JP3257279B2 - 酸化ルテニウム薄膜の製造方法 - Google Patents
酸化ルテニウム薄膜の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不揮発性メモリ、キャ
パシタ、圧電素子、光スイッチ等の電極薄膜、あるいは
マイクロデバイス用抵抗導体として用いられる酸化ルテ
ニウム薄膜の製造方法に関するものである。
パシタ、圧電素子、光スイッチ等の電極薄膜、あるいは
マイクロデバイス用抵抗導体として用いられる酸化ルテ
ニウム薄膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物導電体薄膜である酸化ルテニウム
薄膜(RuO2 )を成膜する方法としては、(イ)MO
−CVD法、(ロ)スパッタリング法、(ハ)ゾル−ゲ
ル法等が知られている。このうち、MO−CVD法やス
パッタリング法による場合、使用する装置が著しく高価
で維持が困難であるという問題があり、使用する原料や
ターゲット材料の扱いも非常に難しい。
薄膜(RuO2 )を成膜する方法としては、(イ)MO
−CVD法、(ロ)スパッタリング法、(ハ)ゾル−ゲ
ル法等が知られている。このうち、MO−CVD法やス
パッタリング法による場合、使用する装置が著しく高価
で維持が困難であるという問題があり、使用する原料や
ターゲット材料の扱いも非常に難しい。
【0003】また、塩化ルテニウムとエタノールからゾ
ル−ゲル法によって酸化ルテニウム薄膜が得られること
は、例えば文献(J. Electrochem. Soc., Vol.139, No.
6, June 1992)に報告されている。
ル−ゲル法によって酸化ルテニウム薄膜が得られること
は、例えば文献(J. Electrochem. Soc., Vol.139, No.
6, June 1992)に報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この文
献において作製されている薄膜は、酸化ルテニウムと酸
化チタンの混合相薄膜であり、酸化ルテニウム単相薄膜
が得られたという報告や、その電気特性にまで言及して
いる報告はない。そこで本発明は、このような実情に鑑
みて提案されたものであって、安価で且つ簡便な方法で
単相の酸化ルテニウム薄膜を製造することができ、電気
特性の良い酸化ルテニウム薄膜を製造することが可能な
酸化ルテニウム薄膜の製造方法を提供することを目的と
する。
献において作製されている薄膜は、酸化ルテニウムと酸
化チタンの混合相薄膜であり、酸化ルテニウム単相薄膜
が得られたという報告や、その電気特性にまで言及して
いる報告はない。そこで本発明は、このような実情に鑑
みて提案されたものであって、安価で且つ簡便な方法で
単相の酸化ルテニウム薄膜を製造することができ、電気
特性の良い酸化ルテニウム薄膜を製造することが可能な
酸化ルテニウム薄膜の製造方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の酸化ルテニウム薄膜の製造方法は、原材
料である塊状の塩化ルテニウムを粉砕し粉末状にした上
で、溶媒であるエタノールに溶解させて前駆体ゾル溶液
とし、この前駆体ゾル溶液を孔径0.5μm以下のフィ
ルターを通した後、基板に塗布し、熱処理を施すことを
特徴とする前駆体ゾル溶液を孔径0.5μm以下のフィ
ルターを通さないと、得られる酸化ルテニウム薄膜の表
面性が悪くなる。
めに、本発明の酸化ルテニウム薄膜の製造方法は、原材
料である塊状の塩化ルテニウムを粉砕し粉末状にした上
で、溶媒であるエタノールに溶解させて前駆体ゾル溶液
とし、この前駆体ゾル溶液を孔径0.5μm以下のフィ
ルターを通した後、基板に塗布し、熱処理を施すことを
特徴とする前駆体ゾル溶液を孔径0.5μm以下のフィ
ルターを通さないと、得られる酸化ルテニウム薄膜の表
面性が悪くなる。
【0006】また、このときの熱処理温度は、600℃
〜900℃とすることが好ましい。熱処理温度が600
℃未満であると、結晶化が不十分となる。逆に熱処理温
度が900℃を越えると、酸化ルテニウムが揮散してし
まい、成膜することができない。その他の条件は任意で
あるが、例えば前駆体ゾル溶液の濃度は0.2mol/
l以上、0.4mol/l以下に調整することが好まし
い。
〜900℃とすることが好ましい。熱処理温度が600
℃未満であると、結晶化が不十分となる。逆に熱処理温
度が900℃を越えると、酸化ルテニウムが揮散してし
まい、成膜することができない。その他の条件は任意で
あるが、例えば前駆体ゾル溶液の濃度は0.2mol/
l以上、0.4mol/l以下に調整することが好まし
い。
【0007】また、前駆体ゾル溶液はスピンコートによ
り塗布することがこのましく、このとき塗布条件を30
00rpm以上、5000rpm以下とすることが好ま
しい。以上により前駆体ゾル溶液を塗布、熱処理し、結
晶化させるが、そのときの平均グレインサイズを0.1
μm〜0.3μmに制御することが好ましい。
り塗布することがこのましく、このとき塗布条件を30
00rpm以上、5000rpm以下とすることが好ま
しい。以上により前駆体ゾル溶液を塗布、熱処理し、結
晶化させるが、そのときの平均グレインサイズを0.1
μm〜0.3μmに制御することが好ましい。
【0008】一方、原材料としては、塩化ルテニウムR
uCl3・nH2O(n=1〜3)が用いられ、これをエ
タノールに溶解して前駆体ゾル溶液とするが、塩化ルテ
ニウム無水塩にH2 Oとエタノールを加えてなる溶液を
前駆体ゾル溶液として用いてもよい。
uCl3・nH2O(n=1〜3)が用いられ、これをエ
タノールに溶解して前駆体ゾル溶液とするが、塩化ルテ
ニウム無水塩にH2 Oとエタノールを加えてなる溶液を
前駆体ゾル溶液として用いてもよい。
【0009】
【作用】ゾル−ゲル法により酸化ルテニウム薄膜を製造
するに際し、前駆体ゾル溶液を孔径0.5μm以下のフ
ィルターを通すことにより、薄膜を構成する粒子サイズ
が小さなものとなり、表面性が改善される。また、熱処
理温度を600℃〜900℃とすることにより、電気抵
抗率の温度特性が金属的な特性となる。
するに際し、前駆体ゾル溶液を孔径0.5μm以下のフ
ィルターを通すことにより、薄膜を構成する粒子サイズ
が小さなものとなり、表面性が改善される。また、熱処
理温度を600℃〜900℃とすることにより、電気抵
抗率の温度特性が金属的な特性となる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を適用した実施例について、具
体的な実験結果をもとに詳細に説明する。フィルターによる効果の確認 実験例1 原材料である塊状の塩化ルテニウムを溶媒であるエタノ
ールに溶解させた前駆体ゾル溶液を、濃度を0.3mo
l/lに調整し、フィルターを通すことなく、基板であ
るシリコンの(100)面ウエハーに、500rpmで
2秒間スピンオンを行い、溶液を基板全体になじませ、
引き続き4000rpmで20秒間スピンオンを行い塗
布した。そして、600℃の温度で熱処理を行い酸化ル
テニウム薄膜を成膜した。この酸化ルテニウム薄膜表面
を走査電子顕微鏡で観察したところ、ミクロンオーダー
の粒が析出しており、表面性が悪いものであった。 実験例2 原材料である塊状の塩化ルテニウムをよく粉砕し粉末し
た後、溶媒であるエタノールに溶解させ得られる前駆体
ゾル溶液を実験例1と同様に0.3mol/lに調整し
た後、さらに0.5umのフィルターを通した後、基板
であるシリコンの(100)面ウエハーに実施例1と同
様のスピンオンプロセスにて塗布した。そして、600
℃の温度で熱処理を行い酸化ルテニウム薄膜を成膜し
た。この酸化ルテニウム薄膜の表面を走査電子顕微鏡で
観察したところ、実験例1とは異なり、良好な表面性を
有していることがわかった。熱処理温度の検討 実験例3 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上に、実験例2と同様の原料ゾル溶液
を塗布した。そして、400℃の温度で熱処理を行い酸
化ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄
膜の膜厚は、200μmとした。
体的な実験結果をもとに詳細に説明する。フィルターによる効果の確認 実験例1 原材料である塊状の塩化ルテニウムを溶媒であるエタノ
ールに溶解させた前駆体ゾル溶液を、濃度を0.3mo
l/lに調整し、フィルターを通すことなく、基板であ
るシリコンの(100)面ウエハーに、500rpmで
2秒間スピンオンを行い、溶液を基板全体になじませ、
引き続き4000rpmで20秒間スピンオンを行い塗
布した。そして、600℃の温度で熱処理を行い酸化ル
テニウム薄膜を成膜した。この酸化ルテニウム薄膜表面
を走査電子顕微鏡で観察したところ、ミクロンオーダー
の粒が析出しており、表面性が悪いものであった。 実験例2 原材料である塊状の塩化ルテニウムをよく粉砕し粉末し
た後、溶媒であるエタノールに溶解させ得られる前駆体
ゾル溶液を実験例1と同様に0.3mol/lに調整し
た後、さらに0.5umのフィルターを通した後、基板
であるシリコンの(100)面ウエハーに実施例1と同
様のスピンオンプロセスにて塗布した。そして、600
℃の温度で熱処理を行い酸化ルテニウム薄膜を成膜し
た。この酸化ルテニウム薄膜の表面を走査電子顕微鏡で
観察したところ、実験例1とは異なり、良好な表面性を
有していることがわかった。熱処理温度の検討 実験例3 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上に、実験例2と同様の原料ゾル溶液
を塗布した。そして、400℃の温度で熱処理を行い酸
化ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄
膜の膜厚は、200μmとした。
【0011】この酸化ルテニウム薄膜のX線回折パター
ンを図1に示す。この図1及び走査電子顕微鏡による観
察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶化が
不十分であることがわかた。この酸化ルテニウム薄膜の
電気抵抗率の温度特性を図2に示す。この図2から、こ
の酸化ルテニウム薄膜は、電気抵抗率の温度変化が小さ
く、その特性が金属的な特性とは異なることがわかる。 実験例4 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上に、実験例2と同様の原料ゾル溶液
を塗布した。そして、500℃の温度で熱処理を行い酸
化ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄
膜の膜厚は、200μmとした。
ンを図1に示す。この図1及び走査電子顕微鏡による観
察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶化が
不十分であることがわかた。この酸化ルテニウム薄膜の
電気抵抗率の温度特性を図2に示す。この図2から、こ
の酸化ルテニウム薄膜は、電気抵抗率の温度変化が小さ
く、その特性が金属的な特性とは異なることがわかる。 実験例4 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上に、実験例2と同様の原料ゾル溶液
を塗布した。そして、500℃の温度で熱処理を行い酸
化ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄
膜の膜厚は、200μmとした。
【0012】この酸化ルテニウム薄膜のX線回折パター
ンを図3に示す。この図3及び走査電子顕微鏡による観
察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶化が
不十分であることがわかった。この酸化ルテニウム薄膜
の電気抵抗率の温度特性を図4に示す。この図4から、
この酸化ルテニウム薄膜は、電気抵抗率の温度変化が小
さく、その特性が金属的な特性とは異なることがわか
る。 実験例5 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上、実験例2と同様の原料ゾル溶液を
塗布した。そして、600℃の温度で熱処理を行い酸化
ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄膜
の膜厚は、200μmとした。
ンを図3に示す。この図3及び走査電子顕微鏡による観
察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶化が
不十分であることがわかった。この酸化ルテニウム薄膜
の電気抵抗率の温度特性を図4に示す。この図4から、
この酸化ルテニウム薄膜は、電気抵抗率の温度変化が小
さく、その特性が金属的な特性とは異なることがわか
る。 実験例5 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上、実験例2と同様の原料ゾル溶液を
塗布した。そして、600℃の温度で熱処理を行い酸化
ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄膜
の膜厚は、200μmとした。
【0013】この酸化ルテニウム薄膜のX線回折パター
ンを図5に示す。この図5及び走査電子顕微鏡による観
察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶化が
進行しており、そのグレインサイズが0.1〜0.2μ
mであることがわかった。この酸化ルテニウム薄膜の電
気抵抗率の温度特性を図6に示す。この図6の電気抵抗
率の温度変化から判断すると、この酸化ルテニウム薄膜
は、その特性が金属的な特性を有していることがわか
る。 実験例6 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上、実験例2と同様の原料ゾル溶液を
塗布した。そして、700℃の温度で熱処理を行い酸化
ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄膜
の膜厚は、200μmとした。
ンを図5に示す。この図5及び走査電子顕微鏡による観
察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶化が
進行しており、そのグレインサイズが0.1〜0.2μ
mであることがわかった。この酸化ルテニウム薄膜の電
気抵抗率の温度特性を図6に示す。この図6の電気抵抗
率の温度変化から判断すると、この酸化ルテニウム薄膜
は、その特性が金属的な特性を有していることがわか
る。 実験例6 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上、実験例2と同様の原料ゾル溶液を
塗布した。そして、700℃の温度で熱処理を行い酸化
ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄膜
の膜厚は、200μmとした。
【0014】この酸化ルテニウム薄膜のX線回折パター
ンを図7に示す。この図7及び走査電子顕微鏡による観
察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶化が
進行しており、そのグレインサイズが0.1〜0.2μ
mであることがわかった。この酸化ルテニウム薄膜の電
気抵抗率の温度特性を図8に示す。この図8の電気抵抗
率の温度変化から判断すると、この酸化ルテニウム薄膜
は、その特性が金属的な特性を有していることがわか
る。 実験例7 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上、実験例2と同様の原料ゾル溶液を
塗布した。そして、800℃の温度で熱処理を行い酸化
ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄膜
の膜厚は、200μmとした。
ンを図7に示す。この図7及び走査電子顕微鏡による観
察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶化が
進行しており、そのグレインサイズが0.1〜0.2μ
mであることがわかった。この酸化ルテニウム薄膜の電
気抵抗率の温度特性を図8に示す。この図8の電気抵抗
率の温度変化から判断すると、この酸化ルテニウム薄膜
は、その特性が金属的な特性を有していることがわか
る。 実験例7 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上、実験例2と同様の原料ゾル溶液を
塗布した。そして、800℃の温度で熱処理を行い酸化
ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄膜
の膜厚は、200μmとした。
【0015】この酸化ルテニウム薄膜のX線回折パター
ンを図9に示す。この図9及び走査電子顕微鏡による観
察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶化が
進行し且つグレインの成長が見受けられ、そのグレイン
サイズが0.2〜0.3μmであることがわかった。こ
の酸化ルテニウム薄膜の電気抵抗率の温度特性を図10
に示す。この図10の電気抵抗率の温度変化から判断す
ると、この酸化ルテニウム薄膜は、その特性が極めて金
属的な特性を有していることがわかる。 実験例8 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上、実験例2と同様の原料ゾル溶液を
塗布した。そして、900℃の温度で熱処理を行い酸化
ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄膜
の膜厚は、200μmとした。
ンを図9に示す。この図9及び走査電子顕微鏡による観
察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶化が
進行し且つグレインの成長が見受けられ、そのグレイン
サイズが0.2〜0.3μmであることがわかった。こ
の酸化ルテニウム薄膜の電気抵抗率の温度特性を図10
に示す。この図10の電気抵抗率の温度変化から判断す
ると、この酸化ルテニウム薄膜は、その特性が極めて金
属的な特性を有していることがわかる。 実験例8 基板には、シリコンの(100)面ウエハーを用いた。
そして、この基板上、実験例2と同様の原料ゾル溶液を
塗布した。そして、900℃の温度で熱処理を行い酸化
ルテニウム薄膜を成膜した。なお、酸化ルテニウム薄膜
の膜厚は、200μmとした。
【0016】この酸化ルテニウム薄膜のX線回折パター
ンを図11に示す。この図11及び走査電子顕微鏡によ
る観察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶
化が進行し且つグレインの成長が見受けられ、そのグレ
インサイズが0.2〜0.3μmであることがわかっ
た。この酸化ルテニウム薄膜の電気抵抗率の温度特性を
図12に示す。この図12の電気抵抗率の温度変化から
判断すると、この酸化ルテニウム薄膜は、その特性が極
めて金属的な特性を有していることがわかる。なお、上
記の方法に於いて900℃を超える温度で熱処理を行う
と、ルテニウム酸化物は昇華によって揮散してしまい、
所望の酸化ルテニウム薄膜を成膜することはできなかっ
た。
ンを図11に示す。この図11及び走査電子顕微鏡によ
る観察の結果、本実験例の酸化ルテニウム薄膜は、結晶
化が進行し且つグレインの成長が見受けられ、そのグレ
インサイズが0.2〜0.3μmであることがわかっ
た。この酸化ルテニウム薄膜の電気抵抗率の温度特性を
図12に示す。この図12の電気抵抗率の温度変化から
判断すると、この酸化ルテニウム薄膜は、その特性が極
めて金属的な特性を有していることがわかる。なお、上
記の方法に於いて900℃を超える温度で熱処理を行う
と、ルテニウム酸化物は昇華によって揮散してしまい、
所望の酸化ルテニウム薄膜を成膜することはできなかっ
た。
【0017】また、上記実施例では、原材料として酸化
ルテニウム水和物を用いたが、酸化ルテニウム無水塩を
用い、これをエタノールに溶解して原料ゾル溶液を調整
した場合、あるいはエタノールに加え水量の水(H
2 O)を用いて原料ゾル溶液を調整した場合でも上記条
件に従えば、全く同様の優れた酸化ルテニウム薄膜を得
ることができた。
ルテニウム水和物を用いたが、酸化ルテニウム無水塩を
用い、これをエタノールに溶解して原料ゾル溶液を調整
した場合、あるいはエタノールに加え水量の水(H
2 O)を用いて原料ゾル溶液を調整した場合でも上記条
件に従えば、全く同様の優れた酸化ルテニウム薄膜を得
ることができた。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、電気特性の良い、即ち
室温での抵抗値が3.0×10-6Ω・m〜1.0×10
-6Ω・mと低く、かつ、薄膜を構成する粒子のサイズが
0.1〜0.5μm(直径) と小さく鏡面光沢を有す
る酸化ルテニウム薄膜を安価な設備で簡単に製造するこ
とができる。
室温での抵抗値が3.0×10-6Ω・m〜1.0×10
-6Ω・mと低く、かつ、薄膜を構成する粒子のサイズが
0.1〜0.5μm(直径) と小さく鏡面光沢を有す
る酸化ルテニウム薄膜を安価な設備で簡単に製造するこ
とができる。
【図1】400℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄膜
のX線回折パターンを示す特性図である。
のX線回折パターンを示す特性図である。
【図2】400℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄膜
の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
【図3】500℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄膜
のX線回折パターンを示す特性図である。
のX線回折パターンを示す特性図である。
【図4】500℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄膜
の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
【図5】600℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄膜
のX線回折パターンを示す特性図である。
のX線回折パターンを示す特性図である。
【図6】600℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄膜
の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
【図7】700℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄膜
のX線回折パターンを示す特性図である。
のX線回折パターンを示す特性図である。
【図8】700℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄膜
の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
【図9】800℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄膜
のX線回折パターンを示す特性図である。
のX線回折パターンを示す特性図である。
【図10】800℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄
膜の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
膜の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
【図11】900℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄
膜のX線回折パターンを示す特性図である。
膜のX線回折パターンを示す特性図である。
【図12】900℃で熱処理を行った酸化ルテニウム薄
膜の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
膜の電気抵抗率の温度特性を示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川角 浩一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−61286(JP,A) 特開 平4−341572(JP,A) 特開 昭52−98684(JP,A) 特開 昭54−128942(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/12
Claims (7)
- 【請求項1】 原材料である塊状の塩化ルテニウムを粉
砕し粉末状にした上で、溶媒であるエタノールに溶解さ
せて前駆体ゾル溶液とし、この前駆体ゾル溶液を孔径
0.5μm以下のフィルターを通した後、基板に塗布
し、熱処理を施すことを特徴とする酸化ルテニウム薄膜
の製造方法。 - 【請求項2】 600℃〜900℃で熱処理を施すこと
を特徴とする請求項1記載の酸化ルテニウム薄膜の製造
方法。 - 【請求項3】 前駆体ゾル溶液の濃度を0.2mol/
l以上、0.4mol/l以下に調整することを特徴と
する請求項1記載の酸化ルテニウム薄膜の製造方法。 - 【請求項4】 前駆体ゾル溶液をスピンコートにより塗
布することを特徴とする請求項1記載の酸化ルテニウム
薄膜の製造方法。 - 【請求項5】 スピンコートによる塗布条件を3000
rpm以上、5000rpm以下とすることを特徴とす
る請求項4記載の酸化ルテニウム薄膜の製造方法。 - 【請求項6】 前駆体ゾル溶液を塗布後、熱処理し結晶
化させ、その平均グレインサイズを0.1μm〜0.3
μmに制御することを特徴とする請求項1記載の酸化ル
テニウム薄膜の製造方法。 - 【請求項7】 塩化ルテニウム無水塩にH2 Oとエタノ
ールを加えてなる溶液を前駆体ゾル溶液として用いるこ
とを特徴とする請求項1記載の酸化ルテニウム薄膜の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22711994A JP3257279B2 (ja) | 1994-09-21 | 1994-09-21 | 酸化ルテニウム薄膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22711994A JP3257279B2 (ja) | 1994-09-21 | 1994-09-21 | 酸化ルテニウム薄膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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