JP3275451B2 - 多軸織機の経糸送り出し装置 - Google Patents

多軸織機の経糸送り出し装置

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JP3275451B2
JP3275451B2 JP12509993A JP12509993A JP3275451B2 JP 3275451 B2 JP3275451 B2 JP 3275451B2 JP 12509993 A JP12509993 A JP 12509993A JP 12509993 A JP12509993 A JP 12509993A JP 3275451 B2 JP3275451 B2 JP 3275451B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は複数のビーム内の経糸
を、経糸張力によって消極送り出しするように備えた多
軸織機の経糸送り出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の経糸送り出し装置は多数
の経糸を巻付けた複数のビームを支持体に環状に並設
し、各ビームに対応して、イージングローラを経糸移送
方向に揺動自在に支持し、各ビームに対応してブレーキ
装置を取付けたブレーキ軸を夫々支持体に回転自在に設
けると共に隣り合うブレーキ軸を互いに連絡し、各ビー
ムから引き出した経糸をイージングローラを介して製織
部へ供給するに際し、経糸張力によるイージングローラ
の揺動で、前記ブレーキ装置を制御して各ビームの経糸
の合計張力が製織に伴う織布の巻取りによって所定値以
上になるとブレーキ機構のブレーキ力が解け、一斉に各
ビームを一定量回転させて経糸を消極的に送り出してい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように経糸張力
によって各ビームから経糸を引き出すようにした織機の
送り出し装置にあっては、経糸の合計張力によってビー
ムへのブレーキ力を解放して全ビームを一定量回転させ
て経糸を送り出すようにしているので、ビームへの経糸
の巻き付け方のばらつき等によってビーム径に差が生
じ、経糸の送り出し不足が発生することがある。経糸の
送り出しが不足したビームでは、そのイージングローラ
は大きな経糸張力で経糸移送方向へ揺動移動されるが、
機構上揺動範囲には限界があり、やがてはイージングロ
ーラの揺動範囲を越えて作動不能となりこれによって経
糸張力が大きくなり過ぎて織斑が発生し、品質が低下す
るという問題があった。又、こうしたビームの経糸送り
出し不足によってイージングローラが作動しなくなった
場合、異状に気付いた時点でブレーキ機構を解放し、異
常のあったビームのみを手加減で送り出して経糸の張力
を調整する人手による作業が煩わしい問題もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明は多数の経糸を巻付けた複数のビームを支
持体に環状に並設し、各ビームに対応して、イージング
ローラを経糸移送方向に揺動自在に支持し、各ビームに
対応してブレーキ装置を取付けたブレーキ軸を夫々支持
体に回転自在に設けると共に隣り合うブレーキ軸を互い
に連絡し、各ビームから引き出した経糸をイージングロ
ーラを介して製織部へ供給するに際し、経糸張力による
イージングローラの揺動で、前記ブレーキ装置を制御し
て経糸を消極送り出しする多軸織機の経糸送り出し装置
において、各イージングローラと対応して、経糸張力が
限界高張力となったときの各イージングローラの揺動限
界を検知する検出器を設け、各ブレーキ軸と、対応する
ビームとを差動歯車装置を介して連結すると共に、この
差動歯車装置に前記検出器の検知信号でブレーキ軸の回
転と無関係にビームを経糸送り出し方向へ回転させる送
り出しモータを連結したことを特徴とする。
【0005】
【作用】多数の経糸を巻きつけた複数のビームからの経
糸の張力に対応してイージングローラが揺動され、各ビ
ームの経糸の合計張力に応じた経糸張力によってブレー
キ装置を制御して、各ビームから経糸を消極送り出しす
る。この場合、ビームの回転量が不足した経糸は、経糸
張力の増大と共に対応するイージングローラを経糸方向
へ揺動させ、イージングローラに加わる経糸張力が限界
高張力となったとき、イージングローラの揺動限界を検
出器が検知する。この検知器からの検知信号で、送り出
しモータはブレーキ軸と回転と無関係に差動歯車装置を
介してビームを経糸送り出し方向へ回転させて経糸を送
り出し、経糸張力を限界高張力以下に保つ。以後再び経
糸張力が限界高張力となるまでイージングローラは揺動
限界内で揺動され、各ビームと同様の送り出しで経糸を
送り出す。
【0006】
【実施例】図1は三軸織物織機1を一部省略して示して
いる。この三軸織機1において、2は固定的に設置して
あるフレームでフレーム2には支持ローラ3を回転自在
に支承している軸受ブラケット4と、案内ローラ5を回
転自在に支承している軸受ブラケット6を止着してあ
る。10は支持ローラ3上に上下方向の中心軸線CLを
中心にして回転自在に載置してある環状の支持体で、各
案内ローラ5によって半径方向の動きが規制され図示を
省略した公知の回転駆動機構(特開平1−201550
号公報に開示される)によって一方向へ所定速度で回転
されるようにしてある。支持体10上には、全周を複数
(実施例では8)に等分割する位置に夫々支持台11が
止着され環状に並設されている。各支持台11は支持体
10上に設立した対向する一対の支持板12とその上端
部に止着した支持枠13とで構成され、その支持板12
にビーム支持用の軸受20を夫々止着してある。
【0007】図2に示すように対応する一対の軸受20
間にはビーム21が配設され、ビーム21両端から突出
した一方のビーム軸21aと他方のビーム21bとで軸
受20に軸支してある。一方のビーム軸21bには差動
歯車装置25の出力軸25aがキー連結してある。この
差動歯車装置25は送り出しモータ26により、小鎖車
27、チェン28、大鎖車22を介して回転される補助
入力軸25bの回転と後述のブレーキ軸35から入力鎖
車40を介して入力される回転とを合成した回転が出力
軸25aに出力され、従ってブレーキ軸35aの回転に
無関係に補助入力軸25bの回転のみでも出力軸25a
が回転するようになっており、周知のハーモニックドラ
イブ(商標名)を応用したものである。
【0008】次に35は支持台11の下部に取付けた軸
受36によって支承されているブレーキ軸で、各ブレー
キ軸35の端部は自在継手37を介して隣りのビーム2
1と対応したブレーキ軸35と互いに連結してある。各
ブレーキ軸35は、ブレーキ装置38のブレーキプーリ
43によって回転が制動され、各ビーム21から引き出
された多数の経糸aからなる経糸群の合計張力が所定の
大きさになるとブレーキ解除装置39によってその制動
を解除するようにしてある。このブレーキ軸35に止着
した鎖車41と差動歯車装置25の入力鎖車40との間
にチェン42が巻回してあり、支持板12に止着したテ
ンション鎖車43によってチェン42を引っ張ってい
る。又、ブレーキ装置38のブレーキプーリ43には一
端部を支持板12に止具44を介して止着したベルト4
5を巻回し、そのベルト45の他端部を引張ロッド46
に連結してある。引張ロッド46は支持体10に止着し
た保持具47の孔に摺動自在に嵌合され、かつ保持具4
7との間に介在させた圧縮ばね48によって付勢され、
それにより上記ベルト45を引っ張ってブレーキプーリ
43に圧接させている。
【0009】ブレーキ解除装置39において、50は支
持枠13の張出部13aに回動可能に軸支した糸ガイド
ローラで、この糸ガイドローラ50の両側のガイドロー
ラ軸52aに取付けた一対の支持アーム51が上端部に
イージングローラ52を回転自在に支承し、イージング
ローラ52は経糸移送方向へ揺動自在となっている。一
方のガイドローラ軸50aの突端部には揺動腕53を固
着し、この揺動腕53は支持板12に枢着してあるL形
リンク54の一方のリンク54aにロッド55を介して
連結してある。L形リンク54の他方のリンク54b
は、イージングローラ52に懸回された経糸aの張力に
よって引張ロッド46の上端に当接してある。又、ロッ
ド55上部を支持する揺動腕53先端のピン57には回
転ローラ56を軸支し、上記と同様に経糸aの張力によ
って回転ローラ56を検出片60に当接させている。検
出片60は支持ブラケット63の案内溝63aに案内さ
れて上下方向移動が自在になっている。
【0010】検出片60と各ビーム21に設立した油圧
シリンダ64のピストンロッド65間には夫々イージン
グ用ばね66で介装されている。各油圧シリンダ64は
図3に示すように互いに連通されており、従って製織に
伴って経糸張力が上昇したとき油圧シリンダ64内の油
圧はばね66を介して増圧し、この圧力は互いに他の油
圧シリンダ64へ伝えられて各油圧シリンダ64内の圧
力が同一となり各ビームの経糸張力が同一となる張力平
衡装置61を構成している。この張力平衡装置61はイ
ージングローラ52が揺動限界Aに達するまではこのよ
うな油圧平衡機構を有するようにばね66のばねこわさ
が設定してある。又支持ブラケット63には検出片60
に対向してイージングローラ52に加わる経糸張力が限
界高張力になって揺動限界Aに達したときに送り出しモ
ータ26をビーム送り出し方向へ回転するようにしたリ
ミットスイッチ等による検出器67が取付けてある。
尚、検出器68は送り出しモータ26の前記回転を止め
て経糸張力を適正に戻すための揺動腕53の戻し位置検
出用のリミットスイッチである。
【0011】次に23は支持枠13にブラケット24を
介して止着してある環状のガイド環で支持体10の軸線
と同心に配置してある。30はガイド環23中心の下方
に配設され各ビーム21から繰出された各経糸aを案内
しているコンペンセータカムで、後述する下方の製織部
31に導かれる各経糸aをその長さがほとんど変化しな
いように案内するように形成してある。33はコンペン
セータカム30の下方に配設してある可動糸ガイド装置
で公知のように細長く懸回されているチェーンによって
多数の糸ガイド33aを後述のヘドル31aの回動に同
期して同方向へ回動させるようにしてある。
【0012】31は公知の製織部(三軸製織機構)で、
緯糸挿入方向の列として配置された2列の多数のヘドル
31aを備え、2列の各ヘドル31aが経糸aを案内し
てひ口を形成し、その状態で緯糸を入れ、また緯入れす
る毎に各ヘドル31aが支持体11の回転方向と同方向
へ順次移動すると共に端部のヘドル25aが他方の列へ
移動されるようにしてある。32は製織部31のフレー
ム(図示省略)によって回動自在に支持されている公知
の巻取ロ−ラで、図示しない駆動機構によって矢印方向
へ回転され、製織された織布bを巻取るようにしてあ
る。
【0013】三軸織物織機1の運転を開始すると、製織
部31のヘドル31aが経糸aを案内してひ口を開口す
ると共に緯入れを行なって織布bを製織し、両側のヘド
ル31aが互いに逆方向へ横移動して経糸aを一方向へ
回動させる。また可動糸ガイド装置33の糸ガイド33
aと支持体10が上記ヘドル31aの回動方向へ同期回
動し、各ビ−ム21から引き出されている経糸aの案内
部を夫々同方向へ回動させる。また巻取ロ−ラ32が織
布bを巻取ると共に、各ビ−ム21から引き出されてい
る経糸aを引っ張る。これにより増加する経糸張力によ
ってイージングローラ52は経糸移動方向へ揺動し揺動
腕53は揺動してブレーキ装置38を介してブレーキ解
放装置54のブレーキ軸35へのブレーキ圧を徐々にゆ
るめる。ブレーキ軸35全体に加わるブレーキ圧よりも
経糸の合計張力が大きくなった時点で一斉に各ビーム2
1が一定量に回転して経糸aが繰り出される。ビーム径
に差のないときには、この消極繰り出しが繰り返し行わ
れ、このときには各ビーム21での経糸送り出し量が不
足しないために、イージングローラ52は高張力側の揺
動限界Aまで至らず、従ってリミットスイッチ67は作
動せず、送り出しモータ26は駆動されない。
【0014】製織が進むにつれブレーキ軸35の一定回
転に対しビーム径に差ができはじめると他のビーム21
に比べて小径となったビーム21の経糸aの繰り出しが
不足し、そのビーム21の経糸aは経糸aの繰り出しに
伴って他のビーム21のものよりも経糸張力が徐々に増
大し、イージングローラ52のこの移動は支持アーム5
1と揺動腕53を介して検出片60を移動させ、リミッ
トスイッチ67をONして、そのビーム21から繰り出
されている経糸張力が限界高張力にまで増大したことを
検知する。その検知信号によって送り出しモータ26は
経糸送り出し方向へ回転し送り出しモータ26の小鎖車
27を繰り出し方向へ回転させる。この回転は差同歯車
装置25によって所定量に減速されて出力軸25aを介
してビーム軸21bに伝達され、ビーム21が所定量回
転して経糸を送り出し経糸張力を減少する。経糸張力の
減少によってイージングローラ52は経糸移動方向と逆
方向に移動する。これに伴って検出片60も作動し、イ
ージングローラ52が戻し位置Bに至るとリミットスイ
ッチ68が検出片60を検知し、この検知信号によって
送り出しモータ26の駆動は停止し、送り出しモータ2
6による経糸aの送り出しも停止する。このように経糸
aを常に安定した経糸張力に保ち、経糸の繰り出し不足
による経糸切れが防止される。
【0015】
【発明の効果】以上のように本発明にあっては各イージ
ングローラと対応して経糸張力が限界高張力となったと
きの各イージングローラの揺動限界を検知する検出器を
設け、隣り合うブレーキ軸と連結した各ブレーキ軸と対
応するビームとを差動歯車を介して連繋すると共に、こ
の差動歯車装置に前記検出器の検知信号でブレーキ軸の
回転と無関係にビームを経糸送り出し方向の回転させる
送り出しモータを連結したので、経糸の繰り出しが不足
したビームの経糸張力が増大しても、検出器の検知信号
で送り出しモータを作動し、回動的に対応するビームの
経糸を常に安定した経糸と張力に保ち、経糸切れを防止
すると共に経糸の張力を調整する人手による煩わしい作
業が省け、作業能率の向上と織布の品質を良くする効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の経糸送り出し装置を多軸織機に装着し
た説明図である。
【図2】経糸送り出し装置の説明図である。
【図3】張力平衡装置の説明図である。
【符号の説明】
1 三軸織物織機、 10 支持体、 11 支持台、
12 支持板、21 ビーム、 25 差動歯車装
置、 26 送り出しモータ、31 製織部、 35
ブレーキ軸、 38 ブレーキ装置、39 ブレーキ解
除装置、 52 イージングローラ、53 揺動腕、
60 検出片、 67,68 検出器、A揺動限界、
a 経糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 41/00 D03D 49/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の経糸を巻付けた複数のビームを支
    持体に環状に並設し、各ビームに対応して、イージング
    ローラを経糸移送方向に揺動自在に支持し、各ビームに
    対応してブレーキ装置を取付けたブレーキ軸を夫々支持
    体に回転自在に設けると共に隣り合うブレーキ軸を互い
    に連絡し、各ビームから引き出した経糸をイージングロ
    ーラを介して製織部へ供給するに際し、経糸張力による
    イージングローラの揺動で、前記ブレーキ装置を制御し
    て経糸を消極送り出しする多軸織機の経糸送り出し装置
    において、各イージングローラと対応して、経糸張力が
    限界高張力となったときの各イージングローラの揺動限
    界を検知する検出器を設け、各ブレーキ軸と、対応する
    ビームとを差動歯車装置を介して連結すると共に、この
    差動歯車装置に前記検出器の検知信号でブレーキ軸の回
    転と無関係にビームを経糸送り出し方向へ回転させる送
    り出しモータを連結したことを特徴とする多軸織機の経
    糸送り出し装置。
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