JP3247839B2 - 希土類永久磁石の製造方法 - Google Patents

希土類永久磁石の製造方法

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JP3247839B2
JP3247839B2 JP24610496A JP24610496A JP3247839B2 JP 3247839 B2 JP3247839 B2 JP 3247839B2 JP 24610496 A JP24610496 A JP 24610496A JP 24610496 A JP24610496 A JP 24610496A JP 3247839 B2 JP3247839 B2 JP 3247839B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた磁気特性を
有する希土類永久磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Nd-Fe-B系焼結磁石は45MGOeを超える
高い磁気特性を有し、またSm 系磁石に比較して低原料
コストであることから需要が増大している。さらにより
高性能な次世代磁石の探索が行われている中で、近年ナ
ノコンポジット磁石が注目を集めている(IEEE Trans.
Magn. 27 (1991),p.3588他)。これはハード磁性相中に
数十nmオーダーのソフト磁性相が微細に分散した組織か
らなり、両相の磁化が交換相互作用で結び付くことによ
ってソフト相の磁化は容易に反転せず、全体として単一
相のように振る舞うものであり、既存原料の組み合わせ
によっても保磁力を損なうことなく、より高い飽和磁化
が得られる可能性があり、計算ではSm2Co173 /F
e-Co においてBHmax =137MGOe の値が報告(J. Phys.
Rev. 48(1993),p.15812)されている。これまで実際に
Nd2Fe14 B/Fe3B(J. de Phys. 49(1988),C8-669
)やSm2Co173 /Fe (J. Magn, Magn. Mater. 1
24(1993),L1)等の組合せが実験報告されてきた。これ
らの研究で行われている微細分散組織の作製方法として
は、メトルスパン法やメカニカルアロイング(MA)法
により得られた合金薄帯や粉末を熱処理して微結晶化す
る手段がとられている。しかしこれらの方法では、熱処
理条件により結晶粒径が制御できる半面、磁気的に等方
性のものしか得られず、異方性Nd-Fe-B焼結磁石の磁
気特性には及ばない。また高温焼結すると粒径が粗大化
して磁気特性が劣化するために、現在のところボンド磁
石としての用途しか期待できないという問題点があっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の作製
方法では、Nd-Fe-B焼結磁石を超える磁気特性を得る
ことは難しい。本発明は従来と異なる新規な方法を用
い、磁気的異方性を有するナノコンポジット組織を作製
することにより、より磁気特性の高いNd-Fe-B系希土
類永久磁石を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる課
題を解決するために微細分散析出方法を種々検討した結
果、NdとFeから成る金属間化合物を出発原料とし、
この相にB元素を拡散させると共に、Nd2Fe14B相
生成反応を行わせることによって微細分散組織が得られ
ることを見出し、諸条件を確立して本発明を完成させ
た。その要旨は、Nd、Fe、Bの元素から成り、かつ
その主相であるNd2Fe14B相中にFeまたはFeを
含む合金もしくは金属間化合物が微細に分散した組織を
主体相とする希土類永久磁石の製造方法において、B、
23または硼酸の内の1種以上、金属間化合物Nd2
Fe17および金属Caから成る混合粉体を熱処理して、
BをNd−Fe金属間化合物中に拡散させて、磁気的異
方性を有する主体相粉末を得る工程を含むことを特徴と
する希土類永久磁石の製造方法である。請求項2は、N
2Fe14B主相中にFe またはFe を含む合金もし
くは金属間化合物が微細に分散した組織を主体相とする
希土類永久磁石が、磁気的異方性を有していることを特
徴とする希土類永久磁石の製造方法である。
【0005】請求項3は、希土類元素R(RはYを含む
希土類元素の内1種以上4種以下)、元素M(MはC
o、Ni、Al、Si、Ga、Ag、Au、Cu、V、
Cr、Mn、Sc、Mo、W、Ti、Hf、Ta、N
b、Zr、Pd、Pt、Zn、Ge、Sb、Snおよび
Inから選択される1種以上5種以下の元素で、少なく
ともFeを含む)およびBを含む3種以上の元素から成
り、かつその主相であるR214B相中にMまたはMを
含む合金もしくは金属間化合物が微細に分散した組織を
主相とする希土類永久磁石の製造方法において、B、B
23または硼酸の内1種以上、金属間化合物Rmn(こ
こにm、n は正の整数で、原子比n/m>7.0とす
る)および金属Caから成る混合粉体を熱処理して、B
をRとMから成る金属間化合物中に拡散させて、磁気的
異方性を有する主体相を得る工程を含むことを特徴とす
る希土類永久磁石の製造方法である。請求項4は、R2
14B主相中にMまたはMを含む合金もしくは金属間化
合物が微細に分散した組織から成る希土類永久磁石が、
磁気的異方性を有していることを特徴とする希土類永久
磁石の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。本発明のNd-Fe-B系希土類永久磁石は、
ハード磁性相の主相中にソフト磁性相が極めて微細に分
散した組織から成っている。一般に母相中に析出物が微
細分散した組織を得るためによく用いられるのは、過飽
和固溶体の熱処理による析出である。アモルファス急冷
薄帯やMA粉体からの微結晶化もこの方法の一種と見做
せる。しかしこれらの方法では磁化容易軸が特定方向に
向かないため等方性のものしか得られない。もしNd2
e14 B相(以下、Nd2Fe14 B相またはR214B相を
2-14-1相という)にFe の固溶域があるならば、結晶方
位を揃えたままFe を析出させることも可能であるが、
報告されている状態図から明らかなように、Fe はほと
んど固溶しない。そこで本発明では新たな製造方法を種
々検討した結果、Nd2Fe17 もしくは原子比が n/m>7.
0 なるRm Mn 金属間化合物を原料とし、この金属間化
合物相にB元素を拡散させると共に、2-14-1相生成反応
を行わせることによって上記微細分散組織が得られるこ
とを見出した。
【0007】Nd2Fe17金属間化合物を原料とした場
合、この反応は以下のように表せる。 Nd2Fe17+B─→Nd2Fe14B+3Fe また、Rmn金属間化合物の一例として、NdFe11
iを用いた場合は、次のように示される。 2NdFe11Ti+5B─→ Nd2Fe14B+8Fe+2TiB2 Nd原子とFe原子はNd2Fe17もしくはRmn相内
で元々均質に存在しているので、Bが均一に拡散すれば
2−14−1相も相内で均一に反応生成し、同時に余剰
のFeないしMが極めて微細に分散して析出される。熱
処理条件を最適化することによって、これらの余剰のF
eないしMが数十nm以下の粒径で2−14−1相中に
分散した組織を得ることができる。このとき2−14−
1相がハード磁性相、Feがソフト磁性相に対応する。
このような反応をさせるには、出発原料のRmn金属間
化合物がn/m>7.0である必要がある。n/mが
7.0以下のときは、余剰のFeないしMが形成されな
いために、このような分散析出は起こらない。またこの
反応は出発原料であるNd2Fe17もしくはRmn相へ
のBの拡散によって行われるため、形成される2−14
−1相の結晶方位はBの拡散方向に束縛され、磁化容易
軸が一方向に揃っている。
【0008】n/m>7.0なるRmn金属間化合物と
は、例えばNd2Fe17、Nd2(Fe,Co)17、Nd
2(Fe,Al)17、Nd2(Fe,Si)17、Nd
2(Fe,Co,Ga)17、Nd2(Fe,Co,Ta)
17、Nd2(Fe,Co,Zr)17、Nd2(Fe,C
o,Nb)17、Nd2(Fe,Co,Hf)17、(N
d,Pr,Dy)2(Fe,Co,Ta)17、(Nd,
Pr,Dy)2(Fe,Co,Zr)17、(Nd,P
r,Dy)2(Fe,Co,Nb)17、(Nd,Pr、
Dy)2(Fe,Co,Hf)17、(Nd,Pr,D
y)2(Fe,Co,Ti)17、(Nd,Pr、Dy)2
(Fe,Co,V)17等一般に2−17相と呼ばれてい
るTh2Zn17型化合物や、Nd(Fe,Ti)12、N
d(Fe,Cr)12、Nd(Fe,Mo)12、Nd(F
e,W)12、Nd(Fe,Si)12、Nd(Fe,V)
12、Nd(Fe,Co,Ti)12、Nd(Fe,Co,
Cr)12、Nd(Fe,Co,Mo)12、Nd(Fe,
Co,W)12、Nd(Fe,Co,Si)12、Nd(F
e,Co,V)12、(Nd,Pr,Dy)(Fe,C
o,Ti)12、(Nd,Pr,Dy)(Fe,Co,C
r)12、(Nd,Pr,Dy)(Fe,Co,M
o)12、(Nd,Pr,Dy)(Fe,Co,W)12
(Nd,Pr,Dy)(Fe,Co,Si)12、(N
d,Pr,Dy)(Fe,Co,V)12等の1−12金
属間化合物、Nd3(Fe,Ti)29、Nd3(Fe,C
r)29、Nd3(Fe,Mo)29、Nd3(Fe,
W)29、Nd3(Fe,Si)29、Nd3(Fe,
V)29、Nd3(Fe,Co,Ti)29、Nd3(Fe,
Co,Cr)29、Nd3(Fe,Co,Mo)29、Nd3
(Fe,Co,W)29、Nd3(Fe,Co,S
i)29、Nd3(Fe,Co,V)29、(Nd,Pr,
Dy)3(Fe,Co,Ti)29、(Nd,Pr,D
y)3(Fe,Co,Cr)29、(Nd,Pr,Dy)3
(Fe,Co,Mo)29、(Nd,Pr,Dy)3(F
e,Co,W)29、(Nd,Pr,Dy)3(Fe,C
o,Si)29、(Nd,Pr,Dy)3(Fe,Co,
V)29等の3−29金属間化合物が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0009】また磁気特性や相安定性をさらに向上させ
るために、上記以外にもNdの一部または全部をYを含
む他の希土類元素、即ちLa、Ce、Pr、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび
Luから成る群から選択される1種以上3種以下の元素
で置換してもよい。具体的には、例えば、Pr、Pr−
Dy、Ce−Dy、Pr−Tb、Ce−Tb、Pr−T
b−Dy、Pr−Ce−Dy等の組み合わせが例示され
る。また、Feの一部をCo、Ni、Al、Si、G
a、Ag、Au、Cu、V、Cr、Mn、Sc、Mo、
W、Ti、Hf、Ta、Nb、Zr、Pd、Pt、Z
n、Ge、Sb、Sn、Inその他1種以上4種以下の
元素で置換してもよい。具体的には、例えば、Co、N
i、Ti、Mo、Co−Al、Co−Si、Co−G
a、Co−Cu、Co−V、Co−Cr、Co−Mn、
Co−Mo、Co−W、Co−Ti、Co−Hf、Co
−Ta、Co−Nb、Co−Zr、Co−Ni、Co−
Ti−Al、Co−Ti−Ga、Co−Ti−Si、C
o−Ti−Zr、Co−Ti−Nb、Co−Ti−H
f、Co−Ti−Ta、Co−Mo−Al、Co−Mo
−Ga、Co−Mo−Si、Co−Mo−Zr、Co−
Mo−Nb、Co−Mo−Hf、Co−Mo−Ta、C
o−Ti−Al−Ga、Co−Ti−Al−Zr、Co
−Ti−Al−Nb、Co−Ti−Al−Hf、Co−
Ti−Al−Ta、Co−Mo−Al−Ga、Co−M
o−Al−Zr、Co−Mo−Al−Nb、Co−Mo
−Al−Hf、Co−Mo−Al−Ta、Co−Ti−
Si−Ga、Co−Mo−Si−Zr等の組み合わせが
例示される。
【0010】この時、形成されるハード相はNd2Fe
14Bに限定されず、(Nd,Pr)2(Fe,Co)14
B、(Nd,Dy)2(Fe,Al)14B、(Nd,P
r,Dy)2(Fe,Co,Si)14B等Nd、Feの
各々が他元素で置換され得るし、ソフト相もFeに限ら
ずFe−B、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Al、F
e−Si、Fe−Ga、Fe−Ag、Fe−Au、Fe
−Cu、Fe−V、Fe−Cr、Fe−Mo、Fe−
W、Fe−Ti、その他の組合せからなるFe基合金や
金属間化合物であってよい。ただし、ソフト相の条件と
しては、飽和磁化がハード相よりも大きいことが必要で
ある。ソフト相の飽和磁化は大きい程好ましいので、よ
り望ましくはFe、Fe−C、Fe−B、Fe−N、F
e−Co、Fe−Al、Fe−Si等の金属、合金や金
属間化合物がよい。Rmn化合物のn/mの比は7.0
を超えるのがよく、7.0以下では2−14−1相の生
成反応において余剰のFeまたはMが析出されないた
め、本発明の目的である微細分散組織が形成されない。
またこの時、同時にTiB2、MoB、CrB2等の非磁
性第3相が析出する場合もある。これは単位体積当りの
磁化を減少させるものの、耐食性を向上させる等の効果
も考えられ、少量ならば特に問題はない。
【0011】以上のような反応を行わせるためには、ま
ずNd2Fe17やRmn化合物中にBを均一に拡散させ
る工程が必要である。拡散が不十分な場合は、局所的に
未反応部分が残ったり、B過剰な相が形成されたりして
磁気特性が劣化する。この拡散方法として、例えばCa
を用いた還元拡散法を応用する。還元拡散法については
いくつかの提案(特開昭59−219404号、特開昭
62−260008号参照)がなされているが、従来よ
り提案されてきた還元拡散法の要点は、原料として希土
類の酸化物を用いることにある。一方、本発明がCaを
採択した理由は、Nd2Fe17やRmn金属間化合物中
へのB拡散を促進させるためにCa液相を利用している
点にある。従って本発明では原料として希土類酸化物で
はなく、希土類−Fe金属間化合物ないし希土類−M金
属間化合物を使用しており、従来の還元拡散法とは根本
的に異なる方法である。
【0012】以下、Nd2Fe17を例に説明すると、本
発明の希土類永久磁石の製造工程は、粗粉砕されたNd
2Fe17化合物、B23粉末、金属Ca粒を混合・プレ
スして不活性ガス雰囲気中で熱処理する。B23の代わ
りに金属Bや硼酸等の粉末を用いてもよい。B23のN
2Fe17合金に対する混合比は、生成するソフト相の
種類によって異なるが、例としてFeを生成する場合
は、Nd2Fe17のNdが全て2−14−1相を形成す
るのに必要なB当量の0.8倍から1.5倍、Fe2
を生成する場合は2−14−1相とFe2B相を形成す
るのに必要なB当量を供給するだけのB23量の0.8
倍から1.5倍、とすればよい。また金属Caの混合比
は、B23を還元する必要当量のままでは全てのCaが
CaOとなって液相がなくなってしまうので、必要量の
1.5〜5倍、好ましくは2〜4倍当量とする。B23
から還元されたBは、溶融Caを通ってNd2Fe17
中へ拡散する。液相を媒介とするので迅速かつ均一な拡
散が行える。またCaはNd2Fe17粉末表面で酸化さ
れたNdを還元する役割も果たす。熱処理温度の上限は
2−14−1相の融点(Nd2Fe14Bの場合1155
℃、Nd2Fe17相の場合1185℃)の内低い方の温
度とする。この温度を超えると溶融反応を生じてFe等
の粗大粒が形成され、数十nm以下の微細分散組織とす
ることが難しい。熱処理下限温度はCa融点(839
℃)であるが、添加元素により融点が低下した場合はそ
の温度まで下げることが可能である。熱処理後は、通常
の還元拡散法と同様、Caの水洗、乾燥を行うことによ
り目的とする主相中にFeまたはFeを含む合金もしく
は金属間化合物が微細に分散した組織から成る主体相合
金が得られる。Rmn金属間化合物を用いる場合も、同
様にして行えばよい。
【0013】従来のNd−Fe−B焼結磁石は、2−1
4−1主相、Nd−rich相、B−rich相の3相
からなり、低融点Nd−rich相が液相焼結の焼結助
剤として必要不可欠である。このため溶融時の組成は3
相共存域内にある。本発明においては、2−14−1単
相の代わりに、上記方法によって作製した、主相中にF
eまたはFeを含む合金もしくは金属間化合物が微細に
分散した組織から成る主体相合金粉体を用いるが、これ
だけではNd−rich相、B−rich相が得られな
いため、これらの後2相に相当する組成粉末を別途用意
しておき、主体相合金粉体と混合する。後2相に相当す
る合金は、希土類元素:20〜40at%、B:0〜1
0at%、残部がFeまたはMなる組成範囲からなり、
鋳造法、液体急冷法、R&D法等を用いて製造する。そ
の後の工程は、従来のNd−Fe−B焼結磁石と同様
に、該混合粉体を微粉砕した後、磁場中配向プレス、焼
結する。焼結工程においてNd−rich相は液化して
主相表面をクリーニングすると共に粒成長、高密度化を
促進し、保磁力を増大させる。前述のように1100℃
程度の焼結温度においても、分散したソフト相は2−1
4−1相内を拡散し難いため、上記微細分散組織はその
構造を保持している。
【0014】本発明の作用は、Nd2Fe17もしくはRm
n化合物中へのBの還元拡散にCa液相を使用するこ
とによって、拡散が促進され、かつ均一微細分散組織を
発達させたことにある。
【実施例】以下、本発明の実施の形態を実施例を挙げて
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 (実施例1) Ndメタル、Feメタルを原子百分比で2:17になる
ように秤量し、高周波溶解炉にてAr雰囲気下に溶解し
た。得られた試料を1100℃×10hr加熱して溶体
化処理を行ったのち、粗粉砕して、粒径40mesh以
下のNd2Fe17原料粉末を得た。上記原料粉を粒径1
50mesh以下のB23とVミキサーにて混合した
後、さらに金属Ca粒を加えて混合し、プレスした。N
2Fe17:B23:Caの秤量割合は、分子モル比で
2:1:9とした。B23は還元後のBがNd2Fe17
全てをNd2Fe14Bとするのに必要な量、CaはB2
3をすべてBに還元するのに必要な量の3倍に相当す
る。プレスした試料をAr雰囲気下熱処理炉内で900
℃×1hr熱処理し冷却した。炉から取り出した試料は
100μm程度に粉砕した後、弱アルカリ水中で水洗
し、Ca及びCaOを除去してから真空乾燥した。以上
の工程により目的とするNd2Fe14B/Fe微細分散
組織を有する主体相粉体が得られた。これとは別にNd
−30−Fe−20−Co−10−B−40原子%なる
平均組成を持つ合金粉末を高周波溶解により作製した。
これを上記主体相粉体とともにVミキサーにて混合後、
ジェットミルで平均粒径3〜4μmまで微粉砕した。さ
らにこの粉末を15kOe磁場中で磁場方向に配向させ
ながら圧力0.7Ton/cm2でプレス成形した。成
形体をAr雰囲気中で1100℃×1hr焼結し、室温
冷却してから500〜650℃×1hrの時効処理を行
った。上記工程により作製された焼結磁石の磁気特性を
表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】(実施例2)B23 の代わりに粒径325m
esh 以下のB粉末を用い、混合比をモル比でNd2 Fe17:
B: Ca =1: 1: 9とした他は実施例1と同様の条件
で作製し、磁気特性を表1に併記した。
【0017】(実施例3) B23の代わりに硼酸H3BO3を用い、混合比をNd2
Fe17:H3BO3:Ca=1:1:9とした他は実施例
1と同様の条件で作製し、磁気特性を表1に併記した。
【0018】(実施例4)Nd メタル、Fe メタル、C
o メタルを原子百分率で2:12:5となるように秤量し溶
解した他は実施例1と同様の条件で作製し、磁気特性を
表1に併記した。
【0019】(実施例5)Nd メタル、Pr メタル、F
e メタルを原子百分率(以下、同じ)で1.5:0.5:17とな
るように秤量し溶解した他は実施例1と同様の条件で作
製し、磁気特性を表1に併記した。
【0020】(実施例6)Nd メタル、Fe メタル、T
i メタルを1:11:1となるように秤量し溶解したNd F
e11 Ti 原料粉を用い、Nd Fe11 Ti:B: Ca =2:
5:9とした他は実施例2と同様の条件で作製し、磁気
特性を表1に併記した。
【0021】(実施例7)Nd メタル、Fe メタル、C
o メタル、Ti メタルを1:9:2:1となるように秤
量し溶解した他は実施例6と同様の条件で作製し、磁気
特性を表1に併記した。
【0022】(実施例8)Nd メタル、Fe メタル、M
o メタルを1:11.5:0.5 となるように秤量し溶解した
原料粉を用い、Nd Fe11.5 Mo0.5 :B: Ca =2:
5:9とした他は実施例2と同様の条件で作製し、磁気
特性を表1に併記した。
【0023】(実施例9)Nd メタル、Fe メタル、C
o メタル、Mo メタルを1:9.4:2.1:0.5となるように秤
量し溶解した他は実施例8と同様の条件で作製し、磁気
特性を表1に併記した。
【0024】(実施例10)混合比をNd2Fe17:B2
3:Ca =2:1.5 :9とした他は実施例1と同様の条件
で作製し、磁気特性を表1に併記した。
【0025】(実施例11)混合比をNd2Fe17:B: C
a =1:1.3 :9とした他は実施例2と同様の条件で作
製し、磁気特性を表1に併記した。
【0026】(比較例)Nd メタル、Fe メタル及びF
e-B合金を原子比でNd:Fe:B=15:77:8となるよう
に秤量し、高周波溶解炉にてAr 雰囲気下に溶解した。
得られた試料を1100℃×10hr加熱して溶体化処理を行っ
た後、粒径3μm以下に粉砕した。さらにこの粉末を15
kOe 磁場中で磁場方向に配向させながら圧力 0.7ton/cm
2 でプレス成形した。成形体をAr 雰囲気中で1100℃×
1hr焼結し、室温まで冷却してから 600℃×1hrの時効
処理を行った。作製された焼結磁石の磁気特性を表1に
併記する。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、最大エネルギー積BH
max が大きく、磁気的異方性を持つNd-Fe-B系希土類
永久磁石が得られ、かつ還元拡散剤に金属Ca を使用す
るので原料コストの低減が図れる等、産業上その利用価
値は極めて高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳永 勝志 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1 号 信越化学工業株式会社 コーポレー トリサーチセンター内 (72)発明者 伊藤 卓 福井県武生市北府2丁目1番5号 信越 化学工業株式会社 磁性材料研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−35602(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/032 - 1/08 C22C 38/00 303

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Nd、Fe、Bの元素から成り、かつそ
    の主相であるNd2Fe14B相中にFeまたはFeを含
    む合金もしくは金属間化合物が微細に分散した組織を主
    体相とする希土類永久磁石の製造方法において、B、B
    2 3 または硼酸の内の1種以上、金属間化合物Nd 2
    17 および金属Caから成る混合粉体を熱処理して、B
    をNd−Fe金属間化合物中に拡散させて、磁気的異方
    性を有する主体相粉末を得る工程を含むことを特徴とす
    る希土類永久磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の製造方法により作製し
    た、Nd 2Fe14B主相中にFeまたはFeを含む合金
    もしくは金属間化合物が微細に分散した組織を主体相と
    する希土類永久磁石が、磁気的異方性を有していること
    を特徴とする希土類永久磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 希土類元素R(RはYを含む希土類元素
    の内1種以上4種以下)、元素M(MはCo、Ni、A
    l、Si、Ga、Ag、Au、Cu、V、Cr、Mn、
    Sc、Mo、W、Ti、Hf、Ta、Nb、Zr、P
    d、Pt、Zn、Ge、Sb、SnおよびInから選択
    される1種以上5種以下の元素で、少なくともFeを含
    む)およびBを含む3種以上の元素から成り、かつその
    主相であるR214B相中にMまはMを含む合金もし
    くは金属間化合物が微細に分散した組織を主体相とする
    土類永久磁石の製造方法において、B、B 2 3 または
    硼酸の内1種以上、金属間化合物R m n (ここにm、n
    は正の整数で、原子比n/m>7.0とする)および金
    属Caから成る混合粉体を熱処理して、BをRとMから
    成る金属間化合物中に拡散させて、磁気的異方性を有す
    る主体相を得る工程を含むことを特徴とする希土類永久
    磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の製造方法により作製し
    た、R 214B主相中にMまはMを含む合金もしくは
    金属間化合物が微細に分散した組織を主体相とする希土
    類永久磁石が、磁気的異方性を有していることを特徴と
    する希土類永久磁石の製造方法。
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