JP3265591B2 - 溶接部靱性に優れた自動車用高強度電縫鋼管 - Google Patents
溶接部靱性に優れた自動車用高強度電縫鋼管Info
- Publication number
- JP3265591B2 JP3265591B2 JP22645591A JP22645591A JP3265591B2 JP 3265591 B2 JP3265591 B2 JP 3265591B2 JP 22645591 A JP22645591 A JP 22645591A JP 22645591 A JP22645591 A JP 22645591A JP 3265591 B2 JP3265591 B2 JP 3265591B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- toughness
- steel pipe
- strength
- erw
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
20kgf/mm2 の高強度と高い疲労特性を備えると共に溶
接部靱性にも優れ、プロペラシャフトやインパクトバ−
等に適用して優れた性能を発揮する自動車用高強度電縫
鋼管に関するものである。
用構造部材に対する薄肉・小型化の要求は一段と強くな
っており、そのためプロペラシャフト,インパクトバ−
等といった自動車用管状部材にも更なる高強度化が望ま
れるようになってきている。ただ、自動車用構造部材の
使用状態を考慮した場合、上記要求に応えるには単に静
的な強度を向上させるだけでは不十分であり、荷重の繰
り返し負荷に対する耐久性(疲労特性)をも同時に向上
させることが必要となる。
度電縫鋼管を適用する際には a) 自動車用構造部材としての電縫鋼管は実車に装着さ
れる時に他の部材との溶接がなされるが、その際、継手
溶接部において軟化が生じ、高強度電縫鋼管の適用によ
る引張強度の増加に対応した疲労特性の向上が得られな
い, b) また、鋼管製造時の電縫溶接に目を向けると、高強
度鋼ほど電縫溶接部やその熱影響部に靱性低下が生じや
すく、電縫溶接部近傍が疲労亀裂の発生・伝播の経路と
なって疲労寿命の低下を招く傾向がある, 等の問題を取り除く必要があった。
は、例えば特開平2−197525号公報にも記載され
ているように、鋼材の成分としてNb,Cr,Moを複合添加
すると共に熱延条件を工夫して継手溶接熱影響部の硬度
低下を抑制する技術が知られている。しかし、このよう
な合金元素を含む鋼材では電縫溶接部及びその熱影響部
の靱性低下を抑えることができず、疲労寿命の低下は避
けられなかった。
接部や継手溶接部においても共に十分な疲労特性が備わ
った信頼性の高い自動車用高強度電縫鋼管を実現するこ
とであった。
達成すべく数多くの実験を繰り返しながら研究を重ねた
結果、「電縫鋼管素材鋼の成分として特にNb,Mo,Ti及
びBの複合添加を行うと共にそれらの含有割合を適正に
調整した場合には、 Nb,Moによる継手溶接部の硬度低下
抑制作用とTi,Bによる電縫溶接部靱性の改善作用とが
極めて好ましい状態で相乗され、 従来に見られない非常
に優れた溶接部靱性を備えた信頼性の高い高強度電縫鋼
管が実現される」との知見を得ることができた。
成されたものであり、「電縫鋼管の成分組成を C:0.06〜0.30%(以降、 成分割合を表す%は重量%とする), Si: 1.0%以下, Mn: 2.0%以下, Mo:0.05〜 0.8%, Nb: 0.005〜0.10%, Ti: 0.005〜0.04%, sol.Al: 0.005〜0.05%, B:0.0003〜0.0012%, N: 0.008%以下 を含むか、 或いは更に Cr: 1.5%以下, Ni: 3.0%以下, Cu: 1.0%以下, V:0.10%以下 のうちの1種以上をも含有し、残部がFe及び不可避的不
純物なる成分組成に構成することにより、 自動車用とし
て十分に満足できる高い強度と優れた溶接部靱性を確保
した点」に大きな特徴を有している。
は、適量のNb,Mo添加によって発揮されるところの「非
常に微細で熱的に安定した組織が実現されて継手溶接部
の硬度低下を効果的に抑制する作用」と、これと共に微
量のTi,Bを添加することによって発揮される「継手溶
接部の疲労特性を更に向上させると同時に、 電縫溶接部
の靱性を著しく改善して該部位の疲労特性を格段に向上
させる作用」とを巧みに相乗させてなるものであるが、
以下、本発明において電縫鋼管の成分組成を前記の如く
に限定した理由を説明する。
が、その含有量が0.06%未満では70キロ級以上の引張
強度を得ることができない。一方、C含有量が0.30%を
超えると継手溶接部と電縫溶接部の靱性が低下する。従
って、C含有量は0.06〜0.30%と定めた。
も必要であるが、 1.0%を超えて含有させると母材,継
手溶接部及び電縫溶接部の靱性に悪影響を及ぼすと共
に、電縫溶接部に溶接欠陥が発生しやすくなることか
ら、Si含有量は 1.0%以下と定めた。
た組織の微細化に有効で疲労特性を向上させる作用を有
しているが、 2.0%を超えて含有させると電縫溶接部に
欠陥が発生しやすくなり却って電縫溶接部靱性の低下を
招くことから、Mn含有量は 2.0%以下と定めた。
継手溶接HAZ部の軟化を抑制して構造部材としての疲
労特性を向上させる作用を有しているが、その含有量が
0.05%未満では前記作用による所望の効果が得られず、
一方、 0.8%を超えて含有させると母材部,溶接部(電
縫部及び継手部)とも靱性が低下するようになることか
ら、Mo含有量は0.05〜 0.8%と定めた。
をもたらすと同時に、組織を微細化して母材の靱性を向
上させる作用を有している。また、Nbは継手溶接HAZ
部の軟化を抑制すると共に、電縫溶接部及びそのHAZ
部の靱性を向上させて疲労強度を改善する作用も有して
いる。しかし、Nb含有量が 0.005%未満では前記作用に
よる所望の効果が得られず、一方、0.10%を超えて含有
させると特に電縫溶接部の靱性低下を招くようになるこ
とから、Nb含有量は 0.005〜0.10%と定めた。
含有量がsol.Al量として 0.005%未満では所望の効果が
得られず、一方、0.05%を超えて含有させると電縫溶接
部靱性及び疲労特性に悪影響を及ぼすようになることか
ら、sol.Al含有量を 0.005〜0.05%と定めた。
靱性が著しく劣化し、また疲労特性も低下することか
ら、N含有量を 0.008%以下と規制した。
熱影響部の靱性を飛躍的に改善し優れた疲労特性を有す
る自動車用高強度電縫鋼管を実現する作用を有している
が、各成分の含有量範囲は次の理由により限定された。Ti Tiは、母材と電縫溶接部及び継手溶接部の微細化促進,
電縫溶接部の靱性改善を通じて電縫鋼管の疲労強度特性
を向上させる作用を有しているが、その含有量が 0.005
%未満では前記作用による所望の効果が期待できず、一
方、0.04%を超えて含有させると却って疲労強度が低下
するようになることから、Ti含有量は 0.005〜0.04%と
定めた。B Bも、Tiと同時に添加されることによって電縫溶接部及
び継手溶接部の微細化を促進し、電縫溶接部の靱性を改
善させる作用を発揮するが、その添加量が0.0003%未満
であると前記作用による所望の効果が期待できず、また
0.0012%を超えて含有させると却って疲労強度が低下す
ることから、B含有量は0.0003〜0.0012%と定めた。
労特性を更に改善する効果を有しているので必要により
1種又は2種以上含有せしめられるが、個々成分の含有
量範囲は次の理由により限定された。Cr Crは鋼管の強度及び耐食性を向上させると共に、継手溶
接部の軟化を抑制する作用を有しているが、 1.5%を超
えて含有させると母材及び電縫溶接部の靱性が低下する
と共に電縫溶接部に溶接欠陥が発生しやすくなることか
ら、Cr含有量は1.5 %以下と定めた。Ni Niは鋼管の強度,靱性及び耐食性を向上させる作用を有
しているが、 3.0%を超えて含有させると電縫溶接部の
靱性劣化を招く上、高価な元素でもあることから、Ni含
有量は 3.0%以下と定めた。Cu Cuには鋼管の強度及び耐食性を向上させる作用がある
が、 1.0%を超えて含有させると熱間加工性が低下し、
電縫溶接部靱性も低下することから、Cu含有量は1.0 %
以下と定めた。V Vは析出物の生成を通じて鋼管の強度を高め、継手溶接
部の軟化抵抗を高める作用を有しているが、0.10%を超
えて含有させると母材及び電縫溶接部の靱性低下を招く
ことから、V含有量は0.10%以下と定めた。
対してはP,S等の不可避的不純物含有量はできるだけ
低い方が好ましい。しかし、これらの元素の低減にはコ
ストアップが伴うので、本発明の目的に対してはP含有
量は0.02%以下(望ましくは0.007 %以下),S含有量
は 0.005%以下(望ましくは 0.001%以下)に抑えるの
が良い。
明に係わる電縫鋼管”は、前記成分組成を有する素材鋼
を熱間圧延して鋼帯とし、これを通常の工程(鋼帯を管
状に成形した後、 高周波電流により相対向するエッジ部
を加熱して溶融し、 スクイズロ−ルにより加圧圧接して
製管する工程)で電縫鋼管とすることにより製造するこ
とができる。
に説明する。
鋼板を常法通りに製管し(管状への成形→相対向するエ
ッジ部の高周波電流による加熱・溶融→スクイズロ−ル
による加圧圧接)、表1に示す成分組成の電縫鋼管(外
形:65mm,肉厚:1.6mm)を得た。
取し、“母材の引張強度”及び“電縫溶接部の靱性”を
調べた。なお、“電縫溶接部の靱性”については、「溶
接のまま」と「500℃に30分保持の熱処理を施した
後」の2通りにつき“−10℃におけるシャルピ−吸収
エネルギ−”を調査し、これによって特性評価を行っ
た。これらの結果を表2に示す。
に、本発明鋼管は何れも自動車用電縫鋼管として十分に
高い強度を有すると共に、従来鋼管に比べて著しく改善
された電縫溶接部靱性を有していることが分かる。
ば、自動車用として十分優れた溶接部靱性(継手溶接部
及び電縫溶接部の靱性)を備える高強度電縫鋼管を比較
的低コストで安定提供できるようになるなど、産業上極
めて有用な効果がもたらされる。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量割合にて C:0.06〜0.30%, Si: 1.0%以下, Mn: 2.0%
以下,Mo:0.05〜 0.8%, Nb: 0.005〜0.10%, T
i: 0.005〜0.04%,sol.Al: 0.005〜0.05%, B:
0.0003〜0.0012%, N: 0.008%以下を含有し、残部
がFe及び不可避的不純物である成分組成を有して成るこ
とを特徴とする、溶接部靱性に優れた自動車用高強度電
縫鋼管。 - 【請求項2】 重量割合にて C:0.06〜0.30%, Si: 1.0%以下, Mn: 2.0%以下, Mo:0.05〜 0.8%, Nb: 0.005〜0.10%, Ti: 0.005〜0.04%, sol.Al: 0.005〜0.05%, B:0.0003〜0.0012%, N: 0.008%以下 を含むと共に、更に Cr: 1.5%以下, Ni: 3.0%以下, Cu: 1.0%以下, V:0.10%以下 のうちの1種以上をも含有し、残部がFe及び不可避的不
純物である成分組成を有して成ることを特徴とする、溶
接部靱性に優れた自動車用高強度電縫鋼管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22645591A JP3265591B2 (ja) | 1991-08-12 | 1991-08-12 | 溶接部靱性に優れた自動車用高強度電縫鋼管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22645591A JP3265591B2 (ja) | 1991-08-12 | 1991-08-12 | 溶接部靱性に優れた自動車用高強度電縫鋼管 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0543980A JPH0543980A (ja) | 1993-02-23 |
JP3265591B2 true JP3265591B2 (ja) | 2002-03-11 |
Family
ID=16845372
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22645591A Expired - Lifetime JP3265591B2 (ja) | 1991-08-12 | 1991-08-12 | 溶接部靱性に優れた自動車用高強度電縫鋼管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3265591B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2738216B2 (ja) * | 1992-03-31 | 1998-04-08 | 日本鋼管株式会社 | 溶接熱処理省略型1.25Cr−0.5Mo鋼鋼管およびその溶接方法 |
WO1995004838A1 (fr) * | 1993-08-04 | 1995-02-16 | Nippon Steel Corporation | Acier a resistance a la traction elevee, a resistance a la fatigue et a aptitude au soudage superieures et procede de fabrication |
JP4475424B2 (ja) * | 2003-05-28 | 2010-06-09 | 住友金属工業株式会社 | 埋設拡管用油井鋼管 |
JP4443910B2 (ja) * | 2003-12-12 | 2010-03-31 | Jfeスチール株式会社 | 自動車構造部材用鋼材およびその製造方法 |
-
1991
- 1991-08-12 JP JP22645591A patent/JP3265591B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0543980A (ja) | 1993-02-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3996824B2 (ja) | 耐低温変態割れ性に優れた液相拡散接合用鋼材 | |
JP6447752B2 (ja) | 抵抗溶接部を有する自動車用部材 | |
JP3265591B2 (ja) | 溶接部靱性に優れた自動車用高強度電縫鋼管 | |
JP3894703B2 (ja) | ガスシールドアーク溶接用ワイヤ | |
JP3551136B2 (ja) | ガスシールドアーク溶接用ワイヤ | |
JP2009127119A (ja) | 抵抗溶接鋼板 | |
JPH0158264B2 (ja) | ||
JPH06142980A (ja) | 高温強度の優れたオーステナイト鋼用溶接材料 | |
JP4173957B2 (ja) | 溶接部の疲労強度に優れた鋼板の重ね隅肉溶接方法 | |
JP3972756B2 (ja) | 低温靭性に優れた高強度ラインパイプ | |
JP4608818B2 (ja) | 溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼 | |
JP5401915B2 (ja) | 抵抗スポット溶接の継手強度に優れた高耐食性フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
JP2745848B2 (ja) | 疲労特性に優れた自動車用高強度電縫鋼管 | |
JP5012194B2 (ja) | 溶接継手強度が高い温水器用フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
JP3793244B2 (ja) | 疲労強度の優れた構造用鋼溶接継手 | |
JPS59136418A (ja) | 高靭性高強度鋼の製造方法 | |
JP5439898B2 (ja) | 抵抗スポット溶接性に優れる高張力鋼板 | |
JP3933020B2 (ja) | すみ肉溶接継手を形成した際の該すみ肉溶接継手の疲労特性及び靱性に優れたステンレス鋼 | |
JP3235168B2 (ja) | 自動車用高強度電縫鋼管の製造方法 | |
JP4105796B2 (ja) | 電縫溶接部の加工性を高める電縫溶接部熱処理方法 | |
JP4254583B2 (ja) | 溶接部の耐歪時効特性に優れたCr含有合金 | |
JP2000084614A (ja) | 靭性に優れた自動車用高強度電縫鋼管の製造方法 | |
JP2001131679A (ja) | 超細粒鋼からなる継手及び構造体 | |
JP2810154B2 (ja) | 溶接継手の耐疲労性に優れる加工用熱延鋼板 | |
JP3972828B2 (ja) | 700MPa超級非調質厚鋼板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080111 Year of fee payment: 6 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120111 Year of fee payment: 10 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120111 Year of fee payment: 10 |