JP3266746B2 - 試料ステージ移動制御装置 - Google Patents

試料ステージ移動制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分析条件に応じた基準
電圧を設定し、ヒステリシス特性を有するコンパレータ
を用いて基準電圧と試料位置に対応する検出電圧とを比
較し試料ステージ駆動用のモータの停止を制御する試料
ステージ移動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は電子顕微鏡の試料ステージ制御回
路の従来例を示す図である。電子顕微鏡等の試料ステー
ジ移動制御装置は、Z方向の試料位置を基準電圧Vr
より設定すると、これを目標指令値として、図4に示す
ようにコンパレータで位置検出ボリュームVRの検出電
圧Vd と比較し、その一致反転出力によりモータMの停
止位置を制御している。位置検出ボリュームVRは、試
料位置を検出するものであり、試料ステージをZ方向に
駆動するモータMに連動している。電子顕微鏡では、Z
方向の試料位置が加速電圧に対応するので、加速電圧と
リンクして基準電圧Vr が設定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図5は図4に示す回路
の動作電圧を説明するための図である。位置制御用のコ
ンパレータでは、上記のように目標指令値としての基準
電圧Vr と位置検出ボリュームVRの検出電圧Vd と比
較し、その一致反転出力によりモータMの停止位置を制
御しているが、検出電圧Vd は、ノイズ等もあって脈動
し直線的に変化せず、実際には、基準電圧Vr に達する
ポイントで上下している。そのため動作が不安定になる
ことから、図4に示すように基準電圧Vr の入力端子と
出力端子との間に抵抗R3を接続してヒステリシス特性
を持たせ動作を安定させるようにしている。しかし、こ
のヒステリシス特性により、位置指令値である基準電圧
rに対して上昇と下降において、図5に示すようにα
分に相当する位置だけ試料の停止位置が異なるという問
題が生じる。すなわち、試料を上昇させる場合には、V
r (1+α)でコンパレータが動作し、逆に試料を下降
させる場合には、Vr(1−α)でコンパレータが動作
して試料の移動を停止させる。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するものであ
って、試料位置の移動方向に関係なく試料停止位置を一
致させることができる分析装置の試料移動回路を提供す
ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、分
析条件に応じた基準電圧を設定しヒステリシス特性を有
するコンパレータを用いて基準電圧と試料位置に対応す
る検出電圧とを比較し試料ステージ駆動用のモータの停
止を制御する試料ステージ移動制御装置において、試料
位置に対応する基準電圧として試料ステージの移動方向
に応じてヒステリシス特性によるズレ分を調整した値を
発生する基準電圧発生手段を備え、試料ステージの移動
方向に応じて切り換えた基準電圧と検出電圧との比較に
よりモータの停止を制御するように構成したことを特徴
とするものである。
【0006】
【作用】本発明の試料ステージ移動制御装置では、試料
位置に対応する基準電圧として試料ステージの移動方向
に応じてヒステリシス特性によるズレ分を調整した値を
発生する基準電圧発生手段を備え、試料ステージの移動
方向に応じて切り換えた基準電圧と検出電圧との比較に
よりモータの停止を制御するように構成したので、試料
位置を上昇させる場合にも下降させる場合にもヒステリ
シス特性によるズレ分が調整され同じ位置に停止させる
ことができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。図1は本発明に係る試料ステージ移動制御装置
の1実施例構成を示す図、図2は基準電圧発生回路と比
較回路の構成例を示す図、図3は基準電圧と検出電圧、
動作電圧の関係を説明するための図である。
【0008】図1において、モータ制御回路1は、加速
電圧に対応する試料位置と検出電圧に対応する試料位置
に基づき上昇/下降指令を出力するものである。基準電
圧発生回路6は、モータ制御回路1の上昇/下降指令と
加速電圧設定スイッチ5の設定内容から試料ステージの
移動方向、つまり上昇/下降に応じて調整した基準電圧
を発生するものである。比較回路7は、ヒステリシス特
性を有し基準電圧発生回路6の基準電圧と試料位置検出
ボリューム8の検出電圧とを比較して試料駆動回路2を
制御するものであり、上昇/下降方向によるヒステリシ
ス特性のズレ分を基準電圧発生回路6で発生する基準電
圧により調整している。試料駆動回路2は、上昇/下降
指令にしたがってモータ3を駆動して試料ステージを移
動させ、比較回路7の一致反転出力によってモータの駆
動を停止するものである。
【0009】基準電圧発生回路6は、まず、加速電圧設
定スイッチ5の設定と上昇/下降指令に基づき、加速電
圧に対応した基準電圧Vr を発生し、図2に示すように
試料11の上昇時にはそのまま基準電圧Vr を目標指令
値とし、また、試料11の下降時にはVr (1+α)/
(1−α)の演算を行ってVr ′を目標指令値として比
較回路7に出力する。したがって、基準電圧発生回路6
には、各加速電圧に対応する基準電圧及びこの基準電圧
に(1+α)/(1−α)を乗じた値をテーブルとして
持ち、加速電圧に応じてこれらの電圧の対を読み出し、
図2に示すように上昇/下降指令により切り換えスイッ
チ13を切り換えることによって目標指令値としてVr
かVr ′のいずれかを選択し比較回路7に出力するよう
に構成することができる。勿論、各加速電圧に対応する
基準電圧のテーブルとこの基準電圧に(1+α)/(1
−α)を乗ずる演算回路を用意し、試料11の上昇時に
は演算回路をスルーにし、試料11の下降時には演算回
路による所定の演算を行った値Vr ′を選択するように
構成してもよいし、テーブルから読み出した基準電圧V
r と演算回路の演算出力Vr ′とを上昇/下降指令によ
り切り換えスイッチ13で切り換えて選択するように構
成してもよい。このようにして基準電圧をVr とVr
に切り換えることにより、試料11の停止位置は、上昇
時にも下降時にもVr (1+α)となり、移動方向に関
係なく一致させることができる。
【0010】次に、動作を説明する。加速電圧設定スイ
ッチ5が設定されると、モータ制御回路1は、試料位置
検出ボリューム8による検出電圧と加速電圧から上昇か
下降かを決め上昇/下降指令を出力する。そして、例え
ば図3に示すように検出電圧がVdAでモータ制御回路1
より上昇指令が出力された場合には、試料駆動回路2に
よりモータ3を試料11の位置が上昇する方向に駆動
し、切り換えスイッチ13により目標指令値として基準
電圧Vr を選択する。したがって、コンパレータ12に
は、基準電圧Vr と検出電圧Vd が入力されるので、検
出電圧Vd が動作電圧Vr (1+α)に達すると、コン
パレータ12が一致反転出力により、試料駆動回路2
は、モータ3を停止させる。
【0011】また、検出電圧がVdBでモータ制御回路1
により下降指令が出力された場合には、試料駆動回路3
によりモータ3を試料11の位置が下降する方向に駆動
し、切り換えスイッチ13により基準電圧Vr ′=Vr
(1+α)/(1−α)を選択する。したがって、コン
パレータ12には、基準電圧Vr ′と検出電圧Vd が入
力されるので、検出電圧Vd が動作電圧Vr (1+α)
に達すると、コンパレータ12が一致反転出力により、
試料駆動回路2は、モータ3を停止させる。
【0012】なお、本発明は、上記の実施例に限定され
るものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記
の実施例では、基準電圧Vr を試料上昇時の目標指令値
にして、これに(1+α)/(1−α)を乗じた値を試
料下降時の目標指令値にしたが、その逆であってもよ
い。また、目標指令値を試料上昇時と試料下降時で切り
換えたが、コンパレータを2個使用し、その出力を試料
上昇時と試料下降時で切り換えるように構成してもよ
い。また、本発明は、加速電圧に対応してZ方向の試料
位置を移動する電子顕微鏡の試料ステージ移動制御装置
として説明したが、他の分析装置の試料ステージ移動制
御装置においても同様に適用できることはいうまでもな
い。
【0013】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、試料位置に対応する基準電圧として試料ステ
ージの移動方向に応じてヒステリシス特性によるズレ分
を調整した値を発生し、試料ステージの移動方向に応じ
て切り換えた基準電圧と検出電圧との比較によりモータ
の停止を制御するように構成したので、試料位置を上昇
させる場合にも下降させる場合にもヒステリシス特性に
よるズレ分が調整され同じ位置に停止させることがで
き、移動方向に関係なく試料の停止位置を一致させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る試料ステージ移動制御装置の1
実施例構成を示す図である。
【図2】 基準電圧発生回路と比較回路の構成例を示す
図である。
【図3】 基準電圧と検出電圧、動作電圧の関係を説明
するための図である。
【図4】 電子顕微鏡の試料ステージ制御回路の従来例
を示す図である。
【図5】 図4に示す回路の動作電圧を説明するための
図である。
【符号の説明】
1…モータ制御回路、2…試料駆動回路、3…モータ、
5…加速電圧設定スイッチ、6…基準電圧発生回路、7
…比較回路、8…試料位置検出ボリューム

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分析条件に応じた基準電圧を設定しヒス
    テリシス特性を有するコンパレータを用いて基準電圧と
    試料位置に対応する検出電圧とを比較し試料ステージ駆
    動用のモータの停止を制御する試料ステージ移動制御装
    置において、試料位置に対応する基準電圧として試料ス
    テージの移動方向に応じてヒステリシス特性によるズレ
    分を調整した値を発生する基準電圧発生手段を備え、試
    料ステージの移動方向に応じて切り換えた基準電圧と検
    出電圧との比較によりモータの停止を制御するように構
    成したことを特徴とする試料ステージ移動制御装置。
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