JP3253455B2 - 積層樹脂フィルム - Google Patents

積層樹脂フィルム

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JP3253455B2 JP16967894A JP16967894A JP3253455B2 JP 3253455 B2 JP3253455 B2 JP 3253455B2 JP 16967894 A JP16967894 A JP 16967894A JP 16967894 A JP16967894 A JP 16967894A JP 3253455 B2 JP3253455 B2 JP 3253455B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粘着性、耐熱性、カッ
ト性、風合いに優れた食品包装用ラップフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】食品包装用ラップフィルムは、一般家
庭、レストラン等で食品をくるんで冷蔵庫、冷凍庫に保
存、あるいは電子レンジ(マイクロウェーブ調理器)で
加熱するのに用いられている。また、ラーメン、そば、
スープ等の出前にも中身の入った食器の上をラップする
ことにも用いられる。ここで食品をラップするのは、食
品の乾燥防止(水分飛散防止)、塵埃侵入防止、食器か
らの食品の飛び出しを防止するため等である。このよう
な食品包装用ラップフィルムは、幅20〜45cmで紙
管に20〜100m程度巻装され、紙製カートンボック
スに収納されており、この箱の側壁上端に装着されたノ
コギリ刃によって適宜必要量切断されて使用される。
【0003】このラップフィルムとしては次の〜の
ことが要求される。 内容物が透視できること。 カートンボックスより手で引き戻す際、小片にちぎ
れないこと。 粘着性があること。 電子レンジでの使用の際、フィルムが融解しない程
度の耐熱性を有すること。 ノコギリ刃でカットするときの引裂性が良好なこ
と。
【0004】現在、主に塩化ビニリデン系樹脂を用いた
ラップフィルムが使用されているが、切断の際、ノコギ
リ刃に沿って切断されずに斜めに切れてしまう欠点があ
り、さらに焼却時に有毒ガスを発生する環境問題等の面
より、代替品としてエチレン系樹脂によるものの開発が
活発に行なわれている。しかし、エチレン系樹脂製ラッ
プフィルムは、伸びやすく、引き裂きにくいため、切断
時にかなりの引張力を要し、フィルムをうまく切断でき
なかったり、カートンボックスが変形したりする。ま
た、電子レンジでの使用の際の耐熱性が劣ったり、フィ
ルムの腰強度が低く取り扱いにくい等の問題があり、こ
のため塩化ビニリデン系樹脂に代替し得ず、市場の一部
でしか使用されていない。
【0005】このカット性、耐熱性を満たすことが可能
なフィルムとして、特開昭57−96858号、特開昭
57−189850号公報にはプロピレン−エチレン共
重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン
−エチレン−ブテン−1共重合体とプロピレン単独重合
体との積層フィルムが提案されているが、これらの積層
フィルムは粘着性がなく、家庭用ラップフィルムとして
は使用できない。また、特開平1−195043号公報
にはエチレン−プロピレン共重合体、あるいは、エチレ
ン−プロピレン−ブテン−1共重合体の両表面に、直鎖
状低密度ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重
合体)を積層した熱収縮性フィルムが提案されている
が、このフィルムも粘着力が低く、電子レンジ等で熱を
かけるとフィルム同士が癒着し、作業性が悪く、家庭用
ラップフィルムとして使用するのは実用上困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、食品包装用
のラップフィルムにおける上述の問題に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、透明性を有すること
は勿論のこと、耐熱性、カット性、風合いに優れ、か
つ、粘着性が極めて優れたラップフィルムを提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、結晶性プロピ
レン系樹脂フィルム層(A)の両面に、エチレン1〜1
0重量%、プロピレン74〜96重量%および炭素数が
4〜8のα−オレフィン3〜25重量%とを共重合させ
て得た結晶性プロピレン系樹脂が51〜100重量%と
直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体が0〜49重
量%からなる樹脂フィルム層(B)を積層した積層樹脂
フィルムであって、前記(B)層は、
【0008】 削除
【0009】炭素数が12〜22の高級脂肪酸と脂肪族
多価アルコールとのエステルであって、少なくとも1個
のアルコール性水酸基を有する脂肪酸エステル(a2)
より選ばれた防曇剤を0.5〜15重量%含有する積層
樹脂フィルムをノコギリ刃を有するカートンボックスに
収納してなることを特徴とする家庭用食品包装用ラップ
フィルムを提供するものである。
【0010】結晶性プロピレン系樹脂層(A) (A)層の結晶性プロピレン系樹脂としては、プロピレ
ンの単独重合体、プロピレンを主成分とし、これとエチ
レン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ペン
テン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルペンテ
ン−1等のα−オレフィンとの二元系共重合体、また
は、プロピレンとエチレンとα−オレフィンの三元系共
重合体等が利用できる。これらは、MFRが1〜12g
/10分、結晶化度が40〜65%のものが好ましい。
中でも、耐熱性、風合いのバランスより、プロピレン単
独重合体またはプロピレン92〜99.5重量%とエチ
レン0.5〜8重量%のランダム共重合体であって、
(B)の結晶性プロピレン系樹脂よりもより高い結晶化
度を有するものが好ましい。
【0011】結晶性プロピレン系樹脂層(B) 結晶性プロピレン系樹脂からなる(A)層の両面に積層
される表裏層(B)用の結晶性プロピレン系樹脂として
は、ラップフィルムとしての粘着性と風合いを向上させ
る上で、エチレン1〜10重量%、プロピレン74〜9
6重量%および炭素数が4〜8のα−オレフィン3〜2
5重量%との共重合体が良い。好ましくは、エチレンが
1.5〜8重量%、ブテン−1が8〜17重量%、プロ
ピレンが75〜90.5重量%のランダム共重合体で、
メルトフローレート(JIS P−7210;230
℃、2.16kg荷重)が1〜12g/10分、Q値
(Mw/Mn)が3.5〜5、結晶化度が20〜55%
(X線法)、より好ましくは20〜40%のエチレン−
プロピレン−ブテン−1共重合体が良い。
【0012】このようなプロピレン系三元共重合体は、
特公昭55−6643号、特開昭50−79195号、
特開昭54−162785号公報に見受けられるよう
に、エチレン、プロピレンおよびα−オレフィンの混合
物を重合系に供給し、チーグラー・ナッタ触媒を用いて
ランダム共重合を行うことにより製造される。α−オレ
フィンとしてはブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−
1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン
−1が利用でき、これらは単独でまたは二種以上混合し
て用いられる。チーグラー・ナッタ型触媒は、周知のよ
うに遷移金属化合物成分と還元性金属化合物成分との組
合せから基本的になるものでその各種の改変剤をも含め
て周知のものである。
【0013】遷移金属化合物成分としては周期律表第IV
〜VI族遷移金属の化合物が一般に使用可能であるがそれ
らのうちでチタン化合物が好適である。該チタン化合物
としてはハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキ
シ化合物、アルコキシハロヘゲン化物等がある。具体的
な化合物としては四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ
化チタン、三塩化チタン、三臭化チタン、三ヨウ化チタ
ン、二塩化チタンなどのチタンハロゲン化合物があり、
特に三塩化チタンが好んで使用される。これらは、混合
して使用することもできる。
【0014】最高原子価以下の原子価の化合物は最高原
子価化合物を水素、金属、有機金属化合物、金属水素化
物等で還元することによってつくることができるとこ
ろ、還元剤および(または)還元方法如何によっては還
元剤の分解ないし変性化合物が共存することがあるが、
そのようなものを使用することもできる。具体的には、
例えば、四塩化チタンの金属アルミニウム還元によるT
iCl3 ・1/3AlCl3 がある。
【0015】還元性金属化合物成分としては周期律表第
I〜III 族金属の水素化物および有機金属化合物が適当
である。特に適当な化合物は、アルミニウムの水素化物
および下記一般式(II)の有機アルミニウム化合物であ
る。
【0016】
【化3】AlRn 3-n (II)
【0017】ここで、Rは炭化水素残基、特に炭素数8
程度以下のアルキル、シクロアルキル、アリール基、X
はハロゲン、nは1〜3の整数である。ハロゲンとして
は少なくとも経済上の理由から塩素が適当である。この
ようなアルミニウム化合物の具体例を挙げれば、トリア
ルキルアルミニウム(アルキル=メチル〜オクチル)、
ジアルキルアルミニウムクロリド、アルキルアルミニウ
ムセスキクロリド、アルキルアルミニウムジクロリド等
がある。これらは、混合して使用することもできる。こ
れら遷移金属化合物成分と還元性金属化合物成分との量
比は一般にチーグラー型触媒に採用されうる任意のもの
でありうる。具体的には、例えば、チタン化合物Aと有
機アルミニウム化合物Bとの組合せの場合には、B/A
モル比が0.5〜20程度、好ましくは1〜10であ
る。
【0018】前記二成分から基本的になるチーグラー型
触媒は、種々の改変剤によって改変することができるこ
とが知られている。このような改変剤の一つの例は電子
供与性化合物である。電子供与性化合物としては、酸無
水物、エステル、ケトン、アミン、グリコール、グリコ
ールエーテルなどがある。具体的には、例えばメタクリ
ル酸メチルなどである。共重合を行うに際し、不活性有
機溶剤、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭化水
素や、クロルベンゼン、塩化メチレン等のハロゲン化炭
化水素の存在下または不存在下、あるいは上記α−オレ
フィンなどの重合用単量体を溶剤とし、あるいは気相で
任意の温度、例えば0〜200℃程度の温度(好ましく
は30〜100℃)、および任意圧力例えば常圧〜10
0気圧程度の圧力(好ましくは常圧〜60気圧)で、分
子量調節剤例えば水素を使用しあるいは使用しないで実
施すればよい。かかる結晶性プロピレン系共重合体樹脂
は、三菱油化(株)より三菱ポリプロ“SPX440
0”“SPX4400G”の商品名で、住友化学工業
(株)より住友ノープレン“FL6316”の商品名で
販売されている。
【0019】プロピレン単独重合体では積層樹脂フィル
ムの粘着性が低く、また、剛性が高くなりすぎ、可撓性
が損なわれ、包まれる収納物とのフィット性が悪い。本
発明において、エチレン−プロピレン−αオレフィン共
重合体の、プロピレンに基づく構成単位が74重量%未
満では得られる樹脂がゴム様となり、成形が困難となる
と共に、フィルムの透明性が損なわれる。逆に96重量
%を超えると、粘着性発現が充分でなく、剛性が増し、
可撓性が損なわれる。
【0020】また、エチレンの構成単位含量が1重量%
未満ではこのプロピレン系三元共重合体のスラリー重合
が困難である。10重量%を超えては三元共重合体の結
晶性が低下し、フィルム成形性も困難で、またフィルム
の透明性が損なわれる。更に、プロピレン系三元重合体
におけるα−オレフィンの構成単位含量が3重量%未満
では、フィルムの剛性が高すぎて風合いが損なわれる。
一方、25重量%を超えてはフィルムの透明性が損なわ
れる。また、このプロピレン系樹脂のQ値(Mw/M
n)が3.5未満ではフィルム表面は平滑となるが、成
形時のネックインが大きくなり成形困難となる。逆に5
を超えると、成形時のネックインは小さくなるが、フィ
ルム表面が平滑とならず、粘着性発現が充分でない。
【0021】この(B)層の結晶性プロピレン系樹脂に
は、密度0.880〜0.935g/cm3 である直鎖
状エチレン−α−オレフィン(α−オレフィンの炭素数
は3〜8)共重合体を、積層樹脂フィルムの粘着性、柔
軟性向上の目的で49重量%以下、好ましくは5〜40
重量%配合してもよい。この直鎖状エチレン−α−オレ
フィン共重合体の配合量が49重量%を超える場合、電
子レンジ等で熱をかけるとフィルム同士が癒着し、作業
性が悪くなる。この直鎖状エチレン−α−オレフィン共
重合体としては、エチレンを主成分とし、これとブテン
−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテ
ン−1等のα−オレフィン3〜20重量%の1種または
2種以上との共重合体が利用できる。具体的には、エチ
レン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1−ヘ
キセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合
体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−4−
メチルペンテン−1共重合体等が挙げられる。
【0022】また、(B)層の結晶性プロピレン系樹脂
には、フィルムの透明性を損なわない範囲で、エチレン
−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含量は5〜25重量
%)、エチレン−アクリル酸共重合体(アクリル酸含量
は5〜20重量%)、エチレン−アクリル酸メチル共重
合体(アクリル酸メチル含量は5〜20重量%)、エチ
レン−メタクリル酸メチル共重合体、α−オレフィンと
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等からなる共重
合体の金属塩(Zn,Na,K,Li,Mg等)、密度
が0.890〜0.910g/cm3 、メルトインデッ
クスが0.1〜10g/10分の低密度ポリエチレン、
無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合
体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイ
ン酸グラフトポリプロピレン等を積層樹脂フィルムの粘
着性、柔軟性の向上の目的で40重量%以下、好ましく
は20重量%以下配合してもよい。この積層樹脂フィル
ムの(B)層には、粘着性、防曇性、可撓性、風合いを
付与するために、
【0023】 削除
【0024】炭素数が12〜22の高級脂肪酸と脂肪族
多価アルコールとのエステルであって、少なくとも1個
のアルコール性水酸基を有する脂肪酸エステル(a2)
より選ばれた防曇剤を0.5〜15重量%含有させる。
【0025】 削除
【0026】脂肪酸エステル(a2 )としては、グリセ
リン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、プロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等の多価アルコールと、オレイン酸、リノ
ール酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸とのエステル化合物
で、具体的には、モノグリセリンオレート、ポリグリセ
リンオレート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリ
セリンポリリシノレート、グリセリンモノ、ジ−リシノ
レート、グリセリンアセチルリシノレート、グリセリン
ジアセトモノラウレート、プロピレングリコールオレー
ト、プロピレングリコールラウレート、ペンタエリスリ
トールオレート、ポリエチレングリコールオレート、ポ
リプロピレングリコールオレート、ソルビタンオレー
ト、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソ
ルビタンオレート、ポリエチレングリコールソルビタン
ラウレート等が利用できる。中でも、ポリグリセリンポ
リリシノレート、ポリグリセリンオレート、グリセリン
ジアセトモノラウレート、ソルビタンオレートが好まし
い。
【0027】これら防曇剤の配合量が0.5重量%未満
では、充分な粘着性、柔軟性が得られず、逆に15重量
%を超えると多量のブリードにより積層樹脂フィルム外
観が悪化する。好ましくは、3〜12重量%である。ま
た、上述の添加剤を、(A)層にも(B)層と同様に
0.5〜15重量%配合してもよい。これら樹脂層
(A)、(B)には通常使用されるシリカ粉末等の核
剤、ブチル化ヒドロキシトルエン等の安定剤を0.01
〜1重量%配合してもよい。
【0028】積層樹脂フィルム 本発明の積層樹脂フィルムは、(A)層の肉厚が1〜1
0μm、好ましくは2〜5μm、(B)層の肉厚が各2
〜20μm、好ましくは2〜6μmであり、全体の肉厚
が7〜30μm、好ましくは8〜22μmの積層フィル
ムであって、霞み度(JIS−Z−6714)が5%以
下、好ましくは3%以下、エレメンドルフ引裂強度(J
IS−Z−1702)が縦、横方向共に0.5〜30k
g/cmであることが好ましい。積層樹脂フィルムの結
晶性プロピレン系樹脂フィルム層(A)の肉厚が1μm
未満では、耐熱性が不充分である。10μmを超えて
は、剛性が増し、可撓性、風合いが損われる。
【0029】この積層樹脂フィルムを製造する方法とし
ては、特に限定されるものではないが、次の様な方法に
より製造されるのが好ましい。複数の押出機を用いて各
層(A)、(B)を構成する樹脂を溶融混練して一台の
共押出ダイに供給し、該共押出ダイより多層フィルムを
共押出しし、積層フィルムを冷却固化する。その後、該
多層フィルムを延伸可能な温度域まで再加熱し、次いで
縦方向、横方向に少なくとも3倍以上延伸した後、これ
をアニーリングし、次いで冷却させる。延伸方法として
は、ロール群の周速差を利用する方法、マンドレル方
式、テンター方式、あるいはインフレーション方式とも
可能である。
【0030】
【実施例】次に実施例および比較例によって、この発明
を具体的に説明する。これらは何ら本発明を制約するも
のではない。 実施例1 プロピレン単独重合体樹脂〔密度0.90g/cm3
融点159℃、MFR2.3g/10分、結晶化度60
%;三菱油化(株)製、商品名「三菱ポリプロFL6C
K」〕(A)を、口径50mm、L/D25の押出機を
用いて250℃で混練し、三層T−ダイの中間層に導
き、一方、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム
共重合体樹脂〔プロピレン含量85.8重量%、エチレ
ン含量1.7重量%、ブテン−1含量12.5重量%、
密度0.89g/cm3 、MFR5g/10分、Q値
4.8、結晶化度30%;三菱油化(株)製、商品名
「三菱ポリプロ SPX4400G」〕94重量%、お
よびジグリセリンオレート〔理研ビタミン(株)製、商
品名「リケマール O−71−D」〕6重量%よりなる
樹脂組成物(B)を、口径65mm、L/D25の押出
機を用いて250℃で混練し、上記三層T−ダイの上下
表面層に供給し、中間層の厚み構成比率が4、上下表面
層の構成比率が各々3となるよう共押出しして3層フィ
ルムを成形した。その後、この3層フィルムを95℃に
加熱し、ロール群の周速差を利用して引取方向(縦方
向)に3倍延伸した後、再度95℃に加熱して、テンタ
ーを用いて横方向に6倍延伸し、100℃でアニーリン
グ処理して厚みが10μmの積層延伸フィルムを得た。
この積層延伸フィルムの物性を表2に示す。
【0031】比較例1 K社の市販の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの物
性を表2に示す。 比較例2 低密度ポリエチレン樹脂〔密度0.93g/cm3 、M
FR3g/10分、融点113℃;三菱油化(株)製、
商品名「三菱ポリエチ−LD ZH−51」〕98.5
重量%とグリセリンモノオレート〔理研ビタミン(株)
製、商品名「リケマール OL−100」〕1.5重量
%よりなる樹脂組成物を、口径が65mm、L/D25
の押出機を用いて180℃で混練し、Tダイでフィルム
の全厚みが13μmとなるよう押出し、冷却ロールで冷
却し単層フィルムを得た。この単層フィルムの物性を表
2に示す。
【0032】実施例2〜6、比較例3〜4 中間層、表面層用樹脂として表1の組成のものを用い、
かつ、押出温度を同表に示す条件で行い、肉厚構成と延
伸倍率は表2に示したように設定した外は実施例1と同
様にしてフィルム成形を行い積層樹脂フィルムを得た。
これら積層延伸フィルムの物性を表2に示す。なお、表
1中の成分の略号、表2中の評価方法は以下の通りであ
る。
【0033】プロピレン系樹脂 プロピレン単独重合体 FL−6CK;〔物性は実施例1に記載;三菱油化
(株)製、商品名〕 プロピレン−エチレンランダム共重合体 FX4;〔プロピレン含量が95.8重量%、エチレン
含量4.2重量%、密度0.89g/cm3 、MFR8
g/10分、結晶化度49%、融点140℃;三菱油化
(株)製、商品名〕 プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体 SPX4400;〔プロピレン含量88.7重量%、エ
チレン含量2.4重量%、ブテン−1含量9.3重量
%、密度0.89g/cm3 、MFR5g/10分、Q
値4.5、結晶化度35%;三菱油化(株)製、商品
名〕 SPX4400G;〔物性は実施例1に記載;三菱油化
(株)製、商品名〕
【0034】低密度ポリエチレン樹脂 ZH−51;〔物性は比較例2に記載;三菱油化(株)
製、商品名〕 直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体 UF240;〔エチレン含量93.0重量%、ブテン−
1含量7.0重量%、MFR2g/10分、密度0.9
11g/cm3 ;三菱油化(株)製、商品名〕Ult 1030F;〔エチレン含量88.2重量%、
4−メチルペンテン−1含量11.8重量%、MFR
2.3g/10分、密度0.918g/cm3 ;三井石
油化学工業(株)製、商品名ウルトゼックス
【0035】防曇剤 リケマール O−71−D;〔ジグリセリンオレート;
理研ビタミン(株)製、商品名〕 リケマール O−250 ;〔ソルビタンオレート;理
研ビタミン(株)製、商品名〕 リケマール PL−004;〔グリセリンジアセトモノ
ラウレート;理研ビタミン(株)製、商品名〕 リケマール OL−100;〔グリセリンモノオレー
ト;理研ビタミン(株)製、商品名〕
【0036】評価方法 霞み度 JIS−Z−6714 引裂強度 JIS−Z−1702 引裂弾性率 ISO−R−1184 粘着力 幅1cm、長さ2cmの面積でフィルムを重ね合せ、荷
重20kgをこの重ね合せ部分に2分間懸けた後、この
試料をショッパー型引張試験機で引張速度500mm/
分で引き剥がしたときの最高荷重。
【0037】耐熱性 幅5cm、長さ20cmの短冊フィルムの下端に10g
の重りをつけて恒温雰囲気中に1時間吊し、フィルムが
切断するまでの温度を測定する。(高い程、電子レンジ
調理器による加熱に耐えうる。) カット性ラップフィルム用の箱に装着されているノコギ
リ刃でのフィルムのカット性。 ○ : 良好 △ : やや不良 × : 不良
【0038】粘着性 フィルムで陶器皿を包んだ際の陶器への粘着性。 ○ : 良好 × : 剥がれる 風合い 手で触ったときのフィルムのべたつき及び剛性を感覚で
評価。 ○ : べたつきもなく、可撓性も良好 △* : べたつきがある △**: 腰強度が低い 電子レンジ特性 コーンスープ100ccを収納した陶器皿をフィルムで
包み、4分間電子レンジで加熱した。 ○ : 変化なし △ : 癒着、収縮する × : 破損する
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明品は、透明性、耐熱性、カット
性、風合いに優れ、かつ、粘着性が極めて優れた積層樹
脂フィルムであり、この積層樹脂フィルムで食品を収納
した陶器製容器をラッピングし、電子レンジにて加熱し
ても、溶融破断等の現象は全くなく、電子レンジでの使
用に充分耐えうるものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−179741(JP,A) 特開 昭62−234931(JP,A) 特開 昭62−51440(JP,A) 特開 平4−270745(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性プロピレン系樹脂フィルム層(A)
    の両面に、エチレン1〜10重量%、プロピレン74〜
    96重量%および炭素数が4〜8のα−オレフィン3〜
    25重量%とを共重合させて得た結晶性プロプレン系樹
    脂が51〜100重量%と直鎖状エチレン−α−オレフ
    ィン共重合体が0〜49重量%からなる樹脂フィルム層
    (B)を積層した積層樹脂フィルムであって、前記
    (B)層は、炭素数が12〜22の高級脂肪酸と脂肪族
    多価アルコールとのエステルであって、少なくとも1個
    のアルコール性水酸基を有する脂肪酸エステル(a2)
    より選ばれた防曇剤を0.5〜15重量%含有する積層
    樹脂フィルムをノコギリ刃を有するカートンボックスに
    収納してなることを特徴とする家庭用食品包装用ラップ
    フィルム。
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