JP3273092B2 - 蒸気回路の切換弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、蒸気管の接続の切換
えを行う蒸気回路の切換弁に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種切換弁は、たとえば図８に
示すように、複数の弁箱側通路５Ａが形成された弁箱５
と、弁体側通路１Ａをもち、前記弁箱５に対し回動され
る弁体１とを備え、前記弁箱５に対し弁体１を回動する
ことにより、その弁体側通路１Ａを前記弁箱側通路５Ａ
に選択的に連通させるようにしている。

【０００３】また、前記弁体１と弁箱５との間には、弁
箱側通路５Ａに連通する連通孔７ａが形成されたテフロ
ンなどのシール用ガスケット７を介挿させるとともに、
前記弁箱５の弁体に対向する部分で弁箱側通路５Ａの外
周囲に、この弁箱側通路５Ａよりも大径の取付孔５ｂを
形成して、この取付孔５ｂに前記ガスケット７の位置決
め用ブッシュ１５を圧入手段などで固定している。

【０００４】前記ブッシュ１５は、その弁体１側の端部
１５ａが前記ガスケット７における連通孔７ａの中間位
置にまで挿入され、前記ブッシュ１５の端部１５ａと弁
体１の端面１ａとの間には、所定のクリアランスＴを形
成している。このクリアランスＴを設ける理由は、前記
ブッシュ１５を、その端部１５ａが弁体１の端面１ａに
直接接触するまで挿入させると、前記ブッシュ１５が弁
体１の端面１ａを傷付けたり、また、スプリング（図示
せず）による弁体１の弁箱５側への押圧力が、ブッシュ
に作用する結果、前記ガスケット７に作用しなくなっ
て、ガスケット７のシール力が発揮されなくなるからで
ある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、以上のよう
に、前記ブッシュ１５の弁体側端部１５ａと弁体１の端
面１ａとの間にクリアランスＴを形成すると、このクリ
アランスＴを介して前記ガスケット７における連通孔７
ａの回りが蒸気に曝されて劣化や損傷を招き、この結
果、ガスケット７のシール性が損われて、連通孔７ａが
隣接する連通孔（図示せず）などに連通したりすること
があった。

【０００６】この発明は、以上のような問題に鑑みてな
されたもので、その目的は、ガスケットのシール力を維
持しながら、ブッシュが弁体の端面を傷付けたり、ガス
ケットが蒸気に曝されて劣化や損傷したりするのを防止
できる切換弁を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の切換弁は、弁箱側通路からガスケットに
形成した連通孔へとブッシュを挿入するとともに、この
ブッシュにおける弁箱側の端部を押圧して連通孔側の端
部を弁体に圧接させる弾性部材を設けている。

【０００８】

【作用】以上の切換弁では、ブッシュがガスケットの連
通孔に貫通され、このブッシュの弁体側端部が弾性部材
を介して弁体の端面に弾力的に押圧されているため、前
記ブッシュが弁体の端面でこじられてこの端面を傷付け
ることはない。また、前記ガスケットにスプリングによ
る弁体の押圧力が作用するから、ガスケットのシール力
が十分発揮される。しかも、このガスケットの内面がブ
ッシュによって完全に覆われるから、ガスケットが蒸気
に直接曝されて劣化したり損傷することもない。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図２は、この発明の第１実施例としてスチームト
ラップ付き切換弁の全体構造を示している。この切換弁
は、弁体側通路１Ａが形成され、回動軸心ａを中心に回
動される弁体１と、蒸気管Ａの一次側が接続される一次
側導入口２をもつハウジング３と、弁箱側通路５Ａが形
成され、蒸気管Ａの二次側が接続される二次側導出口４
をもつ弁箱５とを備え、この弁箱５に対し弁体１を回動
軸心ａを中心に回動させることにより、その弁体側通路
１Ａを前記弁箱側通路５Ａに選択的に連通させるように
している。

【００１０】そして、前記弁体１の回動軸心ａに沿った
一側方（図の左方）位置に前記一次側導入口２を、ま
た、他側方（図の右方）位置に前記弁箱５を配設し、こ
の弁箱５の他側部に前記導出口４を形成し、これら導入
口２、弁体１、弁箱５および導出口４を、前記回動軸心
ａに沿って一直線上に形成する。また、前記弁体１の回
動軸心ａ上には、ガスケット７を弁箱５に固定するため
のねじ体５ａが取り付けられている。

【００１１】前記弁体１は、前記ハウジング３と弁箱５
とに収納され、これら両者の対向部位でハウジング３の
一部に切欠溝３ａを形成するとともに、前記弁体１に取
付孔１ａを設けて、この取付孔１ａに取付けられる操作
レバー６を前記切欠溝３ａから外方に突出させる。これ
により、レンチのような操作用の工具が不要となるうえ
に、レバー６の弁体周方向位置を視認することにより、
ただちに弁体１のポジションを判別できる。

【００１２】また、前記弁体１と弁箱５との対向面に
は、ガスケット７を介装させるとともに、前記弁体１の
一側面とハウジング３の内壁面との間にスプリング８を
設けて、このスプリング８により前記弁体１を弁箱５側
に押圧している。

【００１３】さらに、前記弁箱５にはスチームトラップ
９が内装されており、このスチームトラップ９は、前記
弁箱５にトラップ室９ａを形成し、このトラップ室９ａ
内に例えばダイヤフラム式の弁９ｂを配設するととも
に、前記トラップ室９ａの蒸気出口側には、後述する出
口側通路に連通する流出孔９ｃをもった前記弁９ｂの受
部材９ｄを設けている。このスチームトラップ９は、前
記トラップ室９ａに高温の蒸気が導入されたとき、前記
弁９ｂで受部材９ｄの流出孔９ｃを閉鎖し、導入蒸気が
冷却されて復水が前記トラップ室９ａ内に滞留したと
き、前記流出孔９ｃを開放させて、復水を後述する出口
側通路および二次側通路から外部に排出するようになっ
ている。なお、９ｅは前記トラップ室９ａを閉鎖する蓋
板であり、ボルト１８によって弁箱５に取り付けられて
いる。

【００１４】さらに、前記弁箱５に設ける弁箱側通路５
Ａとして、この弁箱５におけるガスケット配設側の一側
面から前記トラップ室９ａの蒸気入口側に延びる入口側
通路１０と、同トラップ室９ａの蒸気出口側から前記弁
箱５の一側面に向けて延びるＬ字状の出口側通路１１
と、前記回転軸心ａの方向に沿って弁体１を貫通し、前
記二次側導出口４に連通される二次側通路１２とをそれ
ぞれ形成している。前記出口側通路１１におけるトラッ
プ室９ａへの開口側には、前記受部材９ｄが取付けられ
る。これら各通路１０〜１２の軸方向から見た配置関係
は図３に示すとおりである。

【００１５】また、図２の弁体１に設ける弁体側通路１
Ａとして、前記ハウジング３内に臨む一側面から他側面
にかけて貫通し、前記弁体１の回動操作によって前記弁
箱側通路５Ａの入口側通路１０と二次側通路１２とに選
択的に連通される貫通孔１３と、前記弁体１のガスケッ
ト配設側の他側面に開口するＵ字状の連通孔１４とを形
成している。この連通孔１４は、前記貫通孔１３と入口
側通路１０とが連通されたとき、前記出口側通路１１と
二次側通路１２とを連通させ、前記貫通孔１３と二次側
通路１２とが連通されたとき、前記出口側通路１１と入
口側通路１０とを遮断し、前記貫通孔１３が閉止された
とき、前記出口側通路１１と入口側通路１０とを遮断す
る。これら各通路１３，１４の軸方向から見た配置関係
は図４に示すとおりである。

【００１６】そして、図１に示すように、前記弁箱５に
設けた各通路１０，１１，１２、つまり弁箱側通路５Ａ
の外周囲で弁体１側に、この弁箱側通路５Ａよりも大径
とされた筒状ブッシュ１５を挿通支持するための取付孔
５ｂを、ブッシュ１５の長さよりも長寸に形成する。ま
た、前記ガスケット７における弁体側通路１Ａとの対向
位置に、この弁体側通路１Ａとよりも大径とされた連通
孔７ａを形成して、前記ブッシュ１５を取付孔５ｂから
連通孔７ａにかけて挿入するとともに、前記ブッシュ１
５の弁箱１側の端部１５ｂと前記取付孔５ｂの内方段部
との間に、弱いばね力をもつ皿ばねなどからなる弾性部
材１６を介装させて、この弾性部材１６を介して前記ブ
ッシュ１５の先端部１５ａを弁体１の端面に常時弾力的
に押圧するようにしている。

【００１７】次に、以上の構成による作用を図５に基づ
いて説明する。先ず、同図の（ａ）で示すように、前記
弁体１の回転操作により、その貫通孔１３が前記弁箱５
の入口側通路１０に対向位置したときには、前記弁体１
のＵ字状の連通孔１４が前記弁箱５の出口側通路１１お
よび二次側通路１２の両方に対向位置して、前記一次側
導入口２をスチームトラップ９を介して二次側導出口４
に連通させたトラップ作動状態となる。

【００１８】また、図５の（ａ）の状態から（ｂ）で示
すように、前記弁体１を約４５度回転させて、その貫通
孔１３を前記弁箱５の盲部に位置させたときには、前記
貫通孔１３が閉鎖され、かつ、連通孔１４と二次側通路
１２とが遮断される。これにより、前記導入口２から導
出口４側への蒸気流通が遮断されたストップ状態とな
る。この状態で、スチームトラップ９を介さない入口側
通路１０と出口側通路１１との連通は、遮断されたまま
である。このようなストップ状態として、前記スチーム
トラップ９に蒸気が流れ込むのを阻止したうえで、スチ
ームトラップ９のメンテナンス作業を行う。

【００１９】さらに、図５の（ｂ）の状態から（ｃ）で
示すように、前記弁体１をさらに約４５度回転させて、
その貫通孔１３を前記弁箱５の二次側通路１２に対向位
置させたときには、前記導入口２と入口側通路１０、お
よび出口側通路１１と導出口４の連通がそれぞれ遮断さ
れ、前記導入口２からの蒸気が、前記スチームトラップ
９を通ることなく、二次側通路１２から二次側導出口４
に直接供給されるバイパス状態となる。この状態で、や
はり、トラップ９を介さない入口側通路１０と出口側通
路１１との連通は遮断されたままである。このようなス
トップ状態として、一次側の蒸気を二次側、例えば大気
中に放出して、蒸気管のパージを行う。

【００２０】そして、以上のように、前記弁体１の回動
操作でトラップ作動状態やバイパス状態に切換えられる
とき、図１のブッシュ１５は、前記弾性部材１６のばね
力によりガスケット７の連通孔７ａを貫通して弁体１の
端面１ａ側に押圧される。この状態で、連通孔７ａの内
面は前記ブッシュ１５で覆われているため、前記連通孔
７ａの内面が蒸気に直接曝されることはなく、この蒸気
による前記ガスケット７の劣化や損傷が防止される。

【００２１】さらに、前記弾性部材１６は弱いばね力と
され、この弱いばね力で前記ブッシュ１５の弁体側端部
１５ａが弁体１の端面１ａ側に弾力的に押圧されている
ため、このブッシュ１５が弁体１の端面１ａを強く擦っ
て傷付けることはなくなる。また、スプリング８による
弁体１の押圧力がガスケット７に作用するので、ガスケ
ット７が弾力性変形によるシール力を十分発揮する。

【００２２】この発明は、前記第１実施例のタイプの切
換弁以外にも適用できる。例えば、前記実施例では、弁
体１はその径方向に突出して連結された操作レバー６に
より回動操作されるタイプであったが、これとは異な
り、図６および図７に示す第２実施例では、弁体１が、
その軸方向に突出して形成された操作レバー６により回
動操作されるようになっている。図６および図７におい
て、図１〜図４の第１実施例と同一または相当部分には
同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。この第
２実施例においても、皿ばねのような弾性部材１６を介
して、ブッシュ１５を弁体１の端面に常時弾性的に押圧
しており、これによって、前記第１実施例と同一の効果
が得られる。

【００２３】

【発明の効果】以上のように、この発明にかかる切換弁
によれば、弁箱側通路からガスケットに形成する連通孔
へとブッシュを挿入するとともに、このブッシュにおけ
る弁箱側の端部を押圧して、連通孔側の端部を弁体の端
面に圧接させる弾性部材を設けているため、ガスケット
のシール力を維持しながら、前記ブッシュが弁体の端面
を傷付けたり、このガスケットが蒸気に曝されて劣化や
損傷したりするのを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１実施例にかかる切換弁の要部を
示す断面図である。

【図２】同切換弁の全体を示す縦断面図である。

【図３】図２のIII −III 線方向から見た弁箱の端面図
である。

【図４】図２のIV−IV線方向から見た弁体の断面図であ
る。

【図５】弁体の切換ポジションによる各作動状態を説明
する図表である。

【図６】この発明の第２実施例にかかる切換弁の要部を
示す断面図である。

【図７】図６のVII −VII 線方向から見た弁箱の断面図
である。

【図８】従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

１…弁体、５…弁箱、１Ａ，５Ａ…蒸気通路、７…ガス
ケット、７ａ…連通孔、１５…ブッシュ、１５ａ，１５
ｂ…端部、１６…弾性部材、Ａ…蒸気管、ａ…回動軸
心。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 蒸気管の接続の切り換えを行う切換弁で
   あって、 弁箱側通路が形成された弁箱と、 弁体側通路が形成され、前記弁箱に収納されて回動軸心
   回りに回動し、その弁体側通路を前記弁箱側通路に選択
   的に接続させる弁体と、 この弁体を弁箱側へ押圧するスプリングと、 前記弁体と前記弁箱との間に介挿されたガスケットとを
   備え、 このガスケットに、前記弁箱側通路に連通する連通孔が
   形成され、この弁箱側通路から連通孔にかけてブッシュ
   が挿入され、 さらに、ブッシュにおける弁箱側の端部を押圧して連通
   孔側の端部を弁体に圧接する弾性部材を有する蒸気回路
   の切換弁。