JP6256764B2 - 遊星歯車ユニット - Google Patents

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本発明は焼結合金からなる歯車、すなわち焼結歯車を遊星歯車として用いた遊星歯車ユニットに関する。
入力軸の回転速度を減速するなど変化させて出力軸に伝達する減速機構に遊星歯車ユニットが用いられる場合がある(特許文献1等参照)。遊星歯車ユニットは入力軸と出力軸を同軸的に配置できたり、複数の遊星歯車で負荷を分担したりすることから装置をコンパクトに設計できるなどの利点を有し、例えばモータ動力の伝達機構に組み込まれて使用される。
図3は、従来のプラネタリ型の遊星歯車ユニットの一例を示している。この遊星歯車ユニットは、環状の内歯車130とキャリア140,150とに囲まれる内部に、太陽歯車110と、太陽歯車110に噛合する複数の遊星歯車120が回転可能に支持されて構成されている。太陽歯車110の周囲の複数の遊星歯車120は、外周に太陽歯車110および内歯車130の内歯131と噛み合う歯部121が形成され、中心の軸孔122の内周面が回転軸123と回転摺動する。回転軸123は、その両端がそれぞれキャリア140,150の内面に挿入され、これらキャリア140,150に挟持された状態で支持されている。
この遊星歯車ユニットは、太陽歯車110に図示せぬ入力軸(モータ等の駆動軸)が同軸的に固定され、入力軸が回転することで駆動される。すなわち入力軸によって太陽歯車110が回転すると遊星歯車120が自転、かつ自転方向と逆方向に公転し、遊星歯車120の公転が回転軸123からキャリア140を介して、キャリア140に同軸的に固定された図示せぬ出力軸に伝達され、出力軸が太陽歯車110と同じ方向に回転する。太陽歯車110の回転が遊星歯車120の公転に変位する段階で太陽歯車110の回転は所定比率で減速され、出力軸は太陽歯車110よりも減速して回転する。
ここで、遊星歯車120は、その内周が回転軸123と良好な摺動を行いつつ、歯部121が太陽歯車10および内歯車30と噛み合い、駆動力を伝達する。このため、遊星歯車120としては、太陽歯車110および内歯車130との噛み合い駆動に耐え得る強度と、回転軸123との回転摺動を円滑に行える良好な摺動特性との両面の特性が求められる。このような用途の歯車に好適なものとしては、図3に示す遊星歯車120のように、外周に歯部121を有する歯車部材125の中心に形成された孔126に、円筒状の軸受部材127が圧入などの手段で組み込まれた軸受複合歯車が採用される(特許文献2,3等参照)。
さて、いわゆる粉末冶金法によって成形される焼結合金は、ニアネットシェイプに造形することが比較的安価かつ簡便であることから、上記遊星歯車の材料として好適なものである。そこで、上記歯車部材125には強度特性に優れた鉄系焼結合金を用い、上記軸受部材127には焼結含油軸受を用いるといったように、それぞれの部位に求められる特性に応じた原料や、密度比、焼結条件等で成形された焼結合金を用いて組み合わせた遊星歯車が用いられる。
特開2012−163186号公報 特開平7−238880号公報 特開2007−315537号公報
近年では、各種装置類の小型化の要求が高まってきており、遊星歯車を有する遊星歯車ユニットにおいても小型化が進んでいる。このような状況の下、遊星歯車は、大きさが歯先径で5〜15mmといった微小のものが要求される場合がある。このような微小な歯車においては、上記特許文献2,3等に記載されるような軸受複合歯車では、軸受部材を歯車部材に組み込むという作業が困難になる。このため、太陽歯車および内歯車との噛み合い駆動に耐え得る強度と、回転軸との回転摺動を円滑に行える良好な摺動特性とを兼ね備えた焼結歯車が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、組み付けによる製造が困難になるという不具合を解消するとともに、相手歯車との噛み合い駆動に耐え得る強度と、回転軸との回転摺動を円滑に行える良好な摺動特性とを兼ね備えた焼結歯車を提供すること、ならびに遊星歯車ユニットの小型化を達成することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の焼結歯車は、外周に相手歯車と噛み合う歯部が形成され、中心の軸孔の内周が回転軸と回転摺動する焼結歯車であって、全体組成が、Cu:3〜7質量%、C:1.5〜3.5質量%、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、パーライト、もしくはフェライトとパーライトの混合相からなる鉄基地中に銅相と気孔が分散するとともに、前記気孔中に黒鉛が分散する金属組織を呈することを特徴とする。
一般に、焼結歯車に強度を付与するためには、基地を構成するベース金属をFeとし、これをCで強化して鉄基地をパーライト単相、もしくはパーライト相とフェライト相の混合組織として構成する。強度の点から鉄基地はパーライト単相とすることが好ましい。その一方で、パーライト単相とすると回転軸を傷つけて摩耗を促進するおそれがある。そこで、本発明の焼結歯車においては、鉄基地中に軟質な銅相を分散させるとともに、固体潤滑剤として機能する黒鉛相を分散させることで、摺動相手となる回転軸の摩耗を抑制するとともに、回転摺動における摩擦抵抗を低減させる。
なお、強度の点では鉄基地をパーライト単相とすることが好ましいが、Cにより強化されないフェライト相との混合組織とすれば、摺動相手となる回転軸の摩耗を抑制することができる。ただしこの場合、フェライト相の量が増加するにしたがい鉄基地の強度が低下するため、鉄基地をフェライト相とパーライト相の混合組織とする場合、フェライト相が基地組織に占める断面面積率で60%を超えない範囲とする必要がある。
Cuは、ごく一部が鉄基地に固相拡散して鉄基地の強度を向上させるとともに、大部分が銅相として鉄基地中に分散して摺動相手とのなじみ性を向上させる。ここで、全体組成におけるCuの量が3質量%に満たないと、摺動相手とのなじみ性向上の効果が乏しくなり、相手材の摩耗が進行し易くなる。その一方で、CuはFeに比して高価であり、Cu量が増加するにしたがい焼結歯車のコストが増加することとなるが、全体組成におけるCu量が7質量%を超えても、添加量の増加、すなわちコストの増加の割になじみ性の向上の効果が乏しいため、上限を7質量%とする。
Cは、一部が鉄基地に拡散して上記のようにパーライト相を形成するとともに、残りの部分は、鉄基地中に分散する気孔中に分散して固体潤滑効果を有する黒鉛相として分散する。ここで、全体組成中のC量が1.5質量%に満たないと、黒鉛相の量が乏しくなり、摺動相手となる回転軸の摩耗を抑制するとともに、回転摺動における摩擦抵抗を低減させる効果が乏しくなる。その一方で、C量が増加して黒鉛相の量が増加するにしたがい、焼結合金の強度、すなわち焼結歯車の強度が低下することとなるため、全体組成中のC量が3.5質量%を超えると、焼結歯車の強度が著しく低下することとなる。このため、本発明の焼結歯車においては、全体組成中のC量を1.5〜3.5質量%とする。
本発明の焼結歯車は、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、Feと不可避不純物からなる純鉄粉末に、Cuと不可避不純物からなる銅粉を3〜7質量%、および黒鉛粉末を1.7〜3.7質量%添加して混合した原料粉末を用いる。原料粉末には、別途、ステアリン酸亜鉛粉末やステアリン酸アルミニウム粉末等の成形潤滑剤粉末を0.5〜1.5質量%程度添加してもよい。
焼結歯車の成形にあたっては、まず、上記の原料粉末を成形金型装置のキャビティに充填する。成形金型装置は、例えば、歯車の外周形状に形成した型孔を有するダイと、歯車の内周面を形成するコアロッドと、ダイの型孔およびコアロッドと摺動自在に嵌合して歯車の下端面を成形する下パンチと、ダイの型孔およびコアロッドと摺動自在に嵌合して歯車の上端面を成形する上パンチとを備え、型孔とコアロッドと下パンチとによりキャビティが形成される構成のものを用いる。このキャビティに原料粉末を充填した後、上パンチと下パンチにより原料粉末を圧縮成形して成形体とした後、この成形体を型孔から抜き出して成形体を取り出す。
次いで、取り出した成形体を、窒素ガスやアンモニア分解ガス等の非酸化性雰囲気中で950〜1030℃に加熱して焼結する。この加熱(焼結)工程において、純鉄粉末どうし、あるいは純鉄粉末と銅粉末は接触点から固相拡散が進行し、強固に一体となる。このとき、純鉄粉末どうし、あるいは純鉄粉末と銅粉末間の隙間が気孔として形成される。また、この加熱(焼結)工程において、黒鉛粉末の一部は、接触する純鉄粉末へ拡散して鉄基地のパーライト相を形成する。また、黒鉛粉末の一部は、鉄粉末等の表面に吸着する水分等と結合してCOガスとして消費される。この結果、焼結体に含有されるC量は1.5〜305質量%程度となる。そして、黒鉛粉末の残部は、未拡散の黒鉛粉末として気孔中に残留し、気孔中に分散する黒鉛相となる。なお、焼結温度は950℃に満たないと焼結の進行(原料粉末どうしの拡散による結合)が乏しく、強度が乏しいものとなる。その一方で、焼結温度が1030℃を超えると、鉄基地中に拡散するCやCu量が過多となって残留する銅相および黒鉛相が乏しくなる。
本発明の焼結歯車によれば、歯車自体が回転軸と回転摺動するため軸受機能を有する。したがって歯車部材の中心に軸受部材を組み込んで製造する必要がなく、よって部品点数およびコストの削減が可能である。また、潤滑油を充填して含油焼結歯車とすることにより、歯部と噛み合う相手歯車との歯面潤滑が可能であり、噛み合い特性(潤滑特性)の向上が図られる。さらに回転軸との潤滑も可能となるため、安定した動作が長期にわたって保持される。
本発明の焼結歯車は、他の歯車との噛み合い駆動に耐え得る強度と、回転軸との回転摺動を円滑に行える良好な摺動特性とを兼ね備えたものである。また、回転軸と摺動する内周のみならず、他の歯車と噛み合う歯面にも銅相および黒鉛相が分散するため、歯車の噛み合い時の摩擦も軽減され、良好な動力伝達を行うことができる。このため、歯車部材と軸受部材を組み合わせた軸受複合歯車を適用することが困難な歯先径が5〜15mm程度の微小歯車に好適である。
このようなことから、本発明の焼結歯車は、遊星歯車ユニットの遊星歯車としてきわめて好適である。すなわち本発明の遊星歯車ユニットはこれに基づくものであり、太陽歯車と、前記太陽歯車に噛合する複数の遊星歯車と、前記遊星歯車が噛合する内歯を有する内歯車と、前記遊星歯車を回転可能に支持する回転軸が設けられ、該回転軸を介して該遊星歯車を自転可能に支持するキャリアと、を備え、前記太陽歯車の回転に伴って前記遊星歯車が自転、かつ公転し、該遊星歯車の公転が前記キャリアに伝達して該キャリアが回転する遊星歯車ユニットにおいて、前記遊星歯車として、上記本発明の焼結歯車を用いたことを特徴とする。
本発明の遊星歯車によれば、小型化が可能な本発明の焼結歯車を用いたことにより、遊星歯車ユニット自体を小型化することが可能となる。
本発明の遊星歯車ユニットにおいては、内歯車を、一般的な構造部品用焼結材料であるJIS Z 2550に規定された構造用鉄系材料のうちP2053〜P2055(鉄−銅−炭素系)相当の材料、すなわち、全体組成が、Cu:1〜3質量%、C:0.2〜1.0質量%、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、パーライト基地中に気孔が分散する金属組織を呈する焼結合金で構成したものを含む。このような焼結合金からなる内歯車を用いた場合、本発明の遊星歯車は該内歯車の内歯に対し優れた噛み合い特性(潤滑特性)を発揮する。
本発明の遊星歯車ユニットは、駆動時間が短い機構に用いて好適であり、例えばそのような機構としては、油圧回路内の可動部品と、該可動部品の動力源であるモータとの間に介在される減速機構が挙げられ、具体例としては車両のABS(Antilock Brake System)装置等が挙げられる。本発明の焼結歯車は、上記特許文献2,3に記載の歯車部材に比べれば強度が低いものの、この種の減速機構は駆動時間がきわめて短いことから遊星歯車への負荷は小さく、実用上は十分な強度を有するものとなる。
本発明によれば、組み付けによる製造が困難になるという不具合を解消するとともに、相手歯車との噛み合い駆動に耐え得る強度と、回転軸との回転摺動を円滑に行える良好な摺動特性とを兼ね備えた焼結歯車を提供すること、ならびに遊星歯車ユニットの小型化を達成することができるといった効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る遊星歯車ユニットの(a):側断面図、(b):(a)において左側のキャリアを外した状態のB矢視図である。 一実施形態の遊星歯車の(a):正面図、(b):側断面図である。 従来の遊星歯車ユニットの一例を示す(a):側断面図、(b):(a)において左側のキャリアを外した状態のC矢視図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
[1]遊星歯車ユニットの構成
図1(a)は一実施形態の遊星歯車ユニット1を示しており、図1(b)は(a)において左側のキャリア50を外した状態のB矢視図である。この遊星歯車ユニット1は、太陽歯車(相手歯車)10および太陽歯車10の周囲に配設され太陽歯車10に噛合する複数(この場合3つ)の遊星歯車20と、各遊星歯車20が噛合する内歯31を有する環状の内歯車(相手歯車)30と、軸方向両側に内歯車30の内部を覆って配設される一対の円板状のキャリア40,50とを備えている。この遊星歯車ユニット1は、内歯車30が固定状態とされ、太陽歯車10が回転駆動されるとともにキャリア40,50が従動回転するプラネタリ型である。
太陽歯車10の中心には、図示せぬ入力軸(モータ等の駆動軸)が同軸的に嵌合されるDカット状の入力軸嵌合孔11が形成されており、太陽歯車10は該入力軸によって回転駆動される。入力軸は、図1(a)の左側のキャリア50の中心に形成された孔51を通して太陽歯車10の入力軸嵌合孔11に嵌合される。遊星歯車20の外周には、太陽歯車10および内歯車30の内歯31に噛合する多数の歯列からなる歯部21が形成されている。複数の遊星歯車20は、太陽歯車10に対し同心状、かつ周方向に等間隔に配設され、また、内歯車30およびキャリア40も太陽歯車10に対し同軸的に配設されている。
各キャリア40,50の互いの対向面である各内面には、遊星歯車20の回転軸23が挿入される軸受凹所42,52が、それぞれ遊星歯車20に対応する箇所に形成されている。回転軸23は、遊星歯車20の中心に形成された軸孔22に貫通され、遊星歯車20は回転軸23を軸に回転する。回転軸23は、その両端が各軸受凹所42,52にそれぞれ挿入され、これらキャリア40,50に挟持された状態で支持されている。各回転軸23には遊星歯車20が回転可能にそれぞれ装着されており、遊星歯車20は内周すなわち軸孔22の内周面が回転軸23に対し摺動回転する。
図1(a)の右側のキャリア40の中心には出力軸嵌合孔41が形成されており、この出力軸嵌合孔41に図示せぬ出力軸が嵌合して固定される。キャリア40の内面における各軸受凹所42の周方向の間には、遊星歯車20と内歯車30とに囲まれたボス部43が周方向に沿ってそれぞれ形成されており、これらボス部43の先端面にはピン44が形成されている。ピン44は、キャリア50に形成された固定孔54に挿入される。そして、その固定孔54から突出するピン44の先端部を打圧して潰し固定孔54を塞ぐ加工がなされることにより、キャリア40,50は相互に固定される。
この組み立て状態で、太陽歯車10および各遊星歯車20は、内歯車30とキャリア40,50で囲まれる空間に収容される。そして、各遊星歯車20は回転軸23を介してキャリア40,50に回転可能に支持され、かつ歯部21が太陽歯車10および内歯車30の内歯31に噛合する。
内歯車30は所定の固定部に固定され、キャリア40,50は内歯車30に対して回転可能であり、キャリア40,50の回転とともに、キャリア40,50に固定される出力軸が回転する構成となっている。
[2]遊星歯車ユニットの動作
上記構成を有する遊星歯車ユニット1は、入力軸によって太陽歯車10が回転駆動されると、遊星歯車20が自転、かつ自転方向と逆方向に太陽歯車10の周囲を公転し、遊星歯車20の公転が回転軸23からキャリア40,50に伝達する。これによりキャリア40に固定された出力軸が太陽歯車10と同じ方向に回転する。太陽歯車10の回転が遊星歯車20の公転に変位する段階で太陽歯車10の回転は所定比率で減速され、出力軸は太陽歯車10よりも減速して回転する。
[3]遊星歯車
図2は、上記遊星歯車20を示している。この遊星歯車20は、焼結歯車であって、上記のように外周に相手歯車すなわち太陽歯車10および内歯車30と噛み合う歯部21が形成されている。遊星歯車20の中心には、回転軸23が貫通し、該回転軸23に内周面が回転摺動する軸孔22が形成されている。
この遊星歯車20は、全体組成が、Cu:3〜7質量%、C:1.5〜3.5質量%、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、パーライト、もしくはフェライトとパーライトの混合相からなる鉄基地中に銅相と気孔が分散するとともに、その気孔中に黒鉛が分散する金属組織を呈する焼結合金によって構成された焼結歯車である。
本実施形態の遊星歯車20によれば、歯車21自体が回転軸23と回転摺動するため、軸受機能を有する。したがって従来のように歯車部材の中心に軸受部材を組み込んで製造する必要がなく、よって部品点数およびコストの削減が可能である。また、潤滑油を充填して含油焼結歯車とすることにより、歯部21と噛み合う太陽歯車10および内歯31との歯面潤滑が可能となり、噛み合い特性(潤滑特性)の向上が図られる。さらに回転軸23との潤滑およびキャリア40,50の内面との潤滑も可能となるため、安定した動作が長期にわたって保持される。
本実施形態の遊星歯車ユニット1は、例えば車両のABS装置等の、油圧回路内の可動部品と、該可動部品の動力源であるモータとの間に介在される減速機構等に好適に用いられる。この種の減速機構は駆動時間がきわめて短いことから遊星歯車20への負荷は小さく、実用上は十分な強度を有するものとなる。
遊星歯車20のサイズは任意であるが、例えば、歯先径が5〜15mmといった微小な歯車であっても、焼結によって製造が可能である。したがって遊星歯車ユニット1の小型化もこれに伴って可能である。
なお、本実施形態では、遊星歯車20とともに内歯車30を焼結合金で構成することができる。具体的には、全体組成が、Cu:1〜3質量%、C:0.2〜1.0質量%、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、パーライト基地中に気孔が分散する金属組織を呈する焼結合金で内歯車30を構成する。これによると、内歯車30の遊星歯車20との噛み合い特性(潤滑特性)が優れたものとなるため、好ましい。
次に、本発明および本発明以外の試料を作製して本発明の効果を実証する実施例を説明する。
純鉄粉末に銅粉末および黒鉛粉末を添加量を変えて添加、混合した原料粉末を、歯車形状に成形し、非酸化性雰囲気中1000℃で焼結して、表1に示す試料番号01〜11の焼結歯車(歯先径9mm、内径2mm、歯数18枚)を作製した。得られた焼結歯車を遊星歯車として用い、図1に示した構成の遊星歯車ユニットを組み立てた。内歯車はFe−1.5質量%Cu−0.8質量%Cの組成であって、パーライト基地中に気孔が分散する金属組織を呈する焼結合金により作製した。組み立てた遊星歯車ユニットについて、300時間の連続駆動試験を行い、その後、遊星歯車ユニットを分解して遊星歯車を観察し、評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0006256764
表1によれば、本発明に該当する試料番号03,04,07〜10の焼結歯車は、摩耗が少なく、歯欠け等の発生もなく健全な状態を保持していた。一方、本発明以外のものは耐摩耗性に劣り、歯欠けも発生していた。よって本発明の優位性が実証された。
1…遊星歯車ユニット
10…太陽歯車(相手歯車)
20…遊星歯車(焼結歯車)
21…歯部
22…軸孔
23…回転軸
30…内歯車(相手歯車)
31…内歯
40,50…キャリア

Claims (3)

  1. 太陽歯車と、
    前記太陽歯車に噛合する複数の遊星歯車と、
    前記遊星歯車が噛合する内歯を有する内歯車と、
    前記遊星歯車を回転可能に支持する回転軸が設けられ、該回転軸を介して該遊星歯車を自転可能に支持するキャリアと、
    を備え、
    前記太陽歯車の回転に伴って前記遊星歯車が自転、かつ公転し、該遊星歯車の公転が前記キャリアに伝達して該キャリアが回転する遊星歯車ユニットにおいて、
    前記遊星歯車として、全体組成が、Cu:3〜7質量%、C:1.5〜3.5質量%、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、パーライト、もしくはフェライトとパーライトの混合相からなる鉄基地中に銅相と気孔が分散するとともに、前記気孔中に黒鉛が分散する金属組織を呈する焼結歯車を用い、
    前記内歯車が、全体組成が、Cu:1〜3質量%、C:0.2〜1.0質量%、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、パーライト基地中に気孔が分散する金属組織を呈することを特徴とする遊星歯車ユニット。
  2. 前記遊星歯車の歯先径が5〜15mmであることを特徴とする請求項に記載の遊星歯車ユニット。
  3. 油圧回路内の可動部品と、該可動部品の動力源であるモータとの間に介在される減速機構に用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の遊星歯車ユニット。
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