JP3265106B2 - 中空型物射出成形体 - Google Patents

中空型物射出成形体

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JP3265106B2
JP3265106B2 JP2052494A JP2052494A JP3265106B2 JP 3265106 B2 JP3265106 B2 JP 3265106B2 JP 2052494 A JP2052494 A JP 2052494A JP 2052494 A JP2052494 A JP 2052494A JP 3265106 B2 JP3265106 B2 JP 3265106B2
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ethylene
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
    • B29C45/1704Introducing an auxiliary fluid into the mould the fluid being introduced into the interior of the injected material which is still in a molten state, e.g. for producing hollow articles

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車部品や家電部品
に適した無機フィラーを配合したポリプロピレン系複合
材料からなる中空型物ガスアシスト射出成形体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】中空型物ガスアシスト射出成形法(以
下、ガスアシスト射出成形法と略する)は、一般の射出
成形法に比べて、金型内に充填した溶融樹脂中に窒素ガ
スを注入し、樹脂による保圧にかえてガスによって内部
から効率の良い保圧をすることで成形体のヒケやソリを
防ぐことができる。
【0003】また、ガスアシスト射出成形法は、成形体
のヒケやソリを防ぐ以外に、積極的に中空部を設けて軽
量化を計る効果、ガスの誘導路としてのガスチャンネル
を配置することによる樹脂の流動支援効果や、リブ同様
の補強効果が得られる効果などにより成形体の剛性を向
上させる効果がある(例えば、特公昭48−41262
号公報、特公昭57−14968号公報、特開平3−4
7171号公報)ことから、近年脚光を浴びているプラ
スチックの射出成形法である。
【0004】一方、自動車部品や家電部品などの材料に
は、ポリプロピレン系複合材料が、安価で、耐衝撃性、
剛性、耐熱性などのバランスに優れた材料として多用さ
れている。また、ポリプロピレンにタルクをはじめとす
る無機フィラーを混合し分散させたものが、剛性、耐熱
性あるいは寸法安定性などをさらに改良するために使用
されている。
【0005】また、ポリプロピレンとエチレン・プロピ
レン系ゴム、エチレン・ブテン−1系ゴム、やスチレン
・ブタジエン系ゴムにタルク、ワラストナイトなどの無
機フィラーを組み合わせた樹脂組成物は、耐衝撃性、剛
性、耐熱性、低線膨脹などのバランスが取りやすい重要
な材料として知られている(例えば、特公昭60−34
14号公報、特公昭61−1468号公報、特公昭64
−2616号公報、特公平4−80060号公報、特公
平4−63100号公報、特開平5−170986号公
報)。
【0006】ポリプロピレン系複合材料は、このガスア
シスト射出成形法により、各種の成形体、例えば、自動
車部品ではアシストグリップ、センタークラスター、メ
ータークラスターやカウルグリル、バンパー、トランク
ボード、インスツルメントパネル、マッドガードなどに
応用されている。しかしながら、このガスアシスト射出
成形法によるポリプロピレン系複合材料の成形体は、全
く新しい技術の範疇にあるものであり、当事者は新たな
問題が起こる度にその解決に注力している現状である。
【0007】大きな問題のひとつとして、例えば、自動
車部品でも大型部品であるバンパーやインスツルメント
パネルなどは、ポリプロピレンとタルクを主成分とした
ポリプロピレンの複合系材料で成形した場合に、ガス注
入口やガスチャンネル部からその周辺樹脂部にガスの漏
れ込みがあり、薄肉化やガスによる膨れ現象が発生し,
その部分の耐衝撃性が低くなったり商品価値が無くなっ
たりする。特に膨れ現象が発生した成形体は、商品価値
は皆無になってしまうので重大な問題である。
【0008】特に、先に述べたポリプロピレンとタルク
を主成分とした複合系材料は、ガスアシスト射出成形法
で成形した場合に、上記の薄肉化や膨れの不良現象が起
こりやすいことは知られていた。この不良現象に対処で
きるポリプロピレン系複合材料の一つとして、本発明者
らによるポリプロピレンとゴムとタルクおよび造核剤か
らなる複合材料(特願平5−289143号)が提案さ
れている。
【0009】ガスアシスト射出成形における、注入ガス
がガス注入口やガスチャンネル部からその周辺樹脂部へ
の漏れ込みとそれに起因する膨れ現象は、成形条件とし
ては一般的な、190〜230℃の樹脂の溶融体を、通
常は30〜50℃の型キャビティに注入し、次いで窒素
ガスを注入して型キャビティを満たす工程を経て、冷却
し、固化し、中空型物射出成形体(成形品)を得る製法
において発生する。
【0010】特に、型キャビティを満たすのに不充分な
樹脂量(謂ゆるショートショット状態)で成形体の中空
率を高める場合や、薄肉で広い面積をもつ成形体でガス
注入口が成形体の面積に対して小さいものやガスチャン
ネル部が細長い場合においては、溶融樹脂が固まる前に
型キャビティを満たすために注入ガスの圧力が高くされ
たり、必要な量のガスが急激に送り込まれたり、ガス圧
力が長い時間掛け続けられたりすると、周辺樹脂部への
ガスの漏れ込みが発現しやすく、したがって、中空型物
射出成形体は膨れの不良が発現しやすい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ポリ
プロピレン系複合材料でのガスアシスト射出成形におけ
る、この注入ガスの漏れ込みによる薄肉化とそれに起因
する膨れ現象を、更に幅広く樹脂材料面から改良し、製
品デザインや成形条件の自由度を拡大し、複合材料の持
つ本来の特性を生かした具体的な自動車部品などの中空
型物射出成形体を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
ポリプロピレン(a)と無機フィラー(b)とを主成分
とした複合ポリプロピレン系樹脂組成物からなる中空型
物射出成形体において、上記ポリプロピレン(a)がM
FR3〜50g/10分で、かつエチレン含有量が25
重量%以下のプロピレンホモポリマー、エチレン・プロ
ピレンブロックポリマーおよびエチレン含有量が2〜5
重量%のエチレン・プロピレンランダムポリマーの少な
くとも一つであり、上記無機フィラー(b)が平均粒子
径0.7〜5μmのタルク(b1)と平均粒子径1〜5
0μmの硅酸カルシウム(b2)とからなり、かつ上記
(b1)と(b2)との混合比率が重量比で95:5〜
0:100であり、かつ、(a)と(b)との混合比率
が重量比で60:40〜90:10であり、しかも中空
型物ガスアシスト射出成形法により成形されたものであ
ることを特徴とする中空型物射出成形体、である。
【0013】本発明に用いる複合ポリプロピレン系樹脂
組成物は、MFR3〜50g/10分で、かつエチレン
含有量が25重量%以下のプロピレンホモポリマー、エ
チレン・プロピレンブロックポリマーおよびエチレン含
有量が2〜5重量%のエチレン・プロピレンランダムポ
リマーの少なくとも一つからなり、さらに好ましくは、
下記に記載した熱可塑性ゴム(c)を含有するものから
なり、その割合が樹脂組成物の3〜25重量%のもので
ある(ポリプロピレン(a)と無機フィラー(b)と熱
可塑性ゴム(c)とはそれぞれ60〜80重量%と10
〜30重量%と3〜25重量%の合計100重量%)。
【0014】上記の熱可塑性ゴム(c)としては、エチ
レン・プロピレン系ゴム、エチレン・ブテン−1系ゴ
ム、スチレン・ブタジエン系ゴム、スチレン・ブタジエ
ンブロック共重合体系ゴムなどが挙げられ、この中から
選ばれた少なくとも1種の熱可塑性ゴムである。また、
本発明に用いる複合ポリプロピレン系樹脂組成物は、さ
らに好ましくは、ポリプロピレン(a)に対して、結晶
化促進作用をもつ芳香族燐酸金属塩または/および芳香
族カルボン酸のアルミニウム塩(d)を0.01〜3重
量%配合したものである。
【0015】本発明でMFRとは、JIS−K7210
により、230℃、2.16kg荷重で測定した値をい
う。本発明に用いるポリプロピレン(a)は、成形性と
耐衝撃性との面から、また本発明の目的とするガス射出
成形時の注入ガスの漏れ込みとそれに起因する膨れ現象
を少なくするうえからも、MFR3〜50g/10分の
結晶性ポリプロピレン重合体であることが好ましく、大
型成形品用には4〜30g/10分がさらに好ましい。
【0016】このポリプロピレンは、エチレン含有量が
25重量%以下のプロピレンホモポリマー、エチレン・
プロピレンブロックポリマー、およびエチレン含有量が
2〜5重量%のエチレン・プロピレンランダムポリマー
から選ばれる結晶性ポリプロピレン重合体である。さら
に好ましくは、エチレン含有量が2〜15重量%、特に
好ましくは、エチレン含有量が4〜10重量%の耐衝撃
性の良いエチレン・プロピレンブロック共重合体であ
る。
【0017】また、本発明に用いるポリプロピレンは、
本発明の目的とする注入ガスの漏れ込み、膨れ現象を少
なくするうえから、ポリプロピレンの結晶性は高いもの
ほど好ましい。その結晶性は、指標としてのアイソタク
チックインデックス値(II:ポリプロピレンの沸騰n
−ヘプタン不溶分を重量%で現した値)が剛性や硬度な
どから80以上が好ましく、さらに好ましくは85以上
のものである。
【0018】本発明に用いる無機フィラー(b)は、二
つの材料があげられる。その一つは平均粒子径が0.7
〜5μmのタルク(b1)であり、もう一つは平均粒子
径が1〜50μmの硅酸カルシウム(b2)である。タ
ルクや硅酸カルシウムは成形性を損なわせることなく、
寸法精度を高めたり、線膨脹率を下げたり、製品の剛性
や耐熱性などを高める成分として最も好ましく用いられ
る。純タルクは3MgO・4SiO2 ・H2 Oとして表
されるが、天然の一般的なタルクはその他の成分として
10重量%以下のCaO、Al2 3 、Fe2 3 など
を含む。
【0019】本発明に無機フィラーとして用いるタルク
は、平均粒子径0.7〜5μm以下のものであり、好ま
しくは0.7〜3μmであり、粒度分布は10μm以下
が85重量%を占めるものが好適である。また、その成
分中に不純物としてCaOを含むことは何ら差支えな
く、むしろ好ましい方向である。本発明に無機フィラー
として用いるもう一つの硅酸カルシウムは、CaSiO
3 (またはCaO・SiO2 で表わされ、成分の参考理
論値はSiO2 が51.8重量%、CaOが48.2重
量%)であるが、天然に産出するワラストナイトも好適
な材料として硅酸カルシウムと同等品として本発明の範
疇に含まれる。ワラストナイトの組成は、主成分として
通常はSiO2 を46〜53重量%、CaOを44〜5
0重量%、その他の成分として10重量%以下のMg
O、Al2 3 、Fe2 3 などを含む。
【0020】本発明に用いるこの二種の無機フィラー
は、単独よりも併用したほうが好ましい。単独または併
用する場合の混合比率は(b1)タルク/(b2)硅酸
カルシウムが95/5〜0/100(重量比)の範囲で
あり、かつポリプロピレンに対しては、ポリプロピレン
(a)/無機フィラー(b)が60/40〜90/10
(重量比)の範囲内である。ポリプロピレン(a)/タ
ルク(b1)の組み合わせにおいて、タルクの量が10
%未満の場合はガス射出成形時の注入ガスの漏れ込みと
それに起因する膨れ現象は、比較的少なく成形条件の調
整によって改良される場合が多い。タルクの量が10%
を越えると成形条件では改良が難しくなる。また、無機
フィラーの量が40%を越えると耐衝撃性などの低下が
問題となる。
【0021】本発明の中空型物射出成形体は、ガス射出
成形時の注入ガスの漏れ込みに起因する膨れ現象の発生
をなくすためには、タルクに、硅酸カルシウムまたはワ
ラストナイトを5重量%以上併用してその不具合を解消
する。あるいは硅酸カルシウムまたはワラストナイトを
単独で使用すれば不具合は発生しない。硅酸カルシウム
やワラストナイトが、ガス射出成形時の注入ガスに起因
する膨れ現象に対して抑制効果を示す理由は現時点では
明らかでない。
【0022】なお、本発明で平均粒子径の測定方法はJ
IS Z8901、平均粒度分布はJIS K510
1、白色度はJIS P8123(ブルーフィルター使
用)による。本発明に好ましく用いられる熱可塑性ゴム
(c)は、エチレン・プロピレン系ゴム、エチレン・ブ
テン−1系ゴム、スチレン・ブタジエン系ゴム、スチレ
ン・ブタジエンブロック共重合体系ゴムの中から選ばれ
た少なくとも1種のゴムである。これらは、ポリプロピ
レン(a)と無機フィラー(b)の組み合わせにおいて
製品の柔軟性や耐衝撃性が不足する場合に、あるいは塗
装性を高める目的で配合される。用いられるポリプロピ
レンがエチレン含有量の多いエチレン・プロピレンブロ
ックポリマーの場合はそのことによって柔軟性や耐衝撃
性の改良ができ、その意味では特に必要不可欠な成分で
はない。
【0023】しかしながら、製品に要求されるものは物
性以外に、成形性や外観がある。それらの目的に、これ
ら上記の熱可塑性ゴムを新たに加えて、その分散形態を
コントロールすることでエチレン・プロピレンブロック
ポリマーだけでは得られない特徴が付与できる材料とし
て用いられる。本発明に好ましく用いられる熱可塑性ゴ
ムは、結晶化度が、好ましくは20%以下である。ゴム
の流動特性として一般にムーニー粘度で表示される場合
は、そのムーニー粘度(JIS−K6300、M
1+4 、100℃)は20〜200がよく、中でも大型
成形体用には50〜150が好ましい。また、スチレン
・ブタジエンブロック共重合体系ゴムの場合は、MFR
で0.1〜30g/10分のものが好ましい。スチレン
・ブタジエン系ゴム、スチレン・ブタジエンブロック共
重合体系ゴムの結合スチレン量は10〜60%、特に1
5〜40%のものが目的とする成形性改良及び製品物性
とのバランスに好適であり、更には耐光性改良には残余
の不飽和結合に水素添加し飽和結合にしたものが好まし
い。
【0024】また、本発明の目的とする膨れ現象が少な
い中空型物射出成形体を得るためには、ガス射出成形時
の注入ガスの漏れ込みが少ない、なるべく溶融粘度の高
いもの(すなわち、ムーニー粘度の高いもの、あるいは
MFR値の小さいもの)が効果的である。本発明に用い
られる複合ポリプロピレン系樹脂組成物の具体的な配合
内容は、用途や使用目的によって個々に異なり、例え
ば、自動車部品ではアシストグリップ、センタークラス
ター、メータークラスター、カウルグリル、バンパー、
インスツルメントパネルなどにより異なるが、好ましく
はポリプロピレン(a)、無機フィラー(b)および熱
可塑性ゴム(c)の割合がそれぞれ60〜80重量%、
10〜30重量%および3〜25重量%(合計100重
量%)である。さらに好ましくは、それぞれが65〜8
0重量%、12.5〜27.5重量%および5〜20重
量%(合計100重量%)、特に好ましくは、それぞれ
が65〜75重量%、17.5〜27.5重量%および
5〜15重量%(合計100重量%)である。
【0025】本発明に好ましく用いられる、芳香族燐酸
金属塩、芳香族カルボン酸のアルミニウム塩の成分
(d)は、上記のポリプロピレン成分(a)の結晶化開
始温度を高めることが可能な、一般には核剤または造核
剤と呼ばれる有機化合物であり、結晶性樹脂の結晶化を
促進する作用を持つ有機化合物であり、少量の添加で特
に効果的なものとしてあげられるものである。
【0026】芳香族燐酸金属塩の具体例としては、ビス
(4−t−ブチルフェニル)燐酸のナトリウム塩、カリ
ウム塩およびリチウム塩、2,2´−メチレン−ビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸のナトリウム
塩、カリウム塩およびマグネシウム塩など、および2,
2´−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェ
ニル)燐酸のナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム
塩などが上げられる。
【0027】芳香族カルボン酸のアルミニウム塩の具体
例としては、アルミニウム−ジ−p−tブチル−モノヒ
ドロキシ−安息香酸などが挙げられる。先に、本発明者
らによる、ポリプロピレンとゴムとタルク系複合材料
(特願平5−289143号)の提案において、これら
上記の有機化合物が結晶性樹脂の結晶化速度を早めるこ
とにより、ガスアシスト射出成形時の注入ガスの漏れ込
みとそれに起因する膨れ現象を少なく抑える効果がある
ことを提案した。このガスアシスト射出成形時の注入ガ
スの漏れ込みとそれに起因する膨れ現象を少なく抑える
効果は、本発明の中空型物射出成形体においても有用で
ある。そのような効果を発現する化合物の配合量は、で
きるだけ少量であることが好適であり、下限はその意味
では規定できないが、成分のポリプロピレン(a)10
0重量比に対して、0.01〜3重量比、より効果的で
副作用の少ない量としては、0.05〜1重量比であ
る。これらの化合物(d)は単独またはその組み合わせ
のいずれであってもよい。
【0028】前記の複合ポリプロピレン系樹脂組成物
の、ポリプロピレン(a)と無機フィラー(b)、また
は、ポリプロピレン(a)と無機フィラー(b)と熱可
塑性ゴム(c)あるいはポリプロピレン(a)と無機フ
ィラー(b)と熱可塑性ゴム(c)と一般には核剤また
は造核剤と呼ばれる有機化合物(d)の組み合わせにお
ける混合方法は、ガスアシスト射出成形に供するに当た
って、単にドライブレンドして供してもよいが、予め組
み合わせた材料を混練押出機などを用いて均質に溶融混
練した物(通常はペレット状にしたもの)を供する事が
好ましい。
【0029】このようにして得られた複合プロピレン系
樹脂組成物を用いることによって、ガスアシスト射出成
形時の注入ガスの漏れ込みとそれに起因する膨れ現象を
少なくでき、実用上十分な成形性と中空型物射出成形体
が得られる。本発明に用いられる複合プロピレン系樹脂
組成物には、この他に、樹脂の加工性や性能向上を目的
とした熱安定剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、無機・
有機の充填剤を本発明の目的とする効果を損なわない範
囲で配合することができる。さらには、有機あるいは無
機の顔料を配合して更に商品化値を高めることも同様で
ある。
【0030】
【実施例】中空型物射出成形機は、ノズルから任意の量
と圧力の窒素ガスを注入し、回収できるガス射出成形機
(住友重工(株)製 商品名SG220を改造したも
の)を用いた。図1に示した幅500×長さ200×厚
さ3.2(単位:mm)の平板の中央部分に径13φ×
長さ420のリブ構造をもつ製品図(容積=345cm
3 )を堀込んだモデル金型の射出成形用金型を使用し
て、以下の条件で成形体を成形し評価に用いた。
【0031】シリンダー温度は190/210/220
/230℃(ノズル部)、スクリュウ回転は最大回転数
の20%、金型設定温度は変数、樹脂充填速度は最大速
度の35%とし、窒素ガスの注入時期は、所定量(変
数)の樹脂を型内に射出後ただちに行った。その圧力は
175kg/Gであり注入時間を変数とした。所定量の
窒素ガスを注入した後、ガスをノズル部から回収する迄
の時間(圧力保持時間)を変数とした。樹脂注入から製
品取り出し迄の冷却時間は80秒、休止15秒とした。
【0032】これらの成形条件は、膨れが発生し易い条
件をあえて揃えたものであり、かつ膨れテスト条件(ラ
ンク別)は数値が大きい値のものほど厳しい条件下で行
ったことを表す。表1にその条件(変数部分のみ)をま
とめて示した。なお、樹脂注入量(%)は、{樹脂注入
量(CC) ÷金型内容積(cc)}×100 である。また製品外
観(膨れの発生)判定用は、型温度が安定した状態から
10個サンプリングし、この成形品について膨れの発生
した割合(%)を評価点として表した。
【0033】
【表1】
【0034】
【実施例1〜7、比較例1〜4】結晶性ポリプロピレン
(a)として、PP1(MFR=6、エチレン含有率が
7重量%、II=88のエチレン・プロピレンブロック
ポリマー、無機フィラーの(b1)としては、白色度が
97、平均粒径が1.8μ(粒度分布:〜1μ=約15
%、1〜3μ=約61%、3〜5μ=約16%、5〜1
0μ=約8%)のタルク(日本タルク(株)製 商品名
ミクロエースP−3)、無機フィラーの(b2)とし
ては、白色度が88、平均粒径が約8μ、SiO2 成分
が51重量%、CaO成分が46重量%、その他成分
(MgO,Al2 3 ,Fe2 3 ,結晶水など)3重
量%のワラストナイト(浅田製粉(株)製 商品名 J
ET30W)を用いた。
【0035】このPP1とタルクとワラストナイトの配
合割合は表2に示した。その他に熱安定剤としてイルガ
ノックス1010(チバガイギー(社)製 商品名)と
分散剤としてステアリン酸マグネシウムをPP1とタル
クとワラストナイトとの合計100重量比に対して、そ
れぞれ0.2重量比加えた。これらを予めヘンシェルミ
キサーを用いて攪拌し、混合し、次いで二軸混練押出機
を用いて均一な組成となるよう溶融混練し、ペレット化
した。
【0036】この複合ポリプロピレン系樹脂組成物をモ
デル金型を使ったガス射出成形に供し、その膨れテスト
の結果を合わせて表2に示した。この結果からも、タル
ク系ではその配合量に応じて膨れが多発するようになる
が、これにCaSiO3 を主成分とするワラストナイト
を併用した系では、この不良現象が大きく改良されてい
る。
【0037】
【表2】
【0038】
【実施例8〜11、比較例5〜8】実施例1に記載した
ものと同様のPP1、タルク、ワラストナイトを準備し
た。また、熱可塑性ゴム(C)としてSB1(スチレン
含有率が20重量%、MFR=0.5:旭化成工業
(株)製 商品名 タフテックH1071)、およびE
P1(プロピレン含有率が27重量%、ムーニー粘度=
70のエチレン・プロピレン共重合ゴム:日本合成ゴム
(株)製 商品名 EP07P)を準備した。これらか
らなる材料の配合比を表3に示した。その他イルガノッ
クス1010とステアリン酸マグネシウムを実施例1と
同様に加えてある。この他の条件は実施例1と同様であ
る。
【0039】この複合ポリプロピレン系樹脂組成物の物
性およびこれらの材料をモデル金型を使ったガス射出成
形に供し、その膨れテストの結果を表4に示した。比較
例はワラストナイトを含まない系である。なお、アイゾ
ッドの衝撃値の単位(23℃/−30℃)は、Kg・c
m/cmである。その結果、組成物中にゴムを含む場合
も不良現象が格段に改善されたことが分かる。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【実施例12〜14、比較例9】結晶性ポリプロピレン
(a)として、PP2(エチレン含有率が5.5モル
%、MFR=10、II=92のエチレン・プロピレン
ブロックポリマーを用いた。熱可塑性ゴム(C)として
EP2(プロピレン含有率が50重量%、ムーニー粘度
=120のエチレン・プロピレン共重合ゴム:エニケム
(株)製 商品名CO059)を用いた。
【0043】この配合割合は表5に示した。この他に造
核剤として、芳香族燐酸金属塩のひとつである2,2´
−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)
燐酸のナトリウム塩(アデカアーガス(株)製 商品名
マークNA−11、(以下NA−11と略す))また
は芳香族カルボン酸金属塩のひとつであるアルミニウム
−ジ−p−tブチル−モノヒドロキシ−安息香酸(シェ
ル化学(株)製 商品名 ALPTBBA、(以下、A
l−Ncと略す))のいずれかを0.2部加えた。その
他の熱安定剤、分散剤は実施例1と同様である。
【0044】これらを予めヘンシェルミキサーを用いて
攪拌混合し、次いで二軸混練押し出し機を用いて均一な
組成となるよう溶融混練し、ペレット化した。この複合
ポリプロピレン系樹脂樹脂組成物を実施例1と同じモデ
ル金型を使ったガス射出成形に供し、その膨れテストの
結果を表6に示した。この結果では、比較例9に対して
実施例12でも可なりの改良効果が見られるが、これに
造核剤である2,2´−メチレン−ビス(4,6−ジ−
t−ブチルフェニル)燐酸のナトリウム塩、またはアル
ミニウム−ジ−p−tブチル−モノヒドロキシ−安息香
酸を少量併用すると更に改良効果が見られた。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【実施例15、比較例10】実施例7および比較例10
に記載した複合ポリプロピレン系樹脂組成物を、実際の
乗用車インスツルメント・パネル製品形状とほぼ同じデ
ザイン・寸法でガス射出成形用にガスチヤンネルを堀込
んだインスツルメント・パネル・ガス射出成形用金型
(ZAS型)を用いて、ガス射出成形を実施した。
【0048】成形条件として、シリンダー温度は200
/210/220/230/220℃(ノズル部)、ス
クリュウ回転は52rpm、金型設定温度40℃、樹脂
充填速度は60%、射出10秒、窒素ガスの注入時期
は、所定量の樹脂を型内に射出後ただちに行った。その
圧力は145kg/Gであり注入時間を10秒とした。
所定量の窒素ガスを注入した後、ガスをノズル部から回
収する迄の時間(圧力保持時間)を25秒とした。樹脂
注入から製品取り出し迄の冷却時間は50秒とした。
【0049】得られた成形品のそれぞれ20個について
の外観は、実施例7の複合ポリプロピレン系樹脂組成物
を用いた系はガスの漏れ込みも少なく実用上はなんら問
題点はなかったが、比較例10の複合ポリプロピレン系
樹脂組成物を用いた系はいずれもガスの漏れ込み面積が
広く、かつ3〜5ケ所に膨れが見られ製品としては実用
に供し得ないものであった。
【0050】
【実施例15、比較例11】実施例8および比較例5に
記載した複合ポリプロピレン系樹脂組成物を、実際の乗
用車バンパー製品形状とほぼ同じデザイン・寸法でガス
射出成形用にガスチヤンネルを堀込んだガス射出成形用
バンパー金型を用いて、ガス射出成形を実施した。成形
条件として、シリンダー温度は190/200/210
/220/200℃(ノズル部)、金型設定温度40
℃、樹脂充填速度は60%、射出10秒、窒素ガスの注
入時期は、所定量の樹脂を型内に射出後ただちに行っ
た。その圧力は175kg/Gであり注入時間を10秒
とした。所定量の窒素ガスを注入した後、ガスをノズル
部から回収する迄の時間(圧力保持時間)を35秒とし
た。樹脂注入から製品取り出し迄の冷却時間は70秒と
した。
【0051】これによって得られた成形品のそれぞれ2
0ケについての外観は実施例8の複合ポリプロピレン系
樹脂組成物を用いた系はガスの漏れ込みも少なく実用上
はなんら問題点はなかったが比較例5の複合ポリプロピ
レン系樹脂組成物を用いた系はいずれもガスの漏れ込み
面積が広く、かつ5〜6ケ所に膨れが見られ製品として
は実用に供しえないものであった。
【0052】
【発明の効果】本発明の複合ポリプロピレン系樹脂組成
物からなる中空型物射出成形体は、ガスアシスト射出成
形法で、好適な材料からなるものであり、広い成形条件
下において、ガスの漏れ込みも少なく、膨れ現象が発生
せず、かつ実用上十分な物性を有し、なんら支障のない
製品である。
【0053】すなわち、プラスチック中空型物射出成形
法を用いても、ガス射出成形時の注入ガスの漏れ込みが
少ない複合ポリプロピレン系樹脂組成物からなるので、
膨れ現象がなく、製品デザインや成形条件の自由度を拡
大し、複合材料の持つ本来の特性を生かした具体的な自
動車部品などにおいて、実用上十分な成形性と製品物性
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた射出成形用金型を模式
的に示す平面図および断面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 105:16 B29K 105:16 509:00 509:00 B29L 22:00 B29L 22:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84 C08K 3/34 C08L 23/10 B29C 49/00 - 49/06 B29L 22:00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン(a)と無機フィラー
    (b)とを主成分とした複合ポリプロピレン系樹脂組成
    物からなる中空型物射出成形体において、上記ポリプロ
    ピレン(a)がMFR3〜50g/10分で、かつエチ
    レン含有量が25重量%以下のプロピレンホモポリマ
    ー、エチレン・プロピレンブロックポリマーおよびエチ
    レン含有量が2〜5重量%のエチレン・プロピレンラン
    ダムポリマーの少なくとも一つであり、上記無機フィラ
    ー(b)が平均粒子径0.7〜5μmのタルク(b1)
    と平均粒子径1〜50μmの硅酸カルシウム(b2)と
    からなり、かつ上記(b1)と(b2)との混合比率が
    重量比で95:5〜0:100であり、かつ、(a)と
    (b)との混合比率が重量比で60:40〜90:10
    であり、しかも中空型物ガスアシスト射出成形法により
    成形されたものであることを特徴とする中空型物射出成
    形体。
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