JP3249281B2 - ラミネート加工用板紙 - Google Patents

ラミネート加工用板紙

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JP3249281B2
JP3249281B2 JP01273094A JP1273094A JP3249281B2 JP 3249281 B2 JP3249281 B2 JP 3249281B2 JP 01273094 A JP01273094 A JP 01273094A JP 1273094 A JP1273094 A JP 1273094A JP 3249281 B2 JP3249281 B2 JP 3249281B2
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啓悦 中里
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板紙を加工製造する課
程におけるラミネート加工時のコロナ放電処理により発
生する特異な臭気(オゾン臭以外の臭気)を、著しく抑
えることを特徴としたラミネート加工用板紙に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、抄き合わせ板紙の紙力を増強する
ためにポリアクリルアミド等を紙料液中に添加すること
が知られており、また紙層間の接着を目的として、湿紙
と湿紙の層間に澱粉溶液を塗布する方法がある。また、
抄き合わせ板紙の紙全体の強度を向上させるために、抄
紙機のフェルト上に紙層を形成せしめた後、紙層表面に
澱粉層を設けさらにその澱粉層の上に紙層を積層させ、
これを繰り返して抄き合わせ板紙を抄造する方法が特開
昭57−11295号公報に記載されている。
【0003】近年板紙用途が多様化する事に伴い、ユー
ザー要望品質を満足させるべく板紙加工技術も高度化し
ている。その中でラミネート加工を施す場合、板紙への
コロナ放電処理は、板紙に溶融ポリエチレンフィルムや
溶融ポリプロピレンフィルムを積層する際の前処理とし
て、現在のポリオレフィンラミネート板紙製造工程に広
く採用されている。この前処理によってポリオレフィン
の板紙への接着力が向上することは再現性良く認められ
ている事実である。
【0004】しかしながら、板紙の強度、ラミネート接
着力は向上するが、従来の食品用及び医療用に使用され
るラミネート加工用板紙は、板紙原紙では特異の臭気が
ないにもかかわらず、板紙を使用目的に合わせてラミネ
ート加工することにより、特異な臭気が発生する問題が
ある。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】ラミネート加工後
の臭気が充填された物に影響を及ぼし、充填された物の
品質を変化させ、特に香り、味覚に多大な影響を及ぼし
ている。このことからラミネート加工後の特異な臭気発
生を防止又は著しく軽減することは、充填物の品質低下
または品質変化防止にはかかせざるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、板紙ラミネー
ト加工後の特異な臭気を解決すべく鋭意研究をした結
果、板紙ラミネート加工後の特異な臭気は、ラミネート
加工時のコロナ放電処理後に特異な臭気が発生すること
をつきとめた。
【0007】このことから、現在のところコロナ放電処
理による特異な臭気発生のメカニズムは解明されていな
いものの、コロナ放電を強く処理することにより、ラミ
ネート接着性は向上するが、多くの特異な臭気が発生し
やすい状況にあることは推定できるところである。
【0008】一般に板紙の層間剥離強度増強剤として澱
粉が使用されているが、この澱粉の変性の種類により、
コロナ放電処理後の臭気発生に大きな差があることを見
いだしたものである。
【0009】即ち、本発明は、抄紙機で抄き合わせ板紙
を製造する場合に、抄紙機のフェルト上に紙層を形成せ
しめた後、この紙層表面に酢酸エステル化変性澱粉また
は加圧処理澱粉の澱粉層を設け、更に、その澱粉層の上
に紙層を積層させ、これを繰り返し行うことによって抄
き合わせ板紙を製造する。抄き合わせ板紙は前記したよ
うに各紙層間に澱粉層を設けてもよいが、任意の紙層間
に設けることにより所望する紙力(層間剥離強度)に調
整することは勿論のことである。
【0010】本発明に用いられる酢酸エステル化変性澱
粉または加圧処理澱粉は、板紙の紙層間のみならず、板
紙表面の強度を増強するために板紙の表面に塗布するこ
ともある。
【0011】本発明に用いられる酢酸エステル化変性澱
粉または加圧処理澱粉の原料は、馬鈴薯澱粉、タピオカ
澱粉、コーンスターチ、かんしょ澱粉等の澱粉であり、
特に澱粉の種類は限定するものではない。
【0012】本発明によって澱粉層を設ける方法として
は、抄紙実機上で行う場合は通常ワイヤー上に走行方向
に対し直角にスプレーノズルを設置し、0.1〜6%程
度の濃度範囲の澱粉スラリーを0.3g/m2〜8.6
g/m2、好ましくは0.4g/m2〜5.7g/m2
なるように紙層間にスプレーし、プレス、ドライヤー乾
燥工程を通過させて板紙を得ることができる。一方、実
験室的に実施する場合には、通常の手抄紙の場合と同様
に、パルプを叩解して濾水度を調成し、市販実験用抄紙
機で抄紙し、その湿紙上に澱粉スラリーをスプレーし
て、第2の湿紙をその上に重ね、パルプ濃度約20%ま
でプレス脱水機にて脱水し、テストドライヤーにて乾燥
し試料に供する事が出来る。
【0013】
【実施例】以下に実施例を示し本発明を詳細に説明す
る。なお、本発明はこれに限定されるものではない。以
下における部、%はすべて重量によるものである。
【0014】実施例1 NBKP70部とLBKP30部(濾水度430mlC
FS)からなる第1層と、NBKP20部とLBKP8
0部(濾水度360mlCFS)からなる第2層とをそ
れぞれ実験用丸網抄紙機にてpH7.3、100メッシ
ュ金網を用い、坪量70g/m2 の湿紙を抄紙し、第1
層の表面に酢酸エステル化ポテト澱粉(松谷化学工業社
製)の1%スラリーを3.2g/m2スプレーし、このス
プレーした側に第2層の湿紙を重ね合わせ、プレス脱水
し、シリンダードライヤーで105℃、3分間加熱乾燥
し、測定サンプルに供した。このサンプル5枚をコロナ
放電処理(56w/m2 /min)表面1回、裏面1回
を実施し、臭い袋(テドラーバック)に24時間密封
し、臭気判定用試料とした。臭気判定評価は、パネラー
を8人無作為に選び、特異な臭気(オゾン臭以外の臭
気)のしないものは○、特異な臭気が著しいものは×と
判定した。また、剥離強度はJIS−P8139板紙の
抄き合わせ層の剥離強試験方法により測定した。結果を
表1に示す。
【0015】実施例2 実施例1で、酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、酢酸
エステル化タピオカ澱粉(日本コーンスターチ社製)の
1%スラリーを3.2g/m2 スプレーした以外は実施
例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0016】実施例3 実施例1で、酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、酢酸
エステル化コーン澱粉(日本食品加工社製)の1%スラ
リーを3.2g/m2 スプレーした以外は実施例1と同
様に行った。結果を表1に示す。
【0017】実施例4 実施例1で、酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、加圧
処理コーン澱粉(日本食品加工社製)の1%スラリーを
3.2g/m2 スプレーした以外は実施例1と同様に行
った。結果を表1に示す。
【0018】比較例1 実施例1で、酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、尿素
燐酸エステル化ポテト澱粉(アベベ社製)の1%スラリ
ーを3.2g/m2 スプレーした以外は実施例1と同様
に行った。結果を表1に示す。
【0019】比較例2 実施例1で、酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、尿素
燐酸エステル化ポテト澱粉(エムスランド・スターチ社
製)の1%スラリーを3.2g/m2 スプレーした以外
は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0020】比較例3 実施例1で、酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、酸化
コーン澱粉(日本食品加工社製)の1%スラリーを3.
2g/m2 スプレーした以外は実施例1と同様に行っ
た。結果を表1に示す。
【0021】比較例4 実施例1で、酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、尿素
燐酸エステル化コーン澱粉(日本食品加工社製)の1%
スラリーを3.2g/m2 スプレーした以外は実施例1
と同様に行った。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】実施例5 実施例1の酢酸エステル化ポテト澱粉の完全糊化0.5
%液を 1.8g/m2スプレーした以外は実施例1と同
様に行った。結果を表2に示す。
【0024】実施例6 実施例1の酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、酢酸エ
ステル化タピオカ澱粉の完全糊化0.5%液を1.8g
/m2 スプレーした以外は実施例1と同様に行った。結
果を表2に示す。
【0025】実施例7 実施例1の酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、酢酸エ
ステル化コーン澱粉の完全糊化0.5%液を1.8g/
2 スプレーした以外は実施例1と同様に行った。結果
を表2に示す。
【0026】実施例8 実施例1の酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、加圧処
理コーン澱粉の完全糊化0.5%液を1.8g/m2
プレーした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2
に示す。
【0027】比較例5 実施例1の酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、尿素燐
酸エステル化ポテト澱粉の完全糊化0.5%液を1.8
g/m2 スプレーした以外は実施例1と同様に行った。
結果を表2に示す。
【0028】比較例6 実施例1の酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、尿素燐
酸エステル化ポテト澱粉の完全糊化0.5%液を1.8
g/m2 スプレーした以外は実施例1と同様に行った。
結果を表2に示す。
【0029】比較例7 実施例1の酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、酸化コ
ーン澱粉の完全糊化0.5%液を1.8g/m2 スプレ
ーした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示
す。
【0030】比較例8 実施例1の酢酸エステル化ポテト澱粉に代えて、尿素燐
酸エステル化コーン澱粉の完全糊化0.5%液スラリー
を1.8g/m2 スプレーした以外は同様に行った。結
果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】上記表1、表2の結果から明らかなよう
に、酢酸エステル化変性または加圧処理澱粉は、澱粉ス
ラリーあるいは完全糊化澱粉に関係なく、コロナ処理後
の臭気が著しく少ないことが判明した。また、臭気は澱
粉の種類に関係なく酢酸エステル化変性あるいは加圧処
理した澱粉は著しく少ない。更に、層間剥離強度を高く
維持する必要がある場合は馬鈴薯澱粉を用いることが好
ましいことが判明した。
【0033】
【発明の効果】本発明によるラミネート加工用板紙は、
板紙に十分な層間剥離強度を付与しながら、且つラミネ
ート加工後の特異な臭気を著しく抑制することにより、
食品用及び医療用に使用される充填物の品質低下及び品
質変化(特に香り、味覚等)を防止できる効果を奏する
ものである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抄き合わせ板紙の抄紙工程で、任意の紙
    層間に酢酸エステル化変性澱粉または加圧処理澱粉の澱
    粉層を設け、積層製造したことを特徴としたラミネート
    加工用板紙。
JP01273094A 1994-02-04 1994-02-04 ラミネート加工用板紙 Expired - Lifetime JP3249281B2 (ja)

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