JP3268277B2 - マグネシウム合金への無電解めっき方法 - Google Patents

マグネシウム合金への無電解めっき方法

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JP3268277B2 JP34141098A JP34141098A JP3268277B2 JP 3268277 B2 JP3268277 B2 JP 3268277B2 JP 34141098 A JP34141098 A JP 34141098A JP 34141098 A JP34141098 A JP 34141098A JP 3268277 B2 JP3268277 B2 JP 3268277B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネシウムやマ
グネシウム合金の上に、密着性および耐食性に優れた無
電解めっき膜を形成させることができる無電解めっき方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネシウムは軽量化用金属材料として
近年、注目を集めている金属である。しかしながら、そ
の特性として化学的活性が高く、例えば、研磨を行って
も直ぐに酸化膜を生成し、密着性の良いめっきを行うこ
とが極めて困難な金属である。さらに、その活性の高さ
から、例えば、酸に浸漬すると直ちに腐食され耐食性が
極めて悪い金属材料である。
【0003】従来より、マグネシウムやマグネシウム合
金の上にめっきを行う方法としては、ダウケミカル社で
開発されたダウ法、あるいはいわゆる坂田法と呼ばれる
めっき方法がよく知られている。ダウ法による無電解め
っき法によれば、CrO3 −HNO3 混液による化学エ
ッチングをした後に、弗酸処理し、しかる後、無電解め
っきが行われる。また、特公平2−25430号公報に
開示されているいわゆる坂田法によれば、化学エッチン
グをした後に、弗化物処理、アルカリ中和処理が行わ
れ、しかる後、無電解ニッケルめっきが行われるめっき
法において、用いる化学エッチング液、アルカリ中和
液、および無電解ニッケルめっきの組成が特定されたも
のとなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来よ
り開示されているマグネシウムやマグネシウム合金の上
にめっきを行う手法は、いずれも有害なクロムや弗化物
を使用する工程を含んでおり、これらの化合物の使用は
環境上好ましいものとは言えない。さらに従来の手法で
は、弗化物を使用することよりマグネシウムの表面に弗
化マグネシウムの被膜を形成させることになるが、弗化
物がめっき被膜の下に存在すると耐食性を阻害する恐れ
があり、廃棄された場合には、さらに環境を悪化させる
要因となってしまう。
【0005】このような実状のもとに本発明は創案され
たものであって、その目的は、上記従来の問題点を解決
し、環境に優しく、めっき膜の密着性に優れた無電解め
っき膜の形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、マグネシウムまたはマグネシウム合金
からなる被めっき体の上に無電解めっき膜を形成する方
法であって、該方法は、パラジウム触媒を含有する触媒
溶液に被めっき体を浸漬させるとともに、被めっき体の
表面にパラジウムを置換させる触媒付与工程と、当該触
媒付与された被めっき体を無電解めっき浴に浸漬させ、
無電解めっき浴中に含有されている金属を析出させる無
電解めっき工程とを、含むように構成される。
【0007】本発明の好ましい態様として、前記触媒溶
液におけるパラジウム含有濃度は、Pdとして0.00
1〜50g/Lの範囲に設定され、かつ、触媒溶液にお
けるpHが4〜14の範囲に調整されてなるように構成
される。
【0008】本発明の好ましい態様として、前記無電解
めっき浴が、無電解ニッケルめっき浴として構成され
る。本発明の好ましい態様として、前記無電解めっき浴
が、無電解銅めっき浴として構成される。
【0009】本発明の好ましい態様として、前記触媒溶
液におけるパラジウム含有濃度は、Pdとして0.00
1〜10g/Lの範囲に設定されてなるように構成され
る。
【0010】本発明の好ましい態様として、前記触媒溶
液に含有されるパラジウム塩は、アンミン系パラジウム
であり、触媒溶液におけるpHが5未満の範囲、あるい
は9を超える範囲に調整されてなるように構成される。
【0011】本発明の好ましい態様として、前記触媒溶
液に含有されるパラジウム塩は、塩化パラジウム、硫酸
パラジウム、硝酸パラジウム、臭化パラジウムの少なく
とも1種以上を含有し、触媒溶液におけるpHが4以上
の範囲に調整されてなるように構成される。
【0012】本発明の好ましい態様として、前記無電解
めっき浴がホルマリンを還元剤とする無電解銅めっき浴
では、pH12〜13の範囲に設定され、ジメチルアミ
ンボランや次亜燐酸を還元剤とする無電解銅めっき浴で
は、pH4以上の範囲に設定されてなるように構成され
る。
【0013】マグネシウムやマグネシウム合金の表面に
無電解めっきを行う際、密着性を阻害するマグネシウム
化合物は、MgO、Mg11Al12のような金属間化合物
が原因であると考えられていた。その理由として、マグ
ネシウムやマグネシウム合金は化学的活性が高いため、
常に、MgOの酸化被膜が形成されているからである。
この酸化を防止するために従来技術では弗化物により、
弗化マグネシウム層を形成しこの弗化マグネシウム層の
上にめっきを行うことを基本としていた。しかしなが
ら、本発明では、従来の考え方を変えて、パラジウムを
マグネシウム表面やマグネシウム合金表面に置換させる
ことにより、マグネシウム表面層を活性面としつつも、
パラジウムで表面を覆い水洗中でも酸化を受けることな
く無電解めっき浴に浸漬することができるように構成し
ている。このような構成によりマグネシウム表面層の活
性が維持できるために無電解めっき膜の密着性が損なわ
れることがない。さらに、有害なクロムや弗化物を使用
しなくてもよいから、めっき前の特別な前処理とクロム
やフッ化物等の特殊な廃水処理等の後処理が必要となら
ず工程の簡略化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0015】本発明の無電解めっき方法は、マグネシウ
ムまたはマグネシウム合金からなる被めっき体の上に無
電解めっき膜を形成する方法であり、当該方法は、必須
の構成要件として、パラジウム触媒を含有する触媒溶液
に被めっき体を浸漬させるとともに、被めっき体の表面
にパラジウムを置換させる触媒付与工程と、当該触媒付
与された被めっき体を無電解めっき浴に浸漬させ、無電
解めっき浴中に含有されている金属を析出させる無電解
めっき工程とを有している。 被めっき体としては、マ
グネシウムやマグネシウム合金いずれが対象となっても
よいが、マグネシウムは化学活性が極めて高いので、通
常はマグネシウム合金として取り扱われる。マグネシウ
ム合金としては、AZ91(Al−9%,Zn−1%含
有)が代表例として挙げられるが、特にこの組成に限定
されるわけではない。被めっき体の形状については、特
に制限はなく、無電解めっき可能な形態であればよい。
【0016】前記触媒付与工程の前には、通常、前処理
としての脱脂工程が行われ、この脱脂工程をも含めて、
本発明における各工程の詳細について、以下説明する。
【0017】(脱脂工程)被めっき体であるマグネシウ
ムやマグネシウム合金の表面に付着している汚染物を除
去するために脱脂を行う。脱脂には、通常市販されてい
る脱脂剤が使用でき、浸漬脱脂、電解脱脂等いずれの手
段を用いてもよい。これら双方の手段の併用も可能であ
る。なお、脱脂剤中に硫酸根を含有している脱脂剤は、
素材をアタックする恐れがあるから使用しないほうがよ
い。脱脂後は、通常、流水中で水洗処理が行われる。
【0018】(触媒付与工程)ここで使用されるパラジ
ウム塩は、塩化パラジウム、塩化パラジウム酸カリ、塩
化パラジウム酸ナトリウム、硫酸パラジウム、水酸化ア
ンミンパラジウム、ジクロロジアンミンパラジウム、ジ
ニトロジアンミンパラジウム、硝酸パラジウム、臭化パ
ラジウム等が挙げられる。
【0019】触媒浴におけるパラジウム濃度はPdとし
て、0.001g/L〜50g/Lの濃度範囲、好まし
くは0.001g/L〜10g/Lの濃度範囲とするの
がよい。パラジウム濃度が0.001g/L未満とな
り、低くなり過ぎると浸漬時間を長くする必要性があり
作業性が低下してしまう。また、パラジウム濃度が50
g/Lを超えて高くなり過ぎると、ランニングコストが
必要以上に高くなり経済的観点から好ましくない。
【0020】触媒浴のpH調整は、pHが4〜14の範
囲に調整されることが望ましい。ここで詳細には用いる
パラジウム塩により好適なpHが異なり、特に、アンミ
ン系パラジウム塩は、pH5〜9の範囲を外す必要があ
る。pH5〜9の範囲では沈殿生成があるからである。
塩化パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、臭
化パラジウムでは、pH4以上にする必要がある。pH
を4未満とすると塩素イオンや硫酸イオンによりマグネ
シウム表面がアタックされてしまうからである。触媒付
与後、通常、流水中で水洗処理が行われる。
【0021】(無電解めっき工程)本発明で用いられる
無電解めっき浴は、無電解ニッケルめっき浴、又は、無
電解銅めっき浴である。無電解ニッケルめっき浴とする
場合、使用されるニッケル塩は、一般的に使用される硫
酸ニッケルではなく、次亜燐酸ニッケル塩またはクエン
酸ニッケル塩、および炭酸ニッケル塩が使用できる。こ
の理由としては、硫酸根が無電解ニッケル浴中に存在す
ると、素材表面が硫酸根によりアタックされ、スキップ
めっきや外観不良が発生するからである。
【0022】無電解ニッケルめっき浴のpHは、4〜1
2の範囲とすることが好ましい。pHが4未満となる
と、還元剤の電位不足によりNiが析出しないという不
都合が生じ、pHが12を超えると、浴が不安定となり
めっき浴の自己分解が発生するという不都合が生じる。
【0023】無電解銅めっき浴とする場合、使用される
銅塩は、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、炭酸銅、ピロリン酸
銅、酸化銅等である。
【0024】無電解銅めっき浴のpHは、用いる還元剤
との関係で適宜、好適な範囲に設定すればよい。一般的
なホルマリン浴では、pH10〜14、好ましくは12
〜13の範囲に設定される。pHが10未満となるとホ
ルマリンの還元電位の低下により銅が析出しないという
不都合が生じ、pHが13を超えると浴が不安定とな
り、無電解銅めっき浴の自己分解が発生するという不都
合が生じる。また、ジメチルアミンボラン浴では、pH
4〜13の範囲に設定される。pHが4未満となると、
還元剤の自己分解が生じて還元剤の補給量が増加してし
まい、pHが13を超えると、析出速度が速くなり過ぎ
て浴の安定性に欠けるという不都合が生じる。また、次
亜りん酸塩(例えば次亜りん酸ナトリウム)を還元剤と
する浴では、pH4〜13の範囲に設定される。pHが
4未満となると銅が析出せず、pHが13を超えると浴
の安定性に欠けるという不都合が生じる。
【0025】
【実施例】以下に本発明の具体的実施例を挙げて本発明
をさらに詳細に説明する。
【0026】(実施例1)5×5cmの大きさに切断し
たマグネシウム合金であるAZ−91(Al−9%,Z
n−1%含有)の板材を2枚1組として、クリーナー1
60(メルテックス社製)に70℃の状態で5分間浸漬
させた後、水洗した。
【0027】純水(イオン交換水)中に、試薬1級の塩
酸を所定量溶解させた後、塩化パラジウムを添加して溶
解させ、次いで1規定の水酸化ナトリウム溶液(pH調
整用)を溶解させて触媒浴を作成した。浴中、触媒とし
てのパラジウムは0.006g/L(塩化パラジウムを
0.01g/L)となるように調整し、塩酸は1mL/
Lの濃度となるように調整した。触媒液のpHは、4.
3となるように水酸化ナトリウム溶液で調整した。この
触媒液に、マグネシウム合金を室温で5分間浸漬した
後、水洗した。
【0028】次に、次亜燐酸ニッケル浴であるエバロン
(日本リーロナール社製)をカタログ通りの濃度で建浴
し(pH=4.8)、90℃に加熱してある浴中に15
分間浸漬し、水洗後、乾燥を行い無電解めっきした2枚
のテストピースを作製した。無電解ニッケルめっき膜の
厚さは4μmとし、その膜厚測定には、蛍光X線微小部
膜厚計SFT7000(セイコー電子工業社製)を用い
た。
【0029】作製した2枚のテストピースの内、1枚を
外観評価、膜厚測定、密着強度の測定に用い、他の1枚
を耐食性試験に用いた。外観評価、密着強度および耐食
性の評価方向は下記の要領で行った。
【0030】評価方法 (1)外観評価 外観評価はめっきの状態を目視にて観察し評価した。特
に、スキップの有無を確認した。
【0031】(2)密着強度 無電解ニッケルめっき膜とマグネシウム合金基材との密
着強度を測定した。すなわち、2×2mmの大きさにサ
ンプル表面をカットし、その上に、直径1mmのリン青
銅線を用いてリン青銅線とマグネシウム合金上の無電解
ニッケルめっき皮膜とを半田付けし、垂直引っ張り試験
機モデル1310N(アイコーエンジニアリング社製)
により、1mm2 当たりの密着強度を測定した。
【0032】(3)耐食性 テストピースを10%硫酸溶液中に室温で3分間浸漬
し、無電解ニッケルめっき皮膜にピンホールやスキップ
めっき箇所が生じているか否かの確認を行った。すなわ
ち、無電解ニッケルめっき皮膜にピンホールやスキップ
めっき箇所がある場合には、硫酸によるマグネシウムへ
のアタックで激しい気泡の発生があるため、気泡発生の
有無により耐食性の評価を行った。
【0033】(実施例2)上記実施例1において、触媒
付与工程を下記のように変えた。すなわち、純水(イオ
ン交換水)中に、試薬1級の塩酸を所定量溶解させた
後、塩化パラジウムを添加して溶解させ、次いで1規定
の水酸化ナトリウム溶液(pH調整用)を溶解させて触
媒浴を作成した。
【0034】浴中、触媒としてのパラジウムは0.06
g/L(塩化パラジウムを0.1g/L)となるように
調整し、塩酸は20mL/Lの濃度となるように調整し
た。触媒液のpHは、12.5となるように水酸化ナト
リウム溶液で調整した。この触媒液に、マグネシウム合
金を室温で1分間浸漬した後、水洗した。それ以外は、
上記実施例1と同様にして実施例2のテストピースを作
製し、上記実施例1と同様なサンプル評価を行った。
【0035】(実施例3)上記実施例1において、触媒
付与工程を下記のように変えた。すなわち、純水(イオ
ン交換水)中に水酸化アンミンパラジウム溶液(パラジ
ウムとして500g/L溶液;デグサジャパン(株)社
製)を溶解させて触媒浴を作成した。浴中、触媒として
のパラジウムは10g/Lとなるように調整し、触媒液
のpHは、10.8となるように調整した。この触媒液
に、マグネシウム合金を室温で1分間浸漬した後、水洗
した。
【0036】その後、実施例1と同様に無電解ニッケル
めっき処理を行い、実施例3のテストピースを作製し、
上記実施例1と同様なサンプル評価を行った。
【0037】(実施例4)上記実施例1において、触媒
付与工程を下記のように変えた。すなわち、純水(イオ
ン交換水)中に10%塩化アンミンパラジウム溶液(デ
グサジャパン(株)社製)および1規定の水酸化ナトリ
ウム溶液(pH調整用)を溶解させて触媒浴を作成し
た。浴中、触媒としてのパラジウムは10g/Lとなる
ように調整し、触媒液のpHは、13.0となるように
水酸化ナトリウム溶液で調整した。この触媒液に、マグ
ネシウム合金を室温で1分間浸漬した後、水洗した。
【0038】その後、実施例1と同様に無電解ニッケル
めっき処理を行い、実施例4のテストピースを作製し、
上記実施例1と同様なサンプル評価を行った。
【0039】(実施例5)上記実施例1において、触媒
付与工程を下記のように変えた。すなわち、純水中(イ
オン交換水)に硫酸を所定量溶解させた後、硫酸パラジ
ウム((株)徳力本店社製)を添加して溶解させ、次い
で1規定の水酸化ナトリウム溶液(pH調整用)を溶解
させて触媒浴を作成した。
【0040】浴中、触媒としてのパラジウムは0.01
1g/Lとなるように調整し、触媒液のpHは、13.
0となるように水酸化ナトリウム溶液で調整した。この
触媒液に、マグネシウム合金を室温で30秒間浸漬した
後、水洗した。その後、実施例1と同様に無電解ニッケ
ルめっき処理を行い、実施例5のテストピースを作製
し、上記実施例1と同様なサンプル評価を行った。
【0041】(実施例6)無電解ニッケルめっきの代わ
りに無電解銅めっきを行った。マグネシウム合金である
AZ−91の板材を実施例1と同様に脱脂した後、水洗
した。次いで、純水(イオン交換水)中に、試薬1級の
塩酸を所定量溶解させた後、塩化パラジウムを添加して
溶解させ、次いで1規定の水酸化ナトリウム溶液(pH
調整用)を溶解させて触媒浴を作成した。
【0042】浴中、触媒としてのパラジウムは0.06
g/L(塩化パラジウムを0.1g/L)となるように
調整し、塩酸は1mL/Lの濃度となるように調整し
た。触媒液のpHは、12.8となるように水酸化ナト
リウム溶液で調整した。この触媒液に、マグネシウム合
金を室温で1分間浸漬した後、水洗した。次いで、無電
解銅浴に浸漬させて、無電解銅めっきを行った。無電解
銅浴としては、メルプレートCU−390(メルテック
ス社製)を使用し、室温で20分間浸漬した。
【0043】なお、無電解めっき後の膜評価は銅の膜厚
が薄いために、半田付け時に、銅が半田中に拡散してし
まい、上記の評価項目の一つである密着強度の測定はで
きなかった。このため、無電解銅めっきについては、外
観と耐食性についてのみ評価した。
【0044】(比較例1)従来技術でパテントサイトし
てある特公平2−25430に記載されているダウ無電
解ニッケル法による無電解ニッケルめっきを行った。ま
ず、5×5cmの大きさに切断したマグネシウム合金で
あるAZ−91の板材を準備した。
【0045】脱脂は実施例1で使用したクリーナー16
0(メルテックス社製)を使用し、70℃、5分の浸漬
後、無水クロム酸120g/L、70%硝酸78mL/
L溶液で化学エッチングを室温で25秒行った。この
際、激しいガス発泡が認められた。
【0046】その後、水洗し、70%弗化水素酸(ただ
し、45%弗化水素酸を使用して濃度70%に換算して
使用)55mL/Lに室温で10分間浸漬するとマグネ
シウム合金板材全体の全面が黒色化した。
【0047】水洗後、無電解ニッケル浴として、炭酸ニ
ッケル4水和物10g/L、70%弗化水素酸(ただ
し、45%弗化水素酸を使用して濃度70%に換算して
使用)6mL/L、クエン酸5g/L、酸性弗化アンモ
ニウム10g/L、次亜燐酸ナトリウム1水和物20g
/L、28%アンモニア水31mL/LでpHを6.0
とした浴を作製した。このものを予め80℃に加熱して
おき、実際の無電解ニッケル浴として機能させ、20分
間基材を浸漬させることにより、比較例1のテストピー
スを作製し、上記実施例1と同様なサンプル評価を行っ
た。
【0048】(比較例2)上記の特公平2−25430
に『本発明による方法』と記載されているいわゆる坂田
法に基づく無電解ニッケルめっきを行った。
【0049】まず、5×5cmの大きさに切断したマグ
ネシウム合金であるAZ−91の板材を準備した。
【0050】脱脂は実施例1と同様の条件で行い、水洗
後、弗化物によるエッチングを行った。浴組成として
は、公報に記載されているピロリン酸カリウム3水和物
150g/L、硝酸ナトリウム100g/L、無水硫酸
ナトリウム50g/Lをイオン交換水に溶解し浴温80
℃で2分間浸漬した。この際、上記比較例1よりもガス
発泡は少なかった。
【0051】水洗後、85%燐酸200mL/L、酸性
弗化アンモニウム100g/Lの溶液で室温1分間の弗
化物処理を行った。その際に上記のダウ無電解ニッケル
法のような黒色化は見られなかった。
【0052】次いで、水洗後、中和処理として次亜燐酸
ナトリウム1水和物25g/L、28%アンモニア水2
5mL/L、クエン酸アンモニウム10g/Lを溶解し
たアルカリ中和液で室温1分の中和を行い、水洗をせず
直ちに無電解めっき浴に浸漬した。
【0053】ここで使用した無電解めっきニッケル浴
は、クエン酸ニッケル14水和物25g/L、ピロリン
酸カリウム10水和物50g/L、弗化アンモニウム1
0g/L、次亜燐酸ナトリウム1水和物25g/Lの溶
液をpH10に調整したものを無電解めっき浴とした。
このものを用いて、50℃で3分間の無電解めっきを行
った。その後、上記の実施例1を膜厚を合わせるために
メルプレートNI−865により4μmの膜厚まで無電
解ニッケルめっきを行った。
【0054】これらの各サンプルについて、上記の要領
で、(1)外観評価、(2)密着強度、(3)耐食性を
それぞれ求めた。結果を下記表1に示した。
【0055】
【表1】
【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかで
ある。すなわち、本発明のマグネシウム合金への無電解
めっき方法は、パラジウム触媒を含有する触媒溶液に被
めっき体を浸漬させるとともに、被めっき体の表面にパ
ラジウムを置換させる触媒付与工程と、当該触媒付与さ
れた被めっき体を無電解めっき浴に浸漬させ、無電解め
っき浴中に含有されている金属を析出させる無電解めっ
き工程とを、含むように構成されている。このような構
成によりマグネシウム表面層の活性が維持できるために
無電解めっき膜の密着性が損なわれることがない。さら
に、有害なクロムや弗化物を使用しなくてもよいから、
特別な廃水処理が必要とならず工程の簡略化を図ること
ができる。また、被めっき体の素材表面を荒らすことな
いので、めっきの表面性は極めて良好でムラのない表面
外観が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭47−25023(JP,A) 特開 昭61−67770(JP,A) 特開 平10−151410(JP,A) 特開 平5−44048(JP,A) 特開 平10−287986(JP,A) 特開 昭62−7873(JP,A) 特開 平4−311575(JP,A) 特開 昭64−75696(JP,A) 特開 平8−316612(JP,A) 特開 平5−156475(JP,A) 特開 平4−365876(JP,A) 特開 平2−240271(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/00 - 18/54 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシウムまたはマグネシウム合金か
    らなる被めっき体の上に無電解めっき膜を形成する方法
    であって、該方法は、 パラジウム触媒を含有する触媒溶液に被めっき体を浸漬
    させるとともに、被めっき体の表面にパラジウムを置換
    させる触媒付与工程と、 当該触媒付与された被めっき体を無電解めっき浴に浸漬
    させ、無電解めっき浴中に含有されている金属を析出さ
    せる無電解めっき工程とを、含むことを特徴とするマグ
    ネシウム合金への無電解めっき方法。
  2. 【請求項2】 前記触媒溶液におけるパラジウム含有濃
    度は、Pdとして0.001〜50g/Lの範囲に設定
    され、かつ、触媒溶液におけるpHが4〜14の範囲に
    調整されてなる請求項1に記載のマグネシウム合金への
    無電解めっき方法。
  3. 【請求項3】 前記無電解めっき浴が、無電解ニッケル
    めっき浴である請求項1または請求項2に記載のマグネ
    シウム合金への無電解めっき方法。
  4. 【請求項4】 前記無電解めっき浴が、無電解銅めっき
    浴である請求項1または請求項2に記載のマグネシウム
    合金への無電解めっき方法。
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