JP3273137B2 - 抄紙機のプレスロールに対する紙の過付着防止方法 - Google Patents

抄紙機のプレスロールに対する紙の過付着防止方法

Info

Publication number
JP3273137B2
JP3273137B2 JP2000099015A JP2000099015A JP3273137B2 JP 3273137 B2 JP3273137 B2 JP 3273137B2 JP 2000099015 A JP2000099015 A JP 2000099015A JP 2000099015 A JP2000099015 A JP 2000099015A JP 3273137 B2 JP3273137 B2 JP 3273137B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
wax
press roll
adhesion
press
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000099015A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000345489A (ja
Inventor
邦夫 関谷
宏 関谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maintech Co Ltd
Original Assignee
Maintech Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Maintech Co Ltd filed Critical Maintech Co Ltd
Priority to JP2000099015A priority Critical patent/JP3273137B2/ja
Publication of JP2000345489A publication Critical patent/JP2000345489A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3273137B2 publication Critical patent/JP3273137B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術】この発明は、抄紙機に使用されるプレス
ロールに関し、更に詳しくは、抄紙機に使用されるプレ
スロールにおいて、紙がその表面に過付着するのを防止
させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】抄紙機において、原料からシート状の湿
紙が形成されるが、この湿紙から水分が除去されて製品
となる。水分を除去するためには脱水・乾燥することが
必須条件である。湿紙の水分をどこまで脱水できるか
が、後続の乾燥工程への負担、すなわち、ドライパート
にかかる蒸気の消費量(エネルギーコスト)に大きく影
響するため、脱水工程、いわゆるプレスパートは極めて
重要となっている。抄紙機のプレスパートには、紙(湿
紙)を一対のプレスロールとフェルトで圧接して脱水す
る部分が2〜4カ所程度ある。
【0003】この一対のプレスロール間に湿紙とフェル
トを重ねた状態で挟み込み、該ロール間にニップ圧を加
えることによって、紙の水分がフェルト側に移行脱水さ
れる仕組みとなっている。そしてプレスロールは、湿紙
が接するロールとフェルトが接するロールの2種類が一
対をなしている。
【0004】このうち、湿紙側には、紙の離脱性を重視
するために、紙に馴染み易く平滑性を有する硬質ゴム製
のロールや天然石又は人造石のロール(いわゆるストー
ンロール)が用いられる。特に、近年の抄紙機の高速化
に伴い、ストーンロールより安価でストーンロールの特
性を生かしたセラミック製の人造石ロールが多く使われ
るようになってきている。
【0005】(過付着現象)ところで、抄紙機を運転す
ることにより紙がプレスロールに供給されるが、このよ
うな紙が供給されている状態のプレスロールにおいて
は、上記のようなプレスロールを使った場合、その表面
に対して紙が過付着現象を起こすことが、大きな問題と
なっている。具体的にいうと、通常は一対のプレスロー
ルのうち、紙に接する側のプレスロールのニップ点を通
った後は、速やかに、紙は表面から離脱するのである
が、この離脱点を大きく過ぎても紙がその表面に付着し
た状態のまま引きつられて回転する現象が生ずるのであ
る。
【0006】図7は、プレスパートにおいて、その紙の
プレスロール表面に対する過付着現象の生ずる位置X
1,X2を示した図である。又図8は、過付着現象を拡
大図して示した図である。紙2がプレスロール表面に粘
着して通常の理想離脱点Qを過ぎても離れない。紙離れ
点Pはそれより過ぎたところに出る。そのため、プレス
ローラ1を出た後の紙2は、表面から引き剥がす際に、
後続のローラ1Aにより引っ張られて張力(いわゆる
「ドロー」という)が発生するのである。
【0007】このドローは少ない程よいが、図のよう
に、紙離れ点Pが高くなる程(剥離角度αが大になる
程)大きくなる傾向がある。何故ならば、紙離れ点の位
置でドローがバランスしているからである。ドローが大
きくなると紙切れが発生し易くなり、生産性が低下す
る。また紙が切れない場合でも、カールが大きくなった
り紙幅が縮小する等の品質上のマイナス面が多くなる。
最近の高速化を目指す抄紙機においては、より大きな速
度で湿紙が移動するため、そのままではドローを上げて
いく必要がある。そのためドローを下げること、すなわ
ち過付着現象を極力防止することが当面の課題となって
いる。
【0008】(汚染物資の固着)一方、紙には、パルプ
原料自体に含まれるピッチ、タール分、微細繊維、回収
古紙からくる粘着物、各種紙が含有する添加薬剤、填料
等の含有物が含有されている。このような含有物は、脱
水時に紙がプレスロールの表面に大きなニップ圧で押し
つけられた際に、加圧発熱状態となりロール側の表面に
固着され汚染されやすい。固着した含有物は紙表面の繊
維をはぎ取る作用があるため、紙の毛羽立ちの原因にな
り、そのはぎ取った繊維が大きく成長すると、湿紙に圧
痕を作ることになる。
【0009】(磨耗)上記のようなプレスロール上に固
着した汚染物質を除去するため、通常、プレスロールの
付属装置であるドクターの刃で、その汚染物質をかき取
る方法が主流となっている。しかし、ドクター刃とプレ
スロール表面の圧接によりロール表面は磨耗されて更に
粗くなる。そして、この粗い凹凸部に汚染物質が入り込
み圧力を受けて固着する。結果的にまたドクター刃でか
き取らなければならず同様な現象の繰り返しとなり悪循
環が生ずることとなる。
【0010】このようなことから、上記欠点を極力解決
しようすることが試みられている。例えば、前もって、
プレスロール表面に汚染防止処理加工を施してあるもの
を使う場合がある。しかし、抄紙機の運転と共に汚染防
止効果が減少してしまい耐久性に欠ける。また例えば、
ドクター刃の圧を大きく取る方法があるが、表面に固着
した汚染物質はかき取れ易くなるものの、ドクター刃圧
を強くすると、益々、ロール表面は磨耗され、ドクター
刃の磨耗も激しくなる。
【0011】このため、プレスロールやドクタ刃の耐久
性が低下して交換サイクル(ドクター刃の材質にもよる
が、特に最近の高速の抄紙機では、3日から1週間に1
回、ドクター刃を交換しなければならない。)も短くな
る。また交換の際の段取り作業により、時間的ロスが大
きくなり生産効率が劣る。このドクター刃の圧力を上げ
る方法では、過付着現象を大きく低下(防止)させるこ
とはできない。
【0012】一方、例えば、ロールのドクター刃先に水
ポンドを形成し、それより潜り抜ける水を利用して、ロ
ール表面に水膜を形成し、ピッチ等の粘着物や微細繊維
がロール表面に蓄積しないようにする方法がある。しか
し、水の潜り抜けを担保するにはドクタ刃圧がどうして
も弱くなり、かき取り作用を十分発揮できない。すわな
ち、一度表面に固着した汚染物質は取れにくいのであ
る。
【0013】またドクター刃先に汚染物が食い込むと一
時的に該刃先が持ち上がることがあり、その結果、水が
そこから多く溢れ出て紙を濡らすこととなり、本来脱水
すべきプレスパートの役割と逆行する。しかも紙は、進
行方向に均一な水分分布を持たないと品質的に大きく劣
るものとなる。今後、古紙のリサイクルが進み、原料中
の粘着物や微細繊維が多くなってきた場合には、必ずし
も十分な対策とはならない。以上のように、従来の対応
策では一長一短があり、紙のプレスロール表面に対する
過付着を低下させ且つ磨耗と汚染を共に防止するものは
開発されていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の諸問
題点の解決を意図したものである。即ち、本発明の目的
は、抄紙機において、長期間に渡って紙のプレスロール
表面に対する過付着を防止させ且つ磨耗と汚染も共に防
止される方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明者等
は、このような課題に対して、鋭意研究を重ねた結果、
プレスロールにワックスを練り込むように微量づづ、供
給し続けてやることにより、その表面上に極めて薄いワ
ックス膜を常に維持できること、そしてこのワッツクス
膜が過付着低下、磨耗防止、及び防汚染として効果があ
ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させ
るに至った。
【0016】即ち、本発明は、(1)、抄紙機の運転に
より紙が供給されている状態のプレスロールにおいて、
その表面に対する紙の過付着を防止させる方法であっ
て、回転するプレスロールの直接表面に対して、プレス
ロールの表面温度より低い融点をもつワックスを主成分
とする一定量の紙離れ向上剤を連続的に供給付与せしめ
続ける過付着の防止方法に存する。
【0017】そして、(2)、抄紙機の運転により紙が
供給されている状態のプレスロールにおいて、その表面
に対する紙の過付着を防止させる方法であって、回転す
るプレスロールの直接表面に対して、融点が60℃以下
であるワックスを主成分とする一定量の紙離れ向上剤を
連続的に供給付与せしめ続ける過付着の防止方法に存す
る。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】そしてまた、(3)、紙離れ向上剤として
用いるワックスが、パラフィンワックス、マイクロクリ
スタリンワックス、ワセリン、合成ワックス、アルカン
純品(C17〜C27)、α−オレフィン、アルケン純
品(C19〜C29)、動植物性グリセライド類の群の
中から選ばれた1以上である過付着の防止方法に存す
る。
【0022】そしてまた、(4)、上記紙離れ向上剤
は、プレスロールの表面に対して散布により供給付与さ
れる過付着の防止方法に存する。
【0023】そしてまた、(5)、抄紙機の運転により
紙が供給されている状態のプレスロールにおいて、その
表面の紙の過付着を防止する方法であって、回転するプ
レスロールの直接表面に対して、プレスロールの表面温
度より低い融点をもつワックスを主成分とする一定量の
紙離れ向上剤を連続的に供給付与せしめ続け、該紙離れ
向上剤中のワックス成分の供給量は、通過する紙を基準
に換算して0.01〜10mg/m2である過付着の防
止方法に存する。
【0024】そしてまた、(6)、抄紙機の運転により
紙が供給されている状態のプレスロールにおいて、その
表面の紙の過付着を防止する方法であって、回転するプ
レスロールの直接表面に対して、融点が60℃以下であ
るワックスを主成分とする一定量の紙離れ向上剤を連続
的に供給付与せしめ続け、該紙離れ向上剤中のワックス
成分の供給量は、通過する紙を基準に換算して0.01
〜10mg/m 2 である過付着の防止方法に存する
【0025】
【作用】プレスロールの表面に一定量づつ、ワックスを
供給付与し続けることにより、ワックスがプレスロール
の表面に一様に行き渡り、ワックス膜(層)が形成され
る。このワックス膜は、極めて薄いもので剥離性に富み
紙(湿紙)が高圧でプレスロールに押しつけられる際に
も安定しており、大きなニップ圧がかかった場合でも、
湿紙上の粘着物や微細繊維がプレスロール上に固着する
のを防止する。
【0026】さらに、紙がプレスロールから剥がされる
際には、剥離性を向上する薄いワックス膜が紙とプレス
ロールの間に介在するため、紙は、より小さな力、すな
わち低いドローで剥がされることになる。そしてプレス
ロール表面のワックス膜のワックスが紙に転移してい
き、一方では、ワックス膜が減耗した跡にも新たにワッ
クスが補充される。
【0027】
【発明の実施の形態】以下実施の形態を挙げ図面に基づ
いて本発明を説明する。一般に、抄紙機には脱水部分
(プレスパート)が設置されており、この部分は、ワイ
ヤー上から紙(湿紙)を取り込むピックアップ、紙の水
分を吸い取るフェルト、このフェルトと紙を高圧で挟み
込むプレスロールよりなる。図1は、その抄紙機におけ
るプレスパートの一例を示したものである。フェルト側
のプレスロール1は、フェルト4からの水分移行を促進
するため、吸引装置がついたサクションロールや周方向
に溝を切ったグルーブドロールが有る。また紙の表面を
直接加圧するプレスロールには、硬質ゴム製のロールや
天然の花崗岩製又は人造のストーンロールが用いられて
いることは既に述べた。
【0028】本発明の過付着の防止方法は、この抄紙機
に組み込まれている紙の表面を直接加圧するプレスロー
ルに対して主に適用される。プレスロールの汚染を防止
するには、このプレスロールの直接表面に対して連続的
に常に一定量の紙離れ向上剤を供給付与し続けることで
ある。図2はプレスパートの一部であり、その紙離れ向
上剤の供給付与の位置(ノズルSの位置)を示したもの
である。
【0029】本発明で使用する紙離れ向上剤としては、
ワックスを主成分とするものが挙げられ、運転状態の通
常のプレスロール1の表面温度を考慮すると、ワックス
の融点として、25〜60℃の低融点のワックスが好適
である。ワックスとしては、例えば、パラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、合成ワ
ックス、アルカン純品(C17〜C27)、α−オレフ
ィン、アルケン純品(C19〜C29)、動植物性グリ
セライド類の群から選ばれた1以上が使用される。また
抄紙機運転中のプレスロール1は、通常、紙を100Kg
/cm 以上の大きな線圧(ニップ圧)で加圧していること
から、この圧力下において、安定したワックス膜が維持
できると共に、剥離性を有し且つ変性しない性質を持つ
ワックスが好ましい。ワックスは、プレスロール1の表
面温度より低い融点のものを使用することでプレスロー
ルの熱とニップ圧とを受け粗面の凹部を確実に埋めるこ
とができる。
【0030】ワックスを供給付与する場合には、それに
界面活性剤と水を加えて水に乳化させるとよい。この状
態ではワックスは0.1μm〜1.0μmの粒子となっ
ており、散布した場合、プレスロールの粗面の凹部に容
易に入り込み易い。しかも粒子が細かいため表面積が多
くなり、プレスロールの熱により融着し易くなる。ここ
で界面活性剤は紙製品に対して悪影響を与えないもので
なければならず、表面サイズを破壊したり、紙繊維を脱
色したりするものであってはならない。界面活性剤の具
体的なものとしては、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ソルビタン脂肪酸エステル等が使用される。
【0031】界面活性剤の混合比は、乳化するのに必要
な最小限の量でよく、ワックスに対して、5〜30重量
%が採用される。具体的な散布の仕方として、紙質やプ
レスロールの等の条件に応じて、適宜、ワックスの50
〜5000倍の水を加えた紙離れ向上剤を使用する。
尚、常温では固体粒子であるワックスは、プレスロール
の表面に散布された後に、その表面温度(ロールとドク
ターの摩擦熱やフェルトを介して伝わる熱により幾分温
度が高くなる)により溶解し液状のワックスとなる必要
があるため、その融点はプレスロールの表面温度(例え
ば70℃)より低い程良い。また、実際にプレスロール
表面に上記ワックスを付与するのに散布ノズルが使用さ
れる。
【0032】ところで、紙離れ向上剤の主成分であるワ
ックスの供給量については、プレスロール表面に形成さ
れたワックス膜がなくならない程度に僅かづつ追加散布
することが必要である。そのワックス成分の供給量は、
通過する紙を基準に換算して、0.01〜10mg/m
2 であり、好ましくは、0.05〜2mg/m2 であ
る。供給量が、0.01mg/m2 より小さいと、ワッ
クス膜に破断が生じて均一なワックス膜を形成すること
ができず、また、供給量が10mg/m2 を越えるとワ
ックスが過剰に紙に転移するので紙の印刷適正が悪くな
る。ここで、プレスロールの直接表面に対して、ワック
スを主成分とする紙離れ向上剤を付与するための一連の
工程について述べる。
【0033】1)〔ワックス付与工程〕 円筒状のプレスロール1にワックスWを主成分とする紙
離れ向上剤を供給付与すると、対の他のプレスロールが
フェルトを介してプレスロールに対して紙を押し付ける
ように作用するため、プレスロールに付与されたワック
スWは、プレスロールの表面に圧を受け付着される
(A)そしてプレスロールの表面の粗い凹凸部を埋め
る。ワックスを界面活性剤にて細かい粒子(0.1μm
〜1.0μm)として分散させた場合は、その凹凸部に
入り込み易いものとなる。
【0034】2)〔ワックス膜形成工程〕 連続したワックスの供給により、プレスロール表面に付
着したワックスWは、プレスロール1の表面に薄いワッ
クス膜(数十ミクロン程度)を形成する(B)供給され
たワックスはプレスロールの表面熱によりワックスが溶
解し液状のワックス膜となる。ワックスはこのように、
室温よりやや高い温度、すなわちプレスロールの表面温
度よりやや低い温度の融点であればこのようなワックス
膜を形成できる。
【0035】3)〔ワックス転移工程〕 一方、プレスロール1の表面に形成されたワックス膜
は、供給されてくる紙によって圧接され続けるため、常
に少しづつそのワックスWが紙に転移していく(転移現
象)そのためプレスロール1に形成されたワックス膜は
徐々に減耗していく。
【0036】4)〔ワックス補充工程〕 ところが、依然としてプレスロールにはワックスWが供
給し続けられるので、前記消耗して減少した分は、すぐ
補充されていくことになる(D)尚、このワックスの減
少や補充作用は区別されたものではなく、協働して同時
になされるものである。
【0037】以上のように、抄紙機の運転中、移動して
いる新しいプレスロール表面にワックスを供給付与し続
けると、初期の段階では、上記1)〜2)工程が遂行さ
れる。次に、ワックスを続けて供給していくと、上記上
記3)〜4)工程が、遂行される。このように、ワック
ス付与工程、ワックス膜形成工程、ワックス転移工程、
ワックス補充工程の4つの各工程を経ることにより、プ
レスロール表面は常に一定のワックス膜が形成された状
態となる。このような状態では、プレスロール表面の剥
離性が高まるので、紙離れ点が低下してドローが下が
る。そのため過付着が防止されるのである。
【0038】そして従来のように、前もって、プレスロ
ール表面に汚染防止処理加工を施してあるものを使った
場合のように、抄紙機の運転と共に汚染防止効果が減少
してしまうことはなく、運転中は常に効果が維持でき
る。このワックス膜は、ドクター刃とプレスロールの間
の潤滑としても働くことから、ドクター刃及びプレスロ
ールともに磨耗が抑えられる。そのためプレスロールや
ドクター刃の交換サイクルが長くなる。またワックス膜
は、剥離性が良いため汚染物質の固着が防止される。そ
のためプレスロールの表面は常に平滑かつ高い離型性を
維持できる。
【0039】ここで、本発明で、プレスロール表面に紙
離れ向上剤を供給付与(具体的には散布)するための方
法を参考までに述べる。図3〜図5は、紙離れ向上剤の
散布方法を模式的に示すものである。図3は、長尺型の
散布ノズルから紙離れ向上剤を散布する状態を示したも
のであり、図4は、プレスロールの表面に向かって薬液
噴射装置の散布ノズル(対向型)から紙離れ向上剤を散
布する状態を示したものであり、図5は、移動型の散布
ノズルから紙離れ向上剤を散布する状態を示したもので
あり、。
【0040】因みに、図6は薬液である紙離れ向上剤を
散布するために使用する薬液噴射装置を示す。この薬液
噴射装置は、薬液タンク10から送られた紙離れ向上剤
を散布ノズルSからプレスロール表面に向けて散布する
ものである。必要に応じて、水を流量計11を介して取
り入れ、ミキサ12により混合して同時に散布ノズルS
から散布することもある。散布ノズルを変更することに
よって、プレスロールに対する散布手法を種々選択する
ことができる。ところで、本発明においては、ワックス
の散布する量は重要な点であるので、その散布の実験結
果を示す。
【0041】
【実施例】〔実施例1〕ベルベ多筒抄紙機(三菱重工
製)・新聞抄造時において、紙離れ向上剤を固定型の散
布装置のノズルを使って、ドクター刃の後にて、プレス
表面(温度75℃)に連続的に散布する運転を1ケ月行
った。ここで使用した紙離れ向上剤は、ワックス(パラ
フィンワックス,融点60℃)と界面活性剤の重量比を
8:2として混合し、10倍の水で希釈した10%の乳
化水溶液である。固定型の散布装置でプレスロール表面
に400倍に希釈したものを、毎分2000cc(密度
1g/cc)で散布した。
【0042】従って、ここでのワックスの供給量は、2
000g/分×1/400×10/100×8/10=
0.4g/分
【0043】その間に生産した紙(新聞紙)の印刷適性
・品質についても検査を行ったが、0.2mg/m2
微量のため影響はなかった。
【0044】ここでワックスの散布量は、通過する紙を
基準に換算して(紙速1000m/分、紙幅2mで抄紙
量2000m2 /分)、 0.4g/分×1/2000m2 /分≒0.2mg/m
2
【0045】その結果、プレス表面からの紙離れは向
上、本技術を適用する前に比較して、剥離点はPからP
1(図8参照)に30mm下に移動、剥離角αは低下、
ドローは1.8%が1.7%に減少した。また、汚れ粕
発生量は1日320gから8gに、紙切れ回数が月間8
回から5回に減少した。またドクター刃は磨耗減少によ
り使用限界時間が96から210時間、約2倍〜3倍に
延長した。
【0046】〔実施例2〕長網多筒抄紙機(小林製作所
製)ダンボール原紙抄造時において、紙離れ向上剤を対
向型の散布装置のノズルを使って、ドクター刃の後に
て、プレス表面に連続的に散布する運転を1ケ月行っ
た。ここで使用した紙離れ向上剤は、ワックス(マイク
ロクリスタリンワックス,融点50℃)と界面活性剤の
重量比を8:2として混合し、5倍の水で希釈した20
%の乳化水溶液である。固定型の散布装置でプレスロー
ル表面に400倍に希釈したものを、毎分2000cc
(密度1g/cc)で散布した。
【0047】従って、ここでのワックスの供給量は、 2000g/分×1/400×20/100×8/10
=0.8g/分
【0048】その間に生産した紙(ダンボール原紙)の
印刷適性・品質についても検査を行ったが、0.6mg
/m2 ・分の微量のため影響はなかった。
【0049】ワックスの散布量は通過する紙を基準に換
算して(紙速400m/分、紙幅3.5m、抄紙量14
00m2 /分)、 0.8g/分×1/1400m2 /分≒0.6mg/m
2
【0050】本マシンは原料が古紙100%であるこ
と、またその古紙も最近5〜6回のリサイクルのためガ
ムピッチ含有が多く、紙離れが悪くプレス部での紙切れ
が、1日平均3〜4であった。しかし、本技術を適用し
た結果、プレス表面からの紙離れは向上、剥離点はPか
らP1に10〜45mm下に移動、ドローは0.5%減
少した。結果、紙切れ回数は前月105回から65回に
減少、生産性は8.7%向上した。汚れ粕発生量は、1
日当たり、85gから12gに減少され、またドクター
刃の磨耗は1/2に減少、使用時間が倍に延長した。
【0051】〔実施例3〕(ワックス散布量を増加させ
て変えた場合) 実施例1において、ワックスの散布量を1.0mg/m
2 、5.0mg/m2とする以外、同様な処理を行っ
た。汚れ粕の発生量は1.0mg/m2 の場合で5g、
5.0mg/m2 の場合で3g、ドクター寿命も1.0
mg/m2 の場合で280時間、5.0mg/m2の場
合で320時間と改善していく傾向がみられた。
【0052】〔実施例4〕(ワックス散布量を減少させ
て変えた場合) 実施例1において、ワックスの散布量を0.1mg/m
2 、0.02mg/m 2 とする以外、同様な処理を行っ
た。散布量が0.1mg/m2 、0.02mg/mの場
合には、汚れ粕の発生量は、1日当たり、15g、50
gであった。またドクター刃の寿命は、180時間、1
40時間であった。
【0053】〔比較例1〕(水との比較) 実施例1と同じ条件で、紙離れ向上剤の散布を停止、水
のみ散布して1ケ月行った。水散布による紙離れ向上効
果は認められず、剥離点は運転開始12分後にワックス
散布前の状態に戻った(上昇した)。しかし、プレス表
面の粕上がりは減少、汚れ粕発生量は1日160gに、
また停止時、プレス表面の状態を観察したが、水散布し
ない時より付着物が減少していった。即ち、水散布は粕
除去に効果あることが確認できた。一方、ドクター刃の
磨耗減少効果はなく、使用限界時間は96時間であっ
た。
【0054】〔比較例2〕(高融点ワックスとの比較) 実施例1と同じ条件で、高融点ワックス(融点85℃)
の紙離れ向上剤を散布して1ケ月行った。ワックス融点
がプレス表面温度より高いため、ワックス粒子が溶解せ
ず、固形粒子のまま表面に付着、プレス表面は白濁、紙
離れ向上の効果は認められなかった。
【0055】水散布による、剥離点は運転開始12分後
にワックス散布前のP1点に戻った(上がった)。汚れ
粕発生量は1日170gに、また停止時、プレス表面の
状態を観察したが、ワックスの固形付着により汚染され
ていた。しかし、ドクター刃の磨耗は減少し、使用時間
は2倍になった。
【0056】〔比較例3〕(ワックスの供給量過大の場
合) 実施例1において、ワックスの散布量を20mg/m2
とする以外、同様な処理を行った。汚れ粕の発生量は3
g、ドクター寿命も320時間であった。ただ、紙面に
過剰なワックスが付与されることにより、後程の印刷工
程でインクの定着性を低下させる弊害が生じた。
【0057】〔比較例4〕(ワックスの供給量過小の場
合) 実施例1において、ワックスの散布量を0.005mg
/m2 とする以外、同様な処理を行った。しかし、ドク
ター刃先に発生する汚れ粕は、比較例1(水のみの場
合)と何ら変わっていなく、ドクター刃の寿命もほぼ同
様であった。
【0058】以上、本発明を説明してきたが、本発明は
実施の形態及び実施例にのみ限定されるものではなく、
その本質から逸脱しない範囲で、他の種々の変形例が可
能であることは言うまでもない。例えば、紙離れ向上剤
の供給付与の対象をプレスロールとして説明したが、適
用先は、これに限定されるものではなく、紙と直接に接
触して過付着現象が生じるロール、例えば、ガイドロー
ル等にも適応することが当然可能である。
【0059】
【発明の効果】常時、一定量の紙離れ向上剤を供給する
ことによって、プレスロールの表面にワックス膜を形成
維持することで、紙の過付着現象を極力防止し、プレス
ロールの汚染や磨耗を防止することができ、結果的に製
造される紙の品質を向上させることができる。また、プ
レスロールに付属されているドクター刃の磨耗も防止さ
れて耐久性が向上する。その結果、プレスロールやドク
ター刃のクリーニングや交換回数が減り、メインテナン
スも簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、抄紙機におけるプレスパートの一例を
示したものである。
【図2】図2はプレスパートの一部であり、その紙離れ
向上剤の供給付与の位置を示したものである。
【図3】図3は、長尺型の散布ノズルによる散布状態を
示す図である。
【図4】図4は、対向型の散布ノズルによる散布状態を
示す図である。
【図5】図5は、移動型の散布ノズルによる散布状態を
示す図である。
【図6】図6は、紙離れ向上剤を散布するために使用す
る薬液噴射装置を示す。
【図7】図7は、プレスパートにおいて、その紙のプレ
スロール表面に対する過付着現象の生ずる位置X1,X
2を示した図である。
【図8】図8は、過付着現象を拡大図して示した図であ
る。
【符号の説明】
1…プレスロール 1A…ロール 2…紙 3…ドクター刃 4…フエルト 10…薬液タンク 11…流量計 12…ミキサー P…紙離れ点 P1…紙離れ点 Q…理想離脱点 S…噴射ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21F 1/32 - 1/34 D21F 3/00 - 3/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抄紙機の運転により紙が供給されている
    状態のプレスロールにおいて、その表面に対する紙の過
    付着を防止させる方法であって、回転するプレスロール
    の直接表面に対して、プレスロールの表面温度より低い
    融点をもつワックスを主成分とする一定量の紙離れ向上
    剤を連続的に供給付与せしめ続けることを特徴とする過
    付着の防止方法。
  2. 【請求項2】 抄紙機の運転により紙が供給されている
    状態のプレスロールにおいて、その表面に対する紙の過
    付着を防止させる方法であって、回転するプレスロール
    の直接表面に対して、融点が60℃以下であるワックス
    を主成分とする一定量の紙離れ向上剤を連続的に供給付
    与せしめ続けることを特徴とする過付着の防止方法。
  3. 【請求項3】 紙離れ向上剤として用いるワックスが、
    パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、
    ワセリン、合成ワックス、アルカン純品(C17〜C2
    7)、α−オレフィン、アルケン純品(C19〜C2
    9)、動植物性グリセライド類の群の中から選ばれた1
    以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の過付
    着の防止方法。
  4. 【請求項4】 上記紙離れ向上剤は、プレスロールの表
    面に対して散布により供給付与されることを特徴とする
    請求項1又は2記載の過付着の防止方法。
  5. 【請求項5】 抄紙機の運転により紙が供給されている
    状態のプレスロールにおいて、その表面の紙の過付着を
    防止する方法であって、回転するプレスロールの直接表
    面に対して、プレスロールの表面温度より低い融点をも
    つワックスを主成分とする一定量の紙離れ向上剤を連続
    的に供給付与せしめ続け、該紙離れ向上剤中のワックス
    成分の供給量は、通過する紙を基準に換算して0.01
    〜10mg/m 2 であることを特徴とする過付着の防止
    方法。
  6. 【請求項6】 抄紙機の運転により紙が供給されている
    状態のプレスロールにおいて、その表面の紙の過付着を
    防止する方法であって、回転するプレスロールの直接表
    面に対して、融点が60℃以下であるワックスを主成分
    とする一定量の紙離れ向上剤を連続的に供給付与せしめ
    続け、該紙離れ向上剤中のワックス成分の供給量は、通
    過する紙を基準に換算して0.01〜10mg/m 2
    あること を特徴とする過付着の防止方法。
JP2000099015A 1999-03-31 2000-03-31 抄紙機のプレスロールに対する紙の過付着防止方法 Expired - Fee Related JP3273137B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000099015A JP3273137B2 (ja) 1999-03-31 2000-03-31 抄紙機のプレスロールに対する紙の過付着防止方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-94404 1999-03-31
JP9440499 1999-03-31
JP2000099015A JP3273137B2 (ja) 1999-03-31 2000-03-31 抄紙機のプレスロールに対する紙の過付着防止方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000345489A JP2000345489A (ja) 2000-12-12
JP3273137B2 true JP3273137B2 (ja) 2002-04-08

Family

ID=26435679

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000099015A Expired - Fee Related JP3273137B2 (ja) 1999-03-31 2000-03-31 抄紙機のプレスロールに対する紙の過付着防止方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3273137B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007197885A (ja) * 2005-12-28 2007-08-09 Maintech Co Ltd 機能性組成物、及びそれを用いた湿紙の剥離性向上方法
JP2008190098A (ja) * 2007-02-08 2008-08-21 Maintech Co Ltd 剥離剤及びそれを用いた湿紙の剥離性向上方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000096479A (ja) * 1998-09-25 2000-04-04 Mentec:Kk 抄紙機に使用される円筒状ドライヤの汚染防止方法
TW200422486A (en) * 2003-02-18 2004-11-01 Maintech Co Ltd Method for preventing paper web surface from fraying in papermaking machine, printing paper for use in offset printing, and release agent
TW200508455A (en) * 2003-04-09 2005-03-01 Maintech Co Ltd Method for preventing pollution on a dry part in a paper machine, and anti-pollution agent used for this method
JP5685359B2 (ja) * 2008-03-26 2015-03-18 日本製紙株式会社 抄紙機のプレスロール用剥離剤供給量制御装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007197885A (ja) * 2005-12-28 2007-08-09 Maintech Co Ltd 機能性組成物、及びそれを用いた湿紙の剥離性向上方法
JP2008190098A (ja) * 2007-02-08 2008-08-21 Maintech Co Ltd 剥離剤及びそれを用いた湿紙の剥離性向上方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000345489A (ja) 2000-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4885120B2 (ja) ベルト調整装置及び抄紙機
JP3273137B2 (ja) 抄紙機のプレスロールに対する紙の過付着防止方法
US7144478B1 (en) Pollution control method for cylindrical dryer used in paper machine
US20060147636A1 (en) Method and apparatus of forming a coating fluid pattern
JP2000096476A (ja) 抄紙機に使用されるカンバスの汚染防止方法
JP3197576B2 (ja) 紙のコーティング工程におけるブツの発生を防止するための装置及び方法
JPH04130190A (ja) 抄紙用ドライヤー表面清浄潤滑剤
US6468394B1 (en) Method of preventing over-adhesion of paper onto press roll of paper machine
JP2009280935A (ja) 抄紙プレス工程における汚れ防止剤及びこれを用いた汚れ防止方法
US1944835A (en) Making filled surface paper
EP1124007B1 (en) Pollution prevention method for cylindrical dryers used in paper machines
JPH07279081A (ja) ストーンロールからの湿紙の剥離性の改善方法
JP2005314814A (ja) 抄紙機における走行部品の表面の汚染防止方法及びそれに使用する汚染防止剤
JP2010001577A (ja) 印刷用紙の抄紙方法
JP3644643B2 (ja) 抄紙機におけるドライパートの汚染防止方法
JP2004332198A (ja) 抄紙機におけるドライパートの汚染防止方法に使用する汚染防止剤
US20060213631A1 (en) Staining prevention method for dry part of paper machine and staining inhibitor used for the method
JP2004332198A5 (ja)
JPH11217787A (ja) ストーンロールからの湿紙の剥離性の改善方法
GB2047124A (en) Coating both sides of a paper web
JP2005273026A (ja) ドクターブレードの摩耗防止方法
WO2004074570A9 (ja) 抄紙機における紙体表面のほつれ防止方法、オフセット印刷用印刷用紙及び離型剤
JP2006138047A (ja) 湿紙剥離剤
JPH11513441A (ja) 抄紙機における方法
JP2010031397A (ja) 抄紙用ロール

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees