JP3269325B2 - 自動二輪車のフレーム構造 - Google Patents

自動二輪車のフレーム構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動二輪車のフレーム構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車のフレームの中に、ツインチ
ューブフレームと称されるものがある。図6および図7
は、ツインチューブフレーム1の一例を示すものであっ
て、それぞれツインチューブフレーム1の左側面および
底面を示している。これらの図からわかるように、ツイ
ンチューブフレーム1は、車輛上部に位置するヘッドパ
イプ3と、車輛後方下部左右にそれぞれ配置されたピボ
ットプレート5・5と、ヘッドパイプ3と各ピボットプ
レート5とを結ぶ、最中構造で形成されたタンクール7
とを少なくとも有している。なお、最中構造とは和菓子
の最中の皮同士を合わせたごとき構造であるのでそのよ
うに称される。
【0003】そして、ツインチューブフレーム1を側方
から見ると、図6に示すようにヘッドパイプ3と、ピボ
ットプレート5との間をタンクレール7で直線状に結ぶ
ような形体をしており、また、図7に示すように、底面
(または平面)から見るとほぼU字形をしていて、ヘッ
ドパイプ3の近傍で左右に一番湾曲している肩状湾曲部
8・8における車幅寸法Wが車幅寸法の最大寸法となっ
ている。
【0004】なお、図7に符号9が示すのは、それぞれ
ヘッドパイプ3周りに一体に形成されタンクレール7と
ヘッドパイプ3とを溶接によって接合するためのヘッド
フレームである。
【0005】ところで、上記したように、ヘッドパイプ
3の近傍箇所にある肩状湾曲部の車幅寸法Wが、車幅寸
法の中で最大であるため、車輛前後方向の曲げに対して
剛性があまり高くない。このため、特に制動時等の急激
に大きな力が掛かるときには、自動二輪車のフロントア
クスル10に図8に示すような力Fが生じて、ヘッドパ
イプ3が図7に二点鎖線で示すように車輛前後に揺動す
るようになり、操安性が悪化してしまう虞れある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みて発明されたものであって、その解決しようとする
課題は、制動時等、急激に大きな力が掛かるときであっ
ても自動二輪車の操安性を良好にすることができる自動
二輪車のフレーム構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明自動二輪車のフレ
ーム構造は、以上のような課題を解決するものであっ
て、次のようなものである。すなわち、請求項1に記載
の本発明動二輪車のフレーム構造は、ヘッドパイプとピ
ボットプレートとをタンクレールで結びこれを平面から
見た場合に、前記ヘッドパイプを頂点とした左右のタン
クレールに肩状湾曲部を設けてU字形をなし、この左右
の肩状湾曲部同士をブリッジ材で連結してなる自動二輪
車のフレーム構造において、前記タンクレールは、最中
構造に形成され、前記タンクレールの一部であって前記
ヘッドパイプ近傍に位置する左右の肩状湾曲部の底部
に、鋳物製の補強が溶接によって取り付けられ、前記補
強の後部側内縁に前記ブリッジ材の左右両端部を夫々溶
接して左右の肩状湾曲部同士を連結するとともに前記
ブリッジ材の中間部と前記ヘッドパイプから車輛後方に
延びるボスで連結したことを特徴とする。また、請求項
2に記載の本発明自動二輪車のフレーム構造は、タンク
レールの前記左右の肩状湾曲部における幅寸法をタンク
レールの他の部分の幅寸法よりも大きくしたことを特徴
とする。
【0008】
【作用】したがって、請求項1に記載の本発明によれ
ば、タンクレールの一部であってヘッドパイプ近傍に位
置する左右の肩状湾曲部同士をブリッジ材で連結し、こ
のブリッジ材と、前記ヘッドパイプから車輛後方に延び
るボスとを溶接するようにしたので、ヘッドパイプを頂
点として、左右の肩状湾曲部およびブリッジ材で囲まれ
る範囲がトラス構造となる。このため、タンクレールの
左右の肩状湾曲部が強固になるため、制動時等、急激に
大きな力がタンクレールに掛かったとしても、ヘッドパ
イプの揺動を抑制するようになる。
【0009】また、請求項2に記載の本発明によれば、
タンクレールの左右の肩状湾曲部における幅寸法をタン
クレールの他の部分の幅寸法よりも大きくしたので、一
層タンクレールの左右の肩状湾曲部が強固になる。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明自動二輪車の
フレーム構造Aの採用されたツインチューブフレーム1
Aを図示した実施例に従って詳細に説明する。図1はツ
インチューブフレーム1Aの側面図、図2は同底面図、
図3は図2のIII−III線を含む平面で切断し矢印方向に
見たものを反転させた断面図、図4は図2のIV−IV線を
含む平面で切断し矢印方向に見たものを反転させた一部
切欠き断面図、 図5は図2のV−V線を含む平面で切断
し矢印方向に見たものを反転させた拡大断面図である。
【0011】なお、ツインチューブフレーム1Aが従来
技術の項で述べたツインチューブフレーム1と異なる点
は、ヘッドパイプから車輛後方に延びる管状ボス11、
タンクレール7の肩状湾曲部8、ブリッジ材15および
これらに関する部分だけであるので、当該異なる部分に
ついてのみ説明し、他の同一部分には同一符号を付して
説明を省略する。
【0012】図2に示すように、ヘッドパイプ3周りの
ヘッドフレーム9の下部からは、車輛後方に延びる管状
ボス11がヘッドフレーム9と一体形成されて突出され
ており、また、タンクレール7の肩状湾曲部8・8の各
底部8dには、補強板13が取り付けられている。
【0013】補強板13について詳しく述べると、補強
板13は、鋳物製であって、横断面が図3および図5か
らわかるように溝形鋼形状をしており、後方に行くに連
れて該溝が深くなるようにされ、また、図2に示すよう
に肩状湾曲部8に合致した形状である。このような補強
板13は、溶接によってヘッドフレーム9と肩状湾曲部
8の底部8dとに取り付けられる。また、図2に示すよ
うに各補強板13の後部側内縁には、後述するブリッジ
材15を保持固定するための取付けボス16がツインチ
ューブフレーム1Aの内部側に斜めに突出状に一体形成
されている。
【0014】ブリッジ材15は、図2からわかるよう
に、パイプ材の両端を肩状湾曲部8・8の傾斜具合に応
じて斜めに切断したものであって、各端15a・15a
は、各補強板13のそれぞれの取付けボス16に溶接さ
れる。また、ブリッジ材15のほぼ中央部分15bと管
状ボス11とが溶接されるようになっており、管状ボス
11の端面11aは図1または図4からわかるようにブ
リッジ材15の外周面に合わせて円弧状に形成されてい
る。
【0015】また、図2に示すように、タンクレール7
の左右の肩状湾曲部8・8における幅寸法dをタンクレ
ールの他の部分の幅寸法よりも大きくしてある。なお、
補強板13を肩状湾曲部8に付けた結果、当該部分の幅
寸法が他の部分よりも大きくなるようにしてもよい。
【0016】しかして、このように構成されたツインチ
ューブフレーム1Aにあっては、タンクレール7の一部
であってヘッドパイプ3近傍に位置する左右の肩状湾曲
部8・8同士を肩状湾曲部8・8にそれぞれ設けられた
補強板13・13、具体的には補強板13・13の取付
けボス16・16を介してブリッジ材15で連結し、ブ
リッジ材15と、ヘッドパイプ3から車輛後方に延びる
管状ボス11とを溶接するようにしたので、ヘッドパイ
プ3を頂点として、左右の肩状湾曲部8・8およびブリ
ッジ材15で囲まれる範囲がトラス構造となる。このた
め、タンクレール7の左右の肩状湾曲部8・8が強固に
なるため、制動時等、急激に大きな力がタンクレール7
に掛かったとしても、ヘッドパイプ3の揺動を抑制する
ようになり、したがって、自動二輪車の操安性を良好に
できる。
【0017】また、タンクレール7の左右の肩状湾曲部
8・8における幅寸法dをタンクレール7の他の部分の
幅寸法よりも大きくしたので、一層タンクレール7の左
右の肩状湾曲部8・8が強固になる。このため、さらに
自動二輪車の操安性を良好にできる。
【0018】
【発明の効果】請求項1に記載の本発明によれば、ヘッ
ドパイプを頂点として、左右の肩状湾曲部およびブリッ
ジ材で囲まれる範囲がトラス構造となるため、タンクレ
ールの左右の肩状湾曲部が強固になる。このため、制動
時等、急激に大きな力がタンクレールに掛かったとして
も、ヘッドパイプの揺動を抑制するようになるので、自
動二輪車の操安性を良好にできる。また、フレームのヘ
ッド周りの強度を向上することができる。請求項2に記
載の本発明によれば、タンクレールの左右の肩状湾曲部
における幅寸法をタンクレールの他の部分の幅寸法より
も大きくしたので、一層タンクレールの左右の肩状湾曲
部が強固になるので、さらに自動二輪車の操安性を良好
にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明自動二輪車のフレーム構造の採用された
ツインチューブフレームの側面図である。
【図2】同、底面図である。
【図3】図2のIII−III線を含む平面で切断し矢印方向
に見たものを反転させた断面図である。
【図4】図2のIV−IV線を含む平面で切断し矢印方向に
見たものを反転させた一部切欠き拡大断面図である。
【図5】図2のV−V線を含む平面で切断し矢印方向に見
たものを反転させた拡大断面図である。
【図6】一般的なチューブフレームの一例を示した側面
図である。
【図7】図6の底面図である。
【図8】従来技術の問題点を示す図である。
【符号の説明】
A 自動二輪車のフレーム構造 1A ツインチューブフレーム 3 ヘッドパイプ 5 ピボットプレート 7 タンクレール 8 肩状湾曲部 11 ボス 15 ブリッジ材 d 肩状湾曲部における幅寸法

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘッドパイプとピボットプレートとをタ
    ンクレールで結びこれを平面から見た場合に、前記ヘッ
    ドパイプを頂点とした左右のタンクレールに肩状湾曲部
    を設けてU字形をなし、この左右の肩状湾曲部同士をブ
    リッジ材で連結してなる自動二輪車のフレーム構造にお
    いて、前記タンクレールは、最中構造に形成され、 前記タンクレールの一部であって前記ヘッドパイプ
    傍に位置する左右の肩状湾曲部の底部に、鋳物製の補強
    が溶接によって取り付けられ、 前記補強の後部側内縁に前記ブリッジ材の左右両端部を
    夫々溶接して 左右の肩状湾曲部同士を連結するととも
    前記ブリッジ材の中間部と前記ヘッドパイプから車
    輛後方に延びるボスで連結したことを特徴とする自動二
    輪車のフレーム構造。
  2. 【請求項2】タンクレールの前記左右の肩状湾曲部にお
    ける幅寸法をタンクレールの他の部分の幅寸法よりも大
    きくしたことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の
    フレーム構造。
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