JPH058391A - インクジエツト記録ヘツドおよびその製造方法 - Google Patents

インクジエツト記録ヘツドおよびその製造方法

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JPH058391A
JPH058391A JP18702391A JP18702391A JPH058391A JP H058391 A JPH058391 A JP H058391A JP 18702391 A JP18702391 A JP 18702391A JP 18702391 A JP18702391 A JP 18702391A JP H058391 A JPH058391 A JP H058391A
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JP
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layer
cavitation
ink
recording head
thermal energy
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JP18702391A
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Toshio Suzuki
敏夫 鈴木
Manabu Sueoka
学 末岡
Makoto Shibata
誠 柴田
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Canon Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェット記録ヘッドにおいて、インク
吐出時に発生するキャビテーションによる熱エネルギー
発生素子の破壊、すなわち発熱抵抗層2の発熱部2aの
破壊などを防ぐ耐キャビテーション層4bの耐久性を向
上させる。 【構成】 耐キャビテーション層4bをタンタルで構成
し、耐キャビテーション層4bをバイアススパッタリン
グ法で設けて、耐キャビテーション層4bの結晶構造が
基体1の表面に垂直な方向を向いた柱状の結晶構造でな
いようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吐出口よりインク液滴
を吐出させることにより記録を行なうインクジェット記
録ヘッドとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、吐出口からインク液滴を吐
出、飛翔させることによって被記録媒体(多くの場合は
紙)上に記録を行なうインクジェット記録方法が知られ
ている。インクジェット記録方法は、ノンインパクト型
の記録方法であって、騒音が少ないこと、普通紙に直接
記録できること、多色のインクを用いることによりカラ
ー画像記録が容易にできることなどの特長を有し、近年
急速に普及しつつある。中でも、記録信号に応じて熱エ
ネルギーをインクに加えて該インクを発泡させ、このと
きの作用力によってインクを吐出、飛翔させるものは、
記録装置の構造が簡単で高密度マルチノズル化が容易で
あり、高解像度、高速度のものを容易に得ることができ
るという利点を有している。
【0003】図4(A)は、この熱エネルギーを加えてイ
ンクを吐出する方式のインクジェット記録ヘッドの要部
破断斜視図、図4(B)はこのインクジェット記録ヘッド
の液流路に平行な平面での要部垂直断面図である。この
インクジェット記録ヘッドは図4(A),(B)に示すよう
に、一般に、インクを吐出するための多数の微細な吐出
口7、吐出口7ごとに設けられて吐出口7に連通する液
路6、各液路6にインクを供給するため各液路6に共通
に設けられた液室10、液室10にインクを供給するた
め液室10の天井部分に設けられたインク供給口9、そ
してインクに熱エネルギーを加えるための発熱部2aを
各液路6に対応して有する基板8とから構成されてい
る。液路6、吐出口7、インク供給口9、液室10と
は、一体的に天板5に形成されるようになっている。
【0004】基板8は、図4(B)に示すように、基体1
上に、ある程度の大きさの体積抵抗率を有する材料から
なる発熱抵抗層2をコの字形に設け、発熱抵抗層2の上
に、電気伝導性のよい材料からなる電極層3を積層した
構成である。電極層3は、発熱抵抗層2と同様の形状で
あるが一部分が欠落しており、この欠落した部分におい
て発熱抵抗層2が露出してこの部分が発熱部2aとなっ
ている。電極層3は、発熱部2aをはさんで2つの電極
3a,3bとなり、これら電極3a,3b間に電圧を印加
することにより、発熱部2aに電流が流れて発熱するよ
うになっている。発熱部2aは、天板5の対応する液路
6のそれぞれ底部に位置するように、基板8上に形成さ
れている。
【0005】さらに、基板8には、電極3a,3bや発
熱部2aを被覆するようにして、保護層4が設けられて
いる。この保護層4は、インクとの接触やインクの浸透
による発熱部2a、電極3a,3bの電蝕や電気的絶縁
破壊を防止する目的で設けられたものであり、発熱部2
aと電極3a,3bの双方を被覆するよう設けられた絶
縁層、発熱部2aに対応して絶縁層の上に設けられた耐
キャビテーション層、さらに電極3a,3bに対応して
設けられこの保護層4の最上層である有機保護膜からな
る構成である。このうち絶縁層は、SiO2膜をバイア
ススパッタリング法によって設けたものである。また耐
キャビテーション層は、インクを加熱して発泡させたと
きの消泡時のキャビテーションから、発熱部2aや前記
絶縁層を保護するためのものであって、通常はタンタル
(Ta)膜を高周波(RF)や直流(DC)スパッタリングによって
設けたものである。この耐キャビテーション層は、その
内部応力を圧縮応力で1×108〜3×1010dyn/cm2
範囲にすることにより、耐久性が向上することが知られ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来のインクジ
ェット記録ヘッドでは、耐キャビテーション層をタンタ
ルで形成してかつその内部応力を圧縮応力で1×108
〜3×1010dyn/cm2の範囲にしても、その故障の主要
な原因は耐キャビテーション層の破壊であり、耐キャビ
テーション層の耐久性がインクジェット記録ヘッドとし
ての寿命を規定する大きな因子となっている本発明の目
的は、耐キャビテーション層の耐久性、耐キャビテーシ
ョン性を一層向上させてより長寿命となったインクジェ
ット記録ヘッドと、その製造方法とを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録ヘッドは、基体と、インクを吐出する吐出口と、前
記吐出口に連通する液路と、前記液路に対応して前記基
体上に設けられ、熱エネルギーを発生して前記熱エネル
ギーによって前記液路内のインクに気泡を発生させて前
記吐出口からインクを吐出させる熱エネルギー発生素子
と、前記熱エネルギー発生素子の前記液路に対向する面
に設けられ、前記気泡が消泡するときのキャビテーショ
ンによる前記熱エネルギー発生素子の破壊を防ぐ耐キャ
ビテーション層とを有するインクジェット記録ヘッドに
おいて、前記耐キャビテーション層が、前記基体の表面
に垂直な方向の柱状の結晶構造を有しないことを特徴と
する。
【0008】また、本発明のインクジェット記録ヘッド
製造方法は、基体と、インクを吐出する吐出口と、前記
吐出口に連通する液路と、前記液路に対応して前記基体
上に設けられ、熱エネルギーを発生して前記熱エネルギ
ーによって前記液路内のインクに気泡を発生させて前記
吐出口からインクを吐出させる熱エネルギー発生素子
と、前記熱エネルギー発生素子の前記液路に対向する面
に設けられ、前記気泡が消泡するときのキャビテーショ
ンによる前記熱エネルギー発生素子の破壊を防ぐ耐キャ
ビテーション層とを有するインクジェット記録ヘッドを
製造する方法であって、前記基体上に前記熱エネルギー
発生素子を形成する工程ののちに、前記熱エネルギー発
生素子を被覆するよう前記耐キャビテーション層を設け
る工程を有するインクジェット記録ヘッド製造方法にお
いて、前記耐キャビテーション層を設ける工程が、バイ
アススパッタリング法による工程であることを特徴とす
る。
【0009】
【作用】本発明は、耐キャビテーション層の結晶構造を
基体の表面に垂直な方向の柱状の結晶構造としないこ
と、あるいは耐キャビテーション層をバイアススパッタ
リング法で設けることにより、耐キャビテーション層の
耐久性が向上するという知見に基づいたものである。以
下、本発明の発明者が行なった実験結果を説明すること
により、本発明の作用について説明する。 (実験1)上述のインクジェット記録ヘッドの基板8に
ついて、表1に示す条件に従って、タンタルからなる耐
キャビテーション層を高周波スパッタリング法により形
成した。このとき表1に示されるように、スパッタリン
グ時にバイアス電圧を印加したものと印加しないものと
の両方を作成した。図5(A)は、バイアス電圧を印加し
なかった場合における、耐キャビテーション層を構成す
るタンタル金属の結晶構造を示す走査電子顕微鏡による
図面代用写真である。また、図5(B)は、バイアス電圧
を印加した場合における、耐キャビテーション層を構成
するタンタル金属の結晶構造を示す走査電子顕微鏡によ
る図面代用写真である。また、これら図5(A),(B)に示
された結晶構造を模式的に表したものが図6(A),(B)で
あり、図6(A)はバイアス電圧を印加しなかったとき、
図6(B)はバイアス電圧を印加した場合である。
【0010】
【表1】 図5(A),(B)、図6(A),(B)から明らかなように、バイ
アス電圧を印加しなかった場合には、結晶構造が基体の
表面に垂直な方向の柱状のものとなり、かつ柱状構造の
先端部が先細り、ボイドの発生も観察される。この場
合、柱状の結晶粒の先端が細くなって表面に現れるの
で、表面は粗くなっている。放電時のガス圧力を低くす
ることにより、このような柱状の先細りの構造となるこ
とを抑制することができるが、そのかわり耐キャビテー
ション層内部の応力の増大を招いて剥がれやすくなり、
耐キャビテーション層の耐久性が低下する。これに対し
てバイアス電圧を印加した場合には、耐キャビテーショ
ン層の結晶構造は、粒状の多結晶構造となり、表面は平
滑となった。 (実験2)上述の実験1でバイアス電圧を印加しなかっ
た場合のものについて、インクジェット記録ヘッドとし
て組み立て、インクを実際に吐出させて吐出試験を行な
い、この吐出試験のあとの耐キャビテーション層の結晶
構造を観察した。図7は、このときの、耐キャビテーシ
ョン層を構成するタンタル金属の結晶構造を示す走査電
子顕微鏡による図面代用写真である。図7から、柱状の
結晶構造の粒界部分から耐キャビテーション層が侵食さ
れていくことがわかった。
【0011】以上の各実験結果から、耐キャビテーショ
ン層の耐久性が劣るのは、耐キャビテーション層の結晶
構造が基体の表面に垂直な方向の柱状の結晶構造である
ときであって、このような柱状の結晶構造の形成は、ス
パッタリング時にバイアス電圧を印加することによって
抑止できることがわかった。すなわち、耐キャビテーシ
ョン層の結晶構造を基体の表面に垂直な方向の柱状の結
晶構造としないこと、あるいは耐キャビテーション層を
バイアススパッタリング法で設けることにより、耐キャ
ビテーション層の耐久性が向上することがわかった。
【0012】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0013】まず、本発明のインクジェット記録ヘッド
について説明する。図1(A)は、本発明の一実施例のイ
ンクジェット記録ヘッドにおける基板8の要部概略平面
図、図1(B)は図1(A)のX−X’線における要部断面図
である。
【0014】このインクジェット記録ヘッドは、図4を
用いて上述したインクジェット記録ヘッドと同様のもの
であり、その基板8の構成が図1(A),(B)に示されてい
る。基板8を構成する基体1としては、ガラス、セラミ
ックス、表面に熱酸化処理を施したシリコン基板などを
使用することができる。基板8は、この基体1上に、あ
る程度の大きさの体積抵抗率を有する材料からなる発熱
抵抗層2をコの字形に設け、この発熱抵抗層2の上に、
電気伝導性のよい材料からなる電極層3を積層した構成
であり、この発熱抵抗層2と電極層3とによって熱エネ
ルギー発生素子(ヒーター)を構成している。発熱抵抗
層2は、例えばホウ化ハフニウム(HfB2)の薄膜からな
り、電極層3を構成する材料としては、金属、例えばア
ルミニウムを使用することができる。電極層3は、発熱
抵抗層2と同様の形状であるが一部分が欠落しており、
この欠落した部分において発熱抵抗層2が露出してこの
部分が発熱部2aとなっている。その結果、電極層3は
発熱部2aをはさんで2つの電極3a,3bとなり、こ
れら電極3a,3b間に電圧を印加することにより、発
熱部2aに電流が流れて発熱するようになっている。基
体1の上にスパッタリングによって、発熱抵抗層2を構
成する材料からなる膜と電極層3を構成する材料からな
る膜とを設けたのち、フォトリソグラフィ工程によっ
て、発熱部2aと各電極3a,3bが形成されるように
すればよい。発熱部2aは、対応する液路6のそれぞれ
底部に位置するように、基板8上に形成されている。
【0015】さらに、基板8には、電極3a,3bや発
熱部2aを被覆するようにして、保護層4が設けられて
いる。この保護層4は、インクとの接触やインクの浸透
による発熱部2a、電極3a,3bの電蝕や電気的絶縁
破壊を防止する目的で設けられたものであり、絶縁層4
a、耐キャビテーション層4b、有機保護膜4cの3層
からなっている。絶縁層4aは、保護層4の最下層とし
て、発熱部2aと電極3a,3bの双方さらには基体1
の露出している部分を被覆するよう設けられたものであ
り、例えばSiO2膜をバイアススパッタリング法で設
けたものである。耐キャビテーション層4bは、インク
を加熱して発泡させたときの消泡時のキャビテーション
から、発熱部2aや絶縁層4aを保護するためのもので
あって、発熱部2aのある部分とその近傍において、絶
縁層4aの上に設けられている。この耐キャビテーショ
ン層4bは、タンタル(Ta)膜からなり、バイアススパッ
タリング法によって設けられている。バイアススパッタ
リング法によって設けられているので、耐キャビテーシ
ョン層4bを構成するタンタル金属の結晶構造は、柱状
構造ではなく、粒状の多結晶構造となっている。有機保
護膜4cは、保護膜4の最上層となるべきものであっ
て、発熱部2a付近を除いたほぼ全面に形成されてい
る。発熱部2付近に有機保護膜4cが形成されていない
のは、有機保護膜4cの熱伝導率が小さく、発熱部2a
で発生した熱を有効にインクに伝えられないからであ
る。
【0016】次に、このインクジェット記録ヘッドの動
作について説明する。記録用の液体であるインクは、図
示しない液体貯蔵室からインク供給口9を通って液室1
0に供給される。液室10内に供給されたインクは、毛
管現象により液路6内に供給され、液路6の先端の吐出
口7でメニスカスを形成することにより安定に保持され
る。ここで電極3a,3b間に電圧を印加することによ
り、発熱部2aが通電して発熱し、保護層4の絶縁層4
aと耐キャビテーション層4bとを介してインクが加熱
されて発泡し、その発泡のエネルギーによって吐出口7
からインク液滴が吐出される。また、吐出口7は、16
個/mmといった高密度で128個もしくは256個さ
らにはそれ以上の個数形成することができ、さらに被記
録媒体の記録領域の全幅にわたるだけの数を形成してフ
ルラインタイプとすることもできる。
【0017】このインクジェット記録ヘッドは、耐キャ
ビテーション層4bがバイアススパッタリング法によっ
て設けられているので、上述するように耐キャビテーシ
ョン層4bを構成するタンタル金属の結晶構造は、柱状
構造ではなく、粒状の多結晶構造となっていて、このた
め、耐キャビテーション層4bの耐久性が向上し、イン
クジェット記録ヘッドとしての信頼性が向上している。
【0018】次に、耐キャビテーション層4bの耐久性
について行なった実験結果について、比較例を参照しな
がら説明する。 [実施例1]熱酸化膜付きのシリコンウェハを基体1と
して使用し、その上に厚さ1000Åのホウ化ハフニウ
ム(HfB2)膜、厚さ6000Åのアルミニウム膜をスパッ
タによって順次成膜し、フォトリソグラフィ工程によっ
て発熱部2aと各電極3a,3bを形成した。そのの
ち、保護層4の絶縁層4aとして厚さ1.9μmのSi
2膜をバイアススパッタリング法で形成し、さらにタ
ンタル膜をアルゴン中においてガス圧0.85Pa、投
入電力1.2kW、バイアス電圧がそれぞれ−280V
と−500Vの直流(DC)バイアススパッタリングによっ
て形成し、その後フォトリソグラフィ工程を行なって耐
キャビテーション層4bを形成し、基板(ヒーターボー
ド)8の試料(試料#1と#2)を作成した。このとき
の耐キャビテーション層4bの応力を測定した。成膜条
件と応力の測定結果を表2に示した。なお、表2中、応
力の欄の(−)は圧縮応力を、(+)は引っ張り応力を
それぞれ示す。
【0019】次に、基板8の試料を実際にインク中に浸
漬し、それぞれのヒータに通電することにより耐久試験
を行った。図2はこの耐久試験の実施方法を示す説明図
である。1個の基板の試料21に含まれる多数のヒータ
22について、1個おきに電源23に並列に接続し、こ
の試料21をインク24をいれた容器25にいれて、各
ヒータ22の発熱部がインク24に浸るようにした。電
源23から、パルス幅7μsec、パルスの繰り返し周
波数4.5kHzのパルスをパルス数の総計が5×108
になるまで印加した。パルスの電圧は、通常このヒータ
22に印加される駆動電圧の1.25倍とした。そし
て、多数個設けられたヒータ22のうち、当該ヒータ5
2の部分の耐キャビテーション層が破壊されていないヒ
ータ52の数を求め、残存率を算出した。この結果を図
3の”●”で示す。なお、後述する実施例2〜4で得た
試料#3〜#8において、残存率とパルス数との関係
は、ほぼ同じものであったので、これら試料#1〜#8
(実施例1〜4)で得た結果をまとめて”●”で示し
た。 [実施例2]実施例1の試料#1を作成した条件におい
て、耐キャビテーション層4bのスパッタ時のガス圧を
それぞれ0.2Paと0.1Paとした他は同様として、
試料#3、#4を作成し、耐キャビテーション層4bの
応力と残存率を測定した。その結果をそれぞれ表2と図
3の”●”とで示す。
【0020】なお、バイアス電圧を−500Vとし、ガ
ス圧をそれぞれ0.2Pa、0.1Paとしても成膜を行
なったが、耐キャビテーション層4b内の圧縮応力が大
きすぎ、成膜直後に膜剥がれを生じた。 [実施例3]耐キャビテーション層4bを構成するタン
タル膜の成膜を、高周波(RF)バイアススパッタリング法
により、ガス圧を0.85Pa、バイアス電圧をそれぞ
れ−180V、−280Vとして、試料#5、#6を作
成し、実施例1と同様にして、耐キャビテーション層4
bのの応力と残存率を測定した。その結果をそれぞれ表
2と図3の”●”とで示す。 [実施例4]実施例3の試料#5を作成した条件におい
て、耐キャビテーション層4bのスパッタ時のガス圧を
それぞれ0.2Paと0.1Paとした他は同様として、
試料#7、#8を作成し、耐キャビテーション層4bの
応力と残存率を測定した。その結果をそれぞれ表2と図
3の”●”とで示す。
【0021】なお、バイアス電圧を−280Vとし、ガ
ス圧をそれぞれ0.2Pa、0.1Paとしても成膜を行
なったが、耐キャビテーション層4b内の圧縮応力が大
きすぎ、成膜直後に膜剥がれを生じた。 [比較例1]耐キャビテーション層4bを構成するタン
タル膜の成膜を、直流(DC)バイアススパッタリング法に
より、ガス圧を0.85Pa、バイアス電圧を0とし
て、試料#9を作成し、実施例1と同様にして、耐キャ
ビテーション層4bの応力と残存率を測定した。その結
果をそれぞれ表2と図3の”×”とで示す。このとき、
表2からも明らかなように、耐キャビテーション層4b
の応力は、引っ張り応力であった。 [比較例2]表2に示す条件により、いずれもバイアス
電圧を印加しないスパッタリングにより、耐キャビテー
ション層4bを構成するタンタル膜の成膜を行なって試
料#10〜#14を作成した。表2中、電力形式の欄の
DCは直流スパッタリングを、RFは高周波スパッタリ
ングであることを示している。そののち、実施例1と同
様にして耐キャビテーション層4bの応力と残存率を測
定した。応力についての結果を表2に、残存率について
の結果を図3の”△”で示す。なお、各試料#10〜#
14において、残存率とパルス数との関係は、ほぼ同じ
ものであったので、これら試料#10〜#14で得た結
果をまとめて”△”で示した。
【0022】
【表2】 以上、各実施例1〜4と比較例1、2の結果を比較する
と、本発明によるバイアススパッタリングによる試料で
は、2×108パルス後の残存率がいずれも90%以上
であったのに対し、スパッタリング時にバイアス電圧を
印加しなかったものの残存率は40%以下である。特
に、内部応力が引っ張り応力である試料#9(比較例
1)は、他の試料に比べて著しく残存率が不良であっ
た。従来、耐キャビテーション層の耐久性がよいとされ
ていた圧縮応力でその範囲が1×108〜3×1010dyn
/cm2のものであっても、バイアス電圧を印加してスパッ
タしたものとバイアス電圧を印加しないでスパッタした
ものとでは、2×108パルスといった長期の使用にお
いて、その耐久性に格段の差が生じることがわかった。
【0023】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でもキヤノン株式会社の提唱する熱エネルギーでイン
クを吐出させる方式のインクジェット記録ヘッド、イン
クジェット記録装置に於いて、優れた効果をもたらすも
のである。
【0024】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書
に開示されている基本的な原理を用いて行なうものが好
ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュ
アス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマ
ンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシ
ートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、
記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇
を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによ
って、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録
ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信
号に一対一対応し液体(インク)内の気泡を形成出来る
ので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開
口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一
つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とする
と、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に
応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より
好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特
許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載され
ているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温
度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に
記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行
なうことができる。
【0025】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明
細書を用いた構成も本発明に有効である。加えて、複数
の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変
換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59年第123670
号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部
に対応させる構成を開示する特開昭59年第138461号公報
に基づいた構成としても本発明は有効である。
【0026】更に、インクジェット記録装置が記録でき
る最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルライン
タイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示さ
れているような複数記録ヘッドの組合わせによって、そ
の長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘ
ッドとしての構成のいずれでも良いが、本発明は、上述
した効果を一層有効に発揮することができる。
【0027】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0028】又、本発明のインクジェット記録装置の構
成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、
予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一
層安定できるので好ましいものである。これらを具体的
に挙げれば、記録ヘッドに対しての、キャピング手段、
クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或
はこれとは別の加熱素子或はこれらの組合わせによる予
備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モード
を行なうことも安定した記録を行なうために有効であ
る。
【0029】更に、インクジェット記録装置の記録モー
ドとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではな
く、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組合わせ
によってでもよいが、異なる色の複色カラー又は、混色
によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本
発明は極めて有効である。
【0030】以上説明した本発明実施例においては、イ
ンクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固
化するインクであって、室温で軟化もしくは液体或い
は、上述のインクジェットではインク自体を30℃以上
70℃以下の範囲内で温度調整を行なってインクの粘性
を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的
であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなす
ものであれば良い。加えて、積極的に熱エネルギーによ
る昇温をインクの固形状態から液体状態への態変化のエ
ネルギーとして使用せしめることで防止するか又は、イ
ンクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインク
を用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信
号に応じた付与によってインクが液化してインク液状と
して吐出するものや記録媒体に到達する時点ではすでに
固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初
めて液化する性質のインク使用も本発明には適用可能で
ある。このような場合インクは、特開昭54-56847号公報
あるいは特開昭60-71260号公報に記載されるような、多
孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持
された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形
態としても良い。本発明においては、上述した各インク
に対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行
するものである。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、耐キャビ
テーション層の結晶構造を基体の表面に垂直な方向の柱
状の結晶構造としないこと、また耐キャビテーション層
をバイアススパッタリング法で設けることにより、耐キ
ャビテーション層の耐久性が格段に向上し、耐久性に優
れ長期間の使用に耐える信頼性の高いインクジェット記
録ヘッドが得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の一実施例のインクジェット記
録ヘッドの基板の要部概略平面図、(B)は図1(A)
のX−X’線における要部断面図である。
【図2】耐キャビテーション層の耐久試験の実施方法を
示す説明図である。
【図3】耐キャビテーション層の耐久性を示す特性図で
ある。
【図4】(A)はインクジェット記録ヘッドの構成を示
す要部破断斜視図、(B)はこのインクジェット記録ヘ
ッドの要部垂直断面図である。
【図5】(A),(B)はそれぞれ耐キャビテーション
層を構成するタンタル金属の結晶構造を示す走査電子顕
微鏡による図面代用写真である。
【図6】(A),(B)はそれぞれ耐キャビテーション
層を構成するタンタル金属の結晶構造を示す説明図であ
る。
【図7】吐出試験後の耐キャビテーション層を構成する
タンタル金属の結晶構造を示す走査電子顕微鏡による図
面代用写真である。
【符号の説明】
1 基体 2 発熱抵抗層 2a 発熱部 3 電極層 3a,3b 電極 4 保護層 4a 絶縁層 4b 耐キャビテーション層 4c 有機保護膜 5 天板 6 液路 7 吐出口 8 基板 9 インク供給口 10 液室

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体と、インクを吐出する吐出口と、前
    記吐出口に連通する液路と、前記液路に対応して前記基
    体上に設けられ、熱エネルギーを発生して前記熱エネル
    ギーによって前記液路内のインクに気泡を発生させて前
    記吐出口からインクを吐出させる熱エネルギー発生素子
    と、前記熱エネルギー発生素子の前記液路に対向する面
    に設けられ、前記気泡が消泡するときのキャビテーショ
    ンによる前記熱エネルギー発生素子の破壊を防ぐ耐キャ
    ビテーション層とを有するインクジェット記録ヘッドに
    おいて、 前記耐キャビテーション層が、前記基体の表面に垂直な
    方向の柱状の結晶構造を有しないことを特徴とするイン
    クジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 耐キャビテーション層がタンタルからな
    る請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 熱エネルギー発生素子が電気熱変換体で
    ある請求項1または2記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 吐出口が被記録媒体の記録領域の全幅に
    わたって複数設けられているフルラインタイプである請
    求項1ないし3いずれか1項記載のインクジェット記録
    ヘッド。
  5. 【請求項5】 基体と、インクを吐出する吐出口と、前
    記吐出口に連通する液路と、前記液路に対応して前記基
    体上に設けられ、熱エネルギーを発生して前記熱エネル
    ギーによって前記液路内のインクに気泡を発生させて前
    記吐出口からインクを吐出させる熱エネルギー発生素子
    と、前記熱エネルギー発生素子の前記液路に対向する面
    に設けられ、前記気泡が消泡するときのキャビテーショ
    ンによる前記熱エネルギー発生素子の破壊を防ぐ耐キャ
    ビテーション層とを有するインクジェット記録ヘッドを
    製造する方法であって、前記基体上に前記熱エネルギー
    発生素子を形成する工程ののちに、前記熱エネルギー発
    生素子を被覆するよう前記耐キャビテーション層を設け
    る工程を有するインクジェット記録ヘッド製造方法にお
    いて、 前記耐キャビテーション層を設ける工程が、バイアスス
    パッタリング法による工程であることを特徴とするイン
    クジェット記録ヘッド製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001234191A (ja) * 1999-12-14 2001-08-28 Canon Inc 液体組成物、インクジェット記録ヘッドの洗浄方法、インクジェット記録装置、カートリッジ及びインクジェット記録ヘッドの再生方法
JP2018103382A (ja) * 2016-12-22 2018-07-05 キヤノン株式会社 基板の製造方法

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