JP3957331B2 - 粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法 - Google Patents

粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3957331B2
JP3957331B2 JP10391894A JP10391894A JP3957331B2 JP 3957331 B2 JP3957331 B2 JP 3957331B2 JP 10391894 A JP10391894 A JP 10391894A JP 10391894 A JP10391894 A JP 10391894A JP 3957331 B2 JP3957331 B2 JP 3957331B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
powder
iron powder
particles
particle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP10391894A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07157803A (ja
Inventor
博之 石川
邦明 小倉
稔 新田
和男 樋口
来世志 牧野
義昭 前田
宏一 駒村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP10391894A priority Critical patent/JP3957331B2/ja
Publication of JPH07157803A publication Critical patent/JPH07157803A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3957331B2 publication Critical patent/JP3957331B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水を用いた噴霧法により製造されるいわゆる水アトマイズ粉末冶金用鉄粉の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に水アトマイズ鉄粉の製造工程は、所望の組成を得るべく調整された溶鋼を高圧の水で噴霧するアトマイズ工程、アトマイズ工程による急冷組織を焼鈍軟化し、粒子表面の酸化被膜を還元除去する焼鈍軟化・還元工程、当該焼鈍軟化・還元工程により凝集した粉末を解砕粉化する解砕工程よりなり、この製造工程を守る限り、コストダウンに限界がある。
【0003】
この鉄粉を用いて焼結部品を製造する場合には、さらに鉄粉に潤滑剤や添加合金成分粉末を加えて加圧成形する工程、成形体を高温中で焼結する工程、さらに寸法を調整するサイジング工程からなっており、全体としての工程はさらに長くなる。
これらの工程において、コストダウンを図ることが、たとえば自動車部品の製造コスト削減のために必要であり、そのための多くの努力が図られてきている。
【0004】
しかしながら根本的なコストダウンを図るには、工程を基本的に省略することが必要となる。とくに焼鈍軟化・還元工程を省略することは、工程の短縮、設備費、労務費および諸用役費の低減などコストダウン効果が大きい。しかし、焼鈍軟化・還元工程を省略すると、水アトマイズ・乾燥のままでは、通常、急冷組織により鉄粉が硬く成形しがたくなり、また、焼結素材たる鉄粉中に相当量の酸素を持ち込んで焼結部品、焼結製品の特性を損ない、一般に酸素は焼結部品にとって有害と考えられているのでこの工程省略は行われていなかった。
【0005】
たとえば、特開昭51-20760号公報には、溶鋼の溶製に転炉や真空脱炭装置を用いた鉄粉製造方法が開示されているが、水アトマイズ・乾燥後に粉末の焼鈍・還元工程を含んでいる。
また特公昭56-45963号公報には、焼鈍・還元工程を経たいわゆる仕上げ粉に、焼鈍・還元工程を経ないアトマイズ生鉄粉を混合することにより鉄粉の特性を改善する方法が開示されている。この発明においては、積極的に焼鈍・還元工程を経ないアトマイズ生鉄粉の使用を試みているものの、焼鈍・還元工程を経ないアトマイズ生鉄粉単味では所定の特性が得られていないことが示されている。
【0006】
また、特開昭63-157804 号公報には、噴霧水にアルコールなどを添加することにより、噴霧時の酸化と浸炭を極力抑え、アトマイズ鉄粉の製造工程の簡略化を試みているが、得られた鉄粉の酸素量は低いもののC 量は0.01% 以上を含み、水アトマイズによる冷却速度では容易に焼きが入るため、このままで金型成形できず、焼鈍軟化工程が不可欠である。
【0007】
一方、鉄粉を用いて焼結部品を製造する工程において、製造工程における寸法変化を一定、あるいは極力小さくすることが必要である。
とくにサイジングによらずに寸法精度を確保できれば工程省略に結びつき、コストダウンにつながるのでサイジング工程省略のための努力が行われている。
たとえば、特公昭56-12304号公報には、粉末粒度分布から寸法精度を高める技術が、特公平3-142342号公報には粉末の形状から焼結時の寸法変化を予測制御する技術などが開示・提案されている。
【0008】
しかし、粉末冶金用鉄粉は、Cu粉、黒鉛粉の他潤滑剤などの添加が行われるが、容器入替えのための移送操作、あるいは輸送などにより、添加したCu粉、黒鉛粉が偏析し、成分のばらつきが発生しやすい。このため、これらの要因に起因して焼結時の寸法変化は変動しやすく、変動を修正するために後処理としてのサイジング工程が不可欠であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、第1に、このような従来技術の欠点に鑑み、鉄粉の製造工程を省略し、安価な粉末冶金用水アトマイズ鉄粉を供給する技術を提供することにある。本発明の第2の目的は、圧縮性を確保しながら鉄粉製造のコストダウンを図ることにある。また、第3の目的は、原料粉末製造コストを引き下げるとともに、焼結時の寸法変化の安定した、とくに黒鉛含有量のばらつきに対して焼結後の寸法ばらつきの小さな粉末冶金用水アトマイズ鉄粉を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
発明は、粒子断面の硬さが Hv80 250 であり、かつ、粒子表面が、焼結雰囲気で還元可能な酸化物と、易酸化性元素すなわち鉄より酸化しやすい元素の 20% 以上が酸化されてなる焼結雰囲気で還元不可能な酸化物とで、覆われており、酸素含有量が 1.0 wt% 以下であり、かつ、粒子断面形状の周囲長の2乗を断面積と4πの積で除した値で表される粒子形状係数が 2.5 以下の粒子を個数で 10% 以上含む粒子径 75 106 μ m 未満の粒子を 10 30wt% 45 μ m 未満の粒子を 20wt% 以上含み、そのまま粉末冶金用に供される粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法であって、C:0.01wt% 以下、Mn:0.30wt%以下、Ni:0.30wt%以下、Cr:0.30wt%以下、P とS の合計:0.050wt% 以下を含有し、さらに、易酸化性元素として Si:0.01 0.1wt% Al:0.003 0.05wt% V:0.008 0.5wt% Ti:0.003 0.1wt% Zr:0.008 0.1wt% の1種または2種以上を総量で 0.003 0.5wt% 含有し、残部は鉄からなる溶鋼を圧力4 〜20MPa の水ジェットを用い、水と溶鋼の比を5〜 15 の範囲とし、噴霧雰囲気の酸素濃度を 5.0vol% 以下として噴霧後、乾燥を行ことを特徴とする粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法である。
【0014】
また、本発明は、粒子断面の硬さが Hv80 250 であり、かつ、粒子表面が、焼結雰囲気で還元可能な酸化物と、易酸化性元素すなわち鉄より酸化しやすい元素の 20% 以上が酸化されてなる焼結雰囲気で還元不可能な酸化物とで、覆われており、酸素含有量が 1.0 wt% 以下であり、かつ、粒子断面形状の周囲長の2乗を断面積と4πの積で除した値で表される粒子形状係数が 2.5 以下の粒子を個数で 10% 以上含む粒子径 75 106 μ m 未満の粒子を 10 30wt% 45 μ m 未満の粒子を 20wt% 以上含み、そのまま粉末冶金用に供される粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法であって、Mo:5.0wt% 以下、Nb:0.20wt%以下、およびC:0.01wt% 以下、Mn:0.30wt%以下、Ni:0.30wt%以下、Cr:0.30wt%以下、P とS の合計:0.050wt% 以下を含有し、さらに、易酸化性元素として Si:0.01 0.1wt% Al:0.003 0.05wt% V:0.008 0.5wt% Ti:0.003 0.1wt% Zr:0.008 0.1wt% の1種または2種以上を総量で 0.003 0.5wt% 含有し、残部は鉄からなる溶鋼を圧力4 〜20MPa の水ジェットを用い、水と溶鋼の比を5〜 15 の範囲とし、噴霧雰囲気の酸素濃度を 5.0vol% 以下として噴霧後、乾燥を行ことを特徴とする粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法である。
【0016】
また、上記の粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法において、前記乾燥を、非酸化性雰囲気またはH2雰囲気中または真空中に 100 〜300 ℃の温度で行う粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法である。
【0017】
【作用】
本発明は、従来の技術を検討し、一定条件下では軟化焼鈍・還元工程が必ずしも必要でないことを見出し、この発見をもとに完成されたものである。
従来、軟化焼鈍・還元工程が行われていた理由は二つある。一つは、水アトマイズされた状態の生鉄粉は硬度が高く、そのままでは圧縮性が劣り、粉末冶金用としては使用できないので、焼鈍により、水アトマイズされたとき生じた焼入れ組織を軟化することにあった。
【0018】
なお、圧縮性とは、ある一定の成形圧力で成形したときに得られる圧粉密度のことをいい、粉末冶金分野ではよく用いられる圧粉体特性の評価指数であり、これが大なるほど良い。
もう一つは、水アトマイズされた状態では、鉄粉粒子がFeO などの硬い酸化被膜で覆われ、そのままでは成形性の悪化、焼結体強度の低下が起こるとされ、硬い酸化被膜の除去が必要とされていた。ここで成形性とは、ラトラー値で示される圧粉体強度のことであり、圧縮性と同様に粉末冶金分野で常用される圧粉体特性評価指数である。ちなみにラトラー値は小さい方が好ましい。
【0019】
しかし、本発明者らの研究結果によれば、以下に示す条件を満たせば圧縮性、成形性、焼結性とも十分満足できるものが得られることが分かった。
すなわち、まず、水アトマイズ生鉄粉の状態で圧縮性を確保するには粒子の硬さを低くすれば良いことが分かった。たとえば、C:0.007wt%、Mn:0.005wt% 、Ni:0.03wt%、Cr:0.017wt% 、Si:0.008wt% 、P:0.003wt%、S:0.002wt%で残部が実質的にFeからなる生鉄粉のビッカース硬さはHv(100) で107 と低い。この粉末に潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉末を1.0wt%添加混合した後、金型で5t/cm2 の成形圧力で成形することにより、6.81g/cm3 と優れた値の圧粉密度が得られ、粒子断面硬さ、圧粉密度のいずれの特性も従来技術による軟化焼鈍・還元を経た鉄粉と同様の優れた値が得られた。
【0020】
硬度と圧縮性との関係を調査したところ、鉄粉粒子の断面硬さがHv250 において十分な圧粉密度を持った圧粉体が得られることが分かった。粒子断面硬さは低ければ低いほど圧縮性に対して好影響を与える。しかし、Hv80未満を工業的に達成しようとすれば、いたずらに溶湯の精錬コストを上昇させ実用的でない。
したがって、本発明では鉄粉粒子断面硬さをHv80〜250 とする。好ましい硬度はHv120 〜250 である。
【0021】
このような鉄粉粒子断面硬さは鉄粉中のC 等の成分を極力低下させることにより得られる。たとえば図1に示すように、鉄粉中のC 量を下げれば硬度は低下し、還元・焼鈍した仕上げ鉄粉のそれに近づく。
硬度との関係で溶鋼成分の影響を調査した結果は以下の通りである。
C 含有量が0.01wt% 以下ならば水アトマイズによっても焼入れ組織が現れないが、C 含有量が0.01wt% を超えると、粉末の硬さが上昇するからである。さらに好ましくは、C 含有量は0.005wt%以下である。
【0022】
Mn、Ni、Crは圧縮性に及ぼす影響が大きく、C 含有量が0.01wt% 以下の範囲でMnを0.40wt% 以下、Niを0.40wt% 以下、Crを0.40wt% 以下の範囲で変化させて水アトマイズし、噴霧、乾燥後の生鉄粉の硬さを測定した結果、Mn、Ni、Crいずれも0.30wt% を超えると生鉄粉硬さHv(100) が250 を超え、金型中でのプレス成形が困難となり、かつ十分な圧粉密度が得られない。したがって本発明では、Mn、Ni、Cr量はそれぞれ0.30wt% 以下とする。これら元素は、0.1wt%以下とするのが好ましいが、製鋼技術との関係でいたずらに低下させることはコスト増につながる。
【0023】
P 、S はできるだけ低減することが望ましいが、合計で0.05wt% 以下ならば悪影響がない。
酸素(O) は従来その存在はきびしく制限され、そのため還元工程によって除去されていた。しかし本発明者らの知見したところでは一定範囲を超えなければO の存在はなんら焼結にあたり害を与えないことが判明した。すなわち、O 量が1.0wt%を超えなければ鉄粉の圧縮性、成形性が低下しないのである。この場合O は一般的にFeO の形で存在し、上記範囲ならば焼結工程における還元雰囲気でFeに還元され、かつ焼結工程上、特にトラブルももたらさないので許容されるのである。この酸素の存在を許容するところに、本発明の一つの特徴がある。なお、上記工程で還元される酸化物としての酸素含有量は0.5wt%以下とするのが特に成形性の面で好ましい。
【0024】
水アトマイズ・乾燥後の酸素量を1.0wt%以下とするには、水アトマイズ時の雰囲気の酸素量を5vol% 以下とする必要がある。また水アトマイズ後の乾燥には、乾燥雰囲気をH2、N2または真空など非酸化性の雰囲気とする必要がある。
本発明においては、鉄粉組成としてさらに、Moまたは/およびNbが好適に添加される。ともに鉄粉の圧縮性の向上に役立つからである。
【0025】
Mo量については、含有量0.05〜5.0wt%の間では圧縮性が良くなり、さらに焼結を促進させ、焼結体強度を向上させる。ただし、5.0wt%を超えると圧縮性が急激に低下するので好ましくない。
同様にNbについても、0.005 〜0.2wt%添加すると圧縮性がよくなる。しかし0.2wt%を超えて添加すると、圧縮性が急激に低下する。
【0026】
本発明においては、基本的には鉄粉粒子の硬度と酸素含有量によって満足な焼結用鉄粉を得ることができるが、水アトマイズされた状態では、一部焼入れ組織の生成、急冷による歪みの導入などにより一般の焼鈍軟化・還元工程を経た鉄粉の硬さ( Hv:80 〜100)程度より硬い。そのためより良い圧縮性を与えるには鉄粉を構成する粒子の形状に配慮を払うことが好ましい。
【0027】
本発明においては粒子形状を粒子形状係数を用いて表す。形状係数は、粒子断面形状の周囲長さの2乗を断面積と4πの積で除した値で表され、断面が真円のとき1となる。
本発明者らの実験結果によれば、たとえば粒子径75μm以上106 μm未満の粒度を選んで、その粒度を構成する粒子が粒子断面形状係数2.5 以下の粒子を個数で10% 以上含むと、粒子断面硬さがHv200 を超える場合でもFe-1.0wt% 固体潤滑剤の配合で、5t/cm2 の成形圧力で圧粉密度6.70g/cm3 以上を得ることができる。圧粉密度を高くするために比較的丸い粒子が必要であることは従来考えられなかったことである。
【0028】
ここで、粒子径75μm以上106 μm未満の粒度の粒子で代表させて粒子形状を調べたのは、圧縮性に対して75μm以上の粗粉の寄与が大きいのと、微粉を除いた75μm以上106 μm未満の粒度では、粉末冶金における通常の篩い分けをしたときに最も重量が多くなるからである。このような粒子径75μm以上106 μm未満の粒子は10〜30wt% 必要である。その理由は、10wt% 未満では圧縮性が悪くなり、30wt% を超えると強度が低下するからである。
【0029】
一方、粒子形状が丸くなると一般的に焼結体強度が低下しやすい。この問題は、45μm未満(-325 メッシュ) の微粉粒子を20wt% 以上存在させることによって解決される。
たとえば、Fe-2.0wt% Cu-0.8wt% 黒鉛に固体潤滑剤を配合し、圧粉成形後、1130℃で20分、N2雰囲気中で焼結して得られた焼結密度6.80g/cm3 の焼結体において引張強さ250N/mm2以上を得ることができる。しかし、45μm未満(-325 メッシュ) の粒子が50wt% を超えると圧縮性が低下するので好ましくない。
【0030】
このように粒子径75μm以上106 μm未満の粒子の形状と45μm未満(-325 メッシュ) の粒子量でもって、本発明の生鉄粉の圧粉密度および焼結体強度が制御可能となる。このような粒子形状および粒度分布は溶鋼の噴霧水ジェットの圧力が4MPa以上20MPa 以下で、水と溶鋼の比が5〜15の範囲で得られる。水圧が20MPa を超えると、水のエネルギーが大きくなり、溶鋼を過度に微粉砕するため、冷却速度が大きくなり、得られる粒子は不規則な形状になりやすい。すなわち、上述したような圧縮性を向上する球状粒子が得られない。一方、水圧4MPa未満では、水のエネルギーが小さいので、溶鋼を微細に粉砕し得ない。すなわち、強度を確保するための微粉量が不足する。
【0031】
水アトマイズ後の生鉄粉の乾燥は通常の水アトマイズ鉄粉製造時と同様に100 〜300 ℃の範囲で、非酸化性の雰囲気で行うのが好ましい。
ところで、鉄粉を使用して焼結体を製造する際には、寸法精度の向上が要求される。この問題について、本発明者らが研究したところ、焼結工程における雰囲気下で還元されない酸化物を一定量鉄粉粒子の表面に存在させることにより顕著に焼結部品の寸法精度が向上することが判明した。
【0032】
すなわち、溶鋼中に易酸化性元素( Si、Al、V 、Ti、Zr) を添加すると、噴霧中の酸化によるFeO の生成が抑制され、これら易酸化性元素の酸化物が表面に生成した特有の表面構造をもった鉄粉が得られることが分かった。これは、溶鋼を噴霧する際に噴霧雰囲気の酸素量を多少低下させても、残留する僅かの酸素により鉄粉中の各易酸化性元素が選択酸化され、鉄粉表面に酸化膜が形成され保護膜として働くためと考えられる。
【0033】
この易酸化性元素の酸化物を鉄粉表面に存在させておくことによる寸法精度改善の理由については、まだ明確に解明されたわけではないが、次のように考えられる。
すなわち、鉄粉表面に上記酸化物が存在すると、焼結の際の添加黒鉛からの鉄粉粒子中へのC の拡散により、鉄粉中へ侵入・拡散するC 量が、添加黒鉛量や粒度変化にかかわらずほぼ一定に保持され、その結果、いわゆるCu膨張量も安定することによると考えられる。
【0034】
これにより、黒鉛粉のばらつきに対して敏感であるFe-Cu-C 系の寸法変化のばらつきを小さく抑えることができる。
この易酸化性元素の添加は、同時にFeO として存在する酸素の低減をもたらし、これにより鉄粉の成形性の一層の向上を図ることができる。一例として図2に溶鋼の溶存Al量とアトマイズ生鉄粉のO 含有量の関係を示す。
【0035】
ここに、易酸化性元素は代表的には、Si、Al、V 、Ti、Zrであり、これらの単独添加または複合添加いずれも可能である。なお、各元素単独添加の場合における好適範囲はそれぞれ次の通りである。
Si:0.01 〜0.1wt%、Al:0.003〜0.05wt% 、V:0.008 〜0.5wt%
Ti:0.003〜0.1wt%、Zr:0.008〜0.1wt%
易酸化性元素の添加量は、添加する場合には、それらの合計量を0.003wt%以上0.5wt%以下とするのが良い。これら易酸化性元素が下限値未満では酸素含有量を低減する効果が実質的になく、一方、上限値を超えるとかえってO 含有量が増加し急激な焼結強度の低下が起こるからである。
【0036】
なお、以上のような寸法精度の向上の効果を得るには、含有する易酸化性元素の酸化割合が20% 以上であることが必要である。20% 未満では、添加黒鉛量のばらつきに対する焼結時の寸法変化の変動幅を減少する効果が少ないためである。しかし、この場合においても成形性を維持するため、鉄粉中のO 含有量は1.0%wt以下、好ましくは0.5wt%以下に制限される。
【0037】
以上のように易酸化性元素 (Si、Al、V 、Ti、Zr) を溶鋼に添加して鉄粉表面に適当な酸化膜を生成させるためには、雰囲気の酸素( O2) 濃度が5vol% 以下の非酸化性ガス中で水により噴霧して、水素、窒素、あるいは真空中にて、それぞれ100 〜300 ℃で乾燥する。
【0038】
【実施例】
( 参考例1、比較例1)
転炉で溶鋼を精錬し、真空脱炭装置を用いて脱炭することによりC:0.002wt%、Mn:0.002wt% 、Ni:0.006wt% 、Cr:0.013wt% 、Si:0.005wt% 、P:0.002wt%、S:0.002wt%の溶湯を溶製した。この溶湯を7.5MPaの水圧と水/ 溶鋼比10の条件で水アトマイズした。得られた粉末をN2雰囲気中で125 ℃で乾燥した後、焼鈍・還元を施すことなく1000μm以下に分級した。
【0039】
粉末硬さは荷重100gのビッカース硬さで粉末断面を測定した。粒子断面形状係数は画像処理装置を用いて測定した。圧粉密度は鉄粉にステアリン酸亜鉛を1.0wt%添加混合し、5t/cm2 の圧力で直径11.3mmのタブレットを成形して測定した。焼結体強度は鉄粉、Cu粉、黒鉛粉および固体潤滑剤の混合粉を成形後、1130℃で20分間、プロパン変成ガス雰囲気中で焼結して得られた焼結密度6.80g/cm3 、Fe-2.0%Cu-0.8%C 組成において、引張強さで測定した。
【0040】
比較例1は市販の還元焼鈍済の粉末冶金用水アトマイズ鉄粉を用いて同じ処理を施したものである。表1に鉄粉の化学組成、表2に粉末硬さと焼結体強度などを示す。参考例1に用いたアトマイズ鉄粉の粒度分布は、45μm未満:26.3 wt%、63μm未満〜45μm:13.5 wt% 、75μm未満〜63μm:4.7wt% 、106 μm未満〜75μm:15.6 wt% 、150 μm未満〜106 μm:15.1 wt% 、180 μm未満〜150μm:7.0wt% 、250 μm未満〜180 μm:9.7wt% 、1000μm未満〜250 μm:8.2wt% の構成である。
【0041】
【表1】
Figure 0003957331
【0042】
【表2】
Figure 0003957331
【0043】
参考例1は焼鈍、還元を施していないにもかかわらず、粉末硬さ、圧粉密度、焼結体特性とも比較例1の従来鉄粉とほぼ同等の特性が得られた。
参考例2〜12、比較例2〜9)
転炉または電気炉で精錬後、真空脱ガス装置を用いて、C:0.002 〜0.032wt%、Mn:0.38wt%以下、Ni:0.41wt%以下、Cr:0.42wt%以下、Si:0.005〜0.020wt%、P:0.001 〜0.025wt%、S:0.002 〜0.03wt% の溶湯を溶製した。この溶湯を3 〜25MPaの水圧と水/ 溶鋼比10の条件で水アトマイズした。得られた粉末を比較例7を除いてN2雰囲気中で125 ℃で乾燥した。比較例7は大気中で125 ℃で乾燥した。いずれの生鉄粉も焼鈍・還元を施すことなく1000μm以下に分級した。
【0044】
粒子硬さ、生鉄粉の粒子断面の形状係数、圧粉密度、焼結体強度は参考例1と同一の方法で測定した。
表3に参考例2〜12および比較例2〜9について生鉄粉の化学組成、表4に粉末硬さ、噴霧水圧、粒径75〜106 μm未満の粒子の比率( wt% ) とそのうち形状係数2.5 以下の個数比率、粒径45μm未満(-325 メッシュ) の比率、および仕上げ還元なしの圧粉密度と焼結体強度を示した。
【0045】
【表3】
Figure 0003957331
【0046】
【表4】
Figure 0003957331
【0047】
参考例2〜12はいずれも実用的な圧粉密度、焼結体強度を示したが、比較例2〜7は生鉄粉組成が適正範囲を超えるため、粒子硬さがHv(100)250以上となり、5t/cm2の成形圧力で6.70g/cm3 以上の圧粉密度は得られなかった。比較例8は噴霧圧力が適正範囲を超えるため、粒径75〜106 μm未満の粒子のうち形状係数2.5 以下の比率が10% 以下となり、5t/cm2の成形圧力で6.70g/cm3 以上の圧粉密度は得られなかった。比較例9は噴霧圧力が適正範囲に満たないため、45μm未満の粒子が20wt% 以下となり、6.80g/cm3 の焼結体密度において300N/mm2の焼結体強度は得られなかった。
参考例13〜25、比較例10〜19)
転炉または電気炉で精錬後、真空脱ガス装置を用いて、C:0.002 〜0.03wt% 、Mn:0.4wt% 以下、Ni:0.4wt% 以下、Cr:0.4wt% 以下、Si:0.006〜0.02wt% 、P:0.007 〜0.025wt%、S:0.002 〜0.03wt% 、Mo:6.0wt% 以下、Nb:0.3wt% 以下の溶湯を溶製した。この溶湯を3 〜25MPa の水圧と水/ 溶鋼比10の条件で水アトマイズした。得られた粉末は比較例19を除いてN2雰囲気中で125 ℃で乾燥した。比較例19は大気中で125 ℃で乾燥した。いずれの生鉄粉も焼鈍・還元を施すことなく1000μm以下に分級した。
【0048】
粒子硬さ、生鉄粉の粒子断面の形状係数、圧粉密度、焼結体強度は参考例1 と同一の方法で測定した。
表5、表6に参考例13〜25、比較例10〜19について生鉄粉の化学組成、粉末硬さ、噴霧圧力、粒径75〜106 μm未満の粒子の比率( wt% ) とそのうち形状係数2.5 以下の粒子個数の比率、45μm未満の粒子の比率、圧粉密度と焼結体強度を示した。
【0049】
【表5】
Figure 0003957331
【0050】
【表6】
Figure 0003957331
【0051】
参考例13〜25はいずれも実用的な圧粉密度、焼結体強度を示したが、比較例10〜16は生鉄粉組成が適正範囲を超えるため、粒子硬さが250 以上になり、5t/cm2の成形圧力で6.70g/cm3 以上の圧粉密度は得られなかった。比較例17は噴霧圧力が適正範囲を超えるため、粒径75〜106 μm未満の粒子のうち形状係数2.5 以下の比率が10% 以下となり、5t/cm2の成形圧力で6.70g/cm3 以上の圧粉密度が得られなかった。比較例18は噴霧圧力が適正範囲に満たないため、45μm未満の粒子が20wt% 以下となり、6.80g/cm3 の焼結体密度において300N/mm2の焼結体強度は得られなかった。比較例19は乾燥条件が不適当で生鉄粉酸素量が適正範囲を超えるため、300N/mm2の焼結体強度が得られなかった。
参考例26〜30、比較例20〜22)
転炉または電気炉で精錬後、真空脱ガス装置を用いて、C:0.01wt% 以下、Mn:0.1wt% 以下、Ni:0.1wt% 以下、Cr:0.1wt% 以下、Si:0.02wt%以下、P:0.02wt% 以下、S:0.02wt% 以下、Al:0.1wt% 以下の溶湯を溶製した。この溶湯を12MPa の水圧と水/ 溶鋼比10の条件で水アトマイズした。得られた粉末をN2雰囲気中で125℃で乾燥した。いずれの生鉄粉も焼鈍・還元を施すことなく250 μm以下に分級した。
【0052】
粒子硬さ、75〜106 μm未満の粒子の比率、そのうち形状係数が2.5 以下の粒子の比率、鉄粉化学組成、圧粉密度、ラトラー値、引張強さ、衝撃値を表7に示す。参考例26〜30はいずれもAlを適正量含むため酸素量が0.4wt%以下となっており、その結果、6.7g/cm3以上の圧粉密度、400N/mm2以上の焼結体強度および1.5%以下のラトラー値を示した。比較例20、22は圧粉密度は6.78g/cm3 以上ではあるが、Al量の適正範囲を超えるため、ラトラー値が1.5%以上となり成形性が低下している。また、比較例21では硬度が250 を超えるため圧粉密度は6.5g/cm3以下になっている。
【0053】
【表7】
Figure 0003957331
【0054】
(実施例31〜37、比較例23〜26)
転炉または電気炉で精錬後、真空脱ガス装置を用いて、C:0.01wt% 以下、Mn:0.1wt% 以下、Ni:0.1wt% 以下、Cr:0.1wt% 以下、P:0.02wt% 以下、S:0.02wt% 以下、Si+Ti+Zr:0.24wt%以下の溶湯を溶製した。この溶湯を13MPa の水圧で水アトマイズした。得られた粉末をN2雰囲気中で125 ℃で乾燥した。いずれの生鉄粉も焼鈍・還元を施すことなく250 μm以下に分級した。
【0055】
溶鋼とアトマイズ生鉄粉の化学組成とアトマイズ条件を表8に、粒子硬さ、75〜106 μm未満の粒子の比率、そのうち形状係数が2.5 以下の粒子の比率、圧粉密度、ラトラー値、引張強さ、衝撃値を表9に示す。実施例31〜37はいずれもSi、Ti、Zrいずれかを適正量含むため酸素量が0.5wt%以下となっており、その結果、400N/mm2以上の焼結体強度および1.5%以下のラトラー値を示した。比較例23はSi、Ti、Zr量が適正範囲下限未満のためラトラー値が1.5%以上と成形性が低下している。比較例24は粒子硬度が250 を超えるため圧粉密度は6.5g/cm3以下になっている。またSi、Ti量が適正範囲を超える比較例25および比較例26は焼結体強度が低下している。
【0056】
【表8】
Figure 0003957331
【0057】
【表9】
Figure 0003957331
【0058】
(実施例38、比較例27)
転炉で溶鋼を精錬し、真空脱炭装置を用いて脱炭することにより、C:0.004wt%、Mn:0.03wt%、Ni:0.005wt% 、Cr:0.01wt%、Si:0.006wt% 、P:0.008wt%、S:0.006wt%、Al:0.004wt% の溶湯を溶製し、水圧13MPa の水ジェットで酸素濃度0.5 % のN2雰囲気で水アトマイズした。得られた粉末をH2雰囲気中で180 ℃で乾燥した後、焼鈍・還元を施すことなく250 μm以下に分級した。
【0059】
圧粉密度は生鉄粉にステアリン酸亜鉛を1.0wt%添加混合し、5t/cm2 の圧力で直径11.3mmのタブレットに成形して測定した。焼結体強度は生鉄粉、Cu粉、黒鉛粉および潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛の混合粉をJSPM標準引張試験片に成形後、1130℃で20分間プロパン変成ガス雰囲気中で焼結して得られた焼結体(圧粉密度6.86g/cm3 、組成Fe-2.0%Cu-0.8%Gr) において、引張強さを測定した。Fe-2.0%Cu-0.8%GrとFe-2.0%Cu-1.0%Grの2 水準の黒鉛量について焼結時の寸法変化を調べ、それぞれの焼結寸法変化の差を「寸法変化変動幅」とした。このときの試料形状は、外径60φ、内径25φ、高さ10mmのリング形状、圧粉密度6.8g/cm3とし、1130℃プロパン変成ガス雰囲気中で20分焼結した。
【0060】
比較例27は市販の還元焼鈍済の粉末冶金用水アトマイズ鉄粉を用いて同じ処理を施したものである。表10に鉄粉の化学組成、易酸化性元素の酸化割合、表11に粒子断面硬さ、75〜106 μm未満の粒子の比率、そのうち形状係数が2.5 以下の粒子の比率、圧粉密度と焼結体強度および寸法変動幅を示す。実施例38は焼鈍、還元を施していないにもかかわらず、圧粉密度は比較例27の従来鉄粉とほぼ同等であるばかりでなく、寸法変化変動幅は比較例27より優れている。
【0061】
【表10】
Figure 0003957331
【0062】
【表11】
Figure 0003957331
【0063】
(実施例39〜51 、参考例 52,53、比較例28〜31)
転炉または電気炉で精錬後、真空脱ガス装置を用いて、C:0.01wt% 以下、Mn:0.1wt% 以下、Ni:0.1wt% 以下、Cr:0.1wt% 以下、P:0.02wt% 以下、S:0.02wt% 以下、Si+Al+Ti+V:1.0wt% 以下の溶湯を溶製した。この溶湯を100kgf/cm2の水圧で酸素濃度10% 以下のN2雰囲気中で水アトマイズした。得られた生鉄粉をH2、N2、真空中で100 〜300 ℃で乾燥した後、焼鈍・還元を施すことなく250 μm以下に分級した。
【0064】
圧粉密度、焼結体強度、焼結体寸法変化変動幅は実施例38と同一の方法で測定した。表12に実施例39〜51 、参考例 52,53および比較例28〜31について生鉄粉の化学組成、易酸化性元素の酸化割合、粒子断面硬さ、75〜106 μm未満の粒子の比率、そのうち形状係数が2.5 以下の粒子の比率、圧粉密度、焼結体強度および寸法変化変動幅を示した。
【0065】
【表12】
Figure 0003957331
【0066】
実施例39〜51はいずれも実用的な圧粉密度、焼結体強度を示した。さらに、寸法変化変動幅が0.1%以下の良好な寸法精度を示した。参考例52ではSi+Al+Ti+V量が、参考例53では易酸化性元素の酸化割合がそれぞれ適正範囲外であったので寸法変化変動幅が大きかったが、圧縮性、焼結体強度は実用的な値を示した。
【0067】
これに対し、比較例では圧粉密度6.7g/cm3以上の圧縮性が得られるものの、Si、Al、Ti、V 量がそれぞれ適正範囲を超えるため、焼結体強度は低いものしか得られていない。
(実施例54〜67 、参考例 68,69、比較例32〜38)
転炉または電気炉で精錬後、真空脱ガス装置を用いて、C:0.022wt%以下、Mn:0.3wt% 以下、Ni:0.3wt% 以下、Cr:0.3wt% 以下、P:0.003 〜0.02wt% 、S:0.002〜0.015wt%、Mo:4.0wt% 以下、Nb:0.3wt% 以下、Si+ Al+Ti+V+Zr: 0.7wt%以下の溶湯を溶製した。この溶湯を酸素濃度8% 以下の窒素雰囲気中で水圧8〜16MPaの水により噴霧して水素、窒素あるいは真空中で130 〜280 ℃で乾燥した。いずれの生鉄粉も焼鈍・還元を施すことなく250 μm以下に分級した。
【0068】
圧粉密度、焼結体強度、焼結体寸法変化変動幅は実施例37と同一の方法で測定した。表13に実施例54〜67 、参考例 68,69および比較例32〜38について生鉄粉の化学組成、表14に噴霧条件、乾燥条件、易酸化性元素の酸化割合、粉末硬さ、粒径75〜106 μm未満の粒子の比率、そのうち形状係数2.5 以下の比率、45μm未満の比率、および仕上げ還元なしの圧粉密度と焼結体強度および寸法変化変動幅を示した。
【0069】
【表13】
Figure 0003957331
【0070】
【表14】
Figure 0003957331
【0071】
実施例54〜67はいずれも実用的な圧粉密度、焼結体強度を示した。さらに、実施例54〜66は寸法変化変動幅が0.1%以下の良好な寸法精度を示した。
これに対し、比較例では、発明の適正範囲を超えるため、圧粉密度あるいは焼結体強度は低いものしか得られなかった。
【0072】
【発明の効果】
本発明の粉末冶金用鉄粉は、従来の粉末冶金用水アトマイズ鉄粉に比べ、水噴霧後の焼鈍・還元工程がなく、生鉄粉状態で金型成形が可能となる。また、本発明の粉末冶金用鉄粉は、従来の粉末冶金用鉄粉に比べ、Cu、黒鉛添加で焼結したときに、黒鉛添加量のばらつきに対する焼結寸法変化の変動が小さく、結果的に寸法精度の優れた焼結体の製造ができるため、サイジング工程の省略が可能となる。これらのため、本発明の鉄粉を用いることにより焼結部品の製造工程が短縮され、焼結部品の特性を損なうことなく焼結部品の製造コストの削減が可能となり、焼結部品の製造を経済的に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アトマイズ生鉄粉の硬度と鉄粉中のC 含有量の関係を示す特性図である。
【図2】鉄粉中酸素含有量とAl含有量の関係を示す特性図である。

Claims (3)

  1. 粒子断面の硬さが Hv80 250 であり、かつ、粒子表面が、焼結雰囲気で還元可能な酸化物と、易酸化性元素すなわち鉄より酸化しやすい元素の 20% 以上が酸化されてなる焼結雰囲気で還元不可能な酸化物とで、覆われており、酸素含有量が 1.0 wt% 以下であり、かつ、粒子断面形状の周囲長の2乗を断面積と4πの積で除した値で表される粒子形状係数が 2.5 以下の粒子を個数で 10% 以上含む粒子径 75 106 μ m 未満の粒子を 10 30wt% 45 μ m 未満の粒子を 20wt% 以上含み、そのまま粉末冶金用に供される粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法であって、C:0.01wt% 以下、Mn:0.30wt%以下、Ni:0.30wt%以下、Cr:0.30wt%以下、P とS の合計:0.050wt% 以下を含有し、さらに、易酸化性元素として Si:0.01 0.1wt% Al:0.003 0.05wt% V:0.008 0.5wt% Ti:0.003 0.1wt% Zr:0.008 0.1wt% の1種または2種以上を総量で 0.003 0.5wt% 含有し、残部は鉄からなる溶鋼を圧力4 〜20MPa の水ジェットを用い、水と溶鋼の比を5〜 15 の範囲とし、噴霧雰囲気の酸素濃度を 5.0vol% 以下として噴霧後、乾燥を行ことを特徴とする粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法。
  2. 粒子断面の硬さが Hv80 250 であり、かつ、粒子表面が、焼結雰囲気で還元可能な酸化物と、易酸化性元素すなわち鉄より酸化しやすい元素の 20% 以上が酸化されてなる焼結雰囲気で還元不可能な酸化物とで、覆われており、酸素含有量が 1.0 wt% 以下であり、かつ、粒子断面形状の周囲長の2乗を断面積と4πの積で除した値で表される粒子形状係数が 2.5 以下の粒子を個数で 10% 以上含む粒子径 75 106 μ m 未満の粒子を 10 30wt% 45 μ m 未満の粒子を 20wt% 以上含み、そのまま粉末冶金用に供される粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法であって、Mo:5.0wt% 以下、Nb:0.20wt%以下、およびC:0.01wt% 以下、Mn:0.30wt%以下、Ni:0.30wt%以下、Cr:0.30wt%以下、P とS の合計:0.050wt% 以下を含有し、さらに、易酸化性元素として Si:0.01 0.1wt% Al:0.003 0.05wt% V:0.008 0.5wt% Ti:0.003 0.1wt% Zr:0.008 0.1wt% の1種または2種以上を総量で 0.003 0.5wt% 含有し、残部は鉄からなる溶鋼を圧力4 〜20MPa の水ジェットを用い、水と溶鋼の比を5〜 15 の範囲とし、噴霧雰囲気の酸素濃度を 5.0vol% 以下として噴霧後、乾燥を行ことを特徴とする粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法。
  3. 請求項1または2において、前記乾燥を、非酸化性雰囲気またはH2雰囲気中または真空中に 100 〜300 ℃の温度で行う粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法。
JP10391894A 1993-05-18 1994-05-18 粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法 Expired - Lifetime JP3957331B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10391894A JP3957331B2 (ja) 1993-05-18 1994-05-18 粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11552393 1993-05-18
JP5-115523 1993-05-18
JP19617093 1993-08-06
JP5-196170 1993-08-06
JP25680793 1993-10-14
JP5-256807 1993-10-14
JP10391894A JP3957331B2 (ja) 1993-05-18 1994-05-18 粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07157803A JPH07157803A (ja) 1995-06-20
JP3957331B2 true JP3957331B2 (ja) 2007-08-15

Family

ID=27469166

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10391894A Expired - Lifetime JP3957331B2 (ja) 1993-05-18 1994-05-18 粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3957331B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4078512B2 (ja) 2001-04-20 2008-04-23 Jfeスチール株式会社 高圧縮性鉄粉
JP4833505B2 (ja) * 2002-06-26 2011-12-07 株式会社神戸製鋼所 浄化用鉄系粉末
JP3812523B2 (ja) * 2002-09-10 2006-08-23 昭栄化学工業株式会社 金属粉末の製造方法
JP4880491B2 (ja) * 2007-02-05 2012-02-22 日立粉末冶金株式会社 金型成形のための造粒粉末およびその製造方法、ならびに該造粒粉末を用いた焼結部品の製造方法
CN101615465B (zh) * 2008-05-30 2012-10-17 株式会社日立制作所 压粉磁体用软磁性粉末和使用其的压粉磁体
RU2532221C2 (ru) * 2009-03-20 2014-10-27 Хеганес Актиеболаг (Пабл) Железо-ванадиевый порошковый сплав
JP6690781B2 (ja) * 2017-12-05 2020-04-28 Jfeスチール株式会社 合金鋼粉
JP7057156B2 (ja) * 2018-02-28 2022-04-19 株式会社神戸製鋼所 粉末冶金用鉄粉
CN111906322A (zh) * 2020-08-10 2020-11-10 莱芜钢铁集团粉末冶金有限公司 一种低松装密度水雾化铁粉的制备方法
CN114147216B (zh) * 2021-09-30 2022-11-15 钢铁研究总院 钢制品中添加低沸点易氧化金属元素的方法及打印装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07157803A (ja) 1995-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100249006B1 (ko) 분말도금용 물분무철분및 그 제조방법
US7341689B2 (en) Pre-alloyed iron based powder
JP2002501122A (ja) 焼結製品調製用鋼粉末
JP3957331B2 (ja) 粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法
JP3177482B2 (ja) 焼結焼入れ用低合金鋼粉末
JPH06340942A (ja) 高強度鉄系焼結体の製造方法
JPH10504353A (ja) クロム、モリブデンおよびマンガンを含む鉄基粉末
JP6690781B2 (ja) 合金鋼粉
JP3446322B2 (ja) 粉末冶金用合金鋼粉
WO2019111834A1 (ja) 部分拡散合金鋼粉
JPS6318001A (ja) 粉末冶金用合金鋼粉
JP4715358B2 (ja) 粉末冶金用合金鋼粉
JP3517505B2 (ja) 焼結耐摩耗材用原料粉末
JP3351844B2 (ja) 鉄系焼結材料用の合金鋼粉及びその製造方法
JPH08209202A (ja) 切削性に優れた高強度焼結材料用合金鋼粉
JPWO2019188833A1 (ja) 粉末冶金用合金鋼粉および粉末冶金用鉄基混合粉末
EP1323840B1 (en) Iron base mixed powder for high strength sintered parts
KR20200128158A (ko) 분말 야금용 합금 강분 및 분말 야금용 철기 혼합 분말
JP2003147405A (ja) 鉄系焼結熱処理材料用合金鋼粉
JP3938944B2 (ja) 粉末冶金用水アトマイズ鉄粉の製造方法
JPH0459362B2 (ja)
JPH0717923B2 (ja) 焼結用低合金鉄粉末及びその製造方法
JPH08218101A (ja) 粉末冶金用混合鋼粉及びそれを含む焼結用材料
JP2007100115A (ja) 粉末冶金用合金鋼粉
JPH04337001A (ja) 粉末冶金用低合金鋼粉及びその焼結成形体並びに調質成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070410

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070508

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110518

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120518

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120518

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130518

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140518

Year of fee payment: 7

EXPY Cancellation because of completion of term