JP3262388B2 - サーマルプリンタヘッドの製造方法 - Google Patents
サーマルプリンタヘッドの製造方法Info
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Description
ドの製造方法に関する。
と2通りのものがある。そのーつはいわゆる薄膜を用い
たもので、基板上に発熱抵抗体および電極等を数10nm
〜数10μm程度の薄膜として成膜し、フォトエッチング
レービングプロセスによりこれをパタ−ニングして形成
するものである。もう−方は厚膜を用いたもので、上記
の発熱抵抗体や電極などの材料を液状にしてスピンナ
(スピンコ−タ)のような塗布機を用いて基板上に均一
な膜厚に塗布した後、これを焼成するものである。この
方法によれば、膜厚が 1Ο0μm程度以上となり上記の
薄膜法とは異なる膜厚ではあるが、上記の薄膜法と同様
に、均一な膜厚の発熱抵抗体や電極などを形成すること
ができる。
の状態ではサーマルプリンタヘッドとしての使用時に発
熱温度でその抵抗値が低下して流れる電流が増加し、こ
の電流によりさらに発熱量が増えるためにまた電流が過
大に流れる。こうして発熱量が増えてゆき、最終的には
発熱抵抗体がそれ自体の発熱により破壊されるに至る場
合がある。たとえ破壊までには至らなくとも、抵抗値の
下がり方はサーマルプリンタヘッド全体にわたっては必
ずしも一様ではなく画素の部分的なばらつきを生じるの
で、印字濃度むらや印字不良が発生することがある。こ
の現象は、発熱抵抗体の結晶構造のような微細粒子の組
織が使用時の発熱により経時変化を起こし、その発熱抵
抗体の抵抗値が低下するためであると考えられる。
発熱抵抗体をサーマルプリンタヘッドとして実用に供す
るものとするためには、前記の発熱抵抗体にエージング
(Aging)あるいはアニーリング(Anneali
ng)のような加熱処理を施して、その結晶構造のよう
な組織の配列構造を、結晶欠陥などを解消することで整
えることが必要である。
めに、薄膜成膜法のスパッタ装置のような低圧にしたチ
ャンバ内または成膜とは別の低圧加熱炉内などで高い温
度を加えるか、あるいはサーマルプリンタヘッドとして
組み上げた後に一定の時間通電し、エージングさせるな
どしていた。
内などで高い温度を加える場合では、低圧チャンバに向
きを同じくして多数のサーマルプリンタヘッドを配列
し、その加熱処理の部分的なばらつきを避けるために低
圧チャンバの温度分布を均一にしなければならないが、
大気中とは異なり対流作用がほとんどなくなる等の理由
からこれは容易ではなく、低圧チャンバの温度分布が不
均一となり、多数のサーマルプリンタヘッドのなかには
加熱処理された状態に部分的にばらつきを有するものが
発生するという問題があった。
試みられるが、その加熱処理中の雰囲気中に含まれる不
純物ガス濃度が無視できない程度に多くなり、発熱抵抗
体の酸化をしばしば招くという問題があった。
基板上にポリイミドのような耐熱性樹脂層を設け、その
上に発熱抵抗体の膜を形成した構成のものが、その耐熱
性樹脂層の熱効率の高さから近年注目されるようになっ
ている。
ンタヘッドの耐熱性樹脂層は、ガラスのような無機材料
のグレーズ層などとは異なり、発熱抵抗体の加熱処理の
所要温度よりも低い 500度程度の温度で熱分解等により
劣化してしまう。特に高精細で発熱抵抗体の発熱温度が
高い製版用途のサーマルプリンタヘッドにおいては、そ
の発熱抵抗体の加熱処理の所要温度は約 600℃以上が必
要である。そして従来の製造方法に係る加熱処理の仕方
では、投入する熱量とその投入位置の細かい制御が実際
的に困難である。このためサーマルプリンタヘッドに高
い温度を加えてその発熱抵抗体に加熱処理を施そうとす
ると、前記の耐熱性樹脂層が先に劣化してしまうことに
なる。また、サーマルプリンタヘッド全体が加熱される
ので、この熱により前記の耐熱性樹脂層から発熱抵抗体
に不純物が拡散して発熱抵抗体の電気抵抗値が所望の値
とは異なったものとなるという問題があった。
を加熱すると耐熱性樹脂層も加熱されて耐熱性樹脂層が
先に劣化してしまうという問題があった。
も、加熱温度が約500 ℃以上になると前記の発熱抵抗体
の電気抵抗値が上昇するとともにそのばらつきも非常に
大きくなるという問題があった。このような異常の原因
を本発明者等が調査したところ、前記の樹脂保護層中の
特に酸素が発熱抵抗体中に拡散するためであることが判
明した。そこでこのような酸素の拡散を防止するために
樹脂保護層を加熱処理して安定化することが必要とな
る。そのような樹脂保護層の加熱処理の温度としては実
効的に約600 ℃以上が必要である。
前に耐熱性樹脂層は形成されており、その耐熱性樹脂層
は前述したように600 ℃に加熱されると熱分解してしま
う。そして樹脂保護層だけを600 ℃以上の温度に加熱し
つつ、その下層の耐熱性樹脂層は500 ℃以下に保つこと
は、従来の高温雰囲気や通電加熱を用いる技術では実際
上極めて困難であるという問題があった。
ンバや加熱炉内などでサーマルプリンタヘッドに高い温
度を加える、あるいは通電加熱することで、発熱抵抗体
に加熱処理を施してその電気抵抗を均一に安定化するこ
とは容易ではないという問題があった。
発熱抵抗体を通電加熱することにより、無機材料のグレ
ーズ層や耐熱性樹脂層の上に設けられた樹脂保護層を有
するサーマルプリンタヘッドに高い温度を加えてその発
熱抵抗体や樹脂保護層を加熱処理する場合にも、サーマ
ルプリンタヘッド全体が加熱されるので樹脂保護層から
発熱抵抗体に不純物が拡散し、発熱抵抗体の抵抗値が所
望の値とは異なったものとなるという問題があった。
に成されたもので、その目的は、サーマルプリンタヘッ
ドの発熱抵抗体以外の耐熱性樹脂層のような部位を劣化
させることなく、発熱抵抗体や樹脂保護層の好適な位置
に好適な熱量で加熱処理を施して、発熱抵抗体の電気抵
抗値や樹脂保護層の組成などを安定化させることにあ
る。このようにして、長期間の使用のうちに性能が低下
することを避けて、発熱特性が均ーで高品位な印字性能
を長期間にわたって安定的に保つことができる。
リンタヘッドの製造方法は、通電により発熱して印字動
作を行なう発熱抵抗体を基板上に形成する工程と、前記
発熱抵抗体に加熱処理を施す工程とを有するサーマルプ
リンタヘッドの製造方法において、 金属とSiO 2 か
らなる組成を有する発熱抵抗体をスパッタリング法によ
り形成する工程と、前記発熱抵抗体にパルス状のレーザ
ービームを照射し前記の照射回数を選択して前記発熱抵
抗体の急激な多結晶化を抑制しかつ該発熱抵抗体の電気
抵抗を安定化させる工程を具備することを特徴としてい
る。
する工程と、前記耐熱樹脂層上に樹脂保護層を形成する
工程と、前記樹脂保護層上に通電により発熱して印字動
作を行う発熱抵抗体を形成する工程とを有するサーマル
プリンタヘッドの製造方法において、前記発熱抵抗体に
高エネルギービームを照射して加熱処理を施し該発熱抵
抗体の電気抵抗を安定化させる工程を具備することを特
徴としている。
ームとしてレーザービームあるいは電子ビームを前記発
熱抵抗体に照射することが好適である。
ネルギービームを照射して加熱処理を施す工程を具備す
ることを特徴としている。
形成する工程と、前記耐熱樹脂層上に樹脂保護層を形成
する工程と、前記樹脂保護層上に通電により発熱して印
字動作を行なう発熱抵抗体を形成する工程とを有するサ
ーマルプリンタヘッドの製造方法において、前記樹脂保
護層に高エネルギービームを照射して加熱処理を施す工
程を具備することを特徴としている。
は前記電子ビームのビームスポットを前記発熱抵抗体の
実効的に作用する幅よりも大きな寸法に調節し、前記発
熱抵抗体の配列方向に沿って前記レーザービーム又は前
記電子ビームを走査させて前記発熱抵抗体に照射する工
程とを具備することを特徴としている。
する工程と、前記レーザービーム又は前記電子ビームの
ビームスポットを前記発熱抵抗体の実効的に作用する幅
よりも大きな寸法に調節し、前記発熱抵抗体の配列方向
に沿って前記レーザービーム又は前記電子ビームを走査
させて前記樹脂保護層に照射する工程とを具備すること
を特徴としている。
ームスポットの直径が0.1 〜 3mmで波長が 1.064μm
前後のYAG(Ytrium Alminated G
arnet)レーザーあるいは波長が 0.488μm前後の
Arレーザーを用いて、エネルギー密度を 0.1乃至 0.5
J/cm2 ・pulseとなるように発熱抵抗体103
に照射することが望ましい。具体的には、最高出力値を
1乃至20W/cm2 、パルス幅(照射時間)を 5乃至 5
00ms、パルス周波数を 500乃至5000Hz程度としたレ
ーザービームを用いることが望ましい。そしてこのレー
ザービームを、照射ビームがパルス状になるように照射
タイミング等を制御しパルス変調して照射する。このと
きの照射回数は、発熱抵抗体の材質や膜厚などの条件に
よって 1乃至1000パルスの照射回数のうちの適切な値に
設定すればよい。また、前記発熱抵抗体としては、膜厚
が 200乃至5000オングストローム程度のNb−SiO2
またはTa−SiO2 などを用いることが望ましい。
スポットの直径が0.1 〜 3mmで最高出力値が 200〜40
00W/cm2 の電子ビームを用いることが望ましい。
抵抗体に高エネルギービームを照射する。このビーム
は、例えばレーザービームや電子ビームが好適で、ビー
ムスポットの向きや大きさ、波長、出力、エネルギー密
度、照射パルス幅、照射パルス周波数、照射時間等を制
御することで、前記の発熱抵抗体に与える熱量や加熱温
度や、照射深度や照射範囲などをほぼ所望の通りに制御
することができる。従って、前記の基板の発熱抵抗体や
樹脂保護層など加熱処理の必要な部分以外の層、例えば
耐熱性樹脂層はその熱分解温度以下に保ち熱分解に起因
する劣化を防ぎつつ、発熱抵抗体や樹脂保護層だけに選
択的に加熱処理を施すことができる。
ームの出力を制御することで調節できるので、発熱抵抗
体を必要以上に加熱して多結晶化が急速に進みその抵抗
値が所望の値から大きく異なるものとなることを避け
て、最適な温度条件で加熱処理を実行し所望の抵抗値を
高精度に実現することができる。
き、ビ−ムスポットをその発熱抵抗体の実効的に作用す
る幅、例えば印字画素の寸法に相当する幅よりも大きな
寸法に調節し、かつその熱量を適切な値に調節したレー
ザービーム又は電子ビームを発熱抵抗体の配列方向に沿
って走査させながら発熱抵抗体または樹脂保護層に照射
する。このようにすれば、レーザービームや電子ビーム
のような高エネルギービームのー度の照射だけで発熱抵
抗体または樹脂保護層を加熱処理することができる。し
たがって効率的に加熱処理を行なうことができスループ
ットが飛躍的に向上する。
の製造方法の実施例を、図面に基づいて詳細に説明す
る。
って製造されるサーマルプリンタヘッドの構造を示す断
面図である。このサーマルプリンタヘッドは、セラミッ
クからなる基板101上に、グレーズ層102と、発熱
抵抗体103と、電極層104と、パッシベーション層
105とを下層からこの順に積層した構造を有してい
る。
01上に、ポリイミドからなる耐熱性樹脂層202と、
それを保護する無機絶縁性膜からなる樹脂保護層203
と、発熱抵抗体204と、電極層205と、パッシベー
ション層206とを下層からこの順に積層した構造を有
するサーマルプリンタヘッドもある。本実施例では、セ
ラミック基板101を用いる場合について説明する。
ーズ処理を施してグレーズ層102を配設する。この基
板101の厚さは約 0.3〜 1.0mm程度、またグレーズ
層102の厚さは20〜 100μm程度とした。
ッタリング法によりターゲット材としてTaとSiO2
を用いて、このTaとSiO2 からなる組成の発熱抵抗
体103を厚さ 200〜5000オングストロームの薄膜とし
て成膜する。
a−SiO2 、またはNb−SiO2 からなる組成の他
に、Ti−SiO2 、Zr−SiO2 、Cr−SiO2
など、金属とSiO2 とを組み合わせたもの、あるいは
他のサーメットや半導体材料などを用いてもよい。ま
た、発熱抵抗体103の成膜方法としては、スパッタリ
ング法の他にも例えばプラズマCVDなどの各種のCV
D法を用いるなどしてもよい。
成した基板101を真空排気システムのチャンバ内に入
れ、表面に吸着されていた不純物としてのガスを脱離さ
せた後、高エネルギービームとしてレーザービームを照
射して発熱抵抗体103を加熱処理する。このときチャ
ンバ内は10-5Torr以上の高真空状態に排気する。
板101を同一方向に配列させるステージと、この基板
101にチャンバの外部からレーザービームの照射を行
なうためのレーザービーム透過窓が設けられており、こ
のレーザービーム透過窓を通して発熱抵抗体103にレ
ーザービームを照射し、その加熱処理を行なう。
例ではレーザービームを発熱抵抗体103の配列に沿っ
て移動させて行なうようにしている。この他にも、例え
ばレーザービームを固定して、基板101あるいはそれ
を並置した真空排気システムのチャンバ全体を移動させ
るようにしてもよい。
を用いており、これを直径 2mmのビームに絞り前記の
発熱抵抗体103に沿って照射する。
での吸収係数が大きくなるような波長のもので、かつ単
位時間および単位面積当たりの熱量の微妙な調節が可能
であることが好ましい。これは発熱抵抗体103の効率
的な加熱と発熱抵抗体103以外の層や部位へのレーザ
ービームの加熱による悪影響を避けるためである。
に十分なものとするために必要な加熱温度は、この発熱
抵抗体103がサーマルプリンタヘッドとしての印字動
作を行なう際の最高到達温度を一つの目安とすることが
できる。また、従来技術の低圧加熱炉内での高温加熱の
温度および時間も一つの目安となる。本実施例では、摂
氏 450度で10〜15分間の加熱とした。前記の発熱抵抗体
103は余りに高温に加熱すると多結晶化が急速に進ん
でしまい、その抵抗値は所望の値とは大きく異なってし
まうので、そのような多結晶化が進まない範囲内の温度
に設定しなければならない。
を遂行するに際して諸々の実験等を行なった。その結
果、ビームスポットの直径が0.1 〜 3mmで波長が 1.0
64μm前後のYAGレーザーあるいは波長が 0.488μm
前後のArレーザーを用いて、エネルギー密度を 0.1乃
至 0.5J/cm2 ・pulseとなるように発熱抵抗体
103に照射することが望ましいことが判明した。具体
的には、最高出力値を 1乃至20W/cm2 、パルス幅
(照射時間)を 5乃至 500ms、パルス周波数を 500乃
至5000Hz、照射回数を 1乃至1000パルス程度としたレ
ーザービームを用いた。そしてこのレーザービームを、
照射ビームがパルス状になるように照射タイミング等を
制御しパルス変調して照射した。このときの照射回数
は、発熱抵抗体103の材質や膜厚などの条件によって
1乃至 500パルスの照射回数のうちの適切な値に設定す
る。
抗体103を加熱処理した後、発熱抵抗体103上にA
lのような金属薄膜からなる電極層104を成膜し、こ
の電極層104および発熱抵抗体103をフォトエッチ
ングプロセスにより各画素ごとの電極にパターニングす
る。
05を形成する。このパッシベーション層105は、S
iN、SiO、SiC、またはこれらの混合物を主成分
とする無機薄膜からなるものである。
実装、組み立て工程を経て、本発明に係るサーマルプリ
ンタヘッドが完成する。このとき、前述のごとく既に発
熱抵抗体103は加熱処理されているので、組み上がっ
たサーマルプリンタヘッドに通電するなどして発熱抵抗
体103の抵抗値を安定化する作業は不要となっている
ことは明らかである。
れたサーマルプリンタヘッドの耐久性を、従来技術に係
るものと比較して検証した。このときの動作条件は、以
下の通りである。即ち、一つ一つの印字画素に印加する
パルスを、パルス幅;tp =0.53ms、パルス周期;t
SR=1.25ms、パルス印加エネルギー;Ep =0.11mJ
/dot のように設定し、パルス印加回数が 1×108 パル
スに至るまで実験を続け、実験開始時の発熱抵抗体10
3の抵抗値をR= 1としてその抵抗値の変動率ΔR/R
を測定した。
るサーマルプリンタヘッドにおいては、発熱抵抗体10
3の抵抗値の変動率は 2%程度以内となり、非常に安定
したものとなっていることが確認された。
ッドにおいては、発熱抵抗体103の加熱処理を摂氏 4
50度の低圧チャンバ内で施したものの場合、抵抗値の変
動率はパルス印加回数 1×108 パルスの段階で+10%以
上となり、また摂氏 400度の加熱処理を低圧加熱炉内で
施したものの場合ではその抵抗値の変動率はパルス印加
回数 1×105 パルスの段階で−10%以下となり、その変
動率の絶対値はともに大きく、発熱抵抗体103の抵抗
値は本発明に係るものと比べて明らかに不安定で耐久性
が低いことが確認された。
マルプリンタヘッドは、発熱抵抗体103をレーザービ
ームによって加熱処理しているので、加熱する部位、深
さおよび温度をレーザービームの制御により正確に限定
することができる。このため、所望の発熱抵抗体103
の部位を選択的に適切な温度に加熱することができる。
これにより、従来技術に見られたような発熱抵抗体10
3の下層のグレーズ層102やセラミック基板101な
どが加熱されて変質し、ひいては印字画素の欠陥が発生
するという問題を解消している。このような本発明は、
発熱抵抗体103を安定化するのに要する温度以下で劣
化する、特にポリイミドのような耐熱性樹脂層を用いた
サーマルプリンタヘッドにおいて好適である。
レーザービームに対して透明ないしは透過性に支障のな
いものである場合には、このパッシベーション層105
を形成した後に、その上から照射深度を適宜に設定して
前記のレーザービームを照射するようにしてもよい。こ
の際、用いるレーザービームの設定としては、前述の通
常の場合の設定値において、エネルギー密度を 0.2乃至
2.0J/cm2 ・pulse、最高出力値を 2乃至20W
/cm2 程度に変更し、その他の値は前述したような通
常と同様の設定として用いることができる。
ラミック基板101の代わりに例えば金属基板201を
用いて、その上にポリイミドのような有機絶縁性膜から
なる耐熱性樹脂層202と、無機絶縁性膜からなる樹脂
保護層203と、発熱抵抗体204と、電極層205
と、パッシベーション層206とを下層からこの順に積
層した図2に示すような構造のサーマルプリンタヘッド
においても適用することができる。
0.3〜1.0 mm程度の厚さのSUSのような材質のもの
を、また耐熱性樹脂層202としては例えば10〜40μm
程度の厚さのものを用いることができる。そして耐熱性
樹脂層202の上に設ける樹脂保護層203としては、
例えばSiN、SiO、SiC、Τa2 Ο5 またはこれ
らの混合物を主成分とする 1〜 6μm程度の厚さの無機
薄膜を用いてもよい。
TaとSiO2 からなる組成の他に、Nb−SiO2 、
Ti−SiO2 、Zr−SiO2 、Cr−SiO2 な
ど、金属とSiO2 とを組み合わせたもの、あるいは他
のサーメット材や半導体材料を用いてもよい。このと
き、発熱抵抗体103の膜厚は、 200〜5000オングスト
ローム程度に設定する。
は、スパッタリング法の他にも各種のCVD法を用いる
などしてもよい。
ではレーザービームを発熱抵抗体103に沿って移動さ
せて行なうようにしているが、例えばレーザービームを
固定して、基板101側、即ち基板101あるいはそれ
を並置した真空排気システムのチャンバ全体を移動させ
るようにしてもよいことは言うまでもない。
ネルギービームとして第1の実施例におけるレーザービ
ームの代わりに電子ビームを用いた。またサーマルプリ
ンタヘッドとしては耐熱性樹脂層を有するものを用い
た。
るサーマルプリンタヘッドの構造を示す断面図である。
このサーマルプリンタヘッドは、図2に示すように、金
属基板201上に、ポリイミドからなる耐熱性樹脂層2
02と、それを保護する樹脂保護層としての無機絶縁性
膜203と、発熱抵抗体204、電極205と、パッシ
ベ−ション層206とを下層からこの順に積層した構造
を有している。
01上にポリイミドからなる耐熱性樹脂層202を形成
し、さらにその上にSi−Zr−Y−N−Oを主な構成
元素とする樹脂保護層203を形成する
l%、55mol%の割合で混成焼成したターゲットを用
いてスパッタリング法によりNb−SiO2 からなる発
熱抵抗体204を形成する。このときの成膜条件は、投
入RF(高周波)パワー; 4.5W/cm2 、Ar圧力;
10mTorrとした。その結果、発熱抵抗体204のシート
抵抗値は 3.5kΩ、比抵抗値は18mΩ・cmとなった。
また、この発熱抵抗体204の膜厚は 500オングストロ
ームとした。
ーマルプリンタヘッド基板を収容したままの状態の真空
システム内を 1×10-6Torrまで排気し、その真空システ
ムにあらかじめ設けておいた電子銃により発熱抵抗体2
04の表面に電子ビームを照射する。本実施例では、加
速電圧 500V、エミッション電流50mAで直径 2mmの
ビームスポットを作り、この電子ビームを発熱抵抗体2
04の配列方向に沿って約 2mm/sの速度で走査しな
がら発熱抵抗体204の実効的に発熱を行う部分を含む
領域に照射していった。この走査は、例えば発熱抵抗体
204の列の左から右へと一度走査させるだけでよい。
このように発熱抵抗体204の実効的な発熱領域の幅よ
りも大きな寸法にビーム径を調節しているので、何度も
往復して照射することなく一度だけのビーム走査で済む
ため、製造の際のスループットを飛躍的に向上させるこ
とができる。ただし、例えば用いる電子銃の出力が発熱
抵抗体の加熱処理に必要な熱量に対して十分でない場合
や発熱抵抗体の実効的な発熱領域の幅が広い場合など、
必要であれば複数回にわたって走査を繰り返してもよい
ことは言うまでもない。また、この走査は電子ビームス
ポットを固定しておきサーマルプリンタヘッド基板を移
動させてもよい。
上にAl膜を成膜し、フォトエッチングによりこのAl
膜をパターニングして各画素ごとに分離して電極205
を形成する。
ン層206を形成する。その後、通常の実装工程を経て
サーマルプリンタヘッドを完成する。
タヘッドにおいては、電子ビームが照射された部分の発
熱抵抗体204の比抵抗値は電子ビームの照射前に対し
て約11%低下し16mΩ・cmとなった。従来のアニール
法を用いた加熱処理による比抵抗値の低下率から推定す
ると、発熱抵抗体204の抵抗値が前記の16mΩ・cm
となるためには発熱抵抗体204は 500℃程度まで加熱
されていたことになる。このような発熱抵抗体204の
電気抵抗値を安定化するための加熱処理の温度条件とし
ては、少なくともサーマルプリンタヘッドとして発熱し
て印字を行なう到達温度以上でなければならないが、一
方、発熱抵抗体204の結晶化が始まる程高い温度で
は、結晶化により発熱抵抗体204の動作特性が低下し
てしまう。したがって、発熱抵抗体204等に用いる材
料などの条件によっても異なるが、300℃〜 700℃の範
囲の温度で加熱処理することが望ましい。
来技術に係るサーマルプリンタヘッドとを実際に動作さ
せて比較し、その耐久性を検証した。動作条件は、パル
ス幅; 0.8ms、繰り返し周期; 2msとして、発熱抵
抗体に連続的に0.16mJ/dot のエネルギーをパルス的
に印加し、発熱抵抗体の抵抗値の変化を測定した。その
際の測定点はサーマルプリンタヘッドの中央部および最
端部とした。
実施例のサーマルプリンタヘッドの場合を示す。図4
(b)はランプヒータを用いて発熱抵抗体を 500℃で加
熱処理した従来のサーマルプリンタヘッドの場合を示
す。図4(c)は発熱抵抗体に通電加熱処理を施した従
来のサーマルプリンタヘッドの場合を示す。また中央部
で測定した値を曲線Aで示す。また最端部で測定した値
を曲線Bで示す。
では、同図(a)に示すように中央部(A)も最端部
(B)も 1×108 回パルス印加まで変化率は± 2%以内
に収まっており安定していた。
ンタヘッドの場合では、同図(b)に示すように中央部
(A)は比較的安定的に推移したものの最端部(B)は
1×107 回パルス印加の時点では抵抗値変化率が−10%
を越える変動の大きさとなった。これは発熱抵抗体の加
熱処理時に、少なくとも中央部と最端部とで温度分布に
不均一が生じたためと考えられる。
ンタヘッドの場合では、同図(c)に示すように 1×10
7 回パルス印加の時点で抵抗値変化率が中央部(A)、
最端部(B)共に−10%を越えて大きく変動した。この
ように抵抗値変化率が中央部(A)、最端部(B)共に
大きく変動したのは、明らかに通電加熱による安定化の
程度が全体的に弱く、十分な安定化が成されなかったた
めと考えられる。このとき通電加熱処理によって発熱抵
抗体の抵抗値を 7%低下させた。 7%以上低下させよう
とすると発熱抵抗体の抵抗値に保護膜からの酸素拡散な
どによる異常が発生するためである。このように通電加
熱では十分な安定化が成されない。
ムは、グレーズ層を用いた図1に示すような構造のサー
マルプリンタヘッドの発熱抵抗体の加熱処理にも用いる
ことができることは言うまでもない。
高エネルギービームとして用いた電子ビ−ムに代わって
レ−ザ−ビ−ムを発熱抵抗体204に照射してその電気
抵抗を安定化し、かつ樹脂保護層203にも高エネルギ
ービームとしてのレーザービームを照射してその安定化
を図るものである。
ヘッドの構造およびその積層工程、パタ−ニング工程は
第2の実施例とほぼ同様であるので、説明の簡潔化のた
めにその詳細な説明は第2の実施例を参照するものと
し、発熱抵抗体204の電気抵抗に加熱処理を施す工程
と、樹脂保護層に加熱処理を施す工程とを中心に説明す
る。そして第2の実施例と同様の部位は第2の実施例と
同様の番号を付して示す。
熱性樹脂層202とそれを保護する無機絶縁性膜からな
る樹脂保護層203とを形成し、これを真空槽内に収容
して10-5Torr以上の高真空状態にした後、樹脂保護層2
03にレーザービームを照射して加熱処理を施す。
203での熱の吸収係数が大きくなる波長で、かつ単位
時間および単位面積あたりの投入熱量の微妙な調節が可
能であることが望ましい。これは、樹脂保護層203を
効率的に加熱し、かつその下層の耐熱性樹脂層202に
は加熱による熱分解などの悪影響を与えることを避ける
ためである。
より低い温度で樹脂保護層203を加熱処理すると、発
熱抵抗体204を加熱処理する際の熱により樹脂保護層
203から酸素などの成分が発熱抵抗体204に拡散し
て発熱抵抗体204の電気抵抗値などの特性に異変が発
生してしまう。したがってこれを避けるために、樹脂保
護層203の加熱処理の温度は、後工程で発熱抵抗体2
04を加熱処理する際の温度より高くすることが好まし
い。そこで本実施例では、発熱抵抗体204の加熱処理
の温度を、後工程で発熱抵抗体204を加熱処理する際
の約500 ℃よりも高い温度である約600 ℃とした。
本発明を遂行するに際して諸々の実験を行なった。その
結果、ビームスポットの直径が0.5 〜 5mmで波長が1.
064 μm前後のYAGレーザーあるいは波長が0.488 μ
m前後のArレーザーを用いて、エネルギ一密度を0.1
乃至0.5J/cm2 ・ pulse となるように樹脂保護層2
03に照射すればよいという結論を得た。具体的には、
本実施例では最高出力値を 1乃至20w/cm2 、パルス幅
(照射時間)を 5乃至500 ms、パルス周波数を 500乃
至5000Hz 、照射回数を1 乃至1000パルスとしたレーザ
ービームを用いた。そしてこのレーザービームを、照射
ビームがパルス状になるように照射タイミング等を制御
しパルス変調して照射した。このときの照射回数は、樹
脂保護層203の材質や膜厚などの条件によって1乃至
1000パルスの照射回数のうちの適切な値に設定する。
を樹脂保護層203上に照射する。このとき、後工程で
形成する発熱抵抗体204の実効的な発熱領域の幅より
も大きな寸法にビーム径を調節し、発熱抵抗体204の
実効的な発熱領域の長手方向に沿ってレーザービームを
走査するように移動させながら樹脂保護層203に照射
する。ここで例えば右から左へのー度だけの走査でレー
ザービームを照射して加熱処理を行なえば、何度も往復
して照射することがないので処理時間を短縮化すること
ができるので好ましい。ただし、例えば用いるレーザー
ビームの熱量が樹脂保護層の加熱処理に必要な熱量に対
して十分でない場合や、加熱したい樹脂保護層の幅がス
ポット径に比べて広い場合など、必要であれば複数回に
わたって走査を繰り返してもよいことは言うまでもな
い。また、この照射はレーザービームを固定しておきサ
ーマルプリンタヘッド基板を移動させてもよい。
203上に、スパッタリング法によりNb−Si−0を
主構成元素とする発熱抵抗体204を成膜する。
ームを照射して加熱処理を施す。このレーザービームに
よる加熱処理は、第1の実施例と同様の方法で温度約 5
00℃で行なう。ただしこの際にも、発熱抵抗体204の
実効的な発熱領域の幅よりも大きな寸法にビーム径を調
節し、発熱抵抗体204の実効的な発熱領域の長手方向
に沿ってレーザービームを走査するように移動させなが
ら発熱抵抗体204に照射する。そして例えば右から左
への一度だけの走査でレーザービームを照射して加熱処
理を行なえば、何度も往復して照射することがないので
処理時間を短縮することができるので好ましい。ただ
し、例えば用いるレーザービームの熱量が発熱抵抗体の
加熱処理に必要な熱量に対して十分でない場合や、加熱
したい発熱抵抗体の幅がスポット径に比べて広い場合な
ど、必要であれば複数回にわたって走査を繰り返しても
よいことは言うまでもない。また、レーザービームを固
定しておきサーマルプリンタヘッド基板を移動させても
よい。
タヘッドの樹脂保護層203にレーザービームを照射し
て加熱処理を施した場合と、加熱処理を施さない場合の
それぞれの場合について、発熱抵抗体を加熱処理した後
の発熱抵抗体の電気抵抗値の変化率を測定した。これを
図5に示す。
合では、複数の基板間では電気抵抗値の変化率は+10.1
%のものから-3.4%のものまであり、ばらつきの幅が大
きい。しかし保護層203にレーザービームを照射して
加熱処理を施した場合では、電気抵抗値の変化率は-7.5
%から-8.0%までの間に集中しており、ばらつきの幅が
たいへん小さく抑えられることが確認された。
脂保護層203を約600 ℃に熱する加熱処理を行なった
ところ、その下層の耐熱性樹脂層202には熱分解およ
び膨れが生じ、実用に供されるものではなくなった。
ルプリンタヘッドの耐久性を、従来技術に係るものと比
較して検証した。このときの動作条件は、以下の通りで
ある。即ち、一つ一つの印字画素に印加するパルスを、
パルス幅( 1パルスの時間);tp =0.53ms、パルス
周期;tSR=1.25ms、パルス印加エネルギー;Ep=
0.11mJ/dot のように設定し、パルス印加回数が 1×
108 パルスに至るまで複数のサーマルプリンタヘッドに
対して実験を続け、実験開始時の発熱抵抗体203の抵
抗値をR= 1としてその抵抗値の変動率ΔR/Rを測定
した。
るサーマルプリンタヘッドの発熱抵抗体203の抵抗値
の変動率は−0.5 %から−2.5 %の間に集中しており、
そのばらつきの幅が極めて小さく、均一な抵抗値に製造
することができ、また耐久性に優れたものとなっている
ことが確認された。
ッドにおいては、パルス印加回数 1×108 パルスの段階
で、抵抗値の変動率はものによっては+20.1%のものか
ら+4.0%のものまであり、抵抗値のばらつきが大きく
またその変動率の絶対値も大きくなり、本発明に係るも
のと比べて明らかに不安定で耐久性が低いことが確認さ
れた。
樹脂保護層203を選択的に所望の温度にレーザービー
ムを照射して加熱することができる。これにより下層の
耐熱性樹脂層202などに熱分解のような熱的ダメージ
を与えることを避けつつ樹脂保護層203に十分な加熱
処理を施し、その組成の安定化を図ることができる。さ
らに、そのように安定化された樹脂保護層203の上に
発熱抵抗体204を形成し、この発熱抵抗体204に選
択的にレーザービームを照射して十分な加熱処理を施し
て電気抵抗の安定化を図ることができる。その結果、性
能が安定しており耐久性の高いサーマルプリンタヘッド
を提供することができる。
高エネルギービームとして用いたレーザービームに代わ
って電子ビームを発熱抵抗体204に照射してその電気
抵抗を安定化し、かつ樹脂保護層203にも高エネルギ
ービームとして電子ビームを照射してその安定化を図る
ものである。
ヘッドの積層工程やパターンニング工程は第2、第3の
実施例とほぼ同様のものなので、説明の簡潔化のために
その詳細な説明は第2の実施例を参照するものとし、発
熱抵抗体204に加熱処理を施す工程と、樹脂保護層2
03に加熱処理を施す工程とを中心に説明する。そして
第2の実施例と同様の部位は第2の実施例と同様の番号
を付して示す。
熱性樹脂層202とそれを保護する無機絶縁性膜からな
る樹脂保護層203とを形成し、これを真空槽内に収容
して10-6Torr以上の高真空状態にした後、樹脂保護層2
03に電子ビームを照射して加熱処理を施す。
203での熱の吸収係数が大きく、かつ単位時間および
単位面積あたりの投入熱量の微妙な調節が可能であるこ
とが望ましい。これは、樹脂保護層203を効率的に加
熱し、かつその下層の耐熱性樹脂層202には加熱によ
る熱分解などの悪影響を与えることを避けるためであ
る。
より低い温度で樹脂保護層203を加熱処理すると、発
熱抵抗体204を加熱処理する際の熱により樹脂保護層
203から酸素などの成分が発熱抵杭体204に拡散し
て、発熱抵杭体204の電気抵杭値などの特性に異変が
発生してしまう。したがってこれを避けるために、樹脂
保護層203の加熱処理の温度としては、後工程で発熱
抵抗体204を加熱処理する際の温度より高くすること
が好ましい。そこで本実施例では、樹脂保護層203の
加熱処理の温度を、後工程で発熱抵抗体204を加熱処
理する際の約 600℃よりも高い温度である約650 ℃とし
た。
本発明を遂行するに際して諸々の実験を行なった。その
結果、本実施例では、加速電圧500 V、エミッシヨン電
流50mAで直径2 mmのビームスポットを作り、この電
子ビームを発熱抵抗体204が後工程で配設される予定
の領域の長手方向に沿って約 2mm/sの速度で走査し
ながら樹脂保護層203に照射した。この走査は、樹脂
保護層203の長手方向に、例えば左から右へとー度の
走査だけでよい。このように発熱抵抗体204の実効的
な発熱領域の幅よりも大きな寸法にビーム径を調節して
いるので、何度も往復して照射することなくー度だけの
ビーム走査で済むため、処理時間を短縮することができ
る。ただし、例えば用いる電子銃の出力が保護層の加熱
処理に必要な熱量に対して十分でない場合や、保護層の
加熱処理の必要な幅がビームスポットの寸法よりも広い
場合など、必要であれば複数回にわたって走査を繰り返
してもよいことは言うまでもない。また、この走査は電
子ビームスポットを固定しておきサーマルプリンタヘッ
ド基板を移動させてもよい。
203上に、スパッタリング法によりNb−Si−Oを
主構成元素とする発熱抵抗体204を成膜する。
を照射して加熱処理を施す。電子ビームによる加熱処理
は、照射出力など電子ビームの諸条件を変更して加熱処
理温度を温度約 600℃に変えた他は第2の実施例とほぼ
同様の方法で行なった。具体的には、そのときの電子ビ
ームとしては、加速電圧 500V、エミッション電流45m
Aで直径 2mmのビームスポットを作り、この電子ビー
ムを発熱抵抗体204の配列方向に沿って約 2mm/s
の速度で走査しながら発熱抵抗体204の実効的な発熱
領域に照射していった。
サ−マルプリンタヘッドの耐久性を、従来技術に係るも
のと比較して検証した。このときの動作条件は、以下の
通りである。即ち、−つーつの印字画素に印加するパル
スを、パルス幅;tp =0.5ms、パルス周期;tsR
=2.5 ms、パルス印加エネルギー;Ep =0.28W/d0
t のように設定し、パルス印加回数が 1×108 パルスに
至るまで実験を続け、実験開始時の発熱抵抗体204の
抵抗値をR= 1としてその抵抗値の変動率ΔR/Rを測
定した。
るサーマルプリンタヘッドにおいては発熱抵抗体204
の抵抗値の変動率は士2%の間に集中しており、そのば
らつきの幅が極めて小さく、抵抗値が均一で、かつ耐久
性に優れたものとなっていることが確認された。
ない場合では、前記の第3の実施例で比較対象として挙
げたように、複数の基板間で電気抵抗値の変化率のばら
つきが大きかった。
脂保護膜203を約650 ℃に熱する加熱処理を行なった
ところ、その下層の耐熱性樹脂層202に熱分解および
膨れが生じて顕著に劣化し、実用に供されるものではな
くなった。
樹脂保護層203を選択的に所望の温度に電子ビームを
照射して加熱することができる。これにより耐熱性樹脂
層202に熱分解のような熱的ダメージを与えることを
避けつつ樹脂保護層203に十分な加熱処理を施してそ
の安定化を図ることができる。さらに、そのように安定
化された樹脂保護層203の上に発熱抵抗体204を形
成し、この発熱抵抗体204に選択的に電子ビームを照
射して十分な加熱処理を施してその電気抵抗の安定化を
図ることができる。その結果、性能が均一で安定してお
り、かつ耐久性の高いサーマルプリンタヘッドを提供す
ることができる。
発明によれば、レーザービームや電子ビームのような高
エネルギービームを樹脂保護層に選択的に照射して所望
の温度に加熱することができる。これにより耐熱性樹脂
層など樹脂保護層以下の層に熱分解のような熱的ダメー
ジを与えることを避けつつ樹脂保護層の安定化を図るこ
とができる。また、そのように安定化された樹脂保護層
の上に発熱抵抗体204を形成し、この発熱抵抗体20
4に選択的にレーザービームや電子ビームのような高エ
ネルギービームを照射して十分な加熱処理を施し、その
電気抵抗の安定化を図ることができる。その結果、性能
が均一で安定しており、かつ耐久性の高いサーマルプリ
ン夕ヘッドを提供することができる。
構造を示す図。
構造を示す図。
耐久性を検証する実験結果を示す図。
耐久性を検証する実験結果を示す図。
発熱抵抗体加熱処理後の発熱抵抗体の抵抗値のばらつき
を検証する実験結果を示す図。
耐久性を検証する実験結果を示す図。
耐久性を検証する実験結果を示す図。
熱抵抗体、104・・・ 電極層、105・・・ パッシベーシ
ョン層、201・・・ 金属基板、202・・・ 耐熱性樹脂
層、203 ・・・ 樹脂保護層、204・・・ 発熱抵抗体、2
05・・・ 電極層、206・・・ パッシベーシヨン層
Claims (6)
- 【請求項1】 通電により発熱して印字動作を行なう発
熱抵抗体を基板上に形成する工程と、前記発熱抵抗体に
加熱処理を施す工程とを有するサーマルプリンタヘッド
の製造方法において、金属とSiO 2 からなる組成を有する 発熱抵抗体をスパ
ッタリング法により形成する工程と、 前記発熱抵抗体にパルス状のレーザービームを照射し前
記の照射回数を選択して前記発熱抵抗体の急激な多結晶
化を抑制しかつ該発熱抵抗体の電気抵抗を安定化させる
工程を具備することを特徴とするサーマルプリンタヘッ
ドの製造方法。 - 【請求項2】 基板上に耐熱樹脂層を形成する工程と、
前記耐熱樹脂層上に樹脂保護層を形成する工程と、前記
樹脂保護層上に通電により発熱して印字動作を行なう発
熱抵抗体を形成する工程とを有するサーマルプリンタヘ
ッドの製造方法において、 前記発熱抵抗体に高エネルギービームを照射して加熱処
理を施し該発熱抵抗体の電気抵抗を安定化させる工程を
具備することを特徴とするサーマルプリンタヘッドの製
造方法。 - 【請求項3】 前記樹脂保護層に高エネルキービームを
照射して加熱処理を施す工程を具備することを特徴とす
る請求項2記載のサーマルプリンタヘッドの製造方法。 - 【請求項4】 基板上に耐熱樹脂層を形成する工程と、
前記耐熱樹脂層上に樹脂保護層を形成する工程と、前記
樹脂保護層上に通電により発熱して印宇動作を行なう発
熱抵抗体を形成する工程とを有するサーマルプリンタヘ
ッドの製造方法において、 前記樹脂保護層に高エネルギービームを照射して加熱処
理を施す工程を具備することを特徴とするサーマルプリ
ンタヘッドの製造方法。 - 【請求項5】 前記レーザービーム又は前記高エネルギ
ービームのビームスポットを前記発熱抵抗体の実効的に
作用する幅よりも大きな寸法に調節し、前記発熱抵抗体
の配列方向に前記レーザービーム又は前記高エネルギー
ビームを走査させて前記発熱抵抗体に照射する工程とを
具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の
サーマルプリンタヘッドの製造方法。 - 【請求項6】 前記高エネルギービームのビームスポッ
トを前記発熱抵抗体の実効的に作用する幅方向よりも大
きな寸法に調節し、後工程で形成される前記発熱抵抗体
の配列方向に前記高エネルギービームを走査させて前記
樹脂保護層に照射する工程とを具備することを特徴とす
る請求項3または請求項4記載のサーマルプリンタヘッ
ドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30693092A JP3262388B2 (ja) | 1992-02-26 | 1992-11-17 | サーマルプリンタヘッドの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4-39422 | 1992-02-26 | ||
JP3942292 | 1992-02-26 | ||
JP30693092A JP3262388B2 (ja) | 1992-02-26 | 1992-11-17 | サーマルプリンタヘッドの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05301365A JPH05301365A (ja) | 1993-11-16 |
JP3262388B2 true JP3262388B2 (ja) | 2002-03-04 |
Family
ID=26378802
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30693092A Expired - Lifetime JP3262388B2 (ja) | 1992-02-26 | 1992-11-17 | サーマルプリンタヘッドの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3262388B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009137284A (ja) * | 2007-11-13 | 2009-06-25 | Tdk Corp | サーマルヘッド、サーマルヘッドの製造方法及び印画装置 |
-
1992
- 1992-11-17 JP JP30693092A patent/JP3262388B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05301365A (ja) | 1993-11-16 |
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