JP3273789B2 - 粉末冶金用の鉄粉および混合粉ならびに鉄粉の製造方法 - Google Patents

粉末冶金用の鉄粉および混合粉ならびに鉄粉の製造方法

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博之 石川
武雄 大村
義昭 前田
稔 新田
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Description

【発明の詳細な説明】
技術分野 粉末冶金用に使用されている鉄粉は、純鉄粉系と合金
鋼粉系の2種類に大別される。 この発明は、前者の純鉄粉系の粉末冶金用鉄粉および
混合粉ならびにかかる鉄粉の製造方法に関するものであ
る。 背景技術 粉末冶金用鉄粉の用途は、鉄粉に、Cu粉や黒鉛粉など
を添加混合したのち、金型中で圧粉成形し、ついで焼結
後、必要に応じて寸法矯正のためのサイジングを行い、
通常5.0〜7.2g/cm3の密度を有する焼結部品を製造する
ことにある。 しかしながら、鉄粉に、Cu粉や黒鉛粉などを添加して
製造された焼結体は、その強度が高いことから、寸法矯
正のためのサイジングを行っても焼結体のスプリングバ
ッグのために、十分満足がいく程の寸法矯正はできない
という欠点があった。 このため、とくにサイジングによらなくても所望の寸
法精度を確保する方法として、たとえば特公昭56−1230
4号公報には、原料粉末の粒度分布を改善することによ
って寸法変化の精度を高める技術が、また特開平3−14
2342号公報には、粉末の形状から焼結時の寸法変化を予
測して所定の寸法に制御する技術が提案されている。 しかしながら、粉末冶金用鉄粉は、粉末製造から成形
までの過程で、Cu粉や黒鉛粉その他潤滑剤等を添加した
り、特性均一化のために混合したり、さらには容器入替
えのために移送したりするが、これらの各工程で粒度分
布や形状などの性状は変化し易く、また添加したCu粉や
黒鉛粉の偏析に起因した成分の位置による変動も生じる
ため、必ずしも十分に満足いく程の寸法精度を得ること
はできなかったのである。 発明の開示 この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、圧
縮性を損なうことなしに、焼結時における寸法変化の精
度を高める(具体的には圧粉密度:6.90g/cm3前後、寸法
変化のバラツキ幅:0.10%以内好ましくは0.06%以内)
ことにより、緻密で高精度の焼結体を得ることができる
粉末冶金用の鉄粉および混合粉を、かかる鉄粉の有利な
製造方法と共に提案することを目的とする。 さて発明者らは、上記の目的を達成すべく、鉄粉の組
成や添加物の配合割合につき、鋭意研究を重ねた結果、 (1)焼結体の寸法の変化割合は鉄粉中に添加する黒鉛
の量や粒度と強い相関がある、 (2)黒鉛の量や粒度が変化しても、鉄粉表面に特定元
素の酸化物が一定量以上存在していれば、寸法変化割合
のバラツキ幅すなわち寸法変化の変動幅は減少する、 (3)上記した酸化物量のバラツキ幅が小さいほど、寸
法変化のの変動幅も小さい ことの知見を得た。 この発明は、上記の知見に立脚するものである。 すなわち、この発明の要旨構成は次のとおりである。 1.1000℃における酸化物標準生成自由エネルギーの値が
−120kcal/モルO2より小さい元素のうちから選んだ少な
くとも一種:0.008〜0.5wt%、酸素:0.30wt%以下を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、該元素の
20%以上が酸化物となっていることを特徴とする粉末冶
金用の鉄粉。 2.1000℃における酸化物標準生成自由エネルギーの値が
−120kcal/モルO2より小さい元素のうちから選んだ少な
くとも一種:0.008〜0.5wt%、酸素:0.30wt%以下を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、該元素の
20%以上が酸化物で、かつその酸化割合のバラツキ幅が
50%以下であることを特徴とする粉末冶金用の鉄粉。 3.上記1または2において、1000℃における酸化物標準
生成自由エネルギーの値が−120kcal/モルO2より小さい
元素が、Cr,Mn,V,Si,Ti,Alのうちから選んだ一種または
二種以上である粉末冶金用の鉄粉。 4.純鉄粉に、黒鉛粉または黒鉛粉とCu粉を加えた混合粉
中に、1000℃における酸化物標準生成自由エネルギーの
値が−120kcal/モルO2より小さい元素の酸化物粉末であ
るCr2O3,MnO,SiO2,V2O3,TiO2,Al2O3のうちから選んだ一
種または二種以上を0.01〜0.20wt%の範囲で添加配合す
ることを特徴とする粉末冶金用の混合粉。 5.1000℃における酸化物標準生成自由エネルギーの値が
−120kcal/モルO2より小さい元素のうちから選んだ少な
くとも一種:0.008〜0.5wt%を含有し、残部はFeおよび
不可避的不純物の組成になる鉄粉を、酸素濃度が2.5〜1
5.0vol%の窒素雰囲気中にて100〜200℃の温度で酸化処
理した後、800〜1000℃の還元雰囲気中にて酸化Feの選
択還元処理を行うことを特徴とする粉末冶金用の鉄粉の
製造方法。 6.上記5において、鉄粉の酸化処理を該粉体の撹拌下に
行うことを特徴とする粉末冶金用の鉄粉の製造方法。 以下、この発明を由来するに至った実験結果に基づ
き、この発明を具体的に説明する。 さて、発明者らは、数多くの実験結果を総合的に検討
したところ、焼結体の寸法の変化割合は添加黒鉛の量や
粒度と強い相関があり、特に黒鉛量が多くなるほど、寸
法の変化割合のバラツキ幅(寸法変化の変動幅)も大き
くなる傾向にあることが認められた。 とはいえ、ものによっては、黒鉛の添加量が多いにも
かかわらず、寸法変化の変動幅が小さいものも散見され
た。 そこで、この原因について調査した結果、黒鉛の添加
量が多い場合であっても、寸法変化の変動幅が小さかっ
たものは、鉄粉の表面に比較的多量の酸化物が存在して
いることが判明した。 しかしながら、鉄粉の表面に酸化物が存在していれ
ば、必ず寸法変化の変動幅が小さくなるわけではなかっ
た。 そこで次に、寸法変化の変動幅を小さく抑制できた各
酸化物の共通点について考察した。その結果、1000℃に
おける酸化物標準生成自由エネルギーの値が−120kcal/
モルO2より小さい元素であれば、いずれも良好な結果が
得られることが究明されたのである。 表1に、各種元素の1000℃における酸化物標準生成自
由エネルギーと得られた酸化物組成、および各酸化物を
鉄粉表面に形成したとき(酸化物量:0.1〜0.2wt%)の
寸法変化精度の良否を示す。 表1より明らかなように、1000℃における酸化物標準
生成自由エネルギーの値が−120kcal/モルO2より小さい
元素の酸化物であれば、いずれも良好な寸法変化精度が
得られたのである。 上記のような酸化物を鉄粉表面に存在させることによ
って、寸法変化精度が改善される理由についてはまだ明
確に解明されたわけではないが、次のとおりと考えられ
る。 すなわち、鉄粉表面に上掲したような酸化物がある程
度存在すると、焼結の際に添加黒鉛から鉄粉粒子中への
C(炭素)の拡散が抑えられるため、添加黒鉛の量や粒
度が変化しても鉄粉中へ侵入、拡散するC量はほぼ一定
に保持され、その結果、いわゆるCu膨張量も安定するこ
とから、最終的な寸法変化の変動幅は添加黒鉛量の変動
幅に対して小さく抑制されることになる。 上に述べた状況を、図解すると図1に示すとおりであ
る。 すなわち、表面に酸化物が存在しない従来の鉄粉を用
いた場合は、図中に曲線で示すようにC量の変動に伴
って寸法変化量は大きく変動するのに対し、鉄粉の表面
に酸化物を適量存在させた場合には、曲線で示すよう
に、曲線の傾きが小さくなるので、C量が変化したとし
ても、寸法の変化量はさほど変動しないのである。 ここに、上記したように添加黒鉛量が変動した場合で
あっても、寸法の変化割合を効果的に低減するために
は、鉄粉中に、1000℃における酸化物標準生成自由エネ
ルギーの値が−120kcal/モルO2より小さい元素(以下、
単に適正元素という)を0.008〜0.5wt%の範囲で含有さ
せ、かつその20wt%以上を酸化物とする必要がある。 というのは、各適正元素の含有量が0.008wt%に満た
ないと、添加黒鉛の変動幅に対する焼結体の寸法変化の
変動幅を減少することができず、一方0.5wt%を超える
と成形時における圧粉性が急激に低下するからであり、
また、酸化物の割合が20wt%未満では、図1に示したよ
うに、黒鉛量−寸法変化量曲線の傾きが依然として大き
いため、添加黒鉛の変動幅に対する焼結体の寸法変化の
変動幅を減少することができないからである。 ここに、適正元素としては、Cr,Mn,V,Si,TiおよびAl
が有利に適合し、これらの単独添加または複合添加いず
れの場合においても0.008〜0.5wt%の範囲であれば、同
等の効果を得ることができる。なお、各元素の単独添加
の場合における好適範囲はそれぞれ次のとおりである。 Cr:0.05〜0.5wt%,Mn:0.01〜0.3wt%, V :0.008〜0.5wt%,Si:0.008〜0.5wt%, Ti:0.008〜0.5wt%,Al:0.008〜0.5wt%。 また、酸化物は、鉄粉の表面近傍(表面から約10μm
程度)および粒内に分散して存在していることがEPMAに
よって観察されている。この発明の効果は、酸化物の割
合が20wt%以上であれば所望の効果が得られることが確
認されているが、存在位置が表面近傍に偏在する方がそ
の効果は大きい。 また、鉄粉中の酸素濃度は0.30wt%以下に抑制するこ
とが重要である。というのは、酸素が0.30wt%を超えて
多量に含有されると、圧粉成形時における圧縮性が低下
し、製品強度の劣化を招くからである。 さて、上述したとおり、鉄粉中に所定量の適正元素を
含有させ、その20wt%以上を酸化物としておけば、焼結
体の寸法変化の変動幅を従来に比べて大幅に減少するこ
とができるのであるが、発明者らのさらなる研究によ
り、焼結体の寸法変化精度の一層の向上のためには、適
正元素の酸化割合のバラツキ幅を50%以下(好ましくは
30%以下)に低減することが有効であることが究明され
た。 すなわち、図2に示すとおり、焼結体の寸法変化量は
適正元素の酸化割合に応じて変動する。この傾向は酸化
割合が少ない場合ほど著しく、例えばSiO2の場合には酸
化割合:20%を境として、含有量がそれ以下の場合には
寸法変動幅はかなり大きくなる。従って、酸化割合のバ
ラツキ幅が大きければ(特に酸化割合が少ない場合)、
それに伴って寸法変化のバラツキ幅も大きくなる。しか
しながら、逆に、酸化割合のバラツキ幅が小さければ、
寸法変化の変動幅も効果的に軽減されることになるわけ
である。 表2に、鉄粉中に適正元素としてSiを種々の範囲で含
有させ、この含有Siの酸化割合のバラツキ範囲を種々に
変化させた時の焼結体の寸法変化の変動幅および圧粉密
度について調べた結果を示す。 同表より明らかなように、1000℃における酸化物標準
生成自由エネルギーの値が−120kcal/モルO2より小さい
元素の一つであるSiを適正範囲で含有し、しかもその酸
化割合を20wt%以上とした記号C〜Iの鉄粉を用いた場
合はいずれも、焼結体の寸法変化の変動幅が0.10%以下
という極めて良好な寸法変化精度を得ることができた。
また、特に、酸化割合のバラツキ幅を50%以下に抑制し
た場合(記号C〜F、H)には、焼結体の寸法変化の変
動幅(バラツキ幅)が0.06%以下という一層優れた寸法
変化精度が得られている。 なお、上記の実験に用いた材料はいずれも、露点:10
〜60℃の還元雰囲気で還元した水アトマイズ鉄粉に、Cu
粉:2wt%、黒鉛粉:0.8wt%、潤滑剤としてのステアリン
酸亜鉛:1wt%を添加混合したのち、密度が6.9g/cm3とな
るように圧粉成形し、ついでCO2含有量が0.3%のRXガス
中で1130℃,20分の焼結を行ったものである。寸法変化
のバラツキは、外径:60mm、内径:25mm,高さ:10mmのリン
グ状試験片100個について、その外径の圧粉体基準の焼
結時の寸法変化の変動幅で評価した。また、圧粉密度
は、同一の鉄粉にステアリン酸亜鉛を1wt%添加混合
し、成形圧力:5t/cm2で成形したときのものである。 次に、上記したこの発明に従う鉄粉の好適製造方法に
ついて説明する。 まず、鉄粉の製造方法については特に限定されること
はなく、水アトマイズ法や還元法など従来公知の方法い
ずれもが適合する。とはいえ、能率良く所望粒径の鉄粉
とするには、水アトマイズ法がとりわけ有利に適合し、
ここに鉄粉の好適平均粒径は、50〜100μm程度であ
る。 ついで、鉄粉に、適度の酸化雰囲気で酸化処理を施し
て、含有させた適正元素の少なくとも20wt%を酸化物と
する必要があるが、そのためには、酸素濃度が2.5〜15.
0vol%の窒素雰囲気中にて、100〜200℃の温度で酸化処
理を施すことが肝要である。 というのは、雰囲気中の酸素濃度が2.5vol%に満たな
いと20wt%以上の酸化物を確保することが難しく、一方
15.0vol%を超えると、後述する還元処理によっても鉄
粉中の酸素含有量を0.30wt%以下にすることができず、
圧縮性の低下を招くからである。ここに、雰囲気の主成
分を窒素としたのは、雰囲気中の酸素濃度の制御が容易
なだけでなく、水素等のように爆発の危険性がなく、ま
たAr等の不活性ガスに比べてはるかに経済的だからであ
る。 なお、上記の酸化処理によって、酸化物の酸化割合の
バラツキ幅を50%以下に抑制するには、該酸化処理を粉
体の撹拌下に行えば良く、かかる撹拌装置としてはロー
タリーキルンや撹拌乾燥機が有利に適合する。 さて、上述したような酸化処理によって、適正元素の
20%以上は酸化物となるわけであるが、この処理によ
り、鉄自体も酸化を受けて酸化鉄となる。ここに、かか
る酸化鉄は、圧縮性を劣化させる不利があるので、還元
する必要がある。 そこで、この発明法では、上記の酸化処理後に800〜1
000℃の還元雰囲気中で還元処理を施して、酸化Feのみ
を選択的に還元するのである。この酸化Feの選択還元処
理において、処理温度を800〜1000℃の範囲に限定した
のは、処理温度が800℃に満たないと鉄粉の酸素含有量
を0.30wt%以下まで低減するのが難しく、一方1000℃を
超えると適正元素の酸化物まで還元されて、20wt%以上
の適正量を確保することが困難となるからである。なお
処理時間は、20〜60分程度で十分である。 以上、鉄粉自体を改質することによって、焼結体の寸
法変化精度を高める技術について説明したが、この技術
を応用すれば通常の鉄粉を使用する場合であっても、同
様にして焼結体の寸法変化精度を向上させることができ
る。 すなわち、今まで述べてきた技術は、鉄粉中に所定の
適正元素を含有させ、その一部を酸化物とするものであ
ったが、焼結体の原料粉末としては、通常の鉄粉に、上
記適正元素の酸化物粉末を所定量混合するようにして
も、効果の面での差異はほとんどないからである。 上記した適正元素の酸化物粉末としては、Cr2O3,MnO,
SiO2,V2O3,TiO2およびAl2O3等がとりわけ有利に適合
し、かかる酸化物のうちから選んだ1種または2種以上
を0.01〜0.20wt%の範囲で添加配合することによって、
鉄粉自体を改質した場合と同等の効果を得ることができ
る。 ここに、上記した酸化物粉末の添加量を0.01〜0.20wt
%の範囲に限定した理由は、添加量が0.01wt%に満たな
いと、焼結体の寸法変化の変動幅が依然として大きく、
一方0.20wt%を超えると圧粉密度ひいては焼結体強度が
急激に低下するからである。 なおかような混合粉の場合には、混合の不均一に基づ
く酸化物粉末の偏析に起因した精度の劣化が懸念される
が、この点については、鉄粉自体における酸化割合のバ
ラツキと同じであり、多少の偏析が生じたとしても、鉄
粉自体おける酸化割合のバラツキ幅の上限値である50%
を超えるような偏析は生じないので、実質的な問題はな
い。 それどころか、この混合粉では、酸化物の割合を厳密
に制御できるので、均一な混合さえ満足されれば、より
一層高精度に寸法変動幅を制御することができ、ひいて
は、ある程度の範囲であれば、焼結部材の寸法変化量を
自在に調整することもできる。 表3に、酸化物粉末としてAl2O3粉末を種々の範囲で
添加したときの、圧粉密度、焼結体の寸法変化割合およ
び焼結体の抗折力について調べた結果を示す。 なお実験は、水アトマイズ鉄粉に、Cu粉:1.5wt%、黒
鉛粉:0.9wt%、固体潤滑剤(ステアリン酸亜鉛):1wt%
と、微細アルミナ粉末:0.01〜0.25wt%を添加混合した
後、圧粉密度:7.0g/cm3で長さ:35mm、幅:10mm,高さ:5mm
に成形し、ついでフロパン変成ガス中にて1130℃,20分
間の焼結を行い、得られた焼結体100個の焼結前後にお
ける長さ方向の寸法変化を調べで評価したものである。 また圧粉密度は、同一の鉄粉にステアリン酸亜鉛を1w
t%添加混合し、成形圧力:5t/cm2で成形したときのもの
である。 焼結体の寸法変化量は圧粉体の寸法を基準とした。 同表より明らかなように、微細Al2O3粉末の添加量の
増大に伴って寸法変化は膨張傾向となり、0.1wt%添加
した場合には無添加の場合に比較して約0.14%膨張し
た。またこの時、寸法変化の変動(バラツキ)ほとんど
なかった。 このように、Al2O3粉末の添加量が0.01〜0.20wt%の
範囲であれば、焼結体の強度を低下させることなしに、
その寸法変化量をAl2O3粉末の添加量に応じた所定の量
だけ正確に変化させることができる。 従って、このような混合粉では、酸化物粉末の添加量
を適宜調整してやれば、焼結体の寸法を随意に調整する
ことができ、例えば一つの成形金型から寸法の異なる複
数種の焼結体を製造することも可能となるのである。 図面の簡単な説明 図1は、添加黒鉛量と焼結体の寸法変化量との関係を
示すグラフ、 図2は、酸化物割合と焼結体の寸法変化量との関係を
示すグラフである 発明を実施するための最良の形態 実施例1 水アトマイズ法により、表4−1〜表4−3に示す種
々の組成になる鉄粉(平均粒径:50〜100μm)を製造し
たのち、表5に示す条件下で酸化処理ついてで還元処理
を施した。 ついで得られた鉄粉に、Cu粉:2.0wt%、黒鉛粉:0.8wt
%、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛:1.0wt%を添加混
合したのち、成形圧力:5.0t/cm2で圧粉成形し、ついで
プロパン変成ガス中にて1130℃,20分の焼結を行った。 還元処理後における添加元素の酸化割合、酸化割合の
バラツキ幅および圧粉密度ならびに得られた焼結体の寸
法変化の変動幅および引張強さについて調べた結果を表
4−1〜表4−3に併記する。 なお、寸法変化の変動幅は、外径:60mm、内径:25mm,
高さ:10mmのリング状試験片100個について、その外径の
圧粉体基準の焼結時の寸法変化のバラツキ幅で評価し
た。また、圧粉密度は、同一の鉄粉にステアリン酸亜鉛
を1wt%添加混合し、成形圧力:5t/cm2で成形したときの
ものである。 表4に示したとおり、適正元素を所定の範囲で含有
し、かつこの発明に従って酸化処理および還元処理法を
施して得た鉄粉はいずれも、各添加元素の20%以上が酸
化物となり、かかる鉄粉を用いて焼結体を製造した場合
は、焼結体の寸法変化の変動幅は0.1%以下と従来に比
べて格段に低減しており、また圧縮密度および引張強度
についてもそれぞれ、6.9kg/mm3程度、40kg/mm2程度と
優れた特性値が得られている。とくに、酸化処理時に撹
拌を与えた場合(適合例4〜5,9〜10,14〜15,19〜20,24
〜25,29〜30)には、添加元素の酸化割合のバラツキ幅
が50%以下に抑制され、その結果、寸法変化の変動幅が
0.05%以下と一層優れた寸法変化精度が得られている。 これに対し、酸化処理時の雰囲気酸素濃度が1%であ
った比較例1,4,7では、各添加元素の酸化割合が10%未
満となり、また、還元時の温度が1000℃を超える比較例
10,13,16についても各添加元素の酸化割合が20%未満と
なっていて、いずれも良好な寸法変化精度は得られなか
った。さらに、添加元素量が下限に満たない比較例2,5,
8,11,14,17は、製造条件は適正であっても、寸法変化の
変動幅は0.20%程度と大きく、また添加元素量が過多の
比較例3,6,9,12,15,18では急激な圧縮性の低下ならびに
それに伴う焼結体強度の低下が見られた。 なお、酸化処理時の雰囲気酸素濃度が15%を超えた
り、また酸化処理温度が200℃を超えると、処理後に酸
素が多くなり過ぎて、還元に時間がかかってしまう。ま
た、同様に還元時の温度が800℃未満では還元に時間が
かかってしまう不利がある。 実施例2 水アトマイズ法により、表6に示す種々の組成になる
鉄粉(平均粒径:50〜100μm)を製造したのち、表7に
示す条件下で酸化処理ついで還元処理を施した。 ついで、実施例1と同様にして圧粉体および焼結体を
作製した。 還元処理後における添加元素の酸化割合、酸化割合の
バラツキ幅および圧粉密度ならびに得られた焼結体の寸
法変化の変動幅および引張強さについて調べた結果を表
6に併記する。
【表6】 表6に示したとおり、種々の適正元素を複合添加した
場合であっても、それらの添加量が適正で、かつこの発
明に従って酸化処理および還元処理法を施して得た鉄粉
はいずれも、各添加元素の20%以上が酸化物となり、か
かる鉄粉を用いて焼結体を製造した場合は、焼結体の寸
法変化の変動幅は0.1%以下と小さく、また圧縮密度お
よび引張強度についてもそれぞれ、6.9kg/mm3程度、40k
g/mm2程度と優れた特性値が得られている。 とくに、酸化処理時に撹拌を与えた場合(適合例32〜
33,37,39)には、添加元素の酸化割合のバラツキ幅が50
%以下に抑制され、その結果、寸法変化の変動幅が0.03
%と極めて優れた寸法変化精度が得られている。 実施例3 鉄粉(純度:99.9%,粒径:80μm)に、表8に示す各
種の酸化物を種々の範囲で添加配合すると共に、Cu粉:
2.0wt%、黒鉛粉:0.8wt%、潤滑剤としてのステアリン
酸亜鉛:1.0wt%を添加混合したのち、成形圧力:5t/cm2
で圧粉成形し、ついでプロパン変成ガス中にて1130℃,2
0分の焼結を行った。 得られた焼結体の寸法変化の変動幅および引張強さな
らびに圧粉体の圧粉密度について調べた結果を表8に併
記する。 なお、寸法変化の変動幅は、外径:60mm、内径:25mm,
高さ:10mmのリング状試験片100個について、その外径の
圧粉体基準の焼結時の寸法変化のバラツキ幅で評価し
た。また、圧粉密度は、同一の鉄粉にステアリン酸亜鉛
を1wt%添加混合し、成形圧力:5t/cm2で成形したときの
ものである。 表8に示したとおり、適正元素を所定の範囲で添加配
合したこの発明に従う混合粉を用いて焼結体を製造した
場合は、焼結体の寸法変化の変動幅は0.05%以下と従来
に比べて格段に低減しており、また圧縮密度および引張
強度についてもそれぞれ、6.9kg/mm3程度、40kg/mm2
度と優れた特性値が得られた。 これに対し、酸化物粉末の添加量が発明範囲を超える
比較例2,4,6,8,10,12では、急激な圧縮性の低下とそれ
に伴う焼結体強度の低下が見られた。また、酸化物粉末
の添加量が適正量に満たない比較例1,3,5,7,9,11は、寸
法変化の変動幅は0.2%程度と大きな値しか得られなか
った。 また、1000℃における酸化物の標準生成自由エネルギ
ーの値が−120kcal/モルO2より大きなCu2O,NiO粉末を用
いた比較例13,14では寸法変化の変動幅は小さくなって
いない。 実施例4 表9に、用いた鉄粉の化学組成を示す。これらの鉄粉
は、溶鋼を水アトマイズして得た生粉を、3vol%の酸素
を含む窒素雰囲気中にて140℃,60分の酸化処理を施した
後、750〜1050℃の水素を含む雰囲気中で20分間還元
し、ついで粉砕分級して得たものである。 酸化物となっているCr,Mnの分析方法は、沃素メチル
溶解法により介在物として抽出し、すべてCr2O3,MnOの
形で存在するとして算出した。 これらの粉末を用いて焼結体を製造した場合におけ
る、焼結体の寸法変化の変動幅および引張強さならびに
還元処理後における添加元素の酸化割合および圧粉体の
圧粉密度について調べた結果を表10に示す。 焼結体の寸法変化は、黒鉛粉と銅粉とを混合して、Fe
−2.0%Cu−0.8%黒鉛(以下Grと示す)とFe−2.0%Cu
−1.0%Grの2水準についてこれらの差を求め、黒鉛量
の影響を調査した。両者の差は各20本の試料につき測定
した。このときの、試料形状は、外径:60mm、内径:25m
m,高さ:10mmのリング状形状であり、圧粉密度:6.85g/cm
3で圧粉体とした後、1130℃の窒素雰囲気中で20分の焼
結を施して得たものである。 また、圧縮性は、各鉄粉にステアリン酸亜鉛を1wt%
添加した組成(Fe−1.0%ZnSt)において、成形圧力:5t
/cm2で11mmφ×10mmのタブレットを成形したときの圧粉
密度により評価した。 さらに強度は、各鉄粉に黒鉛粉と銅粉を混合したFe−
2.0%Cu−0.8%Gr組成の混合粉を、JSPM標準引張り試験
片(圧粉密度:6.85g/cm3)に成形し、窒素雰囲気中にて
1130℃で20分焼結したものの引張強さにより評価した。 表10から明らかなように、この発明の要件を備える各
適合例の鉄粉であれば、いずれも変動幅が0.12%以下の
寸法変化精度を示している。また適合例では、圧縮性
(5t/cm2成形時の圧粉密度で評価)や強度(引張強さで
評価)についても、いずれも良好な値を呈している。 これに対し、比較例1,2では含有Crのうち酸化してい
るCr量が20%以下なので、0.15%を超える変動幅とな
り、特性が低下していることが示されている。また比較
例3では、Cr,Mn含有量が0.006%と適正範囲下限以下で
あるため、添加黒鉛量の変動に対する焼結寸法変化の変
動幅が0.15%を超えている。比較例4では、Cr+Mn含有
量が0.5wt%を超えているため圧縮性が悪く強度も低
い。比較例5もCr+Mn含有量が0.5wt%を超え、また比
較例6も酸素含有量が0.3wt%超えたため、同様に圧縮
性が低下し、強度も低い。 実施例5 表11に、Cr含有量が0.05〜0.5wt%、Mn含有量が0.01
〜0.3wt%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の
組成になる水アトマイズ生鉄粉を、窒素雰囲気中の酸素
濃度を種々に変化させて酸化処理した後、純水素雰囲気
において930℃,20分間の還元処理を施したときの、雰囲
気中酸素量と酸化Crの割合との関係について調べた結果
を示す。 同表より明らかなように、窒素雰囲気中の酸素濃度が
この発明の範囲を満足する適合例はいずれも、仕上げ後
の鉄粉の酸素含有量は0.3wt%以下で、かつ全体のCrに
対するCrの酸化割合は20%以上であるのに対し、窒素雰
囲気中の酸素濃度がこの発明の下限に満たない比較例7
は、仕上げ焼鈍後の鉄粉の酸素含有量は0.3wt%以下で
あるが、酸化Crの比率は20%以下であり、また窒素雰囲
気中の酸素濃度がこの発明の上限を超える比較例8は、
仕上げ焼鈍後の鉄粉の酸素含有量が0.3wt%を超えてい
る。 実施例6 Siを表12に示す種々の範囲で含有する鉄粉にそれぞ
れ、Cu粉:1.5wt%、黒鉛粉:0.5wt%、潤滑剤であるステ
アリン酸亜鉛:1wt%を添加混合し、外径:60mm、内径:25
mm、高さ10mmのリング形状で、圧粉密度が6.9g/cm3とな
るように圧粉成形したのち、CO2含有量:0.3%のRXガス
中にて1130℃,20分の焼結を行った。 得られた焼結体の寸法変化の変動幅について調べた結
果を、鉄粉中のSi元素の酸化割合および酸化割合のバラ
ツキ幅の調査結果と共に表12に併記する。 寸法変化の変動幅については、試験片各100個につい
て、その外形の圧粉体基準の焼結時の寸法変化のバラツ
キ幅で評価した。 同表より明らかなように、この発明に従う適正量のSi
を含有しかつその20%以上が酸化物になっている適合例
では、良好な寸法変化精度が得られたが、比較例では焼
結体の寸法変化の変動幅が依然として大きい。 実施例7 実施例6と同様、Siを表13に示す種々の範囲で含有す
る鉄粉にそれぞれ、Cu粉:2.0wt%、黒鉛粉:0.8wt%、潤
滑剤であるステアリン酸亜鉛:1wt%を添加混合したの
ち、外径:60mm、内径:25mm、高さ10mmのリング形状で、
圧粉密度が6.9g/cm3となるように圧粉成形した100個の
試験片について、その外形の圧粉体基準の焼結寸法変化
量を求め、その変動幅について調査した。なお焼結は、
AXガス中にて1130℃,20分行った。 得られた焼結体の寸法変化の変動幅について調べた結
果を、鉄粉中のSi元素の酸化割合および酸化割合のバラ
ツキ幅の調査結果と共に表13に併記する。 同表より明らかなように、この発明に従う適正量のSi
を含有しかつその20%以上が酸化物になっている適合例
では、良好な寸法変化精度が得られたが、比較例では焼
結体の寸法変化の変動幅は依然として大きかった。 実施例8 SiおよびMnを種々の範囲で含有する溶鋼を水アトマイ
ズした生粉を、酸素濃度が種々に異なる窒素雰囲気中に
て140℃,60分間の酸化処理を施した後、純水素雰囲気中
にて930℃,20分間の還元処理を施して、表14に示す化学
組成、酸化物割合および酸化割合のバラツキ幅になる種
々の鉄粉(平均粒径:80μm)を作製した。 ついで、これらの粉末を用いて焼結体を製造した場合
における、焼結体の寸法変化の変動幅および圧粉体の圧
粉密度について調べた結果を表14に併記する。 焼結体の寸法変化の変動幅は、鉄粉に銅粉を1.5wt
%、黒鉛粉を0.5wt%、潤滑剤であるステアリン酸亜鉛
を1wt%添加混合した後、この混合粉末を用いて密度:6.
9g/cm3、外径60:mm、内径:25mm、高さ:10mmのリング状
試験片を各々100個作り、CO2含有量が0.3%のプロパン
変成ガス中で1130℃,20分間焼結して得た焼結体につい
て、その外形の圧粉体基準の焼結寸法変化量を求め、そ
のバラツキ幅で評価した。 また圧粉密度は、これらの鉄粉に潤滑剤であるステア
リン酸亜鉛を1wt%添加混合し、5t/cm3の圧力で成形し
たときの密度である。 なおSi含有量のうち、酸化物となっているSiの割合の
バラツキ幅は、縮分した鉄粉中の総Si量とSiO2量を10回
分析し、おのおのの割合のバラツキ幅から求めた。 同表から明らかなように、適正量のSi,Mnを含有し、
しかも酸化物となっているSi,Mnの割合が20%以上でか
つそのバラツキ幅が50%以下である適合例1〜7はいず
れも、従来のサイジングによる寸法変化矯正後の寸法精
度の代表的な下限値を下回る0.06%以下という優れた寸
法変化精度が得られている。また、圧縮性も極めて良好
である。 これに対し、成分組成や酸化物となっているSi+Mn量
の割合さらには雰囲気中の酸素濃度が、この発明の適正
範囲を満足しない比較例はいずれも、焼結体の寸法変化
精度もしくは圧縮性の点で満足いく成績が得られなかっ
た。 実施例9 SiおよびMnを種々の範囲で含有する溶鋼を水アトマイ
ズした生粉を、酸素濃度が種々に異なる窒素雰囲気中に
て140℃,60分間の酸化処理を施した後、純水素雰囲気中
にて930℃,20分間の還元処理を施して、表15に示す化学
組成、酸化物割合および酸化割合のバラツキ幅になる種
々の鉄粉(平均粒径:70μm)を作製した。 ついで、これらの粉末を用いて焼結体を製造した場合
における、焼結体の寸法変化の変動幅および圧環強度に
ついて調べた結果を表15に併記する。 鉄粉粒子表面のSi酸化物の状態はオージェ分析で観察
した。 焼結体の寸法変化の変動幅は、純鉄粉に、平均粒径が
34μmおよび6μmの2種類の黒鉛を0.8wt%添加混合
した後、この混合粉末を用いて、それぞれ外径:60mm、
内径:25mm、高さ:10mmで、圧粉密度が6.80g/cm3のFe−
2%Cu−0.8%黒鉛組成のリング状試験片を作り、CO2
有量0.3%のプロパン変成ガス雰囲気中で1130℃、20分
間焼結した時の焼結体の焼結前後の寸法変化量から求め
た。 また、焼結体の圧環強度は、組成および圧粉密度が同
じ外径:38mm、内径:25mm、高さ:10mmのリング状試験片
を、CO2含有量0.3%のプロパン変成ガス中で1130℃,20
分間焼結したものについて求めた。 同表から明らかなように、この発明に従う鉄粉を用い
た場合(適合例1〜5)には、寸法変化の変動幅は0.1
%以下になっており、とくにSi酸化物が鉄粉粒子表面で
島状に分布している場合(適合例1〜4)には、、添加
黒鉛粉の平均粒径が34μm,6μmと大きく異なっていて
も、焼結体の寸法変化の変動幅は0.06%以下と極めて低
く、また圧環強度も700N/mm2以上の高い値が得られた。 これに対し、成分組成や酸化物となっているSi量の割
合が、この発明の適正範囲を満足しない比較例はいずれ
も、以下述べるとおり、良好な焼結体寸法変化精度は得
られなかった。 すなわち、比較例1,2では、Si+Mn含有量が0.50%以
上と規定上限値を上回ったため、圧環強さが700N/mm2
下回った。 比較例3では、水噴霧生粉の乾燥のさいの雰囲気中の
酸素濃度が2.0vol%と規定値を下回ったため、寸法変化
の変動が大きかった。 比較例4,5はそれぞれ、O含有量が0.34wt%、またSi
含有量が0.62wt%と規定上限値を上回ったために、700N
/mm2を下回る圧環強度しか得られなかった。 実施例10 水アトマイズ鉄粉(平均粒径:70μm)に、表16に示
す種々の酸化物粉末(平均粒径:5μm)を0.3wt%以下
の範囲で添加すると共に、電解銅粉(平均粒径:44μm
以下):1.5wt%、黒鉛粉(平均粒径:10μm以下):0.9w
t%および固体潤滑剤:1wt%を併せて添加混合し、これ
を圧粉密度:7.0g/cm3で長さ:35mm、幅:10mm、高さ:5mm
の抗折試験片に成形後、プロパン変成ガス中にて1130℃
の温度で20分間焼結した。 得られた焼結体の焼結前後における長さ方向の寸法変
化の変動幅および抗折力について調べた結果を表16に併
記する。 同表より明らかなように、これらの酸化物を適量添加
配合した適合例はいずれも、焼結体の寸法変化量は一定
していて、そのバラツキは極めて小さい。また、抗折力
も0.1wt%まではほぼ一定の値であった。 これに対し、1000℃での酸化物標準生成自由エネルギ
ーの値が−120kcal/モルO2より小さいCu2O粉末やNiO粉
末(平均粒径:5μm)を用いた場合、Cu2Oは添加量の増
加とともに寸法は膨張傾向にあり、またNiOは収縮傾向
であったが、いずれにしてもその寸法変化の変動幅は、
無変化の場合と大差なかった。 また、添加量範囲が0.01wt%未満のものは寸法変化調
整量が小さく、一方0.20wt%を超えるものは圧粉密度、
焼結体抗折力が急激に低下した。 産業上の利用可能性 この発明に従う粉末冶金用鉄粉および混合粉は、Cu、
黒鉛添加で焼結する際に、従来の粉末冶金用鉄粉に比
べ、黒鉛添加量および粒度の如何にかかわらず、焼結体
の寸法変化の変動幅を格段に低減して、従来のサイジン
グ工程後と同等以上の優れた寸法変化精度を得ることが
でき、また、安定した焼結体圧環強度も併せて得られる
ので、サイジングを加える必要なしに、高強度の焼結部
品の設計、製造が容易に実現できる。 特に混合粉では、酸化物の割合を厳密に制御できるの
で、より高精度に寸法変動幅を制御することができ、さ
らには、酸化物の添加量を調節することにより、焼結部
材の寸法変化量を自在に調整することもできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 義昭 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 新田 稔 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 大坪 宏 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 吉井 裕 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭56−163238(JP,A) 特開 昭49−110512(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 1/00 B22F 9/22

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1000℃における酸化物標準生成自由エネル
    ギーの値が−120kcal/モルO2より小さい元素のうちから
    選んだ少なくとも一種:0.008〜0.5wt%、酸素:0.30wt%
    以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からな
    り、該元素の20%以上が酸化物となっていることを特徴
    とする粉末冶金用の鉄粉。
  2. 【請求項2】1000℃における酸化物標準生成自由エネル
    ギーの値が−120kcal/モルO2より小さい元素のうちから
    選んだ少なくとも一種:0.008〜0.5wt%、酸素:0.30wt%
    以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からな
    り、該元素の20%以上が酸化物で、かつその酸化割合の
    バラツキ幅が50%以下であることを特徴とする粉末冶金
    用の鉄粉。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、1000℃におけ
    る酸化物標準生成自由エネルギーの値が−120kcal/モル
    O2より小さい元素が、Cr,Mn,V,Si,Ti,Alのうちから選ん
    だ一種または二種以上である粉末冶金用の鉄粉。
  4. 【請求項4】純鉄粉に、黒鉛粉または黒鉛粉とCu粉を加
    えた混合粉中に、1000℃における酸化物標準生成自由エ
    ネルギーの値が−120kcal/モルO2より小さい元素の酸化
    物粉末であるCr2O3,MnO,SiO2,V2O3,TiO2,Al2O3のうちか
    ら選んだ一種または二種以上を0.01〜0.20wt%の範囲で
    添加配合することを特徴とする粉末冶金用の混合粉。
  5. 【請求項5】1000℃における酸化物標準生成自由エネル
    ギーの値が−120kcal/モルO2より小さい元素のうちから
    選んだ少なくとも一種:0.008〜0.5wt%を含有し、残部
    はFeおよび不可避的不純物の組成になる鉄粉を、酸素濃
    度が2.5〜15.0vol%の窒素雰囲気中にて100〜200℃の温
    度で酸化処理した後、800〜1000℃の還元雰囲気中にて
    酸化Feの選択還元処理を行うことを特徴とする粉末冶金
    用の鉄粉の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項5において、鉄粉の酸化処理を該粉
    体の撹拌下に行うことを特徴とする粉末冶金用の鉄粉の
    製造方法。
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