JP3261859B2 - 版材の穿孔装置及び穿孔方法 - Google Patents

版材の穿孔装置及び穿孔方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は建築物の外壁として使
用されるALC等の版材の小口面に、効率良く所定深さ
の孔を穿孔するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来建築物の外壁としてALC等のパネ
ルを躯体に乾式で取り付ける工法があり、この工法に使
用するパネルには図5のようにALCパネル1の裏面に
取り付け金具2を取着している。そしてこの取り付け金
具2をボルト3で取着するには、パネルの幅方向小口面
に中心部まで達する孔1aを穿孔すると共にパネル裏面
からこの孔1aに直交する孔1bを穿孔する。そして孔
1aにナットが配設されているアンカー4を挿入し、孔
1bからボルト3で螺着すればよい。
【0003】パネルにこの孔1a,1bを穿孔するに
は、従来一般に建築現場で作業員がドリルを使用して穿
孔している。そのため作業員の手数が掛かるばかりでな
く、熟練した作業員でないと孔の位置精度や孔とパネル
面との平行度が悪く、所定位置に金具を取着することが
困難になる問題があった。またパネルの製造工程で穿孔
しておく方法もあるが、建築物の設計によってパネルの
寸法や金具の取り付け位置が一定しないので、パネル一
枚ごとに孔位置を特定して施工する必要があり、手数が
掛かり効率が悪い問題があった。更に一型枠の半可塑性
体を切断後蒸気養生したパネル群の各パネルごとに、そ
の所望位置に自動的に穿孔する場合は、ドリルの作動を
制御する機構に単純に隣接するパネルの穿孔位置と深さ
を入力しただけでは、パネル群内のパネル厚さや枚数な
どによって原点からの位置が変動するため、パネル厚さ
の中心に穿孔することが困難であった。またパネル群の
中には穿孔不要のパネルがあったり、隣接するパネルの
穿孔位置も一定しないので、ドリルを順次移動させると
移動距離が長くなって、全体の加工時間が長くなる問題
もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は工場でパネ
ルに穿孔する場合に、手数がかからず、位置精度と効率
良く加工できる穿孔方法とその装置を提供するものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】垂直に並列した版材群の
位置決め装置と穿孔機の移動装置とからなり、各版材の
小口面に順次穿孔する装置において、前記位置決め装置
は、版材群の幅方向の位置決めは台車に版面を合わせて
載置する1次機構と、この版材群を台車共固定板に向か
って押圧する2次機構とから構成し、版材群の長手方向
の位置決めは幅方向と直角な一方向から押圧する機構と
したものであり、また前記穿孔機の移動装置は互いに直
交するXYZ方向の移動機構と、版材群の全幅を検出し
て予め入力してある各版材の穿孔位置を修正すると共に
移動距離を最短にする演算制御機構とを設けたものであ
る。
【0006】また版材群の穿孔方法は、垂直に並列した
版材群を台車上に(1次)位置決めして載置してから、
移動クランプで前記版材群を台車ごと固定クランプに押
圧して幅方向の(2次)位置決めをすると同時に、前記
版材群の全幅を測定する。それから移動クランプを一旦
後退させてから、版材群の幅方向(X方向)と直角な長
手方向(Y方向)の端部をプッシャーで押圧して長手方
向の位置決めをする。次に再び幅方向を把持した状態
で、版材群の上方の穿孔機の移動機構の制御機構に予め
入力してある各版材の穿孔位置を、先に測定した全幅の
測定値で修正すると共に移動距離を最短にするように演
算し、穿孔機を互いに直交するXYZ方向の移動距離を
制御して各版材の所望位置に穿孔するものである。
【0007】
【作用】垂直に並列した版材群を1次機構で一旦台車上
の所定位置に載置してから、2次機構でこの版材群を台
車毎幅方向に押圧して位置決めするので、版材だけを押
圧して移動させたときのように小口面を破損したり傷付
けることがない。また穿孔機の移動は演算制御機構によ
って、版材群の全幅を測定して、予め入力してある各版
材の穿孔位置を修正すると共に、移動距離を最短にする
ように制御するので、各版材の所望位置に精度よく、能
率的に穿孔することができる。
【0008】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面によって説明す
る。図1は本発明の穿孔装置の平面図であり、図2は図
1AA面の矢視図、図3は図1の側面図、図4は正面図
である。本発明の主要部は垂直に並列した版材群の位置
決め装置と、ドリルの移動装置とからなり、前記版材群
の幅方向の位置決め装置は台車に版面を合わせて載置す
る1次機構と、この版材群を台車共固定板に向かって押
圧する2次機構とから構成されている。上面は水平で、
その長さは版材群11の最長長さにほぼ等しく、幅は版
材群11の最大幅にほぼ等しい台車5は、その底面に軸
支された2対の車輪5aが、水平で幅方向に敷設された
レール6に沿って往復動自在に設置されている。そして
台車5の底面に固着されたラック5bに噛合するピニオ
ン5cによって往復動可能になっている。この台車5の
幅方向外側の一方には、台車5と平行にガイド7と固定
クランプ8が立設されており、このガイド7は一対の板
が平行にかつ上方に開いている。位置決め用の固定クラ
ンプ8は垂直な板状で表面には緩衝用のゴム8aが取着
されている。
【0009】この1次位置決め機構では台車5を中央位
置に静止した状態で、クレーン20のクラブ22で版材
群11の両側面を把持して台車5の上方に移送して降下
させると、クレーン20の一方に垂下したアーム21の
ローラー21aが前記ガイド7に案内されて降下し、版
材群11の一方の側面が台車上の所定位置に載置される
(図2参照)。次に2次位置決め機構は台車5の幅方向
外側の他方に、台車5と平行に、垂直な板状で表面には
緩衝用のゴムが取着されている移動クランプ9が配設さ
れており、この移動クランプ9は複数の水平なガイド1
0によって台車5の方向に向かって往復動自在に支承さ
れ、一対のシリンダー12によって固定クランプ8と平
行に往復動可能になっている。そして前記1次位置決め
機構で台車5に版材群11が載置されたら、クレーン2
0のクラブ22を開放して上昇させてから、シリンダー
12を作動させて移動クランプ9で版材群11を押圧す
ると、版材群11は台車ごと移動して固定クランプ8に
当接して幅方向が位置決めされる(図3参照)。
【0010】次に版材群11の長手方向の位置決め機構
は台車5の前方(図の右方)にプッシャー25が配設さ
れており、このプッシャー25の幅は台車5の幅とほぼ
等しく、シリンダー26によって、固定クランプ8と直
角方向に往復動可能になっている(図4参照)。そして
前述の幅方向の位置決めが終了したら、シリンダー12
を逆作動させて移動クランプ9を後退させてから、シリ
ンダー26を作動させてプッシャー25を前進させ、台
車5上の版材群11の長手方向先端部を押圧して長手方
向の位置決めする。このとき版材群11の移動距離は僅
かであるし長手方向なので、版材が損傷する心配はな
い。このようにして版材群11の幅方向と長手方向の位
置決めをすることができる。
【0011】次に穿孔機は垂直な電動ドリルとその移動
装置及びこれらの制御機構とから構成されている。ドリ
ル31は横行台車32の垂直な捩子36に螺合してお
り、横行台車32に取着されたサーボモーター36aを
介して捩子36を正逆回転することにより、垂直方向
(Z方向)に昇降可能になっている。また横行台車32
は、前記台車5を挟んで両側に敷設された水平なレール
35に沿って版材群11の長手方向(X方向)に走行す
る走行台車33の上面のレール33aに沿って版材群1
1の幅方向(Y方向)に横行するようになっている。横
行台車32は走行台車33に両端を軸支されたスクリュ
ー32aに螺合しており横行台車32に取着されたサー
ボモーター32bを駆動してスクリュー32aを正逆回
転することにより、版材群11の幅方向(Y方向)に横
行する。また走行台車33の移動は走行台車33に取着
されたサーボモーター33aから、カウンターシャフト
33bを介してピニオン33cを駆動し、レール35の
下方に取着したラック35aに噛合して走行するように
なっている。
【0012】これらの移動装置を制御する制御機構に
は、予め前記版材群11の各版材の原点位置から長手方
向(X方向)の穿孔位置までの寸法と深さ寸法が入力さ
れている。また 移動クランプ9のガイド10の一部に
は、版材群11の幅方向(Y方向)の位置決めをしたと
きに、版材群11の全幅を測定する機構が設けられてお
り、この測定値によって穿孔機31をY方向に移動させ
るサーボモーター32bの移動距離を修正するようにな
っている。更に各版材の穿孔位置から穿孔機31の全移
動距離を最短にするように、その移動順序を演算するよ
うになっている。このように版材群11の全幅を測定し
て、予め入力されている原点から各版材までY方向の移
動距離を修正することにより、版材群の切断枚数の変動
により版材群11の全幅が多少変動しても、各版材の小
口面の中心線上の正確な位置に穿孔することができる。
【0013】この装置を使用して垂直に並列した版材群
の各版材の所望位置に穿孔するには、前述のように台車
5を中央位置に静止した状態で、クレーン20のクラブ
22で版材群11の両側面を把持して台車5の上方に移
送して降下させ、1次位置決め機構で版材群11の一方
の側面が台車上の所定位置に載置する。次にこの台車上
の版材群11を2次位置決め機構の固定クランプ8と移
動クランプ9とで挟んで幅方向の位置決めすると同時に
全幅を測定する。それから移動クランプ9を一旦後退さ
せてから、版材群11の幅方向と直角な長手方向の端部
をプッシャー25で押圧して長手方向の位置決めをす
る。次に再び幅方向を把持した状態で、版材群の上方の
穿孔機30の移動機構の制御機構に予め入力してある各
版材の穿孔位置を先に測定した版材群の全幅で修正する
と共に移動距離を最短にするように演算制御して、互い
に直交するXYZ方向の移動させて各版材の所望位置に
穿孔する。この様に版材の幅方向小口面の厚さ方向中心
部まで穿孔しておけば、建築現場では版材裏面からこの
孔に直交する孔を穿孔して前述のパネル取り付け用金具
を取着すれば良い。
【0014】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明の穿孔
装置と穿孔方法によって、工場の製造過程で垂直に並列
した版材群を損傷することなく、各版材の所望位置に位
置精度良く高能率で穿孔することができる。そしてこの
様に版材の幅方向小口面の厚さ方向中心部まで穿孔して
おけば、建築現場では版材裏面からこの孔に直交する孔
を穿孔して金具を取り付ければ良いので現場での加工が
簡略化され、省力化と工期の短縮ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の平面図である。
【図2】図1AA面の矢視図である。
【図3】本発明の装置の側面図である。
【図4】本発明の装置の正面図である。
【図5】パネルに取り付け金具を取着した状況を示す図
である。
【符号の説明】
1 パネル 2 取り付け金具 5 台車 7 ガイド 8 固定クランプ 9 移動クランプ 11 版材群 12 シリンダー 20 クレーン 21 アーム 22 クランプ 25 プッシャー 26 シリンダー 30 穿孔機 31 ドリル 32 横行台車 33 走行台車 34 昇降装置 35 レール 36 捩子

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 垂直に並列した版材群の位置決め装置と
    穿孔機の移動装置とからなり、各版材の小口面に順次穿
    孔する装置において、前記位置決め装置の版材群の幅方
    向位置決めは、台車上に版面を合わせて載置する1次機
    構と、この版材群を台車共固定板に向かって押圧する2
    次機構とからなり、版材群の長手方向位置決めは幅方向
    と直角な一方向から押圧する機構からなることを特徴と
    する版材の穿孔装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の版材の穿孔装置におい
    て、穿孔機の移動装置は互いに直交するXYZ方向の移
    動機構と、版材群の全幅を検出して予め入力してある各
    版材の穿孔位置とから、穿孔機の移動距離を最短にする
    演算制御機構とからなることを特徴とする版材の穿孔装
    置。
  3. 【請求項3】 垂直に並列した版材群を台車上に(1
    次)位置決めして載置してから、移動クランプで前記版
    材群を台車ごと固定クランプに押圧して幅方向の(2
    次)位置決めをすると同時に、前記版材群の全幅を測定
    する。次いで移動クランプを一旦後退させてから、版材
    群の幅方向(X方向)と直角な長手方向(Y方向)の端
    部をプッシャーで押圧して長手方向の位置決めをする。
    次に再び幅方向を把持した状態で、版材群の上方の穿孔
    機の移動機構の制御機構に予め入力してある各版材の穿
    孔位置を、前記全幅の測定値で修正すると共に移動距離
    を最短にするように演算し、穿孔機の互いに直交するX
    YZ方向の移動距離を制御して、各版材の所望位置に穿
    孔することを特徴とする版材の穿孔方法。
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