JP3496814B2 - シリンダブロックの表面処理装置、及び表面処理用マスキング装置 - Google Patents

シリンダブロックの表面処理装置、及び表面処理用マスキング装置

Info

Publication number
JP3496814B2
JP3496814B2 JP36660398A JP36660398A JP3496814B2 JP 3496814 B2 JP3496814 B2 JP 3496814B2 JP 36660398 A JP36660398 A JP 36660398A JP 36660398 A JP36660398 A JP 36660398A JP 3496814 B2 JP3496814 B2 JP 3496814B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
masking
crankcase
cylinder block
journal
cylinder bore
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP36660398A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000192285A (ja
Inventor
英純 加藤
仁 村松
徹也 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suzuki Motor Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suzuki Motor Co Ltd filed Critical Suzuki Motor Co Ltd
Priority to JP36660398A priority Critical patent/JP3496814B2/ja
Publication of JP2000192285A publication Critical patent/JP2000192285A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3496814B2 publication Critical patent/JP3496814B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用エンジン
を構成するシリンダブロックにおいて、ピストンが摺動
するシリンダボア内壁にメッキや前処理等の表面処理を
施す工程に適用される表面処理装置、及び表面処理用マ
スキング方装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、エンジンの軽量化を目的とし
て、シリンダブロックの材質を鋳鉄からアルミ合金へと
変更することが行われている。該シリンダブロックに形
成されたシリンダボアは、ピストンの摺動面となるた
め、耐摩耗性を向上させることを目的として、シリンダ
ボア面に鋳鉄ライナーを配設したり、さらに高性能化を
図るため、ニッケル等のメッキを施している。このメッ
キを施す方法として、処理液を収容したタンク内へ被処
理物であるワークを浸漬させてメッキする電気メッキ等
が一般に用いられている。しかし、これらの方法ではメ
ッキを施すべきシリンダボア内面以外の部位にもメッキ
皮膜が形成されてしまうため、処理薬品の減少が著し
く、また、複雑な形状のワークを処理すると、処理液の
持ち出しや次工程への持ち込みが多くなるため、コスト
が多大となり、液管理も煩雑となる。
【0003】したがって、ワークの被メッキ面であるシ
リンダボア内面にのみ処理液を導入させて処理効率を高
める方法が採用されている。この場合、シリンダブロッ
クの開口部両端、つまりシリンダヘッド側開口部とクラ
ンクケース側開口部の2ケ所の開口部を処理液が漏れな
いようにシールする必要がある。上記シリンダヘッド側
開口部は平滑な加工面であるので、ガスケット等の柔軟
なゴム板等を押圧すればシールすることが可能である。
シリンダボア面のうち、クランクケース側端部のシール
方法としては、例えば特開平7−118891号公報か
ら引用した図9に示すように、弾性シール部材300に
外方へ膨出する力を与えてシリンダボア内壁301に圧
接させてシールする方法、又は特開平8−53798号
公報に記載されているように、予め型取りしたシール部
材や膨張変形可能なシール部材をシリンダ端部へ押圧し
てシールする方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のシリンダブロックの表面処理方法、マスキング方法
及びこれらに用いる装置では、以下のような問題があっ
た。 1)図9及び図10に示すように、シリンダボア内壁3
01又はシリンダボア端部302でシールしてメッキを
行うと、シール部位にはメッキ層303が形成されない
ために、シリンダボア面301に形成されたメッキ層3
03に段差304が発生する。近年ではエンジンを小型
化するとともに、このコンパクトなエンジンで大きな排
気量を得るために、ピストンが摺動下死点に達したとき
に、ピストンの側面下部に位置するスカート部がメッキ
層303の段差部304よりも下方まで下がるようにし
てシリンダブロック高さを最小限に抑えるようなエンジ
ンの設計を行っている。しかし、この場合、ピストンス
カート部がメッキ層303の段差304に引っかかりメ
ッキ剥離を発生させてしまう問題があった。また、シリ
ンダボア端部302のアルミ素材が露出している部位は
摺動性に劣るため、焼付きや摩耗などの不具合を生じ易
く、ピストンによりたたかれて変形することがあった。
【0005】2)通常、硫酸ニッケル浴やスルファミン
酸ニッケル浴を用いてメッキを行う場合、メッキ析出反
応と並行して電気分解により水素や酸素などのガスが発
生し、特にメッキ液のpHが低い場合は水素ガスの発生
が増加する。また、メッキ前処理工程において、混酸エ
ッチングや硫酸浴による陽極酸化処理及び電解エッチン
グを行う場合も大量のガスが発生する。しかし、図11
に示すように、シリンダボア内壁301又はシリンダボ
ア端部302でシールする構造では、これらの発生した
ガス305がシリンダボア301内のシール部近傍に滞
留するため、通電不良、メッキの析出が妨げられること
によるメッキ膜厚減少及びメッキ焦げなどの不具合が発
生するおそれがあった。
【0006】3)また、シリンダボア内壁301に処理
液を流動させるフロー方式のメッキ及びメッキ前処理に
おいて、シリンダボア内壁301又はシリンダボア端部
302でシールする場合、図11に示すように、シール
部付近の液流306が乱れ、流速の低下、停滞、異常流
速又はメッキ液の流れ方向がシール位置において急激に
逆転することがあった。炭化珪素等の微粒子を共析させ
る分散メッキにおいて、メッキ液の流速が不均一になる
と、流速の遅い場合はメッキ焦げ、過度の微粒子共析現
象であるメッキベタ不良となり、流速の速い場合は微粒
子共析量の低下やメッキのてかりといった不具合が発生
するおそれがあった。これらの不具合は、微粒子を共析
させない場合にも同様に発生することがある。
【0007】4)さらに、クランクケースが一体に形成
されたシリンダブロックでは、クランクケース側から見
ると、クランクシャフトを支持するジャーナル部がシリ
ンダボアを横切るように、つまりシリンダボアを塞ぐよ
うに設けられている。そのため、クランクケース側から
シール部材を挿入する場合、ジャーナル部を通過させる
ためには、一度シール部材を収縮させて変形させ、ジャ
ーナル部を通過した後、拡張させて復元させる必要があ
った。したがって、シール部材は、寸法的にかなり大き
な収縮や拡張等の変形に耐える耐久性や耐摩耗性が要求
され、メッキ液や前処理液等に対する耐薬品性も良好で
ある必要があり、シール部材として適当な材料を選定す
ることが難しくなっている。
【0008】5)そして、V型エンジンは、一つのクラ
ンクケースの上部に二つのシリンダが二股に分かれて配
置され、側面から見てV字状に形成されている。この二
つのシリンダが長手方向に交互に重ならないように配設
されている場合は、特開平8−74095号公報に示す
ようなシール装置が使用できるが、一般にはエンジンを
小型化するために、二つのシリンダは重なるように配置
されている。このようなV型エンジンにメッキを施す場
合、クランクケース側からシール部材を挿入する場合
は、2個のシール装置が干渉してしまうので、シール装
置を小型化したり、オフセットさせるなどの構造的制約
が多くなり、シリンダブロックの形状によってはマスキ
ング装置をシリンダボア内に挿入できなかった。そのた
め、特開平8−144082号公報に記載されたよう
に、V型の片バンクずつ、2回に分けてメッキしなくて
はならず、処理工程が2倍必要でコストが高かった。
【0009】6)なお、電気メッキ法でメッキを行うに
は、一般に、シリンダボア内へ陽極を挿入した状態で電
圧を印加してメッキを行う。図10に示すように、シリ
ンダボア内壁301及びシリンダボア端部302でシー
ルする場合、電極307の陽極長さはシリンダボア長さ
よりも短くなってしまい、極間距離の長くなるシール位
置308においてはメッキ皮膜303の膜厚が薄くなる
おそれがあった。そこで、シール位置308に所望のメ
ッキ膜厚を施そうとするとメッキ時間を延長しなければ
ならず、この場合、シリンダボア301の一般面の膜厚
が大きくなりすぎ、ホーニング加工における研削量が多
くなって、コスト的に不利となった。また、電解エッチ
ングなどのメッキ前処理においても、電極との距離が遠
いシール位置308はエッチングされにくくなり、密着
不良の原因となった。シール位置308に所望のエッチ
ングを施そうとすると、シリンダボア円筒部のエッチン
グ量が過大となってしまい、シリンダボア301の半径
が所定寸法よりも拡大してしまうなどの寸法精度の低下
や、エッチングによる多量のスマット発生により密着性
を悪化させるおそれがあった。
【0010】本発明は、上記課題を解決し、シリンダボ
ア内面にメッキ皮膜の段差やメッキ焦げ等の不良を発生
させず、ジャーナル部を有するシリンダブロックにも採
用することができるシリンダブロックの表面処理装置、
及び表面処理用マスキング装置を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】1)本発明に係るマスキ
ング装置は、シリンダブロック本体部の下部にクランク
ケース部を一体成形し、該クランクケース部の下面を略
平面状の一般面に形成するとともに、この一般面の一部
を略半円状のジャーナル部に形成したシリンダブロック
における本体部に、上記クランクケース部の内部空間に
連通して形成されたシリンダボア面に表面処理を施す際
に処理液をシールするシリンダブロックのマスキング装
置において、上記クランクケース部の一般面をマスキン
グするクランクケース部下面マスキング治具と、該クラ
ンクケース部下面マスキング治具に取りつけられ、上記
ジャーナル部をマスキングするジャーナル部マスキング
治具とを備えている。上記マスキング装置によれば、ジ
ャーナル部を有するシリンダブロックにおいても、該シ
リンダブロックのシリンダボア面に表面処理を施す場合
にも、2つのマスキング治具によってクランクケース部
の下面全体をマスキングすることができる。このマスキ
ング装置は、シリンダボア面又はシリンダボア端部でシ
ールしないため、シリンダボア端部で処理液の流れが不
均一になることを防ぐことができる。なお、上記表面処
理には、メッキ、メッキ用前処理等の種々の処理が含ま
れる。
【0012】2)本発明に係るマスキング装置の他の態
様では、上記ジャーナル部マスキング治具が、内部に流
路を有するシール装置本体と、該シール装置本体に固定
され、その内部に有する中空部が上記シール装置本体の
流路に連通するジャーナル部用シール材とを備えるよう
に構成することができる。上記マスキング装置によれ
ば、上記流路を介してジャーナル部用シール材の中空部
に膨張媒体を導入し、該ジャーナル部用シール材を膨張
させることにより、上記ジャーナル部に当接させてマス
キングすることができる。上記膨張媒体としては、気体
や液体等が用いられ、ジャーナル部用シール材は、弾性
体である、可撓性のある変形可能なゴム、樹脂又はエア
チューブ等が好ましい。 3)本発明に係るマスキング装置の他の態様では、上記
ジャーナル部用シール材を、複数の円環状に形成すると
ともに、上記ジャーナル部に各々対向するようにシール
装置本体の外周に間隔を隔てて配設させることができ
る。上記シール材は、円環状でなくとも、膨張すること
によって、ジャーナル部に当接できればよい。
【0013】4)本発明に係る表面処理装置は、クラン
クケース部を有するシリンダブロックのシリンダボア内
部に配設され、中空に形成された筒部を有する電極と、
該筒部に連通する処理液タンクと、上記シリンダブロッ
クのシリンダボアに連通し、上記処理液タンクに処理液
を排出する回収用配管と、上記電極とシリンダブロック
に連結された電源とを備えている。上記表面処理装置に
おいては、上記クランクケース部の端面をマスキングし
た状態で、上記処理液タンクから上記電極の筒部を介し
て、クランクケース部の端部近傍で処理液を滞留させた
のち、シリンダボア内部に処理液を導入し、回収用配管
から処理液タンクに戻すように構成することができる。
また、上記表面処理装置によれば、シリンダボア内面の
全体に均一な表面処理皮膜を形成することができる。ク
ランクケース部の端部でシールするため、陽極もシリン
ダボアの長さ以上とすることができ、シリンダ端部にも
均一な膜厚で均一な析出量のメッキを施すことができ
る。
【0014】5)本発明に係る表面処理装置は、クラン
クケース部を有するシリンダブロックのシリンダボア内
部に連通する処理液タンクと、該シリンダボアの内部に
配設された電極と、該上記クランクケース部の上部に配
設され、内部が中空に形成されるとともに、クランクケ
ース下面用シール材を有するマスキング装置と、該マス
キング装置の内部に連通する回収用配管と、上記シリン
ダブロックと電極に連結された電源とを備えている。上
記表面処理装置によれば、上記処理液タンクからシリン
ダボア内部に処理液を導入したのち、該処理液を上記ク
ランクケース下面用シール材の流通孔からマスキング装
置の内部を通り、回収用配管から処理液タンクに戻すよ
うに構成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るシリンダブ
ロックの表面処理方法、マスキング方法及びこれらに用
いる装置について、図面を用いて詳細に説明する。 〔第1の実施の形態〕まず、第1の実施の形態を、表面
処理装置、マスキング装置、表面処理ラインの概要の順
に説明する。
【0016】表面処理装置 図1は、表面処理装置21とマスキング装置22の断面
図である。被処理物であるシリンダブロック1はヘッド
面3を下側にしてワーク支持台23に載置されている。
ヘッド面3とワーク支持台23との間にはシリコンゴム
板などのヘッド面シール材24を配設することにより、
ヘッド面3側がシールされるようになっている。ワーク
支持台23には位置決め用ノックピン25が配置されて
おり、シリンダブロック1をワーク支持台23の上へ載
置するときにはヘッド面3に設けられているシリンダヘ
ッド固定用ボルト穴等の加工穴26にノックピン25を
挿入することで、ワークチャッキング時の位置決めが高
精度に行えるようにしている。ワーク支持台23及びヘ
ッド面シール材24には、シリンダボア2に連通する開
口部23a,24aが設けられており、シリンダブロッ
ク1がワーク支持台23上に固定された状態でシリンダ
ボア2と上記開口部23a,24aとが連通するように
なっている。さらに、ワーク支持台23の下方には、シ
リンダボア2内への処理液流入が可能なように、電極3
1及び固定台32に形成された処理液流入口33,34
が合致した状態で配設されている。
【0017】上記電極31は、上方に向かって垂設され
た中空パイプ状の筒部35を有し、該筒部35は、シリ
ンダボア2と一定の間隔をもって位置するように固定さ
れている。この筒部35の先端36は、シリンダブロッ
ク1がワーク支持台23に固定された状態で、シリンダ
ボア端部37(クランクケース部4とシリンダボア2と
の境界部)の高さにほぼ一致するように構成されている
が、該シリンダボア端部37からクランクケース部4側
に突き出るように配置しても良い。電極31には、前処
理及びメッキ処理に用いられる電源40からのリード線
41を固定するリード線固定部42が設けられている。
ワーク支持台23,電極31及び固定台32はボルト4
3を介して固定されており、ワーク支持台23と電極3
1との間、電極31と固定台32との間には、液漏れ防
止及び電気的絶縁のためにシリコンゴムなどの絶縁性シ
ール材44,45が配設されている。なお、これらの固
定に金属製ボルトを使用する場合には、必要に応じて絶
縁カラーや絶縁ワッシャーを使用することが好ましい。
【0018】電極31の材質としては、特にメッキ処理
に用いる場合は、メッシュ状多孔金属板内に金属ニッケ
ルペレット等を充填した可溶性電極(ニッケルメッキの
場合)や、チタンパイプに白金メッキを施した不溶性電
極が使用可能である。また、電解エッチングなどの前処
理にはステンレス材なども用いることができる。メッキ
工程では、上記電極31を陽極となるように、電解エッ
チング工程では陰極となるように各電源40に接続す
る。
【0019】マスキング装置 次いで、図1と図2に示すシリンダブロック1の上部に
配設されたマスキング装置22について説明する。この
マスキング装置22は、クランクケース部下面マスキン
グ治具51と、ジャーナル部マスキング治具52から構
成されている。上記クランクケース部下面マスキング治
具51は、上下動可能なロッド53に取り付けられた取
付板54と、該取付板54にボルト55を介して締結さ
れた支持部材56と、該支持部材56に一体的に成形さ
れたクランクケース下面用シール材57とを備えてい
る。この支持部材56には、ジャーナル部用シール材6
4に外周形状に合った切欠き58が形成されており、上
記クランクケース下面用シール材57は、幅方向の中央
部にジャーナル部用シール材64の外径に略等しい大き
さの開口部59が形成されている。
【0020】また、上記ジャーナル部マスキング治具5
2は、図1と図2に示すように、支持部材56にブラケ
ット62を介して配設された略円柱状のシール装置本体
63と、該シール装置本体63の外周面に間隔を隔てて
複数配設されたジャーナル部用シール材64とを備えて
いる。上記シール装置本体63の内部には、膨張媒体7
5が流通可能な流路66が形成されており、該流路66
は、上記ジャーナル部用シール材64の中空部77に連
通している。また、ジャーナル部用シール材64は、両
端部にフランジ78,78を有しており、該フランジ7
8,78にリング79,79をかしめることによって、
上記シール装置本体63の外周面に固定されている。そ
して、ジャーナル部用シール材64は、気体や液体の加
減圧によって伸縮し、気体や液体等の膨張媒体75が漏
れないように取り付ける。気体は、空気、窒素などいず
れでも良い。液体は、水、油などいずれでも良い。
【0021】マスキング装置の変形例 上記マスキング装置は、図3に示すように、シール装置
本体63の長さ方向に沿って形成された一つのジャーナ
ル部用シール材84としても良く、この場合は、シール
装置本体63の流路76は、少なくとも一つ形成されて
いれば良い。このマスキング装置85によれば、シール
材84の内部に膨張媒体75を流入させることによっ
て、一度に複数のジャーナル部6をマスキングすること
ができる。
【0022】表面処理ラインの概要 図4及び図5に、直列4気筒のシリンダブロック1を表
面処理する処理ラインの概略図を示した。シリンダブロ
ック1は、トランスファ装置150により搬送治具15
1上に載置されたのち、該搬送治具151によって処理
装置152内に搬送される(操作1)。次いで、搬送治
具151をエジェクタ153によって下降させ、ヘッド
面が下側に配置されたシリンダブロック1をワーク支持
台23の上にセットして次工程に送られる(操作2)。
電極31は4つのシリンダ内にセットされており、シリ
ンダブロック1の上からマスキング装置22を下降さ
せ、該マスキング装置22を作動させることによって、
クランクケース部4の開口部をシールすると共に、シリ
ンダブロック1を支持する(操作3)。この状態で、処
理液タンク65から処理液28をシリンダブロック1内
部に流入させ、ワーク支持台23の処理液導出通路67
を介して処理液タンク65へと循環させる。処理液28
を流しながら処理を行ったのち、マスキング装置22を
上昇させる(操作4)。エジェクタ153によって搬送
治具151と共にシリンダブロック1を上昇させる(操
作5)。搬送治具151によってシリンダブロック1を
処理装置152の外部へ搬送し、トランスファ装置15
0に戻す。トランスファ装置150は、A工程で処理し
たシリンダブロック1をB工程へ搬送すると共に、次に
処理するシリンダブロック1を搬送治具151の上へ搬
送する。処理装置152は、メッキ処理ラインの場合、
脱脂装置、前処理装置、メッキ処理装置がトランスファ
装置によって連結されている。
【0023】上記構成を有する表面処理装置21及びマ
スキング装置22による作用を以下に説明する。まず、
図1に示すように、シリンダブロック1を車両搭載状態
と上下反対向きとし、表面処理装置にセットする。そし
て、図6に示すように、クランクケース部下面マスキン
グ治具51を下降させ、シール材57をクランクケース
部4の下面4aに当接させてシールする。この状態で、
シリンダブロック1のクランクケース部4に形成された
ジャーナル部6と、上記支持部材56に形成された半円
状切欠き部58とによって真円状の切欠き86が形成さ
れる。こののち、図7に示すように、ジャーナル部マス
キング治具52を作動させ、膨張媒体75をジャーナル
部用シール材64の中空部77に流入させて該ジャーナ
ル部用シール材64を膨張させて、上記真円状の切欠き
86に当接させることによって、シールが完了する。
【0024】次いで、前処理液又はメッキ液等の処理液
28は、図1に示すように、処理液タンク65から送液
ポンプ66によって圧送され、処理液流入口34、電極
31の筒部35内を通ってシリンダボア2内へ導入され
る。そして、ワーク支持台23に設けられた処理液導出
通路67から、回収用配管68を介して処理液貯蔵タン
ク65へ戻るように構成されている。上記実施例ではシ
リンダボア2内と筒部35との間の処理液28は、上側
から下側に向かって流れるが、処理液28の導出入はこ
の反対にすることも可能であり、この場合は、被処理面
であるシリンダボア2表面の処理液28を上側に向けて
流れるようにする。
【0025】上述した第1の実施の形態によれば、シリ
ンダブロック1のジャーナル部6と支持部材56の半円
状切欠き部58とを合わせることによって真円状の切欠
き76が形成されるため、内部が中空に形成された円環
状のシール材64を膨張させることによって、簡単で確
実にジャーナル部6をマスキングすることができる。ま
た、シール位置が、クランクケース部4の下面4aであ
るため、シリンダボア端部37の処理液28の流れがス
ムーズとなり、メッキ不良が起こらず、ガスの発生によ
るシリンダボア端部37のメッキ不良を低減できる。ま
た、シリンダボア端部37の膜厚管理も容易に行え、処
理液28の導入路に特別なバッファや整流板を設ける必
要がない。そして、V型シリンダブロックに本発明を適
用する場合は、一方向からのマスキングで全気筒をマス
キングすることができ、ハーフスカートタイプのシリン
ダブロックを用いる場合は、クランクケース部4の下面
4aが平滑な加工面のため、本発明に係るマスキング装
置を用いれば、確実で且つ容易なマスキングをすること
ができる。なお、シリンダブロック1のクランクケース
部4の端面4aを機械加工した後で、かつ、ラダービー
ムと一体化する前の工程に、本発明に係る表面処理工程
を設置することによって、シリンダブロックの加工工程
全体がスムーズに流れ、ラダービームを取り外す手間が
不要となる。
【0026】〔第2の実施の形態〕次いで、第2の実施
の形態についての表面処理処置221とマスキング装置
222を説明する。ただし、上述した第1の実施の形態
と重複する部分については、その説明を省略する。図8
に示すように、支持部材256に内部空間257を設
け、該内部空間257に連通する回収用配管68を外方
に向けて配設し、その下端部68aを処理液タンク65
の上部に配設する。また、支持部材256とシール材2
58には、クランクケース部下側開口部に対応した開口
部を設け、それらが連通するようにシリンダブロック1
が支持される。さらに、電極31の筒部35を塞ぐよう
に、該筒部35の上部に遮蔽板261を固定している。
上記構成を有する表面処理装置221とマスキング装置
222によれば、処理液タンク65からポンプ66によ
ってシリンダボア2の内部に処理液28が流入し、クラ
ンクケース部下側開口部から支持部材256の内部25
7に送給され、回収用配管68を介して処理液タンク6
8に排出される。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、シール位置が、クラン
クケース部の下面であるため、シリンダボア端部の処理
液の流れがスムーズとなり、メッキ不良が起こらず、ガ
スの発生によるシリンダボア端部のメッキ不良を低減で
きる。また、シリンダボア端部の膜厚管理も容易に行
え、処理液の導入路に特別なバッファや整流板を設ける
必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る表面処理装置とマスキ
ング装置を示す断面図である。
【図2】図1のマスキング装置を示す側面断面図であ
る。
【図3】マスキング装置の他の実施例を示す側面断面図
である。
【図4】本発明に係る表面処理ラインの概略を示す平面
図である。
【図5】図4の各工程内における操作の流れを示す概略
図である。
【図6】ジャーナル部用シール材を膨張させる前の状態
を示す、第1の実施の形態に係るマスキング装置の断面
図である。
【図7】ジャーナル部用シール材を膨張させた後の状態
を示す、第1の実施の形態に係るマスキング装置の断面
図である。
【図8】第2の実施の形態に係る表面処理装置とマスキ
ング装置を示す断面図である。
【図9】従来のマスキング装置を示す断面図である。
【図10】従来のマスキングをしてメッキ処理した場合
のメッキ層を示す断面図である。
【図11】従来のマスキングによるガスの滞留及び処理
液の流れを示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック 2 シリンダボア 4 クランクケース部 6 ジャーナル部 21,221 表面処理装置 22,222 マスキング装置 28 処理液 31 電極 35 筒部 37 シリンダボア端部 51 クランクケース部下面マスキング治具 52 ジャーナル部マスキング治具 53 ロッド 54 取付板 55 ボルト 56,256 支持部材 57,258 クランクケース部下面用シール材 58 切欠き 59 開口部 62 ブラケット 63 シール装置本体 64 ジャーナル部用シール材 75 膨張媒体 76 流路 77 中空部 78 フランジ 79 リング 84 ジャーナル部用シール材 85 マスキング装置 86 真円状の切欠き 260 流通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−118891(JP,A) 特開 平8−53798(JP,A) 特開 平10−324993(JP,A) 特開 平8−104994(JP,A) 特開 平7−252686(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 7/00 C25D 7/04 C25D 15/00 F02F 1/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダブロック本体部の下部にクラン
    クケース部を一体成形し、該クランクケース部の下面を
    略平面状の一般面に形成するとともに、この一般面の一
    部を略半円状のジャーナル部に形成したシリンダブロッ
    クにおける本体部に、上記クランクケース部の内部空間
    に連通して形成されたシリンダボア面に表面処理を施す
    際に処理液をシールするシリンダブロックの表面処理用
    マスキング装置において、 上記クランクケース部の一般面をマスキングするクラン
    クケース部下面マスキング治具と、該クランクケース部
    下面マスキング治具に取りつけられ、上記ジャーナル部
    をマスキングするジャーナル部マスキング治具とを備
    え、これらの両マスキング治具によってクランクケース
    部の下面全体をマスキングすることを特徴とするシリン
    ダブロックの表面処理用マスキング装置。
  2. 【請求項2】 上記ジャーナル部マスキング治具が、内
    部に流路を有するシール装置本体と、該シール装置本体
    に固定され、その内部に有する中空部が上記シール装置
    本体の流路に連通するジャーナル部用シール材とを備
    え、上記流路を介してジャーナル部用シール材の中空部
    に膨張媒体を導入し、該ジャーナル部用シール材を膨張
    させることにより、上記ジャーナル部に当接してマスキ
    ングするように構成したことを特徴とする請求項1に記
    載のシリンダブロックの表面処理用マスキング装置。
  3. 【請求項3】 上記ジャーナル部用シール材を、複数の
    円環状に形成するとともに、上記ジャーナル部に各々対
    向するようにシール装置本体の外周に間隔を隔てて配設
    したことを特徴とする請求項2に記載のシリンダブロッ
    クの表面処理用マスキング装置。
  4. 【請求項4】 クランクケース部を有するシリンダブロ
    ックのシリンダボア内部に配設され、中空に形成された
    筒部を有する電極と、該筒部に連通する処理液タンク
    と、上記シリンダブロックのシリンダボアに連通し、上
    記処理液タンクに処理液を排出する回収用配管と、上記
    電極とシリンダブロックに連結された電源とを備え、上
    記クランクケース部の端面をマスキングした状態で、上
    記処理液タンクから上記電極の筒部を介して、クランク
    ケース部の端部近傍で処理液を滞留させたのち、シリン
    ダボア内部に処理液を導入し、回収用配管から処理液タ
    ンクに戻すように構成したことを特徴とするシリンダブ
    ロックの表面処理装置。
  5. 【請求項5】 クランクケース部を有するシリンダブロ
    ックのシリンダボア内部に連通する処理液タンクと、該
    シリンダボアの内部に配設された電極と、該上記クラン
    クケース部の上部に配設され、内部が中空に形成される
    とともに、その下端部に、流通孔を穿設したクランクケ
    ース下面用シール材を有するマスキング装置と、該マス
    キング装置の内部に連通する回収用配管と、上記シリン
    ダブロックと電極に連結された電源とを備え、上記処理
    液タンクからシリンダボア内部に処理液を導入したの
    ち、該処理液を上記クランクケース下面用シール材の流
    通孔からマスキング装置の内部を通り、回収用配管から
    処理液タンクに戻すように構成したことを特徴とするシ
    リンダブロックの表面処理装置。
JP36660398A 1998-12-24 1998-12-24 シリンダブロックの表面処理装置、及び表面処理用マスキング装置 Expired - Fee Related JP3496814B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36660398A JP3496814B2 (ja) 1998-12-24 1998-12-24 シリンダブロックの表面処理装置、及び表面処理用マスキング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36660398A JP3496814B2 (ja) 1998-12-24 1998-12-24 シリンダブロックの表面処理装置、及び表面処理用マスキング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000192285A JP2000192285A (ja) 2000-07-11
JP3496814B2 true JP3496814B2 (ja) 2004-02-16

Family

ID=18487194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36660398A Expired - Fee Related JP3496814B2 (ja) 1998-12-24 1998-12-24 シリンダブロックの表面処理装置、及び表面処理用マスキング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3496814B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112005001372T5 (de) * 2004-06-16 2007-05-16 Honda Motor Co Ltd Plattierungsvorrichtung
JP5167986B2 (ja) * 2008-06-30 2013-03-21 スズキ株式会社 めっき処理装置
JP5168062B2 (ja) 2008-09-30 2013-03-21 スズキ株式会社 シリンダブロックのめっき前処理装置及び方法
CN110923790B (zh) * 2019-12-06 2021-05-04 隆鑫通用动力股份有限公司 用于缸体槽外电镀的补偿性辅助工装
CN110923789B (zh) * 2019-12-06 2021-03-23 隆鑫通用动力股份有限公司 用于缸体槽外电镀的电镀环境处理装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000192285A (ja) 2000-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1044729C (zh) 具有一段内部电镀结构的金属管
JPH07118891A (ja) 表面処理装置
JP3496814B2 (ja) シリンダブロックの表面処理装置、及び表面処理用マスキング装置
CN101713090A (zh) 用于气缸体的电镀预处理装置和方法
KR100706069B1 (ko) 부분 도금 장치
US3751346A (en) Combined plating and honing method and apparatus
US5032244A (en) Anodic treatment apparatus for aluminium alloy pistons
US7396439B2 (en) Method and apparatus for an anodic treatment
JP3496813B2 (ja) シリンダブロックの表面処理用マスキング装置
JP2011219858A (ja) 部分表面処理装置
JP2000192286A (ja) シリンダブロックの表面処理用マスキング装置
JP2000192287A (ja) シリンダブロックの表面処理方法、マスキング方法及びこれらに用いる装置
US4543172A (en) High speed plating apparatus
CN105308221A (zh) 保持装置以及具备该保持装置的高速电镀装置
US7516748B2 (en) Apparatus for cleaning articles
JP3835099B2 (ja) メッキ処理装置
US8142628B2 (en) Sealing jig and sealing method for cylinder block plating apparatus
JP3267835B2 (ja) 表面処理方法及びその装置
US5682676A (en) Method for surface treatment of work having plural cylinders with different axial alignments
JP3395948B2 (ja) シリンダ内面のめっき処理方法とそのめっき前処理方法及びそのめっき処理装置とめっき前処理装置
EP0703356A1 (en) Method and apparatus for surface treatment of work having plural cylinders
JP3337920B2 (ja) 表面処理装置におけるシール装置
US6814851B2 (en) Method and apparatus for an anodic treatment
JP2010007115A (ja) シリンダブロックのめっき処理装置及び方法
JP3267826B2 (ja) エンジンのシリンダ内周面のめっき方法

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081128

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091128

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101128

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101128

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121128

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121128

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131128

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees