JP3260690B2 - レーザー溶接方法 - Google Patents
レーザー溶接方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、レーザー溶接に関し、
さらに詳しくは溶接後プレス成形されるテーラードブラ
ンク材や、対向液圧成形されるハイドロフォ−ム材など
のレーザー溶接方法に関する。
さらに詳しくは溶接後プレス成形されるテーラードブラ
ンク材や、対向液圧成形されるハイドロフォ−ム材など
のレーザー溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にレーザー溶接における溶接ビード
の断面形状は、表面側が広く、裏面側が狭くなったワイ
ンカップ状を呈しており、裏ビード幅が表ビードと比べ
て非常に狭いことが特徴である。このように裏側のビー
ドが狭いために、レーザー溶接をする際、溶接突合せ部
の間隔は板厚の10%程度より広く取れない。また、溶
接速度を貫通限界速度よりもかなり低くせざるをえな
い。
の断面形状は、表面側が広く、裏面側が狭くなったワイ
ンカップ状を呈しており、裏ビード幅が表ビードと比べ
て非常に狭いことが特徴である。このように裏側のビー
ドが狭いために、レーザー溶接をする際、溶接突合せ部
の間隔は板厚の10%程度より広く取れない。また、溶
接速度を貫通限界速度よりもかなり低くせざるをえな
い。
【0003】特に、板厚が2mmを超える相互に厚みの異
なる鋼板によるテーラードブランク材の溶接の場合は、
溶接部の断面形状が安定せず、かつ裏側のビードが狭い
ことに起因した、凹凸の激しい形状になり、疲労特性が
低い。
なる鋼板によるテーラードブランク材の溶接の場合は、
溶接部の断面形状が安定せず、かつ裏側のビードが狭い
ことに起因した、凹凸の激しい形状になり、疲労特性が
低い。
【0004】この問題を解決するためのこれまでの技術
としては、 溶接部直下に反射板を置き、反射光を利用して、裏
面を加熱する。 溶接部裏側をTIG溶接によって加熱する。 溶接部の下方に電極を配置し、この電極と溶接部に
電圧を印加して、電極と溶接部の間にプラズマを発生さ
せ、このプラズマで溶接部裏面を加熱する。などの方法
が、例えば特開平5−293683号公報などで開示さ
れている。
としては、 溶接部直下に反射板を置き、反射光を利用して、裏
面を加熱する。 溶接部裏側をTIG溶接によって加熱する。 溶接部の下方に電極を配置し、この電極と溶接部に
電圧を印加して、電極と溶接部の間にプラズマを発生さ
せ、このプラズマで溶接部裏面を加熱する。などの方法
が、例えば特開平5−293683号公報などで開示さ
れている。
【0005】これらの方法は、母材が裏面からも加熱さ
れるために、裏面の溶融量が増大し、裏側のビード幅も
広がるためにより確実な溶接が実現できるだけでなく、
レーザー溶接時の板の突合せの間隔を広く取れるので、
間隔の精度を緩和できるという利点がある。また、裏面
を溶融しているため最適な反射光量やTIG入熱を投与
すれば裏面ビードが平滑になり、疲労特性の高いビード
が得られる。
れるために、裏面の溶融量が増大し、裏側のビード幅も
広がるためにより確実な溶接が実現できるだけでなく、
レーザー溶接時の板の突合せの間隔を広く取れるので、
間隔の精度を緩和できるという利点がある。また、裏面
を溶融しているため最適な反射光量やTIG入熱を投与
すれば裏面ビードが平滑になり、疲労特性の高いビード
が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法はいずれもレーザー溶接装置以外の追加設備が必ずし
も簡単でないために、従来の装置をそのまま使用できな
いことに加えて、発明者らが詳細な確認実験を行ったと
ころ、従来の方法には以下の問題があった。すなわち、
の場合に効果が得られる条件として、溶接部と反射板
の距離が3mm以内であること、溶接速度が貫通限界速度
の50%程度であるという制限があった。また、反射板
の効果は数回の溶接を行うことによって反射板表面に付
着したスプラッシュなどで半減し、この半減するまでの
溶接回数は、銅あるは銅合金の場合でも10回程度であ
った。の場合では、TIG電極(W系材料)の消耗が
激しので、この電極の寿命が短く、また、溶接速度が1
m/min を超えると裏側のビードの凹凸が大きくなった。
の場合は、溶接部と電極の間に電圧を印加するための
装置、鋼材と電極との間の絶縁などが必要になり、必ず
しも全ての溶接例に対して適用できない。
法はいずれもレーザー溶接装置以外の追加設備が必ずし
も簡単でないために、従来の装置をそのまま使用できな
いことに加えて、発明者らが詳細な確認実験を行ったと
ころ、従来の方法には以下の問題があった。すなわち、
の場合に効果が得られる条件として、溶接部と反射板
の距離が3mm以内であること、溶接速度が貫通限界速度
の50%程度であるという制限があった。また、反射板
の効果は数回の溶接を行うことによって反射板表面に付
着したスプラッシュなどで半減し、この半減するまでの
溶接回数は、銅あるは銅合金の場合でも10回程度であ
った。の場合では、TIG電極(W系材料)の消耗が
激しので、この電極の寿命が短く、また、溶接速度が1
m/min を超えると裏側のビードの凹凸が大きくなった。
の場合は、溶接部と電極の間に電圧を印加するための
装置、鋼材と電極との間の絶縁などが必要になり、必ず
しも全ての溶接例に対して適用できない。
【0007】本発明は、特別な追加設備なく、裏面ビー
ドを改善することができるレーザー溶接方法を提供する
ことを課題としている。
ドを改善することができるレーザー溶接方法を提供する
ことを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、突合せ溶接
部の裏面に電離・解離電圧の低いArを供給することだ
けによっても、条件によっては、貫通したレーザービー
ムによってArがプラズマ化し、このプラズマによって
溶接部裏面が加熱されることがあることを見出し、その
条件を究明するに至り本発明を完成させた。すなわち本
発明がその要旨とするところは、 「(1) 同厚鋼板どうし、または、異厚鋼板どうしの
突合せレーザー溶接において、レーザーの焦点位置を、
同厚鋼板どうしの溶接の場合は両方の鋼板の表面より、
また、異厚鋼板どうしの溶接の場合は厚い方の鋼板の表
面より、集光レンズの焦点距離に対して、オーバーフォ
ーカス量を0.5%以内、アンダーフォーカス量を1%
以内とし、また溶接速度を同厚鋼板どうしの溶接の場合
は両方の鋼板板厚、また、異厚鋼板どうしの溶接の場合
は平均板厚の貫通限界速度の50%以上、90%以下と
し、さらに鋼板の裏面の雰囲気をArとすることを特徴
とするレーザー溶接方法。 (2) さらに、溶接部裏面のAr流速を、10m/min
以上、120m/min 以下とすることを特徴とする前記
(1)に記載のレーザー溶接方法。」である。
部の裏面に電離・解離電圧の低いArを供給することだ
けによっても、条件によっては、貫通したレーザービー
ムによってArがプラズマ化し、このプラズマによって
溶接部裏面が加熱されることがあることを見出し、その
条件を究明するに至り本発明を完成させた。すなわち本
発明がその要旨とするところは、 「(1) 同厚鋼板どうし、または、異厚鋼板どうしの
突合せレーザー溶接において、レーザーの焦点位置を、
同厚鋼板どうしの溶接の場合は両方の鋼板の表面より、
また、異厚鋼板どうしの溶接の場合は厚い方の鋼板の表
面より、集光レンズの焦点距離に対して、オーバーフォ
ーカス量を0.5%以内、アンダーフォーカス量を1%
以内とし、また溶接速度を同厚鋼板どうしの溶接の場合
は両方の鋼板板厚、また、異厚鋼板どうしの溶接の場合
は平均板厚の貫通限界速度の50%以上、90%以下と
し、さらに鋼板の裏面の雰囲気をArとすることを特徴
とするレーザー溶接方法。 (2) さらに、溶接部裏面のAr流速を、10m/min
以上、120m/min 以下とすることを特徴とする前記
(1)に記載のレーザー溶接方法。」である。
【0009】
【発明の実施の形態】一般にガスをプラズマ化するに
は、ガス分子を原子に解離するエネルギーと、この原子
から電子を電離させるためのエネルギーが必要である。
単原子分子であるArは、大気の主成分であるN2 やO
2 などの2原子分子ガスや、他の単原子分子の不活性ガ
スと比べても、解離エネルギーが極めて小さく、プラズ
マ発生が非常に容易なガスである。また、Arは比較的
安価であり、入手も非常に容易である。
は、ガス分子を原子に解離するエネルギーと、この原子
から電子を電離させるためのエネルギーが必要である。
単原子分子であるArは、大気の主成分であるN2 やO
2 などの2原子分子ガスや、他の単原子分子の不活性ガ
スと比べても、解離エネルギーが極めて小さく、プラズ
マ発生が非常に容易なガスである。また、Arは比較的
安価であり、入手も非常に容易である。
【0010】本発明の場合、このArをプラズマ化する
には電離エネルギー以上のエネルギーをレーザービーム
で投与する必要がある。また、Arプラズマを溶接部裏
面のビ−ムが貫通した箇所で生成させる必要がある。従
って、貫通してきたビームのエネルギーが、溶接部裏面
の必要な位置で、Arを電離させるために必要なエネル
ギーより高いことが本発明を可能にするための重要な要
件となる。そのためには以下に述べるような制限が必要
になる。
には電離エネルギー以上のエネルギーをレーザービーム
で投与する必要がある。また、Arプラズマを溶接部裏
面のビ−ムが貫通した箇所で生成させる必要がある。従
って、貫通してきたビームのエネルギーが、溶接部裏面
の必要な位置で、Arを電離させるために必要なエネル
ギーより高いことが本発明を可能にするための重要な要
件となる。そのためには以下に述べるような制限が必要
になる。
【0011】レーザー照射位置に関しては、同厚鋼板ど
うしの溶接の場合は両方の鋼板板厚、また、異厚鋼板ど
うしの溶接の場合は厚い方の鋼板の表面から焦点距離の
0.5%より高いオーバーフォーカスに、また1%より
深いアンダーフォーカスにすると、鋼板表面でのビーム
のエネルギー密度が低下し、ビームの貫通エネルギー量
が低減するので、裏面に供給したArをプラズマ化でき
ない。したがって、この位置をオーバーフォ−カスの
0.5%以内、アンダーフォーカスの1%以内にする必
要がある。
うしの溶接の場合は両方の鋼板板厚、また、異厚鋼板ど
うしの溶接の場合は厚い方の鋼板の表面から焦点距離の
0.5%より高いオーバーフォーカスに、また1%より
深いアンダーフォーカスにすると、鋼板表面でのビーム
のエネルギー密度が低下し、ビームの貫通エネルギー量
が低減するので、裏面に供給したArをプラズマ化でき
ない。したがって、この位置をオーバーフォ−カスの
0.5%以内、アンダーフォーカスの1%以内にする必
要がある。
【0012】溶接速度に関しては、ビームの貫通限界の
90%を超えると、上記と同様に裏面に貫通するビーム
のエネルギー量が低下して、裏面に供給したArをプラ
ズマ化できないため、溶接速度は、同厚鋼板どうしの溶
接の場合は両方の鋼板板厚、また、異厚鋼板どうしの溶
接の場合は平均板厚の貫通限界速度の90%以下にする
必要がある。下限速度については、目的とするビード幅
が得られるように適宜減速するが、従来技術よりも溶接
時間を短縮するためには50%以上とすることが好まし
い。
90%を超えると、上記と同様に裏面に貫通するビーム
のエネルギー量が低下して、裏面に供給したArをプラ
ズマ化できないため、溶接速度は、同厚鋼板どうしの溶
接の場合は両方の鋼板板厚、また、異厚鋼板どうしの溶
接の場合は平均板厚の貫通限界速度の90%以下にする
必要がある。下限速度については、目的とするビード幅
が得られるように適宜減速するが、従来技術よりも溶接
時間を短縮するためには50%以上とすることが好まし
い。
【0013】さらに、裏面のArの流速に関しては、1
20m/min を超えると、Arプラズマが冷やされ、安定
しなくなるため、流速は120m/min 以下にする。効果
が確認できる流速は10〜120m/min であるが、この
範囲で30〜100m/min で安定した効果が見られる。
したがって、目的とするビード幅によって流量は変わる
が、30〜100m/min が好ましい。流速は、突合せ部
裏面中心に相当する空間での速度、つまり鋼材を配置し
たときの突合せ部直下での流速をいう。
20m/min を超えると、Arプラズマが冷やされ、安定
しなくなるため、流速は120m/min 以下にする。効果
が確認できる流速は10〜120m/min であるが、この
範囲で30〜100m/min で安定した効果が見られる。
したがって、目的とするビード幅によって流量は変わる
が、30〜100m/min が好ましい。流速は、突合せ部
裏面中心に相当する空間での速度、つまり鋼材を配置し
たときの突合せ部直下での流速をいう。
【0014】また、Ar濃度に関してはArプラズマを
安定して発生させるために、突合せ部直下で90%以上
にすることが好ましい。一般に入手可能な、市販の高純
度Ar(通常99.99%)を使用するのがよい。
安定して発生させるために、突合せ部直下で90%以上
にすることが好ましい。一般に入手可能な、市販の高純
度Ar(通常99.99%)を使用するのがよい。
【0015】図1に、本発明の概略図を示す。鋼板1と
鋼板2をレーザービーム3を用いて、突合せ溶接部4を
溶接する際、鋼板1、鋼板2を支える支持台5の下方よ
り、突合せ溶接部4の裏面に向かって、Arガス吹出し
口6より、Arガス8を吹き付ける。
鋼板2をレーザービーム3を用いて、突合せ溶接部4を
溶接する際、鋼板1、鋼板2を支える支持台5の下方よ
り、突合せ溶接部4の裏面に向かって、Arガス吹出し
口6より、Arガス8を吹き付ける。
【0016】図2に、本発明におけるビームの照射位置
を示す。鋼板1および鋼板2(この図では鋼板1の板厚
が鋼板2よりも厚い)を突合せてレーザービーム3で溶
接する時、ビームの焦点位置は、板厚が厚い鋼板1の鋼
板表面位置9(=ジャストフォーカス位置)を挟んで、
オーバーフォーカス側10あるいはアンダーフォーカス
側11の範囲にある。本発明ではこの焦点位置を集光レ
ンズ13の焦点距離Fに対する割合で、オーバーフォー
カス側0.5%以内、アンダーフォーカス側1%以内の
範囲とする。すなわち、図2でδ0 /F≦0.5%、お
よびδU /F≦1%とする。
を示す。鋼板1および鋼板2(この図では鋼板1の板厚
が鋼板2よりも厚い)を突合せてレーザービーム3で溶
接する時、ビームの焦点位置は、板厚が厚い鋼板1の鋼
板表面位置9(=ジャストフォーカス位置)を挟んで、
オーバーフォーカス側10あるいはアンダーフォーカス
側11の範囲にある。本発明ではこの焦点位置を集光レ
ンズ13の焦点距離Fに対する割合で、オーバーフォー
カス側0.5%以内、アンダーフォーカス側1%以内の
範囲とする。すなわち、図2でδ0 /F≦0.5%、お
よびδU /F≦1%とする。
【0017】図3に、Arガスの吹出し口の形状の例を
示す。(a)は孔形状吹出し口6、(b)はスリット状
吹出し口7をそれぞれ示している。何れの方法でもガス
の流速や濃度が本発明の範囲になるように配置する。な
お、吹出し口の配置は左右対称である方が、流速や濃度
の分布がほぼ一様となる点で有利であるため、好まし
い。
示す。(a)は孔形状吹出し口6、(b)はスリット状
吹出し口7をそれぞれ示している。何れの方法でもガス
の流速や濃度が本発明の範囲になるように配置する。な
お、吹出し口の配置は左右対称である方が、流速や濃度
の分布がほぼ一様となる点で有利であるため、好まし
い。
【0018】図4に、Arガスの吹出し口の角度の例を
示す。突合せ裏面に向かって、(a)の場合は吹出し角
度θで吹き上り、(b)の場合は角度を付けずに水平に
吹き付ける。
示す。突合せ裏面に向かって、(a)の場合は吹出し角
度θで吹き上り、(b)の場合は角度を付けずに水平に
吹き付ける。
【0019】なお、突合せ部の間隔の突合せ部中心線1
2に対するビームの焦点位置は、板厚および板厚差によ
って突合せ部中心線12より板厚の厚い側にずらすな
ど、適宜最適な位置になるよう配置する。
2に対するビームの焦点位置は、板厚および板厚差によ
って突合せ部中心線12より板厚の厚い側にずらすな
ど、適宜最適な位置になるよう配置する。
【0020】
【実施例】さらに、Ar流速などの諸条件の有効範囲に
関して、以下実施例により説明する。Arの吹出し口形
状は、図1(a)の形状を用いた。このとき、孔の径は
1.5mm、隣合う孔の間隔は10mm、孔の個数は17個
(各左右、計34個)にした。そして、Arの吹出し角
度は45゜、対向する孔の間隔は14mm、孔の出口と鋼
板を設置する距離は14mmとした。この装置を作成し、
鋼板を突合せ部の間隔が無限(鋼板なし)と2mmの場合
の(本来は0.1mm等のオ−ダ−で測定すべきである
が、計測器のサイズの関係で2mmが最小)、突合せ部裏
面中心のAr流速を、熱流速計を用いて測定した。この
時のAr総流量と流速の関係を表1に示す。
関して、以下実施例により説明する。Arの吹出し口形
状は、図1(a)の形状を用いた。このとき、孔の径は
1.5mm、隣合う孔の間隔は10mm、孔の個数は17個
(各左右、計34個)にした。そして、Arの吹出し角
度は45゜、対向する孔の間隔は14mm、孔の出口と鋼
板を設置する距離は14mmとした。この装置を作成し、
鋼板を突合せ部の間隔が無限(鋼板なし)と2mmの場合
の(本来は0.1mm等のオ−ダ−で測定すべきである
が、計測器のサイズの関係で2mmが最小)、突合せ部裏
面中心のAr流速を、熱流速計を用いて測定した。この
時のAr総流量と流速の関係を表1に示す。
【0021】
【表1】 間隔によって流速が減速するため、本発明では、流速が
必要な場合についてのみ、間隔が無限(鋼板なし)の値
を示し、それ以外はAr流量で表記する。
必要な場合についてのみ、間隔が無限(鋼板なし)の値
を示し、それ以外はAr流量で表記する。
【0022】(実施例1)板厚3.2mmどうしの板を、
レーザー溶接する場合の本発明の実施例を表2に示す。
溶接条件は、 レーザー出力:5kW(CO2 、ビームエネルギーの伝送
は90%) 焦点距離 :7.5インチ(約190mm) 貫通限界速度:4.5m/min (3.2mm板ビードオンの
場合)このときの焦点位置は鋼板表面±0mm Arシールド:20 l/min(レーザーと同軸に鋼板表面
から吹き付ける) 裏面Ar :図1の装置においてArの吹出しに関し、以下の配置を有する Ar吹出し孔の径 =1.5mm 孔数 =17個(各左右、計34個) 間隔 隣合う孔間 =10mm 対向する孔間 =14mm 鋼板裏面と孔間 =14mm 上向き角度 =45゜
レーザー溶接する場合の本発明の実施例を表2に示す。
溶接条件は、 レーザー出力:5kW(CO2 、ビームエネルギーの伝送
は90%) 焦点距離 :7.5インチ(約190mm) 貫通限界速度:4.5m/min (3.2mm板ビードオンの
場合)このときの焦点位置は鋼板表面±0mm Arシールド:20 l/min(レーザーと同軸に鋼板表面
から吹き付ける) 裏面Ar :図1の装置においてArの吹出しに関し、以下の配置を有する Ar吹出し孔の径 =1.5mm 孔数 =17個(各左右、計34個) 間隔 隣合う孔間 =10mm 対向する孔間 =14mm 鋼板裏面と孔間 =14mm 上向き角度 =45゜
【0023】
【表2】 効果がある速度は貫通限界速度の90%以下だが、突合
せの間隔が大きくなると、隙間を埋めるために多くの鋼
板を溶融させなくてならないので、効果がある速度は低
減する。なお、この隙間の拡大による速度の低減代は、
鋼板の板厚に依存する。
せの間隔が大きくなると、隙間を埋めるために多くの鋼
板を溶融させなくてならないので、効果がある速度は低
減する。なお、この隙間の拡大による速度の低減代は、
鋼板の板厚に依存する。
【0024】(実施例2)板厚1.0mmどうしの板をレ
ーザー溶接する場合の本発明の実施例を表3に示す。 レーザー出力:5kW(CO2 、ビームエネルギーの伝送
は90%) 焦点距離 :7.5インチ(約190mm) 貫通限界速度:10m/min (1.0mm板ビ−ドオンの場
合)このときの焦点位置は鋼板表面±0mm Arシールド:15 l/min(レーザーと同軸に鋼板表面
から吹きつける) 裏面Ar :図1の装置においてArの吹出しに関
し、以下の配置を有する Ar吹出し孔の径 =1.5mm 孔数 =17個(各左右、計34個) 間隔 隣合う孔間 =10mm 対向する孔間 =14mm 鋼板裏面と孔間 =14mm 上向き角度 =45゜ この場合、総Ar流量が10 l/minあたり、吹出し孔出
口でのAr流速は約170m/min 、突合せ裏面で流速は
約17m/min 。
ーザー溶接する場合の本発明の実施例を表3に示す。 レーザー出力:5kW(CO2 、ビームエネルギーの伝送
は90%) 焦点距離 :7.5インチ(約190mm) 貫通限界速度:10m/min (1.0mm板ビ−ドオンの場
合)このときの焦点位置は鋼板表面±0mm Arシールド:15 l/min(レーザーと同軸に鋼板表面
から吹きつける) 裏面Ar :図1の装置においてArの吹出しに関
し、以下の配置を有する Ar吹出し孔の径 =1.5mm 孔数 =17個(各左右、計34個) 間隔 隣合う孔間 =10mm 対向する孔間 =14mm 鋼板裏面と孔間 =14mm 上向き角度 =45゜ この場合、総Ar流量が10 l/minあたり、吹出し孔出
口でのAr流速は約170m/min 、突合せ裏面で流速は
約17m/min 。
【0025】
【表3】 このように、焦点位置がオーバーフォーカスで0.5%
以内、アンダーフォーカスで1%以内で効果がある。
以内、アンダーフォーカスで1%以内で効果がある。
【0026】(実施例3)板厚1.0mmどうしの板をレ
ーザー溶接する場合の本発明の実施例を表4に示す。 レ−ザ−出力:5kW(CO2 、ビ−ムエネルギ−の伝送
は90%) 焦点距離 :7.5インチ(約190mm) 貫通限界速度:10m/min (1.0mm板ビ−ドオンの場
合)このときの焦点位置は鋼板表面±0mm Arシ−ルド:15 l/min(レーザーと同軸に鋼板表面
から吹き付ける) 裏面Ar :図1の装置においてArの吹出しに関
し、以下の配置を有する Ar吹出し孔の径 =1.5mm 孔数 =17個(各左右、計34個) 間隔 隣合う孔間 =10mm 対向する孔間 =14mm 鋼板裏面と孔間 =14mm 上向き角度 =45゜
ーザー溶接する場合の本発明の実施例を表4に示す。 レ−ザ−出力:5kW(CO2 、ビ−ムエネルギ−の伝送
は90%) 焦点距離 :7.5インチ(約190mm) 貫通限界速度:10m/min (1.0mm板ビ−ドオンの場
合)このときの焦点位置は鋼板表面±0mm Arシ−ルド:15 l/min(レーザーと同軸に鋼板表面
から吹き付ける) 裏面Ar :図1の装置においてArの吹出しに関
し、以下の配置を有する Ar吹出し孔の径 =1.5mm 孔数 =17個(各左右、計34個) 間隔 隣合う孔間 =10mm 対向する孔間 =14mm 鋼板裏面と孔間 =14mm 上向き角度 =45゜
【0027】
【表4】 このように、Arの流速が120m/min 以下で効果がよ
り高くなる。
り高くなる。
【0028】
【発明の効果】本発明により、ビード厚みならびに裏面
のビード幅は、従来のレーザー溶接の2割以上拡大し、
かつ、ビード表面の平滑性も向上した。また、従来と同
等のビードが得られる溶接速度の限界も2割ほど向上し
た。このような特徴を有する本発明は、特に板厚が0.
6〜3.2mmの同厚、あるいは板厚比が1:3以内の板
厚の薄板の溶接において本発明は効果を有しており、テ
ーラードブランク材、あるいはハイドロフォーム材の溶
接時における高速溶接、高耐ギャップ許容、高疲労特性
の溶接技術を提供することができた。
のビード幅は、従来のレーザー溶接の2割以上拡大し、
かつ、ビード表面の平滑性も向上した。また、従来と同
等のビードが得られる溶接速度の限界も2割ほど向上し
た。このような特徴を有する本発明は、特に板厚が0.
6〜3.2mmの同厚、あるいは板厚比が1:3以内の板
厚の薄板の溶接において本発明は効果を有しており、テ
ーラードブランク材、あるいはハイドロフォーム材の溶
接時における高速溶接、高耐ギャップ許容、高疲労特性
の溶接技術を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接方法を示す概略図である。
【図2】本発明におけるビ−ムの照射位置を示した図で
ある。
ある。
【図3】Arガスの吹出口の形状の例を示した図であ
る。 (a)孔形状、(b)スリット形状
る。 (a)孔形状、(b)スリット形状
【図4】Arガスの吹出口の角度の例を示した図であ
る。 (a)吹上がり、(b)水平横吹き
る。 (a)吹上がり、(b)水平横吹き
1:鋼板 2:鋼板 3:レーザービーム 4:突合せ溶接部 5:支持台 6:Arガス吹出し口(孔形状) 7:Arガス吹出し口(スリット状) 8:Arガス 9:鋼板の表面位置 10:オ−バーフォ−カス側 11:アンダーフォ−カス側 12:突合せ部中心線 13:集光レンズ F:集光レンズの焦点距離 θ:吹上がり角度
フロントページの続き (72)発明者 古迫 誠司 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 藤 雅雄 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平6−155064(JP,A) 特開 平3−13289(JP,A) 特開 平8−276290(JP,A) 特開 平8−174251(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/00 B23K 26/04 B23K 26/12
Claims (2)
- 【請求項1】 同厚鋼板どうし、または、異厚鋼板どう
しの突合せレーザー溶接において、レーザーの焦点位置
を、同厚鋼板どうしの溶接の場合は両方の鋼板の表面よ
り、また、異厚鋼板どうしの溶接の場合は厚い方の鋼板
の表面より、集光レンズの焦点距離に対して、オーバー
フォーカス量を0.5%以内、アンダーフォーカス量を
1%以内とし、また溶接速度を同厚鋼板どうしの溶接の
場合は両方の鋼板板厚、また、異厚鋼板どうしの溶接の
場合は平均板厚の貫通限界速度の50%以上、90%以
下とし、さらに鋼板の裏面の雰囲気をArとすることを
特徴とするレーザー溶接方法。 - 【請求項2】 さらに、溶接部裏面のAr流速を、10
m/min 以上、120m/min 以下とすることを特徴とする
請求項1に記載のレーザー溶接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12883498A JP3260690B2 (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | レーザー溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12883498A JP3260690B2 (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | レーザー溶接方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11320151A JPH11320151A (ja) | 1999-11-24 |
JP3260690B2 true JP3260690B2 (ja) | 2002-02-25 |
Family
ID=14994564
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12883498A Expired - Fee Related JP3260690B2 (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | レーザー溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3260690B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
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JP5290606B2 (ja) * | 2008-03-31 | 2013-09-18 | 株式会社総合車両製作所 | レーザ溶接方法 |
JP2010105041A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-05-13 | Sanyo Electric Co Ltd | レーザ溶接用治具、レーザ溶接装置及び角形電池の製造方法 |
CN107931793B (zh) * | 2017-11-01 | 2021-09-14 | 中国兵器科学研究院宁波分院 | 一种钛合金焊接背保护装置及焊接方法 |
-
1998
- 1998-05-12 JP JP12883498A patent/JP3260690B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11320151A (ja) | 1999-11-24 |
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