JP3246213B2 - 強度および耐摩耗性のすぐれた遊離黒鉛析出鉄系焼結材料 - Google Patents

強度および耐摩耗性のすぐれた遊離黒鉛析出鉄系焼結材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高強度とすぐれた耐
摩耗性を有し、例えば各種駆動装置の摺動部品などとし
て使用するのに適した遊離黒鉛析出鉄系焼結材料に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開昭57−16148号
公報および特公昭57−8860号公報に記載される通
り、パーライトの素地中に遊離黒鉛が分散分布した組織
を有する遊離黒鉛鉄系焼結材料が知られており、これが
オイルポンプの歯車やロータリコンレッサの軸受、さら
に自動車のミッション部品などの摺動部品として適用さ
れていることも知られている。また、上記の遊離黒鉛鉄
系焼結材料が、所定の配合組成を有する混合粉末から成
形した圧粉体を、還元性雰囲気中で、原料粉末として配
合した黒鉛粉末が素地に固溶しない低温、すなわち90
0〜1000℃の範囲内の所定温度で焼結することによ
り製造されることも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の各種駆動
装置の高出力化および軽量化はめざましく、これに伴な
い、これの構造部材である上記摺動部品の使用条件は一
段と厳しさを増すばかりでなく、これの薄肉化が要求さ
れるが、上記の素地中に相対的に粗大な未反応残留遊離
黒鉛が分散分布した組織を有する従来遊離黒鉛鉄系焼結
材料は、苛酷な条件下での使用では耐摩耗性が十分でな
く、かつ強度も不十分であるために、これらの要求に満
足に対応することができないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、上記の従来遊離黒鉛鉄系焼結材
料に着目し、これの強度と耐摩耗性向上をはかるべく研
究を行なった結果、原料粉末として、基本的にFe−B
−S合金粉末と黒鉛粉末とCu粉末を用い、これを所定
の配合組成に配合し、混合してなる混合粉末より成形し
た圧粉体に、還元性雰囲気中、相対的に高い焼結温度で
ある1100〜1250℃の範囲内の所定温度に加熱し
て黒鉛粉末を前記Fe−B−S合金粉末に十分に固溶さ
せ、さらにCu粉末も固溶させ、この状態から望ましく
は40℃/min.以下の冷却速度で冷却する焼結を施す
と、前記BおよびSが、前記焼結温度で素地中に固溶し
た黒鉛を冷却時に遊離黒鉛として析出するのを著しく促
進するように作用することから、パーライトからなる素
地に微細な遊離黒鉛が析出した組織を有する鉄系焼結材
料が得られるようになり、この結果の遊離黒鉛析出鉄系
焼結材料は、高強度とすぐれた耐摩耗性を有し、例えば
摺動部品として用いた場合に、これの薄肉化および苛酷
な条件下での使用にも満足に対応することができるとい
う研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、重量%(質量%)で[以下、%
は重量%(質量%)を示す]、 C:1.1〜4%、 S:0.02〜0.5%、 B:0.01〜0.5%、 Cu:0.5〜4%、 P:0.05〜0.6%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成、並
びにパーライトの素地に析出遊離黒鉛が分散分布した組
織を有する、高強度とすぐれた耐摩耗性を有する遊離黒
鉛析出鉄系焼結材料に特徴を有するものである。
【0006】つぎに、この発明の遊離黒鉛析出鉄系焼結
材料において、成分組成を上記の通りに限定した理由を
説明する。 (a) C C成分には、素地のパーライトを形成すると共に、Bお
よびSの共存作用で素地中に微細な遊離黒鉛として析出
して強度と耐摩耗性を向上させる作用があるが、その含
有量が1.1%未満では素地中にフェライトを析出する
ようになって前記作用に所望の効果が得られず、一方そ
の含有量が4%を越えると粒界セメンタイトが析出する
ようになって強度および耐焼付性が低下することから、
その含有量を1.1〜4%と定めた。望ましくは1.5
〜2.5%の含有がよい。
【0007】(b) SおよびB これらの成分には、共存して素地に固溶した黒鉛を冷却
過程で微細な遊離黒鉛として析出するのを促進させる作
用があり、この場合前記作用を十分に発揮させるには、
原料粉末としてFe中にBおよびSを所定量含有させた
溶湯からアトマイズ法により形成したFe−B−S合金
粉末を使用するのが望ましく、したがって、その含有量
がSおよびBのいずれかでもS:0.02%未満および
B:0.01%未満になると前記作用に所望の効果が得
られないばかりでなく、脆い粒界セメンタイトが析出す
るようになり、一方その含有量がいずれかでもS:0.
5%およびB:0.5%を越えると焼結性が阻害され、
強度が低下するようになることから、その含有量をS:
0.02〜0.5%、B:0.01〜0.5%と定め
た。なお、望ましくはS:0.1〜0.3%、B:0.
05〜0.2%の含有がよい。
【0008】(c) Cu Cu成分には、素地に固溶して強度を向上させる作用が
あるが、その含有量が0.5%未満では所望の強度向上
効果が得られず、一方その含有量が4%を越えてもより
一層の強度向上効果は現われず、加えて焼結時の膨張量
が大きくなって寸法精度低下の原因となることから、そ
の含有量を0.5〜4%と定めた。望ましくは1〜3%
の含有がよい。
【0009】(d) P P成分には、焼結時に液相を形成して焼結性を向上さ
せ、強度の向上に寄与する作用があるが、その含有量が
0.05%未満では所望の強度向上効果が得られず、一
方その含有量が0.6%を越えると脆化するようになる
ことから、その含有量を0.05〜0.6%と定めた。
なお、望ましくは0.2〜0.3%の含有がよい。
【0010】
【実施例】ついで、この発明の遊離黒鉛析出鉄系焼結材
料を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、
いずれも−300メッシュの粒度を有するBおよびSの
含有量を種々変化せしめた各種のFe−B−S合金粉
末、銅粉、黒鉛粉末、およびFe−P合金(P:27%
含有)粉末を用意し、これら原料粉末を表1に示される
配合組成に配合し、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛:
0.5%を加えてV型回転混合機中で30分間混合した
後、6ton /cm2 の圧力で圧粉体にプレス成形し、つい
でメッシュベルト式連続焼結炉にて、アンモニア分解ガ
ス雰囲気中、1100〜1250℃の範囲内の所定温度
に25分間保持後、35℃/min.の冷却速度で室温まで
冷却の条件で焼結することにより、実質的に上記配合組
成と同じ成分組成並びに表1に示される素地組織を有
し、かつJIS・Z2550に規定される寸法の引張試
験片および外径:18mm×内径:8mm×厚さ:10mmの
寸法をもった軸受からなる本発明遊離黒鉛析出鉄系焼結
材料(以下、本発明焼結材料という)1〜3および比較
遊離黒鉛析出鉄系焼結材料(以下、比較焼結材料とい
う)1〜6をそれぞれ製造した。なお、上記比較焼結材
料1〜6は、構成成分のうち遊離黒鉛の析出に影響を及
ぼす成分のいずれかの含有量がこの発明の範囲から外れ
た組成を有するものである。
【0011】
【表1】
【0012】つぎに、この結果得られた各種の焼結材料
について、まず耐摩耗性を評価する目的で、上記軸受に
S45Cの炭素鋼製軸を挿通し、軸回転速度:4000
r.p.m.、面圧力:20kgf/cm2 、運転時間:1時間の
条件で摩耗試験を行ない、軸受摺動面の最大摩耗深さを
測定した。また強度を評価する目的で上記引張試験片を
用いて引張試験を行ない、引張強さと伸びを測定した。
これらの測定結果を表1に示した。
【0013】
【発明の効果】表1に示される結果から、本発明焼結材
料1〜3は、いずれもパーライト素地に析出遊離黒鉛が
分散分布した組織を有し、高強度とすぐれた耐摩耗性を
示すのに対して、比較焼結材料1〜6に見られるよう
に、C,S、およびBのうちのいずれかの成分含有量
(表1に※印を付す)がこの発明の範囲から外れた組成
になると強度および耐摩耗性のうちの少なくともいずれ
かの性質が劣ったものになることが明らかである。上述
のように、この発明の遊離黒鉛析出鉄系焼結材料は、例
えば各種駆動装置の摺動部品として用いた場合に、薄肉
化した状態で苛酷な条件下でもすぐれた耐摩耗性を示す
ので、これの高出力化および軽量化に十分満足に対応す
ることができるなど工業上有用な特性を有するのであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 304 C22C 38/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:1.1〜4%、 S:0.02〜0.5%、 B:0.01〜0.5%、 Cu:0.5〜4%、 P:0.05〜0.6%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成、並
    びにパーライトの素地に析出遊離黒鉛が分散分布した組
    織を有することを特徴とする強度および耐摩耗性のすぐ
    れた遊離黒鉛析出鉄系焼結材料。
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