JP3266737B2 - ハイス系複合ロール及びその製造方法 - Google Patents

ハイス系複合ロール及びその製造方法

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JP3266737B2
JP3266737B2 JP15757194A JP15757194A JP3266737B2 JP 3266737 B2 JP3266737 B2 JP 3266737B2 JP 15757194 A JP15757194 A JP 15757194A JP 15757194 A JP15757194 A JP 15757194A JP 3266737 B2 JP3266737 B2 JP 3266737B2
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良登 瀬戸
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博彰 片山
長 森川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハイス系鋳鉄材により
形成された外層の内面に強靱性のある鋳鋼材からなる内
層が溶着された複合ロール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、圧延使用層である外層を耐摩耗性
に優れたハイス系鋳鉄材で形成し、内層を強靱性に優れ
た鉄鋼材で形成したハイス系複合ロールが製作されてい
る。前記ハイス系鋳鉄材として、例えば下記化学組成
(wt%)を有するものが特開平4−176840号公報
に開示されている。 C :1.0 〜3.0 %、 Si:0.1 〜2.0 %、 Mn:0.1 〜2.0 %、 Cr:3.0 〜10.0%、 Mo:0.1 〜6.0 %、 W :1.5 〜10.0%、 V、Nbの一種又は二種の合計:3.0 〜10.0%、 残部実質的にFe かかるMo、W、Vを含有するハイス系鋳鉄材は、高温
での特性に優れ、かつ組織中にVCやM2C 、M6C 等の高
硬度晶出炭化物を有しているため、極めて良好な耐摩耗
性と耐肌荒性を兼備しており、複合ロールの外層材とし
て好適である。
【0003】従来、複合ロールの製造方法として、高合
金耐摩耗材からなる外層を遠心力鋳造した後、その内面
に強靱性鋳鉄材からなる内層材溶湯を鋳込み、外層の内
面に内層を溶着一体化する方法がある。かかる方法によ
り前記ハイス系複合ロールを鋳造する場合、内層が外層
内面よりも先に凝固すると外層・内層の境界部に引け巣
が発生する。このため、外層・内層の溶着性を確保する
には、内層材として外層を形成するハイス系鋳鉄材より
も融点の低いものが必要であり、通常、ダクタイル鋳鉄
や黒鉛鋼が使用されている。
【0004】一方、複合ロールの内層をより強靱な材質
で形成するには、SCM材のような機械構造用低合金鋼
で形成した内層部材を予め製作しておき、特開昭60−
180660号公報に開示されている連続鋳かけ肉盛法
により、内層の外周面に外層を連続的に鋳造したり、ハ
イス系粉末を熱間等方圧加圧(HIP)により内層の外
周面に焼結一体化して外層を形成することが行われてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、連続鋳かけ肉
盛法やHIP法を実施するには、特有の装置が必要であ
り、しかもかかる装置は高価である。このため、従来の
鋳造による複合化によって、内層の強靱な複合ロールを
製造する方策が望まれている。本発明はかかる問題に鑑
みなされたもので、ハイス系材質の外層内面に強靱性の
ある鋳鋼材からなる内層が溶着一体化されたハイス系複
合ロール及びその好適な製造方法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のハイス系材質の
外層内面に強靱性のある鋳鋼材からなる内層が溶着一体
化されたハイス系複合ロールの一つは、化学組成が重量
%で、 C : 1.0〜 1.9%、Si: 0.2〜 1.5%、 Mn: 1.5%以下、 Cr: 2.0〜 8.0%、 2Mo+W:3.0 〜14%、V: 2.0〜 8.0%、 及び残部が実質的にFeよりなるハイス系鋳鉄材を遠心
力鋳造により140mm以下の肉厚で構成された外層材
の内面に、化学組成が重量%で、 C : 0.4〜 0.8 %、Si: 1.1〜 3.0 %、 Mn: 0.2〜 1.0 %、Ni: 0.5 %以下、 Cr: 1.5%以下、 Mo: 1.0 %以下、 W : 1.0%以下、 V : 1.5 %以下、 及び残部が実質的にFeからなる内層材が遠心力鋳造に
より溶着されている構成としている(第1手段)。
【0007】また、本発明の他のハイス系複合ロールの
一つは、外層材の化学組成が重量%で、 C : 1.0〜
1.5%、 Si: 0.2〜 1.5%、 Mn: 1.5%以下、 Cr: 2.0〜 6.0%、 2Mo+W: 3.0〜 7.0%、V: 2.0〜 4.0%、 及び残部が実質的にFeよりなるハイス系鋳鉄材を遠心
力鋳造により140mm以上の肉厚で構成された外層材
の内面に、前記第1手段の内層材と同一化学組成の内層
材が遠心力鋳造により溶着されている構成としている
(第2手段)。
【0008】次に本発明の複合ロールの製造方法の一つ
として、 外層材の化学組成が重量%で、 C : 1.0〜 1.9%、Si: 0.2〜 1.5%、 Mn: 1.5%以下、 Cr: 2.0〜 8.0%、 2Mo+W:3.0 〜14%、V: 2.0〜 8.0%、 及び残部が実質的にFeよりなるハイス系鋳鉄材溶湯を
140mm以下の肉厚で遠心力鋳造し、前記、外層材の
外面が凝固した後、前記外層材との凝固点の差が90℃
以内で、かつその化学組成が重量%で、 C : 0.4〜 0.8 %、Si: 1.1〜 3.0 %、 Mn: 0.2〜 1.0 %、Ni: 0.5 %以下、 Cr: 1.5%以下、 Mo: 1.0 %以下、 W : 1.0%以下、 V : 1.5 %以下、 及び残部が実質的にFeからなる内層材溶湯を、前記鋳
造された外層材の内面温度が内層材凝固温度以上である
とき、外層材内面に前記内層材溶湯を外層材内面温度以
上として遠心力鋳造により鋳込み、外層材の内面に、内
層材を溶着形成させるものである(第3手段)。
【0009】また、本発明の他のハイス系複合ロールの
製法一つは、 外層材の化学組成が重量%で、 C : 1.0〜 1.5%、Si: 0.2〜 1.5%、 Mn: 1.5%以下、 Cr: 2.0〜 6.0%、 2Mo+W:3.0 〜7.0%、V: 2.0〜 4.0%、 及び残部が実質的にFeよりなるハイス系鋳鉄材溶湯を
140mm以上の肉厚に遠心力鋳造し、前記、外層材の
外面が凝固した後、前記第3手段の内層材と同一化学組
成の内層材溶湯を、その後前記第3手段に記載の同一特
定手段による遠心力鋳造により鋳込み、外層材の内面に
内層材を溶湯形成させるものである。(第4手段)。
【0010】上記第1手段及び第2手段によるハイス系
複合ロールによれば特定の化学組成の外層材と、特定の
化学組成を有する内層材としての、鋳鋼材を用いたた
め、外層と内層との溶着性に優れ、しかも内層における
初晶炭化物の生成が少なく、更に外層の硬化熱処理の際
に内層がベーナイト変態するのを抑制することができ、
内層の靱性劣化を防止することができる。 このさい、第
1手段の特定化学組成による外層材のハイス系鋳鉄材を
遠心力鋳造により140mm以下の肉厚で構成できる。
【0011】また、第2手段の特定化学組成による外層
材のハイス系鋳鉄材を遠心力鋳造により140mm以上
の肉厚で構成できる。次に前記第1手段、第2手段、即
ちこれら両手段によるハイス系複合ロールの製造手段と
しての第3手段、第4手段について、既に説明したが、
鋳造された外層の内面温度が内層形成用鋳鋼材の凝固温
度すなわち固相線(凝固終了温度)以上であるとき、該
鋳鋼材の鋳込温度を外層内面温度以上として鋳込むの
で、凝固した外層の内面に、外層内面の未凝固部を溶か
し込んだ鋳鋼材からなる内層を凝固させることができ
る。このため、外層・内層の境界部に引け巣が発生せ
ず、良好な溶着が得られる。
【0012】また、内層材のC含有量は0.4〜0.8
%に規定されており、内層形成用鋳鋼材は外層からのC
の混入を考慮しても、C含有量が0.8%以上になるこ
とはなく、内層形成用鋳鋼材の方が外層材に比して凝固
温度が高くなるものの、後述の高Siの含有と相まっ
て、両者の凝固温度差が90℃を越えることはなく、外
層材溶湯の相当部分が凝固した後、鋳鋼材を鋳込むこと
ができる。また、外層の高合金成分が鋳鋼材溶湯に混入
しても、C含有量が低いために初晶炭化物の生成が少な
く、黒鉛鋼やダクタイル鋳鉄を鋳込む場合のような強靱
性の大幅な劣化は生じない。
【0013】また、本発明では内層材のSi含有量は
1.1〜3.0%に規定されており、内層形成用鋳鋼材
のSi含有量もこれに近似した範囲になり、湯流れ性、
引いては溶着性が向上する。更に、高Si組成であるた
め、凝固点が低下し、外層材との凝固点温度差が小さく
なるため、鋳込み温度を低くすることができるため、外
層内面の溶解量が少なくなり、引いてはCr、Mo、
W、V元素の混入量が少なくなり、ベーナイト変態を抑
制し、パーライト変態を促進することができ、外層の高
硬度化のために焼入れ速度を大きくしても、熱処理時に
内層がベイナイト変態により硬化し難くなり、外層熱処
理時における内層の靱性劣化を防止することができる。
【0014】また、第4手段に記載した外層材を使用す
ることにより、外層肉厚が140mmを越える厚肉の場
合でも、外層中のMo、W、Vの偏析を抑制することが
でき、外層を有効に使用することができる。次に、第3
手段に用いる外層材(外層ハイス系鋳鉄材組成例(wt
%)の成分限定理由を述べる。C:1.0〜1.9% 1.0%未満ではCr、Mo、W、V等の炭化物量が少
なくなり、耐摩耗性が低下し、一方1.9%を越える
と、内層を形成するための鋳鋼材との凝固点差が過大と
なり、溶着不良が発生し易くなる。
【0015】Si:0.2〜1.5% 0.2%未満では脱酸作用及び湯流れ性が不足し、一方
1.5%を越えると焼き入れ性が低下し、また材質が脆
くなる。 Mn:1.5%以下 MnはSと結合してMnSを形成し、Sによる脆化を防
止し、また焼き入れ性及び耐摩耗性を向上させる作用を
有するが、1.5%を越えると材質が脆くなる。
【0016】Cr:2.0〜8.0% Crは基地中に固溶し、焼き入れ性を向上させると共
に、その一部がCと結合して炭化物を形成し、耐摩耗性
を向上させる。2.0%未満ではかかる作用が不足し、
一方8.0%を越えるとその作用が飽和すると共に材質
が脆くなる。 2Mo+W:3.0〜14% Mo及びWはCと結合して、M2 C型又はM6 C型の炭
化物を形成し、耐摩耗性を向上させると共にその一部は
基地中に固溶し、二次硬化に寄与する。MoはWの二倍
の効果があるため、成分範囲はMo含有量の二倍とW含
有量との和(2Mo+W)によって規定する。2Mo+
Wが3.0%未満ではかかる作用が過少であり、好まし
くは6.0%以上含有させるのがよい。一方、14%を
越えると炭化物量が多くなり、靱性が低下すると共に、
基地中に溶け込んだMoやWによって残留オーステナイ
トが安定化し、高硬度が得られ難い。
【0017】V :2.0〜8.0% VはCと結合し高硬度のMC型炭化物を形成し、耐摩耗
性を向上させる。2%未満では炭化物量が少なく、耐摩
耗性が不足する。一方、8.0%を越えると、鋳込み肉
厚を140mm以下に押さえても、偏析の防止が困難に
なる。上記合金成分の他、残部は実質的にFeで形成さ
れるが、不純物元素であるS、Pは材質を脆くするた
め、できるだけ少ないほうがよく、両者とも0.1%以
下に止めるのがよい。
【0018】上記外層組成範囲では、外層肉厚(鋳込み
時)が140mm程度までは、鋳込み温度の調整により
偏析の発生を比較的容易に防止することができるが、1
50mm以上の厚肉外層を鋳造する場合、鋳込み温度の
調整によっても偏析の発生を阻止することができないよ
うになる。この場合、第4手段に規定した外層組成であ
るC:1.5%以下、Cr:6.0%以下、2Mo+
W:7.0%以下、V:4.0%以下に止めることによ
り、200mm程度の厚肉でも偏析を生じることなく鋳
造することができるようになる。また、高合金成分の含
有量が押さえられるため、その分、内層への混入量も減
り、内層の靱性が向上する。上記第4手段の外層組成の
成分の上限限定理由は下記の通りである。
【0019】Cを1.5%を越えて含有すると、凝固温
度範囲(液相線と固相線との温度差)が広くなり、凝固
時に合金成分が偏し易くなる。一方、Cr、Mo及びW
は初晶(初期凝固部)への含有率が低く、最終凝固部に
濃縮される傾向があり、引いては偏析し易いので、偏析
防止の観点からは前記含有量以下に止めるのがよい。ま
た、Vは比重の軽いMC型炭化物と共に初晶のオーステ
ナイトとして晶出するが、4.0%を越えると、初晶
(オーステナイト及びMC型炭化物)と未凝固溶湯との
比重差が大きくなり、重力や遠心力により偏析し易くな
る。
【0020】尚、偏析の生成状態は、外層の内周面側に
高合金成分が炭化物の形態で層状に形成されるものであ
るが、かかる偏析層が生成すると、圧延使用層である外
層の有効使用層が減少することになり、また、ロール側
面でH形鋼を圧延成形するH形鋼圧延用円筒状複合ロー
ルの場合、成形面の圧延疵の原因になる。一方、第3、
第4手段において外層鋳造後に、その内面に鋳込まれる
内層の溶湯組成は、溶着後に下記組成となるように外層
からの溶け込み量を考慮して適宜設定され、例えばC含
有量は0.8%以上になることはなく、Si含有量につ
いても1.1%以下になることはない。以下、溶着後の
内層鋳鋼材の化学組成(wt%)及びその限定理由につい
て説明する。 <溶着後の内層鋳鋼材組成> C : 0.4〜 0.8%、 Si: 1.1〜 3.0%、 Mn: 0.2〜 1.0%、 Ni: 0.5%以下、 Cr: 1.5%以下、 Mo: 1.0%以下、 W : 1.0%以下、 V : 1.5%以下、 残部実質的にFe <成分限定理由> C :0.4〜0.8% Cは靱性向上のためには、その含有量が低いほどよい
が、0.4%未満では元湯の凝固点が高くなり過ぎ、外
層材凝固点との温度差が過大になり、溶着不良が発生し
やすくなる。一方、0.8%を越えると鋳造時および高
温熱処理時にネット状セメンタイトが生成するようにな
り、靱性が低下する。
【0021】Si:1.1〜3.0% Siは溶湯の凝固点を下げ、かつ湯流れ性を向上させる
と共にパーライト変態を促進させる作用を有する。1.
1%未満ではかかる作用が過少であり、好ましくは2.
0%以上含有させるのがよい。一方、3.0%を越える
と材質が脆くなる。 Mn:0.2〜1.0% MnはSと結合してMnSを形成し、Sによる脆化を防
止する作用を有するが、0.2%未満ではかかる作用が
不足し、一方1.0%を越えると材質が脆くなる。
【0022】Ni:0.5%以下 Niは基地の強化には有効であるが、焼き入れ性を増
し、パーライト変態を抑制する作用を有する。0.5%
を越えるとパーライト変態の抑制が著しくなり、ベイナ
イト変態が生じ易くなり、靱性が劣化するようになる。 Cr:1.5%以下、V:1.5%以下 Cr、Vは焼き入れ性を増し、パーライト変態を抑制す
る。1.5%を越えるとNiと同様、ベイナイト変態が
生じて、靱性が劣化するようになる。尚、Cr0.4
%、Mo0.2%程度の含有は内層材の靱性を向上させ
るが、通常それ以上の量が外層から不可避的に混入す
る。このため、溶湯成分としてこれらの元素を積極的に
含有させる必要はなく、なるべく低い方がよい。下記の
Mo、Wも同様である。
【0023】Mo:1.0%以下、W:1.0%以下 Mo、WはNi、Crと同様、焼き入れ性を増し、パー
ライト変態を抑制する。1.0%を越えるとNi、Cr
と同様、ベイナイト変態が生じて、靱性が劣化するよう
になる。上記合金成分の他、残部は実質的にFeで形成
されるが、不純物元素であるS、Pは外層と同様、0.
1%以下に止めておくのがよい。次に本発明の製造方法
の具体的実施例として第3手段に基づき説明する。
【0024】なお、第4手段の具体的実施例及び比較例
は省略した。 <実施例> 内径φ640×長さ1300mmの横型遠心力鋳造用金型
に下記表1に記載したハイス系鋳鉄材を遠心力鋳造し
た。金型回転数は、GNo. で140、外層鋳込み温度は
1435℃、鋳込厚さは70mmとした。外層の内面温度
が1400℃になったとき、その内面に、同表に記載し
た内層形成用鋳鋼材溶湯を鋳込厚さで115mm分、外層
内面に鋳込んだ。鋳込温度は1560℃とした。内層が
凝固した後、金型の回転を止め、型ばらしして、寸法加
工、熱処理を施し、外径φ600×内径φ340×長さ
215mmの複数個の円筒状複合ロールを得た。
【0025】
【表1】
【0026】該複合ロールを超音波探傷試験に供したと
ころ、外層と内層とは完全に溶着していることが確認さ
れた。また、外層厚さは鋳込み厚さより25〜35mm薄
くなっていた。溶着後の内層組成の分析結果を表1に併
せて示す。次に、該複合ロールを1100℃で2hr保
持後、強制空冷により焼入れし、その後550℃で10
hr保持するの焼戻し熱処理を3回繰り返した。かかる
熱処理を施した後、内層から試験片を採取し、引張試験
を行った。その結果、引張強度680MPa、伸び1.
3%で、強靱性に優れることが確かめられた。 <比較例>次に、前記実施例の比較例を示す。
【0027】表2に記載した外層用ハイス系鋳鉄材及び
内層用鋳鋼材を用いて、実施例とほぼ同じ条件により、
円筒状複合ロールを横型遠心力鋳造した。
【0028】
【表2】
【0029】該複合ロールの横断面を肉眼観察したとこ
ろ、外層と内層との境界部に溶着不良が認められた。ま
た、溶着後の内層組成の分析結果を表2に併せて示す。
次に、該複合ロールを実施例と同条件により熱処理を施
した後、内層から試験片を採取し、引張試験を行った。
その結果、引張強度は720MPaと良好であったが、
伸びは0.3%で、靱性の劣化が著しい。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、内層材として特定のハ
イス系鋳鋼材を用いると共に、特定の外層材を用いるこ
とにより、外層と内層との溶着性に優れ、しかも内層に
おける初晶炭化物の生成が少なく、更に外層の硬化熱処
理の際に内層がベーナイト変態するのを抑制することが
でき、内層の靱性劣化を防止することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B22D 19/16 B22D 19/16 F C22C 37/10 C22C 37/10 38/46 38/46 (72)発明者 片山 博彰 兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社 クボタ 尼崎工場内 (72)発明者 森川 長 兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社 クボタ 尼崎工場内 (72)発明者 辻本 豊 兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社 クボタ 尼崎工場内 (56)参考文献 特開 平7−207411(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/00 302 B21B 27/00 B22D 13/02 502 B22D 19/16 C22C 37/10 C22C 38/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外層材の化学組成が重量%で、 C : 1.0〜 1.9%、Si: 0.2〜 1.5%、 Mn: 1.5%以下、 Cr: 2.0〜 8.0%、 2Mo+W:3.0 〜14%、V: 2.0〜 8.0%、 残部実質的にFeよりなるハイス系鋳鉄材を遠心力鋳造
    により140mm以下の肉厚で構成された外層材の内面
    に、化学組成が重量%で、 C : 0.4〜 0.8 %、Si: 1.1〜 3.0 %、 Mn: 0.2〜 1.0 %、Ni: 0.5 %以下、 Cr: 1.5%以下、 Mo: 1.0 %以下、 W : 1.0%以下、 V : 1.5 %以下、 及び残部が実質的にFeからなる内層材が遠心力鋳造に
    より溶着されていることを特徴とするハイス系複合ロー
    ル。
  2. 【請求項2】 外層材の化学組成が重量%で、 C : 1.0〜 1.5%、 Si: 0.2〜 1.5%、 Mn: 1.5%以下、 Cr: 2.0〜 6.0%、 2Mo+W: 3.0〜 7.0%、V: 2.0〜 4.0%、 及び残部が実質的にFeよりなるハイス系鋳鉄材を遠心
    力鋳造により140mm以上の肉厚で構成された外層材
    の内面に化学組成が重量%で、 C : 0.4〜 0.8 %、Si: 1.1〜 3.0 %、 Mn: 0.2〜 1.0 %、Ni: 0.5 %以下、 Cr: 1.5%以下、 Mo: 1.0 %以下、 W : 1.0%以下、 V : 1.5 %以下、 及び残部が実質的にFeからなる内層材が遠心力鋳造に
    より溶着されていることを特徴とするハイス系複合ロー
    ル。
  3. 【請求項3】 外層材の化学組成が重量%で、 C : 1.0〜 1.9%、Si: 0.2〜 1.5%、 Mn: 1.5%以下、 Cr: 2.0〜 8.0%、 2Mo+W:3.0 〜14%、V: 2.0〜 8.0%、 及び残部が実質的にFeよりなるハイス系鋳鉄材溶湯を
    140mm以下の肉厚で遠心力鋳造し、前記、外層材の
    外面が凝固した後、前記外層材との凝固点の差が90℃
    以内で、かつその化学組成が重量%で、 C : 0.4〜 0.8 %、Si: 1.1〜 3.0 %、 Mn: 0.2〜 1.0 %、Ni: 0.5 %以下、 Cr: 1.5%以下、 Mo: 1.0 %以下、 W : 1.0%以下、 V : 1.5 %以下、 及び残部が実質的にFeからなる内層材溶湯を、前記鋳
    造された外層材の内面温度が内層材凝固温度以上である
    とき、外層材内面に前記内層材溶湯を外層材内面温度以
    上として遠心力鋳造により鋳込み、外層材の内面に、内
    層材を溶着形成することを特徴とするハイス系複合ロー
    ルの製造方法。
  4. 【請求項4】 外層材の化学組成が重量%で、 C : 1.0〜 1.5%、Si: 0.2〜 1.5%、 Mn: 1.5%以下、 Cr: 2.0〜 6.0%、Mo+W:3.0 〜7.0%、V: 2.0〜 4.0%、 及び残部が実質的にFeよりなるハイス系鋳鉄材溶湯を
    140mm以上の肉厚に遠心力鋳造し、前記、外層材の
    外面が凝固した後、前記外層材との凝固点の差が90℃
    以内で、かつその化学組成が重量%で、 C : 0.4〜 0.8 %、Si: 1.1〜 3.0 %、 Mn: 0.2〜 1.0 %、Ni: 0.5 %以下、 Cr: 1.5%以下、 Mo: 1.0 %以下、 W : 1.0%以下、 V : 1.5 %以下、 及び残部が実質的にFeからなる内層材溶湯を、前記鋳
    造された外層材の内面温度が内層材凝固温度以上である
    とき、外層材内面に前記内層材溶湯を外層材内面温度以
    上として遠心力鋳造により鋳込み、外層材の内面に、内
    層材を溶着形成することを特徴とするハイス系複合ロー
    ルの製造方法。
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