JP3265608B2 - 架橋ポリエチレン管 - Google Patents
架橋ポリエチレン管Info
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Description
し、更に詳しくは、耐塩素水性が優れている架橋ポリエ
チレン管に関する。
低密度ポリエチレン管は、柔軟性や耐寒性が優れ軽量で
もあるということから、鉛管や鉄管に代わる水道管とし
て広く普及しはじめている。しかしながら、ポリエチレ
ン製の水道管の場合、長期に亘って水道水を流している
と、管の内面に気泡が発生したり、または管の内面が薄
皮をはいだように層状に剥離することがある。極端な場
合は、この剥離物でバルブなどが目詰まりを起こすこと
がある。
に関しては種々の解明研究がなされているが、その主た
る要因は、水道水に殺菌剤として含まれている塩素成分
にあることが判明している。また、従来のポリエチレン
製の水道管には、それに耐候性を付与するために一般に
カーボンブラックが配合されているが、このカーボンブ
ラックが塩素によるポリエチレン管の劣化を促進してい
るということも知られている。
管の劣化が進むと、ポリエチレン管の機械的強度が低下
する。そして、水道管の場合は管内に内圧が加わってい
るので、機械的強度の低下により、その水道管が破壊す
ることも起こり得るようになる。塩素によるポリエチレ
ン管の劣化メカニズムに関しては、例えば、第39回全
国水道協会発表会(昭和63年5月)において、以下の
ような理論づけが行われている。
素がHClOの状態でポリエチレン管の内面から管肉部
に滲透し、配合されているカーボンブラックと接触して
遊離状態の酸素〔O〕とHClを生成する。この遊離酸
素〔O〕は、その強い酸化力によって、ポリエチレン管
の水道水との接触界面でポリエチレンの架橋反応を引き
起こす。同時に、発生したHClによって接触界面にお
ける水道水のpHは下がり、そのため、ポリエチレンの
脆化も進行する。換言すれば、水道水との接触界面にお
けるポリエチレン管の内面表層は架橋状態になっている
が、その表層より下の管肉部は脆化状態になっているた
め、この架橋状態にある表層と脆化状態にある管肉部の
間にHCl水溶液が蓄積してそこに水泡が発生するとい
うメカニズムである。
に生起している上記問題を解決するために、各種の改良
技術が提案されている。例えば、実公昭48−2880
9号公報、特公昭56−2095号公報、実公昭59−
36423号公報、特公昭62−5185号公報、特公
昭59−31929号公報、特公昭62−28815号
公報、特公昭63−29701号公報などには、ポリエ
チレン管の樹脂組成を変化させて耐塩素水性を高めるこ
とが提案されている。
公昭63−42157号公報などにおいては、ポリエチ
レンに無機フィラーを配合することが提案されている。
更に、特公昭60−1512号公報、特公昭63−42
932号公報、特公昭64−415号公報、特公昭64
−416号公報、特公昭64−417号公報などでは、
ポリエチレンに酸化防止剤を配合して上記メカニズムの
発生を抑制して耐塩素水性を高めることが提案されてい
る。
行技術においては、いずれも、管内に常温の水道水を流
す場合を対象にしている。しかしながら、給湯システム
のように管内に温水が流れる場合には、温水中の塩素の
反応性が高まっていて、塩素によるポリエチレン管の劣
化は常温の水道水のときに比べて促進されることにな
る。したがって、そのポリエチレン管が常温下における
耐塩素水性が優れていたとしても、それは必ずしも塩素
を含む温水に対しても有効であるとは限らない。
水道水に対してはもとよりのこと、給湯システムのよう
に温水に対しても、管内面における水泡発生や層状剥離
を引き起こすことがなく、そのため、塩素劣化による機
械的強度の低下に基づく破壊も起こりにくい架橋ポリエ
チレン管の提供を目的とする。
は、塩素劣化させたポリエチレン管の内面を走査電顕で
詳細に観察してみた。管の内面には微小クラックの発生
が認められた。そして、この微小クラックの発生状態と
ポリエチレン管の備える各特性との関係を調べたとこ
ろ、ポリエチレン管の線熱膨張係数と微小クラックの発
生方向との間には相関があるとの事実を見出した。
円周方向の線熱膨張係数よりも大きいポリエチレン管に
おいては、微小クラックは円周方向に入る傾向を示し、
また、管軸方向と円周方向の線熱膨張係数が略等しいポ
リエチレン管の場合は、微小クラックは管軸方向に発生
する傾向を示すことである。一方、前記した微小クラッ
クが発達していくと、当然、ポリエチレン管の機械的強
度は低下していく。そして、ある内圧が加わったとき
に、そのポリエチレン管の破壊が起こる。
管軸方向の応力(σz )と円周方向の応力(σt )は、
それぞれ、次式で与えられる:
外径を表し、p1は内圧、p2は外圧を表し、νはポアソ
ン比を表す) 上記の各式を用いて、例えば、ポアソン比を0.5、p 2 =
0とし、外径50mm、内径35mmのポリエチレン管のσ
z,σtをそれぞれ計算すると、σt=3.1×p1,σz=1.
0×p1となる。
周方向には管軸方向に対して約3倍の応力が負荷してい
ることになる。上記した計算結果を基にして再び前記し
た微小クラックの発生状態の問題に戻ると、塩素劣化に
より管軸方向に微小クラックが発生しているポリエチレ
ン管は、そうでないものに比べて、管に内圧が加わった
ときに管軸方向に割れ発生が起こりやすいということが
理解できる。
前記した観察結果から明らかなように、ポリエチレン管
における管軸方向と円周方向との線熱膨張係数の大小関
係で規定されることからすると、管軸方向の線熱膨張係
数の方が円周方向の線熱膨張係数よりも大きくなってい
るポリエチレン管は耐塩素水性に優れていることにな
る。
なされたものである。すなわち、本発明の架橋ポリエチ
レン管は、管軸方向の線熱膨張係数の方が円周方向の線
熱膨張係数に対し1.2倍以上の値になっていることを特
徴とする。管軸方向の線熱膨張係数が円周方向のそれに
対し1.5倍以上になっている架橋ポリエチレン管は、一
層、耐塩素水性が向上するので好ましい。
脂であるポリエチレンとシラン化合物とラジカル発生剤
とシラノール縮合触媒とを必須成分とする樹脂組成物を
押出成形し、この過程でポリエチレンにシラン化合物を
ラジカル重合させ、ついで得られた成形体に温水処理を
施すことにより、ポリエチレンにラジカル重合している
シラン化合物を架橋させて製造される。
ラノール縮合触媒を配合することなく、例えばポリエチ
レンと有機過酸化物とを配合し、その組成物にエンゲル
架橋法を適して架橋ポリエチレン管にしてもよい。前者
の方法の場合、用いるシラン化合物としては、例えば、
ビニルメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,ビ
ニルメチルジメトキシシラン,ビニルトリス(β−メト
キシエトキシ)シランなどをあげることができる。そし
て、ポリエチレンへの配合量は、ポリエチレン100重
量部に対し、0.1〜50重量部であることが好ましく、
とくに0.5〜10重量部であることが好ましい。
えば、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,
5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3
−ジ(t−ブチルペルオキシジイソプロピル)ベンゼ
ン、t−ブチルペルオキシクメン、4,4’−ジ(t−
ブチルペルオキシ)バレリック酸n−ブチルエステル、
1,1−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシドの
ような有機過酸化物;アゾビスイソビチロニトリル,ジ
メチルイソブチレートのようなアゾ化合物;などをあげ
ることができる。
量部に対し0.01〜1.5重量部であることが好ましく、
とくに、0.05〜0.2重量部であることが好ましい。更
に、用いるシラノール縮合触媒としては、例えば、ジブ
チルすずジラウレート,酢酸第一すず,オクタン酸第一
すず,ナフテン酸鉛,カプリン酸亜鉛,2−エチルヘキ
サン鉄,ナフテン酸コバルトのようなカルボン酸塩;チ
タン酸テトラブチルエステル,チタン酸テトラノニルエ
ステル,ビス(アセチルアセトニトリル)ジイソプロピ
ルチタネートのようなチタン酸エステルなどをあげるこ
とができる。これらの配合量は、ポリエチレン100重
量部に対し0.005〜5.0重量部であることが好まし
く、とくに、0.01〜0.5重量部であることが好まし
い。
更に、公知の耐熱安定剤,耐候安定剤,滑剤,酸化防止
剤などが適量配合されていてもよい。本発明の架橋ポリ
エチレン管は、上記した各成分の所定量の混合物に常法
の押出成形を施し、得られた成形体に架橋処理を施すこ
とによって製造することができる。
ら、多板式サイジング,すべりサイジング,内面サイジ
ング,または加圧式サイジングなどの方法が採用されて
いるが、通常は、真空成形水槽を用いた方法が多く適用
されている。この場合、ポリエチレン管の線熱膨張係数
の異方性は、用いるポリエチレンの密度や分子量、更に
は分子量分布や材料組成、および押出条件や成形条件な
どの因子によって変動するが、これら因子のうち、とく
に成形条件は重要な律速因子である。
合、押出ダイから引き抜かれたパリソンは、その後、管
軸方向と円周方向に引き伸ばされながら所望径の管に成
形されていくが、このとき、用いるポリエチレンの密度
や分子量、成形温度などの因子が同じである場合には、
管軸方向への引き伸ばされる割合と円周方向に引き伸ば
される割合を変化させることによって、それぞれの方向
の線熱膨張係数を管理することができる。一般に、管軸
方向に引き伸ばされるとそのポリエチレン管の管軸方向
の線熱膨張係数は小さくなり、また、円周方向に引き伸
ばされるとそのポリエチレン管の円周方向の線熱膨張係
数は小さくなるという傾向を示す。
って変動するものであり、そのため、実際には、目的と
する架橋ポリエチレン管の関係で各種の成形条件等を適
宜に選定することが必要になる。このようにして得られ
た成形体は、ベース樹脂であるポリエチレンにシラン化
合物がグラフト重合している。
水処理を施すことにより、配合されているシラノール縮
合触媒の働きでグラフト重合しているシラン化合物を架
橋して目的とする架橋ポリエチレン管を得る。
状低密度ポリエチレン100重量部、ビニルトリメトキ
シシラン2重量部、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシ
ジイソプロピル)ベンゼン0.06重量部およびジブチル
すずジラウレート0.05重量部を単軸押出機に供給し、
内径12.3mm、マンドレル外径10.0mmのダイスと内径
10.0mmの成形ダイスを用い、温度200℃で外径10.
0mm、内径7.0mmのポリエチレン管を押出成形した。
水に3日間浸漬することにより架橋処理を施して架橋ポ
リエチレン管とした。この架橋ポリエチレン管につき、
セイコー電子工業(株)製の測定装置TMA100を用
い、昇温速度5℃/minで昇温し、50〜100℃におけ
る平均線熱膨張係数を管軸方向と円周方向のそれぞれに
ついて測定した。
濃度が3ppm で温度が90℃の塩素含有熱水を1000
0時間流して、内面の塩素劣化試験を行なった。試験後
の各ポリエチレン管の内面を走査電顕(日本電子(株)
製のJSM820)で観察し、クラックの発生状態と発
生方向を調べた。また、同時に、層状剥離の有無も観察
した。以上の結果を表1に示した。
デックス8g/10分の高密度ポリエチレンであったこ
と、1,3−ジ(t−プチルペルオキシジイソプロピ
ル)ベンゼンの配合量が0.08重量部であったことを除
いては、実施例1と同様の条件で架橋ポリエチレン管を
製造した。この架橋ポリエチレン管につき、実施例1と
同様にして線熱膨張係数の測定と内面の塩素劣化試験を
行ない、層状剥離の有無も観察した。その結果を表1に
示した。
デックス4g/10分の高密度ポリエチレンであったこと
を除いては、実施例1と同様の条件で架橋ポリエチレン
管を製造した。この架橋ポリエチレン管につき、実施例
1と同様にして線熱膨張係数の測定と内面の塩素劣化試
験を行ない、同時に層状剥離の有無も観察した。その結
果を表1に示した。
密度ポリエチレン100重量部にジ−t−ブチルペルオ
キシド(液状)0.7重量部を配合しエンゲル架橋法で外
径13.0mm、内径10.0mmの架橋ポリエチレン管を製造
した。成形に用いたダイスは、内径13.8mm、マンドレ
ル外径10.6mmのものと、内径14.3mmの成形ダイスで
あった。この架橋ポリエチレン管につき、実施例1と同
様にして線熱膨張係数の測定と内面の塩素劣化試験を行
ない、同時に層状剥離の有無も観察した。その結果を表
1に示した。
状低密度ポリエチレン100重量部、ビニルトリメトキ
シシラン2重量部、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシ
ジイソプロピル)ベンゼン0.06重量部およびジブチル
すずジラウレート0.05重量部を単軸押出機に供給し、
内径13.5mm、マンドレル外径11.5mmのダイスを用
い、温度100℃で外径10.0mm、内径7.0mmのポリエ
チレン管を押出成形した。この架橋ポリエチレン管につ
き、実施例1と同様にして線熱膨張係数の測定と内面の
塩素劣化試験を行ない、同時に層状剥離の有無も観察し
た。その結果を表1に示した。
デックス8g/10分の高密度ポリエチレンであったこ
と、1,3−ジ(t−プチルペルオキシジイソプロピ
ル)ベンゼンの配合量が0.08重量部であったことを除
いては、比較例1と同様の条件で架橋ポリエチレン管を
製造した。この架橋ポリエチレン管につき、実施例1と
同様にして線熱膨張係数の測定と内面の塩素劣化試験を
行ない、層状剥離の有無も観察した。その結果を表1に
示した。
架橋ポリエチレン管は、管内に塩素含有の温水を長期間
流した場合であっても、管の内面には水泡発生や層状剥
離もほとんど起こらず、また管軸方向に走るクラックの
発生は認められない。このことは、管軸方向の線熱膨張
係数が円周方向のそれの1.2倍以上になっていることが
もたらす効果である。
チレン管は、給湯システムの配管材としてその工業的価
値は大である。
Claims (1)
- 【請求項1】 管軸方向の線熱膨張係数が円周方向の線
熱膨張係数に対し1.2〜10.3倍の値になっていることを
特徴とする架橋ポリエチレン管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02801092A JP3265608B2 (ja) | 1992-02-14 | 1992-02-14 | 架橋ポリエチレン管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02801092A JP3265608B2 (ja) | 1992-02-14 | 1992-02-14 | 架橋ポリエチレン管 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05223187A JPH05223187A (ja) | 1993-08-31 |
JP3265608B2 true JP3265608B2 (ja) | 2002-03-11 |
Family
ID=12236820
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02801092A Expired - Lifetime JP3265608B2 (ja) | 1992-02-14 | 1992-02-14 | 架橋ポリエチレン管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3265608B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20140035515A (ko) | 2011-08-11 | 2014-03-21 | 닛뽕소다 가부시키가이샤 | 유기 무기 복합체 및 그 형성용 조성물 |
-
1992
- 1992-02-14 JP JP02801092A patent/JP3265608B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20140035515A (ko) | 2011-08-11 | 2014-03-21 | 닛뽕소다 가부시키가이샤 | 유기 무기 복합체 및 그 형성용 조성물 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05223187A (ja) | 1993-08-31 |
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