JP3272682B2 - 太陽電池 - Google Patents
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- Photovoltaic Devices (AREA)
Description
る光電変換層が、アモルファスまたは微結晶のシリコン
薄膜により構成される太陽電池に関する。また、本発明
は、太陽電池の、テクスチャー構造を有する光反射性電
極に関する。また、本発明は、基板として有機樹脂フィ
ルムを用いた太陽電池の光反射性電極に関する。
を用い、少なくとも一つのPIN接合を形成した光電変
換層を持つ太陽電池が実用化されている。この太陽電池
において、光入射側と反対側の位置に設けられる光反射
性電極は、太陽電池に入射し、光電変換層で吸収されず
に透過した光を反射させて、光電変換層に再び入射さ
せ、光電変換層における光の吸収を促進させる働きを持
つ。
(Al)や銀(Ag)の単層膜や、これらと酸化インジ
ューム・スズ合金(ITO)や、酸化亜鉛(ZnO)、
酸化スズ(SnO2 )等の透光性導電膜、チタン(T
i)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、またはステ
ンレス等の金属膜との積層膜により形成される。
金属の結晶を、ある一定方向に配向させて、表面を凹凸
形状にし、いわゆるテクスチャー構造として、光電変換
層に入射し、吸収されずに光反射性電極に達した光をさ
まざまな方向に散乱反射させ、再度光電変換層に入射さ
せることにより、光の吸収効率を高める試みがなされて
きた。
性電極として用いた場合、下地基板、例えばガラス基板
や有機樹脂フィルム基板の上に、純アルミニウム(9
9.99%)膜をスパッタ法で形成していた。しかし、
この方法では、表面がほぼ平坦なアルミニウム膜しか得
られなかった。平坦なアルミニウム膜では、反射光は、
積分反射(全反射光の総量)のうち鏡面反射(反射光の
反射角が、入射光の入射角と同角度になる反射)が大部
分を占めてしまい、光の有効な利用が期待できなかっ
た。特に、入射光の長波長部分を、十分に利用できなか
った。
る方向に成長させて、テクスチャー構造を得る試みもな
されていた。例えば、光反射性電極にアルミニウムを用
いたとき、その表面を凹凸化させる方法として、アルミ
ニウムの膜をスパッタ法により形成するときに、基板を
加熱することで、アルミニウムの結晶化を促進させ、結
晶粒を生成させて表面を凹凸形状にする方法がある。し
かし、このような場合、結晶粒の大きさや形状が、太陽
電池の光反射性電極としては大きすぎ、あるいは、不揃
いとなって不適当となり、光電変換効率の向上には有効
ではなかった。また、膜質が不均一となってしまった。
さらに、このようにして形成されたアルミニウム膜のと
ころどころに、直径1μm程度の巨大異常結晶粒が成長
することがあった。このような、巨大異常結晶粒ができ
ることで、上部電極(光入射側の電極)と光反射性電極
とがショートしてしまう原因となってしまった。図5
に、従来の方法で作製されたアルミニウム膜において、
巨大異常結晶粒が形成されたの状態を示すSEM写真を
示す。
アルミニウム膜をスパッタ法にて形成すると、膜質が粗
くなり、緻密な膜質が得られなかった。そのため、光反
射性電極の光反射性が低下、電気抵抗の増大などを招
き、その結果、太陽電池としては、高い性能は得られな
かった。
を鑑み、太陽電池、特に可撓性を有する有機樹脂フィル
ム基板上に設けられた太陽電池の、光反射性電極を構成
するアルミニウム膜において、太陽電池の光電流(光起
電力による電流)の増加を図り、緻密かつ均質なテクス
チャー構造を得、入射光の長波長部分の有効利用を図
り、高性能な太陽電池を得ることを目的とする。
に、本発明の主要な構成は、基板、光反射性電極、光電
変換層、透明電極を少なくとも有して構成される太陽電
池において、前記光反射性電極は、不純物元素として、
シリコン、ニッケル、銅のいずれか1種以上を、0.1
〜6.0%含有するアルミニウム膜により構成されるこ
とを特徴とする太陽電池である。
極、光電変換層、透明電極を少なくとも有して構成され
る太陽電池において、前記光反射性電極は、不純物元素
として、シリコン、ニッケル、銅のいずれか1種以上
を、0.1〜6.0%含有するアルミニウム膜と、該ア
ルミニウム膜上に、不純物元素を実質的に含有しないア
ルミニウム膜とを少なくとも有することを特徴とする太
陽電池である。
極、光電変換層、透明電極を少なくとも有して構成され
る太陽電池において、前記光反射性電極は、不純物元素
として、シリコン、ニッケル、銅のいずれか1種以上
を、0.1〜6.0%含有するアルミニウム膜と、該ア
ルミニウム膜上に、不純物元素を実質的に含有しない銀
膜とを少なくとも有することを特徴とする太陽電池であ
る。
極、光電変換層、透明電極を少なくとも有して構成され
る太陽電池において、前記光反射性電極は、不純物元素
として、シリコン、ニッケル、銅のいずれか1種以上
を、0.1〜6.0%含有し、かつ、表面の平均粗さが
50nm以上である、アルミニウム膜と、該アルミニウ
ム膜上に、不純物元素を実質的に含有しないアルミニウ
ム膜とを少なくとも有することを特徴とする太陽電池で
ある。
極、光電変換層、透明電極を少なくとも有して構成され
る太陽電池において、前記光反射性電極は、不純物元素
として、シリコン、ニッケル、銅のいずれか1種以上
を、0.1〜6.0%含有し、かつ、表面の平均粗さが
50nm以上である、アルミニウム膜と、該アルミニウ
ム膜上に、不純物元素を実質的に含有しない銀膜とを少
なくとも有することを特徴とする太陽電池である。
不純物元素は、特にシリコンを用いることが好ましい。
また、基板は、ガラスや金属の他に、有機樹脂フィルム
であってもよく、有機樹脂フィルムの材料としては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、アラミドか
ら、選択されたものを用いることができる。
して、シリコン、ニッケル、銅のいずれか1種以上を、
0.1〜6.0wt%含有するアルミニウムをターゲッ
トとして、スパッタ法により、基板温度を50〜200
℃として、基板上にアルミニウム膜を形成することを特
徴とする太陽電池用電極の作製方法である。
して、シリコン、ニッケル、銅のいずれか1種以上を、
0.1〜6.0wt%含有するアルミニウムをターゲッ
トとして、スパッタ法により、基板温度を50〜200
℃として、基板上に凹凸形状を有するアルミニウム膜を
形成する工程と、前記アルミニウム膜上に、不純物元素
を実質的に含有しないアルミニウム膜または銀膜を形成
する工程とを有することを特徴とする太陽電池用電極の
作製方法。
各構成において、不純物元素は、特にシリコンを用いる
ことが好ましい。また、基板は、ガラスや金属の他に、
有機樹脂フィルムであってもよく、有機樹脂フィルムの
材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミ
ド、アラミドから、選択されたものを用いることができ
る。
板を加熱して、該基板より気体を放出させる工程と、該
工程の後、スパッタ法により、基板温度を50〜200
℃として、前記基板上にアルミニウム膜を形成する工程
と、を少なくとも有することを特徴とする太陽電池用電
極の作製方法である。この構成において、スパッタ法
は、DCスパッタ法の他、RFスパッタ法を用いること
ができる。
板を加熱して、該基板より気体を放出させる工程と、該
工程の後、不純物元素として、シリコン、ニッケル、銅
のいずれか1種以上を、0.1〜6.0wt%含有する
アルミニウムをターゲットとして、スパッタ法により、
基板温度を50〜200℃として、前記基板上にアルミ
ニウム膜を形成する工程と、を少なくとも有することを
特徴とする太陽電池用電極の作製方法である。この構成
において、不純物元素は、特にシリコンを用いることが
好ましい。
シリコンを、0.1〜6.0wt%、好ましくは、0.
5〜2.0wt%含有する、アルミニウムをターゲット
とし、基板温度を50〜200℃、好ましくは、70℃
〜150℃としたスパッタ法により、基板上にアルミニ
ウム膜を形成することで、太陽電池の、光反射性電極に
適した凹凸を有するアルミニウム膜が得られることを発
見した。なぜそのようになるのか、詳しいことはわかっ
ていない。
の含有量は、0.1〜6.0%、好ましくは0.1〜
2.0%、さらに好ましくは、0.1〜1.0%である
(オージェ電子分光分析法による)。特に、アルミニウ
ム膜中の不純物元素の含有量が1.0%以下のとき、ア
ルミニウム膜の拡散反射率(積分反射率−鏡面反射率)
が高くなり、極めて好ましかった。
としてシリコンの含有量と、アルミニウム膜の拡散反射
率(入射光の波長650nm、規格値)との関係を示
す。図12においては、アルミニウムターゲットのシリ
コン含有量を、0.5wt%、1.0wt%、2.0w
t%の時の例を示している(スパッタ時の基板温度15
0℃)。
の含有量は、ターゲットの不純物元素含有量が、0.
5、1.0、2.0wt%のとき、それぞれ、0.2〜
0.4%代表的には0.3%、0.3〜1.0%代表的
には0.7%、0.6〜1.5%代表的には1.0%で
ある。
とで、凹凸を構成する結晶粒が大きくなり、拡散反射率
(Diffuse Reflectance)が増加する傾向が見られる。こ
れを図16に示す。
i)が好ましいが、シリコン以外に、ニッケル(N
i)、銅(Cu)等を用いても、同様の効果がある。ス
パッタ法としては、DCスパッタ法、RFスパッタ法
が、特に好ましい結果が得られる。
は、均質な結晶粒が緻密に形成される。そして、結晶粒
は、平均粒径が、数百〜数千Åとなり、太陽電池の光反
射性電極として、テクスチャー構造の凸部を構成して入
射光、特に長波長光をより反射させるのに適した大き
さ、形状を得ることができる。このようにして、本発明
により、緻密なテクスチャー構造を有する、太陽電池の
光反射性電極として優れたアルミニウム膜を形成するこ
とができる。この緻密なテクスチャー構造を有するアル
ミニウム膜を、光反射性電極として用いた太陽電池は、
従来の平坦なアルミニウム膜を用いた場合と比較して、
光電流量が増加し、光電変換効率を大幅に向上させるこ
とができる。また、結晶粒が異常に巨大に成長してしま
うことを防ぐことができる。よって、太陽電池の透光性
電極と、下部電極間でのショートを発生を防ぐことがで
きる。
ニウム膜の膜厚の増加に従って凹凸の数が増加し、凹凸
を形成するアルミニウムの粒子の粒径も巨大化する。光
反射性電極の凹凸形状は、前述のように、太陽電池の変
換効率を増加させるものである。
ろ、太陽電池の開放電圧等が低下し、悪影響を及ぼすこ
ともある。図8に示すデータで、光反射性電極の凹凸形
状が、太陽電池の特性に与える影響を説明する。図8
は、表面の平均粗さ(JIS B0601 Rz(10
点平均粗さ)に従って測定)が異なる光反射性電極を用
いて作製した太陽電池の、AM1.5、100mW/c
m2 光下の特性のうち、光電流(ここでは短絡電流)と
開放電圧の特性を示している。図8において、短絡電流
は、凹凸が大きくなるに従い、増加することが観測され
ている。これは、主にテクスチャー構造による光閉じ込
め効果で、光電変換層で吸収される光が増加するためで
ある。
程度のところから低下することが観測された。開放電圧
の低下は、光電変換層の接合の不均一性に起因するもの
であると考えられる。凹凸化した光反射電極上に形成さ
れた、光電変換層は、PIN接合構造を有し、薄く形成
されるP型、N型の層で10〜30nm、I型層は30
0〜500nmである。下地が凹凸形状を有している場
合、その上に形成される光電変換層は、下地の凹凸形状
の影響をうけて、膜厚が不均一となる。凹凸の平均粗さ
が、光電変換層を構成するP型またはN型の層の膜厚以
上になると、この影響が無視できなくなり、開放電圧が
低下することが考えられる。
ルミニウム膜の凹凸形状を大きくすると、光閉じ込め効
果により光電流は増加するが、開放電圧が低下していく
ため、結果として変換効率を十分に向上できなかった
り、場合によっては、凹凸形状を設けた場合の方が、変
換効率、低下してしまうことがあった。ゆえに、テクス
チャー構造の効果を有効に引き出すことができないこと
があった。
陽電池の光反射電極として、不純物元素として、例えば
シリコンを0.1〜6.0wt%、好ましくは0.5〜
2.0wt%含有する、表面に凹凸形状を有するアルミ
ニウム膜上に、不純物元素を実質的に含有していない
(不純物元素含有量が0.1%未満であって、不純物元
素が意図的には添加されていない)アルミニウム膜また
は銀膜を設けた構成とした。このようにすることで、表
面に凹凸形状を有するアルミニウム膜の凹凸形状を、不
純物元素を実質的に含有していなアルミニウム膜または
銀膜により緩和させることができ、その結果、太陽電池
の開放電圧を上昇させ、ひいては変換効率を高めること
ができることを発見した。
純物元素としてシリコン原子を0.1〜6.0wt%、
好ましくは0.5〜2.0wt%含有するアルミニウム
をターゲットとし、基板温度を50〜200℃、好まし
くは、70℃〜150℃としたスパッタ法により、基板
上に、不純物元素、例えばシリコンを含有する、表面に
凹凸形状を有するアルミニウム膜を形成する。そして、
該膜上に、不純物元素を実質的に含有していないアルミ
ニウムまたは銀をターゲットとし、前記表面に凹凸形状
を有するアルミニウム膜上に形成されたアルミニウム
膜、または銀膜を形成する。
る、表面に凹凸形状を有するアルミニウム薄膜の、鋭利
な凹凸形状を、該膜上に、不純物元素を実質的に含有し
ていないアルミニウム膜または銀膜を設けることで、緻
密な凹凸形状を有し、かつ鋭利な、あるいは巨大な凹凸
形状を含まない、太陽電池の光反射性電極を形成するこ
とができる。このような、凹凸形状を有するアルミニウ
ム膜の上に、不純物元素を実質的に含有していないアル
ミニウム膜または銀膜を設けた光反射性電極を用いた太
陽電池は、従来の凹凸形状を有する光反射性電極を用い
た太陽電池と比較して、短絡電流のみならず、開放電圧
が上昇し、光電変換効率を大幅に向上させることができ
る。
ム膜を形成する基板として、有機樹脂フィルム基板を用
いた場合において、有機樹脂フィルム上面にアルミニウ
ム膜を形成する前に、有機樹脂フィルムを加熱、より好
ましくは10-1pa以上の真空雰囲気中で加熱すること
により、有機樹脂フィルム内に存在する水分その他、加
熱や真空雰囲気によって気体として放出されてまう成分
を放出させること、すなわち脱ガス処理を行う。本出願
人は、このようにすることで、有機樹脂フィルム基板の
上面に形成されるアルミニウム膜が、上記脱ガス処理を
しない場合に比較して、緻密に形成されることを発見し
た。
(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレン
テレフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォ
ン)、ポリイミド、アラミド等が使用できる。特に、有
機樹脂フィルム基板として、PEN(ポリエチレンナフ
タレート)基板を用いる場合に、基板温度が、130℃
〜200℃、好ましくは、140℃〜180℃、さらに
好ましくは、約150℃となるようにして加熱して、有
機樹脂フィルム基板の脱ガス処理を行う。より好ましく
は1×10-1pa以上の真空雰囲気中にて、加熱して、
有機樹脂フィルム基板の脱ガス処理を行う。その後、加
熱した状態においてスパッタ法によりアルミニウム膜を
形成することで、緻密かつ均一な膜質のアルミニウム膜
を得ることができる。
ィルム基板に対し、基板を加熱した状態のスパッタ法に
て、不純物元素を含有するアルミニウムをターゲットと
してアルミニウム膜を形成することで、脱ガス処理をし
ない場合に比較して、より緻密、かつ均一な膜質を有
し、かつ太陽電池の光反射性電極に適した凹凸形状、テ
クスチャー構造を有するアルミニウム膜が得られる。該
アルミニウム膜上に、不純物元素を実質的に含有しない
アルミニウム膜または銀膜を設け、凹凸形状を緩和させ
ることは有効である。
ッタを行うと、熱、および真空雰囲気により、スパッタ
工程中に、水、酸素、窒素等の気体が、基板から放出さ
れる。そのために、基板上に飛散してきたアルミニウム
原子の基板上への付着が阻害される。したがって、気体
の放出がない基板に比較して、アルミニウムが十分に付
着せず、密度の粗いアルミニウム膜が形成されてしま
う。本発明構成のように、有機樹脂フィルムを予め脱ガ
ス処理しておくことで、基板からの気体の放出を防ぎ、
その結果、緻密で均質なアルミニウム膜を形成すること
ができる。脱ガス処理時の基板温度が高くなると、脱ガ
スに必要な時間が短縮される。
た有機樹脂フィルム基板に対し、他の元素を含有しない
純アルミニウム(99.99%)をターゲットとして用
い、基板温度を50℃〜200℃、好ましくは、70℃
〜150℃で、RFスパッタ法にて、アルミニウム膜を
形成することで、粒径数百Å〜数千Åの、均質で、緻密
な、テクスチャー構造のアルミニウム膜を形成すること
ができることを確認している。その理由は明らかではな
い。
脂フィルム基板上に、テクスチャー構造を有するアルミ
ニウム膜を光反射性電極とした、薄膜太陽電池を形成し
た例を示す。まず、有機樹脂フィルム基板として、ここ
では、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムを
用い、ロールツーロール式のマグネトロンDCスパッタ
装置にて、アルミニウム膜の成膜が行われる。有機樹脂
フィルム基板としては、他にPET(ポリエチレンテレ
フタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、ポ
リイミド、アラミド、等が使用できる。スパッタ法とし
ては、他に、RFスパッタ法を用いてもよい。
ル式のマグネトロンDCスパッタ装置の模式図を示す。
図2に、実施例1で作製した、光反射性電極に、テクス
チャー構造を有するアルミニウム膜を用いた太陽電池の
概念図を示す。まず、有機樹脂フィルムに吸着されたガ
スを取り除くために、脱ガス処理か行われる。図1に示
す装置において、まずチャンバー1内に、可撓性を有す
る有機樹脂フィルム基板5として、厚さ50μm〜15
0μm、ここでは、75μmのPENフィルムのロール
が、キャン3を介して、アンワインダ2、ワインダ4に
セットされ、テンションが掛けられて保持される。アン
ワインダ2、キャン3、ワインダ4に取り付けた駆動モ
ーターにより、有機樹脂フィルム基板5を搬送すること
ができる。チャンバー1内は、ロータリーポンプ及びク
ライオポンプ(図示せず)により、1×10-1pa以
上、ここでは、1×10-3pa台まで真空引きされる。
装置(図示せず)により、キャン3の温度を制御し、キ
ャン3を回転させて有機樹脂フィルム全体が加熱され
る。有機樹脂フィルム基板5の基板温度は、130〜2
00℃、好ましくは、140〜180℃、さらに好まし
くは、約150℃とする。有機樹脂フィルム基板5の基
板温度が、上記温度にて数分、好ましくは、5分以上保
持されるように、基板の搬送速度を制御し、脱ガス処理
が行われる。
了したら、再度、チャンバー1内が真空引きされ、1×
10-5pa台となる。真空引きができたら、不純物元素
として、1.0wt%のシリコン原子が添加されたアル
ミニウムターゲット6を用い、放電がされ、キャン3に
よりフィルムが搬送されつつ、DCスパッタが行われ
る。アルミニウムターゲット6に添加される不純物元素
として、シリコン以外に、ニッケル、または銅を用いて
もよい。ここでは、ターゲットは、裏面より水冷されて
いる。なお、プレスパッタ(プリコート)は、30分程
度行われる。投入電力は、0.8kwとする。スパッタ
リングガスとしては、アルゴン(Ar)を用い、チャン
バー内に100sccmにて流入され、スパッタ圧力が
0.5paに調整される。キャン3の温度制御により、
有機樹脂フィルム基板5の基板温度は、50〜180
℃、好ましくは、70〜150℃、ここでは、150℃
とする。成膜速度は、700〜7000Å/分、ここで
は、700Åとし、2000〜20000Å、ここで
は、2800Åの厚さに成膜される。
件を示す。 T−S Distance 85mm ターゲットサイズ 5×15inch スパッタ圧力 0.5pa スパッタガス アルゴン 100sccm 投入電力密度 1.6〜10.8×10-2W/cm2 ターゲット Al(Si dope0〜2wt%) フィルムPrebake 150℃ 6min 基板温度 70〜150℃ このようにして形成されたアルミニウム膜10は、緻密
なテクスチャー構造を有し、凸部を構成する結晶の平均
粒径は、数百Å〜数千Åである。形成されたアルミニウ
ム膜中の不純物元素の含有量は、0.9%(オージェ電
子分光分析法による)であった。また、形成されたアル
ミニウム膜の表面の平均粗さは、60nm(JIS B
0601 Rz(10点平均粗さ)に従って測定)であ
った。図6に、実施例1で作製した、アルミニウム膜の
表面の状態のSEM写真を示す。図5に示すように、巨
大異常成長した結晶は、観られない。ここで比較のため
有機樹脂フィルム基板5の温度を70℃、150℃とし
た場合の、形成されたアルミニウム膜の厚さと結晶成長
の様子を示す。図13は有機樹脂フィルム基板5の温度
を70℃とした場合における、シリコン原子が0.5w
t%添加されたアルミニウムターゲットを用いて作製し
たアルミニウム膜と、シリコン原子が添加されていない
アルミニウム膜の表面SEM写真を示したものである。
図14は有機樹脂フィルム基板5の温度を150℃とし
た場合における、シリコン原子が0.5wt%添加され
たアルミニウムターゲットを用いて作製したアルミニウ
ム膜と、シリコン原子が添加されていないアルミニウム
膜の表面SEM写真を示したものである。図13、図1
4から基板温度が高いほど、粒径の大きな結晶が得ら
れ、また膜厚の厚いものほど粒径の大きな結晶が得られ
ることがわかる。またシリコン原子を添加した場合のほ
うが、粒径のそろった結晶が一様に成長することがわか
る。以上のようにして、可撓性を有する有機樹脂フィル
ム基板5上に、緻密なテクスチャー構造を有するアルミ
ニウム膜10を形成することができる。
クスチャー構造を構成する結晶の粒径が大きくなる。図
7に、アルミニウム膜の膜厚に対する、拡散反射率(入
射光の波長650nm、規格値)を表したグラフを示
す。図7に示すように、アルミニウム膜の膜厚が、20
00Å〜20000Åの範囲では、膜厚が厚い方が、拡
散反射率の増加がみられる。
nO)を、100〜3000Å、ここでは、800Å程
度、スパッタ法により成膜される。また、バリア層11
としては、他に、ステンレスを、10〜500Å、例え
ば、50Å程度設けてもよい。ステンレス以外では、チ
タン(Ti)や、クロム(Cr)等でもよい。このバリ
ア層が酸化亜鉛(ZnO)の場合とステンレスとの場合
における太陽電池の短絡電流を測定した結果を図15に
示す。バリア層としては酸化亜鉛(ZnO)を採用した
ほうが、長波長側の光をより吸収しやすくなるため、有
利であることがわかる。
は、アモルファスシリコン薄膜を、プラズマCVD法に
て、N型層を300Å、I型層を3000Å、P型層を
200Å、それぞれ成膜される。N型層、P型層は、微
結晶、あるいは微結晶を含んだアモルファスのシリコン
薄膜でもよい。その後、透光性電極13として、スパッ
タ法により、ITO(酸化インジューム・スズ)膜を、
800Å成膜した。次に、配線電極(図示せず)が、印
刷法により形成される。最後に、配線加工して、太陽電
池が完成する。
したアルミニウム膜と、テクスチャー構造にしていな
い、従来のアルミニウム膜(スパッタ時の基板温度は、
室温、ターゲットは、99.99%の純アルミニウム)
とを比較する。ただし、両者共に、150℃にて5分
間、脱ガス処理した基板を用いたものである。図3は、
実施例1で作製したアルミニウム膜と、従来のアルミニ
ウム膜との、拡散反射率を比較したグラフを示す。ここ
で拡散反射率とは、積分反射率から、鏡面反射率を引い
た値である。(図16参照) 図3に示すように、本実施例で作製したアルミニウム膜
は、拡散反射率が大幅に増加している。
膜を光反射性電極として用いた太陽電池と、従来のアル
ミニウム膜を光反射性電極として用いた太陽電池の、入
射光波長に対する収集効率を示す。図4に示すように、
本実施例により作製したアルミニウム膜を光反射性電極
として、太陽電池を形成することで、入射光の長波長側
(波長約500nm〜800nm)の収集効率を、大幅
に向上させることができる。図19には本発明を用いて
作製したアルミニウム膜を光反射性電極として用いた太
陽電池であり、そのアルミニウム膜の拡散反射率が8
%、24% 70%の試料における入射光波長に対する
収集効率および反射率を示す。この図より長波長側の収
集効率が拡散反射率が大きいもの程大きくなっているこ
とがわかり、また反射率は長波長側で拡散反射率が大き
いものほど小さくなっていることがわかります。反射率
が小さいということは光電変換に寄与している光の量が
多いということになるため入射した光を効率良く利用し
ているということになる。
成の太陽電池の諸特性を比較した結果を表1に示す。比
較に使用した太陽電池は、共に面積が1cm2 のもので
ある。表1に示すように、本実施例で作製した太陽電池
は、従来の構成のものと比較して、開放電圧が約1%減
少しているが、短絡電流が約11%増加しており、その
結果、光電変換効率は、約8%向上させることができ
た。
ム基板5の脱ガス処理を行わずに、約150℃の基板加
熱をしながら、不純物元素として、シリコン原子が1.
0wt%添加されたアルミニウム膜が、スパッタ法にて
形成される。すると、結晶粒が成長してテクスチャー構
造となるが、膜質が疎となり、脱ガス処理した場合に比
較して、電気伝導度、光反射率等が低下してしまった。
法を用いて、ガラス基板上に、アルミニウム膜を設け、
太陽電池を形成した例を示す。基板としては、コーニン
グ7059ガラスを用いた。該ガラス基板が、チャンバ
ー内に設置され、7×10-4paまで真空引きされる。
基板温度は、50℃〜200℃、好ましくは、70℃〜
150℃、ここでは、150℃とする。スパッタは、R
Fスパッタ法により行われるまず、プレスパッタ(プリ
コート)が、30分行われる。本スパッタは、スパッタ
圧力を、0.5pa、スパッタリングガスとして、アル
ゴン(Ar)を、85sccm流入させ、スパッタパワ
ーを、1.3w/cm2 として、10分間行われる。ス
パッタレート(成膜レート)は、300Å/minであ
った。このようにして、シリコン原子が1.0wt%が
添加されたアルミニウム膜が、3000Åの厚さに形成
される。このようにして形成されたアルミニウム膜は、
緻密なテクスチャー構造を有し、凸部を構成する結晶の
平均粒径は、数百Å〜数千Åである。
O)を、100〜3000Å、ここでは、800Å程
度、スパッタ法により設けられる。次に、発電層が形成
される。ここでは、アモルファスシリコン薄膜を、プラ
ズマCVD法にて、N型層が300Å、I型層が300
0Å、P型層が200Å、それぞれ成膜される。N型
層、P型層は、微結晶、あるいは微結晶を含んだアモル
ファスのシリコン薄膜でもよい。その後、透光性電極と
して、スパッタ法により、ITO(酸化インジューム・
スズ)膜が、800Å成膜される。次に、配線電極が、
印刷法により形成される。最後に配線・加工して、太陽
電池が完成する。
コンが1.0wt%添加されたアルミニウムのターゲッ
トを用いたRFスパッタ法により形成された、テクスチ
ャー構造のアルミニウム膜を用いたガラス基板上の太陽
電池は、従来の、光反射性電極として平坦なアルミニウ
ム膜を用いた場合に比較して、長波長側の光を効率良く
吸収し、光電変換効率を大幅に向上させることができ
た。
樹脂フィルム基板上に、テクスチャー構造を有するアル
ミニウム膜と、該膜上に、該膜の表面の凹凸形状を緩和
する銀膜を形成して光反射電極とした、薄膜太陽電池を
形成した例を示す。
構造を示す図である。実施例3による太陽電池は、有機
樹脂フィルムからなる基板201と、凹凸形状を有する
シリコン原子を含有するアルミニウム膜202と、ステ
ンレスによる拡散ブロック層203と、銀膜204と、
酸化亜鉛膜205とが、積層された光反射性電極と、ア
モルファスシリコンを用いた光電変換層206と、酸化
インジューム・スズ合金による透光性電極207と、透
光性電極上に形成された補助電極208から構成され
る。また、光反射性電極において、銀膜204の代わり
に不純物元素を実質的に含有していないアルミニウム膜
を用いても良い。
μmの、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム
を基板として用い、ロールツーロール式のマグネトロン
直流(DC)スパッタ装置にて、太陽電池の光反射電極
となる電極膜の成膜か行われる。有機樹脂フィルム基板
としては、他にポリエチレンテレフタレート(PET)
や、ポリエーテルサルフォン(PES)や、ポリイミ
ド、等が使用できる。また、スパッタ法としては、マグ
ネトロンDCスパッタ法の他に、マグネトロン高周波
(RF)スパッタ法を用いることも可能である。
ール方式のマグネトロンDCスパッタ装置の模式図を示
す。図10に示す装置において、チャンバー301内
に、可撓性を有する有機樹脂フィルム基板305とし
て、厚さ50μm〜150μm、ここでは、75μmの
PENフィルムを用い、キャン303を介して、アンワ
インダ304にセットされ、テンションが掛けられて保
持されている。有機樹脂フィルム基板305は、アンワ
インダ302、キャン303、ワインダ304に取り付
けた駆動モーターにより、搬送される。ターゲット30
6−1、306−2、306−3、306−4が、基板
の搬送方向に対して順次並べられ、ターゲットと基板と
の間に設けられたスリットと、個別に供給される放電電
力により、堆積速度が個別に制御される。
てシリコン原子を、0.1〜6.0wt%、ここでは
1.0wt%含有するアルミニウムターゲットで、表面
に凹凸形状を有するアルミニウム膜を形成するためのも
のである。ターゲット306−2は、ステンレスであ
り、先に形成されたアルミニウム膜と、その上に堆積さ
れる銀とが、相互に反応しない為に設られる、拡散ブロ
ッキング層を形成するためのものである。ターゲット3
06−3は、銀であり、アルミニウム膜の凹凸形状の凹
凸を緩和するための膜を形成するためのものである。ま
た、銀の代わりに、不純物元素を実質的に含有しないア
ルミニウムを用いてもよい。ターゲット306−4は、
酸化亜鉛であり、下地の金属と、この上に堆積するシリ
コンとが、相互に反応しない為に設けられる、拡散ブロ
ッキング層を形成するためのものである。
及びクライオポンプによる排気手段308により、1×
10-3Pa程度の真空度まで真空排気される。まず膜形
成に先立って、有機樹脂フィルムに吸着された大気中の
ガスを取り除くために、脱ガス処理が行われる。有機樹
脂フィルム基板305は、キャン加熱装置309によ
り、キャン303の温度を制御し、有機樹脂樹脂フィル
ム基板305の搬送と共に、キャン303を回転させる
ことで、基板の加熱を可能にしている。脱ガス処理にお
ける基板温度は、130〜200℃、好ましくは140
〜180℃であり、本実施例では150℃とした。脱ガ
ス処理は、有機樹脂フィルム基板305の温度が、上記
温度にて数分、好ましくは、5分以上保持されるよう
に、基板の搬送速度を制御し、ロール状のフィルム基板
全体に渡って行われる。
が終了したら、再度、チャンバー301内を1×10-5
Pa程度になるまで真空排気した。この真空排気の後、
チャンバー301内にガス供給手段307により、純ア
ルゴンガスを100SCCM導入し、排気手段に設けた
圧力調節手段により、0.5Paの圧力に保持される。
電力を印加し、グロー放電を発生させ、スパッタ成膜が
開始される。スパッタ成膜においては、通常ターゲット
表面に付着した汚染物質を取り除くため、プレスパッタ
(プレコート)を行うが、本実施例では30分間にわた
って、有機樹脂フィルム基板305搬送させながら行わ
れる。有機樹脂フィルム基板305の基板温度は、キャ
ン303に付けられた加熱手段により、50〜200
℃、ここでは150℃の温度に制御される。
に移行した。有機樹脂フィルム基板上に堆積される膜の
厚さは、直流電力と、フィルム基板の搬送速度によっ
て、調節可能である。本実施例では、成膜速度の異なる
膜を連続して積層するため、各層の膜厚は、フィルム基
板の搬送速度を一定として、ターゲットに印加する直流
電力を調節することにより制御される。アルミニウム膜
の成膜速度は、70〜700nm/分が可能であるが、
ここでは、200nm/分とし、1000nmの厚さに
成膜される。形成されたアルミニウム膜中の不純物元素
の含有量は、0.5%(オージェ電子分光分析法によ
る)であった。また、形成されたアルミニウム膜の表面
の平均粗さは、90nm(JIS B0601 Rz
(10点平均粗さ)に従って測定)であった。ここで表
面の平均粗さと拡散反射率との関係を図17に示す。平
均粗さは上記10点平均粗さに従って測定したものであ
る。平均の粗さが増加する程、拡散反射率が大きくなる
ことがわかる。
00nm/分が可能であるが、ここでは、2nm/分と
し、10nmの厚さに成膜される。また、銀膜の成膜速
度は、10〜500nm/分が可能であるが、ここで
は、10nm/分として、100nmの厚さに成膜し
た。銀の代わりに、不純物元素を実質的に含有していな
いアルミニウムを用いる場合、成膜速度は20〜500
nm/分、例えば20nm/分として、100nm成膜
される。さらに、酸化亜鉛膜の成膜速度は、30〜25
0nm/分が可能であるが、ここでは、160nm/分
とし、80nmに厚さに成膜した。
は、図18に示す装置によりアモルファスシリコン層
を、プラズマCVD法で、N型層を300Å、実質的に
真正なI型層を5000Å、P型層を200Åの厚さ
に、順次成膜される。N型層、P型層は、微結晶、ある
いは微結晶を含んだアモルファスのシリコン薄膜でも良
い。
て、スパッタ法により、酸化インジウム・スズ合金(I
TO)膜を800Åの厚さに成膜される。また、ITO
膜はシート抵抗が100〜1000Ω/□と、太陽電池
の電極としては高抵抗であるため、補助電極として、グ
リッド状の電極が、銀で、ITO膜上に作製される。
と、透光性電極側にそれぞれ取り出し電極を設け、配線
加工をして、太陽電池が完成する。
凸形状を有するアルミニウム電極を用いた太陽電池の電
流−電圧特性を比較した結果を図11に示す。図11の
特性において、実施例3による太陽電池は、短絡電流が
約0.3mA増加し、16.3mAが得られており、開
放電圧は0.1V高い、0.84Vの値が得られてい
る。この開放電圧の値は、凹凸形状を持たないフラット
基板を用いた場合と同じ値であった。この結果は、光反
射電極を凹凸形状を有するシリコン原子を含有するアル
ミニウム膜と、その凹凸形状を緩和させる働きを持つ銀
膜との2層構造としたために得られたものと考えられ
る。
物元素としてシリコンを含有するアルミニウム膜と、該
膜上の銀膜と、を積層した凹凸形状を有する光反射性電
極を用いた太陽電池は、従来の、凹凸形状を有しない光
反射性電極を用いた太陽電池はもとより、凹凸形状を有
する光反射性電極を用いた太陽電池に比較しても、光電
変換効率を大幅に向上させることができた。また、銀膜
の代わりに、不純物元素を実質的に含有していないアル
ミニウム膜を用いた場合、銀膜と同様に、凹凸表面を有
するアルミニウム膜の凹凸形状を緩和させることがで
き、開放電圧を向上させることができた。ただし、アル
ミニウムは、銀と比較して光の反射率が低いため、短絡
電流が多少低下する分、銀を用いた場合より、太陽電池
の変換効率が少し低下する。
DCスパッタ法を用いて、ガラス基板上に、光反射性電
極を設け、太陽電池を作製した例を示す。
基板には、コーニング7059ガラスを用いた。スパッ
タ装置は、一般的なものを用い、ターゲットを適時交換
して、光反射性電極の形成を行われる。また、他の方法
としては、反応室内に必要な数のターゲッットを設置し
ておき、基板を順次移動させて処理することにより、連
続的に成膜を行うことも可能である。
スパッタ装置のチャンバー内には、前記ガラス基板と、
不純物元素としてシリコン原子が、0.1〜6.0wt
%、こでは1.0wt%添加されたアルミニウムのター
ゲットが、それぞれ設置され、その後7×10-4Paま
で真空排気される。基板温度は、50℃〜200℃、好
ましくは、70℃〜150℃、ここでは、150℃とし
た。
分間行われる。その後、実際に基板上に成膜を行う、本
スパッタが行われる。本スパッタは、スパッタリングガ
スとしてアルゴン(Ar)を用い、チャンバー内に85
SCCMの流量で供給し、チャンバー内の圧力を0.5
Paに保持して行われる。前記ターゲットに800Wの
直流電力を印加したとき、成膜速度は100nm/分が
得られ、10分間の成膜により、1000nmの膜厚を
有する、シリコン原子を含有するアルミニウム膜が形成
される。このようにして形成された、アルミニウム膜
は、膜の表面に凹凸形状を有していた。
ステンレス膜を1〜20nm、ここでは、10nmの厚
さに、銀膜が10〜200nm、ここでは100nmの
厚さに、また、酸化亜鉛膜が10〜300nm、ここで
は、80nmの厚さに、順次積層される。
を、プラズマCVD法で、N型層を30nm、I型層を
500nm、P型層を20nm、の厚さにそれぞれ成膜
される。N型層、P型層は、微結晶、あるいは微結晶を
含んだシリコン膜でも良い。
り、酸化インジューム・スズ合金膜(ITO)が、80
nmの厚さに成膜される。さらに、ITO膜は、シート
抵抗が100〜1000Ω/□と、太陽電池の電極とし
ては高いために、補助電極として、グリッド状の電極
が、銀でITO膜上に設けられる。
ぞれ取り出し電極を設け、配線加工をして、太陽電池が
完成した。
れた太陽電池は、凹凸表面を有するアルミニウム膜上
に、銀膜が形成されていない従来の太陽電池に比較し
て、開放電圧が上昇し、変換効率を向上させることがで
きた。
クスチャー構造を有する、太陽電池の光反射性電極とし
て優れたアルミニウム膜を形成することができた。この
緻密なテクスチャー構造を有するアルミニウム膜を、光
反射性電極として用いた太陽電池は、従来の平坦なアル
ミニウム膜を用いた場合と比較して、光電変換効率を大
幅に向上させることができた。また、結晶を巨大異常成
長させることがないため、太陽電池の透光性電極と、光
反射性電極間で、ショートを発生させることがなくなっ
た。
ニウム膜上に、銀またはアルミニウムの膜を設けること
で、光反射性電極を構成するアルミニウム膜を単に凹凸
形状とした場合と比較して、緻密なテクスチャー構造を
有し、かつ鋭利な凹凸形状を有していない、太陽電池の
光反射性電極を得ることができた。この光反射性電極を
用いた太陽電池は、従来の、凹凸形状を有する光反射性
電極を用いた太陽電池と比較して、開放電圧が上昇し、
光電変換効率を大幅に向上させることができた。
合において、緻密かつ均一な、テクスチャー構造を有す
るアルミニウム膜を得ることができ、このアルミニウム
膜を光反射性電極として用いることで、有機樹脂フィル
ム基板上の太陽電池の光電変換効率を、大幅に向上させ
ることができた。
ネトロンDCスパッタ装置の模式図を示す。
スチャー構造を有するアルミニウム膜を用いた太陽電池
の概念図を示す。
のアルミニウム膜との、拡散反射率を比較したグラフを
示す。
性電極として用いた太陽電池と、従来のアルミニウム膜
を光反射性電極として用いた太陽電池の、入射光波長に
対する光電変換効率を示したグラフを示す。
いて、巨大異常結晶粒が形成されたの状態を示すSEM
写真。
を示すSEM写真。
(入射光の波長650nm)を表したグラフを示す図。
均粗さ)と、太陽電池の短絡電流と開放電圧の関係を示
す図。
断面構造を示す図。
マグネトロンDCスパッタ装置の模式図を示す図。
陽電池の特性とを比較した結果を示す図。
コンの含有量と、アルミニウム膜の拡散反射率との関係
を示す図。
場合の比較を示す図。
波長に対する収集効率および反射率を示したグラフを示
す。
Claims (6)
- 【請求項1】基板上に形成されたシリコン、ニッケル、
銅のいずれか一種類以上を0.1〜6.0wt%含むア
ルミニウム膜と、 前記アルミニウム膜上に形成されたステンレス膜と、 前記ステンレス膜上に形成された光電変換層と、 前記光電変換層上に形成された透明電極と、 を有することを特徴とする太陽電池。 - 【請求項2】基板上に形成されたシリコン、ニッケル、
銅のいずれか一種類以上を0.1〜6.0wt%含むア
ルミニウム膜と、 前記アルミニウム膜上に形成されたステンレス膜と、 前記ステンレス膜上に形成された銀からなる膜と、 前記銀からなる膜上に形成された光電変換層と、 前記光電変換層上に形成された透明電極と、 を有することを特徴とする太陽電池。 - 【請求項3】基板上に形成されたシリコン、ニッケル、
銅のいずれか一種類以上を0.1〜6.0wt%含むア
ルミニウム膜と、 前記アルミニウム膜上に形成されたステンレス膜と、 前記ステンレス膜上に形成された銀からなる膜と、 前記銀からなる膜上に形成された酸化亜鉛からなる膜
と、 前記酸化亜鉛からなる膜上に形成された光電変換層と、 前記光電変換層上に形成された透明電極と、 を有することを特徴とする太陽電池。 - 【請求項4】請求項1乃至請求項3のいずれか一項にお
いて、前記基板は有機樹脂フィルムであることを特徴と
する太陽電池。 - 【請求項5】請求項4において、前記有機樹脂フィルム
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリエチレンサルフォン、ポリイミド又はアラ
ミドからなることを特徴とする太陽電池。 - 【請求項6】請求項1乃至請求項5のいずれか一項にお
いて、前記アルミニウム膜の表面の平均粗さが50nm
以上であることを特徴とする太陽電池。
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