JP2000192286A - シリンダブロックの表面処理用マスキング装置 - Google Patents

シリンダブロックの表面処理用マスキング装置

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JP2000192286A
JP2000192286A JP10366604A JP36660498A JP2000192286A JP 2000192286 A JP2000192286 A JP 2000192286A JP 10366604 A JP10366604 A JP 10366604A JP 36660498 A JP36660498 A JP 36660498A JP 2000192286 A JP2000192286 A JP 2000192286A
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crankcase
cylinder block
masking
plating
cylinder
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JP10366604A
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English (en)
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Hitoshi Muramatsu
仁 村松
Hidesumi Kato
英純 加藤
Tetsuya Kuroda
徹也 黒田
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダボア面にメッキ皮膜の段差やメッキ
焦げ等の不良が発生せず、ジャーナル部を有するシリン
ダブロックにも表面処理ができるマスキング装置を提供
する。 【解決手段】 クランクケース部4の下面4aをマスキ
ングするクランクケース部下面シール治具40と、クラ
ンクケース部4の横面4bをマスキングするクランクケ
ース部横面マスキング治具41とを備え、これらの両マ
スキング治具40,41によって、上記クランクケース
部4の下面4aと横面4bの開口部をマスキングするよ
うに構成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用エンジン
を構成するシリンダブロックにおいて、ピストンが摺動
するシリンダボア内壁にメッキや前処理等の表面処理を
施す工程に適用される表面処理に用いるマスキング装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、エンジンの軽量化を目的とし
て、シリンダブロックの材質を鋳鉄からアルミ合金へと
変更することが行われている。該シリンダブロックに形
成されたシリンダボアは、ピストンの摺動面となるた
め、耐摩耗性を向上させることを目的として、シリンダ
ボア面に鋳鉄ライナーを配設したり、さらに高性能化を
図るため、ニッケル等のメッキを施している。このメッ
キを施す方法として、処理液を収容したタンク内へ被処
理物であるワークを浸漬させてメッキする無電解メッキ
や電気メッキ等が一般に用いられている。しかし、これ
らの方法ではメッキを施すべきシリンダボア内面以外の
部位にもメッキ皮膜が形成されてしまうため、処理薬品
の減少が著しく、また、複雑な形状のワークを処理する
と、処理液の持ち出しや次工程への持ち込みが多くなる
ため、コストが多大となり、液管理も煩雑となる。
【0003】したがって、ワークの被メッキ面であるシ
リンダボア内面にのみ処理液を導入させて処理効率を高
める方法が採用されている。この場合、シリンダブロッ
クの開口部両端、つまりシリンダヘッド側開口部とクラ
ンクケース側開口部の2ケ所の開口部を処理液が漏れな
いようにシールする必要がある。上記シリンダヘッド側
開口部は平滑な加工面であるので、ガスケット形状をし
たシリコン等の柔軟なゴム板等を押圧すればシールする
ことが可能である。シリンダボア面のうち、クランクケ
ース側端部のシール方法としては、例えば特開平7−1
18891号公報から引用した図13に示すように、弾
性シール部材200に外方へ膨出する力を与えてシリン
ダボア内壁201に圧接させてシールする方法、又は特
開平8−53798号公報に記載されているように、予
め型取りしたシール部材や膨張変形可能なシール部材を
シリンダ端部へ押圧してシールする方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のシリンダブロックの表面処理方法、マスキング方法
及びこれらに用いる装置では、以下のような問題があっ
た。 1)図15と図16に示すように、シリンダボア内壁2
01又はシリンダボア端部202でシールしてメッキを
行うと、シール部位208にはメッキ層203が形成さ
れないために、シリンダボア面201に形成されたメッ
キ層203に段差204が発生する。近年ではエンジン
を小型化するとともに、このコンパクトなエンジンで大
きな排気量を得るために、ピストンが摺動下死点に達し
たときに、ピストンの側面下部に位置するスカート部が
メッキ層203の段差部204よりも下方まで下がるよ
うにしてシリンダブロック高さを最小限に抑えるような
エンジンの設計を行っている。しかし、この場合、ピス
トンスカート部がメッキ層203の段差204に引っか
かりメッキ剥離を発生させてしまう問題があった。ま
た、シリンダボア端部202のアルミ素材が露出してい
る部位は摺動性に劣るため、焼付きや摩耗などの不具合
を生じ易く、ピストンによりたたかれて変形することが
あった。
【0005】2)通常、硫酸ニッケル浴やスルファミン
酸ニッケル浴を用いてメッキを行う場合、メッキ析出反
応と並行して電気分解により水素や酸素などのガスが発
生し、特にメッキ液のpHが低い場合は水素ガスの発生
が増加する。また、メッキ前処理工程において、混酸エ
ッチングや硫酸浴による陽極酸化処理及び電解エッチン
グを行う場合も大量のガスが発生する。しかし、図17
に示すように、シリンダボア内壁201又はシリンダボ
ア端部202でシールする構造では、これらの発生した
ガス205がシリンダボア201内のシール部近傍に滞
留するため、通電不良、メッキの析出が妨げられること
によるメッキ膜厚減少及びメッキ焦げなどの不具合が発
生するおそれがあった。
【0006】3)また、シリンダボア内壁201に処理
液を流動させるフロー方式のメッキ及びメッキ前処理に
おいて、シリンダボア内壁201又はシリンダボア端部
202でシールする場合、図17に示すように、シール
部付近の液流206が乱れ、流速の低下、停滞、異常流
速又はメッキ液の流れ方向がシール位置において急激に
逆転することがあった。炭化珪素等の微粒子を共析させ
る分散メッキにおいて、メッキ液の流速が不均一になる
と、流速の遅い場合はメッキ焦げ、過度の微粒子共析現
象であるメッキベタ不良となり、流速の速い場合は微粒
子共析量の低下やメッキのてかりといった不具合が発生
するおそれがあった。これらの不具合は、微粒子を共析
させない場合にも同様に発生することがある。
【0007】4)さらに、クランクケースが一体に形成
されたシリンダブロックでは、図18と図19に示すよ
うに、クランクケース側から見ると、クランクシャフト
を支持するジャーナル部216がシリンダボア217を
横切るように、つまりシリンダボア217を塞ぐように
設けられている。そのため、クランクケース側からシー
ル部材を挿入する場合、ジャーナル部216を通過させ
るためには、一度シール部材を収縮させて変形させ、ジ
ャーナル部216を通過した後、拡張させて復元させる
必要があった。したがって、シール部材は、寸法的にか
なり大きな収縮や拡張等の変形に耐える耐久性や耐摩耗
性が要求され、メッキ液や前処理液等に対する耐薬品性
も良好である必要があり、シール部材として適当な材料
を選定することが難しくなっている。
【0008】5)そして、V型エンジンは、一つのクラ
ンクケースの上部に二つのシリンダが二股に分かれて配
置され、側面から見てV字状に形成されている。この二
つのシリンダが長手方向に交互に重ならないように配設
されている場合は、特開平8−74095号公報に示す
ようなシール装置が使用できるが、一般にはエンジンを
小型化するために、二つのシリンダは重なるように配置
されている。このようなV型エンジンにメッキを施す場
合、クランクケース側からシール部材を挿入する場合
は、2個のシール装置が干渉してしまうので、シール装
置を小型化したり、オフセットさせるなどの構造的制約
が多くなり、シリンダブロックの形状によってはマスキ
ング装置をシリンダボア内に挿入できなかった。そのた
め、特開平8−144082号公報に記載されたよう
に、V型の片バンクずつ、2回に分けてメッキしなくて
はならず、処理工程が2倍必要でコストが高かった。
【0009】6)なお、電気メッキ法でメッキを行うに
は、一般に、シリンダボア内へ陽極を挿入した状態で電
圧を印加してメッキを行う。図16に示すように、シリ
ンダボア内壁201及びシリンダボア端部202でシー
ルする場合、電極207の陽極長さはシリンダボア長さ
よりも短くなってしまい、極間距離の長くなるシール位
置208においてはメッキ皮膜203の膜厚が薄くなる
おそれがあった。そこで、シール位置208に所望のメ
ッキ膜厚を施そうとするとメッキ時間を延長しなければ
ならず、この場合、シリンダボア201の一般面の膜厚
が大きくなりすぎ、ホーニング加工における研削量が多
くなって、コスト的に不利となった。また、電解エッチ
ングなどのメッキ前処理においても、電極との距離が遠
いシール位置208はエッチングされにくくなり、密着
不良の原因となった。シール位置208に所望のエッチ
ングを施そうとすると、シリンダボア円筒部のエッチン
グ量が過大となってしまい、シリンダボア201の半径
が所定寸法よりも拡大してしまうなどの寸法精度の低下
や、エッチングによる多量のスマット発生により密着性
を悪化させるおそれがあった。
【0010】本発明は、上記課題を解決し、シリンダボ
ア内面にメッキ皮膜の段差やメッキ焦げ等の不良を発生
させず、ジャーナル部を有するシリンダブロックにも採
用することができるシリンダブロックの表面処理用マス
キング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、シリンダブロック本体部の下部にクランク
ケース部を一体成形し、該クランクケース部の下面を略
平面状の一般面に形成するとともに、この一般面の一部
を略半円状のジャーナル部に形成したシリンダブロック
における本体部に、上記クランクケース部の内部空間に
連通して形成されたシリンダボア面に表面処理を施す際
に処理液をシールするシリンダブロックのマスキング装
置において、上記クランクケース部の下面をマスキング
するクランクケース部下面シール治具と、クランクケー
ス部の横面をマスキングするクランクケース部横面マス
キング治具とを備えている。上記マスキング装置によれ
ば、上記両マスキング治具によって、上記クランクケー
ス部の下面と横面の開口部を確実にマスキングできる。
この装置は、シリンダブロックのうち、ディープスカー
トタイプのように、クランクケース及びジャーナル形状
が複雑なワークに対して有効である。本発明に係るマス
キング装置は、シリンダブロック本体部の下部にクラン
クケース部を一体成形し、該クランクケース部の下面を
略平面状の一般面に形成するとともに、この一般面の一
部を略半円状のジャーナル部に形成したシリンダブロッ
クにおける本体部に、上記クランクケース部の内部空間
に連通して形成されたシリンダボア面に表面処理を施す
際に処理液をシールするシリンダブロックのマスキング
装置において、断面略コ字状に形成された取付板と、該
取付板の内面に配設され、内部が中空に形成されたシー
ル部材とを備えている。上記マスキング装置によれば、
上記シール部材をクランクケース部の下面及び横面に当
接させることによって、上記クランクケース部の下面と
横面の開口部を同時にマスキングすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るシリンダブ
ロックの表面処理用マスキング装置について、図面を用
いて詳細に説明する。 〔第1の実施の形態〕まず、第1の実施の形態を、被処
理物、表面処理装置、マスキング装置、及び表面処理ラ
インの概要の順に説明する。被処理物 図1及び図2に示すように、本発明を適用する被処理物
であるシリンダブロック1は、車両搭載状態における上
部位置の内方にはシリンダボア2が形成されており、そ
の上面は平滑なヘッド面3に形成されている。また、シ
リンダブロック1の下部にはクランクケース部4が設け
られ、該クランクケース部4の下面は、上記シリンダボ
ア2に連通する開口部10に形成されている。
【0013】表面処理装置 図3と図4は、表面処理装置21とマスキング装置22
の断面図及び側面図である。被処理物であるシリンダブ
ロック1はヘッド面3を下側にしてワーク支持台23に
載置されている。ヘッド面3とワーク支持台23との間
にはシリコンゴム板などのヘッド面シール材24を配設
することにより、ヘッド面3側がシールされるようにな
っている。
【0014】ワーク支持台23の内部には、シリンダボ
ア2に連通する処理液流入口34が設けられており、該
処理液流入口34に連通するようにヘッド面シール材2
4に開口部24aが形成されている。これらの処理液流
入口34と開口部24aとを介して処理液28が流通す
るように構成されている。さらに、ワーク支持台23と
シリンダボア2の内部には、電極31が配設されてお
り、該電極31は、内部が中空に形成され、上方に向け
て複数配設された筒部35と、この筒部35の下部を一
つに連結した外部配管68を備えており、該外部配管6
8は、図示しない処理液タンクに連通している。上記筒
部35は、シリンダボア2と一定間隔を隔てて位置する
ように構成されている。上記表面処理装置によって、被
処理面のシリンダボア2の内部を下から上方へ通過した
処理液28は、処理液排出通路を兼ねた電極31の筒部
35、及び外部配管68を通って装置外へ排出される。
なお、処理液28の流れ方向は、上記の逆にすることも
可能であり、どちらの流れ方向においても、クランクケ
ース部4の内部がバッファーとなり、処理液の流れが一
定となる。
【0015】なお、メッキ用電極31の材質としては、
メッシュ状多孔金属板内に金属ニッケルペレット等を充
填した可溶性電極(ニッケルメッキの場合)や、チタン
パイプに白金メッキを施した不溶性電極が使用可能であ
る。また、電解エッチングなどの前処理にはステンレス
材なども用いることができる。メッキ工程では、電極3
1を陽極となるように、電解エッチング工程では陰極と
なるように電源(図示せず)40に接続する。
【0016】マスキング装置 次いで、マスキング装置22について説明する。シリン
ダブロック1は、図5に示すように、車両搭載状態とは
上下位置が逆になるように表面処理装置21の上に載置
されている。つまり、車両搭載状態で下部に設けられた
クランクケース部4を上に、車両搭載状態で上部に設け
られたヘッド面3を下にした状態で上記表面処理装置2
1に載置する。以下、シリンダブロック1の上下方向に
位置を示す場合は、車両搭載状態の位置関係で表現す
る。このシリンダブロック1の上部には、図6に示すよ
うに、クランクケース上面シール治具40及びクランク
ケース横面シール治具41から構成されるマスキング装
置22が配設されている。クランクケース下面シール治
具40は、上部に複数のロッド42が配設されており、
該ロッド42は図示しないエアシリンダ等の駆動手段に
よって上下に移動するように構成されている。このロッ
ド42の下端部には、シール部材52が固定された取付
板53が取り付けられており、図3及び図4に示すよう
に、該シール部材52をクランクケース部4の下面4a
の開口周縁部に当接させることによってクランクケース
部4の下面4aがシールされる。また、クランクケース
部4の両側面に配設されたクランクケース横面シール治
具41,41は、図示しないエアシリンダに連結された
ロッド60と、該ロッド60に取り付けられた取付板6
1及びシール部材62によって構成されており、該シー
ル部材62,62をクランクケース部4の両側から当接
させることによって、クランクケース部4の横面がシー
ルされるように構成されている。
【0017】さらに、上記クランクケース下面シール治
具40に用いるシール部材52は、図7に示すように、
クランクケース部4の下面4aの形状にほぼ合致した略
ロ字状に形成されており、該シール部材52が取付板5
3から突設した状態で取付板53に固定されている。し
たがって、クランクケース部4の下面4aに局部的に当
接することができ、効果的なシールができる。また、ク
ランクケース横面シール治具41に取り付けられるシー
ル部材62も、図8に示すように、クランクケース部4
の横面形状に合致するように形成されており、クランク
ケース横面に局部的に当接する。なお、上記シール部材
は、図9に示すように、全面が平滑に形成された略平面
状の部材64にしても良い。上記シール部材52,6
2,64は、例えば板状のゴム部材を任意の形状に切り
抜いたものを使用しても良く、O−リングやゴムチュー
ブをプレートに埋め込む構造としても良い。 上記形状
にすることによって、弾性材料を節約できるだけでな
く、シール面の面圧が高くなるため、シール性能に優れ
ており、シリンダボア2の内部に導入する処理液28の
ポンプ圧力を高く設定できる。よって、処理液28の流
量や流速を高くできるので、前処理やメッキ等の表面処
理の更なる高速化が可能となる。
【0018】マスキング装置の他の実施例 クランクケース部4の下面4a及び横面4bを同時にシ
ールするため、図10に示すようなマスキング装置12
2を用いることも可能である。このマスキング装置12
2の上部には、複数のロッド42が上方に垂設されてお
り、該ロッド42の下端部には断面略コ字状の取付板1
53が配設されている。この取付板153の内面には、
内部に中空部が形成され、膨張及び収縮が可能なシール
部材152が取り付けられており、このシール部材15
2がクランクケース部4の下面4a及び横面4bに当接
して、これらの下面4aと横面4bをシールすることが
できる。そして、上記ロッド42と取付板153の内部
には、シール部材152の内部に連通する流路65が形
成されており、該流路65から膨張媒体66を送給し、
シール部材152の中空部152aに流入させることに
よって、該シール部材152を膨張させ、クランクケー
ス部4の下面4aと横面4bをシールすることができ
る。
【0019】表面処理ラインの概要 図11及び図12に、直列4気筒のシリンダブロック1
を表面処理する処理ラインの概略図を示す。シリンダブ
ロック1は、トランスファ装置150により搬送治具1
51上に載置されたのち、該搬送治具151によって処
理装置152内に搬送される(操作1)。次いで、搬送
治具151をエジェクタ153によって下降させ、ヘッ
ド面3が下側に配置されたシリンダブロック1をワーク
支持台23の上にセットして次工程に送る(操作2)。
陽極31は4つのシリンダ内にセットされており、シ
リンダブロック1の上からクランクケース下面シール治
具40が下降するとともに、クランクケース横面シール
治具41がシリンダブロック1に向かって略水平方向に
移動する。これによって、クランクケース部4の下面4
aと横面4bの開口部をシールするとともに、シリンダ
ブロック1を支持する(操作3)。この状態で、図示し
ない処理液タンクから処理液28が処理液流入口34を
介してシリンダボア2の内部に流入したのち、筒部35
の内部から外部配管68を通って上記処理液タンクに戻
る。次いで、クランクケース下面シール治具40を上昇
させ、クランクケース横面シール治具41をシリンダブ
ロック1から横方向に移動させる(操作4)。エジェク
タ153によって搬送治具151と共にシリンダブロッ
ク1を上昇させる(操作5)。搬送治具151によって
シリンダブロック1を処理装置152の外部へ搬送し、
トランスファ装置150に戻す。トランスファ装置15
0は、A工程で処理したシリンダブロック1をB工程へ
搬送する。処理装置152は、メッキ処理ラインの場
合、脱脂装置、前処理装置、メッキ処理装置がトランス
ファ装置によって連結されている。
【0020】上記構成を有する表面処理装置21及びマ
スキング装置22による作用を以下に説明する。まず、
図5に示すように、シリンダブロック1を車両搭載状態
の上下位置と逆にして、ワーク支持台23の上に載置す
る。次いで、図6に示すように、クランクケース下面シ
ール治具40とクランクケース横面シール治具41を移
動させて、シリンダブロック1のクランクケース部4の
横面4b及び下面4aに当接させる。ここで、図10に
示すマスキング装置122を用いる場合は、シール部材
152を収縮させた状態で上方からマスキング装置12
2を下方に向けて所定の位置まで下降させたのち、シー
ル部材152を膨張させてクランクケース部4の横面4
bと下面4aをシールする。次いで、前処理液又はメッ
キ液等の処理液28は、図3に示すように、図示しない
処理液タンクから送液ポンプによって圧送され、処理液
流入口34を通ってシリンダボア2の内面を通過する。
こののち、電極31の筒部35内に導入され、外部配管
68を通って外部に排出される。
【0021】上述した実施の形態によれば、処理液28
は、クランクケース部4内に一旦滞留し、均一な流れと
なってシリンダボア2を通過するため、シリンダボア2
の内周面全体に均一なメッキを施すことができる。ま
た、クランクケース部4の開口部の支持とシールを同時
に行うことができるため、生産性が向上すると共に、複
雑なシール部材を必要としないため、設備が簡単な構造
となる。そして、本発明のシール位置は、クランクケー
ス部4の下面4aと横面4bであるため、シリンダボア
端部37に至るシリンダボア2の全面に均一の膜厚を有
するメッキ層69を形成することができる。よって、ピ
ストンが上下運動する際に、その下死点においてピスト
ンスカート部がシリンダボア端部37まで下降するよう
なレイアウトのエンジンにおいても、メッキ剥離などの
発生を防ぐことができる。
【0022】さらに、本発明では、図13に示すよう
に、電極31の筒部35の長さをシリンダボア2の全長
より十分長くすることが可能であるため、シリンダボア
2の全面において電極31との距離を一定にすることが
でき、メッキ前処理及びメッキを均一の膜厚で行うこと
ができる。また、図14に示すように、従来発生してい
た水素ガス205は、被処理面とは無関係なクランクケ
ース部4の内部に滞留するため、メッキ皮膜69の品質
には問題が発生しない。 そして、クランクケース部4
の内部のバッファー効果によって乱流などは減衰される
ので、メッキ皮膜69を形成するシリンダボア面2では
処理液28の流速は均一になる。シール位置付近で発生
しやすい流速低下によるメッキ焦げやメッキベタ(過度
の微粒子共析現象)不良もシール位置と被処理面が離れ
ているので問題とはならない。なお、本発明は、クラン
クケース部4の下面4a及び横面4bでシールするた
め、マスキング装置が一つで済み、挿入も容易に行え
る。したがって、V型シリンダブロック60を一工程で
表面処理することができ、従来のように片バンクずつ2
工程に分けて処理する必要がないため、コスト的に有利
である。特に、図10に示すマスキング装置122を用
いれば、クランクケース部4の横面4bと下面4とを一
度にシールすることができるため、工程が省略でき、駆
動手段も削減することが可能となる。
【0023】
【発明の効果】本発明に係るマスキング装置によれば、
シリンダボア面にメッキ皮膜の段差やメッキ焦げ等の不
良が発生せず、ジャーナル部を有するシリンダブロック
にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンダブロックの斜視図であ
る。
【図2】図1の正面を示す概略図である。
【図3】本発明に係る表面処理装置とマスキング装置と
を示す断面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】本発明に係る表面処理装置にシリンダブロック
を載置した状態を示す側面図である。
【図6】図3において、マスキング装置を作動させる前
の状態を示す断面図である。
【図7】本発明に係るクランクケース下面シール治具を
示す平面図である。
【図8】本発明に係るクランクケース横面シール治具を
示す平面図である。
【図9】本発明の他の実施例に係るクランクケース横面
シール治具を示す平面図である。
【図10】本発明の他の実施例に係るマスキング装置を
示す断面図である。
【図11】本発明に係る表面処理ラインの概略を示す平
面図である。
【図12】図11の各工程における操作の流れを示す概
略図である。
【図13】本発明に係るマスキング装置と表面処理装置
の要部断面図である。
【図14】本発明に係る表面処理装置の上部における処
理液の流れを示す断面図である。
【図15】従来のマスキング装置を示す断面図である。
【図16】従来のマスキングをしてメッキ処理したメッ
キ層を示す断面図である。
【図17】従来のマスキングによるガスの滞留及び処理
液の流れを示す断面図である。
【図18】クランクケース一体型のシリンダブロックを
クランクケース側から見た平面図である。
【図19】クランクケース一体型のシリンダブロックを
クランクケース側から見た平面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック 2 シリンダボア 3 ヘッド面 4 クランクケース部 4a クランクケース部の下面 4b クランクケース部の横面 10 開口部 21 表面処理装置 22,122 マスキング装置 23 ワーク支持台 23a,24a 開口部 24 ヘッド面シール材 25 位置決め用ノックピン 26 加工穴 28 処理液 31 電極 32 固定台 33,34 処理液流入口 35 筒部 37 シリンダボア端部 40 クランクケース下面シールシール治具 41 クランクケース横面シールシール治具 42 ロッド 52,152 シール部材 53,153 取付板 60 ロッド 61 取付板 62 シール部材 63 突起部 64 シール部材 65 流路 66 膨張媒体 40 電源 41 リード線 42 リード線固定部 43 ボルト 44,45 絶縁性シール材 65 処理液タンク 66 送液ポンプ 67 処理液導出通路 68 外部配管 69 メッキ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 徹也 静岡県浜松市高塚町300番地 スズキ株式 会社内 Fターム(参考) 4K024 AA03 AB01 AB08 BA06 BB04 BC04 CB02 CB08 CB13 FA15 GA03 GA16

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダブロック本体部の下部にクラン
    クケース部を一体成形し、該クランクケース部の下面を
    略平面状の一般面に形成するとともに、この一般面の一
    部を略半円状のジャーナル部に形成したシリンダブロッ
    クにおける本体部に、上記クランクケース部の内部空間
    に連通して形成されたシリンダボア面に表面処理を施す
    際に処理液をシールするシリンダブロックの表面処理用
    マスキング装置において、 上記クランクケース部の下面をマスキングするクランク
    ケース部下面シール治具と、クランクケース部の横面を
    マスキングするクランクケース部横面マスキング治具と
    を備え、これらの両マスキング治具によって、上記クラ
    ンクケース部の下面と横面の開口部をマスキングするよ
    うに構成したことを特徴とするシリンダブロックの表面
    処理用マスキング装置。
  2. 【請求項2】 シリンダブロック本体部の下部にクラン
    クケース部を一体成形し、該クランクケース部の下面を
    略平面状の一般面に形成するとともに、この一般面の一
    部を略半円状のジャーナル部に形成したシリンダブロッ
    クにおける本体部に、上記クランクケース部の内部空間
    に連通して形成されたシリンダボア面に表面処理を施す
    際に処理液をシールするシリンダブロックの表面処理用
    マスキング装置において、 断面略コ字状に形成された取付板と、該取付板の内面に
    配設され、内部が中空に形成されたシール部材とを備
    え、このシール部材をクランクケース部の下面及び横面
    に当接させることによって、上記クランクケース部の下
    面と横面の開口部をマスキングするように構成したこと
    を特徴とするシリンダブロックの表面処理用マスキング
    装置。
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