JP3250266B2 - 車両用シート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、リヤシートバックに回
動可能なアームレストを設けた車両用シートに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、四輪自動車の室内には、図９
に示す如く、左右一対のフロントシート５１，５１とリ
ヤシート５２が車体前後に間隔を開けて配設されてお
り、これらフロントシート５１およびリヤシート５２は
それぞれシートクッション５３，５４およびシートバッ
ク５５，５６によって構成されている。そして、リヤシ
ートバック５６の巾方向の中央部分には、回動可能なア
ームレスト５７が起立状態で内蔵されており、使用時に
はこのアームレスト５７をリヤシートバック５６から取
出して倒すことによりリヤシートクッション５４の上部
に設置し、当該アームレスト５７に腕などを載せるよう
になっている。

【０００３】また、特にレクリエーショナル・ビークル
といわれている自動車（ＲＶ車）などにおいては、左右
のフロントシートバック５５，５５をそれぞれ後倒させ
てリヤシートクッション５４の上面に合わせ、フロント
シートバック５５とリヤシートクッション５４とでほぼ
平坦な連続面を形成し、いわゆるフルフラットシートが
得られる構造となっており、このフルフラットシートと
いう機能にて商品性の向上を図っている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の車両用シートにあっては、通常、フルフラット
時に一対のフロントシートバック５５，５５の左右間に
空隙（巾２００〜４００ｍｍ）Ｓが形成されることにな
るので、乗員がフロントシート５１に横たわって休息し
ている場合に手を動かすと、この空隙Ｓの存在によって
リヤフロアに触れたりすることが起こり、乗員に不快感
を与えるという不具合を有していた。また、この状態で
は乗員の手が届く範囲にコップや缶などを気軽に置く場
所がないので、不便であった。

【０００５】本発明はこのような実状に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、いわゆるフルフラット時
に、左右一対のフロントシートバック間に形成される空
隙を埋め、フロントシートで休息している乗員が楽な姿
勢で気軽にカップなどを置くことが可能な車両用シート
を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記従来技術の有する課
題を解決するために、本発明においては、リヤシートを
構成するリヤシートバックの巾方向の中央部分に回動可
能なアームレストを設け、使用時に前記アームレストを
取出して倒すことにより、前記リヤシートのリヤシート
クッションの上部に前記アームレストを設置して成る車
両用シートにおいて、前記アームレストをボード状のベ
ース部とアームレスト本体部とによって構成し、前記ベ
ース部の基端側を前記リヤシートバックに回動自在に取
付け、前記ベース部の先端側と前記アームレスト本体部
の基端側とを部品内を移動可能に組み付けられたアーム
部材を介して回動自在に連結し、かつ前記リヤシートク
ッションの前方側に凹部を設け、左右一対のフロントシ
ートのフロントシートバックをそれぞれ後倒させて該フ
ロントシートバックと前記リヤシートクッションとでほ
ぼ平坦な連続面を形成しているときに、前記ベース部お
よび前記アームレスト本体部をそれぞれの基端を中心に
して回動させることにより、前記アームレスト本体部
を、その基端側が前記アーム部材および前記凹部に保持
された状態で、前記一対のフロントシートバックの左右
間に形成される空隙に配置するようにしている。

【０００７】

【作用】本発明に係る車両用シートでは、リヤシートバ
ックに設けられるアームレストをボード状のベース部と
アームレスト本体部とによって構成し、当該ベース部の
基端側をリヤシートバックに回動自在に取付け、また前
記ベース部の先端側と前記アームレスト本体部の基端側
とを部品内を移動可能に組み付けられたアーム部材を介
して回動自在に連結し、かつ前記リヤシートクッション
の前方側に凹部を設け、前記ベース部およびアームレス
ト本体部をそれぞれの基端を中心にして回動させること
により、フルフラット時においてこのアームレスト本体
部を、その基端側が前記アーム部材および前記凹部に保
持された状態で、左右一対のフロントシートバックの左
右間に形成される空隙に配置するようにしているため、
当該空隙がアームレスト本体部にて埋められ、フロント
シートで休息している乗員の手などが従来のように空隙
を通ってリヤフロアに触れるということがなくなる上、
カップなどの置き場所を自然な位置に設けることができ
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細
に説明する。

【０００９】図１〜図８は本発明に係る車両用シートの
一実施例を示している。図において、１は四輪自動車の
車室内のフロント側に配設される左右一対のフロントシ
ート、２はフロントシート１，１の車体後方に配設され
るリヤシートであり、これらフロントシート１とリヤシ
ート２とは車体前後に所定の間隔を開けて設けられてい
る。また、フロントシート１およびリヤシート２は、乗
員が着座するシートクッション３，４と、着座した乗員
の背部を受けるシートバック５，６とをそれぞれ備えて
いる。

【００１０】上記フロントシート１のフロントシートバ
ック５は、図示しないリクライニング装置によって車体
前後に傾倒可能な状態でフロントシートクッション３の
後端に立設されており、乗員の休息時には、左右一対の
フロントシートバック５，５をそれぞれ後倒させてリヤ
シートクッション４の上面に合わせ、これらフロントシ
ートバック５とリヤシートクッション４とでほぼ平坦な
連続面を形成して、いわゆるフルフラットシートが得ら
れるようになっている。しかして、このようなフルフラ
ット時において、後倒状態にある左右一対のフロントシ
ートバック５，５間の車巾方向位置には図１に示す如く
空隙Ｓが形成されている。

【００１１】一方、上記リヤシート２を構成するリヤシ
ートバック６の車巾方向の中央部分には、起立状態で内
蔵される回動可能なアームレスト７が設けられており、
このアームレスト７は、これをリヤシートバック５から
取出して前倒させることにより使用するようになってい
る。このため、リヤシートバック６の前面中央部分に
は、アームレスト７と対応する形状、大きさに形成され
た凹部８が設けられており、該凹部８内にアームレスト
７が嵌め込めるように構成されている。

【００１２】上記アームレスト７は、図２に示す如く、
ベース部９とアームレスト本体部１０とに分割されて構
成されており、これらベース部９およびアームレスト本
体部１０はそれぞれ別体に形成されている。アームレス
ト７のベース部９は、平面略長方形状のクッションボー
ド１１と、このクッションボード１１の左右両側部に固
着されるメインアーム部材１２，１２とから成り、これ
らメインアーム部材１２はクッションボード１１の長さ
よりも大きく形成され、その先端部１２ａおよび基端部
１２ｂがクッションボード１１より突出するように配置
されている。そして、メインアーム部材１２の基端部１
２ｂは、通常のアームレストと同様、リヤシートバック
６の凹部８の左右両側面に位置するシートバックフレー
ムのブラケット（図示せず）に回動自在に取付けられて
いる。また、メインアーム部材１２の先端部１２ａは、
アームレスト本体部１０の基端側と左右一対のサブアー
ム部材１３，１３を介して回動自在に連結されている。
なお、上記シートバックフレームおよびブラケットはリ
ヤシートバック６に内蔵されている。

【００１３】上記メインアーム部材１２の先端部１２ａ
とサブアーム部材１３とは、図４に示すような締付ボル
ト１４、カラー１５、ワッシャ１６およびナット１７を
用いて互いに移動可能に結合されている。このため、メ
インアーム部材１２の先端部１２ａには、締付ボルト１
４およびカラー１５を挿通させる挿通孔１８が穿設さ
れ、サブアーム部材１３の中間部には、図５に示す如
く、長手方向に沿って延びる長孔１９が形成されてい
る。また、カラー１５は、ボルト締付側にフランジ部１
５ａを有する円筒状に形成されており、これによって内
部に締付ボルト１４の軸部が挿入できるようになってい
る。

【００１４】そして、締付ボルト１４およびカラー１５
はメインアーム部材１２の外側に配置され、ワッシャ１
６は両アーム部材１２，１３間に配置され、ナット１７
はワッシャ１６と反対側でサブアーム部材１３の内側に
配置されるようになっている。従ってこの対応する配置
関係で、締付ボルト１４およびカラー１５をメインアー
ム部材１２の挿通孔１８、ワッシャ１６およびサブアー
ム部材１３の長孔１９を介して挿通させ、かつ締付ボル
ト１４をナット１７に螺入させて締付けると、当該締付
部がサブアーム部材１３の長孔１９内を移動可能な状態
で、両アーム部材１２，１３は互いに回動自在に結合さ
れることになり、後述するアームレスト７の動作が可能
となる。

【００１５】一方、上記アームレスト本体部１０は、ク
ッション材を用いてほぼ直方体形状に形成されており、
その内部にはアームレストフレーム２０が配設されてい
る。しかして、アームレスト本体部１０の基端側とサブ
アーム部材１３の一端部とは、図６に示すような平頭締
付ボルト２１、上記と同様のカラー１５、ワッシャ１６
およびナット１７を用いて回動可能に結合されている。
このため、アームレスト本体部１０の基端部側面および
アームレストフレーム２０には、平頭締付ボルト２１お
よびカラー１５を挿入させる取付孔２２が設けられ、サ
ブアーム部材１３の一端部には、平頭締付ボルト２１お
よびカラー１５を挿通させる挿通孔２３が穿設されてい
る。また、上記ナット１７は、取付孔２２と対応する箇
所のアームレストフレーム２０に固着されている。な
お、アームレスト本体部１０とサブアーム部材１３との
締結手段として平頭締付ボルト２１を使用するのは、そ
のボルト頭部２１ａによってアームレスト本体部１０の
動作がを妨げられないようにするためである。

【００１６】そして、平頭締付ボルト２１およびカラー
１５はサブアーム部材１３の外側に配置され、ワッシャ
１６はアームレスト本体部１０とサブアーム部材１３と
の間に配置され、ナット１７はアームレスト本体部１０
の内部に配置されるようになっている。従ってこの対応
する配置関係で、平頭締付ボルト２１およびカラー１５
をサブアーム部材１３の挿通孔２３、ワッシャ１６およ
びアームレスト本体部１０の取付孔２２を介して挿通さ
せ、かつ平頭締付ボルト２１をナット１７に螺入させて
締付けると、サブアーム部材１３の一端部はアームレス
ト本体部１０の左右両側面に回動可能に取付けられるこ
とになる。なお、リヤシートクッション４の前方側上面
には、アームレスト本体部１０にて空隙Ｓを埋めるとき
に、当該アームレスト本体部１０の動作を妨げないよう
にするための凹部２４が設けられている。また、クッシ
ョンボード１１の先端部１１ａ側は他の部分よりも巾狭
く形成されており、通常時などにおいてサブアーム部材
１３がメインアーム部材１２の先端部１２ａとクッショ
ンボード１１の先端部１１ａとの間に収納し得るように
なっている。

【００１７】本実施例の車両用シートにおいては、図８
の左側位置に示す如く、アームレスト７を使用しない通
常時には、当該アームレスト７を起立位置に回動させて
リヤシートバック６の凹部８内に嵌め込んで起立状態に
保持しておく。この状態では、リヤシート２に３人着座
するような場合にもアームレスト７が中間位置の乗員の
着座を妨げるということはない。

【００１８】また、アームレスト７を本来のアームレス
トとして使用する場合は、当該アームレスト７の上部を
車体前方へ引っ張って回動させ、リヤシートバック６の
凹部８から取出して倒す。すると、アームレスト７は、
図８の中間位置に示す如く、そのアームレスト本体部１
０を上にしてクッションボード１１がリヤシートクッシ
ョン４の上部に設置され、ほぼ水平な状態に保持され
る。したがって、リヤシート２に着座した乗員は当該ア
ームレスト７の上に腕などを載せることが可能になる。

【００１９】さらに、左右一対のフロントシートバック
５，５をそれぞれ後倒させて当該フロントシートバック
５とリヤシートクッション４とでほぼ平坦な連続面を形
成する図１のフルフラット時には、ほぼ水平な状態にあ
るアームレスト７のアームレスト本体部１０の先端側を
持ち上げて車体前方へ向かって回動させる。すると、ア
ームレスト本体部１０は、図８の右側位置に示す如く、
その基端側が左右一対のサブアーム部材１３，１３およ
びリヤシートクッション４の凹部２４にて保持された状
態で、フロントシートバック５，５の左右間に形成され
る空隙Ｓに配置される（図２参照）。なお、アームレス
ト７をリヤシートバック６の凹部８内に嵌め込んで収納
するには、上記した操作を逆に行えばよい。

【００２０】したがって、本実施例のアームレスト７に
よれば、フルフラット時において左右一対のフロントシ
ートバック５，５間に形成される空隙Ｓがクッションボ
ード１１から回動させたアームレスト本体部１０にて埋
められるため、フロントシート１で休息中の乗員の手な
どをアームレスト本体部１０の上に載せて横たわること
も可能になり、快適な休息が十分に確保される。また、
アームレスト本体部１０がフロントシートバック５の付
近に配置され、休息中の乗員に対して自然な位置に存在
するため、カップなどをアームレスト本体部１０の上に
気軽に置くことができる。

【００２１】以上、本発明の一実施例につき述べたが、
本発明は既述の実施例に限定されるものではなく、本発
明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能
である。

【００２２】例えば、アームレスト本体部１０を空隙Ｓ
に配置し得る構造であれば、既述の実施例におけるアー
ム部材１２，１３の代わりに他のヒンジ機構を用いても
よい。

【００２３】

【発明の効果】上述の如く、本発明に係る車両用シート
は、リヤシートバックの巾方向の中央部分に回動可能な
アームレストをボード状のベース部とアームレスト本体
部とによって構成し、前記ベース部の基端側を前記リヤ
シートバックに回動自在に取付け、前記ベース部の先端
側と前記アームレスト本体部の基端側とを部品内を移動
可能に組み付けられたアーム部材を介して回動自在に連
結し、かつ前記リヤシートクッションの前方側に凹部を
設け、左右一対のフロントシートのフロントシートバッ
クをそれぞれ後倒させて該フロントシートバックと前記
リヤシートクッションとでほぼ平坦な連続面を形成する
いわゆるフルフラット時に、前記ベース部および前記ア
ームレスト本体部をそれぞれの基端を中心にして回動さ
せることにより、前記アームレスト本体部を、その基端
側が前記アーム部材および前記凹部に保持された状態
で、前記一対のフロントシートバックの左右間に形成さ
れる空隙に配置するようにしたので、前記アームレスト
の本来の機能を損なうことなく、前記フルフラット時に
形成される空隙をアームレスト本体部によって確実に埋
めることができるとともに、フルフラット時にフロント
シートバック、リヤシートクッションおよびアームレス
トで形成される連続面を従来のものに比べてより一層フ
ラットにできる。したがって、フロントシートで休息中
の乗員の手などが空隙を通ってリヤフロア等に触れると
いうことは起こらず、乗員は快適に横たわって休息でき
るから、特にＲＶ車などの商品性の向上が図れる。ま
た、本発明の車両用シートでは、フルフラット時にアー
ムレスト本体部がフロントシートバックの付近であっ
て、フロントシートに横たわっている乗員に対して自然
な位置に配されることになるので、休息中の乗員は楽な
姿勢で気軽にカップなどをアームレスト本体部の上に置
くことができ、非常に便利である。さらに、本発明の車
両用シートでは、リヤシートクッション上に残るベース
部がボード状に形成され、そのベース部の厚さはアーム
部材の回動機構が設けられる最小の寸法となっているた
め、リヤシートの巾方向の中央部分をフラットにするこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るフルフラット時の車両
用シートを示す斜視図である。

【図２】フルフラット時において、左右一対のフロント
シートバック間の空隙に配置する状態のアームレスト本
体部を示す斜視図である。

【図３】図２におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図４】図２におけるＢ−Ｂ線断面図である。

【図５】上記アームレストを構成するベース部とアーム
レスト本体部とを連結するサブアーム部材を示す斜視図
である。

【図６】図２におけるＣ−Ｃ線断面図である。

【図７】図２において矢印Ｄ方向から見た正面図であ
る。

【図８】上記アームレストの作動状態を示す概念図であ
る。

【図９】フルフラット時における従来の車両用シートを
示す斜視図である。

【符号の説明】

１ フロントシート ２ リヤシート ４ リヤシートクッション ５ フロントシートバック ６ リヤシートバック ７ アームレスト ８ 凹部 ９ ベース部 １０ アームレスト本体部 １１ クッションボード １２ メインアーム部材 １３ サブアーム部材 １４ 締付ボルト １５ カラー １６ ワッシャ １７ ナット １８ 挿通孔 １９ 長孔 ２１ 平頭締付ボルト ２２ 取付孔 ２３ 挿通孔 Ｓ 空隙

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リヤシートを構成するリヤシートバック
   の巾方向の中央部分に回動可能なアームレストを設け、
   使用時に前記アームレストを取出して倒すことにより、
   前記リヤシートのリヤシートクッションの上部に前記ア
   ームレストを設置して成る車両用シートにおいて、前記
   アームレストをボード状のベース部とアームレスト本体
   部とによって構成し、前記ベース部の基端側を前記リヤ
   シートバックに回動自在に取付け、前記ベース部の先端
   側と前記アームレスト本体部の基端側とを部品内を移動
   可能に組み付けられたアーム部材を介して回動自在に連
   結し、かつ前記リヤシートクッションの前方側に凹部を
   設け、左右一対のフロントシートのフロントシートバッ
   クをそれぞれ後倒させて該フロントシートバックと前記
   リヤシートクッションとでほぼ平坦な連続面を形成して
   いるときに、前記ベース部および前記アームレスト本体
   部をそれぞれの基端を中心にして回動させることによ
   り、前記アームレスト本体部を、その基端側が前記アー
   ム部材および前記凹部に保持された状態で、前記一対の
   フロントシートバックの左右間に形成される空隙に配置
   するようにしたことを特徴とする車両用シート。