JP3265939B2 - 複合超電導導体の製造方法 - Google Patents

複合超電導導体の製造方法

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雅宏 清藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複合超電導導体の製
造方法に関し、特に、超電導導体及び安定化材を包囲す
る機械的強度部材を強固に接合することによって、機械
的強度を向上させた複合超電導導体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】核融合装置やエネルギー貯蔵装置に用いら
れる高磁界大容量マグネットは、一般に超電導導体を用
いて構成される。この超電導導体としては、導体を液体
ヘリウム等の冷媒の中に浸して冷却する浸漬冷却型導体
や、導体内に冷媒通路を有するホロー型と称する超電導
導体等が多数提案されている。
【0003】大容量超電導導体はマグネットとして使用
する場合、強い電磁力が加わることから、超電導導体は
それ自身がその電磁力に耐えうる強度を持つ必要があ
り、機械的強度を付与する目的で機械的強度部材が使用
される。一方、超電導が破れたときの安全性を考慮して
大量の高純度銅、アルミニウム等の電気抵抗の小さい安
定化材を一体複合化して使用する。即ち、超電導導体は
超電導材と安定化材及び機械的強度部材を一体化するこ
とにより構成されている。
【0004】機械的強度部材には単に強度のみを分担さ
せるためにステンレス鋼やチタン等の材料が使用される
こともあるが、通常、安定化材を兼ねて1/2硬度の銅
が多用される。この機械的強度部材は超電導材と安定化
材を取り囲むように配置され、更にそれら3つの部材同
士を機械的、電気的に密着させるために金属性の接着材
で接着充填される。
【0005】図4は、従来の超電導導体の断面図を示
し、無酸素銅中に極低温において超電導状態になる超電
導材料によって構成される多数のフィラメントを埋め込
んで構成されている極細多芯超電導線2と、安定化材3
とが断面凹状の機械的強度部材(以下、強度部材と称す
る。)1の内部に充填された半田等の金属性接着材4に
よって一体化されている。強度部材1は蓋状に形成され
ている強度部材5と金属性接着材4によって接着、封止
されており、極細多芯超電導線2及び安定化材3を補強
している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の複合超
電導導体の製造方法によると、強度部材同士が金属性接
着材による接着のみで固定されているため、マグネット
巻線等の曲げ、捩じり加工、又はマグネット励磁時の電
磁力に対して機械的強度が不足するという問題がある。
従って、本発明の目的は、強度部材同士の固定強度に優
れ、高い機械的強度を有する複合超電導導体の製造方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は強度部材同士の
固定強度に優れ、高い機械的強度を付与するため、超電
導材及び安定化材を開口部が蓋材によって閉じられる断
面が凹型形状を有する前記函体内に収容して金属性接着
によって予備一体化し、その予備一体化物の前記開口
部側表面に付着した金属性接着材を除去し、予め用意さ
れた片面の両側縁部を除く部分に金属性接着材が施され
た蓋材と前記予備一体化物とを前記蓋材の金属性接着材
が施された面を前記予備一体化物の内側に向けて組み合
せ、しかる後、前記函体と前記蓋体との封止部を表面側
から溶接する複合超電導導体の製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の複合超電導導体の
製造方法を図面を基に詳細に説明する。従来技術と同一
の構成および機能を有する部分については同一の符号お
よび引用数字を付しているので、重複する説明を省略す
る。
【0009】図1は、本発明の一形態例である複合超電
導導体の断面図を示し、凹型形状を有する強度部材1及
び5の内部には、アルミニウム、銅、或いは銅合金で被
覆されたアルミニウムで構成される安定化材3とNb−
Tiで構成される多数のフィラメントを無酸素銅中に埋
め込んだ超電導線6とを有し、これらの間隙に充填され
た金属性接着材4によって複合一体化されている。
【0010】超電導線6のNb−Tiフィラメントは熱
によって超電導特性が劣化し易いので、安定化材3、強
度部材1及び5を電気的、熱的、金属的に密着させるに
あたって金属性接着材4には低融点で接合可能な半田等
が使用される。また、半田の代わりに半田濡れ性の良い
銀等であっても良い。
【0011】強度部材1及び5は、内部に安定化材3及
び超電導線6を収容した後、蓋状の強度部材5が位置す
る強度部材1の外周に塑性加工を施してかしめることに
より封止されており、封止後に電子ビーム溶接によって
設けられた接合部7によって強固に接合されている。
【0012】接合部7の溶接方法には電子ビーム溶接に
限らず、強度部材が溶接可能であればレーザービーム溶
接、TIG溶接等であっても良く、溶接時にフィラー等
を使用することもできる。但し、溶接に時間を要する方
法では溶接時に半田が溶融して接合強度の低下を招く恐
れがあり、溶接入力の集中度が高く短時間で溶接が可能
な電子ビーム溶接、或いはレーザービーム溶接が好まし
い。
【0013】上記した構成の複合超電導導体の製造工程
を、図2を参照しつつ説明する。図2(a) は、強度部材
1に超電導線6と、安定化材3を収容し、これらの間隙
を金属性接着材4によって充填して予備的に一体化した
状態を示す。強度部材5は台形状の断面形状を有し、安
定化材3と接触する底面側の両側縁部を除く部分にはめ
っきにより金属性接着材8が設けられている。
【0014】次に、強度部材1及び5の接合時における
溶接不良を防ぐため、図2(b) に示すように、予備一体
化されたものの強度部材1の開口部側表面に付着した金
属性接着材4を除去する。
【0015】余分な金属性接着材4を除去した後、図2
(c) に示すように強度部材1に強度部材5を嵌め合わせ
た後、図2(d) に示すように強度部材5が位置する強度
部材1の外周を塑性加工する。この塑性加工によって強
度部材1がかしめられて強度部材5と機械的に一体化さ
れる。
【0016】続いて、強度部材1と5の嵌合部を電子ビ
ーム溶接することによって一体化する。この溶接にあた
り、前工程で余分な金属性接着材4を除去してあるので
溶接部に余分な半田が溶け込むことがなく、健全な溶接
部を得ることができる。
【0017】図3は、図2において説明した複合超電導
導体の製造方法の変形例によって製造された複合超電導
導体の断面図を示す。図3(a) に示すように、強度部材
1と嵌合される長方形状の断面を有する強度部材9には
安定化材3と接触する底面側の所定の位置にめっきによ
り金属性接着材8が設けられている。以下、図2におい
て説明した複合超電導導体と同様の構成及び機能を有す
る部分については重複する記述を省略し、その製造方法
について説明する。
【0018】まず、金属性接着材4によって予備的に一
体化された超電導線6と安定化材3を収容する強度部材
1から、強度部材9と当接する部分に付着した余分な金
属性接着材4が除去される。
【0019】余分な金属性接着材4を除去した後、図3
(b) に示すように強度部材1に強度部材9を挿入し、強
度部材1と9との間の間隙を電子ビーム溶接によって溶
接する。この場合においても強度部材の間に余分な金属
性接着材を介在させないことが要求される。
【0020】強度部材1と9の溶接後、製造された複合
超電導導体を金属性接着材4及び8が溶融する温度に加
熱する。この加熱によって超電導線6、安定化材3、強
度部材1及び9は熱的、電気的に更に一体化が促進され
る。
【0021】上記したように、強度部材で構成される凹
型形状の函体内に超電導線と安定化材を金属性接着材で
予備一体化して収容し、余分の金属性接着材を除去した
後に所定の位置に金属性接着材を有する蓋材を組み合わ
せて機械的に一体化することにより、超電導線と安定化
材が強度部材によって被覆されるとともに金属性接着剤
によって電気的に一体化される。更に、函体と蓋材は機
械的に一体化された後、溶接によって接合されることに
より接合強度が向上する。
【0022】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の複合超電導
導体の製造方法によると、超電導材及び安定化材を開口
部が蓋材によって閉じられる断面が凹型形状を有する前
記函体内に収容して金属性接着材によって予備一体化
し、その予備一体化物の前記開口部側表面に付着した
属性接着材を除去し、予め用意された片面の両側縁部を
除く部分に金属性接着材が施された蓋材と前記予備一体
化物とを前記蓋材の金属性接着材が施された面を前記予
備一体化物の内側に向けて組み合せ、しかる後、前記函
体と前記蓋体との封止部を表面側から溶接して一体化し
たため、機械的強度部材同士の固定強度に優れ、高い機
械的強度を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合超電導導体を示す断面図である。
【図2】本発明の複合超電導導体の製造工程を示す説明
図である。
【図3】本発明の複合超電導導体の製造工程の変形例を
示す説明図である。
【図4】従来の複合超電導導体を示す断面図である。
【符号の説明】
1,5,9 強度部材 2 極細多芯超電導線 3 安定化材 4,8 金属性接着材 6 超電導線 7 接合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清藤 雅宏 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電 線株式会社 土浦工場内 (72)発明者 栗田 雅春 茨城県土浦市木田余町3550番地 日立電 線株式会社 土浦工場内 (56)参考文献 特開 平6−162835(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 12/00 - 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導材及び安定化材を常電導材料で構
    成される強度部材の函体内に収容し、金属性接着材付け
    及び溶接により一体化して形成される超電導導体の製造
    方法において、 前記超電導材及び前記安定化材を開口部が蓋材によって
    閉じられる断面が凹型形状を有する前記函体内に収容し
    て金属性接着材によって予備一体化し、その予備一体化物の前記開口部側表面に付着した金属性
    接着材 を除去し、予め用意された片面の両側縁部を除く部分に金属性接着
    材が施された蓋材と前記予備一体化物とを前記蓋材の金
    属性接着材が施された面を前記予備一体化物の内側に向
    けて組み合せ、 しかる後、 前記函体と前記蓋体との封止部を表面側から
    溶接することを特徴とする複合超電導導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記函体と前記蓋材はかしめによって封
    される請求項第1項記載の複合超電導導体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 溶接後、製造された超電導導体を前記金
    属性接着材が溶融する温度に加熱する請求項第1項又は
    請求項第2項記載の複合超電導導体の製造方法。
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JP4936525B2 (ja) * 2006-01-16 2012-05-23 大学共同利用機関法人自然科学研究機構 複合超電導体
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