JP3258004B2 - トーシヨンスプリングを用いた動脈瘤クリップ - Google Patents
トーシヨンスプリングを用いた動脈瘤クリップInfo
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Description
コイル部分に周方向にわたって均等な応力分布が生ずる
ようにしたトーションスプリングに関し、さらにそのよ
うなトーションスプリングを用いた動脈瘤クリップに関
する。
ル軸にほぼ垂直な横方向の直径をもってほぼ円形の環を
形成する1またはそれ以上のコイルを有するコイル部分
を備えている。ある種のトーションスプリングは完全な
コイルより小さいこともある。コイルの両端は通常、ス
プリングにトルクを与える力を受けるためにコイルから
延びている。これらの延長部分は通常ほぼ接線方向に延
びるが、延長部分はコイルから任意の角度で、トーショ
ンスプリングが置かれる用途によってコイルの周りの任
意の点から延びることができる。トーションスプリング
にモーメント(このモーメントは力が延長部分に加えら
れる点までのコイル中心線からの距離に当該延長部分に
加えられる力を掛けたものである。)が与えられたと
き、コイルは変形し、コイルを形成している材料が応力
の下に置かれる。モーメントが除かれると、コイルは解
放され、その元の形状に戻る。変形が増大すると、応力
が材料の弾性限界に向けて増大する。もし弾性限界を超
えるとモーメントが除かれた後でもコイルは永久変形し
たままとなる。加えられる特定のモーメントのために望
まれるコイルの最大変形は、スプリング設計の重要な要
素である。通常のスプリング設計において、所望のスプ
リング性能を得るために、材料、形状、横断面積および
コイルの数がとくに選択される。
ればならない場合、あるいはコイルの形状および数が制
限されるような限られた空間でコイルを使用しなければ
ならない場合においては、小さな変形でさえもコイルの
周りの異なる点で応力の大きなばらつき、不均一な応力
分布を生じることがあり、小さな変形でもコイルのある
部分は弾性限界に達することがある。
して延びるトーションスプリングを変形すると、当該延
長部分から離れたコイル部分で大きなモーメントすなわ
ち大きな応力がみられ、当該延長部分に近いコイル部分
で小さなモーメントすなわち小さな応力がみられる。こ
のモーメントの小さな領域での材料のバルクは材料を剛
くし、この領域に付加された剛性はこの領域を変形し難
くする。この剛性はコイルの他の領域の変形をもたら
し、そしてコイルの他の材料の弾性限界に達する傾向を
増大させるおそれがある。コイルのモーメントが小さい
領域すなわち応力が小さい領域において余分な材料のバ
ルクが存在することは、不均一な応力分布を助長し、現
実にスプリングの有効性を低下させると考えられる。一
方、トーションスプリングは、広範な角度的変形の全般
にわたって単独で使用できるように、より均一な応力分
布を有していることが望ましい。
ンスプリングの動脈瘤クリップであり、そこでは力を受
ける延長部分が動脈瘤クリップの肩部を形成するように
コイル軸の同じ側で対面して延びている。
弱化によってもたらされる血管壁の永久ディリテーショ
ン(dilitation)である。一般的に表現すると、動脈瘤
は血管壁の弱化および血管内の圧力が血管の側方に風船
のような付属物を作るように血管を膨張させたものであ
る。この風船状付属物は血管壁から延びるネック部とこ
のネック部に連なる膨張部とを有する場合が多いが、動
脈瘤は種々の形状をとり得る。
瘤のネック部を封止するようにクリップを取り付けるこ
とで、これによって動脈瘤の弱くなった膨張部が血圧に
さらされなくなる。すなわち動脈瘤が破裂する可能性が
低下し、または除かれる。クリップは血管が治癒するよ
うに血管の弱くなった部分を封止することが望まれる。
の種類の動脈瘤の封止には有効に使用されてきた。本発
明が対象としている種類の動脈瘤クリップは米国特許第
3,827,438号に記載されており、このトーションスプリ
ング式動脈瘤クリップは、トーションスプリングのコイ
ル部分と、このコイル部分の一端から延び、コイルの一
側にオフセットしている第1のアームと、コイル部分の
他端から延び、コイル部分の同じ側にオフセットしてい
る第2のアームとを有している。第1および第2のアー
ムは各々、肩部、交差部およびあご部を有する。第1お
よび第2のアームの肩部が互いに接近する方向に(特別
の鉗子とともに)移動してトーションスプリングにトル
クを与えると、第1および第2のアームのあご部は互い
に離れる方向に開放位置に向けて移動し、これにより動
脈瘤は2つの対面するあご部間に挟まれて封止される。
を処理しなければならない。動脈瘤クリップは脳に使用
され、そしてしばしば永久的に埋め込まれるので、きわ
めて限られた空間内で使用できるようにできる限り小さ
くなければならない。埋込物は生物学的に適合するもの
でなければならず、そのために高強度合金のように限ら
れた材料の使用が奨励されている。あご部を閉じる力が
動脈瘤を封止し、血管内の圧力の変化によって影響を受
けたり外れたりしないように十分に大きくなければなら
ない。また動脈瘤クリップは異なる用途に使用されるた
めに、そのあご部は種々の形状、長さおよび角度を有し
ているが、そのコイルスプリング部分は、同じサイズの
鉗子にフィットするように一定である。またクリップ
は、これが取り付けられる血管を引っ張らないように軽
量であることが好ましい。
料、サイズ、重量および力の要件の制限に対処しなけれ
ばならない。
スプリングからできる限り大きなあご部変形を得ること
を望む。従来のトーションスプリングの用途において、
大きな変形を望むならば、大きいモーメントを得るため
にコイルスプリングの中心線から更に離れた点に力を作
用させる。しかし、これはクリップのサイズを大きくし
別の鉗子を必要とするので、動脈瘤クリップにとっては
不利である。また大型の動脈瘤のあるものは最も入手し
やすい動脈瘤クリップが許容する幅よりも広くあご部を
開くことができるクリップを要求するため、外科医の多
くはこのような大型動脈瘤の封止のためにトーションス
プリングの使用を試みない。従来の動脈瘤クリップを用
いて、そのあご部を大型動脈瘤を収容するのに十分に広
く開こうとすれば、あご部から離れた側に位置するトー
ションスプリングのコイル部分でその材料の弾性限界を
超える応力が作用し、また、あご部に近い側のトーショ
ンスプリングのコイル部分では材料のバルクによりスプ
リングが剛くなり、不均一な応力分布を助長するおそれ
がある。
クが加えられたときにそのコイルの周方向にわたってほ
ぼ均等な応力分布を生じさせることができるトーション
スプリングを提供するとともに、従来と同じく小さなコ
イル部分を有しながら、構成金属材料の弾性限界を超え
ずに大型動脈瘤を十分に受け入れることができるだけ延
長部分を広く開くことができる動脈瘤クリップを提供す
ることを目的とする。
巻かれた少なくとも一つのコイルからなり、コイル軸と
ほぼ直交するコイル直径を有する少なくとも一つのコイ
ル部分と、このコイル部分の一端および他端からコイル
軸を含む一つの対称平面をはさんでほぼ対称に、かつ、
同じ側に延びる第1および第2のアーム(すなわち延長
部分)とを備えたトーションスプリングを有し、これら
第1および第2のアームは互いに交差し、その交差部分
よりもコイル部分の側には肩部を、その交差部分よりも
コイル部分と反対側にはあご部をそれぞれ有し、肩部が
互いに接近するように動くときにあご部が開位置に向け
て互いに離れる動脈瘤クリップにおいて、前記コイル部
分を構成するコイル材がほぼ矩形の断面形状を有してお
り、前記コイル軸の方向のコイル材の厚さがほぼ一定で
ある一方、前記コイルの半径方向のコイル材の幅が前記
コイルの周方向に沿って円滑かつ連続的に変化し、前記
コイル材の前記幅が、前記対称平面上における前記第1
および第2のアームと反対側の位置で最大であり、前記
対称平面上における前記第1および第2のアームと同じ
側の位置で最小であるものである。これにより、コイル
部分での周方向に沿った応力分布をほぼ均一化すること
が可能である。 また、別の態様として、この発明に係る動脈瘤クリッ
プは、前記コイル部分を構成するコイル材がほぼ矩形の
断面形状を有しており、前記コイルの半径方向のコイル
材の幅がほぼ一定である一方、前記コイル軸の方向の前
記コイル材の厚さが前記コイルの周方向に沿って円滑か
つ連続的に変化して、前記コイル材の前記厚さが、前記
対称平面上における前記第1および第2のアームと反対
側の位置で最大であり、前記対称平面上における前記第
1および第2のアームと同じ側の位置で最小であるもの
でもよい。
布を生じさせるための手段を有することであり、これに
は、コイルの周りの角度位置によってコイルの横断面積
を変化させて、対称平面上におけるアーム(延長部分)
と同じ側の位置でコイルの横断面積を最小にするととも
に、対称平面上におけるアーム(延長部分)と反対側の
位置でコイルの横断面積を最大にすることが有益であ
る。
均一である従来のトーションスプリングでは、トルクが
加えられたときに、非常に大きな応力が延長部分と反対
側にあるコイル直径上の位置(図7Aにおいて「A」また
は「0゜」で示す位置)で存在し、この部分がしばしば
トーションスプリングを形成する金属材料の弾性限界を
超えることが見出された。これに対し、この発明のトー
ションスプリングでは、延長部分と反対側にあるコイル
直径上の位置(図7Bにおいて「A」または「0゜」で示
す位置)での材料を増加するように横断面積を大きくす
るように構成されているので、従来大きな応力を発生し
やすかったこの位置における応力を吸収することがで
き、トーションスプリングを形成する金属材料がその弾
性限界を超える可能性を小さくすることができる。同時
に、延長部分と同じ側にあるコイル直径上の位置(図7B
において「B」または「180゜」で示す位置)での材料
が減少するように横断面積が小さくされているので、従
来のコイルスプリングに存在するような余分の材料のバ
ルクがスプリングを剛くすることがなく、また、不均一
な応力分布の発生が防止される。
あるトーションスプリングを提供するために、この発明
の一つの実施形態によれば、コイル軸にほぼ平行な方向
における厚さが実質的に均一であり、かつ、コイル軸に
ほぼ直交する方向における幅が変化する金属板をコイル
状に形成し、コイルの内径を形成する空間の中心がコイ
ルの外径を形成する空間の中心からオフセットされるよ
うに(図5参照)コイルスプリングが成形される。すな
わち、対称平面上におけるコイルスプリングの延長部分
と同じ側では高い応力レベルになるおそれを減少させる
ためにコイルの幅が広くしてあり、また、対称平面上に
おけるコイルの延長部分の反対側では、スプリングが曲
げられるときに変形を容易にするとともに応力を均一に
分布させるために、コイルの幅が狭くなっている。さら
に、コイルの内径を形成している表面がコイル幅の広い
部分からコイル幅が狭い部分にかけてほぼ円筒形のスム
ースな輪郭を有することにより、コイルの周方向にわた
ってさらに均等な応力分布を形成することができる。
あるトーションスプリングを提供するために、この発明
のもう一つの実施形態によれば、コイル軸にほぼ平行な
方向における厚さが変化し、かつ、コイル軸にほぼ直交
する方向における幅が実質的に均一である金属板をコイ
ル状に形成することにより、コイルスプリングが成形さ
れる。この実施形態のコイルスプリングによっても、コ
イルの周りの応力の高い点および低い点を調節して、コ
イルの周方向にわたってほぼ均等な応力分布を形成する
ことができる。これらの実施形態はコイル材料が方形の
横断面を有することを示唆する。好ましい実施形態にお
いて、コイルはほぼ円形に巻かれるが、他の有利な形状
に巻いてもよく、この発明の利点は失われない。この明
細書においてコイル軸およびコイル直径の用語でコイル
を説明するが、コイルは円形のものだけに限らない。単
に、コイル巻線によって形成される空間を軸方向に通る
方向およびコイル巻線に対する横方向として説明したい
だけである。
コイル部分の端から延びる延長部分は、コイルスプリン
グから接線方向に延び、スプリングを曲げるための力を
受けるための手段となる。この延長部分が接線方向に延
びていることは必要でなく、他の方向であってもよく、
また、トーションスプリングの意図された使用に応じ
て、コイル部分の周りの任意の位置に置かれてもよい。
て、コイルの内径を形成している表面がコイル幅の広い
部分からコイル幅が狭い部分にかけてほぼ円筒形のスム
ースな輪郭を有することによって、コイルの周方向にわ
たってさらに均等な応力分布が達成される。
参照した以下の説明から明らかとなろう。
ングを示す図であり、図においてトーションスプリング
10はコイル部分12と、このコイル部分の一端から延びる
第1の延長部分14およびこのコイル部分の他端から延び
る第2の延長部分16を有する。コイル部分12はコイル軸
18を有し、この周りで少なくとも1つのコイルが巻回さ
れており、またコイル部分12はコイル軸18にほぼ直交し
て位置するコイル直径20を有する。
および12cを有する。コイル直径20は図1の右側で0゜
の位置を、図1の左側で180゜の位置を示す。なお、図
6を参照すると、グラフの横軸には0゜から450゜まで
のコイルの角度が示されているが、これはコイル12bの
全部と、延長部分14および16が始まる点までのコイル12
aおよび12cの一部での応力値を反映しており、トーショ
ンスプリング10の1巻数以上における応力分布を示すも
のである。
延長部分14および16はコイル部分12からほぼ接線方向に
延び、コイル軸18に対して同じ側に延びている。図に示
すように第2の延長部分16は、第1の延長部分14に対し
コイル直径20に関してほぼ対称に延びている。延長部分
14および16は、トーションスプリングにトルクを加える
力を受けるために用いられる。延長部分14および16は、
トーションスプリング10に意図された用途に適した接線
方向以外の方向に延びていてもよい。
長部分14はコイル直径20からほぼ90゜の位置でコイル部
分の一端から延び、第2の延長部分16はコイル直径20か
らほぼ270゜の位置でコイル部分の他端から第1の延長
部分14と同じ側に延びる。しかし、延長部分14および16
はトーションスプリング10に意図される用途に適する限
り、コイル軸18に対して同じ側に延びる必要はなく、ま
たコイル直径から90゜および270゜の位置でコイル部分
から延びる必要はない。
述べると、コイル20がコイル軸18とともに示されてい
る。図に示すように、コイル部分12のコイル12a,12b,12
cは横断面積がコイルの周りにわたり変化していて、コ
イルの周りの角度的位置によってコイルの横断面積が不
均一である。コイルの横断面積は対称平面上における前
記延長部分14および16と反対側の位置(すなわち対称平
面上の0゜の位置)の横断面領域Aで最大であり、対称
平面上の延長部分14および16と同じ側の位置(すなわち
対称平面上の180゜の位置)の横断面領域Bで最小であ
る。この実施形態において、コイル軸18に平行な方向の
コイルの厚さはほぼ均一であるが、コイル軸18に直交す
る方向のコイルの幅は、領域Aでの幅w2が対称平面上に
おいて対向する領域Bでの幅w1よりも大きいことが理解
される。コイルの横断面積は、領域Aと領域Bとの間で
スムースな輪郭を有し、その結果、コイル内径はほぼ円
形であるが、その中心74はコイル外径の中心78からオフ
セットされている。この発明のこの新規な特徴は、対称
平面上において対向した横断面領域AおよびBその他の
コイルの周方向にわたって均等な応力分布を生じさせる
ことを意図するものである。すなわち、従来のトーショ
ンスプリングでは延長部分14および16が図示の方向に動
かされたときに、非常に大きな応力がコイルの横断面領
域Aに存在し、この部分がしばしばトーションスプリン
グ10を形成する金属材料の弾性限界を超えることが見出
された。これに対し、この発明のトーションスプリング
では、領域Aでの材料を増加するように横断面積を大き
くすることによって領域Aにおける大きな応力を吸収す
ると同時に、領域Bでの材料が減少するように横断面積
が小さくされているので、従来のコイルスプリングに存
在するような余分の材料のバルクがトーションスプリン
グを剛くしたり、不均一な応力分布を発生させたりする
事態を防止する。従来のトーションスプリングでは、コ
イルの全周にわたって対称平面上において均一な寸法を
有しコイルの横断面積が均一であるために、領域Aでの
応力が領域Bでの応力に比べて大きくなり、トーション
スプリングに不均一な応力分布を発生させる。これに対
し、この発明では、領域Aでの横断面積を大きくすると
同時に対称平面上における対向した領域Bでの横断面積
を小さくするようにコイル部分12を形成することによっ
て、トーションスプリング10における応力をコイルの周
方向にわたってほぼ均一化させるための手段を提供す
る。このように応力を均一化させることによって、トー
ションスプリング10を形成する金属材料がその弾性限界
を超える応力を受けることなくトーションスプリングの
延長部分14および16がより大きな円弧に沿って移動し、
より大きな変形を受けることを可能とする。
けるコイルの材料の厚さがコイルの周りにわたりほぼ均
一である一方、コイル軸18に直交する方向におけるコイ
ルの材料の幅がコイルの周りにわたり変化している。コ
イルの周方向にわたって均等な応力分布を生じさせるた
めに重要な要素はコイルの横断面積であるので、コイル
軸18に平行な方向におけるコイルの厚さがコイルの周り
にわたり変化する一方、コイル軸18に直交する方向にお
けるコイルの幅がコイルの周りにわたりほぼ均一であっ
てもよい。
めの平らなバーもしくは金属板30が示されている。金属
板30の部分80がトーションスプリング10になる。追加の
構造、例えば、動脈瘤クリップの肩部およびあご部とな
る部分を金属板30に加え、公知の手段によって形成する
こともできる。ここではまず、トーションスプリング10
を作ることを検討し、次に動脈瘤クリップの一部として
のトーションスプリング10の使用を検討する。
知の手段によって作られ、したがってその製造方法はこ
の分野の技術者にとって明らかであるので、ここでは検
討を省略する。好ましい実施形態において、金属板30の
部分80はほぼ長方形の形状を有するが、金属板材料の形
状はトーションスプリング10に意図された用途に応じて
変えることができる。この出発材料はほぼ長方形または
円形の横断面であるが、円形または楕円形のワイヤ材料
とすることもできる。金属板材料は好ましくは公知のダ
イスタンピング方法、あるいは同様に公知の放電加工方
法によって形成されるが、鍛造、研削その他の方法によ
って形成してもよい。
て応力をほぼ均一化させる手段を形成するために、ほぼ
均質な金属片(好ましくは高強度高合金からなる金属
板)30の幾何学的形状を調整する。しかしながら、コイ
ル部分12の異なる点での有効応力を調整する他の方法を
使用してもよく、例えば、金属板30に沿って異なる点で
異なった熱処理方法を使用し、あるいは金属板30に沿っ
て異なる点で異なった合金を形成してもよい。
に成形する前の金属板30を示す図4Aを参照すると、ジグ
32が想像線で示されており、その周りで金属板30の部分
80がコイル部分12を形成するように曲げられる。コイル
軸18はジグ32の曲率中心と一致して配置され、図4Aで
は、金属板30の部分80がコイル12に形成されるときの位
置が示されている。金属板30の部分80の、コイル軸18に
ほぼ平行な方向における厚さ36が実質的に均一である一
方、金属板30の部分80のコイル軸18にほぼ直交する方向
における幅34は、図5について述べた領域Aおよび領域
B間の横断面積の変化を与えるように変化している。逆
に、この発明の別の実施形態による動脈瘤クリップに成
形する前の金属板30を示す図4Bにおいては、コイル軸18
にほぼ直交する方向における幅34が実質的に均一である
一方、コイル軸18にほぼ平行な方向における厚さ36が、
領域Aおよび領域B間の横断面積の変化を与えるように
変化している(図4C参照)。
のコイル部分12よりも大きく、トーションスプリング10
から延びる動脈瘤クリップの部分も示している。動脈瘤
クリップの一部としてトーションスプリング10を使用す
ることについて、図2、図3Aおよび図3Bにもとづいて以
下に説明する。
42をもった血管40の一部が示されている。図2に示した
特定の動脈瘤42は、ネック部44および膨張部46を含む
が、これは動脈瘤の特定の種類の単なる例示である。動
脈瘤は一般に、多種の動脈瘤クリップを必要とするよう
な多くの大きさおよび形状を有する。図2には、動脈瘤
42に使用するのに適した一つの特定デザインの動脈瘤ク
リップ50が動脈瘤42のネック部44に取り付けられてい
る。
スプリング10を使用した動脈瘤クリップ50が、適用器具
(一部のみを示す)のあご部52および54に取り付けら
れ、開位置で示されている。第1および第2の延長部分
14および16がトーションスプリング10のコイル部分12か
ら延びて、それぞれ第1および第2のアームを形成して
いる。第1および第2のアーム14および16は互いに交差
し、交差部分60および62に関してコイル部分12と同じ側
にそれぞれ肩部56および58を一体的に有している。さら
に、第1および第2のアーム14および16は、交差部分60
および62に関してコイル部分12と反対側にはそれぞれあ
ご部64および66を一体的に有している。動脈瘤クリップ
50は、肩部56および58が互いに接近するように動くとき
に、あご部64および66が開位置に向けて互いに離れるよ
うに動く。
分14および16は、コイル軸18にほぼ平行な方向で短いほ
ぼ長方形の横断面を有する。トーションスプリングが動
脈瘤クリップに使用される場合、クリップを形成する材
料の寸法は、対面するあご部64および66で広くなってい
ることが望ましいので、この材料を90゜捻る必要があ
る。このため、肩部56および58は、それぞれ点68および
70で90゜捻られている。この90゜の捻りは、図3Bに示し
た実施形態におけるように一個所で完全になされても、
あるいは必要に応じて一連の小さいステップでなされて
もよい。また動脈瘤クリップ50は、一方のアームのあご
部66からコイル部分12の方向に、他方のアームの交差部
分60をまたいで延びるハサミ作用防止用延出部72を有
し、あご部64および66が開閉されるときにこれらが行き
違って整合しない可能性をなくすようにしてもよい。
プが示されている。
74に位置しており、またコイル部分12の外径の中心は、
図5に関してすでに述べたとおり点74からオフセットさ
れた点78に位置している。図5について述べた領域Aお
よび領域B間の横断面積の変化の率は、点74および78間
のオフセットの程度に依存する。
瘤クリップ50に使用することで、材料の弾性限界を超え
ることなしにあご部64および66を、従来のトーションス
プリングを使用した動脈瘤クリップに比べて広く開くこ
とができることを見出した。
54で動脈瘤クリップ50のコイル部分12と肩部56および58
をつかみ、コイル部分12にトルクを与えて、あご部64お
よび66を開くためにアーム14および16の肩部56および58
を互いに近づくように操作する。次に、このあご部64お
よび66が開位置にある動脈瘤クリップ50を、動脈瘤42の
ネック部44の近くに挿入し、外科医が適用器具を開放す
ると、あご部64および66がネック部44を緊密に閉じ、動
脈瘤42を閉塞する(図2参照)。
するコイルにおける種々の角度位置での応力と、図7Bに
示すこの発明の一実施形態による不均一横断面を有する
コイルにおける種々の角度位置での応力との比較が、コ
ンピュータシミュレーションで計算されたグラフで示さ
れている。図6において、無次元の応力比(縦軸)が、
トーションスプリングのコイルの周りの角度位置(横
軸)に対して示されている。図1に関して述べたよう
に、グラフの横軸は、延長部分14が始まるコイル12cの
0゜位置から変位させたコイル部分12の0゜から450゜
までの角度位置を示す。図7Aおよび図7Bにおいて、0゜
位置は横断面領域Aで示され、90゜位置は垂直頂部位置
に示され、180゜位置は横断面領域Bで示され、270゜位
置は垂直底部位置に示される。図6には2つのカーブが
示されており、「均一コイル」として示されるカーブが
従来の均一横断面を有するコイルのものであり、「成形
コイル」として示されるカーブが本発明により不均一横
断面を有するように成形されたコイルのものである。
る点での応力を同じ負荷での当該コイルの周りの平均応
力で除した比を示す。また「成形コイル」のカーブは、
不均一横断面のコイルのある点での応力を同じ負荷での
当該コイルの周りの平均応力で除した比を示す。これら
のカーブは無次元のパラメータを示すものであり、本発
明の成形コイルの利点を一般化した方法で示すものと考
えられる。
イル」および「成形コイル」の両方に対して、図7Aおよ
び図7Bの延長部分14および16が互いに近づくように肩部
56および58で同一の力を加えた。この力は、図7Aに示し
たコンピュータシミュレーションされた従来の動脈瘤ク
リップに対しては、図7Aに示した均一コイルのコイル軸
18から距離0.159インチ(約4mm)の肩部56および58で加
えられた。図7Aに示した均一コイルの外径は0.153±0.0
01インチ(約3.88±0.025mm)であり、この均一コイル
のコイル軸に平行な方向における厚さは均一であり、ま
たこの均一コイルの横断面領域AおよびBでの幅は等し
く0.032インチ(約0.81mm)である。一方、図7Bに示し
たコンピュータシミュレーションされた本発明の動脈瘤
クリップに対しても、図7Bに示した成形コイルのコイル
軸18から距離0.159インチ(約4mm)の肩部56および58で
同一の力が点に加えられた。図7Bに示した成形コイル
は、コイル軸18に平行な方向において均一な厚さを有す
るが、この成形コイルのコイル軸18に直交するコイル直
径方向における横断面領域Aでの幅0.037インチ(約0.9
4mm)が横断面領域Bでの幅0.025インチ(約0.635mm)
と異なるため、この成形コイルは不均一横断面を有す
る。
により、ジュビナール(Robert C.Juvinall)著「Engin
eering considerations of stress,strain and strengt
h(応力、歪および強度の工学的考察)」(1967)第22
ページ、McGraw−Hill、に示されたようにして計算され
たフォン・マイセス(Von Mises)原理応力である。
るものではなく、図7Aおよび図7Bに概略的に示した2つ
のコイルの内径の周りの応力分布の比較を示すものであ
る。図6に示すカーブに沿ったある特定の点での実際の
応力値はコンピュータシミュレーションに用いた仮定に
よって変化し得るが、比較は有効なものであり、この発
明により不均一横断面を有するように成形されたコイル
が、トーションスプリングのコイルの周方向にわたって
均等な応力分布を生じさせるために有用であることを示
すものである。
きたが、当業者は、この発明の範囲および趣旨から逸脱
することなく、これらの実施形態に多くの変更を加える
ことができよう。したがって、これらの実施形態はこの
発明を限定するものではなく、この発明の範囲は特許請
求の範囲に基づいて決定されるべきである。
る。 (1)前記横断面積が不均一なコイルは、コイル軸(1
8)にほぼ平行な方向における厚さ(36)が実質的に均
一であり、かつ、コイル軸(18)にほぼ直交する方向に
おける幅(34)が変化する金属板(30)をコイル状に巻
くことにより形成され、この変化する幅によって前記コ
イルの最小および最大の横断面積が与えられる請求項1
または請求項2に記載の動脈瘤クリップ。 (2)前記横断面積が不均一なコイルは、コイル軸(1
8)にほぼ平行な方向における厚さ(36)が変化し、か
つ、コイル軸(18)にほぼ直交する方向における幅(3
4)が実質的に均一である金属板(30)をコイル状に巻
くことによって前記コイル部分に成形され、この変化す
る厚さによって前記コイルの最小および最大の横断面積
が与えられる請求項1または請求項2に記載の動脈瘤ク
リップ。 (3)前記トーションスプリング(10)、前記コイル部
分(12)、前記第1および第2のアーム(14,16)は一
体であり、実質的に均一な材料のスプリング鋼片から作
られている請求項1または請求項2に記載の動脈瘤クリ
ップ。 (4)前記クリップは、実質的に均一な材料の鋼片の曲
げ加工によって動脈瘤クリップの形状に作られている請
求項1または請求項2に記載の動脈瘤クリップ。
の角度位置によってコイルの横断面積が不均一であり、
コイルの横断面積は第1および第2のアームと同じ側で
ある対称平面上における位置で最小であり、第1および
第2のアームと反対側にある対称平面上における位置で
最大であるように構成されているので、コイルの周方向
にわたって均等な応力分布を生じさせることのできるト
ーションスプリングを用いた動脈瘤クリップが提供され
る。
グにおいて従来大きな応力を発生しやすかった第1およ
び第2のアームと反対側にあるコイル直径上の位置での
材料を増加するように横断面積を大きくするように構成
されているので、この位置における大きな応力を吸収す
ることができ、金属材料の弾性限界を超えずに大型動脈
瘤を十分に受け入れることができるようにアームを広く
開くことができる。同時に、この動脈瘤クリップでは、
第1および第2のアームと同じ側にあるコイル直径上の
位置での材料が減少するように横断面積が小さくされて
いるので、従来のコイルスプリングに存在するような余
分の材料のバルクがスプリングを剛くしたり、不均一な
応力分布を発生させたりする事態も防止される。
部の斜視図である。
ップを動脈瘤に取り付けた状態を示す図である。
瘤クリップの開いた状態を示す図、図3Bはこの発明のト
ーションスプリングを使用した動脈瘤クリップの閉じた
状態を示す図である。
な金属片の一部切欠斜視図、図4Bはこの発明のもう一つ
の実施形態による動脈瘤クリップに曲げられる前の平ら
な金属片の部分側面図、図4Cは図4Bに示した金属片の平
面図である。
部側面図である。
するように成形したトーションスプリングおよび従来の
均一な横断面を有するトーションスプリングにおける応
力分布を示す図である。
部側面図、図7Bはこの発明の一実施形態により不均一な
横断面を有するように成形した動脈瘤クリップの一部側
面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】コイル軸(18)の周りに巻回した少なくと
も一つのコイル(12a,12b,12c)からなり、前記コイル
軸とほぼ直交する一つのコイル直径(20)を有する少な
くとも一つのコイル部分(12)と、 前記コイル部分の一端から延びた第1のアーム(14)
と、 前記コイル部分の他端から、前記第1のアームと同じ側
に、前記第1のアームに対し前記コイル軸を含む一つの
対称平面をはさんでほぼ対称に延びた第2のアーム(1
6)とを備えたトーションスプリングを有し、 前記第1および第2のアームは互いに交差し、前記交差
部分(60,62)よりも前記コイル部分の側には肩部(56,
58)を、前記交差部分(60,62)よりも前記コイル部分
と反対側にはあご部(64,66)をそれぞれ有し、前記肩
部が互いに接近するように動くときに前記あご部が開位
置に向けて互いに離れる動脈瘤クリップにおいて、 前記コイル部分を構成するコイル材がほぼ矩形の断面形
状を有しており、前記コイル軸(18)の方向の前記コイ
ル材の厚さがほぼ一定である一方、前記コイルの半径方
向の前記コイル材の幅が前記コイルの周方向に沿って円
滑かつ連続的に変化して、前記コイル材の前記幅が、前
記対称平面上における前記第1および第2のアームと反
対側の位置(A)で最大であり、前記対称平面上におけ
る前記第1および第2のアームと同じ側の位置(B)で
最小であることを特徴とする動脈瘤クリップ。 - 【請求項2】コイル軸(18)の周りに巻回した少なくと
も一つのコイル(12a,12b,12c)からなり、前記コイル
軸とほぼ直交する一つのコイル直径(20)を有する少な
くとも一つのコイル部分(12)と、 前記コイル部分の一端から延びた第1のアーム(14)
と、 前記コイル部分の他端から、前記第1のアームと同じ側
に、前記第1のアームに対し前記コイル軸を含む一つの
対称平面をはさんでほぼ対称に延びた第2のアーム(1
6)とを備えたトーションスプリングを有し、 前記第1および第2のアームは互いに交差し、前記交差
部分(60,62)よりも前記コイル部分の側には肩部(56,
58)を、前記交差部分(60,62)よりも前記コイル部分
と反対側にはあご部(64,66)をそれぞれ有し、前記肩
部が互いに接近するように動くときに前記あご部が開位
置に向けて互いに離れる動脈瘤クリップにおいて、 前記コイル部分を構成するコイル材がほぼ矩形の断面形
状を有しており、前記コイルの半径方向のコイル材の幅
がほぼ一定である一方、前記コイル軸(18)の方向の前
記コイル材の厚さが前記コイルの周方向に沿って円滑か
つ連続的に変化して、前記コイル材の前記厚さが、前記
対称平面上における前記第1および第2のアームと反対
側の位置(A)で最大であり、前記対称平面上における
前記第1および第2のアームと同じ側の位置(B)で最
小であることを特徴とする動脈瘤クリップ。 - 【請求項3】前記対称平面に直交し前記コイル軸(18)
を含む平面から前記第1のアームと前記第2のアームが
延びていることを特徴とする請求項1または2に記載の
動脈瘤クリップ。
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