JP3267831B2 - めっき方法、めっき装置及び内面めっきエンジンシリンダ - Google Patents

めっき方法、めっき装置及び内面めっきエンジンシリンダ

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JP3267831B2
JP3267831B2 JP08107795A JP8107795A JP3267831B2 JP 3267831 B2 JP3267831 B2 JP 3267831B2 JP 08107795 A JP08107795 A JP 08107795A JP 8107795 A JP8107795 A JP 8107795A JP 3267831 B2 JP3267831 B2 JP 3267831B2
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正章 磯部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、筒状部分を有するワー
クの当該筒状部分の内周面にめっきを施すめっき方法
と、この方法に係るめっき装置と、このめっき方法によ
りシリンダ内周面にめっき皮膜を形成した内面めっきエ
ンジンシリンダとに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、筒状部分を有するワークの内周
面、例えば、エンジンのシリンダブロックのシリンダ内
周面にニッケル等のめっきを施すための電気めっきの方
法として、処理液を溜めた浴槽にシリンダブロックを浸
漬し、シリンダ内に電極を位置させて、シリンダ(ワー
ク)と電極の間に電圧を印加してめっきを施すようにし
た静止浴めっきの技術や、シリンダ内に電極を位置させ
るとともに、シリンダの開口部を封鎖した状態で、シリ
ンダ内に処理液を供給してシリンダ内で処理液を流動さ
せつつ、シリンダと電極との間に電圧を印加してめっき
を施すようにしたいわゆる高速めっきの技術が知られて
いる。
【0003】これらの方法において、とりわけ高速めっ
きの方法によると、ワークと電極との間の電流密度を高
めることができ、めっきの析出速度を高めることができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、シリンダ内
周面に形成される上記従来のめっきは、単にシリンダの
クランクケース側から燃焼室側に亘って略一定の厚さに
形成されるようになっているが、エンジンの運転状態を
適正に維持する上では未だ改善の余地がある。つまり、
シリンダ内周面の摩耗特性は、熱負荷が大きい側、すな
わちシリンダヘッドに近い側での摩耗が激しく、そのた
め、シリンダにおいては、クランクケース側に比べて燃
焼室側の劣化が進行し易くなっている。
【0005】また、鍍着物資が例えばニッケルであり、
シリンダ母材がアルミ合金の場合においては、線膨張係
数はめっき層よりもシリンダ母材の方が大きく、このた
めエンジンの運転中にめっき層を外側に膨張させようと
する熱応力が作用する。一方、鍍着物資の方がシリンダ
母材より線膨張係数が大きいような場合には、逆に、エ
ンジンの運転中にめっき層を外側から圧縮しようとする
熱応力が作用する。すなわち、いずれの場合も、運転、
停止によるヒートサイクルが繰返されることにより熱応
力が断続的に作用し、めっき表面に亀裂が生じてエンジ
ンの長期の運転によりめっき層の剥離が生じる可能性が
あり、特に、温度が上昇し易いシリンダヘッド側で発生
する可能性が高い。
【0006】従って、エンジンの適正な運転状態をより
長期に亘って保持するためには、このようなシリンダ内
周面の摩耗特性等を考慮してめっきを施し、これにより
上述のような偏っためっきの摩耗、あるいは熱応力に対
処してめっきの耐久性を高める必要がある。
【0007】また、エンジンの運転中、シリンダ内周は
熱歪みにより内径がシリンダヘッド側ほど増加する。こ
のため、シリンダ内径をその軸方向に一定とするとエン
ジンの運転中はシリンダヘッド側の内径が増加してしま
う。特に、吹き抜けが大きいため、シリンダヘッド側の
熱膨張に合わせてピストンリングの緊迫力が設定される
と、運転中に、シリンダの軸方向において、クランクケ
ース側の緊迫力が更に大きくなり、その部分の摩耗が増
加してしまう問題もある。
【0008】さらに、上述のようなシリンダ内周面の摩
耗やめっき層の剥離の問題ばかりでなく、後述するよう
に、めっきの形成の際に、被めっき部の途中にポートが
開口しているような場合にポートまわりでめっき析出量
が不必要に多くなってめっきの盛り上がりを生じる場合
もあるので、被めっき部の形状等をも考慮してめっきを
施す必要がある。
【0009】本発明は、上記の技術的課題を解決するも
のであり、電気めっきの技術において、電流密度が変化
するとめっき皮膜の形成される速度が変化すること、ま
た、高速めっきの技術においては、めっき液の流動速度
に応じてめっき皮膜の形成速度が変化するとこに着目
し、ワークに対して、より適した高品質のめっきを形成
することができるめっき方法及びめっき装置を提供し、
またこれをエンジンシリンダの内周面のめっきに適用す
ることにより高品質の内面めっきエンジンシリンダを提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係るめっき方
法は、筒状部分を有するワークの前記筒状部分に電極を
挿入するとともに、この電極と筒状部分の内周面との間
を処理液で満たして上記電極とワークの間に電圧を印加
して筒状部分の内周面にめっきを施す方法において、上
記電極と上記筒状部分の内周面との距離が筒状部分の軸
方向に変化するように上記電極の外径を上記軸方向に変
化させて、形成されるめっきの状態を筒状部分の軸方向
に変化させるようにしたものである。
【0011】請求項2に係るめっき方法は、筒状部分を
有するワークをワーク支持部に載置し、ワーク支持部に
突設された流路構成部材を兼ねる電極を上記筒状部分に
突入させることにより筒状部分の内部に処理液を流動さ
せるための経路を形成し、この状態で上記経路内に処理
液を供給して筒状部分の内周面にめっきを施すようにす
るとともに、上記筒状部分での処理液の流動速度を筒状
部分の軸方向に変化させて、形成されるめっきの状態を
筒状部分の軸方向に変化させるようにしたものである。
【0012】請求項3に係るめっき方法は、請求項2記
載のめっき方法において、電極と筒状部分の内周面との
距離が筒状部分の軸方向に変化するように上記電極の外
径を上記軸方向に変化させることにより処理液の流動速
度を筒状部分の軸方向に変化させるようにしたものであ
る。
【0013】請求項4に係るめっき方法は、請求項2記
載のめっき方法が、エンジンのシリンダブロックのシリ
ンダ内周面にめっきを施す方法であって、上記シリンダ
の内径を当該シリンダのクランクケース側から燃焼室側
に向かって先拡がりに形成し、上記シリンダ内部での処
理液の流動速度を上記クランクケース側から燃焼室側に
向かって漸増させるようにしたものである。
【0014】請求項5に係るめっき方法は、請求項3記
載のめっき方法が、エンジンのシリンダブロックのシリ
ンダ内周面にめっきを施す方法であって、上記シリンダ
の内径を当該シリンダのクランクケース側から燃焼室側
に向かって先拡がりに形成し、上記電極とシリンダ内周
面との距離が上記クランクケース側から燃焼室側に向か
って狭くなるように、上記クランクケース側から燃焼室
側に向かって外径が先拡がりに形成された電極を用いて
めっきを施すようにしたものである。
【0015】請求項6に係るめっき方法は、請求項2記
載のめっき方法が、エンジンのシリンダブロックのシリ
ンダ内周面にめっきを施す方法であって、上記シリンダ
の内径を当該シリンダの燃焼室側からクランクケース側
に向かって先拡がりに形成し、上記シリンダ内部での処
理液の流動速度を上記燃焼室側からクランクケース側に
向かって漸増させるようにしたものである。
【0016】請求項7に係るめっき方法は、請求項3記
載のめっき方法が、エンジンのシリンダブロックのシリ
ンダ内周面にめっきを施す方法であって、上記シリンダ
の内径を当該シリンダの燃焼室側からクランクケース側
に向かって先拡がりに形成し、上記電極とシリンダ内周
面との距離が上記燃焼室側からクランクケース側に向か
って狭くなるように、上記燃焼室側からクランクケース
側に向かって外径が先拡がりに形成された電極を用いて
めっきを施すようにしたものである。
【0017】請求項8に係るめっき方法は、請求項2記
載のめっき方法が、エンジンのシリンダブロックのシリ
ンダ内周面にめっきを施す方法であって、上記シリンダ
の内径を当該シリンダの軸方向略中央部分から燃焼室側
及びクランクケース側に向かってそれぞれ先拡がりに形
成し、上記シリンダ内部での処理液の流動速度を当該シ
リンダの軸方向略中央部分から燃焼室側及びクランクケ
ース側に向かってそれぞれ漸増させるようにしたもので
ある。
【0018】請求項9に係るめっき方法は、請求項3記
載のめっき方法が、エンジンのシリンダブロックのシリ
ンダ内周面にめっきを施す方法であって、上記シリンダ
の内径を当該シリンダの軸方向略中央部分から燃焼室側
及びクランクケース側に向かってそれぞれ先拡がりに形
成し、上記電極とシリンダ内周面との距離がシリンダの
軸方向略中央部分から燃焼室側及びクランクケース側に
向かってそれぞれ狭くなるように、外径がシリンダの軸
方向略中央部分から燃焼室側及びクランクケース側に向
かってそれぞれ先拡がりに形成された電極を用いてめっ
きを施すようにしたものである。
【0019】請求項10に係るめっき方法は、請求項2
記載のめっき方法が、シリンダと、シリンダから分岐す
るポートを備えた2サイクルエンジンのシリンダブロッ
クの上記シリンダ内周面にめっきを施す方法であって、
上記シリンダ内部での処理液の流動速度を上記ポートに
対応する部分で抑制するようにしたものである。
【0020】請求項11に係るめっき方法は、筒状部分
を有するワークをワーク支持部に載置し、ワーク支持部
に突設された流路構成部材を兼ねる電極を上記筒状部分
に突入させることにより筒状部分の内部に処理液を流動
させるための経路を形成し、この状態で上記経路内に処
理液を供給して筒状部分の内周面にめっきを施すように
するとともに、めっき処理中に、上記電極とワークを、
上記筒状部分の軸方向に相対的に移動させて、形成され
るめっきの状態を筒状部分の軸方向に変化させるように
したものである。
【0021】請求項12に係るめっき装置は、筒状部分
を有するワークの筒状部分の内周面に処理液を供給して
めっきを施す装置において、上記ワークを支持するワー
ク支持部と、ワークが支持された状態で上記筒状部分に
突入され、筒状部分の内部に処理液を流動させるための
経路を形成する流路構成部材を兼ねる電極とを備え、こ
の電極が上記筒状部分での処理液の流動速度を筒状部分
の軸方向に変化させる形状に形成されてなるものであ
る。
【0022】請求項13に係るめっき装置は、請求項1
2記載のめっき装置において、上記電極が柱状に形成さ
れ、かつその径が筒状部分の軸方向片方側から他方側に
向かって変化するように形成されてなるものである。
【0023】請求項14に係るめっき装置は、請求項1
3記載のめっき装置において、上記ワークが上記筒状部
分としてのシリンダを有するエンジンのシリンダブロッ
クであって、上記電極は、電極外周面と上記シリンダ内
周面との隙間が当該シリンダのクランクケース側に比し
て燃焼室側で狭く又は広くなるように形成されてなるも
のである。
【0024】請求項15に係るめっき装置は、請求項1
3記載のめっき装置において、上記ワークが上記筒状部
分としてのシリンダを有するエンジンのシリンダブロッ
クであって、上記電極は、電極外周面と上記シリンダ内
周面との隙間がシリンダの軸方向略中央部分に比して当
該シリンダのクランクケース側及び燃焼室側でそれぞれ
狭くなるように形成されてなることを特徴とする。
【0025】請求項16に係るめっき装置は、請求項1
2記載のめっき装置において、上記ワークは上記筒状部
分としてのシリンダと、このシリンダから分岐するポー
トを有する2サイクルエンジンのシリンダブロックであ
って、上記電極は、上記シリンダのポートに対向する部
分に凹部が形成されてなるものである。
【0026】請求項17に係るめっき装置は、筒状部分
を有するワークの筒状部分の内周面に処理液を供給して
めっきを施す装置において、上記ワークを支持するワー
ク支持部と、ワークが支持された状態で上記筒状部分に
突入され、筒状部分の内部に処理液を流動させるための
経路を形成する流路構成部材を兼ねる電極と、めっき処
理中にこの電極を上記筒状部分の軸方向に進退させる機
構とを備えたものである。
【0027】請求項18に係る内面めっきエンジンシリ
ンダは、上記請求項4又は5のめっき方法によりシリン
ダ内周面にめっき皮膜を形成した内面めっきエンジンシ
リンダであって、上記めっき皮膜の厚みが上記シリンダ
のクランクケース側から燃焼室側に向かって漸増し、か
つめっき皮膜の表面がシリンダの中心軸と平行になるよ
うに形成されてなるものである。
【0028】請求項19に係る内面めっきエンジンシリ
ンダは、上記請求項6又は7のめっき方法によりシリン
ダ内周面にめっき皮膜を形成した内面めっきエンジンシ
リンダであって、上記めっき皮膜の厚みが上記シリンダ
の燃焼室側からクランクケース側に向かって漸増し、か
つめっき皮膜の表面がシリンダの中心軸と平行になるよ
うに形成されてなるものである。
【0029】請求項20に係る内面めっきエンジンシリ
ンダは、上記請求項8又は9のめっき方法によりシリン
ダ内周面にめっき皮膜を形成した内面めっきエンジンシ
リンダであって、上記めっき皮膜の厚みが上記シリンダ
の軸方向略中央部分から燃焼室側及びクランクケース側
に向かってそれぞれ漸増し、かつめっき皮膜の表面がシ
リンダの中心軸と平行になるように形成されてなるもの
である。
【0030】
【作用】上記請求項1記載のめっき方法によれば、筒状
部分の内周面と電極との距離が短い箇所では、電気抵抗
が低くなり電流密度が高まる。そして、電流密度が高ま
ることによって鍍着物質の析出が促進され、時間当りの
鍍着物質の析出量が増加し、筒状部分の内周面と電極と
の距離が長い箇所に比べて形成されるめっき皮膜の厚み
が厚くなる。
【0031】なお、めっきの進行に伴い、筒状部分の内
周面と電極の間に存する処理液中の鍍着物質濃度、すな
わち鍍着金属イオン濃度が低下して時間当りの鍍着物質
の析出量低下する。そのため、上記請求項2記載のめっ
き方法によれば、筒状部分において処理液の流動速度が
高い部分では、鍍着金属イオン濃度が高い処理液が高い
速度で供給される、換言すれば鍍着金属イオン濃度が低
下した処理液が高い速度で流出されて鍍着物質濃度が高
く維持され、これによって効率良く鍍着物質が析出され
る。一方、筒状部分において処理液の流動速度が高い部
分では、鍍着物質の析出が抑制される。
【0032】上記請求項3記載のめっき方法によれば、
筒状部分の内周面と電極の間の距離の変化に伴う電流密
度の変化と、処理液の流動速度の変化に伴う電極と筒部
分内周面の間の処理液中の鍍着物質濃度の変化とに応じ
て鍍着物質の析出量が変化する。そのため、筒状部分の
形状等に応じて処理液の流動速度及び電極と筒状部分内
周面との距離を筒状部分の軸方向に変化させることによ
り、めっき皮膜の厚み等のめっきの状態をワークに適し
たものにすることが可能となる。
【0033】上記請求項4及び5記載のめっき方法によ
れば、エンジンのシリンダにおいて、摩耗、あるいはめ
っき皮膜の剥離が発生し易い燃焼室側でのめっき皮膜の
厚みを厚くすることが可能となる。
【0034】上記請求項6及び7記載のめっき方法によ
れば、エンジンのシリンダにおいてピストンリングの緊
迫力に起因するめっき皮膜の摩耗が発生し易いクランク
ケース側でのめっき皮膜の厚さを厚くすることが可能と
なる。
【0035】上記請求項8及び9記載のめっき方法によ
れば、エンジンのシリンダにおいて摩耗、あるいはめっ
き皮膜の剥離が発生し易い燃焼室側、およびピストンリ
ングの緊迫力に起因する摩耗が発生し易いクランクケー
ス側でのめっき皮膜の厚みをそれぞれ厚くすることが可
能となる。
【0036】上記請求項10記載のめっき方法によれ
ば、シリンダのポート分岐部分に形成され易い不用なめ
っき皮膜の形成を抑制することが可能となる。
【0037】上記請求項11記載のめっき方法によれ
が、電極とワークが相対移動されることにより、筒状部
分の内周面に電極が対向している時間が筒状部分の軸方
向で異なり、これによって、形成されるめっき皮膜の厚
み等のめっきの状態が、上記相対移動速度等に応じて筒
状部分の軸方向に変化することになる。
【0038】上記請求項12及び13記載のめっき装置
によれば、電極の形状によって処理液の流動速度を筒状
部分の軸方向に変化させるため、簡単な構成で上記請求
項2記載のめっき方法を実施することが可能となる。
【0039】上記請求項14記載のめっき装置によれ
ば、上記請求項4及び6記載のめっき方法の実施を適切
に行うことが可能であり、クランクケース側から燃焼室
側に向かって漸増する、あるいは燃焼室側からクランク
ケース側に向かって漸増するめっき皮膜を形成すること
が可能となる。
【0040】上記請求項15記載のめっき装置によれ
ば、上記請求項8記載のめっき方法の実施を適切に行う
ことが可能であり、シリンダの軸方向略中央部分から燃
焼室側及びクランクケース側に向かってそれぞれ漸増す
るめっき皮膜を形成することが可能となる。
【0041】上記請求項16記載のめっき装置によれ
ば、電極の凹部によりシリンダのポート分岐部分でのみ
処理液の流動速度が抑えられるため、上記請求項10記
載のめっき方法を簡単な構成で適切に実施することが可
能となる。
【0042】上記請求項17記載のめっき装置によれ
ば、上記請求項11記載のめっき方法が適切に実施され
る。特に、この装置では、電極がワークに対して進退さ
せられることにより、形成されるめっき皮膜の厚み等の
めっきの状態が電極の引抜き速度等に応じて筒状部分の
軸方向に変化する。
【0043】上記請求項18記載の内面めっきエンジン
シリンダによれば、燃焼室側でのめっき皮膜の厚みが厚
くなっているので、燃焼室側での摩耗によるめっき皮膜
の耐久性の低下が抑制される。
【0044】上記請求項19記載の内面めっきエンジン
シリンダによれば、クランクケース側でのめっき皮膜の
厚みが厚くなるので、ピストンリングの緊迫力に起因す
るクランクケース側のめっき皮膜の摩耗による耐久性の
低下が抑制される。
【0045】上記請求項20記載の内面めっきエンジン
シリンダによれば、ピストンリングの緊迫力に起因する
クランクケース側のめっき皮膜の摩耗による耐久性の低
下が抑制されるとともに、燃焼室側での摩耗によるめっ
き皮膜の耐久性の低下が抑制される。
【0046】
【実施例】本発明について図面を用いて説明する。
【0047】図1は、本発明に係るめっき処理装置の第
1実施例を概略的に示している。同図に示すめっき処理
装置(めっき装置)2には、ワーク支持部としての支持
ブロック3が設けられ、この支持ブロック3上にシリン
ダブロック1が支持されてシリンダ1aの下方開口部
(すなわち、シリンダヘッドが結合されることにより形
成される燃焼室側の開口部)が支持ブロック3で塞がれ
るようになっている。
【0048】具体的には、シリンダ1aを有するシリン
ダ構成部分とスカート状のクランクケース部とが一体に
形成された4サイクルエンジンのシリンダブロック1
が、車両への搭載時の状態と比べて上下反転した状態で
支持ブロック3に支持され、この状態でシリンダ1aの
燃焼室側の開口部が支持ブロック3で塞がれるようにな
っている。なお、本実施例に用いられる上記シリンダブ
ロック1は、図2(a)に示すように、シリンダ1aの
内周面に対してテーパ加工が施されている。すなわち、
シリンダ1aの内周面が鉛直軸に対して所定の角度(傾
斜角度α1)で傾斜し、これによってシリンダ1aがク
ランクケース側から燃焼室側に向かって先拡がりの円錐
台形となるように形成されている。
【0049】上記支持ブロック3には、図1に示すよう
に、シリンダブロック1のシリンダ構成部分の下方とな
る位置に処理液導出通路4が形成されるとともに、支持
ブロック3の上面には、シリンダブロック1のシリンダ
1aに対応する位置に、上記処理液導出通路4に連通す
る開口部3aが設けられている。そして、上述のように
シリンダブロック1が支持ブロック3上に支持された状
態では、シリンダブロック1のシリンダ1aの下方開口
部と上記開口部3aとが合致するようになっている。な
お、シリンダブロック1が支持ブロック3上に支持され
た状態では、これらの間が電気的に絶縁され、かつ処理
液が外部に洩れることがないようにシールされている。
【0050】さらに、めっき処理装置2には、上記シリ
ンダブロック1のシリンダ1aに対応する位置に流路構
成部材を兼ねる電極5が配設されている。この電極5
は、その外周面がテーパ状に形成された円筒状の部材
で、図2(a)に示すように、外周面が鉛直軸に対して
所定の角度(傾斜角度β1)で傾斜し、これにより全体
が上方から下方に向かって次第に太くなる円錐台形に形
成されている。
【0051】なお、電極5の上記傾斜角度β1は、上記
シリンダブロック1におけるシリンダ1aの傾斜角度α
1よりも大きくされ、これによってシリンダ1aの内周
面と電極5の外周面との間に形成される後記流路8が、
上方から下方、つまりシリンダ1aのクランクケース側
から燃焼室側に向かって徐々に狭まるように設定されて
いる。
【0052】上記電極5は、上記処理液導出通路4の底
部に取付けられたホルダー6を介して支持ブロック3に
取付けられており、上記処理液導出通路4を突き抜けて
上記開口部3aから上方に突出している。
【0053】そして、支持ブロック3上にシリンダブロ
ック1が支持された状態で、電極5がシリンダブロック
1のシリンダ1a内に突入してその上端がシリンダ1a
の上端近傍に達し、かつ電極5の外周面とシリンダ内周
面との間に所定の隙間が保たれるようになっている。こ
れにより、シリンダブロック1のシリンダ1a内で電極
5の内側と外側に、上部で互いに連通する流路7,8が
形成されるとともに、外側の流路8が処理液導出通路4
に連通するようになっている。
【0054】また、上記ホルダー6には貫通孔が形成さ
れており、この貫通孔と支持ブロック3に形成された貫
通孔とによって上記電極5の内側の流路7に連通する処
理液導入通路9が形成されている。
【0055】一方、上述のようにめっき処理装置2に支
持されたシリンダブロック1の上部には、シリンダ1a
の上記支持ブロック3側とは反対側の開口部である上部
開口部(すなわち、クランクケース側の開口部)を塞ぐ
ためのシール治具10が装着されている。
【0056】このシール治具10は、シリンダブロック
1の上部に圧接されるプレート部材11と、このプレー
ト部材11の下方に突出する柱状部材12と、この柱状
部材12の下端部にゴム等の弾性部材からなる拡縮可能
な傘状等のシール部材13とから構成されており、同図
に示すようにプレート部材11がシリンダブロック1上
部に圧接されることにより柱状部材12がシリンダ1a
に突入され、さらに、この状態で上記シール部材13が
拡開されることにより、シール部材13の外周部がシリ
ンダ1aの内周面に圧接されてシリンダ1aのクランク
ケース側の開口部がシールされるようになっている。
【0057】なお、上記めっき処理装置2に対する処理
液の給排系統は、図1に示すように、処理液が、処理液
貯蔵タンク14からポンプ15及び各バルブ16,17
を備えた処理駅供給管18を介して上記処理液導入通路
9に送り込まれ、上記流路7,8を通った後に処理液導
出通路4から処理液回収管19を介して処理液貯蔵タン
ク14に回収されるように構成されている。また、めっ
き処理装置2に対する電気系統は、シール治具10及び
支持ブロック3がそれぞれ電流調整器20に接続される
とともに、この電流調整器20が交直変換器21を介し
て交流電源22に接続され、これにより支持ブロック3
を介して上記電極5とシリンダブロック1との間に電圧
が印加されるように構成されている。
【0058】次に、上記めっき処理装置2の作用につい
て説明する。
【0059】以上のように構成されためっき処理装置2
によると、シリンダブロック1が支持ブロック3に支持
された図1に示す状態で、上記給排系統により処理液の
供給、循環が行われるとともに、電極5への通電が行わ
れ、これによりシリンダブロック1のシリンダ1aの内
周面にめっきが施される。
【0060】具体的には、めっき処理装置2において、
処理液導入通路9に供給された処理液が、図1及び図2
(a)中に矢印で示すように、電極5の内側の流路7を
通り、電極5の上端部分を経て、電極5の外側面とシリ
ンダ1aの内周面の間の流路8へ流れる。そしてさら
に、開口部3aを介して処理液導出通路4に流れ込んだ
後、処理液貯蔵タンク14に戻される。そして、このよ
うに処理液が循環され、シリンダブロック1のシリンダ
1a内周面に沿って処理液が流動させられつつ、上記電
極5とシリンダ1aとの間に電流が通電されることによ
りシリンダ1aに対してめっきが施される。
【0061】このとき、上記めっき処理装置2では、上
述のようにシリンダ1aの内周面と電極5の外周面との
間に形成される流路8が、シリンダ1aのクランクケー
ス側から燃焼室側に向かって徐々に狭まるように構成さ
れているため、シリンダ1aに形成されるめっき皮膜の
厚みがクランクケース側から燃焼室側に向かって漸増す
るようになっている。
【0062】すなわち、処理液を流動させてめっきを行
う装置では、電極と処理面の距離が接近しているほど、
処理時の電流密度が高くなって鍍着物質の析出が促進さ
れる。また、処理液の流動速度が高いほど、電極と処理
面の間に存する処理液中の鍍着物質濃度が高く維持さ
れ、これによって鍍着物質の析出が促進されることにな
る。そのため、流路8がクランクケース側から燃焼室側
に向かって狭まっている上記めっき処理装置2では、シ
リンダ1aと電極5との距離がクランクケース側から燃
焼室側に向かって接近しており、また、これによって流
路8を流れる処理液の流動速度がクランクケース側から
燃焼室側に向かって高まることになるので、上述のよう
な鍍着物質の析出促進作用が効果的に発揮され、その結
果、シリンダ1aへの鍍着物質の析出量がクランクケー
ス側から燃焼室側に向かって増加してめっき皮膜の厚み
がシリンダ1aのクランクケース側から燃焼室側に向か
って漸増することになる。
【0063】従って、クランクケース側から燃焼室側に
向かって先拡がりの円錐台形に形成されている上記シリ
ンダブロック1のシリンダ1aに上述のようにしてめっ
きを施し、この処理において、皮膜表面がシリンダ1a
の中心軸と平行に形成されるようにシリンダ1aの内周
面の傾斜角度α1、電極5の傾斜角度β1、電極5への通
電量及びめっき処理時間等を設定することによって、図
3に示すように、シリンダ1aのクランクケース側から
燃焼室側に向かってその厚みが漸増し、かつめっき皮膜
の表面がシリンダ1aの中心軸と平行となるようなめっ
き皮膜Paが形成される。
【0064】このようにして形成された上記めっき皮膜
Paによれば、その厚みがシリンダ1aのクランクケー
ス側から燃焼室側に向かって漸増するため、熱負荷が大
きく、それ故に摩耗が激しい燃焼室側でのシリンダ1a
のめっき皮膜の劣化を抑えることができる。しかも、皮
膜表面がシリンダ1aの中心軸と平行となっているの
で、ピストンの摺動面も適切に確保される。従って、従
来のように、クランクケース側から燃焼室側に亘って略
一定の厚さのめっき皮膜を形成していたシリンダブロッ
クと比較すると、シリンダ1aのめっき皮膜の耐久性が
より良く高められ、これによりエンジンの運転状態を長
期に亘り適正に維持することが可能となる。
【0065】このように上記めっき処理装置2によれ
ば、めっき皮膜の厚みをシリンダ1aのクランクケース
側から燃焼室側に向かって変化させることができるの
で、上記シリンダブロック1のように、ワークに適した
めっき皮膜をより良く形成することができる。
【0066】ところで、エンジンの製造においては、め
っき処理後にシリンダ内周面に対してホーニング加工が
施され、例えば、図3に示すように、ホーニング加工工
具150によってシリンダ内周面を符号151で示す位
置まで削り出して仕上げることが行われるが、上述のめ
っき皮膜Paによれば、皮膜表面がシリンダ1aの中心
軸と平行となっているので、めっき皮膜の全長に亘って
研磨代を均一にでき、これによってホーニング加工時間
を節約することができ、また、場合によっては、ホーニ
ング加工を省略することも可能となる。
【0067】なお、上記第1実施例のめっき処理装置2
においては、上記電極5を図8に示すように構成するこ
とによってもめっき皮膜の厚みをクランクケース側から
燃焼室側に向かって漸増させることができる。
【0068】同図に示す電極5では、その外周面が鉛直
軸に対してシリンダ1aの傾斜角度α1と同一の角度で
傾斜し、これにより全体が上方から下方に向かって次第
に太くなる円錐台形に形成されている。また、電極5に
は、流路7と流路8とを連通する連通路301が電極5
の周方向及び軸方向に多数形成されている。
【0069】この電極5によれば、上述のように電極5
の外周面がシリンダ1aの傾斜角度α1と同一の角度で
傾斜しているので、流路8がシリンダ1aのクランクケ
ース側から燃焼室側に向かって狭まることはないが、処
理液が電極5の上端部分を経て流路8に流れ込む以外に
上記連通路301を介して流路8に流れ込むため、これ
によって処理液の流動速度がクランクケース側から燃焼
室側に向かって高められ、その結果、シリンダ内周面の
めっき皮膜の厚みがクランクケース側から燃焼室側に向
かって漸増することになる。
【0070】次に、本発明に係るめっき処理装置の第2
実施例について説明する。
【0071】図2(b)は、第2実施例のめっき処理装
置の要部を概略的に示している。なお、第2実施例に示
すめっき処理装置2Bの基本的な構成は図1に示す第1
実施例のめっき処理装置2と同一であるため、同一機能
を果たすものについては同一符号を付すものとし、以
下、第1実施例のめっき処理装置2との相違点について
簡単に説明することにする。
【0072】第2実施例のめっき処理装置2Bでは、電
極5の外周面が鉛直軸に対して所定の角度(傾斜角度β
2)で傾斜し、これにより全体が下方から上方に向かっ
て次第に太くなる円錐台形に形成されている。
【0073】また、この実施例に用いられるシリンダブ
ロック1Bは、シリンダ1aの内周面が鉛直軸に対して
所定の角度(傾斜角度α2)で傾斜し、これによってシ
リンダ1aが燃焼室側からクランクケース側に向かって
先拡がりの円錐台形となるように形成されている。
【0074】なお、電極5とシリンダ1aとの関係で
は、傾斜角度α2<傾斜角度β2となっており、これによ
ってシリンダ1aの内周面と電極5の外周面との間に形
成される流路8が、下方から上方、つまりシリンダ1a
の燃焼室側からクランクケース側に向かって徐々に狭ま
るように設定されている。
【0075】このように流路8が燃焼室側からクランク
ケース側に向かって狭まっている第2実施例のめっき処
理装置2Bでは、シリンダ1aと電極5との距離が燃焼
室側からクランクケース側に向かって接近し、また流路
8を流れる処理液の流動速度が燃焼室側からクランクケ
ース側に向かって高まることになるので、シリンダ1a
への鍍着物質の析出量が燃焼室側からクランクケース側
に向かって増加し、その結果、めっき皮膜の厚みがシリ
ンダ1aの燃焼室側からクランクケース側に向かって漸
増することになる。なお、この処理によると、シリンダ
1aの内周面の傾斜角度α2、電極5の傾斜角度β2、電
極5への通電量及びめっき処理時間等に応じて、シリン
ダ1aの燃焼室側からクランクケース側に向かってその
厚みが漸増し、かつめっき皮膜の表面がシリンダ1aの
中心軸と平行となるようなめっき皮膜Pb(図3(b)
参照)を形成することができる。
【0076】このようにして形成されためっき皮膜によ
れば、その厚みがシリンダ1aの燃焼室側からクランク
ケース側に向かって漸増するため、クランクケース側で
のシリンダ1aのめっき皮膜の劣化を効果的に抑えるこ
とができる。従って、シリンダヘッド側の熱膨張に合わ
せてピストンリングの緊迫力が設定され、これによっ
て、エンジンの運転中にクランクケース側のピストンリ
ングの緊迫力が更に増加するような事態が生じても、め
っき皮膜の耐久性を効果的に高めることができる。
【0077】なお、上記第2実施例のめっき処理装置2
Bにおいては、上記電極5を図9に示すように構成する
ことによってもめっき皮膜の厚みを燃焼室側からクラン
クケース側に向かって漸増させることができる。
【0078】同図に示す電極5では、その外周面が鉛直
軸に対してシリンダ1aの傾斜角度α2と同一の角度で
傾斜し、これにより全体が下方から上方に向かって次第
に太くなる円錐台形に形成されている。また、電極5に
は、流路7以外に、シリンダ内周面に対向する部分より
下方の位置に流路8をバイパスする流路332が形成さ
れ、この流路332と流路8とを連通する連通路331
が電極5の周方向及び軸方向に多数形成されている。
【0079】この電極5によれば、上述のように電極5
の外周面がシリンダ1aの傾斜角度α2と同一の角度で
傾斜しているので、流路8がシリンダ1aの燃焼室側か
らクランクケース側に向かって狭まることはないが、流
路8の処理液が連通路331を介して流路332に流れ
込むことによって流路8を流れる処理液の流動速度がク
ランクケース側から燃焼室側に向かって遅くなる。つま
り、換言すれば、処理液の流動速度が燃焼室側からクラ
ンクケース側に向かって高められることになり、その結
果、シリンダ内周面のめっき皮膜の厚みが燃焼室側から
クランクケース側に向かって漸増することになる。
【0080】次に、本発明に係るめっき処理装置の第3
実施例について説明する。
【0081】図2(c)は、第3実施例のめっき処理装
置の要部を概略的に示している。なお、第3施例に示す
めっき処理装置2Cの基本的な構成は図1に示す第1実
施例のめっき処理装置2と同一であるため、同一機能を
果たすものについては同一符号を付すものとし、以下、
第1実施例のめっき処理装置2との相違点について簡単
に説明することにする。
【0082】第3実施例のめっき処理装置2Cでは、電
極5の外周面が、その軸方向略中央部分から上方及び下
方へそれぞれ鉛直軸に対し所定の角度(下方に向かって
傾斜角度β3、上方に向かって傾斜角度β4)で傾斜し、
これにより全体が軸方向略中央部分から上方及び下方に
向かって次第に太くなる形状に形成されている。
【0083】また、この実施例に用いられるシリンダブ
ロック1Cは、シリンダ1aの内周面が、その軸方向略
中央部分からクランクケース側及び燃焼室側へそれぞれ
鉛直軸に対して所定の角度(燃焼室側に向かって傾斜角
度α3、クランクケース側に向かって傾斜角度α4)で傾
斜し、これによってシリンダ1aがその軸方向略中央部
分から燃焼室側及びクランクケース側に向かってそれぞ
れ先拡がりとなるように形成されている。
【0084】なお、電極5とシリンダ1aとの関係で
は、傾斜角度α3<傾斜角度β3、傾斜角度α4<傾斜角
度β4となっており、これによってシリンダ1aの内周
面と電極5の外周面との間に形成される流路8が、上下
方向中央部分から下方及び上方、つまりシリンダ1aの
軸方向中央部分から燃焼室側及びクランクケース側に向
かってそれぞれ徐々に狭まるように設定されている。
【0085】このように流路8が中央部分から燃焼室側
及びクランクケース側に向かってそれぞれ狭まっている
第3実施例のめっき処理装置2Cでは、シリンダ1aと
電極5との距離が中央部分から燃焼室側及びクランクケ
ース側に向かっそれぞれ接近し、また流路8を流れる処
理液の流動速度が中央部分から燃焼室側及びクランクケ
ース側に向かってそれぞれ高まることになる。そのた
め、シリンダ1aへの鍍着物質の析出量が中央部分から
燃焼室側及びクランクケース側に向かってそれぞれ増加
し、めっき皮膜の厚みがシリンダ1aの中央部分から燃
焼室側及びクランクケース側に向かってそれぞれ漸増す
ることになる。なお、この処理によると、シリンダ1a
の内周面の傾斜角度α3,α4、電極5の傾斜角度β3
β4、電極5への通電量及びめっき処理時間等に応じ
て、シリンダ1aの中央部分から燃焼室側及びクランク
ケース側に向かってその厚みが漸増し、かつめっき皮膜
の表面がシリンダ1aの中心軸と平行となるようなめっ
き皮膜Pc(図3(c)参照)を形成することができ
る。
【0086】このようにして形成されためっき皮膜によ
れば、その厚みがシリンダ1aの軸方向中央部分から燃
焼室側及びクランクケース側に向かってそれぞれ漸増す
るため、燃焼室側及びクランクケース側双方でのシリン
ダ1aのめっき皮膜の劣化を効果的に抑えることができ
る。従って、上記第1及び第2実施例双方の効果、つま
り熱負荷、あるいは熱応力が大きく、それ故に摩耗が激
しい燃焼室側でのめっき皮膜の劣化抑制、およびピスト
ンリングの緊迫力の増大に起因したクランクケース側で
のめっき皮膜の劣化抑制といった双方の効果を得ること
が可能である。
【0087】なお、上記第3実施例のめっき処理装置2
Cにおいては、上記電極5を図10に示すように構成す
ることによってもめっき皮膜の厚みをシリンダ中央部分
から燃焼室側及びクランクケース側に向かってそれぞれ
漸増させることができる。
【0088】同図に示す電極5では、その外周面が鉛直
軸に対してシリンダ1aの傾斜角度α3,α4と同一の角
度で傾斜し、これにより全体が軸方向略中央部分から上
方及び下方に向かって次第に太くなる形状に形成されて
いる。
【0089】また、電極5には、流路7から分岐してシ
リンダ1aの軸方向略中央部分に達する流路7aが設け
られるとともに、流路7aと流路8とを連通する連通路
341が電極5の周方向及び軸方向に多数形成されてい
る。さらに、電極5には、シリンダ内周面に対向する部
分より下方の位置に流路8をバイパスする流路342が
形成され、この流路342と流路8とを連通する連通路
351がシリンダ1aの軸方向中央部分より上方位置に
おいて電極5の周方向及び軸方向に多数形成されてい
る。
【0090】この電極5によれば、上述のように電極5
の外周面がシリンダ1aの傾斜角度α3,α4と同一の角
度で傾斜しているので、流路8がシリンダ1aの中央部
分から燃焼室側及びクランクケース側に向かって狭まる
ことはないが、流路8の処理液が連通路341を介して
流路352に流れ込むことによって流路8を流れる処理
液の流動速度がクランクケース側からシリンダ中央部分
に向かって遅くなるとともに、流路7aに供給される処
理液が連通路351を介して流路8に流れ込むことによ
って流路8を流れる処理液の流動速度がシリンダ1aの
中央部分から燃焼室側に向かって高まることになる。つ
まり、処理液の流動速度がシリンダ1aの中央部分から
燃焼室側及びクランクケース側に向かってそれぞれ高く
なっており、その結果、シリンダ内周面のめっき皮膜の
厚みがシリンダ1aの中央部分から燃焼室側及びクラン
クケース側に向かってそれぞれ漸増することになる。
【0091】なお、以上説明した第2及び第3実施例に
係るめっき皮膜層においても、皮膜表面がシリンダ1a
の中心軸と平行となるように形成されることで、ホーニ
ング加工においてめっき皮膜の全長に亘って研磨代を均
一にでき、これによってホーニング加工時間を節約する
ことができ、また、場合によっては、ホーニング加工を
省略することが可能となる。
【0092】次に、本発明に係るめっき処理装置の第4
実施例について説明する。
【0093】図4は、第4実施例のめっき処理装置を概
略的に示している。なお、第4実施例に示すめっき処理
装置2Dの基本的な構成は図1に示す第1実施例のめっ
き処理装置2と同一であるため、同一機能を果たすもの
については同一符号を付すものとし、以下、第1実施例
のめっき処理装置2との相違点について簡単に説明する
ことにする。また、このめっき処理装置2Dも、ワーク
として第1実施例のシリンダブロック1のシリンダ1a
に対してめっきを施すものである。
【0094】同図に示すように、第2実施例のめっき処
理装置2Dも、シリンダブロック1を支持する支持ブロ
ック3やシール治具10を備えている点で第1実施例の
めっき処理装置2と共通する。
【0095】しかし、上記めっき処理装置2Dでは、図
5に示すように、電極5′が軸方向に一定径の円筒状に
形成され、しかも、電極5′が支持ブロック3に対して
上下方向に進退し得るようになっている点で第1実施例
のめっき処理装置2と相違している。
【0096】具体的には、電極5′が処理液導入通路
9′を備えたホルダ6′に取付られるとともに、このホ
ルダ6′が上記支持ブロック3に上下方向のスライドが
可能な状態で装着され、さらにこのホルダ6′がエアシ
リンダ等の駆動手段23の作動軸24に連結されてい
る。そして、上記駆動手段23により電極5′が支持ブ
ロック3から所定量上方に突出する上昇位置と、電極上
端が支持ブロック3の上面付近まで下降する下降位置と
にわたって移動させられるようになっている。
【0097】そして、めっき処理装置2Dにシリンダブ
ロック1が支持され、かつ電極5′が上昇位置にある状
態では、第1実施例同様に、電極5′がシリンダブロッ
ク1のシリンダ1a内に突入して電極5′の上端がシリ
ンダ1aの上端近傍に達し、かつ電極5′の外周面とシ
リンダ内周面との間に隙間が保たれ、これにより、シリ
ンダブロック1のシリンダ1a内で電極5′の内側と外
側に、上部で互いに連通する流路7,8が形成されるよ
うになっている。
【0098】次に、上記めっき処理装置2Dの作用につ
いて説明する。
【0099】第4実施例のめっき処理装置2Dにおいて
も、支持ブロック3にシリンダブロック1が支持された
図4に示す状態で、処理液が処理液導入通路9′に供給
され、この処理液が、図4及び図5中に矢印(一点鎖
線)で示すように、電極5′の内外の流路7、8を通っ
て開口部3aから処理液導出通路4に流れ込んだ後、処
理液貯蔵に戻される。こうして処理液がシリンダ1aの
内面に沿って流動されつつ、上記電極5′とシリンダブ
ロック1との間に電圧が印加されることによりシリンダ
1aの内周面に対してめっきが施される。
【0100】そして、上記めっき処理装置2Dでは、こ
のようにして所定時間だけシリンダ1aの内周面に対し
てめっきを施す処理が行われると、上記駆動手段23に
より電極5′が所定の定速度で図4に示す上昇位置から
下降位置へと移動させられる(図5の白抜き矢印)。
【0101】すなわち、めっき処理中に電極5′が上昇
位置から下降位置に移動させられることによって、被処
理面であるシリンダ1aの内周面においては、電極5′
がシリンダ1aの内周面に対向している時間がその軸方
向に異なることになり、その結果、シリンダ1aの内周
面に形成されるめっき皮膜の厚みがシリンダ1aの軸方
向に変化するようになっている。
【0102】具体的には、電極5′が移動させられるこ
とにより、電極5′がシリンダ1aの内周面に対向して
いる時間が、シリンダ1aのクランクケース側から燃焼
室側に向って長くなり、これによってめっき皮膜の厚み
がシリンダ1aのクランクケース側から燃焼室側に向か
って漸増することになる。
【0103】従って、クランクケース側から燃焼室側に
向かって先拡がりの円錐台形に形成されている上記シリ
ンダブロック1のシリンダ1aに上述のようにしてめっ
きを施し、この処理において、予め、皮膜表面がシリン
ダ1aの中心軸と平行に形成されるように電極5′の移
動速度を設定することによって、上記第1実施例の場合
と同様に、シリンダ1aのクランクケース側から燃焼室
側に向かってその厚みが漸増し、かつ皮膜表面がシリン
ダ1aの中心軸と平行となるようなめっき皮膜Paが形
成される(図3)。
【0104】このように、上記めっき処理装置2Dにお
いても、めっき皮膜の厚みをシリンダ1aのクランクケ
ース側から燃焼室側に向かって変化させて、シリンダブ
ロック1に適しためっき皮膜を形成することができる。
特に、第4実施例のめっき処理装置2Dによれば、電極
5′の移動速度に応じて形成されるめっき皮膜の厚みを
自在に調整することが可能であるため、めっき皮膜をワ
ークの形状等に応じてより適切に形成することができ
る。
【0105】次に、本発明に係るめっき処理装置の第5
実施例について説明する。
【0106】図6は、第5実施例のめっき処理装置を概
略的に示している。なお、この図に示すめっき処理装置
2Eでは、ワークを処理液に浸漬した状態でめっき処理
を行うようになっている。
【0107】同図に示すように、めっき処理装置2Eに
は、処理液を溜めるための処理槽33を有しており、こ
の処理槽33の底部に突設された支持ブロック34上に
シリンダブロック31が支持されている。
【0108】このシリンダブロック31は、上下両側に
開口するシリンダ31aと、これに連通する排気ポート
31b及び掃気ポート31cを具備した2サイクルエン
ジンのシリンダブロックであって、上述のように支持ブ
ロック34上に支持された状態では、シリンダ31aの
下方開口部が支持ブロック34で塞がれるようになって
いる。また、上記処理槽33の底部には後記処理液導出
通路35と連通する開口部33aが設けられており、シ
リンダブロック31のシリンダ31aの下方開口部とこ
の開口部33aとが合致するようになっている。
【0109】また、処理槽33の底部には、左右に伸び
る処理液導出通路35が形成されるとともに、上記シリ
ンダブロック31のシリンダ31aに対応する位置に流
路構成部材を兼ねる電極36が配設されている。電極3
6は、同図に示すように、上記処理液導出通路35の底
部に取付けられたホルダー37を介して処理槽33に取
付けられており、上記処理液導出通路35を突き抜けて
上記開口部33aから上方に突出し、処理槽33内に支
持されたシリンダブロック31のシリンダ31a内に突
入している。
【0110】上記電極36は、同図に示すように軸方向
に一定径の円筒状に形成されるとともに、その外周面の
上下2箇所には凹部36a、36bが形成されている。
そして、上述のように電極36がシリンダ31aに突入
した状態で、電極36の先端がシリンダ31aの上端に
達し、上記凹部36a及び36bがそれぞれシリンダブ
ロック31の排気ポート31b及び掃気ポート31cに
対向配置されるとともに、電極36の外周面とシリンダ
31aの内周面との間に所定の隙間が保たれるようにな
っている。これにより、シリンダブロック31のシリン
ダ31a内で電極36の内側と外側に、上部で互いに連
通する流路38,39が形成されるとともに、外側の流
路39が処理液導出通路35に連通するようになってい
る。
【0111】また、上記ホルダー37には貫通孔が形成
されており、この貫通孔と処理槽33に形成された貫通
孔とによって上記電極36の内側の流路38に連通する
処理液導入通路40が形成されている。
【0112】一方、めっき処理装置2Eにおいて、処理
槽33の上部には、処理槽33の上方開口部を塞いで処
理槽内を密閉状態とするための治具41が装着されてい
る。
【0113】この治具41には、上記支持ブロック34
に対応して抑え部材42が設けられており、治具41が
処理槽33に装着された状態で、抑え部材42がシリン
ダブロック31の上部に圧接してシリンダブロック31
を固定するとともに、シリンダ31aの上方開口部を塞
ぐようになっている。
【0114】なお、上記めっき処理装置2Eに対する処
理液の給排系統及び電気系統につては図示を省略する
が、処理液は図外の処理液液貯蔵タンクからポンプを介
して上記めっき処理装置2Eの処理液導入通路40に送
り込まれ、上記流路38,39を通って処理槽33内に
貯留されるとともに、処理液導出通路35から図外の処
理液回収管を介して処理液貯蔵タンクに回収されるよう
に給排系統が構成されている。また、上記電極36が電
源回路のプラス側に接続されるとともに、上記シリンダ
ブロック31が上記治具41を介して電源回路のマイナ
ス側に接続されることにより、上記電極36とシリンダ
ブロック31との間に電圧が印加されるように電気系統
が構成されている。
【0115】次に、上記めっき処理装置2Eの作用につ
いて説明する。
【0116】上記第5実施例のめっき処理装置2Eによ
ると、処理槽33内にシリンダブロック31が支持され
た図6に示す状態で、上記給排系統により処理液の供
給、循環が行われるとともに、電極36への通電が行わ
れ、これによりシリンダブロック31のシリンダ31a
の内周面にめっきが施される。
【0117】具体的には、図6に示す状態とされてから
ポンプが作動されることにより、処理液が処理液貯蔵タ
ンクからめっき処理装置2Eの処理液導入通路40に供
給される。そして、処理液導入通路40に供給された処
理液が、さらに電極36の内、外の流路38,39を経
てシリンダ31a内に流入する。この際、処理槽33に
処理液が充満するに至るまでは、流路39に流入した処
理液が排気ポート31b及び掃気ポート31cから処理
槽33に流出するが、処理液の供給に伴い処理槽33内
に処理液が充満する状態となると、各ポート36b、3
6cからの処理液の流出がなくなり、流路39に流入し
た処理液が処理液導出通路35へと流れるようになって
いる。
【0118】つまり、処理槽33に処理液が充満して、
シリンダブロック31が処理液に浸漬されている状態で
は、流路38から流路39に流れ込んだ処理液が、シリ
ンダ31の内面に沿って流動し、上記開口部33aを介
して処理液導出通路35へと流出する。そして、このよ
うに処理液が流動されつつ、上記電極36とシリンダブ
ロック31との間に電圧が印加されることによりシリン
ダ31aの内周面に対してめっきが施される。
【0119】このとき、上記第5実施例のめっき処理装
置2Eによれば、上述のように電極36に凹部36a,
36bが形成されているために、2サイクルエンジンの
シリンダブロック21に対するこの種のめっきで生じ易
いポート部分への不用なめっきが効果的に防止されるよ
うになっている。
【0120】すなわち、単に電極が一定径に形成されて
いる従来のこの種の装置によると、例えば、図7に示す
ように、シリンダ50の内周面に形成されるめっき皮膜
52のうちでポート51のまわりの部分に、俗に華咲き
と称する盛り上がり部53が生じ、これによってめっき
皮膜52の平滑性が損なわれることがあった。このよう
な傾向が生じるのは、ポートまわりのエッジ部分で電流
密度が局所的に増大するためである。これに対し、上記
めっき処理装置2Eでは、上述のように、電極36の各
ポート31b,31cに対向する部分に凹部36a,3
6bが形成され、これによってシリンダ31aと電極3
6の間の流路39を流れる処理液の流動速度が各ポート
31b,31cの部分で低くなるとともに、電極36の
形状よりこの部分での電流密度が低下するようになって
いるので、各ポート31b,31cの部分での鍍着物質
の析出が抑制され、その結果、上述のような盛り上がり
部53の発生が阻止される。
【0121】従って、上記めっき処理装置2Eによれ
ば、各ポート31b,31cの部分での上述のような盛
り上がり部の発生を効果的に防止することがき、これに
よって平滑性に優れた高品質のめっき皮膜をシリンダ3
1aに形状することができる。
【0122】次に、本発明に係るめっき処理装置の第6
実施例について説明する。
【0123】図11は、第6実施例のめっき処理装置を
概略的に示している。この図に示すように、第6実施例
のめっき処理装置2Fは、処理液を貯留する処理槽40
2を備えるとともに、ワークとして、4サイクルエンジ
ンのシリンダブロック100を収納した箱型のめっき治
具403が処理槽402中の処理液に沈められることで
めっき処理が行われるようになっている。
【0124】上記シリンダブロック100は、燃焼室側
を上方にした状態でめっき治具403の内部に載置さ
れ、めっき治具403の底部に突設されたシール治具4
07によってシリンダ1aのクランクケース側の開口部
がシールされるようになっている。また、めっき治具4
03の上部には、シリンダブロック100との間をシー
ルした状態で蓋体404が装着され、この状態で蓋体4
04に形成された開口部405がシリンダ1aの燃焼室
側の開口部と合致するようになっている。
【0125】そして、この蓋体404の開口部405を
介して電極406が突入させられ、この電極406及び
処理槽402が交直変換器401を介して交流電源40
0に接続されている。
【0126】このように構成された第6実施例のめっき
処理装置2Fによれば、シリンダブロック100を収納
しためっき治具403が上記処理槽402内の処理液中
に沈められることにより、シリンダブロック100がめ
っき治具403によって隔離された状態で、処理液が上
記蓋体404の開口部405を介してシリンダブロック
100のシリンダ1a内に溜められる。そして、この状
態で処理槽402及びめっき治具403を介してシリン
ダブロック100と電極406との間に電圧が印加され
ることによりシリンダ1aの内周面にめっき皮膜が形成
されることになる。
【0127】このめっき処理装置2Fにおいても、電極
406の形状を上記第1〜第3実施例の電極5のように
形成する、すなわち径が軸方向に変化するように電極4
06を構成する(同図では、電極406を上方に向かっ
て先拡がりに構成した例を示す)ことによって、シリン
ダ1aの軸方向に厚みの異なるめっき皮膜を形成するこ
とが可能である。
【0128】なお、以上説明した第1〜第6実施例のめ
っき処理装置2,2B〜2Fは、本発明の代表的な実施
例であって、その具体的な構造は本発明の要しを逸脱し
ない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施例で
は特に説明していないが、電極5,5′,36,406
は、不溶性、あるいは可溶性のいずれの電極であっても
構わない。また、処理液の流動方向も、上記各実施例と
は逆、すなわち電極の外側の流路から電極内部の流路に
処理液が流動するようにしても構わない。
【0129】さらに、電極5,5′,36,406の具
体的な形状も、ワークと電極の間を流れる処理液の流動
速度、あるいは処理時の電流密度が所望のめっき皮膜が
形成されるように適宜選定するようにすればよい。
【0130】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のめっき方
法によれば、電極形状を変化させて処理時の電流密度や
処理液の流動速度を筒状部分の軸方向に変化させ、これ
によりめっきの状態を筒状部分の軸方向に変化させるよ
うにしたので、被処理面の要求、あるいは形状等に適し
ためっき皮膜を形成することが可能となる。そのため、
ワークに応じた、より高品質のめっき皮膜を筒状部分に
形成することができる。
【0131】エンジンのシリンダブロックのシリンダ内
周面にめっきを施す場合には、シリンダの内径を当該シ
リンダのクランクケース側から燃焼室側に向かって先拡
がりに形成し、電極とシリンダ内周面との距離をクラン
クケース側から燃焼室側に向かって小さくするか、シリ
ンダ内部での処理液の流動速度を上記クランクケース側
から燃焼室側に向かって漸増させるか、あるいはこれら
の双方を行うようにすれば、エンジンのシリンダにおい
て、摩耗が激しい燃焼室側でのめっき皮膜の厚みを厚く
することができる。そして、このようにしてめっき皮膜
が形成された内面めっきエンジンシリンダによれば、燃
焼室側でのめっき皮膜の厚みが厚くなっているので、燃
焼室側での摩耗によるめっき皮膜の耐久性が高められ
る。
【0132】また、シリンダの内径を当該シリンダの燃
焼室側からクランクケース側に向かって先拡がりに形成
し、電極とシリンダ内周面との距離を燃焼室側からクラ
ンクケース側に向かって小さくするか、処理液の流動速
度を燃焼室側からクランクケース側に向かって漸増させ
るか、あるいはこれらの双方を行うようにすれば、クラ
ンクケース側で激しい摩耗が発生するエンジンにおい
て、クランクケース側での摩耗によるめっき皮膜の耐久
性が高められる。
【0133】さらに、シリンダの内径を当該シリンダの
軸方向中央部分から燃焼室側及びクランクケース側に向
かってそれぞれ先拡がりに形成し、電極とシリンダ内周
面との距離を上記中央部分から燃焼室側及びクランクケ
ース側に向かってそれぞれ小さくするか、処理液の流動
速度を上記中央部分から燃焼室側及びクランクケース側
に向かってそれぞれ漸増させるか、あるいはこれらの双
方を行うようにすれば、燃焼室側とクランクケース側と
の両方で大きな摩耗の発生するエンジンにおいて、燃焼
室側とクランクケース側の双方での摩耗に対するめっき
皮膜の耐久性を高めることができる。
【0134】また、シリンダと、シリンダから分岐する
ポートを備えた2サイクルエンジンのシリンダブロック
のシリンダ内周面にめっきを施す場合に、シリンダ内部
での処理液の流動速度を上記ポートに対応する部分で抑
制するようにすれば、シリンダのポート分岐部分に形成
され易い不用なめっきの盛り上がりを抑制することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るめっき処理装置の第1実施例を示
す断面略図である。
【図2】(a)は、第1実施例のめっき処理装置におけ
るシリンダブロックのシリンダと電極との関係を示す要
部断面略図、(b)は、第2実施例のめっき処理装置に
おけるシリンダブロックのシリンダと電極との関係を示
す要部断面略図、(c)は、第3実施例のめっき処理装
置におけるシリンダブロックのシリンダと電極との関係
を示す要部断面略図である。
【図3】(a)は、第1実施例のめっき処理装置によっ
てシリンダの内周面に形成されためっき皮膜を示す断面
略図、(b)は、第2実施例のめっき処理装置によって
シリンダの内周面に形成されためっき皮膜を示す断面略
図、(c)は、第3実施例のめっき処理装置によってシ
リンダの内周面に形成されためっき皮膜を示す断面略図
である。
【図4】本発明に係るめっき処理装置の第4実施例を示
す断面略図である。
【図5】第4実施例のめっき処理装置におけるシリンダ
ブロックのシリンダと電極との関係を示す断面略図であ
る。
【図6】本発明に係るめっき処理装置の第5実施例を示
す断面略図である。
【図7】ポート部に発生しためっき皮膜の盛り上がり部
を示す断面略図である。
【図8】第1実施例のめっき処理装置の変形例を示す要
部断面略図である。
【図9】第2実施例のめっき処理装置の変形例を示す要
部断面略図である。
【図10】第3実施例のめっき処理装置の変形例を示す
要部断面略図である。
【図11】本発明に係るめっき処理装置の第6実施例を
示す断面略図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック 1a シリンダ 2 めっき処理装置 3 支持ブロック 3a 開口部 4 処理液導出通路 5 電極 6 ホルダー 7,8 流路 9 処理液導入通路 10 シール治具 11 プレート部材 12 柱状部材 13 シール部材 α1,β1 傾斜角度 Pa めっき皮膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−222589(JP,A) 特開 昭54−121240(JP,A) 特開 昭55−73893(JP,A) 特開 昭63−20499(JP,A) 特公 昭36−12405(JP,B1) 特許157113(JP,C1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 7/04 C25D 7/00 C25D 5/08

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状部分を有するワークの前記筒状部分
    に電極を挿入するとともに、この電極と筒状部分の内周
    面との間を処理液で満たして上記電極とワークの間に電
    圧を印加して筒状部分の内周面にめっきを施す方法にお
    いて、上記電極と上記筒状部分の内周面との距離が筒状
    部分の軸方向に変化するように上記電極の外径を上記軸
    方向に変化させて、形成されるめっきの状態を筒状部分
    の軸方向に変化させることを特徴とするめっき方法。
  2. 【請求項2】 筒状部分を有するワークをワーク支持部
    に載置し、ワーク支持部に突設された流路構成部材を兼
    ねる電極を上記筒状部分に突入させることにより筒状部
    分の内部に処理液を流動させるための経路を形成し、こ
    の状態で上記経路内に処理液を供給して筒状部分の内周
    面にめっきを施すようにするとともに、上記筒状部分で
    の処理液の流動速度を筒状部分の軸方向に変化させて、
    形成されるめっきの状態を筒状部分の軸方向に変化させ
    ることを特徴とするめっき方法。
  3. 【請求項3】 上記めっき方法は、電極と筒状部分の内
    周面との距離が筒状部分の軸方向に変化するように上記
    電極の外径を上記軸方向に変化させることにより処理液
    の流動速度を筒状部分の軸方向に変化させることを特徴
    とする請求項2記載のめっき方法。
  4. 【請求項4】 上記めっき方法は、エンジンのシリンダ
    ブロックのシリンダ内周面にめっきを施す方法であっ
    て、上記シリンダの内径を当該シリンダのクランクケー
    ス側から燃焼室側に向かって先拡がりに形成し、上記シ
    リンダ内部での処理液の流動速度を上記クランクケース
    側から燃焼室側に向かって漸増させることを特徴とする
    請求項2記載のめっき方法。
  5. 【請求項5】 上記めっき方法は、エンジンのシリンダ
    ブロックのシリンダ内周面にめっきを施す方法であっ
    て、上記シリンダの内径を当該シリンダのクランクケー
    ス側から燃焼室側に向かって先拡がりに形成し、上記電
    極とシリンダ内周面との距離が上記クランクケース側か
    ら燃焼室側に向かって狭くなるように、上記クランクケ
    ース側から燃焼室側に向かって外径が先広がりに形成さ
    れた電極を用いてめっきを施すことを特徴とする請求項
    3記載のめっき方法。
  6. 【請求項6】 上記めっき方法は、エンジンのシリンダ
    ブロックのシリンダ内周面にめっきを施す方法であっ
    て、上記シリンダの内径を当該シリンダの燃焼室側から
    クランクケース側に向かって先拡がりに形成し、上記シ
    リンダ内部での処理液の流動速度を上記燃焼室側からク
    ランクケース側に向かって漸増させることを特徴とする
    請求項2記載のめっき方法。
  7. 【請求項7】 上記めっき方法は、エンジンのシリンダ
    ブロックのシリンダ内周面にめっきを施す方法であっ
    て、上記シリンダの内径を当該シリンダの燃焼室側から
    クランクケース側に向かって先拡がりに形成し、上記電
    極とシリンダ内周面との距離が上記燃焼室側からクラン
    クケース側に向かって狭くなるように、上記燃焼室側か
    らクランクケース側に向かって外径が先拡がりに形成さ
    れた電極を用いてめっきを施すことを特徴とする請求項
    3記載のめっき方法。
  8. 【請求項8】 上記めっき方法は、エンジンのシリンダ
    ブロックのシリンダ内周面にめっきを施す方法であっ
    て、上記シリンダの内径を当該シリンダの軸方向略中央
    部分から燃焼室側及びクランクケース側に向かってそれ
    ぞれ先拡がりに形成し、上記シリンダ内部での処理液の
    流動速度を当該シリンダの軸方向略中央部分から燃焼室
    側及びクランクケース側に向かってそれぞれ漸増させる
    ことを特徴とする請求項2記載のめっき方法。
  9. 【請求項9】 上記めっき方法は、エンジンのシリンダ
    ブロックのシリンダ内周面にめっきを施す方法であっ
    て、上記シリンダの内径を当該シリンダの軸方向略中央
    部分から燃焼室側及びクランクケース側に向かってそれ
    ぞれ先拡がりに形成し、上記電極とシリンダ内周面との
    距離がシリンダの軸方向略中央部分から燃焼室側及びク
    ランクケース側に向かってそれぞれ狭くなるように、外
    径がシリンダの軸方向略中央部分から燃焼室側及びクラ
    ンクケース側に向かってそれぞれ先拡がりに形成された
    電極を用いてめっきを施すことを特徴とする請求項3記
    載のめっき方法。
  10. 【請求項10】 上記めっき方法は、シリンダと、シリ
    ンダから分岐するポートを備えた2サイクルエンジンの
    シリンダブロックの上記シリンダ内周面にめっきを施す
    方法であって、上記シリンダ内部での処理液の流動速度
    を上記ポートに対応する部分で抑制することを特徴とす
    る請求項2記載のめっき方法。
  11. 【請求項11】 筒状部分を有するワークをワーク支持
    部に載置し、ワーク支持部に突設された流路構成部材を
    兼ねる電極を上記筒状部分に突入させることにより筒状
    部分の内部に処理液を流動させるための経路を形成し、
    この状態で上記経路内に処理液を供給して筒状部分の内
    周面にめっきを施すようにするとともに、めっき処理中
    に、上記電極とワークを、上記筒状部分の軸方向に相対
    的に移動させて、形成されるめっきの状態を筒状部分の
    軸方向に変化させることを特徴とするめっき方法。
  12. 【請求項12】 筒状部分を有するワークの筒状部分の
    内周面に処理液を供給してめっきを施す装置において、
    上記ワークを支持するワーク支持部と、ワークが支持さ
    れた状態で上記筒状部分に突入され、筒状部分の内部に
    処理液を流動させるための経路を形成する流路構成部材
    を兼ねる電極とを備え、この電極が上記筒状部分での処
    理液の流動速度を筒状部分の軸方向に変化させる形状に
    形成されてなることを特徴とするめっき装置。
  13. 【請求項13】 上記電極は柱状に形成され、かつその
    径が筒状部分の軸方向片方側から他方側に向かって変化
    するように形成されてなることを特徴とする請求項12
    記載のめっき装置。
  14. 【請求項14】 上記ワークは上記筒状部分としてのシ
    リンダを有するエンジンのシリンダブロックであって、
    上記電極は、電極外周面と上記シリンダ内周面との隙間
    が当該シリンダのクランクケース側に比して燃焼室側で
    狭く又は広くなるように形成されてなることを特徴とす
    る請求項13記載のめっき装置。
  15. 【請求項15】 上記ワークは上記筒状部分としてのシ
    リンダを有するエンジンのシリンダブロックであって、
    上記電極は、電極外周面と上記シリンダ内周面との隙間
    がシリンダの軸方向略中央部分に比して当該シリンダの
    クランクケース側及び燃焼室側でそれぞれ狭くなるよう
    に形成されてなることを特徴とする請求項13記載のめ
    っき装置。
  16. 【請求項16】 上記ワークは上記筒状部分としてのシ
    リンダと、このシリンダから分岐するポートを有する2
    サイクルエンジンのシリンダブロックであって、上記電
    極は、上記シリンダのポートに対向する部分に凹部が形
    成されてなることを特徴とする請求項12記載のめっき
    装置。
  17. 【請求項17】 筒状部分を有するワークの筒状部分の
    内周面に処理液を供給してめっきを施す装置において、
    上記ワークを支持するワーク支持部と、ワークが支持さ
    れた状態で上記筒状部分に突入され、筒状部分の内部に
    処理液を流動させるための経路を形成する流路構成部材
    を兼ねる電極と、めっき処理中にこの電極を上記筒状部
    分の軸方向に進退させる機構とを備えたことを特徴とす
    るめっき装置。
  18. 【請求項18】 上記請求項4又は5のめっき方法によ
    りシリンダ内周面にめっき皮膜を形成した内面めっきエ
    ンジンシリンダであって、上記めっき皮膜は、その厚み
    が上記シリンダのクランクケース側から燃焼室側に向か
    って漸増し、かつめっき皮膜の表面がシリンダの中心軸
    と平行になるように形成されてなることを特徴とする内
    面めっきエンジンシリンダ。
  19. 【請求項19】 上記請求項6又は7のめっき方法によ
    りシリンダ内周面にめっき皮膜を形成した内面めっきエ
    ンジンシリンダであって、上記めっき皮膜は、その厚み
    が上記シリンダの燃焼室側からクランクケース側に向か
    って漸増し、かつめっき皮膜の表面がシリンダの中心軸
    と平行になるように形成されてなることを特徴とする内
    面めっきエンジンシリンダ。
  20. 【請求項20】 上記請求項8又は9のめっき方法によ
    りシリンダ内周面にめっき皮膜を形成した内面めっきエ
    ンジンシリンダであって、上記めっき皮膜は、その厚み
    が上記シリンダの軸方向略中央部分から燃焼室側及びク
    ランクケース側に向かってそれぞれ漸増し、かつめっき
    皮膜の表面がシリンダの中心軸と平行になるように形成
    されてなることを特徴とする内面めっきエンジンシリン
    ダ。
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