JPH11195254A - 磁気光学記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気光学記録媒体およびその製造方法

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JPH11195254A
JPH11195254A JP36122297A JP36122297A JPH11195254A JP H11195254 A JPH11195254 A JP H11195254A JP 36122297 A JP36122297 A JP 36122297A JP 36122297 A JP36122297 A JP 36122297A JP H11195254 A JPH11195254 A JP H11195254A
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JP
Japan
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film
magneto
thin film
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optical recording
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JP36122297A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Takamori
信之 高森
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Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CN比を実用レベルで維持することが可能
で、耐久性試験後のエラーの発生を抑制するとともに、
より安価に製作し得る磁気光学記録媒体およびその製造
方法を提供する。 【解決手段】 基板1の上に、膜面に垂直な磁化容易軸
を有する非晶質希土類−遷移金属合金薄膜としての非晶
質磁性薄膜3を有する。上記非晶質磁性薄膜3は、希土
類合金膜であるTbDy層7と遷移金属合金膜であるF
eCo層8とが交互に繰り返して積層された多層膜から
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光により情
報の記録、再生、消去を行う磁気光学記録媒体およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高密度・大容量・高速アクセス等
の種々の要求を満足し得る光メモリ装置の研究開発が活
発に推進されている。このような光メモリ装置では、磁
気光学記録媒体として、例えば3.5インチ光磁気ディ
スクが用いられる。この3.5インチ光磁気ディスクの
ISO規格における記録容量は、当初128MB(IS
O 10090)であったものが、230MB(ISO
13963)や640MB(ISO 15041)に
増大している。即ち、磁気光学記録媒体の記録密度が当
初から2倍、5倍となり、大容量化、高密度化が進んで
いる。
【0003】今後も、上記磁気光学記録媒体の記録・再
生等に用いられる半導体レーザの短波長化に伴い、該磁
気光学記録媒体の記録密度の高密度化が進む状況にあ
る。
【0004】このような状況の中で磁気光学記録媒体に
用いられる記録膜に求められる性能はさらに高くなり、
高い信号対雑音比(CN比:Carrier-to-noise ratio)
が求められる。
【0005】そこで、高いCN比が得られるように、磁
気光学記録媒体として、特に、膜面に垂直な磁化容易軸
を有する磁性体膜を用いた磁気光学磁性薄膜が提案され
ている。
【0006】この磁気光学磁性薄膜として、従来よりM
nBi、MnCuBi等の多結晶薄膜、GdTbFeC
o、TbFeCo、TbDyFeCo、DyFeCo、
GdTbFe、GdDyFe、GdFeCo、TbF
e、DyFe、GdFe、GdCo等の非晶質薄膜、G
IGに代表される化合物単結晶薄膜等が知られている。
【0007】これらの磁気光学磁性薄膜のうち、大面積
の薄膜を室温近傍において製作できる実用性を備え、ま
た、実用的な半導体(GaAlAs)レーザ等により書
込み・読出し可能であるという理由から、上記の非晶質
薄膜が磁気光学磁性薄膜に適していると考えられてい
る。
【0008】ここで、以下の表1に非晶質薄膜と性能指
数としてのカー回転角(度)との関係を示す。
【0009】
【表1】
【0010】表1に示すように、TbFeCo、GdF
eCoがカー回転角が大きく、これらの非晶質薄膜が磁
気光学磁性薄膜に好適に使用されることが分かる。
【0011】上述したように、記録密度の点でも大容量
化が進み、ISO規格の3.5インチの光磁気ディスク
では、記録容量が640MBと第1世代の5倍の容量に
発展している。このような記録容量が640MBの3.
5インチ光磁気ディスクでは、書き込みビット長さ(記
録ビット長さ)が0.65μm程度である。この書込み
ビット長さで最もCN比の高い組成の非晶質薄膜は、T
bFeCoがある。これは、TbFeCoの垂直磁気異
方性エネルギーが大きいためである。
【0012】また、高密度に情報を記録するために、カ
ー回転角が大きいことだけでなく、書込み磁場を小さく
するような組成、即ち垂直磁気異方性エネルギーが大き
くなるような組成の非晶質薄膜が必要とされている。
【0013】以下の表2に磁気光学磁性薄膜の垂直磁気
異方性エネルギー(Ku)およびCN比の関係を示す。
【0014】
【表2】
【0015】表2に示すように、GdFeCoよりもカ
ー回転角の小さいTbFeCoの方が垂直磁気異方性エ
ネルギーが高く、CN比も高くなっており、CN比を高
めるためには、表1に示したカー回転角よりも垂直磁気
異方性エネルギーが大きいことが必要であることが分か
る。即ち、CN比を高めるためには、カー回転角の大き
さよりも垂直磁気異方性エネルギーの大きさの方が支配
的であることが分かる。
【0016】ところが、Tb(テルビウム)は、希土類
の中で最も高価であることから、磁気光学磁性薄膜とし
てTbFeCoを使用すれば、磁気光学記録媒体の価格
が高くなるという問題が生じ、また、磁気光学磁性薄膜
として低コストで比較的垂直磁気異方性エネルギーの大
きいDyFeCoを使用した磁気光学記録媒体では、C
N比が小さくなるという問題が生じている。
【0017】そこで、CN比を実用レベルに維持し、価
格を抑えるために、DyFeCoにTbを加えたTbD
yFeCoの四元系合金からなる磁気光学磁性薄膜を使
用した磁気光学記録媒体が提案されてている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところが、記録磁場感
度を高めるために、TbDyFeCoの組成は、保磁力
が5kOe以下となるように設定されている。このた
め、磁気光学記録媒体に対する106 回程度の記録再生
消去サイクルを行う耐久性試験を行った後では、多数の
エラーが発生するという問題が生じている。
【0019】本発明は、上記の問題点に鑑みなされたも
のであって、その目的は、CN比を実用レベルで維持す
ることが可能で、耐久性試験後のエラーの発生を抑制す
るとともに、より安価に製作し得る磁気光学記録媒体お
よびその製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本願発明者は、希土類合金膜と遷移金属合金膜と
が交互に繰り返して積層された多層膜を磁気光学磁性薄
膜として使用すれば、磁気光学記録媒体における垂直磁
気異方性エネルギーが向上し、さらに高いCN比が得ら
れることを見い出した。
【0021】そこで、請求項1の磁気光学記録媒体は、
上記の課題を解決するために、基板の上に、膜面に垂直
な磁化容易軸を有する非晶質磁性薄膜を有する磁気光学
記録媒体において、上記非晶質磁性薄膜は、希土類合金
膜と遷移金属合金膜とが交互に繰り返して積層された多
層構造であることを特徴としている。
【0022】上記の構成によれば、非晶質磁性薄膜が、
希土類合金と遷移金属合金とが交互に繰り返して積層さ
れた多層構造であることで、垂直磁気異方性を向上させ
ることができると共に、CN比を向上させることができ
る。
【0023】また、垂直磁気異方性を向上させることが
できると共に、CN比を向上させるためには、希土類合
金と遷移金属との膜厚が、請求項2の磁気光学記録媒体
のように、それぞれ30Å以下で積層されることが望ま
しい。
【0024】また、請求項3の磁気光学記録媒体のよう
に、希土類合金と遷移金属との双方の厚さの和が30Å
以下となるように設定しても、CN比を向上させること
ができる。
【0025】また、希土類合金と遷移金属合金として
は、請求項4の磁気光学記録媒体のように、TbDy,
NdDy,GdDy合金等のTb,Dy,Nd,Gd,
Pr,Pm,Sm,Eu,Ho,Erの中で少なくとも
2種類の金属からなる希土類合金、また、FeCo合金
等のFe,Co,Ni,Crの中で少なくとも2種類の
金属からなる遷移金属合金とが好適に用いられる。
【0026】さらに、磁気光学磁性薄膜としては、CN
比を実用レベルに維持し、価格を抑えるために、DyF
eCoにTbを加えたTbDyFeCoが用いられる。
そして、請求項5の磁気光学記録媒体のように、TbD
yFeCoの組成を以下の式、 Tbx Dyy (Fe1-z Coz 1-(x+y) で表し、上記x、yおよびzが、0<x≦0.12、0
<y≦0.12および0<z≦0.30の範囲にあると
き、上記xおよびyの条件が、0.25≦x/(x+
y)であることで、CN比が飽和状態となる。このと
き、磁気光学磁性薄膜は、希土類合金膜としてのTbD
y合金膜と、遷移金属合金としてのFeCo合金膜との
積層構造となっている。これにより、上記条件でのTb
DyFeCo薄膜は、高価なTbの使用量を、CN比を
実用レベルに維持するための必要最小限にすることがで
きるので、効果的な低コストの組成となっている。
【0027】また、上記のTbDyFeCo薄膜の製造
方法としては、例えば請求項6の磁気光学記録媒体の製
造方法のように、基板の上に、膜面に垂直な磁化容易軸
を有する非晶質磁性薄膜を有する磁気光学記録媒体の製
造方法において、基板の上に、希土類合金ターゲットと
遷移金属合金ターゲットとにより交互に繰り返しスパッ
タリングして希土類合金膜と遷移金属膜とを積層して非
晶質磁性薄膜を形成する方法がある。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
【0029】本実施の形態の光磁気ディスク(磁気光学
記録媒体)は、図2に示すように、ガラス、ポリカーボ
ネイト等の光学的に透明な材料からなる基板1の片面
に、光磁気記録膜6と、保護コーティング膜5とが設け
られた構造となっている。
【0030】上記光磁気記録膜6は、情報の記録層とな
り、基板1側から、順次、AlNからなる誘電体膜(膜
厚100nm)2、TbDyFeCoからなる非晶質磁
性薄膜(膜厚30nm)3、AlNからなる誘電体膜
(膜厚30nm)2、およびAlからなる反射膜(膜厚
50nm)4の4層が積層された構成となっている。
【0031】上記の非晶質磁性薄膜3は、膜面に垂直な
磁化容易軸を有する非晶質テルビウム・ディスプロシウ
ム・鉄・コバルト四元系合金薄膜(以下、TbDyFe
Co合金薄膜と称する)からなり、図1に示すように、
希土類合金膜であるTbDy層7(層厚6.7Å)と遷
移金属合金膜であるFeCo層8(層厚11.5Å)と
が交互に繰り返し積層された多層膜からなっている。
【0032】したがって、非晶質磁性薄膜3は、上記の
ようにTbDy層7とFeCo層8とが交互に繰り返し
積層されることによって、膜厚方向に対してTbDyF
eCo合金薄膜のTbDyリッチ層とFeCoリッチ層
とが交互に現れるようになっている。
【0033】ここで、TbDyFeCo合金薄膜の組成
を以下の式、 Tbx Dyy (Fe1-z Coz 1-(x+y) で表したとき、上記x、yおよびzが、0<x≦0.1
2、0<y≦0.12、0<z≦0.30の範囲であれ
ば、磁化を安定して膜面に垂直な方向に向かわせること
ができる。尚、上記zが0.3<zであれば、キュリー
温度または補償温度の組成依存性が大きくなり、実用的
でなくなり、また、xおよびyが上記の範囲外となれ
ば、磁化を膜面に垂直な方向に安定して向かわせること
が困難となり、実用的な記録再生特性を得ることができ
ないことになる。
【0034】そして、Tbx Dyy (Fe1-z Coz
1-(x+y) のx、yおよびzを上記の範囲とし、TbDy
FeCo合金薄膜の組成を(Tbx Dyy 0.215 (F
1-Z CoZ 0.785 としたとき、直流スパッタ装置に
おいて、TbDyターゲットとFeCoターゲットとの
2次元同時スパッタリングを行い、Tb量x、Dy量
y、Co量zを変えてCN比を測定した結果を表3およ
び図4に示す。
【0035】尚、x/(x+y)は、TbDy合金中の
Tb量の割合を示している。また、zは、TbDyFe
Co合金薄膜の各組成において、キュリー温度が200
℃となるように調整されている。
【0036】
【表3】
【0037】表3および図4に示すように、Tb量の割
合とCN比との関係は、必ずしも線形ではなく、x/
(x+y)が0.25位よりCN比が飽和状態に近くな
るような非線形となっている。これにより、x/(x+
y)が、少なくとも0.25あれば、実用レベルのCN
比とすることができることが分かる。即ち、TbDy中
にTbが少なくとも25%含まれていれば、実用レベル
のCN比とすることができることが分かる。
【0038】したがって、CN比を実用レベルとするた
めのTbDyFeCo合金薄膜におけるTbの最低含有
率が分かり、この結果、低価格でかつCN比の大きい磁
気光学記録媒体を製作することが可能となる。
【0039】また、上記の組成のTbDyFeCo合金
薄膜を用いた磁気光学記録媒体では、室温での保磁力が
6kOe以上となっているので、106 回の記録再生消
去サイクル耐久性試験を行った後でのエラーの増加を無
くすことができる。
【0040】また、上記誘電体膜2、反射膜4は、例え
ば図示しない真空装置を用いたスパッタ法や蒸着法等に
よって形成されるが、上記非晶質磁性薄膜3は、例えば
図3に示す自公転スパッタ装置9によって形成される。
【0041】上記自公転スパッタ装置9は、図3に示す
ように、筐体状のスパッタ室10内に、基板1上に誘電
体膜2が形成された基体11を複数枚セットするパレッ
ト12と、TbDyターゲット13と、FeCoターゲ
ット14とを備えた構成となっている。
【0042】上記のパレット12は、図示しない駆動手
段により、支軸12aを中心に矢印X方向に回転され、
このとき、このパレット12上にセットされた基体11
は矢印Y方向に回転される。即ち、パレット12は支軸
12aを中心に自転し、基体11は公転する。
【0043】また、TbDyターゲット13とFeCo
ターゲット14とは、上記パレット12にセットされた
基体11の対角線上に相当する部位にそれぞれ配設され
ている。これにより、基体11がパレット12の自転に
よってTbDyターゲット13に対向する位置まで移動
したときTbDy層がスパッタリングされ、さらに、F
eCoターゲット14に対向する位置まで移動したとき
FeCo層がスパッタリングされる。
【0044】即ち、上記非晶質磁性薄膜3は、基板1上
に誘電体膜2が形成された基体11に対して、TbDy
ターゲット13としてTb50Dy50ターゲットを使用
し、FeCoターゲット14としてFe82Co18ターゲ
ットを使用し、これら各ターゲット13・14を同時に
放電しながら基体11を、公転スピード約30rpmで
矢印X方向に回転させるとともに、自転させ、約42秒
間2元同時スパッタリングを行い、膜厚方向にTbDy
層7とFeCo層8とを交互に繰り返し積層して形成さ
れる。これにより、積層数は、TbDy層7が15層、
FeCo層8が15層となり、非晶質磁性薄膜3として
30層の多層膜となった。
【0045】上記のように製造した多層膜のTbDyF
eCo合金薄膜を使用した磁気光学記録媒体と、Tb、
Dy、Fe、Coが均一に混合されたTbDyFeCo
合金薄膜を使用した磁気光学記録媒体に対して、垂直磁
気異方性エネルギー(Ku)およびCN比を測定した。
この結果を表4に示す。但し、各合金薄膜の組成は同一
とし、この場合、(Tb0.50Dy0.500.215 (Fe
0.82Co0.180.785 として測定を行った。
【0046】
【表4】
【0047】表4に示すように、多層膜のTbDyFe
Co合金薄膜(TbDy/FeCo多層膜)は、均一に
混合されたTbDyFeCo合金薄膜よりもKuが大き
く、CN比も高くなることが分かる。これによって、T
bDyFeCo合金薄膜からなる非晶質磁性薄膜3を、
膜厚方向に対してTbDyリッチ層とFeCoリッチ層
とが交互に現れる多層膜とすることで、Kuを向上させ
ることができることが分かる。
【0048】また、多層膜のTbDyFeCo合金薄膜
と、均一に混合されたTbDyFeCo合金薄膜とのC
N比を比べると、図6(a)(b)に示すようになる。
ここでは、多層膜のTbDyFeCo合金薄膜を積層膜
とし、均一に混合されたTbDyFeCo合金薄膜を合
金ターゲット膜として説明する。グラフにおけるTb含
有率とは、上述したTbDy合金中のTb量の割合を示
している。
【0049】上記合金ターゲット膜および積層膜は、上
述した直流スパッタ装置を用いて、Tbの含有率毎に作
成するものとする。つまり、上記の合金ターゲット膜
は、TbDyFeCo合金をターゲットとして用いて、
膜厚が300Å程度になるまで成膜して作成し、上記の
積層膜は、TbDyターゲットとFeCoターゲットと
を用いて、TbDy層を6.7Åの層厚、FeCo層を
11.5Åの層厚で順次積層し、膜厚が300Å程度に
なるまで積層成膜して作成する。また、直流スパッタ装
置において、各ターゲットとして直径rが24mm,4
0mmの2種類のものを使用し、それぞれについてTb
含有率とCN比との関係を調べ、それを表したのが図6
(a)(b)のグラフとなる。
【0050】図6(a)(b)に示すグラフから、合金
ターゲット膜と積層膜ともにTb含有率が高くなるにつ
れてCN比が高くなっていることが分かる。
【0051】しかしながら、積層膜の実験値1のTb含
有率50%のときのCN比と、合金ターゲット膜のTb
含有率50%のときのCN比とを比較すると、ターゲッ
トの直径rが24,40の何れの場合であっても積層膜
の方がCN比が高くなっている。また、積層膜の実験値
2のTb含有率100%のときのCN比と、合金ターゲ
ット膜のTb含有率100%のときのCN比とを比較す
ると、この場合もターゲットの直径rが24,40の何
れの場合であっても積層膜の方がCN比が高くなってい
る。
【0052】これにより、同一組成であれば、TbDy
層とFeCo層との多層膜である積層膜の方が均一に混
合されたTbDyFeCo合金薄膜である合金ターゲッ
ト膜よりもCN比が高くなる傾向にあることが分かる。
【0053】以上のことから、TbDyFeCo合金薄
膜が、TbDy層とFeCo層との多層膜であり、その
組成式が、Tbx Dyy (Fe1-z Coz 1-(x+y)
表し、上記x、yおよびzが、0<x≦0.12、0<
y≦0.12、0<z≦0.30の範囲であるとき、上
記xおよびyの条件が、0.25≦x/(x+y)であ
れば、最小限のTb量で、CN比を実用レベルに保ち、
製作費を安価にし、しかも耐久性試験においても良好な
結果を示す磁気光学記録媒体を提供することができるこ
とが分かる。
【0054】また、TbDyFeCo合金薄膜の積層数
であるが、概ね20層程度、即ちTbDy層7が10
層、FeCo層8が10層程度であれば、均一に混合さ
れたTbDyFeCo合金薄膜よりも垂直磁気異方性エ
ネルギーを向上させることができることが分かってい
る。尚、積層数が20層よりも少なければ、均一に混合
されたTbDyFeCo合金薄膜との垂直磁気異方性エ
ネルギーの差異はほとんど認められない。
【0055】また、TbDy層7およびFeCo層8の
膜厚は、それぞれ30Å以下であれば、垂直磁気異方性
エネルギーを向上させることができることが分かってい
る。
【0056】したがって、本実施の形態では、TbDy
FeCo合金薄膜を、TbDy層7とFeCo層8とが
交互に積層して30層としているが、積層数はこれに限
定するものではなく、上記のことから少なくとも20層
以上であれば良い。
【0057】また、CN比は、TbDy層7とFeCo
層8とを1層ずつ合わせた膜厚(周期膜厚)に依存して
おり、図7に示すように、周期膜厚が30Å以下であれ
ば、良好な値を示すことが分かる。尚、図7では、積層
膜をスパッタリングする際のターゲットの直径rを24
mmとしている。
【0058】以上のことから本実施の形態では、TbD
y6.7Å、FeCo11.5Åにしているが、これに
限定するものではなく、図7に示すグラフから分かるよ
うに、双方(TbDy層7とFeCo層8とを1層ず
つ)合わせた膜厚が30Å以下となるように各層の厚み
を設定すれば良い。
【0059】また、垂直磁気異方性エネルギー(Ku)
と記録ビット長さの分布との関係について、表5および
図5に示す。但し、平均ビット長さは650nmとし、
Ku=4.5×105 (erg/cm3 )は、DyFe
Co合金薄膜、Ku=6.0×105 (erg/c
3 )は、TbDyFeCo合金薄膜(均一混合)、K
u=6.3×105 (erg/cm3 )は、TbDyF
eCo合金薄膜(TbFeCo層とDyFeCo層との
多層膜)、Ku=6.8×105 (erg/cm3
は、TbDyFeCo合金薄膜(TbDy層とFeCo
層との多層膜)とする。
【0060】
【表5】
【0061】表5に示すように、Kuが大きくなると、
記録ビット長さの標準偏差が小さくなり、Kuが小さく
なると、記録ビット長さの標準偏差が大きくなることが
分かる。即ち、図5(a)に示すように、Kuが4.5
×105 erg/cm3 以下であれば、記録ビット長さ
の分布が図中の破線の領域まで広がり、一方、図5
(b)に示すように、Kuが6.3×105 erg/c
3 以上であれば、記録ビット長さの分布が小さくなる
ことが分かる。
【0062】したがって、Ku=6.8×105 (er
g/cm3 )であるTbDy層とFeCo層との多層膜
からなる非晶質磁性薄膜3を用いた磁気光学記録媒体で
は、十分に記録ビット長さの分布が小さく、均一になる
ことが分かる。
【0063】また、前記の表2および表4に示したよう
に、一般にKuが大きくなるとCN比も大きくなると考
えられ、上記のことからKuが大きくなると記録ビット
長さの分布が均一となることが分かっているので、記録
ビット長さの分布が均一化されると、CN比も向上する
と考えられる。また、記録ビット長さの分布が均一化さ
れると、記録密度も向上させることができる。
【0064】よって、Kuの大きいTbDy層とFeC
o層との多層膜のTbDyFeCo合金薄膜を非晶質磁
性薄膜3として使用することで、磁気光学記録媒体の記
録密度を向上させることができ、この結果、CN比を大
きくすることができる。
【0065】尚、本実施の形態では、希土類合金として
TbDy合金を用いると共に、遷移金属合金としてFe
Co合金を用いたが、これに限定するものではない。上
述したように、希土類合金膜と遷移金属合金膜とが交互
に繰り返して積層された多層膜を磁気光学磁性薄膜とし
て使用すれば、磁気光学記録媒体における垂直磁気異方
性エネルギーが向上し、さらに高いCN比が得られるこ
とから、他の希土類合金と遷移金属合金とを積層した磁
気光学磁性薄膜を使用しても良い。
【0066】したがって、希土類合金としては、TbD
y,NdDy,GdDy合金等のTb,Dy,Nd,G
d,Pr,Pm,Sm,Eu,Ho,Erの中で少なく
とも2種類以上の金属からなるものを使用し、遷移金属
としては、FeCo合金等のFe,Co,Ni,Crの
中で少なくとも2種類以上の金属からなるものを使用す
れば良い。
【0067】
【発明の効果】請求項1の発明の磁気光学記録媒体は、
以上のように、基板の上に、膜面に垂直な磁化容易軸を
有する非晶質磁性薄膜を有する磁気光学記録媒体におい
て、上記非晶質磁性薄膜は、希土類合金膜と遷移金属合
金膜とが交互に繰り返して積層された多層膜構造であ
る。
【0068】それゆえ、単純に非晶質希土類−遷移金属
合金を合金にした磁化膜に比べて、垂直磁気異方性を向
上させることができると共に、CN比を向上させること
ができるという効果を奏する。
【0069】請求項2の発明の磁気光学記録媒体は、以
上のように、請求項1の構成に加えて、希土類合金膜と
遷移金属合金膜とは、それぞれ30Å以下の厚みで積層
されている構成である。
【0070】それゆえ、請求項1の構成による効果に加
えて、さらに、垂直磁気異方性を向上させることができ
ると共に、CN比を向上させることができるという効果
を奏する。
【0071】また、請求項3の発明の磁気光学記録媒体
は、以上のように、請求項1の構成に加えて、希土類合
金膜と遷移金属合金膜との厚さの和が30Å以下である
構成である。
【0072】それゆえ、請求項1の構成による効果に加
えて、さらに、CN比を向上させることができるという
効果を奏する。
【0073】さらに、上記希土類合金と遷移金属合金と
しては、請求項4の発明の磁気光学記録媒体は、以上の
ように、請求項1,2または3の構成に加えて、希土類
合金は、TbDy,NdDy,GdDy合金等のTb,
Dy,Nd,Gd,Pr,Pm,Sm,Eu,Ho,E
rの中で少なくとも2種類の金属からなると共に、遷移
金属合金は、FeCo合金等のFe,Co,Ni,Cr
の中で少なくとも2種類の金属からなることが望まし
い。
【0074】請求項5の発明の磁気光学記録媒体は、以
上のように、請求項1ないし4の何れかの構成に加え
て、非晶質希土類−遷移金属合金薄膜が、非晶質テルビ
ウム・ディスプロシウム・鉄・コバルト四元系合金薄膜
であり、その組成を以下の式、 Tbx Dyy (Fe1-z Coz 1-(x+y) で表し、上記x、yおよびzが、0<x≦0.12、0
<y≦0.12および0<z≦0.30の範囲にあると
き、上記xおよびyの条件が、0.25≦x/(x+
y)である構成である。
【0075】例えば、上記非晶質テルビウム・ディスプ
ロシウム・鉄・コバルト四元系合金薄膜は、請求項6の
発明の磁気光学記録媒体の製造方法のように、基板の上
に、TbDyターゲットとFeCoターゲットとにより
交互に繰り返しスパッタリングしてTbDy層とFeC
o層とを積層して上記四元系合金薄膜を形成する構成で
ある。
【0076】それゆえ、CN比を実用レベルに維持し、
高価なTbの使用量を必要最小限にすることができ、こ
の結果、効果的な低コストの組成の磁気光学記録媒体を
提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の磁気光学記録媒体の非
晶質磁性薄膜の概略構成図である。
【図2】図1に示す非晶質磁性薄膜を有する磁気光学記
録媒体の概略構成図である。
【図3】図1に示す非晶質磁性薄膜を形成する自公転ス
パッタ装置の概略構成図である。
【図4】非晶質磁性薄膜のTbの含有率とCN比との関
係を示すグラフである。
【図5】垂直磁気異方性エネルギー(Ku)と記録ビッ
ト形状との相関を示すものであって、同図(a)はKu
が4.5×105 erg/cm3 以下の場合の記録ビッ
ト形状を示す説明図であり、同図(b)はKuが6.3
×105 erg/cm3以上の場合の記録ビット形状を
示す説明図である。
【図6】合金ターゲット膜と積層膜とのCN比の比較を
示すものであって、同図(a)は合金ターゲット膜のT
b含有率とCN比との関係を示すグラフであり、同図
(b)は積層膜のTb含有率とCN比との関係を示すグ
ラフである。
【図7】CN比と周期膜厚との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 基板 3 非晶質磁性薄膜 7 TbDy層 8 FeCo層 13 TbDyターゲット 14 FeCoターゲット

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板の上に、膜面に垂直な磁化容易軸を有
    する非晶質磁性薄膜を有する磁気光学記録媒体におい
    て、 上記非晶質磁性薄膜は、希土類合金膜と遷移金属合金膜
    とが交互に繰り返して積層された積層構造であることを
    特徴とする磁気光学記録媒体。
  2. 【請求項2】上記希土類合金膜と遷移金属合金膜とは、
    それぞれ30Å以下の厚みで積層されていることを特徴
    とする請求項1記載の磁気光学記録媒体。
  3. 【請求項3】上記希土類合金膜と遷移金属合金膜との厚
    さの和が30Å以下であることを特徴とする請求項1記
    載の磁気光学記録媒体。
  4. 【請求項4】上記希土類合金は、TbDy,NdDy,
    GdDy合金等のTb,Dy,Nd,Gd,Pr,P
    m,Sm,Eu,Ho,Erの中で少なくとも2種類の
    金属からなると共に、 上記遷移金属合金は、FeCo合金等のFe,Co,N
    i,Crの中で少なくとも2種類の金属からなることを
    特徴とする請求項1,2または3記載の磁気光学記録媒
    体。
  5. 【請求項5】上記非晶質磁性薄膜が、非晶質テルビウム
    ・ディスプロシウム・鉄・コバルト四元系合金薄膜であ
    り、その組成を以下の式、 Tbx Dyy (Fe1-z Coz 1-(x+y) で表し、上記x、yおよびzが、0<x≦0.12、0
    <y≦0.12および0<z≦0.30の範囲にあると
    き、 上記xおよびyの条件が、0.25≦x/(x+y)で
    あることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載
    の磁気光学記録媒体。
  6. 【請求項6】基板の上に、膜面に垂直な磁化容易軸を有
    する非晶質磁性薄膜を有する磁気光学記録媒体の製造方
    法において、 基板の上に、希土類合金ターゲットと遷移金属合金ター
    ゲットとにより交互に繰り返しスパッタリングして希土
    類合金膜と遷移金属膜とを積層して非晶質磁性薄膜を形
    成することを特徴とする磁気光学記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1400956A2 (en) * 2002-09-18 2004-03-24 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetic recording medium, method for producing the same and magnetic recording/reproducing apparatus

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1400956A2 (en) * 2002-09-18 2004-03-24 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetic recording medium, method for producing the same and magnetic recording/reproducing apparatus
EP1400956A3 (en) * 2002-09-18 2007-05-23 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetic recording medium, method for producing the same and magnetic recording/reproducing apparatus

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