JP3267835B2 - 表面処理方法及びその装置 - Google Patents

表面処理方法及びその装置

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JP3267835B2
JP3267835B2 JP13966495A JP13966495A JP3267835B2 JP 3267835 B2 JP3267835 B2 JP 3267835B2 JP 13966495 A JP13966495 A JP 13966495A JP 13966495 A JP13966495 A JP 13966495A JP 3267835 B2 JP3267835 B2 JP 3267835B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンのシリンダブ
ロック等の筒状部分を有するワークの筒状部分の内周面
にめっきを施す場合のめっき処理や、その前処理などに
適用される表面処理方法及びその装置であり、特に、被
処理面に対して処理液を流動させつつ高速で表面処理を
行う表面処理方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ワークの被処理面にめっきを
施したり、その前工程として脱脂処理を行ったりする表
面処理に関する技術は種々知られている。例えば、処理
液を貯蔵したタンクにワークを浸漬させてめっき等を行
うものが一般に知られているが、この手法では処理時間
が長くかかり、性能が悪い。
【0003】そのため、近年では、ワークの被処理面に
対して処理液を流動させることにより、処理能率を高め
高速処理を可能にしたものが考えられている。本願出願
人においても、エンジンのシリンダブロック等の筒状部
分を有するワークの筒状部分の内周面に処理液を流動さ
せながらめっき等を施す装置を開発し出願している(平
成6年 特許願第134714号)。この装置では、処
理装置本体のワーク支持部に筒状の流路構成部材が突設
され、シリンダブロックを処理装置本体に支持した状態
でこの流路構成部材がシリンダ内に突入するようになっ
ている。そして、上記流路構成部材の外周面とシリンダ
内壁面との間に処理液を流動させることにより、シリン
ダ内壁面に所定の表面処理が施されるようになってい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な装置において、ワーク支持部に筒状の流路構成部材を
固定的に突設した場合、ワークがV形エンジンのシリン
ダブロックのように左右に所定角度傾斜した状態で形成
されるシリンダに対しては、双方のシリンダ内に同時に
流路構成部材を挿入し得るような構造とすることが難し
いという問題がある。そのため、ワークがV形エンジン
のシリンダブロックのように、角度差を有して形成され
る2以上の筒状部分を具備するワークの場合には、全て
の筒状部分に対して同時に表面処理を施すことが困難、
あるいは不可能である。
【0005】従って、このような場合には、各筒状部分
に対する表面処理を効率良く行うことが表面処理作業の
短縮化を図る上で重要である。
【0006】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、V形エンジンのシリンダブロック等の
ように角度差を有する2以上の筒状部分を具備するワー
クの各筒状部分に対する表面処理を効率良く行うことが
できる表面処理方法及びその装置を提供することを目的
としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る表面処理
方法は、角度差を有して形成された2以上の筒状部分を
具備するワークの上記筒状部分の内周面に処理液を供給
してめっき等の表面処理を施す表面処理方法であって、
上記ワークのいずれかの筒状部分に、処理装置本体に設
けられた流路構成部材を突入させた状態で上記ワークを
処理装置本体のワーク支持部に載置し、上記流路構成部
材により筒状部分の内部に構成された流路への処理液の
導入、導出を行うことにより当該筒状部分に表面処理を
施した後、上記ワークを処理装置本体から取外して回転
させ、上記ワークの他の筒状部分に上記流路構成部材を
突入させた状態で上記ワークを上記ワーク支持部に載置
し、当該筒状部分に対して上記処理液の導入、導出を行
って表面処理を施すものである。
【0008】請求項2に係る表面処理装置は、角度差を
有して形成された2以上の筒状部分を具備するワークの
上記筒状部分の内周面に処理液を供給してめっき等の表
面処理を施す表面処理装置であって、ワーク処理箇所に
設置された処理装置本体に、上記いずれかの筒状部分の
両側開口部分が所定方向に向いた状態のワークを支持す
るワーク支持部と、ワーク支持状態で所定方向に向いた
上記筒状部分の内部に処理液の流路を構成する流路構成
部材と、上記流路の処理液流入側に連通する処理液導入
通路と、上記流路の処理液流出側に連通する処理液導出
通路とを設け、上記処理液導入通路を処理液供給手段に
接続する一方、上記処理装置本体の上方に、筒状部分の
方向を変更すべく上記ワークを回転可能に保持する保持
機構を昇降自在に設けたものである。
【0009】請求項3に係る表面処理装置は、請求項2
記載の表面処理装置において、上記ワーク処理箇所に、
所定の表面処理を連続して施すべく複数の処理装置本体
が並べて設けられ、上記保持機構がこれらの処理装置本
体に亘って移動自在に設けられたものである。
【0010】請求項4に係る表面処理装置は、請求項3
記載の表面処理装置において、上記ワークは、所定角度
を有してクランクケース部に連通する、筒状部分として
の少なくとも一組のシリンダを具備するV形エンジンの
シリンダブロックであって、上記ワーク処理箇所には、
上記シリンダブロックの片方のシリンダに所定の前処理
及びめっき処理等を施す複数の処理装置本体が直列配置
されてなる第1ラインと、他方のシリンダに所定の前処
理及びめっき処理等を施す複数の処理装置本体が直列配
置されてなる第2ラインとが並列に設けられ、第1ライ
ンでの処理が全て終了した後に第2ラインを経るように
上記保持機構の移動経路が設定されたものである。
【0011】請求項5に係る表面処理装置は、請求項2
乃至4のいずれかに記載の表面処理装置において、上記
処理装置本体の上方に、上記ワークの筒状部分の上方開
口部分をシールするシール部材が設けられたものであ
る。
【0012】請求項6に係る表面処理装置は、請求項5
記載の表面処理装置において、上記ワークが、所定角度
を有してクランクケース部に連通する、筒状部分として
の少なくとも一組のシリンダを具備するV形エンジンの
シリンダブロックであって、上記処理装置本体の上方に
は、シリンダブロックに当接してシリンダブロックをワ
ーク支持部に押し付けた状態で固定する固定部材が上記
シール部材とともに設けられ、この固定部材に、上記シ
リンダブロックに形成されたクランクシャフトの軸受部
分に対する嵌合部分が設けられてなるものである。
【0013】
【作用】上記請求項1記載の表面処理方法によると、ワ
ークに形成されたいずれかの筒状部分に処理装置本体に
設けられた流路構成部材が突入した状態でワークが処理
装置本体のワーク支持部に載置され、上記流路構成部材
により筒状部分の内部に構成された流路への処理液の導
入、導出が行われることにより当該筒状部分に表面処理
が施される。その後、ワークが処理装置本体から取外さ
れて回転させられ、ワークの他の筒状部分に上記流路構
成部材が突入され、処理液の導入、導出が行われること
により当該他方の筒状部分に表面処理が施される。こう
してワークの全ての筒状部分に対して表面処理が施され
る。
【0014】上記請求項2記載の表面処理装置による
と、ワークに形成されたいずれかの筒部分に流路構成部
材が突入した状態で、ワークが処理装置本体のワーク支
持部に載置される。この状態で、処理液供給手段から供
給される処理液が処理液導入通路からワークの筒状部分
の内部の流路を流動して処理液導出通路から導出され、
こうして処理液が循環されつつ高速で表面処理が行われ
る。そして、当該筒状部分に対する表面処理が終了する
と、保持機構によりワークが処理装置本体から取外され
て回転させられ、他の筒状部分に流路構成部材が突入し
た状態で、ワークがワーク支持部に載置される。これに
より他の筒状部分に対して表面処理が施される。
【0015】上記請求項3記載の表面処理装置による
と、保持機構によりワークが各処理装置本体間を搬送さ
れながら所定の表面処理が施される。
【0016】上記請求項4記載の表面処理装置による
と、先ず、第1ラインにおいてシリンダブロックの片方
のシリンダに対して表面処理が施された後、第2ライン
において他方のシリンダに対して表面処理が施される。
この際、シリンダブロックが第1ラインにある場合には
片方のシリンダが所定方向に向いた状態に保持され、第
2ラインに移載されると、保持機構によりワークが回転
させられ、これによって他方のシリンダが所定方向に向
いた状態に保持される。
【0017】上記請求項5記載の表面処理装置による
と、ワークの筒状部分の上方開口部分がシールされるこ
とにより、処理液が溢れ出ることがより確実に防止され
る。
【0018】上記請求項6記載の表面処理装置による
と、固定部材の嵌合部分がシリンダブロックのクランク
シャフトの軸受部分に嵌合した状態でシリンダブロック
がワーク支持部に押し付けられことにより、押圧力を鉛
直方向に有効に作用させてシリンダブロックをワーク支
持部に固定することが可能となる。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0020】図1乃至図3は、本発明の適用の一例とし
てめっき処理システム全体の概略を示している。同図に
示すワークはV形エンジンのシリンダブロック1であ
り、本めっき処理システムにおいては、そのシリンダ
(筒状部分)の内周面にめっきを施すようになってい
る。なお、めっきの種類は本発明で限定するものではな
いが、実施例においては、ニッケルに分散剤としてのシ
リコンカーバイト及びリンを含む複合めっきを施すよう
になっている。
【0021】このめっき処理システムには、各種前処理
のための処理部A〜D、めっき処理部E及び乾燥部Fが
作業順序に対応する配列で配設されてなるめっき処理ラ
インLa(第1ライン)と、これと同様の処理部A〜
D,めっき処理部E及び乾燥部Fがめっき処理ラインL
aと逆の順序(図1では左右逆)で配列されてなる処理
ラインLb(第2ライン)とが設けられている。具体的
には、脱脂処理部A、アルカリエッチング処理部B、混
酸エッチング処理部C、アルマイト処理部D,高速めっ
き処理部E及び乾燥部Fが各めっき処理ラインLa,L
b(以下、処理ラインLa,Lbと略す)にそれぞれ配
設されている。さらに、各めっき処理ラインLa,Lb
において、各処理部A〜Eの間及び高速めっき処理部E
と乾燥部Fとの間にはそれぞれ水洗部Ga,Gb,G
c,Gd,Geが設けられている。
【0022】このシステムにおいて、上記シリンダブロ
ック1は、処理ラインLaにおいて左側から右側に向か
って移動され、処理ラインLbに移載された後、さらに
処理ラインLbにおいて右側から左側に向かって移動さ
れながら所定の処理が施されるようになっている。その
ため、処理ラインLaの始端側(図1では左側)にはワ
ーク投入部2が設けられ、処理ラインLbの終端側(図
1では左側)にはワーク搬出部3が設けられている。
【0023】上記各処理ラインLa,Lbの外方には、
脱脂液貯蔵タンク4A、アルカリ液貯蔵タンク4B、混
酸液貯蔵タンク4Cならびに混酸排液タンク4C′、ア
ルマイト液貯蔵タンク4D及びめっき液貯蔵タンク4E
が設置されている。各処理液のタンク4A〜4Eとそれ
ぞれに対応する処理部A〜Eとの間には、処理液供給用
のポンプ5A,5B,5C,5D,5E及び処理液給排
用の配管(図1乃至図3では省略)が装備されている。
【0024】また、処理ラインLa,Lbの上方には、
それぞれワーク搬送用設備が設けられている。このワー
ク搬送用設備は、例えば所定高さ位置に架設された互い
に平行な一対のビーム6と、これらの各ビーム6に跨っ
た状態でビーム6に沿って移動可能に装着された複数の
ワーク搬送装置7(保持機構)と、処理ラインLaのワ
ーク搬送装置7を処理ラインLbに移載する移載機構8
とで構成されている。
【0025】図4及び図5は、ワーク搬送装置7の具体
的構成の一例を示している。
【0026】この図に示すワーク搬送装置7は、ビーム
6に沿って移動可能とされるとともに、装置本体に連結
された支持部7aに昇降可能に支持された枠体9を備
え、この枠体9に左右一対のチャック機構10A,10
Bを具備している。
【0027】上記チャック機構10A,10Bは、枠体
9の両側部からそれぞれ内方に進退可能に突出するワー
クチャック11A,11Bと、両ワークチャック11
A,11Bをそれぞれ駆動するクランプ用エアシリンダ
12A,12Bを有し、クランプ用エアシリンダ12
A,12Bの駆動により上記両ワークチャック11A,
11Bでシリンダブロック1を両側から挾持することが
できるようになっている。また、チャック機構10A,
10Bは、枠体9に回転可能に取付けられ、回転用エア
シリンダ13の作動によりラック、ピニオン等(図示せ
ず)を介して回転され、これにより挾持したシリンダブ
ロック1を所定角度だけ回転させ得るようになってい
る。また、上記枠体9は、昇降用エアシリンダ14によ
り昇降するようになっている。
【0028】上記移載機構8は、ワーク搬送用設備にお
いて処理ラインLaの終端側と処理ラインLbの始端側
とに亘って設けられている。この移載機構は、詳しく図
示していないが、処理ラインLaのビーム6の一部と、
この部分にあるワーク搬送装置7とを一体に処理ライン
Lb側に移動させることによりワーク搬送装置7を図3
の二点鎖線に示すように処理ラインLaから処理ライン
Lbへと移載するように構成されている。
【0029】また、各処理ラインLa,Lbの各ビーム
6間でその上方には、各処理部A〜D及びめっき処理部
Eに対応して後に詳述する補助部材40が昇降可能に配
設されており、各処理部A〜Eにおいて表面処理が施さ
れる際には、当該補助部材40が各ビーム6間を通って
各処理部A〜Eの直上方にまで下降し、各処理部A〜E
に支持されたシリンダブロック1に当接するようになっ
ている。
【0030】図6は、めっき処理部Eにおける高速めっ
きのための処理液給排系統を示している。これらの図に
おいて、処理液(めっき液)を貯蔵するタンク4E及び
これに接続されたポンプ5Eと、ワーク支持部を有する
処理装置本体30との間に処理液供給管21及び処理液
回収管22が配設されている。上記処理液供給管21
は、その上流端側が上記ポンプ5Eに接続される一方、
下流端側が処理装置本体30の後述の処理液導入通路3
3に接続されている。また、処理液回収管22は、上流
端側が処理装置本体30の後述の処理液導出通路39に
接続される一方、下流端側がタンク4Eに至っている。
【0031】上記処理液供給管21には、処理液供給量
を調整するためのメイン自動バルブ23及びメイン手動
バルブ24が設けられ、さらに余剰液をタンク4Eに戻
すため、上記バルブ23,24よりも上流側で処理液供
給管21から分岐してタンク4Eに至るバイパス通路2
5が付設され、このバイパス通路25にバイパス自動バ
ルブ26が設けられている。一方、上記各処理液回収管
22には、回収液流量を調整するための流量センサ27
及び流路調整バルブ28が設けられている。
【0032】図7及び図8はめっき処理部Eの具体的な
構造を示している。これらの図において、処理装置本体
30の基台31上には、ワーク支持部としての支持ブロ
ック32が設けられ、この支持ブロック32上にシリン
ダブロック1が支持されて、シリンダ1bの開口部が支
持ブロック32で塞がれるようになっている。具体的に
は、交互に所定の傾斜角度(図示の例では90°)で並
列配置された複数(図では6つ)のシリンダ1bを有す
るシリンダ構成部分1aとクランクケース部分1cとが
一体に形成されたV形エンジンのシリンダブロック1
が、車両への搭載時の状態に対して上下反転した状態
で、かつ片側列(V字形に配列されたシリンダの片側
列)のシリンダ1bが鉛直方向に開口した状態で支持ブ
ロック32に支持されており、この状態で各シリンダ1
bの下方開口部(ヘッド側開口部)が支持ブロック32
で塞がれるようになっている。
【0033】上記支持ブロック32には、上記シリンダ
ブロック1のシリンダ配設部分1aの下方となる位置
に、横方向(シリンダ配列方向)に延びる処理液導入通
路33が形成され、この処理液導入通路33の両端部が
上記処理液供給管21に接続されている。支持ブロック
32の上面には、シリンダブロック1の各シリンダ1b
に対応する位置に、上記処理液導入通路33に連通する
開口部33aが設けられるとともに、その周辺にシール
部33bが設けられている。そして、支持ブロック32
上に上述のようにシリンダブロック1が支持された状態
では、シリンダブロック1の各シリンダ1bの下方開口
部と上記開口部33aとが合致し、その周辺部において
上記シール部33bにより支持ブロック32の上面とシ
リンダブロック1の下端面(ヘッド側端面)との間がシ
ールされるようになっている。
【0034】さらに処理装置本体30には、上述のよう
に支持されたシリンダブロック1の片側列の各シリンダ
1bに対応する位置に、流路構成部材を兼ねる電極34
が配設されている。この各電極34は、円筒状に形成さ
れ、上記基台31に取付けられたホルダー35に円筒状
の取付部材36を介して取付けられ、上記処理液導入通
路33を突き抜けて上記開口部33aから上方に突出し
ている。そして、支持ブロック32上に上記のようにシ
リンダブロック1が支持された状態で、上記電極34が
シリンダブロック1の各シリンダ1b内に突入して、電
極34の上端がシリンダ1bの上端近傍に達し、かつ電
極34の外周面とシリンダ内周面との間に一定隙間が保
たれるようになっている。これにより、シリンダブロッ
ク1の各シリンダ1b内で電極34の外側と内側とに、
上部で互いに連通する流路37,38が形成されるとと
もに、外側の流路37が上記処理液導入通路33に連通
するようになっている。
【0035】また、上記ホルダー35には貫通孔が形成
され、この貫通孔と上記取付部材36の内部空間とで、
電極34の内側の流路38に連通する処理液導出通路3
9が形成されている。この各処理液導出通路39は、連
結パイプ22aを介し、上記の各処理液回収管22に接
続されている。また、上記取付部材36、ホルダー35
及び連結パイプ22aは導電性材料で形成され、整流器
に電気的に接続されている。
【0036】上記補助部材40は、フランジ等を介して
めっき処理部Eの上方に固定されたエアシリンダ(図示
せず)によって作動する作動軸41に連結されており、
このエアシリンダへのエア圧の給排切換えに応じて昇降
するように構成されている。具体的には、上記ビーム6
の上方に退避した上昇位置と、支持ブロック32上に支
持されたシリンダブロック1の上部に当接する下降位置
とに変位するようになっている。
【0037】上記補助部材40のプレート42には、上
記シリンダブロック1の上部に当接してシリンダブロッ
ク1を固定する複数の固定板43(固定部材)と、鉛直
方向に開口する各シリンダ1bの、支持ブロック32側
とは反対側の開口部である上方開口部(クランクケース
側開口部)に挿入されるシール部材44とが設けられて
いる。
【0038】上記シール部材44は、図8及び図9に示
すように、各シリンダ1bに対応して上記プレート42
から下方に突出し、さらにその下端部が各シリンダ1b
の上方開口部近傍に達する複数(同図では3本)の取付
部材45と、各取付部材45の下端部に取付けられる扁
平なエアチューブ46とから構成されている。上記プレ
ート42及び取付部材45にはそれぞれ、上記エアチュ
ーブ46に対するエア供給手段として図外のエア供給部
に接続されるエアポート47と、このエアポート47に
連通して取付部材45の中心部を通るエア通路48とが
形成され、エア通路48の下端が連通孔49を介してエ
アチューブ46内に連通している。上記エアチューブ4
6は、内部にエアが供給された拡径状態の時に外周がシ
リンダ1bの内周面に圧接するようにその大きさ及び形
状が設定されている。
【0039】上記固定板43は、各シール部材44間及
びシリンダ1bの配列方向外側にそれぞれ位置するよう
に上記プレート42の下方に突設されており、上記補助
部材40が下降位置にある状態で、図7に示すように、
シリンダブロック1のクランクケース部分1cの縁部に
当接するようになっている。
【0040】ところで、以上はめっき処理部Eの具体的
な構成について説明したが、本実施例のめっき処理シス
テムにおいては、めっき処理部E以外の前処理部A〜D
も上記めっき処理部Eと基本的に同様の構造とされてい
る。以下にその構造について図10及び11を用いて簡
単に説明する。
【0041】これらの図において、処理装置本体50の
基台51に設けられた支持ブロック52は、めっき処理
部Eにおける支持ブロック32と同様に構成され、図外
の処理液供給管に接続されてる処理液導入通路53を有
している。また、シリンダブロック1の各シリンダ1b
に対応する箇所には、円筒状の流路構成部材54が配設
され、その下端が上記基台51に固着されている。
【0042】上記流路構成部材54は、上記めっき処理
部Eにおける電極34とほぼ同様の形状、配置とされ、
上記処理液導入通路53を突き抜けて開口部53aから
上方に突出している。そして、支持ブロック52にシリ
ンダブロック1が支持された状態で各シリンダ1b内に
流路構成部材54が突入し、各シリンダ1bの流路構成
部材54の内外に流路57,58が形成されるようにな
っている。
【0043】上記基台51には、上記各流路構成部材5
4の内側の流路58に通じるポート59aと、各ポート
59aに連通する連通路59bと、この連通路59bに
通じて下方に延びる出口通路59cとからなる処理導出
通路59が設けられており、この処理導出通路59に処
理液回収管60が接続されている。
【0044】なお、以上説明しためっき処理システムに
おいて、各処理部A〜Eの基本構成は各処理ラインL
a,Lbにおいて同一であるが、その具体的な構成、例
えば、補助部材40における固定板43の向き等は、各
処理ラインLa,Lbで左右反転(シリンダブロック1
の進行方向に向かって左右反転)した構造となってい
る。
【0045】次に、以上のように構成された上記めっき
処理システムによるめっき処理について説明する。
【0046】先ず、シリンダブロック1がコンベア等の
搬送手段により上記めっきシステムにおける処理ライン
Laのワーク投入部2に搬入される。この際、シリンダ
ブロック1は、例えば、シリンダ1bの配列方向が処理
ラインLaの搬送方向に並ぶ状態で、かつ片側列のシリ
ンダ1bが鉛直方向に開口し、他側列のシリンダ1bの
ヘッド側開口部が処理ラインLaの外方(図3では下
方)に向いた状態でワーク投入部2に搬入される。
【0047】シリンダブロック1がワーク投入部2に搬
入されると、これに応じてワーク搬送装置7がワーク投
入部2の上方に配置されるとともに、昇降用エアシリン
ダ14の作動に応じて枠体9が下降させられる。この
際、チャック機構10A,10Bの各ワークチャック1
1A,11Bは互いに離間する位置に保持されている。
【0048】そして、上記枠体9の内部にシリンダブロ
ック1が介在する所定の下降端位置に達すると、チャッ
ク機構10A,10Bが作動され、これによりシリンダ
ブロック1がワークチャック11A,11Bにより両側
から挾持される。その後、上記昇降用エアシリンダ14
へのエア圧供給切換えに応じてシリンダブロック1が枠
体9と一体に上昇させられ、これより図4及び図5の二
点鎖線に示すようにシリンダブロック1がワーク搬送装
置7により支持される。
【0049】そして、処理ラインLaの各処理部A〜
E、各水洗部Ga〜Ge及び乾燥部Fにおいて、シリン
ダブロック1が上述の状態で順次セットされつつ、これ
によりシリンダブロック1の片側列のシリンダ1bに対
して所定の処理が施される。
【0050】例えば、めっき処理部Eでの処理について
説明すると、先ず、シリンダブロック1が図7に示すよ
うに支持ブロック32上にセットされる。そして、当該
シリンダブロック1の搬入に供されたワーク搬送装置7
が所定の退避位置に移動され、その後、補助部材40が
上昇位置から下降させれる。この際、各シール部材44
のエアチューブ46へのエアの供給が遮断された状態で
下降させられ、補助部材40が完全に下降することによ
り、固定板43がクランクケース部分1cの縁部に当接
してシリンダブロック1が固定されるとともに、各シー
ル部材44がそれぞれ対応するシリンダ1bの上方開口
部内に挿入させられる。それから、上記エアチューブ4
6へのエアの供給が行われ、これによりエアチューブ4
6が外方に膨出してその外周がシリンダ1bの内周面に
圧接され、シリンダブロック1の各シリンダ1bの上方
開口部がシールされる。
【0051】こうしてシリンダブロック1のセットが完
了すると、図6に示した配管系統によりめっき液の供
給、循環が行われるとともに、上記電極34への通電が
行われ、これによりシリンダブロック1の各シリンダ1
bの内周面の高速めっきが行われる。すなわち、処理液
供給管21から支持ブロック32内の処理液導入通路3
3に送り込まれためっき液は、図8中に矢印で示すよう
に、電極34の外周面とシリンダ内周面との間の流路3
7を通り、シリンダ内の上部から電極34の内側の流路
38及び処理液導出通路39を経て処理液回収管22へ
流れる。このように被めっき面であるシリンダ内周面に
沿ってめっき液が流動しつつ電圧が印加されることによ
り高速めっきが行われる。
【0052】この場合に、上記のように補助部材40に
設けられたシール部材44により各シリンダ1bの上方
開口部がシールされるので、シリンダ1b内を流動する
めっき液がシリンダ1bから外方に溢れるとこが確実に
防止され、高速めっき処理が良好に行われる。
【0053】このようにして処理ラインLaにおいてシ
リンダブロック1の片側列のシリンダ1bに対する各処
理部A〜Eでの処理、水洗等が完了すると、ワーク搬送
装置7によりシリンダブロック1が処理ラインLaの終
端部に搬送されるとともに、移載機構8によりワーク搬
送装置7と一体に処理ラインLbへと移載される。
【0054】シリンダブロック1が処理ラインLaへ移
載されると、ワーク搬送装置7において回転用エアシリ
ンダ13が作動され、これによるチャック機構10A,
10Bの回転に応じてシリンダブロック1が図5の一点
鎖線に示すように回転させられる。つまり、シリンダブ
ロック1が90°回転させられ、他側列のシリンダ1b
が鉛直方向に開口し、処理ラインLaでの処理が完了し
た上記片側列のシリンダ1bのヘッド側開口部が処理ラ
インLbの外方(図3では上方)に向いた状態とされ
る。
【0055】そして、処理ラインLbにおいて、先ず、
ワーク搬送装置7により脱脂処理部Aへ搬送され、この
脱脂処理部Aの支持ブロック32に載置されてワーク搬
送装置7から離された後に脱脂処理が行われ、脱脂処理
後は再びワーク搬送装置7に保持されて水洗部Gaに移
され、このような作業が上記処理ラインLaと同様に繰
り返されることにより、シリンダブロック1の他側列の
シリンダ1bに対して各処理部等での処理、水洗及び搬
送が順次行われる。
【0056】こうして、処理ラインLbにおいてシリン
ダブロック1の他側列のシリンダ1bに対する各処理部
A〜Eでの処理、水洗等が完了すると、シリンダブロッ
ク1がワーク搬出部3に載置されて、例えばコンベア等
の搬送手段により次工程へと搬出されることになる。な
お、シリンダブロック1を搬出した後のワーク搬送装置
7は、図外の移載機構により処理ラインLbから処理ラ
インLaへと移載されるようになっている。
【0057】以上説明したように、上記実施例のめっき
処理システムによれば、先ず、処理ラインLaにおい
て、シリンダブロック1の片側列のシリンダ1bに対し
て前処理及びめっき処理が施された後、シリンダブロッ
ク1が処理ラインLbに移載され、処理ラインLbにお
いて他側列のシリンダ1bに対する前処理及びめっき処
理が行われるので、角度差を有して形成されたシリンダ
ブロック1の各シリンダ1bに対する所定の表面処理が
効率良く行われる。
【0058】特に、上記実施例の処理システムによれ
ば、シリンダブロック1を搬送するためのワーク搬送装
置7が処理ラインLa及び処理ラインLbに亘って移動
可能とされ、このワーク搬送装置7にシリンダブロック
1を回転させるための機構が設けられているので、各処
理ラインLa、Lbにおけるシリンダブロック1の搬
送、各処理部A〜E等へのセット及び処理ラインLaか
ら処理ラインLbへのシリンダブロック1の移載等の動
作が連続してスムーズに行われる。
【0059】ところで、本発明において適用されるめっ
き処理システムの構成としては、上記実施例のようなシ
ステム以外に図12に示すような処理システムを構成す
ることもできる。以下、この図に示す処理システムにつ
いて説明する。なお、上記実施例と同一機能を果たすも
のについては同一符号を用いて説明する。
【0060】このめっき処理システムは、めっき処理ラ
インLcからなる1ライン構成となっている。めっき処
理ラインLcは、前記図1中のめっき処理ラインLaと
ほぼ同一の構成となっているが、1ライン構成であるた
め、その下流側にはワーク搬出部3が設けられ、処理後
のワークがここから次工程に搬出されるようになってい
る。
【0061】めっき処理ラインLcの上方には、ワーク
搬送設備として、一対のビーム6がめっき処理ラインL
cに沿って架設され、ワーク搬送装置7がこのビーム6
に沿って移動するように構成されるとともに、めっき処
理ラインLcの側方部にさらに一対のビーム6aが架設
され、めっき処理ラインLcの上流端及び下流端におい
てこれらの各ビーム対が移載機構8により連結されてい
る。つまり、ビーム6aにより、ワーク搬送装置7をめ
っき処理ラインLcの下流側から上流側に戻すためのリ
ターン経路61が構成されている。また、このリターン
経路61の上流側(図12では右側)には、シリンダブ
ロック1を鉛直軸回りに回転させるための回転テーブル
62が設置されている。
【0062】このめっき処理システムでは、ワーク投入
部2に投入されたシリンダブロック1がワーク搬送装置
7によって搬送されつつ、シリンダブロック1の片側列
のシリンダ1bに対して各処理部A〜Eでの処理及び水
洗等が施される。このとき、シリンダブロック1は、例
えば、図5の二点鎖線に示す状態でワーク投入部2に搬
入されてめっき処理ラインLaに沿って搬送される。
【0063】シリンダブロック1の片側列のシリンダ1
bに対する処理が完了すると、次に、他側列のシリンダ
1bに対して処理を施すべく、シリンダブロック1とワ
ーク搬送装置7が一体にリターン経路61を介してめっ
き処理ラインLcの上流側に戻される。このとき、シリ
ンダブロック1がリターン経路61へと移載されると、
ワーク搬送装置7の作動によりシリンダブロック1が図
5の一点鎖線に示すように回転させられ、その後回転テ
ーブル62上に載置されとともに、回転テーブル62の
駆動により180°だけ回転させられ、その後、再度ワ
ーク搬送装置7によって保持されてめっき処理ラインL
cの上流側に搬送される。これによってシリンダブロッ
ク1が、他側列のシリンダ1bへの処理が可能な状態
で、しかも図5の二点鎖線に示す状態とされてめっき処
理ラインLcの上流側に戻されるようになっている。こ
のような状態でシリンダブロック1がめっき処理ライン
Lcの上流側に戻されることで、方向性が要求される補
助部材40を各列のシリンダ1bの処理に共通して使用
し得るようになっている。
【0064】すなわち、図7中に示す補助部材40の固
定板43の下端部は、シリンダブロック1が同図の二点
鎖線に示す状態にあるときのクランクケース端部に対応
する形状とされており、図1のように2列の処理ライン
La,Lbを設けるのであれば、処理ラインLbでは補
助部材40を図7とは対称的に配置しておけばよいが、
図12のような1ライン構成の場合において補助部材4
0を各列のシリンダ1bの処理に共通して使用するに
は、上記他列側のシリンダ1bを処理する場合に上記シ
リンダブロック1を回転させることで補助部材40の固
定板43に対応させることができる。
【0065】シリンダブロック1がめっき処理ラインL
cの上流側に戻されると、片側列のシリンダ1bと同
様、他側列のシリンダ1bに対して各処理部A〜Eでの
処理及び水洗等が施され、その後、ワーク搬出部3を経
て次工程に搬出される。
【0066】このめっき処理システムによれば、シリン
ダブロック1の各列のシリンダ1bに対する処理を1つ
のめっき処理ラインLcで行うことができるので、上記
実施例のめっき処理システムと比較すると、より簡単な
構成でシリンダブロック1の表面処理を行うことができ
る。
【0067】なお、以上の実施例は、本発明に係る表面
処理装置をめっき処理システムに適用した一例であっ
て、その具体的な構成は、上記実施例以外にも適宜変更
可能である。例えば、上記各実施例では、図7に示すよ
うに、補助部材40に設けられた固定板43の傾斜面を
クランクケース部分1cの縁部に当接させることによっ
てシリンダブロック1を支持ブロック32上に押し付け
て固定するようにしているが、例えば、図13に示すよ
うに、クランクケース部分1cに形成されるクランクシ
ャフトの軸受部分1dと嵌合可能な突起43a(嵌合部
分)を上記固定板43の傾斜面に形成するようにしても
よい。これによれば上記突起43aが軸受部分1dに嵌
合した状態でシリンダブロック1が鉛直下方に向かって
押し付けられるためシリンダブロック1をより確実に支
持ブロック32に押し付けて固定することができる。
【0068】すなわち、固定板43とシリンダブロック
1とが傾斜面でもって互いに当接している上記実施例の
構造(すなわち、固定板43に突起43aを設けていな
い構造)では、シリンダブロック1に対する鉛直方向の
押圧力が水平方向の押圧力に変換され易く、そのためシ
リンダブロック1を充分に支持ブロック32に押し付け
ることができない場合があり得る。
【0069】これに対して、上述のように固定板43に
突起43aを設けてこれを軸受部分1dに嵌合させてシ
リンダブロック1を押し付けるようにすれば鉛直方向の
押圧力が水平方向の押圧力に変換され難く、押圧力を鉛
直方向により有効に作用させてシリンダブロック1を強
固に支持ブロック32に押し付けて固定することができ
る。そのため、支持ブロック32とシリンダブロック1
との間のシール性を高めることができ、また、シリンダ
ブロック1の水平方向のズレ等を効果的に防止すること
ができる。但し、支持ブロック32とシリンダブロック
1との間のシールがシリンダブロック1の自重でもって
充分に達成され、かつピン部材等によりシリンダブロッ
ク1の水平方向の位置決めが確実に行われるような場合
には必ずしも突起43aを設ける構造を採用する必要は
ない。なお、上述のように嵌合部分として突起43を設
ける以外に、例えば、シリンダブロック1のクランクケ
ース部分1cの端面にクランクキャップが取付けられた
状態で表面処置作業が行われるような場合には、固定板
43に嵌合部分として凹部を形成し、この凹部をクラン
クキャップに嵌合させてシリンダブロックを固定するよ
うにしてもよい。
【0070】さらに、補助部材40に設けられる上記シ
ール部材44に代えて、例えば、図14に示すようなシ
ール部材70を採用するようにしても構わない。
【0071】このシール部材70では、補助部材40の
プレート42の下部に円筒状の取付部材71が突設さ
れ、この取付部材71の先端部(同図では下端部)にゴ
ム等の弾性材料から形成される傘状のシール片72が取
り付けられている。このシール片72は、その表面(同
図では上面)周方向に適当な間隔で金属片73を有する
とともに、係止具74により取付部材71の下端面に懸
垂支持されている。
【0072】また、上記プレート42には、図示を省略
しているが、各取付部材71に対応してエアシリンダが
設けられ、このエアシリンダの作動軸に可動ロッド75
が連結されるとともに、この可動ロッド75が取付部材
71を貫通してシール片72の下方に突出している。可
動ロッド75の先端部(同図では下端部)には、円盤状
のシール押え部材76が一体に形成されており、上記エ
アシリンダへのエア圧の給排に応じて可動ロッド75と
一体に昇降するようになっている。
【0073】そして、このシール部材70においては、
シール押え部材76が下降端位置に保持された状態、す
なわち、同図の二点鎖線に示すようにシール片72が金
属片73の重みで窄んだ状態でシリンダ1bに挿入さ
れ、その後、シール押え部材76が上昇させられ、取付
部材71とシール押え部材76との圧縮力によりシール
片72が同図の実線に示すように傘状に広げられてその
周縁部がシリンダ1bの内周面に圧接されることにより
シリンダ1bのシールが達成される。
【0074】なお、シール部材の具体的な構造も、これ
らの各シール部材44,70の構造に限らず、シリンダ
1bのシールを適切にシールできるように適宜構成する
ようにすればよい。
【0075】また、上記各実施例においては、処理ライ
ンLa,Lb又はLcの上方に補助部材40を設け、こ
れを昇降させることによりシリンダブロック1における
各シリンダ1bの上部開口部をシール部材によりシール
するようにしているが、シール部材を有する治具を予め
シリンダブロック1に装着し、これによりシリンダ1b
のクランクケース側の開口部をシールした状態でシリン
ダブロック1を搬送するようにしても構わない。これに
よれば、各処理部A〜Eにおいて各シリンダ1bの開口
部をシールするのに要する時間を軽減することができる
とともに、処理システムの簡素化を図ることが可能とな
る。
【0076】また、図7に示したような略直角二等辺三
角形の固定板43を治具として予めシリンダブロック1
のクランクケース部分1cの端面に装着しておき、この
状態でシリンダブロック1を搬送しつつ、各処理部A〜
Eにおいて補助部材(前記の補助部材40のうちで固定
板43を除いた部分)により固定板43の水平辺部を介
してシリンダブロック1を押圧して固定するようにして
もよい。このようにすれば、他方のシリンダ1dに対し
て処理を行うべく図5の一点鎖線に示すようにシリンダ
ブロック1を回転させても固定板43に水平辺部が確保
されるので、シリンダブロック1の傾き方向に関係なく
共通の固定板43を介してシリンダブロック1を押圧、
固定することができる。特に、図12に示すように1ラ
インでもって表面処理を行う場合にこの方法を用いるよ
うにすれば、鉛直軸回りにシリンダブロック1を回転さ
せる必要がなくなるので、これにより回転テーブル62
を省略したより簡素な処理システムを構成することがで
きる。なお、固定板の具体的な形状は略直角二等辺三角
形に限られず、シリンダブロック1の回転前及び回転後
に適切にシリンダブロック1を押圧、固定できるように
適宜選定するようにすればよい。また、このように固定
板43をシリンダブロック1に装着する場合には、例え
ば、シリンダブロック1のクランクケース部分1cの端
面に螺設されるクランクキャップ取付用のねじ孔を利用
して装着することができる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ワークに形成されたいずれかの筒状部分に流路構成部材
が突入された状態で、ワークが処理装置本体のワーク支
持部に載置され、この状態で、処理液供給手段から供給
される処理液が処理液導入通路からワークの筒状部分の
内部の流路を流動して処理液導出通路から導出され、こ
うして処理液が循環されつつ高速で表面処理が行われ
る。そして、当該筒状部分に対する表面処理が終了する
と、保持機構によりワークが処理装置本体から取外され
て回転させられ、他の筒状部分に流路構成部材が突入し
た状態で、ワークがワーク支持部に載置される。これに
より他の筒状部分に対して表面処理が施される。従っ
て、V形エンジンのシリンダブロック等のように角度差
を有する2以上の筒状部分を具備するワークの各筒状部
分に対する表面処理を効率良く行うことができる。
【0078】特に、このような構成において、ワーク処
理箇所に、所定の表面処理を連続して施すべく複数の処
理装置本体を並べて設け、上記保持機構がこれらの処理
装置本体に亘って移動し得るように構成すれば、保持機
構がワークに対する搬送機能を果たすことになり、より
スムーズな表面処理作業が行われる。
【0079】また、上記ワークが所定角度を有してクラ
ンクケース部に連通する少なくとも一組のシリンダを具
備するV形エンジンのシリンダブロックである場合に
は、シリンダブロックの片方のシリンダに所定の処理を
施す第1ラインと、他方のシリンダに所定の処理を施す
第2ラインとを並列に設け、第1ラインでの処理が終了
した後に第2ラインを経るように上記保持機構の移動経
路を設けるようにすれば、先ず、第1ラインにおいて、
片方のシリンダを所定方向に向けた状態でシリンダブロ
ックを保持しつつ当該片方のシリンダに表面処理を施
し、その後、第2ラインにおいて、他方のシリンダを所
定方向に向けた状態にシリンダブロックを回転させて当
該他方のシリンダに表面処理を施すことができる。これ
によりシリンダブロックを第1ラインから第2ラインに
連続して搬送しつつ各シリンダに対する処理作業をスム
ーズに行うことができる。
【0080】さらに、処理装置本体の上方に、上記ワー
クの筒状部分の上方開口部分をシールするシール部材を
設けるようにすれば、処理液が溢れ出ることが確実に防
止され表面処理が良好に行われる。
【0081】また、ワークがV型エンジンのシリンダブ
ロックである場合には、シリンダブロックをワーク支持
部に押付け固定する固定部材をシール部材に一体に設
け、この固定部材に、シリンダブロックに形成されたク
ランクシャフトの軸受部分に対する嵌合部分を設けるよ
うにすれば、V型エンジンのシリンダブロックをより適
切にワーク支持部に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置が適用されるめっき処理システム
全体の概略平面図である。
【図2】めっき処理システムの概略正面図である。
【図3】めっき処理システムのワーク搬送装置と各処理
部の位置関係を示す概略平面図である。
【図4】ワーク搬送装置の具体的な構造を示す正面図で
ある。
【図5】ワーク搬送装置を示す図4におけるA矢視図で
ある。
【図6】めっき処理部における高速めっきのための配管
系統を示す図である。
【図7】シリンダブロックがセットされた状態のめっき
処理部の具体的な構造を示す垂直断面正面図である。
【図8】シリンダブロックがセットされた状態のめっき
処理部の構造を示す図7におけるVIII-VIII断面図であ
る。
【図9】シール部材の構成を示す断面図である。
【図10】前処理部の構造を示す垂直断面正面図であ
る。
【図11】シリンダブロックがセットされた状態の前処
理部の構造を示す図10におけるXI-XI断面図である。
【図12】めっき処理システムの他の例を示す図3に対
応する図である。
【図13】補助部材に設けられる固定板の他の実施例を
示す図7に対応する図である。
【図14】補助部材に設けられるシール部材の他の実施
例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック 1b シリンダ 7 ワーク搬送装置 9 枠体 10A,10B チャック機構 11A,11B ワークチャック 12A,12B クランプ用エアシリンダ 13 回転用エアシリンダ 14 昇降用エアシリンダ 30 処理装置本体 32 支持ブロック 37,38 流路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 5/08 C25D 7/00 C25D 7/04 C25D 17/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 角度差を有して形成された2以上の筒状
    部分を具備するワークの上記筒状部分の内周面に処理液
    を供給してめっき等の表面処理を施す表面処理方法であ
    って、上記ワークのいずれかの筒状部分に、処理装置本
    体に設けられた流路構成部材を突入させた状態で上記ワ
    ークを処理装置本体のワーク支持部に載置し、上記流路
    構成部材により筒状部分の内部に構成された流路への処
    理液の導入、導出を行うことにより当該筒状部分に表面
    処理を施した後、上記ワークを処理装置本体から取外し
    て回転させ、上記ワークの他の筒状部分に上記流路構成
    部材を突入させた状態で上記ワークを上記ワーク支持部
    に載置し、当該筒状部分に対して上記処理液の導入、導
    出を行って表面処理を施すことを特徴とする表面処理方
    法。
  2. 【請求項2】 角度差を有して形成された2以上の筒状
    部分を具備するワークの上記筒状部分の内周面に処理液
    を供給してめっき等の表面処理を施す表面処理装置であ
    って、ワーク処理箇所に設置された処理装置本体に、上
    記いずれかの筒状部分の両側開口部分が所定方向に向い
    た状態のワークを支持するワーク支持部と、ワーク支持
    状態で所定方向に向いた上記筒状部分の内部に処理液の
    流路を構成する流路構成部材と、上記流路の処理液流入
    側に連通する処理液導入通路と、上記流路の処理液流出
    側に連通する処理液導出通路とを設け、上記処理液導入
    通路を処理液供給手段に接続する一方、上記処理装置本
    体の上方に、筒状部分の方向を変更すべく上記ワークを
    回転可能に保持する保持機構を昇降自在に設けたことを
    特徴とする表面処理装置。
  3. 【請求項3】 上記ワーク処理箇所には、所定の表面処
    理を連続して施すべく複数の処理装置本体が並べて設け
    られ、上記保持機構がこれらの処理装置本体に亘って移
    動自在に設けられたことを特徴とする請求項2記載の表
    面処理装置。
  4. 【請求項4】 上記ワークは、所定角度を有してクラン
    クケース部に連通する、筒状部分としての少なくとも一
    組のシリンダを具備するV形エンジンのシリンダブロッ
    クであって、上記ワーク処理箇所には、上記シリンダブ
    ロックの片方のシリンダに所定の前処理及びめっき処理
    等を施す複数の処理装置本体が直列配置されてなる第1
    ラインと、他方のシリンダに所定の前処理及びめっき処
    理等を施す複数の処理装置本体が直列配置されてなる第
    2ラインとが並列に設けられ、第1ラインでの処理が全
    て終了した後に第2ラインを経るように上記保持機構の
    移動経路が設定されたことを特徴とする請求項3記載の
    表面処理装置。
  5. 【請求項5】 上記処理装置本体の上方に、上記ワーク
    の筒状部分の上方開口部分をシールするシール部材が設
    けられたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか記
    載の表面処理装置。
  6. 【請求項6】 上記ワークは、所定角度を有してクラン
    クケース部に連通する、筒状部分としての少なくとも一
    組のシリンダを具備するV形エンジンのシリンダブロッ
    クであって、上記処理装置本体の上方には、シリンダブ
    ロックに当接してシリンダブロックをワーク支持部に押
    し付けた状態で固定する固定部材が上記シール部材とと
    もに設けられ、この固定部材に、上記シリンダブロック
    に形成されたクランクシャフトの軸受部分に対する嵌合
    部分が設けられてなることを特徴とする請求項5記載の
    表面処理装置。
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