JP3258357B2 - S/nエンハンサ - Google Patents

S/nエンハンサ

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JP3258357B2
JP3258357B2 JP04478892A JP4478892A JP3258357B2 JP 3258357 B2 JP3258357 B2 JP 3258357B2 JP 04478892 A JP04478892 A JP 04478892A JP 4478892 A JP4478892 A JP 4478892A JP 3258357 B2 JP3258357 B2 JP 3258357B2
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良弘 小西
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    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H2/00Networks using elements or techniques not provided for in groups H03H3/00 - H03H21/00
    • H03H2/001Networks using elements or techniques not provided for in groups H03H3/00 - H03H21/00 comprising magnetostatic wave network elements

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  • Noise Elimination (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波など高周波
電磁波信号の信号対ノイズ比(S/N)を、電磁波から
変換されてフェライトなどフェリ磁性材薄膜中を伝搬す
る静磁波の飽和を利用して増大させるようにした静磁波
デバイス利用のS/Nエンハンサに関し、特に、電磁波
信号の伝送路に対する挿入損失の増大を伴わずに効率よ
く原信号のS/Nを改善し得るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】この種静磁波デバイスにおけるフェライ
ト薄膜中を伝搬する静磁波、特にフェライト薄膜の膜面
に沿って伝搬する表面静磁波は、小振幅領域においても
飽和し易く、したがって、電磁波から変換した静磁波の
電力が飽和閾値を超える程度の大きい電力の電磁波に対
しては非線形入出力特性を呈し、変換した静磁波の電力
が飽和閾値に満たない小電力の電磁波に対しては線形の
入出力特性を呈する。さて、かかる入出力特性を呈する
静磁波デバイスを利用し、入力電磁波のうち、飽和閾値
に達しないノイズ成分はすべて静磁波に変換されて消耗
し、飽和閾値を超えた信号成分はほとんどそのまま通過
するようにして信号対ノイズ比を増大させるS/Nエン
ハンサが従来開発されていたが、後に詳述するインピー
ダンスの変化などの故に十分なS/Nの増大が得られな
かった。そこで、静磁波デバイスと減衰器との直列接続
の順序を入れ替えてかかる非線形および線形の入出力特
性をそれぞれ呈するようにして2径路を構成し、かかる
2径路に電磁波を分けて供給するとともに、それぞれの
径路の出力におけるノイズ成分を相殺除去するようにし
て双方の出力を合成することによって電磁波信号の信号
対ノイズ比を増大させるようにした静磁波利用のS/N
エンハンサが従来開発されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の静磁波利用のS/Nエンハンサにおいては、フェ
ライト薄膜中を伝搬する静磁波の著しく低い飽和閾値に
基づく非線形入出力特性を利用しているので、線形入出
力特性を呈する方の径路においては、静磁波デバイスを
飽和させないように減衰器を前置してあり、ノイズ成分
を相殺除去した合成出力の電磁波出力レベルがその減衰
器の故に著しく低くなり、その結果としてS/Nエンハ
ンサの挿入損失が著しく増大する。また、2径路中の静
磁波デバイスにそれぞれ供給する電磁波の電力が大幅に
相違すると、双方の位相特性にずれが生ずるので、電力
が余り大きい電磁波は供給し得ない、という問題もあっ
た。したがって、かかる挿入損失の増大を伴わず、位相
特性のずれの影響を受けないようにすることが、この種
静磁波利用のS/Nエンハンサについて解決すべき従来
の課題となっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、上述し
た従来の課題を解決し、挿入損失の増大や位相特性のず
れを伴うことなく、電磁波信号の信号対ノイズ比を効率
よく向上させ得るようにした静磁波利用のS/Nエンハ
ンサを提供することにある。本発明S/Nエンハンサ
は、直流磁界を印加したフェライト薄膜に被着したスト
リップ電極に電磁波を供給してフェライト薄膜中を伝搬
する静磁波に変換したときに生ずる静磁波の飽和を利用
するものではあるが、従来のように静磁波の飽和に基づ
く非線形入出力特性を利用するのとは異なり、電磁波か
ら変換した静磁波の飽和に基づく変換用電極のインピー
ダンスの飽和閾値の上下における大幅の変化による入力
電磁波の反射を利用するものである。
【0005】すなわち、本発明のS/Nエンハンサは、
誘電体基板上に設けたフェリ磁性材薄膜に、膜面に平行
に直流磁界を印加したときに両方の膜面にそれぞれ沿っ
て前記直流磁界に垂直に伝搬する表面静磁波に結合する
ストリップ線路を前記フェリ磁性材薄膜の膜面に備え、
そのストリップ線路の一端に電磁波を供給する装置にお
いて、飽和電力を超えない電力の静磁波が伝搬している
状態における前記ストリップ線路のインピーダンスを内
部抵抗とする電磁波供給源から飽和電力を超える電力の
静磁波を発生させる電磁波をそのストリップ線路の前記
一端に供給したときに、そのストリップ線路の当該一端
から反射する電磁波を選択的に取出すことにより、前記
電磁波供給源から供給する電磁波の信号対ノイズ比(S
/N)を前記ストリップ線路のインピーダンスの変化に
応じて増大させるようにしたことを特徴とするものであ
る。
【0006】
【作用】したがって、本発明S/Nエンハンサにおいて
は、挿入損失の増大や位相特性のずれの影響を伴うこと
なく、効率よく電磁波信号の信号対ノイズ比を大幅に増
大させることができる。
【0007】
【実施例】以下に図面を参照して実施例につき本発明を
詳細に説明する。さて、静磁波利用のS/Nエンハンサ
の動作原理から始めて本発明を詳細に説明するに、フェ
ライトなどフェリ磁性材の薄膜に直流磁界を印加して、
その薄膜に被着したストリップ線路を介し、電磁波と静
磁波とを結合させた場合、電極に供給する電磁波の電力
が飽和電力閾値を超えると、静磁波の電力が飽和してそ
の振幅が一定となる。フェリ磁性材薄膜中を伝搬する静
磁波電力のかかる飽和は、直流磁界を膜面に垂直に印加
したときにフェリ磁性材薄膜の内部を拡がって伝搬する
体積前進静磁波、あるいは、直流磁界を膜面に平行に印
加したときに薄膜の内部を拡がって磁界印加方向に伝搬
する体積後退静磁波よりも、直流磁界を膜面に平行に印
加したときに磁界印加方向に垂直に膜面に沿って集中的
に伝搬する表面静磁波に最も低い飽和閾値電力で生ず
る。
【0008】この表面静磁波が最低の閾値電力で飽和す
るのは、印加磁界強度と周波数との相対関係を表わした
図1に示す各種静磁波のΩ−ΩH 特性曲線から判るよう
に、表面静磁波の発生領域が、低い電力で飽和を起す主
因をなすω/2スピン波の発生領域と大幅に重複している
ことと、表面静磁波が前述したように膜面近傍にエネル
ギーが密集した状態で伝搬するので、同じ静磁波電力で
あっても発生磁界が強くなることとに基づくものであ
る。
【0009】ここで、S/Nエンハンサなど、フェリ磁
性材薄膜中を伝搬する静磁波に電磁波を変換する静磁波
デバイス一般の概略構成を模式的に図2に示す。図示の
静磁波デバイスにおいては、電磁波を供給して静磁波に
変換させる結合ストリップ線路1を裏面に接地板3を被
着した誘電体基板4上に設けて、ガドリニウム・ガリウ
ム・ガーネット(GGG)などの基板5上に被着したイ
ットリウム・鉄・ガーネット(YIG)などのフェリ磁
性材の薄膜6を結合させて直流磁界H0 を印加してあ
る。入力端子から出力端子まで結合ストリップ線路
1を伝搬する電磁波は、途中で静磁波に変換されてフェ
リ磁性材薄膜6中を伝搬し、その終端に設けた終端スト
リップ線路に結合してその線路に接続した負荷抵抗に吸
収され、あるいは、静磁波伝搬路が長い場合にはその伝
搬損失として吸収される。
【0010】さて、後に詳述するように、図2に示した
静磁波デバイスにおける入力電極線路1の入力端子と
出力端子との間から磁性材薄膜6側を見たインピーダ
ンスZを考えると、供給する電磁波電力Pが飽和閾値電
力 PC より小さいときには,非線形を呈しない状態にお
ける静磁波への放射インピーダンス ZMSW に対してZ=Z
MSW となる。つぎに、電磁波電力Pが飽和閾値電力 PC
よりも大きい状態においてはZ<| ZMSW |となる。し
たがって、図2に示した静磁波デバイスにおける結合ス
トリッス線路1の出力端子に負荷 RL を接続すると、
P> PC のときには結合ストリップ線路1における入力
端子から出力端子までの減衰量は、両者間が短絡さ
れる方向になるので減少し、電力の大きい信号の方は強
められるが、電力が小さい方のノイズは強められないの
で、信号対ノイズ比(S/N)が改善されることにな
る。
【0011】いま、静磁波デバイスによる電磁波−静磁
波変換器に供給する電磁波が、角周波数ωO で電力P(ω
0)の信号搬送波と、その電力P(ω0)より弱い電力 PS (
ω0+△ω) を有するスペクトラムω0+△ωの例えばノイ
ズの成分からなるものとする。静磁波デバイスに供給す
る搬送波電力P(ω0)(太い実線で表わす)とノイズなど
を含む側帯波電力およびスペクトラム成分電力 PS ( ω
0+△ω) とを示す図3のうち、(a) に示すように、入力
搬送波電力 P10)が飽和閾値電力 PC に達しない状態
においては、搬送波電力P(ω0)がすべて静磁波に変換さ
れ、かかる状態では、静磁波デバイスからの放射インピ
ーダンスが電磁波供給源の端子インピーダンスWに整合
されているものとする。なお、側波帯のスペクトラム成
分電力Ps ( ω0+△ω) は図示の PS1とする。
【0012】つぎに、図3の(b) に示すように、入力搬
送波電力 P20)が飽和閾値電力PC を超えた状態にお
いては、図4に示すように、静磁波に変換される電力は
飽和閾値電力 PC を超えず、 PC に等しい一定値とな
る。すなわち、入力搬送波電力が飽和閾値電力 PC を超
え、変換された静磁波の発生磁界が飽和閾値電力 PC
対応する磁界の強さ hc を超えると、フェライトなどフ
ェリ磁性材の非線形特性に基づくパラメトリック効果に
よって角周波数ω0/2 のスピン波が発生し、そのスピン
波発生に入力搬送波のエネルギーが吸収されるので、静
磁波の発生磁界およびその磁界発生に伴う磁化が、磁化
の運動方程式の減衰項に従って減少し、スピン波の円運
動が小さくなろうとする。そこで、かかる減衰傾向に打
勝って増大するためのエネルギーが入力搬送波電力Pか
ら供給されてバランスするので、静磁波に変換される電
力は一定値となる。なお、上述のようにして発生するス
ピン波のエネルギーは熱として消耗される。したがっ
て、入力搬送波電力Pが飽和閾値電力 PC を超えると、
飽和閾値電力 PC を超えた分の入力搬送波電力は、図4
に示すように、すべてスピン波の発生に供給されること
になり、入力搬送波電力Pが増大するほど、スピン波の
発生に供給されるエネルギーがP- PC に従って増大し、
熱となって消耗されることになる。
【0013】いま、図2に示した静磁波デバイスにおい
て、出力端子を接地板3に接続したときのストリップ
線路1の入力端子と接地板3との間の端子電圧をVと
すると、搬送波電力Pが飽和閾値電力 PC を超えても、
上述した理由で磁化の大きさは一定で変らないのである
から、端子電圧Vは飽和時の電圧 VC 以上にはならな
い。したがって、結合ストリップ線路1からスピン波に
変換される搬送波電力に基づくコンダクタンスを Gspin
とすると、つぎの(1) 式となる。
【数1】 さて、端子電圧Vは、飽和閾値電力 PC を超えても、つ
ねに飽和閾値電圧 VCに等しい一定値に保たれるのであ
るから、スピン波変換コンダクタンス Gspinは、図5
(a) に示すように、搬送波電力Pが飽和閾値電力 PC
超えてP> PC となったときに等価回路のスイッチ SW
が閉じて静磁波変換コンダクタンス GMSWに並列に接続
されることにならなければならない。したがって、静磁
波デバイスの入力端子コンダクタンスGは、つぎの(2)
式のようになる。
【数2】
【0014】したがって、入力端子コンダクタンスG
は、P> PC の状態では搬送波電力Pの増加とともに、
図6に示 ように、増加する。なお、静磁波デバイスに
直列に負荷抵抗 RL を接続すると、その等価回路は図5
(b) に示すようになる。したがって、負荷抵抗 RL に供
給される搬送波信号電力を PL とすると、その負荷電力
PL は、搬送波電力Pが飽和閾値電力 Pc を超えると急
に増加し始める。かかる負荷電力と入力電力 Pinとの比
を求めると、つぎの(3) 式のようになる。
【数3】 また、P< PC のときには、当然につぎの(4) 式のよう
なる。
【数4】
【0015】したがって、信号電力をSとし、ノイズ電
力をNとして、つぎの(5) 式の条件を用いると、
【数5】 (3) 式および(4) 式から、S/N改善度Iは、エンハン
サを用いたときのS/Nを(S/N)E とし、エンハン
サを用いないときのもとのS/Nを(S/N)Oとした
ときに、つぎの(6) 式のようになる。
【数6】 さらに Pin→∞のときには、つぎの(7) 式のようにな
る。
【数7】 したがって、S/N改善度を増大させるためには、 RMSW >>RL としなければならないことになるが、かかる条件を保持
することには、実際の回路を構成するうえで問題があ
る。
【0016】したがって、かかる実際回路構成上の問題
を回避するには、電力の小さいノイズの方だけをさらに
減少させればよいことになり、そのために、従来の技術
として冒頭に前述したS/Nエンハンサが従来開発され
ていた。すなわち、入力搬送波信号を第1および第2の
2径路に分岐し、第1の径路には静磁波デバイスと減衰
器とをその順に介挿し、第2の径路には第1の径路の減
衰器と同じ減衰量の減衰器と静磁波デバイスとをその順
に介挿し、双方の径路におけるノイズ成分などの小信号
が相殺されるように互いに逆位相にして双方の出力を合
成していた。したがって、第1の径路においては、大電
力の信号がまず静磁波デバイスで一定の飽和閾値電力レ
ベルに抑えられた後に減衰器でさらに小電力に減少する
が、第2の径路においては、大電力の信号がまず減衰器
で減少した後に静磁波デバイスに供給されるので飽和閾
値電力レベルに達せず、そのまま出力される。その結
果、第1の径路の出力においては信号が飽和して一定に
抑えられただけ第2の径路の出力より信号レベルが低く
なる。一方、図3(b) に示すように側波帯成分の角周波
数が搬送波からΔω′以上離れた帯域では飽和現象が全
く起らないので、ノイズ成分は相殺されて合成出力には
現われず、一方、上述したように、信号成分について
は、飽和減衰量に相当する電力の信号出力が合成出力に
現われるのであるから、S/Nが大幅に改善されるよう
になっていた。なお、図3(b) における帯域幅Δω′
は、磁気共鳴半値幅ΔHと入力搬送波電力Pとに比例
し、通例、ΔH=1エルステッドのときにΔω′/2π
が数MHz となる。
【0017】従来のS/Nエンハンサにおけるかかる大
幅の挿入損失を回避するために、本発明においては、静
磁波デバイスによる電磁波−静磁波変換器の入力端子イ
ンピーダンスが、入力搬送波電力Pと飽和閾値電力 PC
との大小関係によって、すなわち、(2) 式に示したよう
にP< PC のときとP> PC のときとによって変化する
ことに着目し、入力搬送波電力Pが飽和閾値電力 PC
超えた状態においては、飽和閾値電力 PC を超えない状
態における入力端子インピーダンスに整合させた搬送波
供給源から供給する搬送波信号が入力端子インピーダン
スの非整合により反射されたものを出力搬送波信号とし
て、図7(a) 〜(d) に示すように、サーキュレータや方
向性結合器を介して取出すことにより、挿入損失の少な
い静磁波利用のS/Nエンハンサを実現している。
【0018】すなわち、図7(a) に示す本発明S/Nエ
ンハンサの構成例においては、サーキュレータ7の端子
に供給した高周波信号を端子から取出して、インピ
ーダンス整合回路(N)8を介し、静磁波デバイス9に
供給する。かかる構成において、入力搬送波信号の電力
が小さいときに静磁波デバイス9の結合ストリップ線路
1から当該デバイス9側を見たインピーダンスZをサー
キュレータ7のインピーダンスWに等しくする整合回路
(N)8を介挿してあるので、入力搬送波信号電力が小
さいときには、入力信号電力のすべてが静磁波デバイス
9内および終端ストリップ線路2に整合回路(N′)10
を介して接続した負荷抵抗W′内に吸収されるために、
サーキュレータ7の出力端子には信号電力は現われな
い。
【0019】一方、入力搬送波信号電力が大きいときに
は,結合ストリップ線路1の入力端子に供給された電
磁波から静磁波に変換された電力が飽和するので、飽和
閾値を超えた電力はそのときの入力端子インピーダンス
の不整合によって反射され,サーキャレータ7の出力端
子に出力として現われる。その出力信号電力 Sout
つぎの(8) 式のようになる。
【数8】 さらに、そのときの出力ノイズ電力 Nout は、サーキュ
レータや方向性結合器のアイソレーション LIso だけ減
衰してつぎの(9) 式のようになる。
【数9】 サーキュレータや方向性結合器のアイソレーション L
ISO は、通例、容易に25dBとなり、|Γ|2 は数dBとな
るので、信号対ノイズ比S/Nの20dB以上の改善が容易
に行なわれることになる。
【0020】なお、図7(b) に示す構成例においては、
方向性結合回路として3dB結合器11を用い、その入力端
子に対向する端子に整合回路(N)8を介して負荷
抵抗Wを接続するとともに、端子と共軛の端子に図
7(a) におけると同様の静磁波デバイス9を接続して、
入力端子と共軛の端子から出力を取出す。また、図
7(c) に示す構成例においては、図7(b) におけると同
様の接続にした3dB結合器またはハイブリッドリング11
において互いに共軛の端子およびに図7(a) におけ
ると同様の静磁波デバイス9をそれぞれ接続してある。
さらに、図7(d) に示す構成例においては、図7(C) に
示した構成例における3dB結合器またはハイブリッドリ
ング11において互いに共軛の端子およびにそれぞれ
接続した別個の同様の構成による静磁波デバイス9の替
わりに、図に示すように、単一のフェリ磁性材薄膜13の
表裏両面にそれぞれ図7(a) におけると同様の静磁波デ
バイスを構成してあり、直流磁界を印加したフェリ磁性
材薄膜の上下両膜面には互いに逆方向に伝搬する表面静
磁波が生ずることを利用して、装置の小型化を図ったも
のである。
【0021】さて、本発明による静磁波利用のS/Nエ
ンハンサにおいては、図3(b) に示して前述したよう
に、ノイズ成分など搬送波信号以外のスペクトラム成分
のうち、角周波数ω0 を中心としたその極く近傍の±△
ω′の範囲の成分は、スピン波に吸収されて熱となって
消耗し、その周波数帯域幅は、上述のように通例数MHz
程度であり、磁気共鳴半値幅△Hが小さい程狭くなり、
搬送波電力Pが大きい程広くなる。しかして、この角周
波数帯域幅△ω′内では、前述したように、搬送波電力
のエネルギーがスピン波の発生に消耗されるが故に、静
磁波デバイスの入力端から見たアドミタンスが静磁波変
換時の値 GMSW からずれて、図8に示すように変化す
る。したがって、いま、図8に示すように、搬送波を中
心にしてスペクトラム成分が帯域幅Bを占める信号、例
えば、広帯域FM変調を施した信号においては、つぎの
(10)式が成立つ。
【数10】 その結果、搬送波近傍の2△ω′帯域におけるアドミタ
ンスの変化は、スペクトラム成分帯域幅Bから見ると無
視し得る程度となり、静磁波デバイスの入力アドミタン
スの変化に基づく反射の有無を利用した本発明S/Nエ
ンハンサの搬送波近傍帯域2△ω′におけるアドミタン
ス変化によるS/N改善度の低下はほとんど考慮する必
要がないものと認められる。特に、例えば衛星放送など
広帯域FM変調によって長距離伝送を行なう高周波信号
については、スペクトラム分布帯域幅B=27MHz が用い
られているので、△H<0.5 〜1エルステッド程度のフ
ェライト薄膜を用いればよいことになる。
【0022】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、フェライトなどフェエ磁性材の薄膜の膜面近
傍を密集して伝搬する表面静磁波に高周波信号、特に、
広い帯域にスペクトラム成分が分布したFM変調高周波
信号のS/Nをほとんど挿入損失を伴うことなく、ま
た、位相特性のずれの影響を受けることなく、大幅に改
善し得るという格別顕著な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種静磁波の周波数−磁界特性(Ω−ΩH
性)を示す特性曲線図である。
【図2】静磁波デバイス一般の概略構成を模式的に示す
斜視図である。
【図3】(a) および(b) は入力搬送波電力が飽和閾値を
超えないときおよび超えたときの電力−周波数特性をそ
れぞれ示す特性曲線図である。
【図4】入力電磁波電力と変換出力静磁波電力との入出
力特性を示す特性曲線図である。
【図5】(a) および(b) は入力電磁波電力が飽和閾値に
達しないとき、および、飽和閾値を超えたときにおける
静磁波デバイスの等価回路をそれぞれ示す回路図であ
る。
【図6】静磁波デバイスにおける入力コンダクタンスと
入力搬送波電力との関係を示す特性曲線図である。
【図7】(a), (b), (C) および(d) は本発明S/Nエン
ハンサの概略構成の例をそれぞれ模式的に示すブロック
線図である。
【図8】静磁波デバイスにおける入力アドミタンスの周
波数特性の例を示す特性曲線図である。 1, 1s , 1r 結合ストリップ線路 2, 2s , 2r 終端ストリップ線路 3 接地板 4 誘電体基板 5 誘電体(GGG) 基板 6 フェリ磁性材(YIG) 基板 7 サーキュレータ 8, 10 整合回路 9, 12 静磁波デバイス 11 3dB 結合器またはハイブリッドリング 13 フェリ磁性材薄膜

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板上に設けたフェリ磁性材薄膜
    に、膜面に平行に直流磁界を印加したときに両方の膜面
    にそれぞれ沿って前記直流磁界に垂直に伝搬する表面静
    磁波に結合するストリップ線路を前記フェリ磁性材薄膜
    の膜面に備え、そのストリップ線路の一端に電磁波を供
    給する装置において、 飽和電力を超えない電力の静磁波が伝搬している状態に
    おける前記ストリップ線路のインピーダンスを内部抵抗
    とする電磁波供給源から飽和電力を超える電力の静磁波
    を発生させる電磁波をそのストリップ線路の前記一端に
    供給したときに、そのストリップ線路の当該一端から反
    射する電磁波を選択的に取出すことにより、前記電磁波
    供給源から供給する電磁波の信号対ノイズ比(S/N)
    を前記ストリップ線路のインピーダンスの変化に応じて
    増大させるようにしたことを特徴とするS/Nエンハン
    サ。
  2. 【請求項2】 電磁波を供給する前記ストリップ線路か
    ら平行に離隔して他のストリップ線路を備え、前記スト
    リップ線路から伝搬する表面静磁波を当該他のストリッ
    プ線路により電磁波に変換して吸収抵抗素子に供給する
    ようにした請求項1記載のS/Nエンハンサ。
  3. 【請求項3】 前記電磁波供給源からの電磁波を方向性
    結合回路手段を介して前記ストリップ線路の前記一端に
    供給するとともに、当該ストリップ線路の当該一端から
    反射する電磁波を当該方向性結合回路手段を介して取出
    すようにした請求項1または2記載のS/Nエンハン
    サ。
  4. 【請求項4】 前記電磁波供給源からの電磁波を前記方
    向性結合回路手段における一方の一対の共軛端子の一方
    の端子に供給するとともに、他方の一対の共軛端子にそ
    れぞれ現われる電磁波を2個の前記フェリ磁性材薄膜の
    膜面にそれぞれ備えた前記ストリップ線路にそれぞれ供
    給し、前記方向結合回路手段における前記一方の一対の
    共軛端子の他方の端子に現われる電磁波を出力として取
    出すようにした請求項1乃至3のいずれかに記載のS/
    Nエンハンサ。
  5. 【請求項5】 前記2個の前記フェリ磁性材薄膜の膜面
    にそれぞれ備えた前記ストリップ線路を、単一の前記フ
    ェリ磁性材薄膜の両方の膜面にそれぞれ備えた前記スト
    リップ線路とした請求項4記載のS/Nエンハンサ。
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