(表3)
に示す。
【0074】
【表3】
【0075】(表2)及び(表3)に示す結果から、複
数の磁性結晶粒子が、柱状構造とみなせる形状をしてお
り、これらの柱状構造の平均直径dsが、1≦ds≦4
0の範囲内では、軟磁気特性が良好で、しかも柱状構造
の形状比が(実施例1)に示した、0.3≦ds/dl
≦0.9の範囲で表されるとき、特に優れた軟磁気特性
を示すことがわかる。これは柱状構造を持つ磁性体結晶
粒子相互間の面内の磁気結合が、膜面内の結晶粒子サイ
ズが特定化されることでより効果的に働き、さらに円柱
状構造の形状比が特定化されることで、上下の磁性層と
面内の磁性層の結合の配分が最適化されたためであると
考えられる。
【0076】本実施例では金属磁性体としてFeとFe
−Co合金を用いたが、FeのほかCo、Ni、Co−
Ni、Fe−Ni、Fe−Co−Ni等を主組成とする
磁性体合金でも同様な効果があることを確認した。
【0077】(実施例3) 本実施例は主磁性層内に含まれる添加元素による効果を
調べたものである。
【0078】実施例aとしてFe−Al−Siターゲッ
トを用いたマグネトロンスパッタで、形成した89Fe
−2Al−9Si(重量%)組成の磁性層30nmと、
SiO2ターゲットを用いて作成したSiO2組成の中間
層2nmを交互に積層した磁性体積層膜を形成した。こ
こで、中間層の放電ガスはAr+O2を用いた。
【0079】実施例bとしてFe−Co合金上にVター
ゲットを用いたマグネトロンスパッタで形成した95F
e−2Co−3V組成の主磁性層30nmと、SiO2
ターゲットを用いて作成したSiO2組成の中間層2n
mを交互に積層した磁性体積層膜を形成した。ここで、
中間層の放電ガス種類はAr+O2を用いた。
【0080】実施例cとしてFe−Si合金上にTiチ
ップを乗せたターゲットを用いたマグネトロンスパッタ
で形成した92.5Fe−5Si−2.5Ti(重量
%)組成の磁性層30nmと、AlNターゲットを用い
て作成したAlN組成の中間層2nmを交互に積層した
磁性体薄膜を形成した。中間層の放電ガス種類はAr+
2を用いた。
【0081】実施例dとしてFe−Al合金上にTiチ
ップを乗せたターゲットを用いたマグネトロンスパッタ
で形成した96Fe−1Al−3Ti組成の磁性層30
nmと、AlNターゲットを用いて作成したAlN組成
の中間層2nmを交互に積層した磁性体薄膜を形成し
た。中間層の放電ガス種類はAr+N2を用いた。
【0082】比較例としてFe上にCuチップを乗せた
ターゲットを用いたマグネトロンスパッタで形成した9
6Fe−4Cu組成の磁性層30nmと、SiO2ター
ゲットを用いて作成したSiO2組成の中間層2nmを
交互に積層した磁性体薄膜を形成した。中間層の放電ガ
ス種類はAr+O2を用いた。
【0083】各実施例の磁性体薄膜について350℃及
び550℃アニール後の形状比と抗磁力Hcを(表4)
に示す。
【0084】
【表4】
【0085】(表4)に示す結果から、磁性層を構成す
る磁性結晶粒子内に、酸化物生成自由エネルギー又は窒
化物生成自由エネルギーがFeより低い値を持つ元素を
少なくとも一種含むと、好ましい磁性結晶粒の形状比
が、熱処理後も維持されるために、軟磁気特性の耐熱処
理性が向上することがわかる。これは中間層と磁性層の
界面および粒界で、磁性層と中間層の相互拡散や磁性体
結晶粒子の粒成長が適度に抑制されるためであると考え
られる。
【0086】以上のことから本実施例の磁性体薄膜の磁
性層内に、例えばFe、Co、Ni、Fe−Co、Co
−Ni、Fe−Ni、Fe−Co−Ni等の磁性体金
属、または以上の磁性体金属中に、酸化物生成自由エネ
ルギー又は窒化物生成自由エネルギーがFeより低い値
を持つ元素、例えばAl、Si、Ta、Ti、Mg、Z
r、Mn、Ca、Cr、B、V、Nb、W、Zn、C、
Mo、Ce、Hf等から選ばれた少なくとも一種の元素
を含むと、磁性体結晶粒子粒界での拡散が適度に防止で
き、かつ磁性結晶粒子の形状比の熱安定性が向上するた
めに好ましい磁性体薄膜が形成できる。
【0087】つぎに(表4)に示した実施例a〜bをさ
らに750℃真空中で熱処理する事で、それぞれの耐熱
処理性について調べ、(表5)に示した。
【0088】
【表5】
【0089】(表5)のa〜dのサンプルを、SEMに
よる構造観察をした結果、a、c、dのサンプルでは層
構造の破壊がみられた。これはa、c、dではそれぞれ
主磁性層/中間層が、FeAlSi/SiO2、FeS
iTi/AlN、FeAlTi/AlNであり、aでは
中間層のSiよりAlが、c、dではAlよりTiが酸
化物生成、または窒化物生成自由エネルギーが低いため
であると考えられる。
【0090】従って、本実施例の磁性体薄膜は、中間層
内に酸化物生成自由エネルギーもしくは窒化物生成自由
エネルギーがFeより低い元素MBが少なくとも一種類
以上と、C、B、N、Oの中から選ばれた少なくとも1
種類以上の元素XBが含まれ、主磁性層内に酸化物生成
自由エネルギーもしくは窒化物生成自由エネルギーがF
eより低い元素であるMAと前記元素XBの化合物生成自
由エネルギーをG(MA、XB)、前記元素MBと前記元
素XBの化合物生成自由エネルギーをG(MB、XB)と
すると、 G(MA、XB)≧G(MB、XB) なる関係を満たす元素が含まれることで微細構造の安定
化ができる。
【0091】つぎに実施例としてFe−Al−Siター
ゲットを用いたマグネトロンスパッタで、形成した8
8.3Fe−0.7Al−9.5Si−1.5X(重量
%)組成の主磁性層15nmと、SiO2ターゲットを
用いて作成したSiO2組成の中間層1nmを交互に積
層した磁性体薄膜を形成した。ここで、XはC,B,
O,Nの何れかで、中間層の放電ガスはAr+O2を用
いた。
【0092】比較例として89.7Fe−0.7Al−
9.6Si(重量%)組成の主磁性層15nmと、Si
2ターゲットを用いて作成したSiO2組成の中間層
0.5nmを交互に積層した磁性体薄膜を形成した。
【0093】また実施例としてFe−Al−Siターゲ
ットを用いたマグネトロンスパッタで、形成した88.
3Fe−0.7Al−9.5Si−1.5X(重量%)
組成の主磁性層100nmと、SiO2ターゲットを用
いて作成したSiO2組成の中間層1nmを交互に積層
した磁性体薄膜を形成した。ここで、XはC,B,O,
Nの何れかで、中間層の放電ガスはAr+O2を用い
た。
【0094】比較例として89.7Fe−0.7Al−
9.6Si(重量%)組成の主磁性層100nmと、S
iO2ターゲットを用いて作成したSiO2組成の中間層
1nmを交互に積層した磁性体薄膜を形成した。
【0095】各実施例の磁性体薄膜について500℃ア
ニール後の形状比と抗磁力Hcを(表6)に示す。
【0096】
【表6】
【0097】(表6)に示す結果から、主磁性層内に、
少なくともC,B,O,Nから選ばれた1種以上の元素
が含まれるとき(本実施例1)で示した好ましい柱状粒
子の形状比が得られ優れた軟磁気特性を得ることが出来
る。また本実施例に示したほか、主磁性層内に、例えば
AlやSi等、酸化物、または窒化物生成自由エネルギ
ーがFeより低い元素が含まれない場合においてもC,
B,O,Nから選ばれた1種以上の元素が含まれるとき
同様に優れた軟磁気特性を示す本発明の微細構造を容易
に実現できる。
【0098】(実施例4) 本実施例は中間層内に含まれる元素の効果を調べたもの
である。
【0099】マグネトロンスパッタを用いて、実施例3
と同一のスパッタ条件で作成したFe磁性層50nmと
中間層として選ばれたSi、SiO2、Si34、Si
C、Cu何れかの組成を持つ中間層2nmとを交互に積
層して形成した5種類の磁性体薄膜を、成膜直後と50
0℃のアニール後について各々の形状比を調べた。以上
の磁性体薄膜の抗磁力Hcとともに(表7)に示す。
【0100】
【表7】
【0101】(表7)に示す結果から中間層内に酸化
物、または窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元
素が少なくとも一種以上と、C,B,O,Nから選ばれ
た少なくとも1種以上の元素が含まれるとき、(本実施
例1)の磁性結晶粒の形状が実現しやすく熱処理に対し
ても安定である。
【0102】次に実施例として、マグネトロンスパッタ
を用いて、スパッタ実施例3と同一のスパッタ条件で作
成したFe磁性層5nmと中間層として選ばれたFeS
iO、FeSiN、FeSiC、何れかの中間層0.5
nmとを交互に積層して形成した3種類の磁性体薄膜膜
を、500℃のアニール後について各々の形状比を調べ
た。各中間層の飽和磁束密度は0.03〜0.3テスラ
程度であった。また比較例としてFe磁性層5nmと中
間層として選ばれたSiO2、Si34、何れかの中間
層0.5nmとを交互に積層して形成した3種類の磁性
体薄膜膜を、500℃のアニール後について各々の形状
比を調べた。以上の磁性体薄膜の抗磁力Hcとともに
(表8)に示す。
【0103】
【表8】
【0104】(表8)に示す結果から中間層内に酸化
物、または窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元
素が少なくとも一種以上と、C,B,O,Nから選ばれ
た少なくとも1種以上の元素が含まれるとき、(実施例
1)の磁性結晶粒の形状が実現し、さらに中間層内に磁
性金属が入ることで軟磁気特性が優れた値を示してい
る。これは中間層膜厚が比較的薄くなるにつれ、低い界
面エネルギーを実現できる金属磁性体が含有された中間
層による。
【0105】(実施例5) 本実施例は磁性層と中間層の界面近傍での組成比状態が
及ぼす軟磁気特性へ影響を調べたものである。
【0106】実施例としてFe−Al−Siターゲット
を用いたマグネトロンスパッタで、形成した85Fe−
5.8Al−9.2Si組成の磁性層50nmと、5n
mの中間層を交互に積層した磁性体薄膜を形成した。こ
こで中間層はTiO2ターゲット上におくSiチップの
枚数を変えて、5種類の磁性体薄膜を形成した。各磁性
体薄膜について、600℃でのアニール後の形状比と軟
磁気特性を(表9)に示す。(表9)中、a/bは、磁
性層界面近傍Si濃度/中間層界面近傍Si濃度を表
し、これらは600℃で熱処理後のTEMでの3nmス
ポットのEDS組成分析より求めた。
【0107】
【表9】
【0108】また実施例としてFe−Siターゲット上
にTiチップを乗せたターゲットを用いたマグネトロン
スパッタで、形成した92.5Fe−5Si−2.5T
i組成の磁性層20nmと、5nmの中間層を交互に積
層した磁性体薄膜を形成した。ここで中間層はAl23
ターゲット上におくTiチップの枚数を変えて、5種類
の磁性体薄膜を形成した。各磁性体薄膜について、60
0℃でのアニール後の形状比と軟磁気特性を(表10)
に示す。(表10)中、a/bは磁性層、磁性層界面近
傍Ti濃度/中間層界面近傍Ti濃度を表し、これらは
600℃熱処理後のTEMでの3nmスポットのEDS
組成分析よりもとめた。
【0109】
【表10】
【0110】また実施例としてFe−Al−Siターゲ
ットを用いたマグネトロンスパッタで、形成した81.
8Fe−1.9Al−16.3Si組成の磁性層50n
mと、5nmの中間層を交互に積層した磁性体薄膜を形
成した。ここで中間層は磁性層と同一のターゲットを用
い、放電ガスとして用いるAr+O2の圧力を変えるこ
とで中間層内の組成を変え、4種類の磁性体薄膜を形成
した。各磁性体薄膜について、600℃でのアニール後
の形状比と軟磁気特性を(表11)に示す。(表11)
中、a/bは、磁性層界面近傍Fe濃度/中間層界面近
傍Fe濃度を表し、それぞれ600℃の熱処理後、TE
Mでの3nmスポットのエネルギー分散型X線分析(E
DS)組成分析よりもとめた。
【0111】
【表11】
【0112】以上の結果から、磁性層と中間層が少なく
とも一種の元素を共有し、磁性層と中間層の界面近傍で
の前記中間層内の前記元素濃度a原子量%と、前記磁性
層内の前記元素濃度b原子量%とが、0<a/b≦5.
0の範囲内であるとき界面応力等を減少でき、好ましい
軟磁気特性を得ることができる。
【0113】以下の表に示す粒内組成は3nm程度の範
囲に絞れるEDSにより平均的に求めた組成である。表
には代表的な点での組成を示すが、粒内では組成の値は
連続していた。また、粒内に1.5at.%以下の微量の
酸素が検出された場合は精度外であるために表記してい
ない。また、以下の組成比の単位は特に断わりのない限
り原子量%で表すものとする。
【0114】(実施例6) 本実施例及び比較例は磁性体結晶粒内の組成勾配を制御
して得られた磁性薄膜の耐熱処理性を、400℃及び7
00℃での平均結晶粒径、結晶粒中心部と結晶粒表面付
近の組成及び軟磁気特性(抗磁力:Hc)について調べ
たものである。400℃での結果を(表12)に、70
0℃での結果を(表13)に示す。
【0115】実施例aとしてFe−Ti合金、実施例b
としてFe−Ti−Al合金ターゲットを、実施例cと
してFe上にCuチップを乗せたターゲットを用いたマ
グネトロンスパッタで、下記のスパッタ条件で磁性薄膜
を形成した。 (1)放電ガス圧: 8mTorr (2)放電ガス種類: Ar+O2 (3)投入電力: 400W (4)膜厚: 3μm また、比較例dとしてFeを用いたマグネトロンスパッ
タで、上記と同一のスパッタ条件で磁性体薄膜を形成し
た。
【0116】また、比較例eとしてFe、比較例fとし
てFe−Al合金上にTiチップを乗せたターゲットと
したマグネトロンスパッタで、下記のスパッタ条件で磁
性薄膜を形成した。 (1)放電ガス圧: 8mTorr (2)放電ガス種類: Ar (3)投入電力: 400W (4)膜厚: 3μm
【0117】
【表12】
【0118】
【表13】
【0119】(表12)および(表13)に示すように
実施例a、b及びcの400℃熱処理の平均結晶粒径は
大きな差はなく、また膜全体として含有されている酸素
量は何れも5at%程度であった。しかし700℃に熱処
理後、実施例a、bおよびcは結晶粒径が微細であるの
に対し、比較例d、eおよびfでは粒成長がみられる。
【0120】以上のことから本実施例では、磁性結晶粒
子内に少なくとも一種以上の非磁性元素または酸化物ま
たは窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元素のう
ち少なくとも一種粒内部より表面に向かって高濃度に
なるように組成勾配することで軟磁気特性の耐熱処理性
が向上することがわかる。
【0121】また、実施例の他、Fe、Co、Ni、F
e−Co、Co−Ni、Fe−Ni、Fe−Co−Ni
等の磁性体金属、または以上の磁性体金属中に、非磁性
元素または酸化物生成自由エネルギー又は窒化物生成自
由エネルギーがFeより低い値を持つ元素、例えばA
l、Si、Ta、Ti、Mg、Zr、Mn、Ca、C
r、B、V、Nb、W、Zn、C、Mo、Ce、Hf等
から選ばれた少なくとも一種の元素が含有された磁性体
合金結晶粒内で、酸化物または窒化物生成自由エネルギ
ーがFeより低い元素のうち少なくとも一種が、前記粒
子内部より表面に向かって高濃度になるように組成勾配
している場合も同様の効果があることがわかった。
【0122】また、その他の実験から窒素、炭素、ボロ
ン等を含有した磁性体薄膜においても同様に非磁性元素
または酸化物または窒化物生成自由エネルギーがFeよ
り低い元素のうち、少なくとも一種が、前記粒子内部よ
り表面に向かって高濃度になるように組成勾配している
場合効果があることがわかった。
【0123】(実施例7) 本実施例及び比較例は、磁性体結晶粒内の組成勾配を制
御して得られた磁性体薄膜の耐熱処理性を、400℃及
び700℃での平均結晶粒径、結晶粒中心部と結晶粒表
面付近の組成及び軟磁気特性について調べたものであ
る。400℃での結果を(表14)に、700℃での結
果を(表15)に示す。
【0124】
【表14】
【0125】
【表15】
【0126】実施例aの磁性層として、Fe−Al合金
にSiチップを乗せたターゲット、実施例bの磁性層と
してFe−Al合金にTiチップを乗せたターゲットを
用い、実施例cの磁性層としてFe上にCuチップを乗
せたターゲットを用い、比較例dの磁性層としてFeタ
ーゲットを用い、またそれぞれの中間層としてSiO2
をターゲットとして用いてマグネトロンスパッタにより
磁性層と中間層を交互に作成した磁性体薄膜3μm を作
成した。なおスパッタ条件は下記に示す通りである。 (1)放電ガス圧: 8mTorr (2)放電ガス種類: Ar+O2 (3)投入電力: 400W (4)一層膜厚: 磁性体100nm、中間層2nm (表14)および(表15)に示すように実施例a、b
及びc、比較例dの400℃熱処理の平均結晶粒径は大
きな差はなく、また膜全体として含有されている酸素量
は何れも5at%程度であった。しかし700℃に熱処理
後、実施例では大きな粒成長が見られないものの、比較
例dでは中間層は3nm程度の固まり状の物になってお
り、磁性体結晶粒が中間層を越えて粒成長していること
がわかった。
【0127】以上の結果から本実施例の磁性体薄膜を構
成する磁性体結晶粒は熱処理による粒成長や層構造を破
壊するような層間拡散抑制のために前記磁性結晶粒子内
に含まれ非磁性物質、または酸化物または窒化物生成自
由エネルギーがFeより低い元素のうち少なくとも一種
が、前記粒子内部より表面に向かって高濃度になるよう
に組成勾配していることが望ましいといえる。
【0128】また、実施例の他、Fe、Co、Ni、F
e−Co、Co−Ni、Fe−Ni、Fe−Co−Ni
等の磁性体金属、または以上の磁性体金属中に、非磁性
物質または酸化物生成自由エネルギー又は窒化物生成自
由エネルギーがFeより低い値を持つ元素、例えばA
l、Si、Ta、Ti、Mg、Zr、Mn、Ca、C
r、B、V、Nb、W、Zn、C、Mo、Ce、Hf等
から選ばれた少なくとも一種の元素が含有された磁性体
合金結晶粒内で、酸化物または窒化物生成自由エネルギ
ーがFeより低い元素のうち少なくとも一種が、前記粒
子内部より表面に向かって高濃度になるように組成勾配
している場合も同様の効果があることがわかった。
【0129】また、その他の実験から磁性層に窒素、炭
素、ボロン等を含有した場合においても同様な効果があ
ることがわかった。
【0130】(実施例8) 本実施例は組成勾配を持つ本発明の磁性体薄膜の主磁性
層、中間層に含まれる添加元素について調べたものであ
る。
【0131】主磁性層30nm、中間層2nmとして、
本発明の粒内組成勾配を有する磁性体薄膜を形成した。
(表16)に中間層および主磁性層の組成と500℃熱
処理後と750℃熱処理後の抵抗磁力について調べた。
【0132】
【表16】
【0133】(表16)の結果から、750℃後も軟磁
気特性が優れている実施例の膜では中間層内に酸化物生
成自由エネルギーもしくは窒化物生成自由エネルギーが
Feより低い元素MBが少なくとも一種類以上と、C、
B、N、Oの中から選ばれた少なくとも1種類以上の元
素XBが含まれ、主磁性層内に酸化物生成自由エネルギ
ーもしくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元
素MAが少なくとも一種類以上と、C、B、N、Oの中
から選ばれた少なくとも1種類以上の元素XAが含まれ
るとき、前記元素MAと前記元素XAの化合物生成自由エ
ネルギーをG(MA、XA)、前記元素MBと前記元素XB
の化合物生成自由エネルギーをG(MB、XB)とする
と、 G(MA、XA)≧G(MB、XB) なる関係を満たす関係にあることがわかる。例えば実施
例aではMA、XAがそれぞれAl、N、またMB、XB
Si、Oである。
【0134】さらに実施例のみを800℃まで熱処理す
ると、実施例aでは軟磁気特性が3Oe程度まで大きく
劣化した。これは、残りの実施例が、元素MBと元素XA
の化合物生成自由エネルギーをG(MB、XA)、元素M
Aと元素XBの化合物生成自由エネルギーをG(MA
B)とすると、 G(MB、XA)≧G(MB、XB) 式(1) G(MA、XB)≧G(MB、XB) 式(2) なる関係を満たしている一方、G(Si、N)≧G(S
i、O)ではあるが、G(Al、O)≦G(Si、N)
であるために、元素同士の界面反応のために軟磁気特性
が劣化したものと考えられる。
【0135】(実施例9) 本実施例及び比較例は磁性体結晶粒内の膜面に垂直方向
と膜面内方向の組成勾配を制御して得られた磁性体薄膜
の磁気特性を、700℃での平均結晶粒径、結晶粒中心
部と結晶粒表面付近の組成及び軟磁気特性について調べ
たものである。700℃での膜面に垂直方向及び膜面内
方向の値の組成を(表17)に、磁気特性、平均粒径を
(表18)に示す。
【0136】
【表17】
【0137】
【表18】
【0138】実施例aとしてマグネトロンスパッタを用
い、下記のスパッタ条件で非磁性基板上にまず中間層と
してSiO2を1nm作成し、引続きat.%表記で90.
3Fe−2Al−4.7Si−3O組成の磁性層1を5
nm、92.5Fe−0.9Al−3.6Si−3O組
成の磁性層2を10nm、90.3Fe−2Al−4.
7Si−3O組成の磁性層1を5nm作成することを繰
り返し中間層/磁性層1/磁性層2/磁性層1/中間層
/・・/の構造を持つ磁性体薄膜を形成した。ここで磁
性層は、Fe−Al合金上にSiチップの枚数を変えて
乗せた2種類の、Fe−Al合金+Siチップターゲッ
トを使用した。スパッタ条件は以下の通りである。 (1)放電ガス圧: 8mTorr (2)放電ガス種類: Ar+O2 (3)投入電力: 400W 実施例bとして3ターゲットマグネトロンスパッタを用
い、実施例aと同一のスパッタ条件で非磁性基板上にま
ず中間層としてSiO2を1nm作成し、引続きat.%表
記で87.3Fe−2Co−7.7Ti−3O組成の磁
性層1を5nm、82.5Fe−2Co−12.5Ti
−3O組成の磁性層2を10nm、87.3Fe−2C
o−7.7Ti−3O組成の磁性層1を5nm作成する
ことを繰り返し中間層/磁性層1/磁性層2/磁性層1
/中間層/・・/の構造を持つ磁性体薄膜を形成した。
ここで磁性層は、Fe−Co合金上にTiチップの枚数
を変えて乗せた2種類の、Fe−Co合金+Tiチップ
ターゲットを使用した。比較例cとしてマグネトロンス
パッタを用い、実施例aと同一のスパッタ条件で非磁性
基板上にまず中間層としてSiO2を1nm作成し、引
続き91.4Fe−1.5Al−4.1Si−3O組成
の磁性層を20nm作成し、中間層/磁性層/中間層/
・・/の構造を持つ磁性体薄膜を形成した。ここで磁性
層は、Fe−Al合金上にSiチップを乗せた、Fe−
Al合金+Siチップターゲットを使用した。
【0139】比較例dとしてマグネトロンスパッタを用
い、比較例cと同一のスパッタ条件で非磁性基板上にま
ず中間層を1nm作成し、引続き85Fe−2Co−1
0Ti−3O組成の磁性層を20nm作成し、中間層/
磁性層/中間層/・・/の構造を持つ磁性体薄膜を形成
した。ここで磁性層は、Fe−Co合金上にTiチップ
を乗せた、Fe−Co合金+Tiチップターゲットを使
用した。また中間層としては前記スパッタ条件で作成し
たSiO2膜を用いた。
【0140】(表17)および(表18)に示すTEM
観察の結果のように、実施例a、b及び比較例c、dの
700℃熱処理の平均結晶粒径は、実施例a,bでやや
膜面方向の結晶粒が大きく、比較例c,dでやや膜面に
垂直方向の結晶粒が大きく一部の中間層が破壊されてい
るものの全体として大きな差はない。また実施例では組
成比を変えて磁性層1/磁性層2/磁性層1を形成した
が、熱処理により一体化した磁性層になっていた。膜全
体を構成する元素の組成比は実施例aと比較例c、また
は実施例bと比較例dではほとんど同じであった。しか
し実施例a、bでは膜面に垂直方向の組成勾配が比較例
よりも大きく、軟磁気特性も優れていた。これは磁性結
晶粒子の交換相互作用がより効果的に働くことができる
膜面内方向で組成変動が小さいため等が考えられる。
【0141】以上の結果から本実施例の磁性体薄膜を構
成する磁性体結晶粒は、膜面内方向の結晶粒成長を抑
え、さらに膜面内方向の磁性体結晶粒の磁気的結合を高
めるために、薄膜の面内方向よりも垂直方向において組
成勾配が大きいことが望ましい。
【0142】また、その他の実験から窒素、炭素、ボロ
ン等を含有した磁性体薄膜または磁性体薄膜においても
膜面内よりも垂直方向において粒内の組成勾配が大きい
場合同様な効果があることがわかった。
【0143】(実施例10) 本実施例及び比較例は、本発明の磁性結晶粒内で組成勾
配を持つ磁性体薄膜の製造方法について、酸化物および
窒化物生成自由エネルギーの観点から調べたものであ
る。700℃での膜面に垂直方向及び膜面内方向の組成
値を(表19)に、磁気特性、平均粒径を(表20)に
示す。
【0144】
【表19】
【0145】
【表20】
【0146】実施例aとしてマグネトロンスパッタを用
い、下記のスパッタ条件で非磁性基板上にまず35Cu
−5Ti−60O組成の中間層を3nm作成し、引続き
94.2Fe−1.3Al−4.5Si組成の磁性層を
30nm形成し、中間層/磁性層/中間層/・・/の構
造を持つ磁性体薄膜を3μm形成した。ここで分離層は
Cuターゲット上にTiチップを乗せたCu+Tiチッ
プターゲット、磁性層は、Fe−Al合金+Siチップ
ターゲットを使用した。スパッタ条件は以下の通りであ
る。 (1)放電ガス圧: 8mTorr (2)放電ガス種類: 磁性層Ar、中間層Ar+O2 (3)投入電力: 400W 実施例bとしてマグネトロンスパッタを用い、実施例a
と同一のスパッタ条件で非磁性基板上にまず35Cu−
5Cr−60O組成の中間層を3nm作成し、引続き9
6Fe−4Si組成の磁性層を30nm形成し、中間層
/磁性層/中間層/・・/の構造を持つ磁性体薄膜を3
μm形成した。ここで中間層はCuターゲット上にCr
チップを乗せたCu+Crチップターゲット、磁性層
は、Fe−Si合金ターゲットを使用した。
【0147】実施例cとしてマグネトロンスパッタを用
い、下記のスパッタ条件で非磁性基板上にまず33Fe
−6Ti−60O組成の中間層を3nm作成し、引続き
94.2Fe−1.3Al−4.5Si組成の磁性層を
30nm形成し、中間層/磁性層/中間層/・・/の構
造を持つ磁性体薄膜を3μm形成した。ここで分離層は
Feターゲット上にTiチップを乗せたFe+Tiチッ
プターゲット、磁性層は、Fe−Al合金+Siチップ
ターゲットを使用した。スパッタ条件は以下の通りであ
る。 (1)放電ガス圧: 8mTorr (2)放電ガス種類: 磁性層Ar、中間層Ar+O2 (3)投入電力: 400W 実施例dとしてマグネトロンスパッタを用い、実施例a
と同一のスパッタ条件で非磁性基板上にまず34Fe−
6Cr−60O組成の中間層を3nm作成し、引続き9
6Fe−4Si組成の磁性層を30nm形成し、中間層
/磁性層/中間層/・・/の構造を持つ磁性体薄膜を3
μm形成した。ここで中間層はFeターゲット上にCr
チップを乗せたFe+Crチップターゲット、磁性層
は、Fe−Si合金ターゲットを使用した。
【0148】比較例eとしてマグネトロンスパッタを用
い、実施例aと同一のスパッタ条件で非磁性基板上にま
ずMgO組成の中間層を3nm作成し、引続き94.2
Fe−1.3Al−4.5Si組成の磁性層を30nm
形成し、中間層/磁性層/中間層/・・/の構造を持つ
磁性体薄膜を3μm形成した。ここで中間層はMgOタ
ーゲット、磁性層は、Fe−Al合金+Siチップター
ゲットを使用した。比較例fとしてマグネトロンスパッ
タを用い、比較例cと同一のスパッタ条件で非磁性基板
上にまずMgOの中間層を3nm作成し、引続き96F
e−4Si組成の磁性層を30nm形成し、中間層/磁
性層/中間層/・・/の構造を持つ磁性体薄膜を3μm
形成した。ここで中間層はMgOターゲット、磁性層は
、Fe−Si合金ターゲットを使用した。
【0149】(表19)および(表20)に示す平均粒
径及び組成のTEM観察の結果のように、実施例a〜d
及び比較例e、fの700℃熱処理の平均結晶粒径は、
比較例e、fでやや膜面内方向及び垂直方向の結晶粒が
大きく一部の中間層が破壊されている。また実施例では
何れも膜内、膜面に垂直方向での粒内組成の変化が確認
できるが比較例では小さい。これは実施例a、cでは中
間層中に磁性層のAlやSiよりも酸化物及び窒化物生
成自由エネルギー元素が高いCu、Fe、Tiが含有さ
れているために、また実施例b、dでは中間層中に磁性
層のSiよりも酸化物及び窒化物生成自由エネルギー元
素が高いCu、Fe、Crが含有されているために、熱
処理によって層界面近傍で酸化還元反応が起こり、磁性
層内に酸素が拡散し過ぎることなく結晶粒内の組成勾配
が起こったためであると考えられる。特に膜面内方向で
の組成勾配は膜に垂直方向の組成勾配より小さく垂直方
向の勾配に誘導された形で生じた物と考えている。一
方、比較例では熱処理後にMgOがその表面自由エネル
ギーのためにかたまりに焼結し層構造を破壊しており、
磁性結晶粒内では組成勾配はなく膜面内では磁性結晶粒
子が結合している。
【0150】また実施例a、bと実施例c,dを比較す
ると中間層に金属磁性元素が含まれる、実施例c,dの
磁気特性が優れていることがわかる。これは中間層に含
まれる磁性金属元素が、磁性結晶粒子間の結合状態を良
好にしているためであると考えられる。
【0151】以上の結果から、中間層中に磁性層に含ま
れる酸化物または窒化物生成自由エネルギーがFeより
低い元素のうちの少なくとも1種より、酸化物または窒
化物生成自由エネルギーが高い元素が少なくとも1種含
まれるという本実施例の磁性体薄膜によれば、熱処理に
より膜面よりも膜面に垂直方向の組成に大きな勾配を持
たせた磁性体薄膜を構成でき、さらに中間層に磁性金属
元素が含まれるとき軟磁気特性が向上することがわか
る。
【0152】また、その他の実験から酸素、窒素、炭
素、ボロン等を含有した磁性体薄膜または磁性体薄膜に
おいても同様な効果があることがわかった。
【0153】(実施例11) 本実施例及び比較例は、少なくとも一種の酸化物または
窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元素が磁性層
と中間層に共有されかつ、前記元素が磁性層、中間層で
連続的に組成勾配を持つ磁性体薄膜の磁気特性を、60
0℃での平均結晶粒径、結晶粒中心部と結晶粒表面付近
の組成及び軟磁気特性について調べたものである。60
0℃での磁気特性、平均粒径を(表21)に示す。
【0154】
【表21】
【0155】実施例aとしてマグネトロンスパッタを用
い、下記のスパッタ条件で非磁性基板上にまずFe−A
l−Siの酸化物の中間層を2nm作成し、引続き9
1.5Fe−3Al−5.5Si組成の磁性層を15n
m形成し、中間層/磁性層/中間層/・・/の構造を持
つ磁性体薄膜を3μm形成した。ここで中間層及び 磁性
層は、同一のFe−Al合金+Siチップターゲットを
使用し、酸素を間欠的に導入することで作成した。スパ
ッタ条件は以下の通りである。 (1)放電ガス圧: 8mTorr (2)放電ガス種類: 磁性層Ar、中間層Ar+O2 (3)投入電力: 400W 実施例bとしてマグネトロンスパッタを用い、前記と同
一のスパッタ条件で非磁性基板上にまずFe−Siの酸
化物の中間層を2nm作成し、引続き91.5Fe−3
Al−5.5Si組成の磁性層を15nm形成し、中間
層/磁性層/中間層/・・/の構造を持つ磁性体薄膜を
3μm形成した。ここで中間層はFe−Si合金ターゲ
ット、磁性層は、Fe−Al合金ターゲット上にSiチ
ップを乗せたFe−Al+Siチップターゲットを使用
した。
【0156】実施例cとしてマグネトロンスパッタを用
い、前記と同一のスパッタ条件で非磁性基板上にまずF
e−Tiの酸化物の中間層を2nm作成し、引続き92
Fe−2Ti−6Al組成の磁性層を15nm形成し、
中間層/磁性層/中間層/・・/の構造を持つ磁性体薄
膜を3μm形成した。ここで中間層はFeターゲット上
にTiチップを乗せたFe+Tiチップターゲット、磁
性層は、Fe−Al合金ターゲットを上にTiチップを
乗せたFe−Al+Tiチップターゲットを使用した。
【0157】比較例dとしてマグネトロンスパッタを用
い、前記と同一のスパッタ条件で非磁性基板上にまずF
e−Tiの酸化物の中間層を2nm作成し、引続き9
1.5Fe−3Al−5.5Si組成の磁性層を15n
m形成し、中間層/磁性層/中間層/・・/の構造を持
つ磁性体薄膜を3μm形成した。ここで中間層は、Fe
ターゲット上にTiチップを乗せたFe+Tiチップタ
ーゲット磁性層は、Fe−Al合金+Siチップターゲ
ットを使用した。
【0158】比較例eとしてマグネトロンスパッタを用
い、前記と同一下記のスパッタ条件で非磁性基板上にま
ずFe−Siの酸化物の中間層を2nm作成し、引続き
92Fe−2Ti−6Al組成の磁性層を15nm形成
し、中間層/磁性層/中間層/・・/の構造を持つ磁性
体薄膜を3μm形成した。ここで中間層は、Fe−Si
合金ターゲット磁性層は、Fe−Al合金+Tiチップ
ターゲットを使用した。
【0159】(表21)に示す平均粒径と軟磁気特性の
結果のように、実施例a、b、c及び比較例d,eの6
00℃熱処理の平均結晶粒径についてはほとんど差がな
いが、軟磁気特性は実施例の方が優れている。EDSの
結果、それぞれの組成粒内では膜面に垂直方向及び膜面
内方向で粒の中心より、酸化物または窒化物生成自由エ
ネルギーがFeより低い元素が増加するような組成勾配
が何れのサンプルにも起こっていたが、特に実施例aで
はAl、Si実施例bではSi、実施例cではTi元素
が連続的に、磁性層と中間層の間で組成勾配を持ってい
ることがわかった。一方、実施例及び比較例の膜面を荷
重をかけた針先で削ったところ実施例は比較的傷がつき
難く積層間の結合が強いことがわかった。本実施例の積
層膜における安定した積層間の結合が界面応力などの緩
和等に影響して軟磁気特性を向上させているものと考え
られる。
【0160】以上の結果から、少なくとも一種の酸化物
または窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元素が
磁性層と中間層に共有され、前記元素が磁性層、中間層
で連続的に組成勾配を持つ磁性体薄膜は熱処理後の積層
間結合力を高め、軟磁気特性を向上させるといえる。ま
たその他の実験から酸素、窒素、炭素ボロン等を含有
した磁性体薄膜または磁性体薄膜においても同様な効果
があることがわかった。
【0161】(実施例12) 本実施例及び比較例は、組成勾配を持つ元素の種類を変
えた磁性体薄膜の磁気特性を、600℃で熱処理し軟磁
気特性について調べたものである。600℃での平均結
晶粒径及び磁気特性を(表22)に示す。
【0162】
【表22】
【0163】実施例a〜j、比較例k〜mとしてマグネ
トロンスパッタを用い、下記のスパッタ条件で非磁性基
板上にまず磁性層の酸化物組成の中間層を1nm作成
し、引続き、磁性層を30nm形成し、中間層/磁性層
/中間層/・・/の構造を持つ磁性体薄膜を3μm形成
した。ここで中間層及び磁性層は、同一のターゲットを
用い、スパッタ中の酸素雰囲気を変えることで作成し
た。スパッタ条件は以下の通りである。 (1)放電ガス圧: 8mTorr (2)放電ガス種類: 磁性層Ar、中間層Ar+O2 (3)投入電力: 400W (表22)に示す積層膜は同一ターゲットを用いて連続
的に成膜しており、結晶粒径内で本発明の好ましい組成
勾配を持つが、平均粒径及び磁気特性の結果より、組成
勾配を持つ酸化物または窒化物生成自由エネルギー元素
としてAl、Si、Ti、Cr、Vから選ばれた少なく
とも1種の元素が含まれるという本実施例の磁性体薄膜
によれば、特に優れた軟磁気特性を示す磁性体薄膜また
は磁性体薄膜を達成できる。またその他の実験から酸
素、窒素、炭素、ボロン等を含有した磁性体薄膜または
磁性体薄膜においても同様な効果があることがわかっ
た。
【0164】(実施例13) 本実施例及び比較例は、主磁性層がおよび中間層の最適
な膜厚範囲を調べたものである。500℃の熱処理後の
抗磁力を(表23)〜(表26)に示す。
【0165】
【表23】
【0166】
【表24】
【0167】
【表25】
【0168】
【表26】
【0169】実施例および比較例としてマグネトロンス
パッタを用い、下記のスパッタ条件で非磁性基板上にま
ず磁性層の酸化物組成の中間層と主磁性層を交互に形成
し、磁性体薄膜を3μm形成した。ここで中間層及び磁
性層は、同一のFeAlSiターゲットを用い、スパッ
タ中の酸素雰囲気を変えることで作成した。スパッタ条
件は以下の通りである。 (1)放電ガス圧: 2mTorr (2)放電ガス種類: 磁性層ArまたはAr+N2
中間層Ar+O2 (3)投入電力: 400W TEM観察およびEDS分析結果(表23)〜(表2
6)に示す磁性体薄膜は同一ターゲットを用いて連続的
に成膜しており、結晶粒径内で本発明の好ましい組成勾
配または形状比の一方または両方の特徴を有していた。
【0170】以上の実施例の結果、主磁性層の膜厚が3
nm以上100nm以下、中間層の膜厚が0.1nm以
上10nm以下の範囲で、中間層の平均厚みを主磁性層
の厚みで割った比が0.5以下であるときに優れた軟磁
気特性を示すことがわかる。
【0171】本実施例では、主磁性層/中間層とがFe
AlSi/FeAlSiO またはFeAlSiN/F
eAlSiNO組成について示したが、その他Fe、C
o、Ni、Fe−Co、Co−Ni、Fe−Ni、Fe
−Co−Ni等の磁性体金属、または以上の磁性体金属
中に、非磁性物質または酸化物生成自由エネルギー又は
窒化物生成自由エネルギーがFeより低い値を持つ元
素、例えばAl、Si、Ta、Ti、Mg、Zr、M
n、Ca、Cr、B、V、Nb、W、Zn、C、Mo、
Ce、Hf等から選ばれた少なくとも一種の元素が含有
された磁性体金属からなる本発明の、形状比を持つ磁性
結晶粒、または本発明の結晶粒内に組成勾配を持つ磁性
結晶粒より成る主磁性層と、非磁性物質または酸化物生
成自由エネルギー又は窒化物生成自由エネルギーがFe
より低い値を持つ元素、例えばAl、Si、Ta、T
i、Mg、Zr、Mn、Ca、Cr、B、V、Nb、
W、Zn、C、Mo、Ce、Hf等から選ばれた少なく
とも一種の元素とB、C、O、Nから選ばれた少なくと
も1種以上の元素を含む中間層において数々の組成の組
み合わせを調べた結果、本実施例でしらべた主磁性層と
中間層の膜厚範囲で優れた軟磁気特性を実現できた。
【0172】(実施例14) RFマグネトロンスパッタでNiFeを3μm形成し、
500℃熱処理後に抗磁力0.5Oeの特性を得た。比
較例として(表27)に示すように、この組成のNiF
e、200nmと様々な膜厚のSiO2を15層積層し
た。実施例として同じくNiFe、200μmと多重中
間層を15層積層した。ここで多重中間層は2nmのS
iO2と3nmのNiFeを交互に(表27)に示す膜
厚になるまで積層してある。それぞれ500℃での抗磁
力の値を(表27)に記した。
【0173】
【表27】
【0174】以上の結果より中間層に非磁性層を用いる
場合より、多重中間層を用いれば、優れた軟磁気特性と
なることが分かる。TEM観察の結果、SiO2が7n
mでの磁気劣化は、500℃の熱処理による層構造の破
壊が主因であることが分かった。一方、多重中間層の場
合、2nmの非磁性層が完全に層構造を形成しいないと
ころがあり、見た目上、非磁性層と磁性層がひとつずつ
で構成された中間層になっている箇所もあるが、3nm
に微細化された磁性層Aが特異な磁気特性を発現してい
るために、優れた軟磁気特性を示していると考えられ
る。特に0.1Oeの優れた軟磁気特性を持つ本実施例
の多重中間層をもつ磁性体薄膜では、柱状構造を持つ主
磁性層の磁性結晶粒子の形状比が本発明の優れた軟磁気
特性を示す形状比を満たす0.3〜0.4程度であっ
た。
【0175】次に、NiFeを用いた主磁性層Mの膜厚
DMを200nmとし、SiO2を用いた分離層Bの一
層当たりの平均膜厚DBを2.5nmとし、NiFeを
用いた磁性層Aの一層当たりの平均膜厚DAを変化させ
たときの500℃熱処理後の抗磁力の変化を調べた。主
磁性層は全部で15層とした。ここで主磁性層と積層さ
れる多重中間膜は、磁性層Aと分離層Bが、主磁性層M
につづいて、A/B/Aの順に成膜されており、つづい
て主磁性層を成膜することを繰り返すことで多重中間層
を持つ磁性体薄膜を形成している。(表28)に、それ
ぞれの膜厚と多重中間層の構成を記す。
【0176】
【表28】
【0177】以上の結果から、多重中間層を持つ磁性体
薄膜の多重中間層を構成する磁性層Aは5nm以下であ
るとき高特性が生じることが分かる。
【0178】(実施例15)RFマグネトロンスパッタ
で1.8(テスラ)のFeAlSiを3μm形成し、5
00℃熱処理後に抗磁力6.9Oeの特性を得た。
【0179】次に、このFeAlSiを用いた主磁性層
Mの膜厚DMを60nmとし、SiO2を用いた分離層
Bの一層当たりの平均膜厚DBを2.5nmとし、Fe
を用いた磁性層Aの一層当たりの平均膜厚DAを変化さ
せたときの500℃熱処理後の抗磁力の変化を調べた。
主磁性層は全部で50層とした。ここで主磁性層と積層
される多重中間膜は、磁性層Aと分離層Bが、主磁性層
Mにつづいて、A/B/Aの順に成膜されており、つづ
いて主磁性層を成膜することを繰り返すことで多重中間
層を持つ磁性体薄膜を形成している。(表29)に、そ
れぞれの膜厚と多重中間層の構成を記す。
【0180】
【表29】
【0181】以上の結果から、多重中間層を持つ磁性体
薄膜の多重中間層を構成する磁性層Aは5nm以下であ
るとき特に高特性が生じることが分かる。
【0182】次に、このFeAlSiを用いた主磁性層
Mの膜厚DMを60nmとし、SiO2を用いた分離層
Bの一層当たりの平均膜厚DBを変化させ、Feを用い
た磁性層Aの一層当たりの平均膜厚DAを2.5nmと
したときの500℃熱処理後の抗磁力の変化を調べた。
主磁性層は全部で50層とした。ここで主磁性層と積層
される多重中間膜は、磁性層Aと分離層Bが、主磁性層
Mにつづいて、A/B/Aの順に成膜されており、つづ
いて主磁性層を成膜することを繰り返すことで多重中間
層を持つ磁性体薄膜を形成している。(表30)に、そ
れぞれの膜厚と多重中間層の構成を記す。
【0183】
【表30】
【0184】以上の結果から、多重中間層を持つ磁性体
薄膜の多重中間層を構成する分離層Bは5nm以下であ
るとき特に高特性を生じることが分かる。
【0185】次に、このFeAlSiを用いた主磁性層
Mの膜厚DMを変化させ、SiO2を用いた分離層Bの
一層当たりの平均膜厚DBを2.5nmとし、Feを用
いた磁性層Aの一層当たりの平均膜厚DAを2.5nm
としたときの500℃熱処理後の抗磁力の変化を調べ
た。主磁性層は全部で3μmとした。ここで主磁性層と
積層される多重中間膜は、磁性層Aと分離層Bが、主磁
性層Mにつづいて、A/B/Aの順に成膜されており、
つづいて主磁性層を成膜することを繰り返すことで多重
中間層を持つ磁性体薄膜を形成している。(表31)
に、それぞれの膜厚と多重中間層の構成を記す。
【0186】
【表31】
【0187】以上の結果から、多重中間層を持つ磁性体
薄膜の主磁性層Mは3nm以上100nm以下であると
き高特性が生じることが分かる。
【0188】次に、このFeAlSiを用いた主磁性層
Mの膜厚DMを60nmとし、多重中間層の平均膜厚D
Iを、SiO2を用いた分離層Bの一層当たりの平均膜
厚DBと、Feを用いた磁性層Aの一層当たりの平均膜
厚DAが等しくなるように変化させた場合の500℃熱
処理後の抗磁力の変化を調べた。主磁性層は全部で50
層とした。ここで主磁性層と積層される多重中間膜は、
磁性層Aと分離層Bが、主磁性層Mにつづいて、A/B
/Aの順に成膜されており、つづいて主磁性層を成膜す
ることを繰り返すことで多重中間層を持つ磁性体薄膜を
形成している。(表32)に、それぞれの膜厚と多重中
間層の構成を記す。
【0189】
【表32】
【0190】次に、このFeAlSiを用いた主磁性層
Mの膜厚DMを60nmとし、多重中間層の平均膜厚D
Iを、SiO2を用いた分離層Bの一層当たりの平均膜
厚DBと、Feを用いた磁性層Aの一層当たりの平均膜
厚DAが等しくなるように変化させた場合の500℃熱
処理後の抗磁力の変化を調べた。主磁性層は全部で50
層とした。ここで主磁性層と積層される多重中間膜は、
磁性層Aと分離層Bが、主磁性層Mにつづいて、A/B
/A/B/Aの順に成膜されており、つづいて主磁性層
を成膜することを繰り返すことで多重中間層を持つ磁性
体薄膜を形成している。(表33)に、それぞれの膜厚
と多重中間層の構成を記す。
【0191】
【表33】
【0192】以上の(表32)、(表33)の結果から
多重中間層を持つ磁性体薄膜の多重中間層の厚みDIは
0.2nm以上、15nm以下のとき高特性が生じるこ
とが分かる。
【0193】(実施例16) RFマグネトロンスパッタで1.8(テスラ)のFeA
lSiを3μm形成し、700℃熱処理後に抗磁力5.
2Oeの特性を得た。
【0194】このFeAlSiを用いた主磁性層Mの膜
厚DMを70nm、または7nmとし、Cu、Si
2、Zr、主磁性層の酸化組成であるFeAlSiO
の何れかを用いた分離層Bの一層当たりの平均膜厚DB
を2.5nm、または0.5nmnmとし、Fe、Fe
Siまたは主磁性と同じFeAlSiを用いた磁性層A
の一層当たりの平均膜厚DAを2.5nmまたは0.5
nmとしたときの700℃熱処理後の抗磁力を、それぞ
れ調べた。ここでFeAlSiOは酸素雰囲気中の反応
性スパッタで成膜した。主磁性層は全部で3μm程度と
なるように積層した。ここで主磁性層と積層される多重
中間膜は、磁性層Aと分離層Bが、主磁性層Mにつづい
て、A/B/Aの順に成膜されており、つづいて主磁性
層を成膜することを繰り返すことで多重中間層をもつ磁
性体薄膜薄膜を形成している。(表34)に、それぞれ
の膜厚と多重中間層の構成を記す。
【0195】
【表34】
【0196】(表34)中、b、c、e及びi、j、l
のそれぞれの比較から磁性層A内に酸化物または窒化物
生成自由エネルギーがFeより低い物質が少なくとも一
種以上含まれていることで多重中間層を持つ磁性体薄膜
の軟磁気特性が向上していることがわかる。また(表3
4)中、f、gおよびm、nの比較より磁性層内A内に
Nが含まれていると軟磁気特性が向上することがわか
る。また(表34)中、a、bおよびd、eおよびh、
iおよびk、lをそれぞれ比較することで、分離層B内
に酸化物または窒化物生成自由エネルギーがFeより低
い物質が少なくとも一種以上と酸素が含まれていると軟
磁気特性が向上することがわかる。さらにe、fおよび
l、mを比較することで分離層B内に金属磁性元素が含
まれることで軟磁気特性が向上することがわかる。
【0197】以上の実験の他、多重中間層を持つ磁性体
薄膜には磁性層A内に酸化物生成自由エネルギーまたは
窒化物生成自由エネルギーがFeより低い物質が少なく
とも1種以上含まれ、または磁性層A内に少なくとも
C、B、O、Nから選ばれた1種以上の元素を含まれ、
または分離層B内に酸化物生成自由エネルギーもしくは
窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元素が少なく
とも一種類以上と、少なくともC、B、O、Nから選ば
れた1種以上の元素とが含まれ、または分離層B内に金
属磁性元素が含まれるとき優れた軟磁気特性を示すこと
がわかった。
【0198】(実施例17) RFマグネトロンスパッタで1.7(テスラ)のFeA
lSiを3μm形成し、700℃熱処理後に抗磁力5.
2Oeの特性を得た。
【0199】多重中間層を持つ磁性体薄膜の製造方法の
比較例として、RFマグネトロンスパッタでまずFeA
lSiターゲットをAr雰囲気下でスパッタすることで
FeAlSiを用いた主磁性層Mの膜厚DMが50nm
となるように成膜し、つぎに同一のFeAlSiターゲ
ットをArと酸素の雰囲気下でスパッタすることで、形
成されるFeAlSiOの分離層Bを一層当たりの平均
膜厚DBが2.5nmとなるように成膜し、次にFeA
lSiを用いた磁性層Aの一層当たりの平均膜厚DAを
2.5nmとなるように成膜し、再びFeAlSiター
ゲットをArと酸素の雰囲気下でスパッタすることで、
形成されるFeAlSiOの分離層Bを一層当たりの平
均膜厚DBが2.5nmとなるように成膜することを繰
り返すことで形成した多重中間層を持つ磁性体薄膜を5
00℃及び700℃熱処理後し、その抗磁力を調べた。
ここで主磁性層は60層積層しており、また主磁性層と
積層される多重中間層は、磁性層Aと分離層Bが、主磁
性層Mにつづいて、A/B/Aの順に成膜された構成を
している。
【0200】つぎに多重中間膜軟磁性薄膜の製造方法の
実施例としてRFマグネトロンスパッタでまずFeAl
SiターゲットをAr雰囲気下でスパッタすることでF
eAlSiを用いた主磁性層Mの膜厚DMが50nmと
なるように成膜し、つぎに同一のFeAlSiターゲッ
トをArと酸素の雰囲気下でスパッタすることで、形成
されるFeAlSiOの非磁性中間層を一層当たりの平
均膜厚が7.5nmとなるように成膜することを繰り返
すことで形成した多重中間層を持つ磁性体薄膜を500
℃及び700℃熱処理後し、その抗磁力を調べた。ここ
で主磁性層は60層積層している。
【0201】製造方法の比較例および実施例の薄膜を成
膜直後、500℃、700℃それぞれTEM観察および
EDSによるスポット組成の分析を行った結果、成膜直
後では、比較例の中間層は多重構造をしており、実施例
では中間層全体がアモルファス状態であったが、500
℃の熱処理により、実施例では大きな変化がみられない
ものの、実施例では、アモルファス中間層内で組成の揺
らぎが生じており、特に、主磁性と隣接する界面では、
Al、Siが高濃度となっている一方、中間層の中心付
近では、Feがリッチになり、酸素量も減少し、磁性体
と見なせる結晶粒が確認でき、見かけ上比較例で作成し
た多重中間層難磁性膜とほぼ同じ構造をしていた。また
部分的に、この新たに生じた多重中間層は2重から4重
までの微細な積層構造をとっていた。この変化は700
℃ではさらに明瞭になった。
【0202】表35にそれぞれ500℃、及び700℃
での抗磁力の値を記す。
【0203】
【表35】
【0204】以上のように本発明の多重中間層を持つ磁
性体薄膜の製造法は、レイヤーバイレイヤーで形成した
場合とほぼ同じ特性を得ることができ、積層回数が増え
るにしたがい、成膜時間を短くできる。
【0205】(実施例18) 本実施例は主磁性層の磁性結晶粒子が柱状構造を持ちか
つ発明の好ましい形状比を持つ場合、及び主磁性層を形
成する磁性結晶粒子が粒内部より表面に向かって本発明
の好ましい組成勾配を持つ時、中間層として略球状、ま
たは略楕円体状の形状を持つ磁性結晶粒子からなる中間
層を用いた場合について調べたものである。
【0206】RFマグネトロンスパッタにより1.6
(テスラ)のFeAlSi単層膜を形成し、500℃で
熱処理後に3.8(Oe)の特性を得た。
【0207】このFeAlSiを主磁性層とし、中間層
としてFe酸化物を選んだ。主磁性層の厚みは10nm
とし、また中間層の厚みは5nmに固定した。中間層で
あるFe酸化物はスパッタ中のArガス中に含まれる酸
素濃度を変化させることで、Fe内の酸素濃度を様々に
変化させ4種類の磁性体薄膜を形成した。それぞれの磁
性体薄膜を500℃真空中で熱処理したあと、抗磁力を
測定し、膜の微細構造をTEMおよびXRDにより観察
した。主磁性層は、形状比が0.3〜0.8の柱状構造
と成っており、膜面に垂直方向に、磁性結晶粒の外側に
向かってAl,Siが高濃度になっていた。(表36)
に500℃熱処理後の、スパッタガス全体に占める酸素
の分圧と観察した微細構造の様子と、中間層のみを3μ
m形成したときの抗磁力、および磁性体薄膜、3μmの
抗磁力について示す。
【0208】
【表36】
【0209】(表36)に示すように中間層そのものの
軟磁気特性によらず、本実施例の構造の磁性体薄膜の構
造にすることで優れた軟磁気特性が実現している。
【0210】(実施例19) 本実施例及び比較例は、中間層が略球状、略楕円体状の
磁性結晶粒子からなる磁性体薄膜の、主磁性層および中
間層の最適な膜厚範囲を調べたものである。RFマグネ
トロンスパッタにより1.6(テスラ)のFeAlSi
単層膜を形成し、500℃で熱処理後に3.8(Oe)
の特性を得た。
【0211】このFeAlSiまたはFeAlSiNを
主磁性層とし、中間層としてFeAlSiの酸化物また
はFeAlSiの酸、窒化物を選んだ。中間層であるF
eAlSiO酸化物はスパッタ中のArガス中に含まれ
る酸素濃度を変化させることで、500℃真空中で熱処
理したあと中間層組成の単層膜の微細構造が略粒状、ま
たは略楕円体状になるように、酸素分圧を制御して作成
した。熱処理後、磁性体薄膜の微細構造を観察したとこ
ろ、中間層の磁性結晶粒子は一部主磁性層に合金化して
いるが、主磁性層は柱状構造をしており、また中間層に
は、柱状または楕円体状の磁性結晶粒子が観察でした。
磁性結晶粒子500℃の熱処理後の抗磁力を(表37)
〜(表39)に示す。表中、磁性体薄膜の略構造を、主
磁性層組成/中間層組成の順に記した。
【0212】
【表37】
【0213】
【表38】
【0214】
【表39】
【0215】以上の結果から、本実施例の主磁性層は3
〜15nm、中間層は3〜15nmで優れた軟磁気特性
が得られることが確認できた。
【0216】(実施例20) RFマグネトロンスパッタにより1.4(テスラ)のF
eAlSi単層膜を形成し、500℃で熱処理後に1.
8(Oe)の特性を得た。
【0217】このFeAlSiを主磁性層とし、中間層
として(表40)に示す物質をえらんだ。中間層はすべ
て500℃真空中で熱処理したあと中間層組成の単層膜
の微細構造が略粒状、または略楕円体状になるように組
成を選んでいる。各中間層の抗磁力は1.5〜4Oe程
度の値であった。磁性体薄膜をRFマグネトロンスパッ
タ法により作成し、500℃真空中で熱処理したあとの
抗磁力、また中間層単層の飽和磁束密度を(表40)に
示す。表中、磁性体薄膜の略構造を、主磁性層組成/中
間層組成の順に記した。
【0218】
【表40】
【0219】前記(表40)に示すように中間層に略粒
状、略楕円体状の磁性結晶粒を持つ磁性体薄膜は、主磁
性層の単層膜、また中間層の単層膜に比べ、優れた軟磁
気特性を示す。本実施例に示したように中間層より主磁
性層は0.1テスラ以上高い飽和磁束密度を持つことが
望ましい。また表より、中間層に含まれる元素として
は、C、B、N、Oから選ばれた少なくとも一種以上の
元素があると、中間層の磁性結晶粒の粒径状が実現し易
く、また中間層に酸化物または窒化物生成自由エネルギ
ーがFeより低い元素が含まれることが望ましいことが
わかる。
【0220】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明は金属磁性体
合金の結晶粒子で構成された磁性体薄膜であって、前記
粒子内に少なくとも一種以上の非磁性元素、または酸化
物生成自由エネルギーまたは窒化物生成自由エネルギー
がFeより低い元素が含まれており、かつ前記元素が粒
子内部より表面に向かって高濃度になるように組成勾配
していることを特徴とする磁性薄膜または前記磁性薄膜
を主磁性層とし、前記主磁性層より飽和磁束密度が少な
くとも0.1テスラ以上小さい中間層が交互に積層され
た磁性体薄膜により良好な軟磁気特性を達成できる。こ
れは主として主磁性層内の結晶粒子に粒内で組成勾配を
持たせることで結晶粒の成長を抑制することができ、高
温の熱処理においても良好な軟磁気特性を発揮できるた
めである。特に前記粒子内の組成勾配が面内方向よりも
垂直方向において大きい時、層構造自体の熱安定性が高
まり、また面内の磁性体粒子の磁気的結合を強めること
ができるために熱安定性に優れた軟磁気特性が実現でき
る。
【0221】また本発明の磁性体薄膜を磁気ヘッド等の
磁気回路部品に用いることで、高融点ガラスが使用で
き、耐摩耗性、高信頼性が実現でき、また高電磁変換効
率、記録密度の向上に顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の磁性体薄膜を概念的に示
した断面図。
【図2】 (a)〜(b)は、本発明の一実施例の磁性
結晶粒子の形状を概念的に示した図。
【図3】 本発明の一実施例の多重中間層25を有する
積層構造の磁性体薄膜の断面図。
【図4】 本発明の一実施例の積層構造の磁性体薄膜の
断面図。
【図5】 本発明の磁性体薄膜が適用できるMIG(Me
tal in gap)タイプの磁気ヘッドの斜視図。
【図6】 本発明の磁性体薄膜が適用できる合金積層膜
タイプの磁気ヘッドの斜視図。
【符号の説明】
1,10,20,30 磁性体薄膜 2 主磁性層 3 中間層 4 磁性結晶粒子 5 大きな磁性結晶粒子 11 磁性結晶粒子 12 粒子内に組成勾配を有する磁性結晶粒子 21 主磁性層 22 分離層B 23 磁性層A 24 空隙部 25 多重中間層 31 主磁性層 32 中間層 41 フェライト部 42 磁性体薄膜部 43 低融点ガラス部 44 ギャップ部 45 テープの走行面 46 電磁コイル通過孔 51 非磁性体部 52 結晶化ガラス部 53 ギャップ部 54 テープの走行面 55 低融点ガラス部 56 電磁コイル通過孔 57 磁性体薄膜層 58 絶縁層
フロントページの続き (72)発明者 釘宮 公一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−119106(JP,A) 特開 平3−166704(JP,A) 特開 平5−335146(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 10/00 - 10/32 G11B 5/31

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属磁性体合金の結晶粒子で構成された
    磁性体薄膜であって、前記粒子内に非磁性元素、酸化物
    生成自由エネルギーがFeより低い元素、及び窒化物生
    成自由エネルギーがFeより低い元素から選ばれる少な
    くとも一種類の元素が含まれており、かつ結晶粒の成長
    を抑制し、高温の熱処理においても軟磁気特性を保持す
    るために前記元素が前記粒子内部より表面に向かって高
    濃度になるように組成勾配している磁性体薄膜。
  2. 【請求項2】 組成勾配している磁性薄膜を主磁性層と
    し、前記主磁性層より飽和磁束密度が少なくとも0.1
    テスラ以上小さい中間層が交互に積層された請求項1に
    記載の磁性体薄膜。
  3. 【請求項3】 組成勾配が、膜の面方向よりも厚さ方向
    に大きい請求項1に記載の磁性体薄膜。
  4. 【請求項4】 主磁性層内に酸化物生成自由エネルギー
    または窒化物生成自由エネルギーがFeより低い物質が
    少なくとも1種以上含まれる請求項2に記載の磁性体薄
    膜。
  5. 【請求項5】 主磁性層内の酸化物生成自由エネルギー
    または窒化物生成自由エネルギーがFeより低い物質
    が、Al、Si、Ti、Cr、及びVから選ばれる少な
    くとも1つの元素である請求項4に記載の磁性体薄膜。
  6. 【請求項6】 主磁性層内に少なくともC、B、O、N
    から選ばれた1種以上の元素を含む請求項2に記載の磁
    性体薄膜。
  7. 【請求項7】 主磁性層の平均膜厚dAが3≦dA≦1
    00nm、中間層の平均膜厚dBが0.1≦dB≦10
    nmで、0<dB/dA≦0.5の範囲である請求項2
    に記載の磁性体薄膜。
  8. 【請求項8】 中間層が、酸化物生成自由エネルギーも
    しくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元素が
    少なくとも一種類と、C、B、O、Nから選ばれた1種
    以上の元素とを含む請求項2に記載の磁性体薄膜。
  9. 【請求項9】 中間層が、B、Si、Cr、V、Mo、
    Ta、Al、Ti、Zr等から選ばれた炭化物、Fe、
    Al、Si、Ta、Ti、Mg、Zr、Mn、Ca、C
    r、B、V、Nb、W、Zn、C、Mo、Ce、Hfか
    ら選ばれた窒化物、酸化物及び炭化物から選ばれる少な
    くとも一つの物質である請求項2に記載の磁性体薄膜。
  10. 【請求項10】 中間層が、金属磁性元素を含む請求項
    2に記載の磁性体薄膜。
  11. 【請求項11】 中間層が、平均膜厚5nm以下の磁性
    層Aと平均膜厚5nm以下の分離層Bが少なくとも一層
    づつ交互に積層された多重構造を持つ多重中間層であ
    り、主磁性層の平均膜厚DMと、前記多重中間層の平均
    膜厚DIとがDI<DMの範囲である請求項2に記載の
    磁性体薄膜。
  12. 【請求項12】 主磁性層の平均膜厚DMが3nm以上
    100nm以下で、多重中間層の平均膜厚DIが0.2
    nm以上15nm以下、かつ前記多重中間層は、平均膜
    厚5nm以下の分離層Bと、平均膜厚5nm以下の磁性
    層Aとで構成されている請求項11記載の磁性体薄膜。
  13. 【請求項13】 磁性層A内に酸化物生成自由エネルギ
    ーまたは窒化物生成自由エネルギーがFeより低い物質
    が少なくとも1種含まれる請求項11に記載の磁性体薄
    膜。
  14. 【請求項14】 磁性層A内に少なくともC、B、O、
    Nから選ばれた1種以上の元素を含む請求項11に記載
    の磁性体薄膜。
  15. 【請求項15】 分離層B内に酸化物生成自由エネルギ
    ーもしくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元
    素が少なくとも一種類と、C、B、O、Nから選ばれた
    1種以上の元素とを含む請求項11に記載の磁性体薄
    膜。
  16. 【請求項16】 分離層B内に金属磁性元素が含まれる
    請求項11に記載の磁性体薄膜。
  17. 【請求項17】 中間層が実質的に略球状または略楕円
    体の磁性結晶粒子からなる磁性層である請求項2に記載
    の磁性体薄膜。
  18. 【請求項18】 主磁性層の平均膜厚が3〜15nm、
    中間層の平均膜厚が3〜15nmである請求項17に記
    載の磁性体薄膜
  19. 【請求項19】 中間層内に酸化物生成自由エネルギー
    もしくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元素
    Bが少なくとも一種類以上と、C、B、N、Oの中か
    ら選ばれた少なくとも1種類以上の元素XBが含まれ、
    主磁性層内に酸化物生成自由エネルギーもしくは窒化物
    生成自由エネルギーがFeより低い元素であるMAが含
    まれるとき、前記元素MAと前記元素XBの化合物生成自
    由エネルギーをG(MA、XB)、前記元素MBと前記元
    素XBの化合物生成自由エネルギーをG(MB、XB)と
    すると、G(MA、XB)≧G(MB、XB)なる関係を満
    たす元素が含まれる請求項2に記載の磁性体薄膜。
  20. 【請求項20】 中間層内に酸化物生成自由エネルギー
    もしくは窒化物生成自由エネルギーがFeより低い元素
    Bが少なくとも一種類以上と、C、B、N、Oの中か
    ら選ばれた少なくとも1種類以上の元素XBが含まれ、
    主磁性層内に酸化物生成自由エネルギーもしくは窒化物
    生成自由エネルギーがFeより低い元素MAが少なくと
    も一種類以上と、C、B、N、Oの中から選ばれた少な
    くとも1種類以上の元素XAが含まれるとき、前記元素
    Aと前記元素XAの化合物生成自由エネルギーをG(M
    A、XA)、前記元素MBと前記元素XBの化合物生成自由
    エネルギーをG(MB、XB)とすると、 G(MA、XA)≧G(MB、XB) なる関係を満たす元素が含まれる請求項2に記載の磁性
    体薄膜。
  21. 【請求項21】 元素MBと元素 A の化合物生成自由エ
    ネルギーをG(MB A )、元素MAと元素XBの化合物
    生成自由エネルギーをG(MA、XB)とすると、 G(MB、XA)≧G(MB、XB) G(MA、XB)≧G(MB、XB) なる関係を満たす元素が含まれる請求項20に記載の磁
    性体薄膜。
  22. 【請求項22】 主磁性層と中間層が、少なくとも1種
    の元素を共有しており、前記元素が主磁性層、中間層で
    略連続的に組成勾配を有する請求項2に記載の磁性体薄
    膜。
  23. 【請求項23】 主磁性層と中間層が少なくとも一種の
    元素を共有し、前記主磁性層と前記中間層の界面での前
    記主磁性層内の前記元素濃度a原子量%と、前記中間層
    内の前記元素濃度b原子量%とが、0<a/b≦5.0
    の範囲で略連続的に組成勾配を有する請求項22に記載
    の磁性体薄膜。
  24. 【請求項24】 請求項1〜23のいずれかに記載の磁
    性体薄膜を磁気ヘッドの磁性体部分に用いた磁気ヘッ
    ド。
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