JP3253842B2 - 磁気記録媒体及びその製造方法並びにそれを用いた磁気印写装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法並びにそれを用いた磁気印写装置

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JP3253842B2
JP3253842B2 JP00597096A JP597096A JP3253842B2 JP 3253842 B2 JP3253842 B2 JP 3253842B2 JP 00597096 A JP00597096 A JP 00597096A JP 597096 A JP597096 A JP 597096A JP 3253842 B2 JP3253842 B2 JP 3253842B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気潜像を形成
し、該磁気潜像を磁性トナーで現像して顕像化し、上記
磁性トナーを記録紙に転写して定着させてハードコピー
を得るための磁気記録媒体及びその製造方法並びにそれ
を用いた磁気印写装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハードコピーを得る磁気印写法は、一般
にマグネトグラフィーと呼ばれている。このうち、磁気
記録媒体を加熱して該磁気記録媒体の保磁力を低減し、
さらに磁界を印加することにより磁気潜像を形成する熱
磁気記録方式を利用した磁気プリンタが従来より知られ
ている。
【0003】上記磁気潜像を形成する方法には、磁化の
向きという観点から、図13(a)に示すように、磁化
の向き(図中の矢印)が磁気記録媒体表面に平行である
面内記録方式と、図13(b)に示すように、磁化の向
き(図中の矢印)が媒体表面に垂直である垂直記録方式
とに分けられる。
【0004】しかしながら、電子写真学会誌(1985
年、第4号、第24巻、14頁)には、熱磁気プリンタ
における面内記録方式の優位性が説かれている。これは
以下の理由による。一般に磁気記録媒体に記録を行う場
合、記録領域で生じる反磁界のために記録磁界の減少が
見られるが、通常形成される厚さ(1〜5μm)の記録
膜に幅10〜200μmで記録する場合には、面内記録
方式の方が垂直記録方式よりも反磁界が小さい。従っ
て、面内記録方式の方が記録磁界が大きくなり記録効率
の点で有利である。また、上述のように磁気記録媒体の
磁化を予め一方向に揃えて初期化し、この初期の方向と
磁化方向とが逆方向の磁化領域を形成することで磁気潜
像を記録する方法では、面内記録方式の方が磁性トナー
に対して大きな磁気吸引力が発生することから、熱磁気
プリンタの記録方式としては適している。
【0005】また、上記熱磁気プリンタに用いられる磁
気記録媒体には、 磁気吸引力が大きいこと(高コントラスト) 保磁力が大きいこと(記録情報の安定性) 等の特性が要求される。尚、消費電力の低減や磁気潜像
記録の高速化のためには、温度上昇による保磁力の低下
がより大きいことも必要である。
【0006】面内記録方式に関しては、例えば、磁気記
録媒体の表面から約10μmの距離にある磁性トナーに
働く磁気吸引力は、磁気記録媒体の残留磁化と膜厚との
積が大きいほど大きくなることが分かっている(電子写
真学会誌、1990年、第3号、第29巻、17頁)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の面内
記録方式に使われる磁気記録媒体は、特開昭56−16
1572号公報、特開昭56−161573号公報、及
び特開昭56−161574号公報に開示されている。
上記各公報では、シート状のベース層の上に、CrO2
からなる磁気記録媒体が形成されている。また、特開昭
59−71076号公報には、ポリイミドフィルム上に
バインダと共にCrO2 が塗布形成された磁気記録媒体
が開示されている。
【0008】また、特開昭61−20077号公報及び
特開昭61−20078号公報には、Fen Nを含む材
料から形成された磁気記録媒体が開示されている。上記
Fen Nは、ポリウレタン、ポリイミド等の高分子樹脂
結合剤に分散させてポリエチレンテレフタレート、ポリ
イミド等の50〜100μm厚さのベース基板に5〜3
0μmの厚さに塗布して使用される。
【0009】しかしながら、上記CrO2 は、その成分
であるCrの毒性が従来から指摘されており、昨今の環
境問題等考えた場合には、CrO2 の使用は極力避けた
方が好ましい。また、実際には、CrO2 の入手が最近
では困難な情勢となってきている。また、Fen Nは、
その成分に鉄を含んでいるので酸化しやすい。従って、
常に高温で空気中に晒される熱磁気プリンタにおいて
は、連続的に長時間使用したときの特性の劣化が問題と
なる。
【0010】さらに、上記CrO2 、Fen N共に、基
本的には溶剤に溶解させた高分子樹脂中に分散させてド
ラムベースやフィルムシート等の上に塗布して膜形成が
なされているが、この方法では次のような欠点がある。
【0011】まず、樹脂中におけるCrO2 やFen
の分布の偏りによって、磁気記録媒体の特性にバラツキ
が生じやすく、分散状態の管理が非常に難しい。また、
サーマルヘッドによる記録を行う場合には、磁気記録媒
体への均一で且つ十分な熱入力を確保するため、サーマ
ルヘッドと磁気記録媒体との密着性が厳しく要求され
る。しかし、上記の溶剤を蒸発させる工程において、場
所による蒸発速度を厳しく制御しないと、磁気記録媒体
の膜厚にムラが生じる上、さらに、膜厚を一様に制御す
ることが難しい。
【0012】上記の問題を解決する手段として、膜形成
にスパッタリングや電子ビーム蒸着法等を用いることが
考えられる。しかしながら、CrO2 やFen Nは、高
分子バインダ中に分散された塗布膜において優れた特性
を発現するものであるので、スパッタリングや電子ビー
ム蒸着法で膜形成を行ったとしても、塗布膜と同様の特
性を確保することは難しい。
【0013】また、磁気記録媒体として、上記のCrO
2 やFen Nを含むものの他に、上記CrO2 やFen
N以外に、希土類金属と遷移金属とからなるアモルファ
ス磁性体が挙げられる。特開昭62−100767号公
報、特開昭63−142361号公報、及び特開昭64
−46766号公報には、NdDyFeCo及びこれに
Ti、Al、Cu、Cr等の元素を添加したアモルファ
ス磁性体が開示されている。また、特開昭57−136
673号公報には、GdCo、TbFe、GdFe、D
yTb、(GdTb)Fe、(GdTb)Co、TbF
eO3 、HoCo、DyFe、GdCoMo等のアモル
ファス磁性体が開示されている。
【0014】しかしながら、上記アモルファス磁性体
は、スパッタリング、電子ビーム蒸着による形成は可能
であるが、これらの材料は垂直記録方式に用いる材料で
あるため、そのままでは面内記録方式に利用できないと
いう問題を有している。
【0015】上記の希土類金属と遷移金属とからなるア
モルファス磁性体では、希土類金属の組成比を小さくす
ると、面内記録方式に使用できる面内磁化膜を作製する
ことができるが、希土類金属と遷移金属とからなるアモ
ルファス磁性体で作製された面内磁化膜では、磁性トナ
ーに対して十分な吸引力を得るために、磁性体の厚みを
厚くする必要がある。
【0016】しかしながら、スパッタリングあるいは電
子ビーム蒸着にて希土類金属と遷移金属とからなるアモ
ルファス磁性体を作製する場合、磁性体の膜厚を厚くす
ると、残留磁化が大きく低下してしまい、磁性トナーに
対する十分な吸引力が得られないという問題が生じる。
【0017】一方、磁気印写装置としての性能を高める
ためには、従来の技術で記したような特性を向上させる
ことが必要である。このため、上記のようにして膜厚を
厚くして作製されたアモルファス磁性体のように、磁気
記録媒体の磁気吸引力が小さいと高いコントラストの画
像を得ることができないとう問題があった。
【0018】本発明は、上記従来の各問題点に鑑みなさ
れたものであって、その目的は、磁性トナーに対して十
分な吸引力を有する希土類金属と遷移金属とからなる磁
気記録媒体およびその製造方法を提供すると共に、上記
磁気記録媒体を用いて良質の画像を得ることのできる磁
気印写装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1の磁気記録媒体
は、上記の課題を解決するために、磁化方向が表面と平
行であり、所定温度で加熱することにより保磁力を低下
させると共に、外部磁界が印加されることにより磁気潜
像を形成する磁気記録媒体において、希土類金属と遷移
金属とからなるアモルファス合金膜が複数層積層されて
なることを特徴としている。
【0020】上記の構成によれば、アモルファス合金膜
は、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法により形成す
ることができるので、膜厚が均一な大面積の磁気記録媒
体を容易に得ることができる。
【0021】さらに、アモルファス合金膜が積層されて
いることで、この積層膜と同じ厚みの膜厚を有するアモ
ルファス合金膜に比べて、残留磁化を大きくすることが
できる。これにより、アモルファス合金膜の積層によっ
て磁気記録媒体の膜厚を厚くすることで、磁気記録媒体
に形成された磁気潜像には、大きな磁気吸引力が発生す
るようになる。
【0022】したがって、上記のような磁気記録媒体上
に形成された磁気潜像を現像すれば、高コントラスト
で、且つ高解像度度の画像を得ることができる。
【0023】請求項2の磁気記録媒体は、上記の課題を
解決するために、請求項1の構成に加えて、各アモルフ
ァス合金膜は、それぞれが同一組成からなることを特徴
としている。
【0024】一般に、積層された各薄膜のそれぞれの組
成が異なれば、各薄膜の厚さ方向で保磁力、残留磁化、
保磁力の温度依存性に違いを生じることになる。したが
って、磁気潜像を形成した場合、厚さ方向で磁化反転領
域の位置が異なる虞があり、このように磁化反転領域の
位置が異なれば、磁性トナーに対する磁気吸引力が小さ
くなり、記録画像の解像度も悪くなる。
【0025】そこで、上記の請求項2の構成によれば、
磁気記録媒体の積層される各層において、アモルファス
合金膜の組成が同一であれば、前述したような各層の組
成が異なることにより起因する問題が生じず、磁性トナ
ーに対する磁気吸引力が大きく、且つ高解像度の記録画
像を得ることができる。
【0026】請求項3の磁気記録媒体は、上記の課題を
解決するために、請求項1または2の構成に加えて、ア
モルファス合金膜は、0.1μmから1.0μmの範囲
の厚みに設定されていることを特徴としている。
【0027】上記の構成によれば、積層されるアモルフ
ァス合金膜の各膜厚が、0.1μmから1.0μmの範
囲に設定されるていることで、磁気記録媒体の残留磁化
を大きく、且つ保磁力を大きくすることができる。
【0028】つまり、1層当たりの膜厚が小さい程積層
した時の保磁力の低下が大きく、1層当たりの膜厚が
0.1μmより小さくなると、2層以上積層した時に、
保磁力が200Oe以下になる。この場合、保磁力が小
さいため磁気記録媒体上に磁気潜像を安定して形成する
ことはできず、しかも、磁性トナーに対する磁気吸引力
も小さいので、熱磁気プリンタ用の磁気記録媒体として
使用することができない。
【0029】また、アモルファス合金膜を積層しないで
単層で作製した磁気記録媒体の残留磁化の膜厚依存性を
見ると、膜厚が1.0μmを超えると残留磁化は100
emu/cc以下となる。したがって、1層当たりの膜
厚が1.0μmを超える膜を積層した場合、その積層膜
では残留磁化が100emu/cc以下となり、磁性ト
ナーに対する磁気吸引力が小さくなるので、熱磁気プリ
ンタ用の磁気記録媒体として使用することができない。
【0030】以上のことから、膜厚が0.1μmから
1.0μmの範囲にある同一組成の希土類金属と遷移金
属とからなるアモルファス合金膜を複数層積層して磁気
記録媒体を作製すれば、残留磁化が大きく、且つ保磁力
を大きくすることができる。
【0031】これにより、磁気記録媒体上に、磁気潜像
を安定して形成することができると共に、磁性トナーを
安定して吸着することができるので、高解像度、且つ高
コントラストの記録画像が得られる磁気記録媒体とする
ことができる。
【0032】請求項4の磁気記録媒体は、上記の課題を
解決するために、請求項1、2、または3の構成に加え
て、アモルファス合金膜の積層界面において、炭素、窒
素、酸素、水素、フッ素、アルゴンの各元素のうち少な
くとも1種類の元素濃度が、磁気記録媒体内の積層界面
以外における上記の各元素の濃度よりも高く設定されて
いることを特徴としている。
【0033】上記の構成によれば、積層界面の存在を明
確にすることができるので、各層のアモルファス合金膜
の磁気特性を低下させることなくアモルファス合金膜を
積層することができる。これにより、磁気記録媒体の残
留磁化を低下させることなく膜厚を厚くすることができ
る。したがって、磁気記録媒体の磁性トナーに対する磁
気吸引力が大きくなり、高コントラストの画像を得るこ
とができる。
【0034】請求項5の磁気記録媒体の製造方法は、上
記の課題を解決するために、磁化方向が表面と平行であ
り、所定温度で加熱することにより保磁力を低下させる
と共に、外部磁界が印加されることにより磁気潜像を形
成する磁気記録媒体の製造方法において、希土類金属と
遷移金属とからなるアモルファス合金を、蒸着法やスパ
ッタ法等の真空薄膜形成法によって所定の膜厚に形成す
ると共に、膜形成を途中で少なくとも1回中断すること
を特徴としている。
【0035】上記の構成によれば、アモルファス合金膜
の膜形成を途中で少なくとも1回中断することで、膜表
面に、この膜の近傍に存在する例えば酸素ガス等のガス
が吸着されることになり、積層界面を明確にすることが
できるので、磁気記録媒体をアモルファス合金膜の積層
構造にすることができる。これにより、積層構造の磁気
記録媒体を作製するための装置の大幅な改造すること無
しに、アモルファス合金膜を積層した磁気記録媒体を容
易に作製することができる。
【0036】このようにして作製された磁気記録媒体
は、アモルファス合金膜が積層されていることで、この
積層膜と同じ厚みの膜厚を有するアモルファス合金膜に
比べて、残留磁化を大きくすることができる。これによ
り、アモルファス合金膜の積層によって磁気記録媒体の
膜厚を厚くすることで、磁気記録媒体に形成された磁気
潜像には、大きな磁気吸引力が発生するようになる。
【0037】したがって、上記のような磁気記録媒体上
に形成された磁気潜像を現像すれば、高コントラスト
で、且つ高解像度度の画像を得ることができる。
【0038】請求項6の磁気記録媒体の製造方法は、上
記の課題を解決するために、請求項5の構成に加えて、
アモルファス合金膜の形成を途中で中断したときの雰囲
気圧力を、0.001Paから10Paの範囲に設定す
ることを特徴としている。
【0039】上記の構成によれば、アモルファス合金膜
の形成を途中で中断したときの雰囲気圧力を、0.00
1Paから10Paの範囲に設定することで、膜表面の
近傍に存在する例えば酸素ガス等のガスの濃度を下げる
ことなく、膜表面に対して効果的にガスを吸着させるこ
とができる。しかも、スパッタリング等の薄膜形成方法
によって膜形成を再開する際に、雰囲気圧力を形成方法
に必要な圧力まで低下させるために必要な時間を短くす
ることができる。
【0040】即ち、膜形成を中断して保持している時の
雰囲気圧力を0.001Paよりも小さくすると、膜近
傍に存在するガスの濃度が低くなるので、アモルファス
合金膜の表面に吸着されるガスの量が減少し、積層界面
が明確でなくなる。一方、膜形成を中断して保持してい
る時の雰囲気圧力を10Paよりも大きくすると、膜近
傍に存在するガスの濃度が高くなるので、アモルファス
合金膜の表面に吸着されるガスの量が増加し、積層界面
が明確となる。しかしながら、膜形成を再開する際に
は、再度、放電可能な圧力にまで排気する必要があり、
この排気のための時間が係るので、膜形成の効率が低下
する。
【0041】したがって、アモルファス合金膜の形成を
途中で中断したときに、磁気記録媒体の雰囲気圧力が、
0.001Paから10Paの範囲外にあれば、上記し
たような問題が生じるので、上記のようにアモルファス
合金膜の形成を途中で中断したときの磁気記録媒体の雰
囲気圧力が上記の範囲に設定されていれば、膜表面に対
して十分にガスを吸着させることができると共に、膜形
成再開時の減圧のための時間を短縮することができる。
【0042】請求項7の磁気記録媒体の製造方法は、上
記の課題を解決するために、請求項5または6の構成に
加えて、アモルファス合金膜の形成を途中で中断したと
きに、形成途中の膜表面が、酸素、窒素、水素、アルゴ
ン、フッ化炭素、二酸化炭素、炭化水素の各ガスのうち
少なくとも1種類のガスと接触することを特徴としてい
る。
【0043】上記の構成によれば、アモルファス合金膜
が複数層積層された磁気記録媒体の積層界面で、上記の
酸素、窒素、水素、アルゴン、フッ化炭素、二酸化炭
素、炭化水素の各元素のうち少なくとも1種類の元素の
濃度を、積層界面以外の膜内での上記の元素の濃度より
も容易に高くすることができる。これにより、積層され
たアモルファス合金膜の積層界面を明確にすることが容
易になり、複数層積層された磁気記録媒体の残留磁化の
大きさを低下させること無しに、磁気記録媒体の厚みを
増すことが容易にできる。したがって、上記のような製
造方法によって作製された磁気記録媒体の磁性トナーに
対する磁気吸引力が大きくなり、高コントラストの画像
を得ることができる。
【0044】請求項8の磁気記録媒体の製造方法は、上
記の課題を解決するために、請求項7の構成に加えて、
形成途中の膜表面に酸素、窒素、水素、アルゴン、フッ
化炭素、二酸化炭素、炭化水素の各ガスのうち少なくと
も1種類のガスが接触しているときの雰囲気圧力を、
0.001Paから10Paの範囲に設定することを特
徴としている。
【0045】上記の構成によれば、アモルファス合金膜
の形成を途中で中断したときに、磁気記録媒体の雰囲気
圧力を、0.001Paから10Paの範囲に設定する
ことで、膜表面の近傍に存在する例えば酸素ガス等のガ
スの濃度を下げることなく、膜表面に対して効果的にガ
スを吸着させることができる。しかも、膜形成を再開す
る際に、雰囲気圧力を膜形成に必要な圧力まで低下させ
るために必要な時間を短くすることができる。
【0046】請求項9の磁気記録媒体の製造方法は、上
記の課題を解決するために、請求項5から8の何れかの
構成に加えて、アモルファス合金膜の形成を途中で中断
したときに、形成途中の膜を加熱することを特徴として
いる。
【0047】上記の構成によれば、形成途中の膜を加熱
することで、膜表面の雰囲気中に含まれる酸素ガス等の
ガスを容易に吸着させることができる。これにより、ア
モルファス合金膜が複数層積層された磁気記録媒体の積
層界面で、上記のガスの元素のうち少なくとも1種類の
元素の濃度を磁気記録媒体内の積層界面以外での濃度よ
りも容易に高めることができる。したがって、磁気記録
媒体の積層界面の存在を明確にすることが容易になり、
複数層積層された磁気記録媒体の残留磁化を低下させる
ことなしに、磁気記録媒体の厚みを容易に増すことがで
きる。
【0048】この結果、上記の製造方法にて作製された
磁気記録媒体は、磁性トナーに対する磁気吸引力が大き
くなり、高コントラストの画像を得ることができる。
【0049】請求項10の磁気記録媒体の製造方法は、
上記の課題を解決するために、請求項5から9の何れか
の構成に加えて、アモルファス合金膜を積層する際に、
膜表面と平行に磁界を印加することを特徴としている。
【0050】上記の構成によれば、面内磁気異方性が大
きく、且つ残留磁化の大きさを低下させることなく、磁
気記録媒体の膜厚を厚くすることができるので、磁性ト
ナーに対する磁気吸引力が大きな磁気記録媒体を作製す
ることができる。
【0051】請求項11の磁気印写装置は、上記の課題
を解決するために、基体上に、磁気潜像を記録する磁気
記録媒体が形成された磁気潜像担持体を有する磁気印写
装置において、上記磁気記録媒体は、希土類金属と遷移
金属とからなるアモルファス合金膜が複数層積層されて
なると共に、積層界面において、炭素、窒素、酸素、水
素、フッ素、アルゴンの各元素のうち少なくとも1種類
の元素濃度が、磁気記録媒体内の積層界面以外における
上記の各元素の濃度よりも高く設定されていることを特
徴としている。
【0052】上記の構成によれば、アモルファス合金膜
の積層されてなる磁気記録媒体に形成された磁気潜像に
は大きな磁気吸引力が発生する。また、積層膜を残留磁
化を低下させること無く積層することができるので、磁
性トナーに対する磁気吸引力を高めるために磁気記録媒
体の厚みを厚くすることができる。
【0053】これにより、このような磁気記録媒体を磁
気印写装置に使用すれば、磁気記録媒体の磁気潜像を安
定して形成すると共に、この磁気潜像の大きな磁気吸引
力によって磁性トナーを吸引することができるので、高
コントラスト、且つ高解像度の画像を得ることができ
る。
【0054】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕本発明の実施の一形態について図1な
いし図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。
尚、本実施の形態では、磁気記録媒体を、磁気印写装置
としての熱磁気プリンタに適用した場合について説明す
る。
【0055】熱磁気プリンタは、図2に示すような画像
形成部を有している。上記画像形成部には、磁気潜像担
持体としての磁気ドラム4、現像器6、転写ローラ8、
及び搬送ベルト9が備えられている。
【0056】磁気ドラム4は、ドラムベース1(基体)
の表面に、温度上昇に伴い保磁力が低下する特性を有し
た磁気記録媒体2が形成されたものである。現像器6
は、内部に磁性トナー7を有しており、磁気潜像が形成
された磁気ドラム4に磁性トナー7を送り込むものであ
る。転写ローラ8は、搬送ベルト9を間に挟んで磁気ド
ラム4と対向して配置され、記録紙に磁性トナー7を転
写するものである。搬送ベルト9は、上記記録紙を図示
しない定着器に搬送するものである。
【0057】上記磁気ドラム4は、その外周面側にクリ
ーニング装置10、一方向磁化磁石11、及びサーマル
ヘッド装置12を備え、内周面側にバイアス磁界印加用
磁石13を備えている。
【0058】一方向磁化磁石11は、上記磁気記録媒体
2の磁化方向を一方向に揃え初期化するものである。サ
ーマルヘッド装置12は、磁気記録媒体2を所定温度ま
で加熱するための熱入力を行うものである。また、磁気
ドラム4を挟んでサーマルヘッド装置12と対向する位
置に配されたバイアス磁界印加用磁石13は、上記初期
化方向とは逆向きに、磁気記録媒体2の室温での保磁力
を越えない大きさで、且つ、磁気記録媒体2の上記所定
温度での保磁力より大きな外部磁界を磁気記録媒体2に
印加するものである。また、クリーニング装置10は、
記録紙に転写されずに磁気ドラム4の表面に残留した余
分の磁性トナー7を取り除くものである。
【0059】上記構成に基づき、熱磁気プリンタは以下
のように動作する。 図2において、磁気ドラム4は矢印で示す方向に回転
し、磁気記録媒体2が一方向磁化磁石11により磁化方
向が一方向に飽和するように初期化される。次に、磁気
記録媒体2に対してサーマルヘッド装置12により熱入
力が行われ、磁気記録媒体2が所定温度まで加熱される
と共に、この状態の磁気記録媒体2にバイアス磁界印加
用磁石13により上記初期化の方向とは逆方向の磁界が
印加される。このバイアス磁化の印加動作は、形成すべ
き画像信号に応じて図示しない制御装置により制御され
る。これにより、磁化方向が反転した磁気潜像が磁気記
録媒体2に形成される。
【0060】次に、磁気潜像が形成された磁気記録媒
体2に、現像器6により磁性トナー7が振りかけられ
る。これにより、磁気潜像は磁性トナー7により顕像化
された可視像となる。このトナー像は転写ローラ8によ
り記録紙に転写される。
【0061】その後、記録紙は搬送ベルト9により定
着器(図示せず)に搬送され、この定着器によりトナー
像が記録紙上に定着される。一方、磁気ドラム4の表面
に残留した磁性トナー7は、クリーニング装置10によ
り除去される。
【0062】以上が一つの画像を得る場合の動作である
が、続けて別の画像を得る場合には、上記の〜の動
作が繰り返される。また、同一画像を複数得る場合、即
ちマルチコピーの場合には、上記およびの動作が繰
り返される。
【0063】次に、上記磁気ドラム4の構成を詳しく説
明する。図1に示すように、磁気ドラム4は、Alを材
質とするドラムベース1の上に、磁気記録媒体2及び保
護膜3が順次積層されている。
【0064】磁気記録媒体2は、所定の組成を持つTb
Co膜、DyCo膜、GdCo膜、TbFeCo膜、D
yFeCo膜あるいはGdFeCo膜等の希土類金属−
遷移金属のアモルファス合金膜2aが複数層積層されて
なる。本実施の形態の磁気記録媒体2として、アモルフ
ァス合金膜2aが4層積層されたものについて説明す
る。上記アモルファス合金膜2aは、スパッタリングあ
るいは蒸着法等によりドラムベース1上に形成される。
【0065】磁気記録媒体2の膜厚は、磁気吸引力を大
きくするには厚いほどよいものの、厚くなり過ぎると磁
気記録媒体2の作製工程に長時間を要する。従って、上
記膜厚は0.5〜5.0μmの範囲が好ましい。
【0066】保護膜3は、AlN、TiN等の窒化物に
より形成される。この材料の選択は、磁気記録媒体2の
耐環境性を考慮するとともに、記録時にサーマルヘッド
装置12と磁気ドラム4とが接触することから、耐摩耗
性を考慮したものである。この保護膜3も上記スパッタ
リングあるいは蒸着法等により形成され、その膜厚は0.
01〜1.0μmの範囲が好ましい。尚、レーザ等による
非接触の熱入力を行う場合、保護膜3の材料としては耐
環境性のみを考慮して、高分子材料を使用することも可
能である。
【0067】上記磁気記録媒体2は、磁化方向が表面と
平行であり、保磁力が温度上昇に伴って低下し、キュリ
ー点以下の所定温度に加熱された状態にて初期状態の磁
化方向とは逆方向のバイアス磁界が印加されることによ
り磁気潜像を形成する。このアモルファス合金膜2aが
4層積層してなる磁気記録媒体2の室温でのヒステリシ
スループは、例えば図4に示すものとなる。一方、上記
構成の磁気記録媒体2の保磁力の温度依存性は、例えば
図5に示すものとなる。ここで、図4および図5による
考察は、後述する。
【0068】以下に、磁気記録媒体2が有する上記の機
能を確認した実施例について説明する。
【0069】(実施例)上記のような熱磁気プリンタに
用いる磁気記録媒体2を検討するために、図3(a)に
示す構成の磁気潜像形成体である試料Aを作製して評価
を行なった。この試料Aは、ガラス基板5上に磁気記録
媒体2および保護膜3をこの順に積層して形成したもの
である。上記ガラス基板5にはコーニング社製のもの
を、また現像器6の磁性トナー7には日立金属(株)社
製(H700、磁粉量70%、平均粒径12.2μm)
のものをそれぞれ使用した。尚、本実施例では、後述す
るSIMS(二次イオン質量分析法)で使用する試料と
して、保護膜3を形成しない試料も同時に作製した。
【0070】本実施例においては、ガラス基板5上に所
定の組成となるように、Coターゲット上にTbのチッ
プを乗せた複合ターゲットを用いて、スパッタリング法
により厚さ0.24μmのTbCoのアモルファス合金
薄膜2aを4層積層して、厚さが0.96μmの磁気記
録媒体2を形成した。さらに、保護膜3として0.1μ
mのTiN膜を同じくスパッタリングにて形成し、上記
試料Aを得た。上記TbCo膜は、保護膜3の有無に拘
わらず、Tb組成がatm%で11.0%であった。
尚、上記のスパッタリングとしてはバイアス電圧をかけ
ない高周波スパッタ法を使用した。
【0071】上記試料Aにおける磁気記録媒体2の室温
での磁気特性を示すヒステリシスループと保磁力の温度
依存性を調べたところ、それぞれ、図4と図5に示すも
のとなった。
【0072】図4から、磁気記録媒体2は室温での保磁
力が460(Oe)、残留磁化が180(emu/c
c)であることが分かる。尚、保護膜3を形成していな
い場合も、室温でのヒステリシスループは同じであっ
た。
【0073】一方、図5から、磁気記録媒体2はその保
磁力が温度上昇とともに低下することが分かる。尚、保
護膜3を形成しない場合でも、保磁力の温度依存性は同
じであった。
【0074】次に、上記試料Aにバイアス磁界の大きさ
を例えば300(Oe)として磁気潜像を形成する方法
について説明する。図5より、磁気記録媒体2の保磁力
が300(Oe)以下になるのは100℃以上である。
そこで、この試料Aに、予め面内一方向に飽和するまで
初期化磁界を加え、その後、サーマルヘッド装置12に
て熱入力を行い、かつ初期化磁界の方向とは逆向きに3
00(Oe)のバイアス磁界を印加しながら磁気潜像を
形成したところ、磁気記録媒体2の温度が100℃以上
となる領域に磁化反転領域が形成された。
【0075】これは、図5より、磁気記録媒体2は、そ
の温度が100℃以上となると、保磁力が300Oe以
下に低下するため、300Oeのバイアス磁界が印加さ
れることで、磁気記録媒体2の温度が100℃以上にな
っている領域の磁化方向がバイアス磁界の印加方向へ反
転することによる。
【0076】このようにして試料A上に形成された磁気
潜像を磁性トナー7で現像テストしたところ、磁化反転
領域に磁性トナー7が付着して、良好な現像結果が得ら
れた。
【0077】尚、本実施例では、磁気記録媒体2におい
て、積層される各層のアモルファス合金膜2aが同一組
成となるように、TbCoアモルファス合金膜2aは、
同一のターゲットを用いて同一のスパッタリングの条件
で作製されている。これは、以下の理由による。
【0078】積層される各層で、TbCoアモルファス
合金膜の組成が異なると、各層で磁気特性に違いを生じ
る。つまり、積層された各薄膜の厚さ方向で保磁力、残
留磁化、保磁力の温度依存性に違いを生じることにな
る。したがって、磁気潜像を形成した場合、厚さ方向で
磁化反転領域の位置が異なる虞があり、このように磁化
反転領域の位置が異なれば、磁性トナ7ーに対する磁気
吸引力が小さくなり、記録画像の解像度も悪くなるとい
う問題が生じる。そこで、本実施例のように、磁気記録
媒体の積層される各層において、TbCoアモルファス
合金膜の組成が同一であれば、前述したような各層の組
成が異なることにより起因する問題が生じず、磁性トナ
ーに対する磁気吸引力が大きく、且つ高解像度の記録画
像を得ることができる。
【0079】次に、比較のために、図3(b)に示すよ
うに、同じガラス基板5上に所定の組成となるようにC
oターゲット上にTbのチップを乗せた複合ターゲット
を用いて、スパッタリング法により厚さ0.96μmの
TbCoアモルファス合金膜2aを積層しない単層膜か
らなる磁気記録媒体2を形成し、その上に保護膜3とし
て0.1μmのTiN膜を同じくスパッタリングにて形
成して、試料Bを作製した。尚、本実施例では、後述す
るSIMS(二次イオン分析法)で使用する試料とし
て、保護膜3を形成しない試料も同時に作製した。
【0080】上記TbCo膜は、保護膜3の有無に拘わ
らず、Tb組成がatm%で11.0%であった。尚、
上記のスパッタリングとしてはバイアス電圧をかけない
高周波スパッタ法を使用した。
【0081】上記試料Bにおける磁気記録媒体2の室温
での磁気特性を示すヒステリシスループを調べたとこ
ろ、図6に示すものとなった。
【0082】図6から、磁気記録媒体2は室温での保磁
力が460(Oe)、残留磁化が105(emu/c
c)であり、上記のTbCoアモルファス合金膜を積層
した磁気記録媒体2を有する試料Aに比べて残留磁化が
大きく低下していることが分かる。尚、保護膜3を形成
していない場合も、室温でのヒステリシスループは同じ
であった。
【0083】次に、上記試料Bにバイアス磁界の大きさ
を例えば300(Oe)として磁気潜像を形成する方法
について説明する。この試料Bに、予め面内一方向に飽
和するまで初期化磁界を加え、その後、サーマルヘッド
装置12にて熱入力を行い、かつ初期化磁界の方向とは
逆向きに300(Oe)のバイアス磁界を印加しながら
磁気潜像を形成したところ、磁気記録媒体2の温度が1
00℃以上となる領域に磁化反転領域が形成された。
【0084】ここで、この磁気潜像を磁性トナー7で現
像テストを行ったところ、上記のTbCoアモルファス
合金膜を積層して作製された試料Aの場合に比べて、磁
性トナー7の付着量が少なかった。これは、試料Bは、
上述したように残留磁化の大きさが小さいために、磁性
トナー7に対する磁気吸引力が小さくなっているためと
思われる。したがって、試料Bでは、記録画像のコント
ラストは、試料Aに比べて劣ることになる。
【0085】次に、上記の2種類の試料(試料A・B)
について、膜の厚さ方向での軽元素をSIMS(2次イ
オン質量分析法)により分析した結果をそれぞれ図7お
よび図8に示す。尚、本分析には、上記の各試料A・B
において、それぞれ保護膜3を形成しないものを使用し
た。
【0086】図7には、厚さ0.24μmのTbCoア
モルファス合金膜を4層積層した磁気記録媒体(試料A
に対応)を深さ方向に0.45μm(スパッタ時間30
分)まで分析した結果を、図8には、厚さ0.96μm
のTbCoアモルファス合金膜を積層せずに単層とした
磁気記録媒体(試料Bに対応)を同じく深さ0.45μ
m(スパッタ時間30分)まで分析した結果を示してい
る。
【0087】図7より、スパッタリング時間が16分の
ところで、酸素元素、炭素元素、窒素元素及びアルゴン
元素の2次イオン強度のピークが見られた。このピーク
時の試料の深さは、磁気記録媒体の積層界面に当たる深
さである0.24μmであった。
【0088】一方、図8では、図7で見られるような2
次イオン強度のピークは見られなかった。
【0089】このことから、磁気記録媒体がTbCoア
モルファス合金膜を複数積層した構造の場合、積層界面
で酸素元素、炭素元素、窒素元素及びアルゴン元素の濃
度が高くなることが分かるので、磁気記録媒体における
積層界面が明確になっていることが分かる。したがっ
て、それぞれの層のTbCoアモルファス合金膜が独立
した磁気特性を有することになるので、積層して全体の
厚みが増しても、その磁気特性は各層のTbCoアモル
ファス合金膜の磁気特性と同じにすることができる。こ
れにより、各TbCoアモルファス合金膜を積層した構
造にすることで、残留磁化の大きさを低下させることな
く、磁性トナーに対する磁気吸引力向上のために磁気記
録媒体全体の厚みを増すことができることが分かる。
【0090】このように、残留磁化の大きさを低下させ
ることなく、磁気記録媒体全体の厚みを増すことができ
ることから、磁性トナー7に対して十分な吸引力を得る
ことができることが分かる。
【0091】尚、本実施例では、希土類金属と遷移金属
とからなるアモルファス合金膜としてTbCoを用いて
説明したが、例えばDyCo、GdCo等の他の希土類
金属と遷移金属とのアモルファス合金膜を用いても良
い。
【0092】次に、磁気記録媒体の膜厚と残留磁化との
関係について、図9を参照しながら以下に説明する。
【0093】図9は、縦軸に残留磁化(emu/cc)
を、横軸に膜厚(μm)を示したグラフであり、TbC
oアモルファス合金膜の1層当たりの膜厚を0.24μ
mにして、単層及び2層、3層、4層、6層に積層した
場合の磁気記録媒体(図中の●)と、TbCoアモルフ
ァス合金膜を積層せずに単層で形成した磁気記録媒体
(図中の○)とにおける膜厚と残留磁化との関係を示し
たものである。
【0094】図9より、同じ厚さの磁気記録媒体を形成
した場合、TbCoアモルファス合金膜を積層したもの
の方が残留磁化が大きいことが分かる。さらに、TbC
oアモルファス合金膜を積層して作製された磁気記録媒
体では、膜厚が0.96μmを超えると残留磁化の大き
さがほぼ一定になるのに対して、単層のTbCoアモル
ファス合金膜から作製された磁気記録媒体では、厚さが
増すと残留磁化の大きさが小さくなっていることが分か
る。
【0095】また、上記のアモルファス合金膜を積層し
て作製された磁気記録媒体を、SIMSにより分析した
ところ、膜の積層界面で酸素元素、炭素元素、窒素元素
及びアルゴン元素の濃度が高くなっていた。
【0096】以上のことから、磁気記録媒体が希土類金
属と遷移金属とのアモルファス合金膜を複数層積層した
構造の場合には、希土類金属と遷移金属とのアモルファ
ス合金膜を積層せず単層で形成した場合に比べて、磁気
記録媒体の膜厚を厚くしても残留磁化の低下がほとんど
無いので、残留磁化を低下させることなく磁気記録媒体
の膜厚を厚くすることができることが分かる。
【0097】このように、残留磁化を低下させることな
く磁気記録媒体の膜厚を厚くすることで、磁性トナーに
対する磁気吸引力の向上を図ることができる。
【0098】次に、アモルファス合金膜を複数層積層し
て作製された磁気記録媒体のアモルファス合金膜の1層
当たりの膜厚と保磁力との関係について、図10を参照
しながら以下に説明する。
【0099】図10は、縦軸に保磁力(Oe)を、横軸
に膜厚(μm)を示したグラフであり、TbCoアモル
ファス合金膜の1層当たりの膜厚を0.08μm、0.
1μm、0.16μm、0.24μmにしてそれぞれ単
層の場合と、2層、4層、7層積層した場合との膜厚と
保磁力との関係を示したものである。
【0100】図10より、1層当たりの膜厚が小さい程
積層した時のの保磁力の低下が大きく、1層当たりの膜
厚が0.1μmより小さくなると、2層以上積層した時
に、保磁力が200Oe以下になっている。この場合、
保磁力が小さいため磁気記録媒体上に磁気潜像を安定し
て形成することはできず、しかも、磁性トナーに対する
磁気吸引力も小さいので、熱磁気プリンタ用の磁気記録
媒体として使用することができない。
【0101】また、図9で示したように、TbCoアモ
ルファス合金膜を積層しないで単層で作製した磁気記録
媒体の残留磁化の膜厚依存性を見ると、膜厚が1.0μ
mを超えると残留磁化は100emu/cc以下となっ
ている。したがって、1層当たりの膜厚が1.0μmを
超える膜を積層した場合、その積層膜では残留磁化が1
00emu/cc以下となり、磁性トナーに対する磁気
吸引力が小さくなるので、熱磁気プリンタ用の磁気記録
媒体として使用することができない。
【0102】以上のことから、膜厚が0.1μmから
1.0μmの範囲にある同一組成の希土類金属と遷移金
属とからなるアモルファス合金膜を複数層積層して磁気
記録媒体を作製すれば、残留磁化および保磁力を大きく
することができることが分かる。
【0103】よって、このような磁気記録媒体によれ
ば、磁気潜像を安定して形成することができると共に、
磁性トナーを安定して吸着することができるので、この
磁気記録媒体を熱磁気プリンタとして用いれば、高コン
トラストの記録画像が得られる熱磁気プリンタとするこ
とが可能となる。
【0104】尚、本実施例では、磁気ドラムを用いた熱
磁気プリンタを使用したが、磁気ベルトを用いた熱磁気
プリンタでもよい。即ち、図11に示すように、熱磁気
プリンタの画像形成部は、磁気ドラムの代わりに磁気潜
像担持体としての磁気ベルト24を備えている。
【0105】磁気ベルト24は3つのローラ35…によ
り支持され、ローラ35…の回転に伴い図中矢印方向に
移動する。磁気ベルト24の外周部には、一方向磁化磁
石31、クリーニング装置30、サーマルヘッド装置3
2、外部磁界印加用磁石33、内部に磁性トナー27を
有する現像器26、転写ローラ28、及び搬送ベルト2
9が備えられている。
【0106】磁気ベルト24は、基体としてのフィルム
シート21の表面に、温度上昇に伴い保磁力が低下する
特性を有した磁気記録媒体22が形成されたものであ
る。この磁気記録媒体22は、前述のドラムベース1上
に形成した磁気記録媒体2のように、アモルファス合金
膜(図示しない)が複数層積層された構造となってい
る。
【0107】また、フィルムシート21は、ポリイミ
ド、ポリエチレンテレフタレート等の高分子からなるも
のでもよい。
【0108】上記熱磁気プリンタの動作は磁気ドラムの
場合と同様であるので説明は省略する。
【0109】上記構成の熱磁気プリンタにおいても、上
記構成の磁気ベルト24上に形成された磁気記録媒体2
2磁気記録媒体を用いることにより、大きな磁気吸引力
が発生するので、良好の画像を得ることが可能となる。
【0110】以下の各実施の形態では、磁気記録媒体の
製造方法について説明する。
【0111】〔実施の形態2〕本発明の他の実施の形態
について図3に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。本実施の形態では、アモルファス合金膜を複数層積
層する磁気記録媒体の製造方法において、膜形成を途中
で少なくとも1回中断する方法について説明する。
【0112】本実施の形態では、図3(a)に示すよう
に、ガラス基板5上に所定組成となるように、Coター
ゲット上にTbのチップを乗せた複合ターゲットを用い
て、スパッタリングにより厚さ0.24μmのTbCo
のアモルファス合金薄膜2aを4層積層して、厚さが
0.96μmの磁気記録媒体2を形成した。さらに、保
護膜3として0.1μmのTiN膜を同じくスパッタリ
ングにて形成した。上記TbCo膜は、Tb組成がat
m%で11.0%であった。尚、上記のスパッタリング
としてはバイアス電圧をかけない高周波スパッタ法を使
用した。
【0113】上記の製造方法について、詳しく説明する
と以下のようになる。
【0114】磁気記録媒体を形成するガラス基板5を
スパッタリング装置のチャンバー内にセットする。
【0115】スパッリング装置のチャンバー内の圧力
が0.001Paになるまで排気する。
【0116】スパッタリングガスであるアルゴンガス
をチャンバー内に導入し、チャンバー内の圧力が1.0
7Paになるようにする。そして、放電を開始しアルゴ
ンイオンでターゲット(Coターゲット上にTbのチッ
プを乗せた複合ターゲット)をスパッタリングすること
によりガラス基板5上にTbCoアモルファス合金膜2
aを形成する。
【0117】ガラス基板5上に形成されたTbCoア
モルファス合金膜2aが所望の膜厚になるまで、上記の
スパッタリングを継続し、所望する膜厚0.1〜1.0
μmになったところで、スパッタリングを止める。
【0118】尚、本実施の形態では、TbCoアモルフ
ァス合金膜2aの膜厚が0.24μmになったところで
スパタリングを止める。
【0119】その後、チャンバー内の圧力(雰囲気圧
力)を0.001〜10Paの範囲で保持する。
【0120】尚、本実施の形態では、0.01Paに保
持した。また、保持時間は、約30分とする。この保持
時間については、特に限定しないが、積層界面が明確に
なり得る程度の時間であれば良く、上記の条件では、3
0分保持すれば十分である。
【0121】その後、上記、、、の工程を繰
り返すことにより、1層の膜厚が0.24μmのTbC
oアモルファス合金膜2aが4層積層され、膜厚が0.
96μmの磁気記録媒体を作製する。
【0122】尚、上記の製造方法では、アモルファス合
金膜2aを4層積層した磁気記録媒体2の製造方法につ
いて説明しているが、磁気記録媒体2の厚みを増したい
場合には、上記の〜までの工程を繰り返して積層数
を増やせば良い。
【0123】このように作製された磁気記録媒体2に対
してSIMSの分析を行ったところ、積層界面での炭素
元素、窒素元素、酸素元素及びアルゴン元素の濃度が高
くなっていることが分かる。この結果、上記磁気記録媒
体2は、残留磁化が大きく熱磁気プリンタに好適に使用
できることが分かった。
【0124】尚、積層界面に存在する炭素元素、窒素元
素、酸素元素及びアルゴン元素は、スパッタリングを中
断している時にチャンバー内に残留していた酸素ガス、
二酸化炭素ガス、窒素ガス、アルゴンガスがガラス基板
5上に形成されているTbCoアモルファス合金膜2a
の表面に吸着したものである。
【0125】ここで、スパッタリングを中断して保持し
ている時のチャンバー内の圧力を0.001Paよりも
小さくすると、チャンバー内に残留している上記ガス濃
度が低くなるので、TbCoアモルファス合金膜の表面
に吸着される上記各ガスの量が減少し、積層界面が明確
でなくなる。
【0126】一方、スパッタリングを中断して保持して
いる時のチャンバー内の圧力を10Paよりも大きくす
ると、チャンバー内に残留している上記ガス濃度が高く
なるので、TbCoアモルファス合金膜の表面に吸着さ
れる上記各ガスの量が増加し、積層界面が明確となる。
しかしながら、スパッタリングを再開する際には、再
度、放電可能な圧力にまで排気する必要があり、この排
気のための時間がかかるので、スパッタリングの効率が
低下する。
【0127】以上のことから、スパッタリングを中断し
て保持している時のチャンバー内の圧力が0.001〜
10Paの範囲にある場合には、チャンバー内に残留す
る炭素元素、窒素元素、酸素元素、水素元素、フッ素元
素及びアルゴン元素の濃度を十分に高くすることができ
ると共に、スパッタリング中断後、再度スパッタリング
を開始する際のチャンバー圧力を下げる時に要する時間
を短くすることができる。
【0128】また、上記の製造方法において、スパッタ
リング時に、作製中の磁気記録媒体に対して磁界を印加
しながら膜形成しても良い。
【0129】この場合、スパッタリング装置の内部ある
いは外部から、チャンバー内の基板に対して、面内方向
に磁界を印加する磁界印加手段(図示せず)を設け、こ
の磁界印加手段によって基板に磁界が印加されること
で、基板の面内磁気異方性を高めるようにすれば良い。
【0130】このようにして作製された磁気記録媒体
は、積層界面での炭素元素、窒素元素、酸素元素、アル
ゴン元素の濃度が高くなり、残留磁化が大きく、しか
も、面内磁気異方性が大きく、熱磁気プリンタとして好
適に使用することができた。
【0131】〔実施の形態3〕本発明のさらに他の実施
の形態について図3に基づいて説明すれば、以下の通り
である。本実施の形態では、アモルファス合金膜を複数
層積層する磁気記録媒体の製造方法において、膜形成を
途中で少なくとも1回中断した時に、膜表面が酸素ガ
ス、窒素ガス、水素ガス、アルゴンガス、フッ化炭素ガ
ス、二酸化炭素ガス、炭化水素ガス、の少なくとも1種
類のガスと接触するように、上記ガスをスパタリング装
置のチャンバー内に導入する方法について説明する。
【0132】本実施の形態では、図3(a)に示すよう
に、ガラス基板5上に所定組成となるように、Coター
ゲット上にTbのチップを乗せた複合ターゲットを用い
て、スパッタリングにより厚さ0.24μmのTbCo
のアモルファス合金薄膜2aを4層積層して、厚さが
0.96μmの磁気記録媒体2を形成した。さらに、保
護膜3として0.1μmのTiN膜を同じくスパッタリ
ングにて形成した。上記TbCo膜は、Tb組成がat
m%で11.0%であった。尚、上記のスパッタリング
としてはバイアス電圧をかけない高周波スパッタ法を使
用した。
【0133】上記の製造方法について、詳しく説明する
と以下のようになる。
【0134】磁気記録媒体を形成するガラス基板5を
スパッタリング装置のチャンバー内にセットする。
【0135】スパッリング装置のチャンバー内の圧力
が0.001Paになるまで排気する。
【0136】スパッタリングガスであるアルゴンガス
をチャンバー内に導入し、チャンバー内の圧力が1.0
7Paになるようにする。そして、放電を開始しアルゴ
ンイオンでターゲット(Coターゲット上にTbのチッ
プを乗せた複合ターゲット)をスパッタリングすること
によりガラス基板上にTbCoアモルファス合金膜2a
を形成する。
【0137】ガラス基板5上に形成されたTbCoア
モルファス合金膜2aが所望の膜厚になるまで、上記の
スパッタリングを継続し、所望する膜厚0.1〜1.0
μmになったところで、スパッタリングを止める。
【0138】尚、本実施の形態では、TbCoアモルフ
ァス合金膜の膜厚が0.24μmになったところでスパ
タリングを止める。
【0139】その後、チャンバー内に酸素ガスを導入
する。
【0140】その後、チャンバー内の圧力(雰囲気圧
力)を0.001〜10Paの範囲で保持する。
【0141】尚、本実施の形態では、0.01Paに保
持した。また、保持時間は、約30分とする。この保持
時間については、特に限定しないが、積層界面が明確に
なり得る程度の時間であれば良く、上記の条件では、3
0分保持すれば十分である。
【0142】その後、上記、、、の工程を繰
り返すことにより、1層の膜厚が0.24μmのTbC
oアモルファス合金膜2aが4層積層され、膜厚が0.
96μmの磁気記録媒体を作製する。
【0143】上記の製造方法では、4層積層した磁気記
録媒体2の製造方法について説明しているが、磁気記録
媒体2の厚みを増したい場合には、上記の〜までの
工程を繰り返して積層数を増やせば良い。
【0144】このように作製された磁気記録媒体に対し
てSIMSの分析を行ったところ、積層界面での炭素元
素、窒素元素、酸素元素及びアルゴン元素の濃度が高く
なっていることが分かる。この結果、上記磁気記録媒体
は、残留磁化が大きく熱磁気プリンタに好適に使用でき
ることが分かった。
【0145】積層界面に存在する炭素元素、窒素元素、
酸素元素及びアルゴン元素は、スパッタリングを中断し
ている時にチャンバー内に残留していた酸素ガス、二酸
化炭素ガス、窒素ガス、アルゴンガスがガラス基板上に
形成されているTbCoアモルファス合金膜の表面に吸
着したものである。本実施の形態では、スパッタリング
の中断時に酸素ガスをチャンバー内に酸素を導入するよ
うになっているので、積層界面では特に酸素元素の濃度
が高くなっていた。
【0146】尚、スパッタリングの中断時にチャンバー
内に導入するガスとしては、上記の酸素ガス以外のガ
ス、あるいは上記のガスの内の複数のガスを導入して
も、良好な結果が得られることは言うまでもない。
【0147】また、スパッタリングの中断時に酸素ガス
をチャンバー内に導入しているので、チャンバー内のガ
ス濃度が高くなるので、膜表面にガスが吸着され易くな
り、スパッタリングの中断時にガスを導入しない前記の
実施の形態2よりも保持時間を短くすることができた。
【0148】ここで、スパッタリングを中断して保持し
ている時のチャンバー内の圧力を0.001Paよりも
小さくすると、チャンバー内に残留している上記ガス濃
度が低くなるので、TbCoアモルファス合金膜の表面
に吸着される上記各ガスの量が減少し、積層界面が明確
でなくなる。
【0149】一方、スパッタリングを中断して保持して
いる時のチャンバー内の圧力を10Paよりも大きくす
ると、チャンバー内に残留している上記ガス濃度が高く
なるので、TbCoアモルファス合金膜の表面に吸着さ
れる上記各ガスの量が増加し、積層界面が明確となる。
しかしながら、スパッタリングを再開する際には、再
度、放電可能な圧力にまで排気する必要があり、この排
気のための時間がかかるので、スパッタリングの効率が
低下する。
【0150】以上のことから、スパッタリングを中断し
て保持している時のチャンバー内の圧力が0.001〜
10Paの範囲にある場合には、チャンバー内に残留す
る炭素元素、窒素元素、酸素元素、水素元素、フッ素元
素及びアルゴン元素の濃度を十分に高くすることができ
ると共に、、スパッタリング中断後、再度スパッタリン
グを開始する際のチャンバー圧力を下げる時に要する時
間を短くすることができる。
【0151】〔実施の形態4〕本発明のさらに他の実施
の形態について図3に基づいて説明すれば、以下の通り
である。本実施の形態では、アモルファス合金膜を複数
層積層する磁気記録媒体の製造方法において、膜形成を
途中で少なくとも1回中断した時に、形成中の磁気記録
媒体を加熱して製造する方法について説明する。
【0152】本実施の形態では、図3(a)に示すよう
に、ガラス基板5上に所定組成となるように、Coター
ゲット上にTbのチップを乗せた複合ターゲットを用い
て、スパッタリング法により厚さ0.24μmのTbC
oのアモルファス合金膜2aを4層積層して、厚さが
0.96μmの磁気記録媒体2を形成した。さらに、保
護膜3として0.1μmのTiN膜を同じくスパッタリ
ング法にて形成した。上記TbCo膜は、Tb組成がa
tm%で11.0%であった。尚、上記のスパッタリン
グとしてはバイアス電圧をかけない高周波スパッタ法を
使用した。
【0153】上記の製造方法について、詳しく説明する
と以下のようになる。
【0154】磁気記録媒体を形成するガラス基板5を
スパッタリング装置のチャンバー内にセットする。
【0155】スパッリング装置のチャンバー内の圧力
が0.001Paになるまで排気する。
【0156】スパッタリングガスであるアルゴンガス
をチャンバー内に導入し、チャンバー内の圧力が1.0
7Paになるようにする。そして、放電を開始しアルゴ
ンイオンでターゲット(Coターゲット上にTbのチッ
プを乗せた複合ターゲット)をスパッタリングすること
によりガラス基板5上にTbCoアモルファス合金膜2
aを形成する。
【0157】ガラス基板5上に形成されたTbCoア
モルファス合金膜2aが所望の膜厚になるまで、上記の
スパッタリングを継続し、所望する膜厚0.1〜1.0
μmになったところで、スパッタリングを止める。
【0158】尚、本実施の形態では、TbCoアモルフ
ァス合金膜の膜厚2aが0.24μmになったところで
スパタリングを止める。
【0159】その後、チャンバー内の圧力(雰囲気圧
力)を0.001〜10Paの範囲で保持しながら、作
製途中の磁気記録媒体を加熱する。
【0160】尚、本実施の形態では、圧力は0.01P
aに保持し、加熱温度は膜表面が100℃程度になるよ
うにした。また、このときの保持時間は、約10分間と
する。この保持時間については、特に限定しないが、加
熱しながらガスを膜表面に接触されているので、ガスが
膜表面に吸着され易くなり、上記の条件では、10分保
持すれば十分である。
【0161】その後、磁気記録媒体への加熱を停止し
てから、上記、、、の工程を繰り返すことによ
り、1層の膜厚が0.24μmのTbCoアモルファス
合金膜が4層積層され、膜厚が0.96μmの磁気記録
媒体を作製する。
【0162】尚、磁気記録媒体への加熱を停止してか
ら、再度の工程を行うまでの時間は、20分もあれば
良い。
【0163】上記の製造方法では、4層積層した磁気記
録媒体の製造方法について説明しているが、磁気記録媒
体の厚みを増したい場合には、上記の〜までの工程
を繰り返して積層数を増やせば良い。
【0164】このように作製された磁気記録媒体に対し
てSIMSの分析を行ったところ、積層界面での炭素元
素、窒素元素、酸素元素及びアルゴン元素の濃度が高く
なっていることが分かる。この結果、上記磁気記録媒体
は、残留磁化が大きく熱磁気プリンタに好適に使用でき
ることが分かった。
【0165】尚、積層界面に存在する炭素元素、窒素元
素、酸素元素及びアルゴン元素は、スパッタリングを中
断している時にチャンバー内に残留していた酸素ガス、
二酸化炭素ガス、窒素ガス、アルゴンガスがガラス基板
5上に形成されているTbCoアモルファス合金膜2a
の表面に吸着したものである。本実施の形態では、スパ
ッタリングの中断時に、膜形成途中の磁気記録媒体を加
熱しているので、膜表面が活性化され、この膜近傍に存
在するガスが膜表面に吸着され易くなるので、積層界面
でのガス濃度が所定値に達するまでの時間は、前記実施
の形態2に比べて格段に短くなり、この結果、保持時間
を短くすることができた。
【0166】また、上記の工程では、スパッタリングの
中断時に磁気記録媒体を加熱しているが、上記のの工
程において、ガラス基板をスパッタリング装置にセット
してから、スパッタリング工程を終了するまでの間、常
時、磁気記録媒体を加熱しても良い。
【0167】ここで、スパッタリングを中断して保持し
ている時のチャンバー内の圧力を0.001Paよりも
小さくすると、チャンバー内に残留している上記ガス濃
度が低くなるので、TbCoアモルファス合金膜の表面
に吸着される上記各ガスの量が減少し、積層界面が明確
でなくなる。
【0168】一方、スパッタリングを中断して保持して
いる時のチャンバー内の圧力を10Paよりも大きくす
ると、チャンバー内に残留している上記ガス濃度が高く
なるので、TbCoアモルファス合金膜の表面に吸着さ
れる上記各ガスの量が増加し、積層界面が明確となる。
しかしながら、スパッタリングを再開する際には、再
度、放電可能な圧力にまで排気する必要があり、この排
気のための時間がかかるので、スパッタリングの効率が
低下する。
【0169】以上のことから、スパッタリングを中断し
て保持している時のチャンバー内の圧力が0.001〜
10Paの範囲にある場合には、チャンバー内に残留す
る炭素元素、窒素元素、酸素元素、水素元素、フッ素元
素及びアルゴン元素の濃度を十分に高くすることができ
ると共に、、スパッタリング中断後、再度スパッタリン
グを開始する際のチャンバー圧力を下げる時に要する時
間を短くすることができる。
【0170】尚、本実施の形態でのスパッタリングの中
断時における磁気記録媒体への加熱時に、前記実施の形
態3のようにスパッタリングの中断時に、スパッタリン
グ装置のチャンバー内に酸素ガス、窒素ガス、水素ガ
ス、アルゴンガス、フッ化炭素ガス、二酸化炭素ガス、
炭化水素ガスのうち少なくとも1種類のガスを導入して
も良い。この場合、さらに、スパッタリングの中断時間
を短くすることができるので、磁気記録媒体の製造効率
を向上させることができる。
【0171】〔実施の形態5〕本発明の他の実施の形態
について図12に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。本実施の形態では、アモルファス合金膜を複数層積
層する磁気記録媒体の製造方法において、膜形成を途中
で少なくとも1回中断する方法について説明する。
【0172】図12は、スパッタリング装置内部におい
て、ドラムベース1の表面に磁気記録媒体を形成する製
造方法について説明した図であり、この装置において
は、ターゲット16よりスパッタリングによってはじき
出された金属原子が、ドラムベース1方向に移動して付
着するようになっている。このときの金属原子のドラム
ベース1への付着領域Yは、遮蔽板14によって限定さ
れる。また、金属原子のはじき出しのタイミングは、タ
ーゲット16とドラムベース1の金属付着領域Yとの間
に配設され、矢印方向に任意に移動することができるシ
ャッタ15の開閉によって行われる。
【0173】本実施の形態での製造方法について、詳し
く説明すると以下のようになる。
【0174】磁気記録媒体を形成するドラムベース1
をスパッタリング装置のチャンバー内にセットする。
【0175】スパッリング装置のチャンバー内の圧力
が0.001Paになるまで排気する。
【0176】スパッタリングガスであるアルゴンガス
をチャンバー内に導入し、チャンバー内の圧力が1.0
7Paになるようにする。そして、放電を開始しアルゴ
ンイオンでターゲット(Coターゲット上にTbのチッ
プを乗せた複合ターゲット)16をスパッタリングし、
シャッタ15を開けることでドラムベース1上にTbC
oアモルファス合金膜を形成する。
【0177】尚、ドラムベース1は、ドラムベース1の
周方向で形成されるTbCoアモルファス合金膜の膜厚
が一定になるように、矢印X方向に回転している。
【0178】ガラス基板上に形成されたTbCoアモ
ルファス合金膜が所望の膜厚になるまで、上記のスパッ
タリングを継続し、所望する膜厚0.1〜1.0μmに
なったところで、スパッタリングを止める。
【0179】尚、本実施の形態では、ドラムベース1の
回転数とシャッタ15の開放時間を調整することで、T
bCoアモルファス合金膜の膜厚が0.24μmになる
ようにした。
【0180】その後、チャンバー内の圧力(雰囲気圧
力)を0.001〜10Paの範囲で保持する。
【0181】尚、本実施の形態では、0.01Paに保
持した。また、保持時間は、約30分とする。この保持
時間については、特に限定しないが、積層界面が明確に
なり得る程度の時間であれば良く、上記の条件では、3
0分保持すれば十分である。
【0182】その後、上記、、、の工程を繰
り返すことにより、1層の膜厚が0.24μmのTbC
oアモルファス合金膜が4層積層され、膜厚が0.96
μmの磁気記録媒体を作製する。
【0183】上記の製造方法では、4層積層した磁気記
録媒体の製造方法について説明しているが、磁気記録媒
体の厚みを増したい場合には、上記の〜までの工程
を繰り返して積層数を増やせば良い。
【0184】このように作製された磁気記録媒体に対し
てSIMSの分析を行ったところ、積層界面での炭素元
素、窒素元素、酸素元素及びアルゴン元素の濃度が高く
なっていることが分かる。この結果、上記磁気記録媒体
は、残留磁化が大きく熱磁気プリンタに好適に使用でき
ることが分かった。
【0185】尚、上記のの工程で、ドラムベース1を
矢印X方向に回転させながらTbCoアモルファス合金
膜の形成を行った場合、図12の領域Yに着目すると、
TbCoアモルファス合金膜が形成され、ドラムベース
1の回転により領域Yが回転移動し、再度領域YにTb
Coアモルファス合金膜が形成されるまでには、領域Y
ではスパッタリングが中断されてTbCoアモルファス
合金膜が積層されることになる。
【0186】しかしながら、この場合には、領域Yへの
膜形成が中断しても、スパッタリングの放電は継続され
ており、上記の工程でのチャンバー内の雰囲気とは異
なっている。
【0187】このため、上記のの工程でのドラムベー
ス1の回転に伴うスパッタリングの中断によっては、T
bCoアモルファス合金膜を積層しても、その積層界面
での炭素元素、窒素元素、酸素元素、アルゴン元素の濃
度の上昇をもたらさないので、ドラムベース1を回転さ
せ、連続的にスパッタリングを行って磁気記録媒体を形
成しても、残留磁化を大きくすることができず、熱磁気
プリンタに好適に使用することができないことが分か
る。
【0188】即ち、ドラムベース1に対して連続してア
モルファス合金膜2aを形成するだけでは、スパッタリ
ングが中断されたときでも、雰囲気がスパッタリング時
と同じになっているので、積層界面を明確にすることが
できない。
【0189】これに対して、本実施の形態の製造工程
のように、チャンバー内の圧力(雰囲気圧力)を0.0
01〜10Paの範囲で保持することで、積層するアモ
ルファス合金膜2aの積層界面を明確にすることができ
る。よって、アモルファス合金膜2aを積層しても残留
磁化の低下を小さくすることができるので、熱磁気プリ
ンタに好適に使用することができる。
【0190】尚、本実施の形態では、実施の形態3のよ
うに、膜形成を途中で少なくとも1回中断した時に、膜
表面が酸素ガス、窒素ガス、水素ガス、アルゴンガス、
フッ化水素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素ガスのうち
少なくとも1種類のガスと接触するように、上記ガスを
チャンバー内に導入する方法や、実施の形態4のよう
に、膜形成の途中で少なくとも1回中断した時に、磁気
記録媒体を加熱する方法を適用しても、実施の形態3、
4と同様な効果を得ることができる。
【0191】したがって、このように、本実施の形態
に、実施の形態3および4の少なくとも一方を適用して
作製された磁気記録媒体においても、熱磁気プリンタに
好適に使用することができる。
【0192】また、以上の各実施の形態においては、ア
モルファス合金膜2aの成膜方法として、高周波スパッ
タ法について説明したが、これに限定するものではな
く、他のスパッタ法でも良く、さらに、電子ビーム蒸着
法等の他の真空薄膜形成法を用いて良い。
【0193】
【発明の効果】請求項1の発明の磁気記録媒体は、以上
のように、磁化方向が表面と平行であり、所定温度で加
熱することにより保磁力を低下させると共に、外部磁界
が印加されることにより磁気潜像を形成する磁気記録媒
体において、希土類金属と遷移金属とからなるアモルフ
ァス合金膜が複数層積層されてなる構成である。
【0194】これにより、アモルファス合金膜の積層に
よって磁気記録媒体の膜厚を厚くすることで、磁気記録
媒体に形成された磁気潜像には、大きな磁気吸引力が発
生するようになる。
【0195】したがって、上記のような磁気記録媒体上
に形成された磁気潜像を現像すれば、高コントラスト
で、且つ高解像度度の画像を得ることができるという効
果を奏する。
【0196】請求項2の発明の磁気記録媒体は、以上の
ように、請求項1の構成に加えて、各アモルファス合金
膜は、それぞれが同一組成からなる構成である。
【0197】これにより、請求項1の構成による効果に
加えて、磁気記録媒体の積層される各層において、アモ
ルファス合金膜の組成が同一であれば、磁性トナーに対
する磁気吸引力が大きく、且つ高解像度の記録画像を得
ることができるという効果を奏する。
【0198】請求項3の発明の磁気記録媒体は、以上の
ように、請求項1または2の構成に加えて、アモルファ
ス合金膜は、0.1μmから1.0μmの範囲の厚みに
設定されている構成である。
【0199】それゆえ、請求項1または2の構成による
効果に加えて、積層されるアモルファス合金膜の各膜厚
が、0.1μmから1.0μmの範囲に設定されるてい
ることで、磁気記録媒体の残留磁化を大きく、且つ保磁
力を大きくすることができる。
【0200】これにより、磁気記録媒体上に、磁気潜像
を安定して形成することができると共に、磁性トナーを
安定して吸着することができるので、高解像度、且つ高
コントラストの記録画像が得られる磁気記録媒体とする
ことができるという効果を奏する。
【0201】請求項4の発明の磁気記録媒体は、以上の
ように、請求項1、2、または3の構成に加えて、アモ
ルファス合金膜の積層界面において、炭素、窒素、酸
素、水素、フッ素、アルゴンの各元素のうち少なくとも
1種類の元素濃度が、磁気記録媒体内の積層界面以外に
おける上記の各元素の濃度よりも高く設定されている構
成である。
【0202】それゆえ、請求項1、2または3の構成に
よる効果に加えて、磁気記録媒体の残留磁化を低下させ
ることなく膜厚を厚くすることができる。したがって、
磁気記録媒体の磁性トナーに対する磁気吸引力が大きく
なり、高コントラストの画像を得ることができるという
効果を奏する。
【0203】請求項5の発明の磁気記録媒体の製造方法
は、以上のように、磁化方向が表面と平行であり、所定
温度で加熱することにより保磁力を低下させると共に、
外部磁界が印加されることにより磁気潜像を形成する磁
気記録媒体の製造方法において、希土類金属と遷移金属
とからなるアモルファス合金を、蒸着法やスパッタ法等
の真空薄膜形成法によって所定の膜厚に形成すると共
に、膜形成を途中で少なくとも1回中断する構成であ
る。
【0204】これにより、磁気記録媒体を作製するため
の装置の大幅な改造すること無しに、アモルファス合金
膜を積層した磁気記録媒体を容易に作製することができ
る。
【0205】このようにして作製された磁気記録媒体
は、アモルファス合金膜が積層されていることで、この
積層膜と同じ厚みの膜厚を有するアモルファス合金膜に
比べて、残留磁化を大きくすることができる。これによ
り、アモルファス合金膜の積層によって磁気記録媒体の
膜厚を厚くすることで、磁気記録媒体に形成された磁気
潜像には、大きな磁気吸引力が発生するようになる。
【0206】したがって、上記のような磁気記録媒体上
に形成された磁気潜像を現像すれば、高コントラスト
で、且つ高解像度度の画像を得ることができるという効
果を奏する。
【0207】請求項6の発明の磁気記録媒体の製造方法
は、以上のように、請求項5の構成に加えて、アモルフ
ァス合金膜の形成を途中で中断したときに、磁気記録媒
体の雰囲気圧力を、0.001Paから10Paの範囲
に設定する構成である。
【0208】これにより、請求項5の構成による効果に
加えて、アモルファス合金膜の形成を途中で中断したと
きに、磁気記録媒体の雰囲気圧力を、0.001Paか
ら10Paの範囲に設定することで、膜表面の近傍に存
在する例えば酸素ガス等のガスの濃度を下げることな
く、膜表面に対して効果的にガスを吸着させることがで
きる。しかも、膜形成を再開する際に、雰囲気圧力を膜
形成に必要な圧力まで低下させるために必要な時間を短
くすることができるという効果を奏する。
【0209】請求項7の発明の磁気記録媒体の製造方法
は、以上のように、請求項5または6の構成に加えて、
アモルファス合金膜の形成を途中で中断したときに、形
成途中の膜表面が、酸素、窒素、水素、アルゴン、フッ
化炭素、二酸化炭素、炭化水素の各ガスのうち少なくと
も1種類のガスと接触する構成である。
【0210】それゆえ、請求項5または6の構成による
効果に加えて、積層されたアモルファス合金膜の積層界
面を明確にすることが容易になり、複数層積層された磁
気記録媒体の残留磁化の大きさを低下させること無し
に、磁気記録媒体の厚みを増すことが容易にできる。し
たがって、上記のような製造方法によって作製された磁
気記録媒体の磁性トナーに対する磁気吸引力が大きくな
り、高コントラストの画像を得ることができるという効
果を奏する。
【0211】請求項8の発明の磁気記録媒体の製造方法
は、以上のように、請求項7の構成に加えて、形成途中
の膜表面に酸素、窒素、水素、アルゴン、フッ化炭素、
二酸化炭素、炭化水素の各ガスのうち少なくとも1種類
のガスが接触しているときの雰囲気圧力を、0.001
Paから10Paの範囲に設定する構成である。
【0212】それゆえ、請求項7の構成による効果に加
えて、アモルファス合金膜の形成を途中で中断したとき
に、磁気記録媒体の雰囲気圧力を、0.001Paから
10Paの範囲に設定することで、膜表面の近傍に存在
する例えば酸素ガス等のガスの濃度を下げることなく、
膜表面に対して効果的にガスを吸着させることができ
る。しかも、膜形成を再開する際に、雰囲気圧力を膜形
成に必要な圧力まで低下させるために必要な時間を短く
することができるという効果を奏する。
【0213】請求項9の発明の磁気記録媒体の製造方法
は、以上のように、請求項5から8の何れかの構成に加
えて、アモルファス合金膜の形成を途中で中断したとき
に、形成途中の膜を加熱する構成である。
【0214】それゆえ、請求項5から8の何れかの構成
による効果に加えて、アモルファス合金膜が複数層積層
された磁気記録媒体の積層界面で、上記のガスの元素の
うち少なくとも1種類の元素の濃度を磁気記録媒体内の
積層界面以外での濃度よりも容易に高めることができ
る。したがって、磁気記録媒体の積層界面の存在を明確
にすることが容易になり、複数層積層された磁気記録媒
体の残留磁化を低下させることなしに、磁気記録媒体の
厚みを容易に増すことができる。
【0215】この結果、上記の製造方法にて作製された
磁気記録媒体は、磁性トナーに対する磁気吸引力が大き
くなり、高コントラストの画像を得ることができるとい
う効果を奏する。
【0216】請求項10の発明の磁気記録媒体の製造方
法は、以上のように、請求項5から9の何れかの構成に
加えて、アモルファス合金膜を積層する際に、膜表面と
平行に磁界を印加する構成である。
【0217】それゆえ、請求項5から9の何れかの構成
による効果に加えて、面内磁気異方性が大きく、且つ残
留磁化の大きさを低下させることなく、磁気記録媒体の
膜厚を厚くすることができるので、磁性トナーに対する
磁気吸引力が大きな磁気記録媒体を作製することができ
るという効果を奏する。
【0218】請求項11の発明の磁気印写装置は、以上
のように、基体上に、磁気潜像を記録する磁気記録媒体
が形成された磁気潜像担持体を有する磁気印写装置にお
いて、上記磁気記録媒体は、希土類金属と遷移金属とか
らなるアモルファス合金膜が複数層積層されてなると共
に、積層界面において、炭素、窒素、酸素、水素、フッ
素、アルゴンの各元素のうち少なくとも1種類の元素濃
度が、磁気記録媒体内の積層界面以外における上記の各
元素の濃度よりも高く設定されている構成である。
【0219】それゆえ、アモルファス合金膜の積層され
てなる磁気記録媒体に形成された磁気潜像には大きな磁
気吸引力が発生する。また、積層膜を残留磁化を低下さ
せること無く積層することができるので、磁性トナーに
対する磁気吸引力を高めるために磁気記録媒体の厚みを
厚くすることができる。
【0220】これにより、このような磁気記録媒体を磁
気印写装置に使用すれば、磁気記録媒体の磁気潜像を安
定して形成すると共に、この磁気潜像の大きな磁気吸引
力によって磁性トナーを吸引することができるので、高
コントラスト、且つ高解像度の画像を得ることができる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る熱磁気プリンタの
磁気ドラムの構成を示す要部断面図である。
【図2】上記熱磁気プリンタの画像形成部の構成を示す
概略構成図である。
【図3】熱磁気プリンタに用いる磁気記録媒体及びその
製造方法並びに磁気印写装置の評価を行うための試料の
構成を示すものであって、(a)は、本発明を適用した
試料の概略構成断面図であり、(b)は、本発明に対す
る比較のための試料の概略構成断面図である。
【図4】図3(a)に示した試料の室温での磁気特性を
表すヒステリシスループである。
【図5】上記磁気記録媒体の保持力の温度依存性を表す
グラフである。
【図6】図3(b)に示した試料の室温での磁気特性を
表すヒステリシスループである。
【図7】図3(a)に示した試料の厚さ方向での軽元素
をSIMSにて分析した結果を示すグラフである。
【図8】図3(b)に示した試料の厚さ方向での軽元素
をSIMSにて分析した結果を示すグラフである。
【図9】アモルファス合金膜を積層した場合と単層の場
合における磁気記録媒体の残留磁化の膜厚依存性を表す
グラフである。
【図10】アモルファス合金膜を積層した場合と単層の
場合における磁気記録媒体の保持力の膜厚依存性を表す
グラフである。
【図11】熱磁気プリンタの画像形成部における他の構
成を示す概略構成図である。
【図12】本発明の磁気ドラムからなる磁気記録媒体の
製造方法を示す説明図である。
【図13】磁気記録媒体の磁化方向を示すものであっ
て、(a)は、磁化の方向が面内磁化方式の場合を示
し、(b)は、垂直磁化方式の場合を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 ドラムベース(基体) 2 磁気記録媒体 2a アモルファス合金膜 3 保護膜 4 磁気ドラム(磁気潜像担持体) 21 フィルムシート(基体) 22 磁気記録媒体 24 磁気ベルト(磁気潜像担持体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−297433(JP,A) 特開 昭59−53855(JP,A) 特開 昭59−216147(JP,A) 特開 昭60−125948(JP,A) 特開 昭62−100767(JP,A) 特開 平6−348179(JP,A) 特開 昭62−289946(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 19/00 G03G 5/16

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁化方向が表面と平行であり、所定温度で
    加熱することにより保磁力を低下させると共に、外部磁
    界が印加されることにより磁気潜像を形成する磁気記録
    媒体において、 希土類金属と遷移金属とからなるアモルファス合金膜が
    複数層積層されてなることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】上記各アモルファス合金膜は、それぞれが
    同一組成からなることを特徴とする請求項1記載の磁気
    記録媒体。
  3. 【請求項3】上記アモルファス合金膜は、0.1μmか
    ら1.0μmの範囲の厚みに設定されていることを特徴
    とする請求項1または2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】上記アモルファス合金膜の積層界面におい
    て、炭素、窒素、酸素、水素、フッ素、アルゴンの各元
    素のうち少なくとも1種類の元素濃度が、磁気記録媒体
    内の積層界面以外における上記の各元素の濃度よりも高
    く設定されていることを特徴とする請求項1、2、また
    は3記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】磁化方向が表面と平行であり、所定温度で
    加熱することにより保磁力を低下させると共に、外部磁
    界が印加されることにより磁気潜像を形成する磁気記録
    媒体の製造方法において、 希土類金属と遷移金属とからなるアモルファス合金を、
    蒸着法やスパッタ法等の真空薄膜形成方法によって所定
    の膜厚に形成すると共に、膜形成を途中で少なくとも1
    回中断することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】アモルファス合金膜の形成を途中で中断し
    たときの雰囲気圧力を、0.001Paから10Paの
    範囲に設定することを特徴とする請求項5記載の磁気記
    録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】アモルファス合金膜の形成を途中で中断し
    たときに、形成途中の膜表面が、酸素、窒素、水素、ア
    ルゴン、フッ化炭素、二酸化炭素、炭化水素の各ガスの
    うち少なくとも1種類のガスと接触することを特徴とす
    る請求項5または6記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】上記形成途中の膜表面に酸素、窒素、水
    素、アルゴン、フッ化炭素、二酸化炭素、炭化水素の各
    ガスのうち少なくとも1種類のガスが接触しているとき
    の雰囲気圧力を、0.001Paから10Paの範囲に
    設定することを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体
    の製造方法。
  9. 【請求項9】アモルファス合金膜の形成を途中で中断し
    たときに、形成途中の膜を加熱することを特徴とする請
    求項5から8の何れかに記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】アモルファス合金膜を積層する際に、膜
    表面と平行に磁界を印加することを特徴とする請求項5
    から9の何れかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】基体上に、磁気潜像を記録する磁気記録
    媒体が形成された磁気潜像担持体を有する磁気印写装置
    において、 上記磁気記録媒体は、希土類金属と遷移金属とからなる
    アモルファス合金膜が複数層積層されてなると共に、積
    層界面において、炭素、窒素、酸素、水素、フッ素、ア
    ルゴンの各元素のうち少なくとも1種類の元素濃度が、
    磁気記録媒体内の積層界面以外における上記の各元素の
    濃度よりも高く設定されていることを特徴とする磁気印
    写装置。
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