WO2021065645A1 - 変形爪矯正具 - Google Patents

Abstract

変形爪を矯正するための変形爪矯正具（１００）であって、第１フック（１１０）と、第２フック（１２０）と、伸縮可能に構成されたコイル部材（１３０）と、コイル部材（１３０）の中にスライド可能に配置された超弾性特性を有するワイヤー部材（１４０）とを備える。コイル部材（１３０）は、第１のバネ定数を有する第１コイル端部（１３１）と、第２のバネ定数を有する第２コイル端部（１３２）と、第１コイル端部（１３１）と第２コイル端部（１３２）との間に位置し、第１のバネ定数および第２のバネ定数よりも小さい第３のバネ定数を有するコイル中間部（１３３）とを含むことを特徴とする。

Description

変形爪矯正具

　本発明は、巻き爪や陥入爪等の変形爪を矯正するための変形爪矯正具に関する。

　従来の変形爪矯正具としては、例えば、特許文献１に記載のものが知られている。この変形爪矯正具は、変形爪の幅方向一端に取り付けられる第１フックと、変形爪の幅方向他端に取り付けられる第２フックと、第１フックと第２フックとの間隔を変更できるように伸縮可能に構成されたコイル部材と、コイル部材の中に配置された超弾性特性を有するワイヤー部材とを備える。この変形爪矯正具によれば、コイル部材の伸縮性を利用することで、変形爪への装着が容易になる。

国際公開第２０１８／２１６２４４号

　変形爪矯正具を変形爪に装着する際、第１フックと第２フックとの間隔がワイヤー部材の全長よりも大きくなると、コイル部材の一端部または他端部においてワイヤー部材が存在しない箇所が生じる。上記従来の変形爪矯正具では、コイル部材にワイヤー部材が存在しない箇所が生じると、その箇所においてコイル部材が急角度（例えば、９０°）で折れ曲がり、折れ曲がることにより生じた隙間からワイヤー部材が飛び出してしまうおそれがある。

　本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、コイル部材の隙間からワイヤー部材が飛び出してしまうのを抑制可能な変形爪矯正具を提供することにある。

　上記課題を解決するために、本発明に係る変形爪矯正具は、
　変形爪を矯正するための変形爪矯正具であって、
　前記変形爪の幅方向一端に取り付け可能に構成された第１フックと、
　前記変形爪の幅方向他端に取り付け可能に構成された第２フックと、
　一端側が前記第１フックに接合され、他端側が前記第２フックに接合されるとともに、前記第１フックと前記第２フックとの間隔を変更できるように伸縮可能に構成されたコイル部材と、
　前記コイル部材の中に配置された超弾性特性を有するワイヤー部材と、
を備え、
　前記コイル部材は、
　前記第１フック側に位置し、第１のバネ定数を有する第１コイル端部と、
　前記第２フック側に位置し、第２のバネ定数を有する第２コイル端部と、
　前記第１コイル端部と前記第２コイル端部との間に位置し、前記第１のバネ定数よりも小さく、かつ前記第２のバネ定数よりも小さい第３のバネ定数を有するコイル中間部と、
を含むことを特徴とする。

　この構成では、第１フックと第２フックとの間隔を広げた場合、コイル部材はバネ定数の小さいコイル中間部が優先的に伸長し、バネ定数の大きい第１コイル端部および第２コイル端部は伸長しにくくなる。これにより、第１コイル端部および第２コイル端部は、コイルを形成する線材の巻きの密着性が向上し、折れ曲がりにくくなる。したがって、この構成によれば、コイル部材の隙間からワイヤー部材が飛び出してしまうのを抑制することができる。

　上記変形爪矯正具において、
　前記コイル中間部は、外径が前記第１コイル端部の外径および前記第２コイル端部の外径よりも大きく、かつピッチ巻きであることが好ましい。

　上記変形爪矯正具では、
　前記第１フックと前記コイル部材とは、正面側と背面側のそれぞれにおいて溶接により接合されており、
　前記第２フックと前記コイル部材とは、正面側と背面側のそれぞれにおいて溶接により接合されているよう構成できる。

　上記変形爪矯正具では、
　前記第１フックは、
　前記変形爪の前記幅方向一端を挟み込むための第１装着部と、
　前記第１装着部の上方において、前記ワイヤー部材の一端側が挿入可能に構成された第１挿入部と、を有し、
　前記第２フックは、
　前記変形爪の前記幅方向他端を挟み込むための第２装着部と、
　前記第２装着部の上方において、前記ワイヤー部材の他端側が挿入可能に構成された第２挿入部と、を有するよう構成できる。

　上記変形爪矯正具では、
　前記第１装着部の開口幅は、開口の入口側が最も広く、
　前記第２装着部の開口幅は、開口の入口側が最も広くなるよう構成できる。

　本発明によれば、コイル部材の隙間からワイヤー部材が飛び出してしまうのを抑制可能な変形爪矯正具を提供することができる。

本発明に係る変形爪矯正具の正面図である。 本発明に係る変形爪矯正具の斜視図である。 本発明に係る変形爪矯正具の第１フックの開口幅を示す正面図である。 図１のＡの部分の拡大断面図である。 本発明に係る変形爪矯正具の溶接部を示す平面図である。

　以下、添付図面を参照して、本発明に係る変形爪矯正具の実施形態について説明する。本発明に係る変形爪矯正具は、巻き爪や陥入爪等の変形爪（特に、足の変形爪）を矯正するためのものである。

　図１に、本発明の一実施形態に係る変形爪矯正具１００の正面図を示す。図２に、変形爪矯正具１００の斜視図を示す。変形爪矯正具１００は、第１フック１１０と、第２フック１２０と、コイル部材１３０と、ワイヤー部材１４０とを備える。

　第１フック１１０は、変形爪の幅方向一端に取り付け可能に構成されている。第１フック１１０は、例えば、ステンレス鋼（例えば、ＳＵＳ３０４）からなり、コイル部材１３０の一端側と接合される。第１フック１１０は、変形爪の幅方向一端を挟み込むための第１装着部１１１と、ワイヤー部材１４０の一端側が挿入可能に構成された第１挿入部１１２とを有する。

　第１装着部１１１は、断面略Ｕ字状に湾曲している。第１装着部１１１は、変形爪の幅方向一端の表側に接する上側部分の下面と、変形爪の幅方向一端の裏側に接する下側部分の上面に、複数（本実施形態では、上側部分に４つ、下側部分に２つ）のかえし１１３を有する。かえし１１３は、変形爪への装着の確実性を高める。また、第１装着部１１１は、開口の奥に位置する、上側部分と下側部分との間に凹部１１４を有する。

　第１装着部１１１の開口幅は、開口の入口側が最も広い。図３に示すように、開口の入口側の開口幅Ｘ１は、開口の奥側の開口幅Ｘ２よりも広い。例えば、第１装着部１１１を変形爪の幅方向一端に取り付けた状態で、第１装着部１１１をペンチ等で押し潰し、第１装着部１１１の形状を変形させることにより、第１装着部１１１を変形爪に固定することができる。上記のとおり、開口の入口側の開口幅Ｘ１を最も広くすることで、第１装着部１１１を変形爪に取り付けやすくするとともに、変形爪に対する第１装着部１１１の密着性を向上させることができる。

　第１挿入部１１２は、第１装着部１１１の上方に設けられ、コイル部材１３０の一端側に対向した第１対向面を有する。第１対向面には、ワイヤー部材１４０の一端側が挿入可能に構成された第１溝部が形成されている。変形爪矯正具１００が変形爪に装着された状態で、かつ第１溝部にワイヤー部材１４０の一端側が挿入されている場合、第１溝部は、ワイヤー部材１４０の一端に生じる反発力を受けることができる。

　第２フック１２０は、変形爪の幅方向他端に取り付け可能に構成されている。第２フック１２０は、例えば、ステンレス鋼（例えば、ＳＵＳ３０４）からなり、コイル部材１３０の他端側と接合される。第２フック１２０は、変形爪の幅方向他端を挟み込むための第２装着部１２１と、ワイヤー部材１４０の他端側が挿入可能に構成された第２挿入部１２２とを有する。

　第２装着部１２１は、断面略Ｕ字状に湾曲している。第２装着部１２１は、変形爪の幅方向他端の表側に接する上側部分の下面と、変形爪の幅方向他端の裏側に接する下側部分の上面に、複数（本実施形態では、上側部分に４つ、下側部分に２つ）のかえし１２３を有する。かえし１２３は、変形爪への装着の確実性を高める。また、第２装着部１２１は、開口の奥に位置する、上側部分と下側部分との間に凹部１２４を有する。

　第２装着部１２１の開口幅は、第１装着部１１１の開口幅と同様に、開口の入口側が最も広い。例えば、第２装着部１２１を変形爪の幅方向他端に取り付けた状態で、第２装着部１２１をペンチ等で押し潰し、第２装着部１２１の形状を変形させることにより、第２装着部１２１を変形爪に固定することができる。上記のとおり、開口の入口側の開口幅を最も広くすることで、第２装着部１２１を変形爪に取り付けやすくするとともに、変形爪に対する第２装着部１２１の密着性を向上させることができる。

　第２挿入部１２２は、第２装着部１２１の上方に設けられ、コイル部材１３０の他端側に対向した第２対向面を有する。第２対向面には、ワイヤー部材１４０の他端側が挿入可能に構成された第２溝部が形成されている。変形爪矯正具１００が変形爪に装着された状態で、かつ第２溝部にワイヤー部材１４０の他端側が挿入されている場合、第２溝部は、ワイヤー部材１４０の他端に生じる反発力を受けることができる。

　コイル部材１３０は、一端側が第１フック１１０に接合され、他端側が第２フック１２０に接合されるとともに、第１フック１１０と第２フック１２０との間隔を変更できるように伸縮可能に構成されている。コイル部材１３０は、可撓性および伸縮性を有する金属、例えば、ステンレス鋼（例えば、ＳＵＳ３０４）またはコバルト基合金からなる。

　コイル部材１３０は、第１フック１１０側に位置する第１コイル端部１３１と、第２フック１２０側に位置する第２コイル端部１３２と、中間に位置するコイル中間部１３３とを含む。本実施形態では、コイル部材１３０の長さ（自然長）が１８［ｍｍ］で、第１コイル端部１３１、第２コイル端部１３２およびコイル中間部１３３の長さ（自然長）は、いずれも６［ｍｍ］である。なお、コイル中間部１３３の長さは、コイル部材１３０の自然長の５％～９０％の範囲で、適宜設定することができる。

　第１コイル端部１３１は、第１のバネ定数（本実施形態では、０．１７［ｋｇ／ｍｍ］）を有する。第２コイル端部１３２は、第２のバネ定数（本実施形態では、０．１７［ｋｇ／ｍｍ］）を有する。コイル中間部１３３は、第１のバネ定数よりも小さく、かつ第２のバネ定数よりも小さい第３のバネ定数（本実施形態では、０．１１［ｋｇ／ｍｍ］）を有する。なお、第１のバネ定数と第２のバネ定数とは、異なる値でもよい。

　第１コイル端部１３１および第２コイル端部１３２は、コイルを形成する隣り合った線材の巻き同士が密着している密着巻きになっている。一方、コイル中間部１３３は、コイルを形成する隣り合った線材の巻き同士が離れているピッチ巻きになっている。

　図４に、図１のＡの部分（第１コイル端部１３１とコイル中間部１３３との連結部分）の拡大断面図を示す。第１コイル端部１３１、コイル中間部１３３および第２コイル端部１３２は、単一の線材により構成されており、同じ大きさの線径（本実施形態では、０．２５［ｍｍ］）を有する。

　さらに、コイル中間部１３３は、外径が第１コイル端部１３１の外径および第２コイル端部１３２の外径よりも大きい。具体的には、コイル中間部１３３の外径は、第１コイル端部１３１の外径よりも１７％大きい。第１コイル端部１３１の外径と第２コイル端部１３２の外径は同じ大きさである。なお、コイル中間部１３３の外径は、第１コイル端部１３１の外径および第２コイル端部１３２の外径に対して、５％～５０％の範囲で、適宜設定することができる。

　第１コイル端部１３１および第２コイル端部１３２の初張力は、０．０９［ｋｇ］であるのに対して、コイル中間部１３３の初張力は０である。第１フック１１０と第２フック１２０との間隔を広げる場合、コイル部材１３０ではコイル中間部１３３が優先的に伸長する。具体的には、コイル中間部１３３の張力が第１コイル端部１３１および第２コイル端部１３２の初張力に達するまで、コイル中間部１３３が優先的に伸長する。第１フック１１０と第２フック１２０との間隔をさらに広げると、コイル中間部１３３に加えて第１コイル端部１３１および第２コイル端部１３２が伸長する。

　本実施形態のコイル部材１３０は、全長に渡って均一なバネ定数を有する従来のコイル部材と比較すると、第１フック１１０と第２フック１２０との間隔を広げた場合に、第１コイル端部１３１および第２コイル端部１３２における線材の巻きの密着性が向上する。言い換えれば、本実施形態のコイル部材１３０は、従来のコイル部材よりも、第１コイル端部１３１および第２コイル端部１３２における線材の巻き同士の隙間が減少する。

　このため、本実施形態のコイル部材１３０は、第１コイル端部１３１または第２コイル端部１３２においてワイヤー部材１４０が存在しない箇所が生じた場合であっても、第１コイル端部１３１および第２コイル端部１３２が折れ曲がりにくくなり、線材の巻き同士の隙間からワイヤー部材１４０が飛び出してしまうのを抑制することができる。

　図５に示すように、第１フック１１０および第１コイル端部１３１は、正面側と背面側のそれぞれに、両者を接合する溶接部１５１が形成されている。同様に、第２フック１２０および第２コイル端部１３２は、正面側と背面側のそれぞれに、両者を接合する溶接部１５２が形成されている。図２および図３では、溶接部１５１、１５２を省略している。溶接には、例えば、所定の金属を供給しながら１箇所につき多点（例えば、３点）のレーザ溶接を行うレーザ肉盛溶接を採用することができる。

　ワイヤー部材１４０は、コイル部材１３０の中に移動可能（例えば、スライド可能）に配置される。ワイヤー部材１４０は、超弾性特性を有し、変形爪を矯正する役割を果たす。超弾性特性とは、例えば、負荷時に応力誘起マルテンサイト変態によって生じた変形が、除荷時の逆変態によって回復する特性をいう。

　本実施形態では、ワイヤー部材１４０は、直線形状である。ワイヤー部材１４０は、変形爪矯正具１００が変形爪に装着された状態において湾曲すると、直線形状に回復しようとする。変形爪矯正具１００は、この超弾性特性を利用して、変形爪を矯正する。ワイヤー部材１４０は、例えば、Ｎｉ－Ｔｉ合金からなり、コイル部材１３０の自然長よりも長い全長（本実施形態では、１９［ｍｍ］）を有する。

［変形例］
　以上、本発明に係る変形爪矯正具の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。

　本発明の第１フックは、変形爪の幅方向一端に取り付け可能に構成されるのであれば、その形状、材料等を適宜変更することができる。同様に、本発明の第２フックは、変形爪の幅方向他端に取り付け可能に構成されるのであれば、その形状、材料等を適宜変更することができる。

　本発明のコイル部材は、第１のバネ定数を有する第１コイル端部と、第２のバネ定数を有する第２コイル端部と、両者（第１コイル端部と２コイル端部）の間に位置し、第１のバネ定数および第２のバネ定数よりも小さい第３のバネ定数を有するコイル中間部と、を含むのであれば、適宜構成を変更できる。

　コイル中間部は、部分的に外径の大きさ変化させるか、かつ／または部分的に初張力を変化させる等の手段によって、第３のバネ定数を第１のバネ定数および第２のバネ定数よりも小さくすることができる。

　また、コイル部材の材質は、可撓性および伸縮性を有するのであれば適宜変更できる。

　コイル部材と第１フックおよび第２フックとの接合は、溶接以外の方法を適用できる。例えば、圧着、ロー付接着または樹脂接着剤等の方法を適用できる。

　本発明のワイヤー部材は、超弾性特性を有し、コイル部材の中に移動可能に配置されるであれば、その形状、材料等を適宜変更することができる。例えば、Ｎｉ－Ｔｉ－Ｃｏ合金またはＮｉ－Ｔｉ－Ｆｅ合金、等の超弾性金属が使用されてもよい。また、高強度、高靱性のエンジニアリングプラスチックが使用されてもよい。

１００　　変形爪矯正具
１１０　　第１フック
１１１　　第１装着部
１１２　　第１挿入部
１１３　　かえし
１１４　　凹部
１２０　　第２フック
１２１　　第２装着部
１２２　　第２挿入部
１２３　　かえし
１２４　　凹部
１３０　　コイル部材
１３１　　第１コイル端部
１３２　　第２コイル端部
１３３　　コイル中間部
１４０　　ワイヤー部材
１５１、１５２　　溶接部

Claims (5)

1. 　変形爪を矯正するための変形爪矯正具であって、
   　前記変形爪の幅方向一端に取り付け可能に構成された第１フックと、
   　前記変形爪の幅方向他端に取り付け可能に構成された第２フックと、
   　一端側が前記第１フックに接合され、他端側が前記第２フックに接合されるとともに、前記第１フックと前記第２フックとの間隔を変更できるように伸縮可能に構成されたコイル部材と、
   　前記コイル部材の中に配置された超弾性特性を有するワイヤー部材と、
   を備え、
   　前記コイル部材は、
   　前記第１フック側に位置し、第１のバネ定数を有する第１コイル端部と、
   　前記第２フック側に位置し、第２のバネ定数を有する第２コイル端部と、
   　前記第１コイル端部と前記第２コイル端部との間に位置し、前記第１のバネ定数よりも小さく、かつ前記第２のバネ定数よりも小さい第３のバネ定数を有するコイル中間部と、
   を含むことを特徴とする変形爪矯正具。
2. 　前記コイル中間部は、外径が前記第１コイル端部の外径および前記第２コイル端部の外径よりも大きく、かつピッチ巻きであることを特徴とする請求項１に記載の変形爪矯正具。
3. 　前記第１フックと前記コイル部材とは、正面側と背面側のそれぞれにおいて溶接により接合されており、
   　前記第２フックと前記コイル部材とは、正面側と背面側のそれぞれにおいて溶接により接合されていることを特徴とする請求項１に記載の変形爪矯正具。
4. 　前記第１フックは、
   　前記変形爪の前記幅方向一端を挟み込むための第１装着部と、
   　前記第１装着部の上方において、前記ワイヤー部材の一端側が挿入可能に構成された第１挿入部と、を有し、
   　前記第２フックは、
   　前記変形爪の前記幅方向他端を挟み込むための第２装着部と、
   　前記第２装着部の上方において、前記ワイヤー部材の他端側が挿入可能に構成された第２挿入部と、を有することを特徴とする請求項１に記載の変形爪矯正具。
5. 　前記第１装着部の開口幅は、開口の入口側が最も広く、
   　前記第２装着部の開口幅は、開口の入口側が最も広いことを特徴とする請求項４に記載の変形爪矯正具。

Images