JP3272467B2 - 透湿性防水布帛用ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents

透湿性防水布帛用ポリウレタン樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透湿性防水布帛用ポリウ
レタン樹脂組成物に関するもので、更に詳しくは耐塩素
性に優れた透湿性防水布帛用ポリウレタン樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、透湿性防水布帛に用いる透湿性材
料としてはポリテトラフルオロエチレン樹脂を延伸して
多孔質化させたフイルムや、ポリウレタン樹脂の湿式フ
イルムのような微多孔質フイルムを利用するものや(特
開昭59-15825号公報)、親水性を有するポリウレタン樹
脂の無孔質フイルム等が知られている。しかしながら従
来の微多孔質のフイルムでは、汗、汚れ等で目詰まりし
て透湿性が低下するという問題がある。この様な問題点
を解決するものとして、無孔質ポリウレタン樹脂フイル
ムが提案されており、この透湿性ポリウレタン樹脂フイ
ルムは、ポリウレタン樹脂中にポリオキシエチレンの親
水性セグメントを含有させたものである。また、ポリウ
レタン樹脂に親水性を付与する方法として、ポリオール
成分にポリオキシエチレングリコールやポリオキシエチ
レンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体等を用
いることはよく知られている(特公昭54-961号、特開昭
64ー62320号、特開平3ー203920号、特開平4ー180913号公報
等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、親水性
セグメントを含有させた無孔質ポリウレタン樹脂フイル
ムの場合には、これを使用した衣料用品等を、次亜塩素
酸ナトリウム等を用いて繰り返し塩素漂白処理を行う
と、耐塩素性不足のためフイルムが劣化し、そのため耐
水性能が著しく低下する問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、次亜塩素
酸ナトリウム等を用いて繰り返しての塩素漂白処理にと
もなうフイルムの劣化の問題のない耐塩素性に優れた透
湿性防水布帛用ポリウレタン樹脂組成物を得るべく鋭意
検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、
2種の異なるポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹
脂(B)、および有機溶媒(C)からなるポリウレタン
樹脂組成物において、少なくともポリウレタン樹脂
(A)が親水性であり、該樹脂組成物を基体に塗布、乾
燥させて得られる塗膜がミクロ相分離構造を形成するこ
とを特徴とする透湿性防水布帛用ポリウレタン樹脂組成
物である。
【0005】本発明における塗膜のミクロ相分離構造と
は、図1の顕微鏡写真で見られるような塗膜の表面状態
を称する。さらに詳しくは次の操作で判定する。すなわ
ちポリウレタン樹脂の樹脂固形分濃度が15重量%濃
度となるジメチルホルムアミド(以下DMFと略記)溶
液を、ポリエステルフイルム上に塗布、乾燥した後、ポ
リエステルフイルムから塗膜を剥す。 得られた厚さ50〜150μの塗膜を含金染料で染色
する。 実体顕微鏡[例えばオリンパス光学工業(株)社製実
体顕微鏡(SZH)]により6倍、24倍または48倍
に拡大して観察する。この得られた画像が 図2に認められるような(A)と(B)が完全に均一
に混和したために相として1相 あるいは 図3に認められるような(A)と(B)の混和状態が
不良のため非混和の2相が完全分離でもない図1のよう
な画像状態をミクロ相分離構造と称する。
【0006】また、本発明で称するポリウレタン樹脂
(B)のソルビリティーパラメーター値(以下SP値と
略記)とは文献 ”POLYMER ENGINEER
INGAND SCIENCE,February,1
974,Vol.14,No.2,PP.147〜15
2”に記載されているRobert.F.Fedors
の”A Method for Estimating B
oth the Solubility Paramet
ers and Molar Volumes ofLiq
uids”に記載された計算方法に基づいて計算したS
P値を意味する。
【0007】本発明のポリウレタン樹脂(A)は高分子
ジオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤からなるポ
リウレタン樹脂である。上記ポリウレタン樹脂(A)に
用いられるオキシエチレン基含有高分子ジオール(a)
としては、例えばポリオキシエチレングリコール(以下
PEGと略記)、ポリオキシエチレンオキシプロピレン
ブロック共重合ジオール、ポリオキシエチレンオキシテ
トラメチレンブロック共重合ジオール、エチレンオキシ
ドとプロピレンオキシドとのランダム共重合ジオール、
エチレンオキシドとテトラヒドロフランとのランダム共
重合ジオール;エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサメチレ
ングリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ
ン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−ジフ
ェニルプロパンなどの低分子グリコールのエチレンオキ
シド付加物;分子量1000以下のPEGとジカルボン
酸(例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフ
タル酸、イソフタル酸など)とを反応させて得られる縮
合ポリエーテルエステルジオールなど;およびこれらの
2種以上の混合物が挙げられる。オキシエチレン基含有
高分子ジオールの分子量は通常600〜5000、好ま
しくは800〜4000である。また、透湿性を害しな
い範囲で他の高分子ジオールを併用することもできる
【0008】他の高分子ジオールとしては例えば、ポリ
エーテルジオール(イ)、ポリエステルジオール
(ロ)、ポリカーボネートジオール(ハ)などおよびこ
れらの混合物が挙げられる。分子量は通常600〜50
00のものが挙げられる。ポリエーテルジオール(イ)
としてはオキシエチレン基を含有しないもの、例えばポ
リオキシプロピレングリコール(以下PPGと略記)、
ポリオキシテトラメチレングリコール(以下PTMGと
略記)、ポリオキシプロピレンオキシテトラメチレンブ
ロック共重合ジオールなどおよびこれらの2種以上の混
合物が挙げられる。
【0009】ポリエステルジオール(ロ)としては、低
分子ジオールおよび/または分子量1000以下のポリ
エーテルジオールとジカルボン酸とを反応させて得られ
る縮合ポリエステルジオールや、ラクトンの開環重合に
より得られるポリラクトンジオールなどが挙げられる。
上記低分子ジオールとしてはオキシエチレン基含有高分
子ジオールの項で述べた低分子グリコールなど挙げられ
る。分子量1000以下のポリエーテルジオールとして
はPPG、PTMGなどが挙げられる。ジカルボン酸と
しては脂肪族ジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン
酸、セバシン酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタ
ル酸、イソフタル酸など)など、ならびにこれらの2種
以上の混合物が挙げられる。ラクトンとしては、例えば
ε−カプロラクトンが挙げられる。(ロ)の具体例とし
ては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペー
ト、ポリ2,2−ジメチルトリメチレンアジペート、ポ
リ3−メチルペンタメチレンアジペート、ポリヘキサメ
チレンアジペート、ポリカプロラクトンジオールなど、
およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリカ
ーボネートジオール(ハ)としては、例えばポリヘキサ
メチレンカーボネートジオールが挙げられる。
【0010】本発明のポリウレタン樹脂(A)に用いら
れる有機ジイソシアネートとしては例えば芳香族ジイソ
シアネート[4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート(以下MDIと略記)、2,4−および/または
2,6−トリレンジイソシアネートなど]、脂肪族ジイ
ソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、リジ
ンジイソシアネートなど)、脂環式ジイソシアネート
(イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタ
ン4,4’−ジイソシアネートなど)などおよびこれら
の2種以上の混合物が挙げられる、好ましくは芳香族ジ
イソシアネートである。
【0011】鎖伸長剤としては、例えば低分子ジオール
[エチレングリコール(以下EGと略記)、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール(以下14BGと
略記)など]、脂肪族ジアミン(エチレンジアミンな
ど)、脂環式ジアミン(イソホロンジアミン、4,4’
−ジアミノジシクロヘキシルメタンなど)、芳香族ジア
ミン(4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど)、ア
ルカノールアミン(エタノールアミンなど)、ヒドラジ
ンなどおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる、
好ましくは低分子ジオールである。
【0012】ポリウレタン樹脂(A)中のポリオキシエ
チレン基含量は通常10〜80重量%、好ましくは20
〜70重量%である。10%未満では透湿性が乏しい、
80重量%を超えると得られる塗膜の強度が弱く実用で
きない。
【0013】本発明のポリウレタン樹脂(B)に用いら
れる高分子ジオール(b)としては、前記他の高分子ジ
オールの項で例示したポリエーテルジオール(イ)、ポ
リエステルジオール(ロ)、ポリカーボネートジオール
(ハ)などおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられ
る。これらのうち好ましくはポリエステルジオールであ
る。
【0014】ポリウレタン樹脂(B)のSP値は通常1
0.5〜11.3、好ましくは10.6〜11.2であ
る。10.5未満ではポリウレタン樹脂(A)との相溶
性が乏しく、混合溶液とした場合に分離し実用に乏し
い。11.3を超えると、耐塩素性が乏しい。
【0015】有機溶媒(C)としては、例えばアミド系
溶媒[ジメチルホルムアミド(以下DMFと略記)、ジ
メチルアセトアミドなど]、スルホキシド系溶媒(ジメ
チルスルホキシドなど)、ケトン系溶媒[メチルエチル
ケトン(以下MEKと略記)など]、芳香族系溶媒(ト
ルエン、キシレンなど)、エーテル系溶媒(ジオキサ
ン、テトラヒドロフランなど)、エステル系溶媒(酢酸
エチル、酢酸ブチルなど)などおよびこれらの2種以上
の混合物が挙げられる。これらのうち好ましくはアミド
系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒である。
【0016】ポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタ
ン樹脂(B)において、有機ジイソシアネートと高分子
ジオールおよび鎖伸長剤との割合(当量比)は、通常有
機ジイソシアネートからのイソシアネート基:高分子ジ
オールおよび鎖伸長剤からの活性水素含有基=0.95
〜1.05:1、好ましくは実質的に1である。割合が
上記通常の範囲外の場合には実用的に有用な物性を有す
るポリウレタン樹脂を製造することが難しい。
【0017】ポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタ
ン樹脂(B)は通常の方法で製造でき、例えば有機ジイ
ソシアネートと高分子ジオールと鎖伸長剤とを同時に反
応させるワンショット法や、有機ジイソシアネートと高
分子ジオールとを先に反応させた後、鎖伸長剤を続けて
反応させるプレポリマー法が挙げられる。製造はイソシ
アネート基に対して不活性な溶媒の存在下または不存在
下で行うことができる。溶媒の存在下で行う場合の適当
な溶媒としては前記有機溶媒(C)の項で例示したもの
が挙げられる。
【0018】ポリウレタン樹脂(A)および(B)の製
造に際し、反応温度はポリウレタン化反応に通常採用さ
れる温度と同じで良く、溶媒を使用する場合は通常20〜
100℃、無溶媒の場合は通常20〜220℃である。
【0019】反応を促進させるため、ポリウレタン反応
に通常使用される触媒[例えばアミン系触媒(トリエチ
ルアミン、トリエチレンジアミンなど)、錫系触媒(ジ
ブチルチンジラウレートなど)]を必要により使用する
ことができる。
【0020】また、必要により重合停止剤[例えば1価
アルコール(エタノール、ブタノールなど)、1価アミ
ン(メチルアミン、ブチルアミンなど)]を用いること
もできる。
【0021】ポリウレタン樹脂の製造は通常当該業界に
おいて採用されている製造装置で行うことができる。ま
た溶媒を使用しない場合はニーダーやエクストルーダー
などの製造装置を用いることができる。このようにして
製造されるポリウレタン樹脂としては30重量%(固形
分)DMF溶液として測定した溶液粘度が通常10〜1
0000ポイズ/20℃であり、実用上好ましいのは1
00〜2000ポイズ/20℃である。
【0022】ポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹
脂(B)の混合比は樹脂固形分として重量比で60:4
0〜20:80、好ましくは50:50〜30:70で
ある。ポリウレタン樹脂(A)の比率が60を超えると
耐塩素性が乏しい。ポリウレタン樹脂(A)の比率が2
0未満では透湿性が乏しい。
【0023】有機溶媒(C)の量は、ポリウレタン樹脂
(A)、ポリウレタン樹脂(B)および有機溶媒(C)
の樹脂組成物の樹脂固形分濃度が5〜50重量%、好ま
しくは10〜40重量%となる量である。
【0024】本発明の樹脂組成物中へは必要により耐候
性、耐熱劣化向上のための各種安定剤や多官能イソシア
ネート等の架橋剤、着色剤、無機充填剤、有機改質剤、
その他の添加剤等を含有させることができる。
【0025】本発明の組成物は通常の攪拌だけによる混
合でもよいし、混合装置(ボールミル、ニーダー、サン
ドグラスター、ロールミルなど)を用いて混合すること
によって得ることもできる。
【0026】本発明により得られるポリウレタン樹脂組
成物を用いた透湿性防水布帛の製造法は通常の方法でよ
い、例えば繊維基材に直接コーティングし、乾燥させる
直接コーティング方法や、離型紙に樹脂被膜を形成させ
た後、接着剤を塗布し、繊維基材と貼合わせ、乾燥後、
離型紙より剥す転写コーティング方法などがある。
【0027】また、前記繊維基材としては、例えば天然
繊維、合成繊維の全てを使用できる。具体例としては木
綿、スフ、ポリエステル、ナイロン、アクリルおよびこ
れらの2種以上の混紡であってもよい。また形態は織
物、編物、不織布、起毛布などが挙げられる。また繊維
基材の片面にポリウレタン樹脂の多孔質膜を有する積層
基材であってもよい。またこれらの繊維基材はシリコン
樹脂、弗素樹脂などではっ水処理されていてもよい。
【0028】ポリウレタン樹脂組成物を塗布したポリウ
レタン樹脂膜の膜厚は樹脂固形分として通常1〜200
μm、好ましくは5〜100μmである。
【0029】
【実施例】以下実施例により本発明を更に説明するが本
発明はこれに限定されるものではない。実施例および比
較例中の部は重量部、%は重量%を表す。
【0030】〈試験法〉実施例中の溶液安定性、耐塩素
性および透湿性の評価は次の方法に従って行った。 (1)溶液安定性 樹脂濃度が12%になるようにDMFで調製した樹脂溶
液を室温で20時間放置し、調製溶液の分離の有無を肉
眼で判定した。 分離ないもの:良、分離したもの:不良 (2)耐塩素性 試験液作成:次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素5%)
50gおよびザブ[花王(株)社製洗剤]2gを全量が
1000mlとなる量の蒸留水で溶解し、有効塩素濃度
2500ppmとなる試験液を作成した。 試験片(10cm×10cmのフイルム)を前記試験
液200ml中に入れ、攪拌下、室温で300分浸漬
し、後洗浄、乾燥した。 試験後の試験片をDMFに溶解し、ゲルパーミエィシ
ョンクロマトグラフィー(以下GPCと略記)でポリウ
レタン樹脂の重量平均分子量を測定し、試験前のポリウ
レタン樹脂の重量平均分子量に対して試験後のポリウレ
タン樹脂の分子量保持率が1〜20%未満:1級、20
以上〜40%未満:2級、40以上〜60%未満:3
級、60以上〜80%未満:4級、80%以上:5級と
し、5段階評価をした。 (3)透湿性 JIS−Z0208(条件B)に準じて透湿度を測定し
た。
【0031】〈樹脂製造例〉以下の方法でポリウレタン
樹脂(A1)、(A2)およびポリウレタン樹脂(B
1)〜(B5)を製造した。
【0032】ポリウレタン樹脂(A1) 四つ口フラスコに数平均(OH価から計算)分子量が2
000のPEG200g、EG21.2g、MDI11
3gおよびDMF780gを仕込み、乾燥窒素雰囲気下
で70℃で10時間反応させて樹脂濃度30%、粘度2
00ポイズ(20℃)のポリウレタン樹脂(A1)溶液
を得た。得られたポリウレタン樹脂(A1)のオキシエ
チレン基(OE基と略記)含量は60%である。
【0033】ポリウレタン樹脂(A2) 数平均分子量が1000のPEG60g、数平均分子量
1000のPTMG40g、EG11g、MDI70g
およびDMF422gを仕込み、ポリウレタン樹脂(A
1)と同様の方法で反応させて樹脂濃度30%、粘度3
00ポイズ(20℃)のポリウレタン樹脂(A2)溶液
を得た。このポリウレタン樹脂(A2)のOE基含量は
33%である。
【0034】ポリウレタン樹脂(B1) 数平均分子量が2000のポリ2,2’−ジメチルトリ
メチレンアジペート200g、EG16.1g、MDI
91.1gおよびDMF719gを仕込み、ポリウレタ
ン樹脂(A1)と同様の方法で反応させて樹脂濃度30
%、粘度500ポイズ(20℃)のポリウレタン樹脂
(B1)溶液を得た。このポリウレタン樹脂(B1)の
SP値は11.0である。
【0035】ポリウレタン樹脂(B2) 数平均分子量が2000のポリ3−メチルペンタメチレ
ンアジペート200g、EG14.6g、MDI83.
8gおよびDMF697gを仕込み、ポリウレタン樹脂
(A1)と同様の方法で反応させて樹脂濃度30%、粘
度500ポイズ(20℃)のポリウレタン樹脂(B2)
溶液を得た。このポリウレタン樹脂(B2)のSP値は
10.9である。
【0036】ポリウレタン樹脂(B3) 数平均分子量が3000のポリブチレンアジペート30
0g、EG13.2g、MDI80gおよびDMF91
8gを仕込み、ポリウレタン樹脂(A1)と同様の方法
で反応させて樹脂濃度30%、粘度400ポイズ(20
℃)のポリウレタン樹脂(B3)溶液を得た。このポリ
ウレタン樹脂(B3)のSP値は11.0である。
【0037】ポリウレタン樹脂(B4) 数平均分子量が2000のポリエチレンアジペート20
0g、EG14.6g、MDI83.8gおよびDMF
697gを仕込み、ポリウレタン樹脂(A1)と同様の
方法で反応させて樹脂濃度30%、粘度400ポイズ
(20℃)のポリウレタン樹脂(B4)溶液を得た。こ
のポリウレタン樹脂(B4)のSP値は11.5であ
る。
【0038】ポリウレタン樹脂(B5) 数平均分子量が2000のポリテトラメチレングリコー
ル200g、EG14.5g、MDI83.8gおよび
DMF696gを仕込み、ポリウレタン樹脂(A1)と
同様の方法で反応させて樹脂濃度30%、粘度500ポ
イズ(20℃)のポリウレタン樹脂(B5)溶液を得
た。このポリウレタン樹脂(B5)のSP値は10.1
である。
【0039】〈実施例1〜4、比較例1〜4〉ポリウレ
タン樹脂(A1)、(A2)および(B1)〜(B5)
溶液を使用して、表1のような組成の溶液を調製した。
【0040】
【表1】
【0041】〈試験片の作成と評価〉ポリエステルフイ
ルム上に表1の各調製溶液をアプリケーターで厚さ約1
50μmコーティングし、100℃で30分間乾燥し、
ポリウレタン樹脂の無孔質フイルムを得た。得られたポ
リウレタンフイルムの膜厚は約12μmであった。この
フイルムを使って、安定性、耐塩素性および透湿度を測
定、判定した。結果は表2であった。
【0042】
【表2】 表2から明らかなように、実施例1〜4は調製溶液の安
定性が良好で、かつ高い耐塩素性を示した、また透湿度
も高い水準にあった。これに対して比較例1〜3は耐塩
素性が不良、比較例4は調製溶液の安定性が不良で評価
に供するに値するフイルムが得られなかった。
【0043】〈ミクロ相分離構造の判定〉実施例1、3
および比較例3について塗膜のミクロ相分離構造確認の
ため、別途表3のような調製溶液(樹脂濃度15%)を
作成した。
【0044】
【表3】
【0045】ポリエステルフイルム上に表3の各調製溶
液をアプリケーターで厚さ約900μmコーティング
し、80℃で120分間乾燥した後ポリエステルフイル
ムか剥し、ポリウレタン樹脂の無孔質フイルムを得た。
得られたフイルムの膜厚は約80μmであった、次にこ
のフイルムを下記条件で染色した。 染色条件 染料 :Lanyl Red B(住友化学
社製含金染料) 染料濃度 :0.06g/l フイルムの大きさ:5×5cm 染色温度、時間 :70℃、30分 洗浄 :20℃の流水で10分洗浄 得られた染色後のフイルムについて下記条件で顕微鏡で
表面を観察し、写真撮影した。 使用顕微鏡:実体顕微鏡SZH(オリンパス光学工業社
製) 倍率 :6倍、24倍、48倍 実施例 1’で得られたフィルムは図4の顕微鏡撮影さ
れた画像からミクロ相分離構造であることが認められ
る。また、同様に実施例3’のフィルムは図5の画像か
らミクロ相分離構造であることが認められる。一方比較
例3’のフィルムは図6の画像に見られるように、均一
に混和した1相となっており、ミクロ相分離構造とは認
められない。
【0046】なお、実体顕微鏡でミクロ相分離構造が判
定困難な場合においては、一般的にフイルムが透明なも
のは均一1相となっており、半透明あるいは不透明なも
のはミクロ相分離構造と言える。
【0047】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物から得られる塗膜は
ミクロ相分離構造を形成し、従来の透湿性無孔質塗膜に
比べ耐塩素性が著しく向上する。また本発明の樹脂組成
物から得られる塗膜は風合いが柔らかく、良好な透湿性
を示す。上記効果を奏することから本発明の樹脂組成物
は衣料用、傘用、帆布用、テント用等の透湿性防水布帛
用樹脂組成物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるミクロ相分離構造と認められる
フィルムの顕微鏡撮影の画像の1例。
【図2】2種の異なるポリウレタン樹脂が均一に混和し
たために相として1相と認められ、因って本発明におけ
るミクロ相分離構造とは認められないフィルムの顕微鏡
撮影の画像の1例。
【図3】2種の異なるポリウレタン樹脂の混和状態が不
良のため非混和の2相が完全分離していると認められ、
因って本発明におけるミクロ相分離構造とは認められな
いフィルムの顕微鏡撮影の画像の1例。
【図4】実施例1’で得られたフィルムの顕微鏡撮影の
画像で、本発明におけるミクロ相分離構造と認められる
もの。
【図5】実施例3’で得られたフィルムの顕微鏡撮影の
画像で、本発明におけるミクロ相分離構造と認められる
もの。
【図6】比較例3’で得られたフィルムの顕微鏡撮影の
画像で、本発明におけるミクロ相分離構造とは認められ
ないもの。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−138263(JP,A) 特開 昭61−254659(JP,A) 特開 昭61−254658(JP,A) 特開 昭60−252638(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 75/04 - 75/12 D06M 15/564 - 15/572 C09D 175/04 - 175/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種の異なるポリウレタン樹脂(A)と
    ポリウレタン樹脂(B)、および有機溶媒(C)からな
    るポリウレタン樹脂組成物(I)において、少なくとも
    ポリウレタン樹脂(A)が親水性であり、該樹脂組成物
    (I)を基体に塗布、乾燥させて得られる塗膜がミクロ
    相分離構造を形成することを特徴とする透湿性防水布帛
    用ポリウレタン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 該ポリウレタン樹脂(A)がオキシエチ
    レン基含有高分子ジオール(a)、有機ジイソシアネー
    トおよび鎖伸長剤とからなるポリウレタン樹脂であっ
    て、該ポリウレタン樹脂(A)中のオキシエチレン基含
    量が10〜80重量%である請求項1記載の樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 該ポリウレタン樹脂(B)が高分子ジオ
    ール(b)、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤とか
    らなるポリウレタン樹脂であって、該ポリウレタン樹脂
    (B)のソルビリティーパラメーター値(計算値)が1
    0.5〜11.3である請求項1または2記載の樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】 該ポリウレタン樹脂(A)と該ポリウレ
    タン樹脂(B)との重量比(樹脂固形分比)が60:4
    0〜20:80になるように混合されてなる請求項1〜
    3いずれか記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 該ポリウレタン樹脂(B)の該高分子ジ
    オール(b)がポリエステルグリコールである請求項1
    〜4いずれか記載の樹脂組成物。
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