JP3903749B2 - サーマルインクジェットプリントヘッド及びその発熱抵抗体の製造方法 - Google Patents

サーマルインクジェットプリントヘッド及びその発熱抵抗体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱抵抗体とその製造方法に係わり、更に詳しくは、高い抵抗率を有し、キャビテーション耐性に優れ、且つ再現性良く製造できる発熱抵抗体を備えたサーマルインクジェットプリントヘッドとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット方式のプリンタが広く用いられている。このインクジェット方式のプリンタに用いられる印字ヘッドには、インクを加熱し気泡を発生させてその圧力でインク滴を飛ばすサーマル方式や、ピエゾ抵抗素子(圧電素子)の変形によってインク滴を飛ばすピエゾ方式等の印字ヘッドがある。
【0003】
これらは、色材たるインクをインク滴にして直接記録紙に向かって吐出し印字を行うから、粉末状の印材であるトナーを用いる電子写真方式と比較した場合、印字エネルギーが低くて済み、インクの混合によってカラー化が容易であり、印字ドットを小さくできるので高画質であり、騒音が極めて低いので、特にパーソナル用プリンタの印字ヘッドとして広く用いられている。
【0004】
上記のサーマル方式の印字ヘッドには、インク滴の吐出方向により二通りの構成があり、一つは発熱素子の発熱面に平行な方向へインク滴を吐出する構成のサイドシュータ型と呼ばる形式のもの、他の一つは発熱素子の発熱面に垂直な方向にインク滴を吐出する構成のルーフシュータ型と呼ばれる形式のものである。このルーフシュータ型の印字ヘッドは、サイドシュータ型に比較して、消費電力が極めて小さく経済的であることが知られている。
【0005】
図6(a) は、そのようなルーフシュータ型のインクジェットプリンタに配設される印字ヘッドのインク吐出面を模式的に示す平面図であり、同図(b) は、そのA−A′断面矢視図、同図(c) は、その内部構造を透視的に示す拡大平面図である。同図(a),(b),(c) に示す印字ヘッド1は、シリコンチップ基板2の上で、LSI形成処理技術と薄膜形成処理技術とにより形成され、完成後にシリコンウェハから個々に切り出されて採取される。
【0006】
同図(a) に示すように、印字ヘッド1のインク吐出面には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4種類のインクを吐出するための4列のノズル列3が形成されている。1列のノズル列3には、例えばこの印字ヘッド1が600ドット/25.4mmの解像度で、多数のノズル4が42.3μmの配列ピッチで縦1列に並んで配置されている。これらの各ノズル列3には不図示のインクカートリッジ等から各ノズル列3に対応する色のインクが夫々供給される。
【0007】
この印字ヘッド1の内部構造は、同図(b),(c) に示すように、シリコンチップ基板2上に、LSIからなる駆動回路5と薄い発熱抵抗膜6が形成され、この発熱抵抗膜6の発熱部つまり発熱抵抗体6aとなる部分の一方の端部と駆動回路5を結ぶ個別配線電極7が形成され、更に発熱抵抗体6aの他方の端部と給電用端子8(同図(a) 参照)とを接続する共通電極9が形成されている。そして、これらの上に隔壁11(11a、11b、11c)が積層されている。上記の発熱抵抗体6aと個別駆動電極7は、それぞれ後から形成されるノズル列3のノズル4の数だけ配設される。
【0008】
そして、この発熱抵抗体6aの配置方向と平行に延在するインク供給溝12と、このインク供給溝12に連通してシリコンチップ基板2の下面に貫通するインク供給孔13が穿設され、これらの上からオリフィス板14が、隔壁11上に接着されて積層されている。このオリフィス板14の積層により、隔壁11の厚さに対応する高さおよそ10μmのインク供給路15が、発熱抵抗体6aとインク供給溝12間に形成される。この後、オリフィス板14に、インクを吐出する上述のノズル4が形成される。
【0009】
この印字ヘッド1は、印字時には、外部のインクカートリッジ等から発熱抵抗体6aに、インク供給孔13、インク供給溝12及びインク供給路15を介してインクが供給される。駆動回路5は、画像情報に応じて複数の発熱抵抗体6aを選択的に通電してインクとの界面に急激に膨張し消滅する膜気泡現象を発生させ、その膨張時の圧力でインク滴をノズル4から用紙面に向かって吐出させる。
【0010】
図7(a),(b),(c) は、上記印字ヘッド1の基本的なインク吐出動作を示す図である。同図には、図6(a),(b),(c) に示した構成と同一の構成部分には図6(a),(b),(c) と同一の番号を付与して全体を簡略に示している。
先ず、図7(a) に示す待機状態において、外部からインク供給路15に供給されているインク16は、ノズル4内に入り込み、オリフィス板14の上面に沿ったノズル4の上部開口でメニスカス16aを形成している。
【0011】
次に、このノズル4からインク16を吐出させるには、上述したように画像情報に応じた通電により発熱抵抗体6aを発熱させて、同図(b) に示すように、発熱低抗体6a上に膜気泡17を発生させる。この膜気泡17は最初に発生した多数の核気泡がが合体して形成されたものである。
【0012】
この膜気泡17が断熱膨張して成長し周囲のインク16を押し遣り、これによりノズル4からインク16bが押し出され、更にこの押し出されたインク16bが、同図(c) に示すように、インク滴16cとなってノズル4から不図示の記録媒体に向けて吐出される。この後、上記の成長した膜気泡は周囲のインクに熱を取られて収縮して、ついには消滅する。インク滴16cが飛び出した直後のインク16は、ノズル4の底部でメニスカス16aを形成しているが、このメニスカス16aはインク16が外部からインク供給路15に補充されることにより、ノズル4内を上昇して、同図(a) の基準待機状態に復元される。
【0013】
図8(a),(b) は、上記のインク滴の吐出に係る気泡の成長と消滅の過程を模式的に示す図である。同図(a) は実験的に水深1mm(ミリメータ)のオープンプール18に設定した発熱抵抗体6aと、これによる気泡の成長と消滅の過程を0〜6μs(マイクロ秒)まで、1μs毎に示している。また、同図(b) は発熱抵抗体6aへの通電タイミングを示している。
【0014】
同図(a) に示すように、0〜1μsで発熱抵抗体6aが加熱され、1〜2μsで核気泡が成長し、2μsから3μsに至る間に図7(c) に示したインク滴16cを吐出する気泡17が発生し、3μsでは既にその気泡の収縮が始まっている。そして6μsで気泡が消滅するまでの間に気泡内部の圧力が急激に低下し、図8(a) の矢印a−1、a−2、a−3で示すにように負圧を伴うキャビテーションが発生する。このキャビテーションは、発熱抵抗体6aを設置面から引き剥がそうとする力として働き、その衝撃力は、上記の水深1mmのオープンプールの場合、1000ton/cm2 に達すると言われている。このような稼動環境下において、発熱抵抗体6aは、キャビテーションの衝撃により、やがて破壊される。
【0015】
一方、発熱抵抗体6aの寿命確保は重要な課題である。したがって、上記のキャビテーションの衝撃によって発熱抵抗体6aが破壊されるという不具合の発生を極力防止する構成が考えられてきた。
ところで、発熱抵抗体6a(つまり発熱抵抗膜6)の材料としては、▲1▼耐キャビテーション性が良いこと(これにより上記のキャビテーションの衝撃によって容易に破壊されないようにすること)、▲2▼抵抗の温度変化が少ないこと(これにより印字中におけるインク滴の安定した吐出性向を維持できるようにすること)、及び、▲3▼抵抗の値が金属的でないこと(4mΩcm以上、更に望ましくは5mΩcm以上)(これにより印加される電流に対して効率的な発熱を行うこと)の3点の特性が特に求められる。
【0016】
上記の▲1▼及び▲2▼の特性要件をある程度満たす材料として、Ta−Si−O系の材料がある。これは、金属の単純酸化物では所望の高抵抗率の素材とはならないことから、アモルファス金属に酸素(O)を加えることによって高抵抗率が得られるのではないかとした発想に基づくものである。そして、金属にタンタル(Ta)を用い、Ta−Siのアモルファス金属にOを種々の割合で加えて、Ta−Si−O系の種々の試料を試作して実験して見た結果、所望の高抵抗の発熱抵抗体が得られるばかりでなく耐キャビテーション性もあることが判明したものである。
【0017】
ところが、このTa−Si−O系の発熱抵抗体で実際に図8に示したような水のオープンプールでの実験を行ってみると、破壊までの寿命が一億パルスを越えることは困難であって、耐キャビテーション性が十分であるとはいい難いことが判明している。例えば、このTa−Si−O系の発熱抵抗体で抵抗率が4mΩcmの試料では、耐キヤビテーション性の評価は悪いといえる。
【0018】
そこで、この問題を解決するために、上記の▲1▼、▲2▼、▲3▼全ての特性要件を満たす材料として、上記Ta−Si−O系の構成に、価数の異なる窒素(N)を導入したTa−Si−O−N系の材料が考えられた。これによれば、単位体積あたりの原子数が増えて、結果として耐キャビテーション性が増加することが判明している。
【0019】
図9(a) は、M−Si−O系(但しMは金属)の発熱抵抗体の内部構造を模式的に示す図であり、同図(b) は、M−Si−O−N系の発熱抵抗体の内部構造を模式的に示す図である。Nが加わることによって単位体積あたりの原子数が増加するメカニズムについては、本発明の主題ではないので詳細な説明は省略するが、同図(a) に示すM−Si−O系の発熱抵抗体の内部構造に比較して、同図(b) に示すM−Si−O−N系の発熱抵抗体の内部構造では原子間の間隔が蜜になっている即ち単位体積あたりの原子数が増加している。この結果、耐キャビテーション性が増加すると考えられる。
【0020】
このようなM−Si−O−N系の発熱抵抗体の膜を形成するには、一例として、Ta−Si−O−N系を例にとって説明すると、まず、スパッタリング装置を用い、Ta板に所定の量のSiを埋めこんだターゲット、例えばTa:Si=3:1であるようなターゲットを使用し、真空槽内を1×10-6×133Pa以下に排気した後、Ar+O2 +Nを所定量導入した雰囲気中で溶射法によって作成する。スパッタ条件は、基板にはSiを使用し、基板の温度は約2000℃、成膜速度は約20Å/sec、成膜の膜厚は2400Åとする。この成膜の後、所定の電気炉に入れて400℃、10分間のアニール(熱処理)を行うと、温度変化の少ない安定した抵抗値が得られる。
【0021】
そして、この発熱抵抗体の図9(b) に示したような耐キャビテーション性については、具体的には、この発熱抵抗膜をオープンプール用の試料として、25μm角の大きさに形成する。上記スパッタリングで形成した膜を25μm角の大きさにパターン化するには、発熱抵抗膜上にレジストを積層し、このレジストをフォトリソグラフィ技術によりパターン化してマスクを作り、このマスクに従って発熱抵抗膜をエッチングすることにより25μm角の発熱抵抗体にパターン化する。
【0022】
そして、この試料を水のオープンプールに浸け、基板をGNDに落とさないで、印加パルスの試験を行うと、印加パルスのエネルギーを1μJとし、印加パルス幅を1μsecとして、一億パルスを印加した後も、キャビテーションによる大きな破壊は見られない極めて優れた耐キャビテーション性を備えていることが判明する。
【0023】
Ta−Si−Oの三元組成からなる材料がOのモル%を大きくするに従って抵抗値が大きくなるのと同様に、このTa−Si−O−Nの四元組成の材料の場合もOのモル%を大きくしていくに従って抵抗値が大きくなることは、実験の結果判明している。この特質を利用して、このTa−Si−O−N系の材料を用いて抵抗率が大きく従って発熱効率が良く、且つ強い耐キャビテーション性を有する膜を作成することができる。また、Ta−Si−O−N系に限らず、Taの代わりに他の金属(M:メタル)を用いたM−Si−O−N系でも同様である。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなM−Si−O−N系の材料は、Oのモル%を充分大きくして上記のように高抵抗になると、製造ロットによって得られる抵抗率にバラツキがあって抵抗特性が不安定になる傾向がある。つまり高抵抗になると設定した抵抗率の再現性が困難になるという製造上の問題を有しており、これは、所望の抵抗率の発熱抵抗体を備えたサーマルインクジェットプリントヘッドを作成するに当って製造歩留りが低下するという大きな問題に繋がるものであった。
【0025】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、高い抵抗率を有し、キャビテーション耐性に優れ、且つ再現性良く製造できる発熱抵抗体を備えたサーマルインクジェットプリントヘッドとその製造方法を提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
先ず、請求項1記載の発明のサーマルインクジェットプリントヘッドは、基板表面に設けられた発熱抵抗体によりインクを加熱して発生させる気泡の圧力によりインクを所定方向に吐出させて記録を行うサーマルインクジェットプリントヘッドであって、上記発熱抵抗体は、アモルファス構造をなし、組成の成分元素にWとSiとOとNとHを含む、或いはアモルファス構造をなし、組成の成分元素にMoとSiとOとNとHを含み、該Hのモル%Mhが「3モル%<Mh<5モル%」であるように構成される
【0027】
例えば請求項記載の発熱抵抗体の製造方法は、組成の成分元素がWとSiとOとNとH、又はMoとSiとOとNとHからなる発熱抵抗体の製造方法であって、酸素ガス、窒素ガス、及び水蒸気を所定の割合で含む雰囲気中において、WとSi、又はMoとSiからなるターゲットを使用し、成分元素のHが4モル%以上となる発熱抵抗体をスパッタリングにより成膜する。
【0028】
これにより、高い抵抗率を有し、耐キャビテーション性に優れた発熱抵抗体を再現性良く製造することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施の形態におけるサーマルインクジェットプリントヘッドの発熱抵抗体近傍の構成を示す拡大断面図である。同図に示すように、サーマルインクジェットプリントヘッド20は、基板21の上に不図示の絶縁膜を介して発熱抵抗膜22が条形にパターン化されて、紙面垂直方向に多数並んで配置される。この発熱抵抗膜22の上に、個別配線電極23と共通電極24が形成され、発熱抵抗膜22の、それら個別配線電極23と共通電極24とに挟まれた部分が発熱抵抗体22aを形成している。
【0030】
そして、個別配線電極23の上に隔壁25が紙面垂直方向に延在して配設され、この隔壁25から紙面左方向に伸び出して、隣接する発熱抵抗体22aと発熱抵抗体22aとの間に、図では見えないが区画隔壁(図6(b),(c) の隔壁11c参照)が配設される。こられの隔壁25及び上記の区画隔壁の上に、オリフィス板26が積層され、このオリフィス板26の発熱抵抗体22aと対向する位置に、インク滴を吐出するオリフィス27が穿設される。各発熱抵抗体22aには、外部からインク供給路28を通ってインクが供給され、図7(a),(b),(c) に示した場合と同様にして、発熱抵抗体22aが発熱し、オリフィス27からインク滴が吐出される。
【0031】
上記の構成において、発熱抵抗体22aつまり発熱抵抗膜22は、アモルファス構造をなしている。そして、その組成の成分元素にM(金属)とSiとOとNとH(水素)を含んいる。また、上記組成の成分元素のうち、Hのモル%Mhは「3モル%<Mh<5モル%」である。ここで上記Mは具体的にはW(タングステン)或いはMo(モリブデン)である。
【0032】
この発熱抵抗膜22は、スパッタリング装置を用いて作成される。先ずスパッタリング装置のチャンバー内に基板21を載置し、酸素ガス、窒素ガス、及び水蒸気を所定の割合で含む雰囲気中において、MとSi(本例ではタングステン(W)とSi、又はモリブデン(Mo)とSi)からなるターゲットを使用し、スパッタリングにより成膜する。
【0033】
これにより、高い抵抗率を有し、キャビテーション耐性に優れ、且つ抵抗率の再現性の良いM−Si−O−N−H系の発熱抵抗体22aを得ることができる。このように、発熱抵抗体をM−Si−O−N系にHを含むM−Si−O−N−H系とすることにより、再現性の良い発熱抵抗体を得るに至った開発の過程を以下に説明する。
【0034】
先ず、従来の技術において、M−Si−O系又はM−Si−O−N系を作るに至る前段の過程において、金属の単純酸化物では、酸素の量によって良導電体から一挙に絶縁体になるという良導電体か絶縁体かの両極端の物性しか得られないことから、M−Siからなるアモルファス金属を酸化することを考え、これから所望の4mΩcm以上の抵抗率をもつM−Si−O系の発熱抵抗体を得、更に、これでは耐キャビテーション性に劣ることから、Nを加えて、高抵抗率で且つ強い耐キャビテーション性を持つM−Si−O−N系の発熱抵抗体を得ることができたことは前述した。
【0035】
ここで、アモルファス金属の抵抗の上限について考察すると、モット(Nevill Francis Mott 、イギリスの理論物理学者)は金属の最大抵抗率(最小伝導度)の次のような式「最大抵抗率=a(Å)/610Ωcm」を提案している。
図2は、モット理論による抵抗率と原子間距離の関係を示す図である。上記の式にa−Siの原子間距離a=2.4Åを代入すると、同図からも明らかなように、抵抗率は3.9mΩcmとなる。
【0036】
通常のアモルファス金属では、結合に異方性がないために、a−Siより高密度になり、原子間距離は小さくなる。したがって、M−Si(Mは金属)合金の原子間距離はa=2.4Åより、短くなる。これにより、M−Si合金の抵抗率の上限が3.9mΩcmであることが分かる。しかし、この値はあくまで上限値であり、実際のM−Si合金の抵抗率は、多くの場合1mΩcm未満となる。
【0037】
このことから、注目されるべき点としては、もし、抵抗率を、発熱抵抗体の実用上の最低限の抵抗率とされている4mΩcm以上にしたい場合は、この発熱抵抗体は半導体的にならざる得ないことである。
次に、金属酸化物の電気伝導性すなわち金属Mを酸化した場合の電気伝導率について考えることにする。この調査対象とする金属については、高融点金属で且つ酸化物の性質も単純なMoとWについて取り上げることにする。
【0038】
図3は、MoとWについて、その電子構造、融点、酸化物についてまとめた図表である。尚、Mo及びWともに化学結合に関与する外殻電子数は6個である。したがって、酸素2つと化合して、MoO2 又はWO2 となった場合は、金属的な電気伝導性を示す酸化物となる。
【0039】
しかし、更に、酸素3つと化合した場合は、MoO3 及びWO3 ともに絶縁体となる。例えば、Wの場合は5d(4)6S(2)の外殻電子の構造を持ち、酸素は2P(4)である。
Wの電子のd軌道は、Crなどに比べて広がっており、単純にd−likeな伝導帯を作る。一方、酸素の電子の軌道はP−likeな価電子帯を作る。例えば、WO2 の場合、WからP−likeな価電子帯に一個の酸素あたり2個、合計4個の電子が移ると価電子帯は一杯になる。そしてd−likeな伝導帯はW一個あたり2個の電子を持ち金属的になる。
【0040】
一方、WO3 の場合、WからP−likeな価電子帯に一個の酸素あたり2個、合計6個電子が移ると価電子帯は一杯になる。そしてd−1ikeな伝導帯はW一個あたり0個になり、絶縁体になる。
これらの酸化物で、我々の望む4mΩcm以上の抵抗体を作ろうとした場合、MO2+x などの中途半端な化合物を作らざる得ないが、金属の単純酸化物の場合、このような中途半端な化合物を作ることは経験的に大変困難な作業となる。
【0041】
そこで、Mo−Si、W−Siなどのアモルファス金属に酸素を加えて、Mo−Si−O,W−Si−Oなどにすれば抵抗率を調節することができ、4mΩcm好ましくは10mΩcm程度の発熱抵抗体を作ることが出来るようになる。
ところで、上記一連の考察から、M−Si−O−N系の材料の場合、金属的である限り、4〜10mΩcmの抵抗体を作ることが不可能であることは明らかである。
【0042】
また、M−Si−O−N系の材料で、金属的でない場合でも、4〜10mΩcmの抵抗率を持つものは、絶縁体よりも電気伝導性がはるかに良いといえる。そして、耐キャビテーション性に優れていることは既に述べた。
ここで、上記の過程で、適当な量の酸素及び窒素の導入で、すなわち良導電体から絶縁体に至る前の適度な抵抗率を持つような酸素及び窒素の導入で、何が問題となって抵抗率の再現性を不安定にしているのかを考えてみる。
【0043】
図4(a),(b) は、M−Si−O−N系の発熱抵抗体の作成で、M−Siに対する酸素及び窒素の導入で何が問題となって抵抗率の再現性を不安定にしているのかを説明する図である。尚、同図(a),(b) では、簡単に図示するために、M(金属)に4本の結合手しか描いていないが、実際には、例えばWの場合は6本になる。ここで、同図(a) は、本来のM−Si−O−N系の内部構造における分子間の結合状態を模式的に示している。
【0044】
先ず、このM−Si−O−N系の物質が、例えばMoO2 、WO2 、MoO3、WO3 のような結晶である場合は、分子間相互の結合は強固であり、同図(a)に示す構造に変化はない。
しかし、このM−Si−O−N系の物質が、アモルファスであると、同図(b)に示すようなダングリングボンド(Mの下側の手でOが付かない部分)が発生する。もちろん、同図(a) のように、ダングリングボンドが発生しない箇所も存在する。
【0045】
ところで、このダグリグンボンドは、抵抗率が4mΩcm未満の低抵抗の材料に対しては影響がない。実際に、M−Si−O系の三元組成の場合は、種々試料を作成して見ると、抵抗率が4mΩcm以上のもを作成するのは困難で、全て4mΩcm近傍以下のものばかりとなるが、これらの試料について、X線回折のブロードなパターンと抵抗率を比較した場合、成膜方法によって、同一組成でもアモルファスの状態が異なる場合があるが、そのような場合でも抵抗率への影響は殆ど無く、組成が同一であれば抵抗率はほぼ同一であった。
【0046】
ところが、M−Si−O−N系の四元組成の場合で、発熱抵抗体に適する抵抗率が4mΩcm以上の半導体的な高抵抗のものを作成すると、組成がほぼ同一でありながら、抵抗率が2倍程度異なる試料が観察される。つまり成膜条件は同一であっても成膜ロットによって抵抗率がばらつく。これについては前述した。もちろん、OやNの陰イオンの量を増加させると、より高抵抗率になるが、製造の再現性に難点があることには変わりは無い。
【0047】
この理由については、組成が同一でも、密度(単位体積あたりの原子数)の異なる状態があることが分析の結果判明した。そして、MやSiの局所的な状態が異なるために抵抗率が異なることが分かった。更に調べてみると、密度が小さい(単位体積あたりの原子数が少ない)場合は、ダングリングボンドが増加しており、このため伝導体の電子密度もしくはフェルミレベルの電子数が増加して、抵抗率が小さくなることが判明した。
【0048】
そこで、このような状態となることを防ぐためは、他の原子との結合が比較的容易な水素(H)を加えることによって、このHを同図(b) に示すOが付かずに空いているMの手に結合させて、ダングリングボンドを無くしてしまえば良いと考えるに至った。そこで、以下に述べる方法により、試料膜への水素導入を試みた。
【0049】
先ず、▲1▼適当な大きさのSUS板を水につけた後に大気中に放置して自然乾燥させ、▲2▼このSUS板をスパッタ装置の成膜室に取り付け、通常の基板(シリコン、水晶、ガラスなど)をセットし、▲3▼装置内を例えば真空度1.3-4Pa以下まで真空にし、▲4▼スパッタ開始直前にSUS板を例えば150℃に加熱することによりSUS板に残留していた水分を蒸発させて水素を含むガスつまり水蒸気を含む雰囲気を形成し、▲5▼通常のスパッタを開始する、という手順で、試料の発熱抵抗体膜を成膜する。
【0050】
このとき、上記加熱後のスパッタ成膜直前の水蒸気の分圧は、たとえば1.3-4Paになる。この方法で、例えばM:Si:O:Nのモル比が30:20:36:14である発熱抵抗体膜が得られるようにターゲットのM:SiやAr、O2 、及びN2 の導入ガスの割合を一定にしたままSUS板の加熱温度を変化させ、発熱抵抗体膜への水素導入量を変化させることを試みた。
【0051】
これらの試料は、特には図示しないが、共にM:Si:O:Nの組成比は同一であっても、Hの割合が異なるので、5元素として全体の組成比を見た場合は、M、Si、O及びNの割合は変化する。この5元素の成分比は、まず、RBS分析でM:Si:O:Nの割合がほぼ同一であることを確認した後に、更にHFS(Hydrogen Forward Scattering analysis)分析を行うことにより得られた。
【0052】
このRBS分析及びHFS分析には、Si基板に成膜した試料を用い、且つ抵抗率の測定には、Si上に1μmの厚さの熱酸化膜が形成されている基板上に成膜した試料を用いた。分析条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275MeV、検出角度はHFSの場合は30°、RBSの場合は160°HBSのイオンビーム照射角度は試料法線から75°である。
【0053】
同様にして、M:Si:O:Nのモル比を例えば28:20:35:17に一定にしたもの、及び25:15:40:20に一定にしたもの、というように、水素の割合を異ならせてそれぞれ数種類の試料を作成した。そして、水素濃度と抵抗率の関係を調べると、予想した通り、水素濃度が増加するにつれて抵抗率が増加する傾向を示した。
【0054】
実験に基づく調査では、水素濃度が3モル%近傍では抵抗率はやや小さいが、水素濃度が4モル%以上になると抵抗率は急激に上昇する。そして、水素濃度が10モル%でほぼ飽和状態になる傾向が判明する。すなわち、水素濃度が4モル%以上になるようにして成膜すると所望の抵抗率が4mΩcm以上の高抵抗発熱抵抗体が得られることが判明する。そして、この水素濃度と抵抗率の関係は上記の実験では一義的に定まる性質のものであった。また、実際に、種々試料を作成して実験した結果では、組成比で4%以上の水素を入れた場合、安定した抵抗率の再現性が得られることも判明した。
【0055】
これにより、上述したM、Si、O、Nの4元素の構成の高抵抗率を備えるM−Si−O−N系発熱抵抗体の場合にややもすると見られる組成比が同じでも抵抗率にばらつきが出るという再現性の難点が改善され、所望の高抵抗率を安定して備えると共にキャビテーション耐性に優れた発熱抵抗体を極めて再現性良く製造することができるようになった。
【0056】
図5は、本発明の実施の形態における上記の製造方法により作成された発熱抵抗体において抵抗率の再現性が良くなる理由を説明する図である。同図に示すように、図4(b) では、ダングリングボンドとなっていたMの下側の手でOが付かなかった部分に、Hが結合しており、ダングリングボンドが解消されている。こにより、抵抗率の再現性が良くなったものである。
【0057】
なお、上記実施の形態では、スパッタリング工程において、雰囲気中に水蒸気を用いているが、雰囲気中へのHの導入はこれに限ることなく、水素ガスそのものを導入することによっても、所望の高抵抗率の発熱抵抗体を製造することができる。前述した水蒸気による方法も水素ガスそのものを導入する方法も、スパッタリング雰囲気中の水素濃度の制御は比較的容易であり、所望の抵抗率が4mΩcm以上で好ましくは5mΩcm以上の高抵抗率の発熱抵抗体を再現性良く容易に製造することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、アモルファス金属のM−Siに対しOとNの導入で所望の高い抵抗率と強い耐キャビテーション性を得るだけでなく同時にHを導入することによりダングリングボンドの発生を防止することができ、したがって、ダングリングボンドに基づく抵抗率の再現性の不安定要因が解消され、これにより、高い抵抗率を有し、キャビテーション耐性に優れ、且つ再現性良く製造できる発熱抵抗体を備えたサーマルインクジェットプリントヘッドとその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるサーマルインクジェットプリントヘッドの発熱抵抗体近傍の構成を示す拡大断面図である。
【図2】モット理論による抵抗率と原子間距離の関係を示す図である。
【図3】MoとWについて、その電子構造、融点、酸化物についてまとめた図表である。
【図4】 (a),(b) はM−Siに対する酸素及び窒素の導入で何が原因でM−Si−O−N系の抵抗率の再現性が不安定になるのかを説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態における製造方法により作成された発熱抵抗体において抵抗率の再現性が良くなる理由を説明する図である。
【図6】 (a) は従来のルーフシュータ型のインクジェットプリンタに配設される印字ヘッドのインク吐出面を模式的に示す平面図、(b) はそのA−A′断面矢視図、(c) はその内部構造を透視的に示す拡大平面図である。
【図7】 (a),(b),(c) は印字ヘッドの基本的なインク吐出動作を示す図である。
【図8】 (a),(b) はインク滴の吐出に係る気泡の成長と消滅の過程を模式的に示す図である。
【図9】 (a) はM−Si−O系の発熱抵抗体の内部構造を模式的に示す図、(b) はM−Si−O−N系の発熱抵抗体の内部構造を模式的に示す図であ
【符号の説明】
1 印字ヘッド
2 シリコンチップ基板
3 ノズル列
4 ノズル
5 駆動回路
6 発熱抵抗膜
6a 発熱抵抗体
7 個別配線電極
9 共通電極
11(11a、11b、11c) 隔壁
12 インク供給溝
13 インク供給孔
14 オリフィス板
15 インク供給路
16 インク
16a メニスカス
16b インク
16c インク滴
17 膜気泡
20 サーマルインクジェットプリントヘッド
21 基板
22 発熱抵抗膜
22a 発熱抵抗体
23 個別配線電極
24 共通電極
25 隔壁
26 オリフィス板
27 オリフィス
28 インク供給路

Claims (2)

  1. 基板表面に設けられた発熱抵抗体によりインクを加熱して発生させる気泡の圧力によりインクを所定方向に吐出させて記録を行うサーマルインクジェットプリントヘッドであって、
    前記発熱抵抗体は、アモルファス構造をなし、組成の成分元素にWとSiとOとNとHを含む、或いはアモルファス構造をなし、組成の成分元素にMoとSiとOとNとHを含み、該Hのモル%Mhが「3モル%<Mh<5モル%」であることを特徴とするサーマルインクジェットプリントヘッド。
  2. 組成の成分元素がWとSiとOとNとH、又はMoとSiとOとNとHからなる発熱抵抗体の製造方法であって、
    酸素ガス、窒素ガス、及び水蒸気を所定の割合で含む雰囲気中において、
    WとSi、又はMoとSiからなるターゲットを使用し、成分元素のHが4モル%以上となる発熱抵抗体をスパッタリングにより成膜する
    ことを特徴とする発熱抵抗体の製造方法。
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