JP3247559B2 - 船用の可変プロペラ - Google Patents

船用の可変プロペラ

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JP3247559B2
JP3247559B2 JP28176094A JP28176094A JP3247559B2 JP 3247559 B2 JP3247559 B2 JP 3247559B2 JP 28176094 A JP28176094 A JP 28176094A JP 28176094 A JP28176094 A JP 28176094A JP 3247559 B2 JP3247559 B2 JP 3247559B2
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秀昭 高田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、推進機本体に支持され
てその後方へ突出するプロペラ軸にプロペラボスを嵌合
して連結し、このプロペラボスには、その軸線を囲むよ
うに配置される複数のブレード軸を介して複数のプロペ
ラブレードを、これらによりプロペラ直径を変化させる
べく回動可能に取付けた、船用の可変プロペラに関す
る。
【0002】
【従来の技術】かゝる可変プロペラは、例えば米国特許
第3,565,544号明細書に開示されているよう
に、既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記文献に開示された
可変プロペラは、各プロペラブレードが独立していて、
それに働く遠心力と水の抗力とのバランスによりプロペ
ラ直径を変化させるように回動するものであり、こうし
たものでは、走航中の部分的な条件変化、例えば浅瀬走
航時や急旋回時などに生じる部分的なキャビテーション
により、各プロペラブレードの開き角度がばらついた
り、その開き角度の増減を繰返すようにふらついたりし
て、プロペラの回転円滑性を損なうことが懸念される。
【0004】本発明は、かゝる点に鑑みてなされたもの
で、走航中の部分的な条件変化に拘らず、遠心力を利用
しながら全てのプロペラブレードを常に均等に制御し
て、プロペラ直径を的確に調節し得る、構造簡単で安価
な可変プロペラを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、プロペラボスに回動自在に支承される複
数のブレード軸に複数のプロペラブレードのボスをそれ
ぞれ結合して、プロペラブレードに働く遠心力の増大に
応じてプロペラ直径を増加すべくプロペラブレードがブ
レード軸と共に回動するようにし、これらブレード軸
を、各ブレード軸の一端に連設したクランクと、各クラ
ンクのクランクピンに係合してプロペラボスの軸線周り
に回動し得る共通の同期リングとからなる同期装置を介
して相互に同期連動させ、前記同期リングのプロペラボ
スの軸線周りの回動を案内すべく、該同期リングには、
プロペラボスの軸線を囲んでブレード軸と平行となるよ
うプロペラボスに植設された複数の取付ボルトに摺動自
在に嵌合する複数の円弧状長孔を設けたことを特徴とす
る。
【0006】
【作用】上記特徴によれば、プロペラの回転時、各プロ
ペラブレードに作用する遠心力の利用により、特別なア
クチュエータを用いることなくプロペラ直径を自動的に
制御することができる。しかも、構造簡単な同期装置に
より各プロペラブレードの開き角度を、走航中の部分的
な条件変化に拘らず、均等に制御することができる。そ
の際、同期リングの取付ボルトが該リングの同期回動を
正確に案内する。
【0007】
【実施例】以下、図面により本発明の一実施例について
説明する。
【0008】先ず、図1ないし図7に示す本発明の第1
実施例より説明する。図1において、船のトランサムに
取付けられる船外機の推進機本体1には、図示しないエ
ンジンから駆動される鉛直配置の駆動軸2と、この駆動
軸2の前、後進歯車機構3を介して連結する水平配置の
プロペラ軸4とが支承され、このプロペラ軸4の、推進
機本体1から後方へ突出した部分に可変直径型のプロペ
ラ5が装着される。
【0009】前、後進歯車機構3は公知のベベルギヤ式
のもので、駆動軸2と平行な切換操作杆6の昇降によ
り、駆動軸2からプロペラ軸4を前進方向に駆動し得る
前進態様と後進方向へ駆動し得る後進態様とに切換えら
れる。
【0010】図1及び図2において、推進機本体1の後
面に開口する取付孔7には、プロペラ軸4を支承する前
後一対のベアリング8,9を保持するためのベアリング
ホルダ10が嵌合されると共に、それを後方より押える
リングナット11が螺着される。ベアリングホルダ10
は前部のボールベアリング8を保持する大径筒部10a
と、後部のニードルベアリング9を保持する小径筒部1
0bとを備え、両筒部10a,10bはテーパ状筒部1
0cを介して互いに一体に連結される。また小径筒部1
0bには、その外周面から突出してリングナット11で
押えられるフランジ10dが一体に形成されており、こ
のフランジ10dには、エンジンの排気ポートに推進機
本体1の中空部1aを介して連通する複数の排気出口1
3が設けられる。
【0011】さて、可変直径型のプロペラ5の構成につ
いて図2ないし図7により説明する。
【0012】図2において、プロペラ軸4には、ベアリ
ングホルダ10の後端に隣接してスラストリング14が
スプライン15を介して嵌合される。このスラストリン
グ14はプロペラ軸4のテーパ面4aに当接して前方移
動が阻止される。
【0013】このスラストリング14の後方において、
プロペラ軸4には、トルク制限装置16を介してプロペ
ラボス12のボス本体17が連結される。これらトルク
制限装置16及びボス本体17は、プロペラ軸4を中心
とした同心状に重合して配置される。
【0014】トルク制限装置16は、プロペラ軸4にス
プライン19を介して着脱可能に嵌合されるスリーブ1
8と、このスリーブ18の外周面に焼付けられると共に
ボス本体17の内周面に圧入されるダンパゴム20とか
ら構成される。而して、ダンパゴム20は所定の摩擦力
をもってボス本体17と連結され、所定値以上の回転ト
ルクを受けるとボス本体17との間に滑りを生じるよう
になっている。
【0015】またプロペラ軸4には、スリーブ18の後
端に当接する延長カラー21がスプライン嵌合され、こ
の延長カラー21の後端を、それより大径のスラストワ
ッシャ22を介して押えるナット23がプロペラ軸4の
後端部に螺着される。そして、ナット23及びプロペラ
軸4には、緩み止めの割りピン24が挿入される。尚、
延長カラー21はスリーブ18と一体化させてもよい。
【0016】ボス本体17は、ダンパゴム20の後端を
覆う端壁から後方へ突出して延長カラー21に回転可能
に嵌合する位置決めボス17aを備えており、これによ
りボス本体17のプロペラ軸4に対する同心位置が保持
される。この位置決めボス17aは、前記スラストワッ
シャ22を囲繞するように円筒状に形成されると共に、
その内周面には、スラストワッシャ22の前面に対向す
る肩部25が設けられ、ボス本体17に加わる後方スラ
ストを、この肩部25を介してスラストワッシャ22に
受止めさせるようになっている。この場合、延長カラー
21の後端外周にフランジを形成し、このフランジを前
記肩部25に当接させてもよい。
【0017】またボス本体17の前端面は、前記スラス
トリング14の外周に形成されたフランジ14aに対向
していて、ボス本体17に加わる前方スラストをこのフ
ランジ14aに受止めさせるようになっている。
【0018】図2及び図3において、ボス本体17に
は、その外周面に開口すると共に底面を前記ダンパゴム
20の外周面に近接させて周方向等間隔置きに並ぶ3つ
の凹部26と、各凹部26の前後方向両端壁に開口する
一対の軸受孔28,29と、相隣る凹部26間に挟まれ
るランド部27を軸方向に貫通する3本の排気路30
と、これら排気路30及び前記排気出口13間を連通さ
せる円筒部31とが設けられる。この円筒部31は、前
記取付孔7の後方開口部に回転可能に挿入される。
【0019】ボス本体17の各凹部26にはプロペラブ
レード32のボス32aが収容され、このボス32aに
スプライン嵌合するブレード軸33の前後両端部が前記
軸受孔28,29に合成樹脂製のブッシュ34,35を
介して回転自在に支承される。こうして3本のブレード
軸33は、プロペラ軸4と平行に且つそれを取囲むよう
に配置される。
【0020】各ブレード軸33には、後部軸受孔29の
後方開口部に形成された円形凹部36に回転可能に収め
られるフランジ33aが設けられており、このフランジ
33aを後方より押えてブレード軸33の軸方向位置を
固定する、各軸共通の押え板37がボス本体17の後端
面に重ねられる。押え板37には、排気路30と整合す
る排気孔30aが設けられている。
【0021】ボス本体17の後端には、その軸線を中心
とする同一円上に等間隔を置いて並ぶ複数本のステンレ
ス鋼製の取付ボルト48(図示例では3本、図5参照)
がブレード軸33と平行に植設され、これら取付ボルト
48によって前記押え板37が支持される。 而して、
各プロペラブレード32は、図3に示すように、プロペ
ラ直径Dを最小にする閉じ位置Aと、それを最大にする
開き位置Bとの間をブレード軸33と共に回動するもの
で、その閉じ位置A及び開き位置Bは、プロペラブレー
ド32が凹部26の内側壁に当接することにより規制さ
れる。
【0022】図2、図6及び図7に示すように、プロペ
ラボス12は、Al合金製ボス本体17の後端部にステ
ンレス鋼製の薄肉のディフューザ管39を、両者の外周
面が連続するように嵌合して構成される。このディフュ
ーザ管39の内周壁には取付板46が溶接されており、
この取付板46は、ボス本体17の後端面との間に同期
室40を画成する。この同期室40において、全てのプ
ロペラブレード32相互を同期連動させる同期装置41
が構成される。
【0023】即ち、図2,図4,図5及び図7に示すよ
うに、同期装置41は、各ブレード軸33の後端に一体
に連設されたクランク42と、前記位置決めボス17a
を囲繞してクランク42相互を連結する1個の同期リン
グ43とから構成される。クランク42のクランクアー
ム42aはブレード軸33からプロペラ軸4に向って屈
曲しており、その先端のクランクピン42bは、前記位
置決めボス17aの外周に形成された円弧状の逃げ44
に揺動可能に受容される。一方、同期リング43には、
内周面に開口する3つのU字状係合溝45が設けられて
おり、それらに前記クランクピン42bが摺動自在に嵌
合される。また同期リング43は、3本の排気路30を
後方から塞がないように外形が設定される。而して、全
てのブレード軸33は、それぞれのクランク42及び共
通の同期リング43を介して互いに回動角を規制し合う
ことにより、同期して回動することができる。
【0024】同期リング43には、プロペラボス12の
軸線を中心とする同一円上を延びつゝ等間隔を置いて並
ぶ複数(図示例では3個)の円弧状長孔5が穿設され、
これら長孔52は、前記取付ボルト48に摺動自在に嵌
合される。したがって、同期リング43は、取付ボルト
48に案内されてプロペラボス12の軸線周りに正確に
回動することが可能である。このことは、ダンパゴム2
0の歪みによりプロペラボス12の軸線がプロペラ軸4
の軸線に対し傾いた場合でも、同期リング43の回動軸
線はプロペラボス12においては不変であることを意味
し、これによって円滑な同期作用が得られると共に、同
期リング43の芯出し構造が簡単となる。
【0025】また各取付ボルト48には、前記押え板3
7及び同期リング43間に介在して該リング43を前記
ディフューザ管39の取付板46内面に当接させるディ
スタンスカラー47が嵌合され、そして、上記取付板4
6を貫通する取付ボルト48の後端にダブルナット53
が螺締される。こうして、取付ボルト48及びダブルナ
ット53により押え板37、同期リング43及びディフ
ューザ管39はボス本体17に取付けられる。
【0026】同期室40には、また、同期装置41を介
して全プロペラブレード32を前記閉じ位置Aに向って
回動付勢する戻しばね49が収容される。この戻しばね
49は捩じりコイルばねをもって構成され、そのコイル
部49aは、全てのクランク42を囲繞するようディフ
ューザ管39の内周面に沿って配置され、このコイル部
49aの前後両端に形成した係止爪49b,49cは、
前記押え板37及び同期リング43に形成された係止溝
50,51にそれぞれ係合される。
【0027】次にこの実施例の作用について説明する。
駆動軸2から前、後進歯車機構3を介してプロペラ軸4
が駆動されると、その駆動トルクは、スリーブ18、ダ
ンパゴム20を経てプロペラボス12へ、更にブレード
軸33からプロペラブレード32へと伝達するので、プ
ロペラブレード32群がプロペラボス12と共に回転し
て推力を発生する。
【0028】而して、プロペラボス12の低速回転域で
は、全てのプロペラブレード32は、戻しばね49の力
と水の抗力により同期装置41を介して閉じ位置Aに保
持されて、プロペラ直径Dを最小にしているので、発生
する推力が比較的小さく、トローリングを容易に行うこ
とができる。
【0029】その後、プロペラボス12の回転速度が一
定値を超えて上昇していくと、全てのプロペラブレード
32は、それらに作用する遠心力が水の抗力及び戻しば
ね49の反発力と釣合うところまで開いていく。そして
所定の高速回転域に入ると最大の開き位置Bに達してプ
ロペラ直径Dを最大にするので、大なる推力を発生して
高速クルージングを可能にする。
【0030】ところで、プロペラブレード32と一体回
転するブレード軸33の各クランクピン42bは同期リ
ング43を介して相互に連結しており、しかも同期リン
グ43は取付ボルト48に案内されてプロペラボス12
の軸線周りに正確に回転し得るので、全てのプロペラブ
レード32は的確に連動して開閉することができ、した
がって走航中の部分的な条件変化による各プロペラブレ
ード32の開き角度のばらつきを無くして、プロペラ5
の性能や安定化を図ることができる。
【0031】走航中、浮流物等の小障害物が或るプロペ
ラブレード32に当った場合には、衝撃力が同期装置4
1を介して他の全てのプロペラブレード32に分散し、
そしてダンパゴム20に捩り変形が生じて、プロペラブ
レード32に加わる衝撃力を緩和することができる。ま
た岩等の大障害物がプロペラブレード32に当った場合
は、ダンパゴム20とボス本体17aとの間に滑りが生
じ、プロペラ軸4がプロペラボス12に対して空転する
ので、プロペラ5の各部、並びに動力伝達系の過負荷を
遮断することができる。
【0032】また図示しないエンジンの排ガスは推進機
本体1の中空部1aに排出されるもので、その排ガスは
ベアリングホルダ10の排気出口13からボス本体17
の円筒部31へ排出され、そこから3本の排気路30に
分流し、押え板37の排気孔30a、同期室40及び取
付板46の排気孔30bを順次通って、即ちディフュー
ザ管39内を通って水中に排出される。上記のように、
推進機本体1からボス本体17の3本の排気路30への
排ガスの受渡しは、ボス本体17前端の円筒部31内で
行われるので、プロペラボス12の回転中にも拘らず、
3本の排気路30への排ガスの均等分配を行うことがで
きる。
【0033】しかも、各排気路30は、ボス本体17の
ランド部27を、即ち、プロペラブレード32のボス3
2aを収容する3つの凹部26の間を通るように形成さ
れているので、ボス32a及びそれを支持するブレード
軸33に邪魔されることなく、しかもプロペラボス12
の大径化を伴うことなく必要且つ充分な断面積を確保す
ることができ、排ガスの均等分配と相俟って排気抵抗の
低減に寄与し得る。
【0034】一方、ブレード軸33は、排気路30に邪
魔されることなく、前後一対の軸受孔28,29による
両端支持が可能となり、プロペラブレード32を強固に
支持することができる。
【0035】またトルク制限装置16のダンパゴム20
は、ボス本体17と同心状に重合配置されるので、ボス
本体17は、固定ブレードを持つ通常型プロペラと略同
等の軸方向長さに形成することができる。したがって、
通常型プロペラを取付けていた比較的短いプロペラ軸へ
の装着も可能となる。しかも、プロペラブレード32
は、そのボス32aを、ボス本体17外周面の凹部26
に収容すると共に、プロペラ軸4と平行なブレード軸3
3で支持して、可変直径型に構成したので、トルク制限
装置16の容量を充分確保しつゝ、ボス本体17の大径
化を極力抑えることができる。
【0036】また同期装置41では、クランクアーム4
2aをブレード軸33の後端からプロペラ軸4に向って
屈曲させて、クランクピン42bをプロペラボス12の
位置決めボス17a外周の逃げ凹部44に受容させ、こ
のクランクピン42bに共通の同期リング43を係合さ
せたので、同期リング43の小径化、延いては同期装置
41全体のコンパクト化を達成でき、これをディフュー
ザ管39内の狭小な同期室40に容易に収容することが
できる。
【0037】さらに、同期室40には、クランクアーム
42bを囲繞しながら同期リング43を全プロペラブレ
ード32の閉じ方向へ付勢する共通の戻しばね49を収
容したので、全てプロペラブレード32に対して戻しば
ね49は1個で足り、しかも同期装置41と共に障害物
から保護される。
【0038】また、従来の可変直径プロペラでは、各プ
ロペラブレードの開き特性をそのブレード形状によって
のみ設定していたが、本発明の実施例によれば、1個の
戻しばね49のばね定数やセット荷重を選定するだけで
両プロペラブレードの開き特性を自由に設定することが
できる。したがって、メーカー側では、諸元の異なる複
数種類の戻しばね49を使用することにより、特性の異
なる各種プロペラを用意することが容易であり、またユ
ーザー側では、プロペラの戻しばね49を諸元の異なる
ものと交換することにより、推進機の変更や使用条件の
変化に対応したプロペラを容易に得ることができる。
【0039】さらに本発明の実施例では、必要に応じて
全プロペラブレード32を任意の開閉位置でダブルナッ
ト53の締付けにより固定することができる。こうする
ことは、積荷重や巡航速度などの使用条件が普段と変っ
たことに対応して、任意のプロペラ特性を全回転域で維
持させる場合に好都合である。
【0040】上記実施例においては、本発明の要旨を逸
脱することなく、種々の設計変更が可能である。例え
ば、プロペラブレード32の使用枚数を2枚や4枚にす
ることもできる。
【0041】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、プロペラ
ボスに回動自在に支承される複数のブレード軸に複数の
プロペラブレードのボスをそれぞれ結合して、プロペラ
ブレードに働く遠心力の増大に応じてプロペラ直径を増
加すべくプロペラブレードがブレード軸と共に回動する
ようにし、これらブレード軸を、各ブレード軸の一端に
連設したクランクと、各クランクのクランクピンに係合
してプロペラボスの軸線周りに回動し得る共通の同期リ
ングとからなる同期装置を介して相互に同期連動させた
ので、各プロペラブレードに作用する遠心力の利用によ
り、特別なアクチュエータを用いることなくプロペラ直
径を自動的に制御することができ、しかも構造簡単な同
期装置により全てのプロペラブレードの回動角度を、走
航中の部分的な条件変化に拘らず、均等に制御すること
ができる。
【0042】特に、同期リングのプロペラボスの軸線周
りの回動を案内すべく、該同期リングには、プロペラボ
スの軸線を囲んでブレード軸と平行となるようプロペラ
ボスに植設された複数の取付ボルトに摺動自在に嵌合す
る複数の円弧状長孔を設けたので、同期リングの取付ボ
ルトが該リングの同期回動のための案内手段を兼ねるこ
とにより、構造の一層の簡素化を図ることができ、安価
で性能の安定した可変プロペラを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る可変プロペラを備えた
船用推進機の要部の一部縦断側面図。
【図2】図1のプロペラ部の拡大縦断面図。
【図3】図2の3−3線断面図。
【図4】図2の4−4線断面図。
【図5】一部の部品を取除いて示した図4と同様の断面
図。
【図6】図2の6矢視図。
【図7】プロペラ要部の分解斜視図。
【符号の説明】
1・・・・・推進機本体 4・・・・・プロペラ軸 5・・・・・プロペラ 12・・・・プロペラボス 16・・・・トルク制限装置 32・・・・プロペラブレード 32a・・・ボス 33・・・・ブレード軸 41・・・・同期装置 42・・・・クランク 42a・・・クランクアーム 42b・・・クランクピン 43・・・・同期リング 48・・・・取付ボルト 52・・・・長孔 D・・・・・プロペラ直径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−127472(JP,A) 実開 昭56−127195(JP,U) 実開 昭61−103292(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63H 1/12 B63H 3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 推進機本体(1)に支持されてその後方
    へ突出するプロペラ軸(4)にプロペラボス(12)を
    嵌合して連結し、このプロペラボス(12)には、その
    軸線を囲むように配置される複数のブレード軸(33)
    を介して複数のプロペラブレード(32)を、これらに
    よりプロペラ直径(D)を変化させるべく回動可能に取
    付けた、船用の可変プロペラにおいて、 プロペラボス(12)に回動自在に支承される複数のブ
    レード軸(33)に複数のプロペラブレード(32)の
    ボス(32a)をそれぞれ結合して、プロペラブレード
    (32)に働く遠心力の増大に応じてプロペラ直径
    (D)を増加すべくプロペラブレード(32)がブレー
    ド軸(33)と共に回動するようにし、これらブレード
    軸(33)を、各ブレード軸(33)の一端に連設した
    クランク(42)と、各クランク(42)のクランクピ
    ン(42b)に係合してプロペラボス(12)の軸線周
    りに回動し得る共通の同期リング(43)とからなる同
    期装置(41)を介して相互に同期連動させ、前記同期
    リング(43)のプロペラボス(12)の軸線周りの回
    動を案内すべく、該同期リング(43)には、プロペラ
    ボス(12)の軸線を囲んでブレード軸(33)と平行
    となるようプロペラボス(12)に植設された複数の取
    付ボルト(48)に摺動自在に嵌合する複数の円弧状長
    孔(52)を設けたことを特徴とする、船用の可変プロ
    ペラ。
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