JP3245534B2 - 接続クランプ装置 - Google Patents

接続クランプ装置

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JP3245534B2 JP14721496A JP14721496A JP3245534B2 JP 3245534 B2 JP3245534 B2 JP 3245534B2 JP 14721496 A JP14721496 A JP 14721496A JP 14721496 A JP14721496 A JP 14721496A JP 3245534 B2 JP3245534 B2 JP 3245534B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活線状態において
架空配電線路等からバイパス線、接地線を引き出すとき
に使用される接続クランプ装置に係り、詳しくは電線被
覆を貫通する接触刃を具備した接続クランプ装置に関す
る。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】架空配電線路等からバ
イパス線、接地線を引き出す場合、従来より電線の絶縁
被覆を所定長さ剥ぎ取り、露出した導体を直接接続クラ
ンプを挟着する方法がとられていた。しかし、この剥ぎ
取り作業は手間がかかり、これを省くために、近年、絶
縁被覆を貫通する接触刃を具備した接続クランプが使用
されるようになっている。
【0003】この種の接続クランプにあっては、万一の
過電流(10KA〜12.5KA)の通電時において配電線の溶断
や接続クランプの破損等の支障をきたさないことが要求
される。これは、大電流が流れる場合、導電性が低い、
接触面積が少ない、接触圧力が小さい等の理由から、接
触抵抗が大きくなると、大きなジュール熱が発生するた
めに、配電線を溶断したり、接続クランプが破損したり
する問題が生じるからである。
【0004】本発明は、これらの問題点を一挙に解決す
るものであり、接触刃を導電性の良い材料で形成し、大
電流(10KA〜12.5KA)の流れに対しても十分な接触面積
を確保し、導線への把持力、締付トルクを管理すること
で一定した接触圧が得られ、しいては接触抵抗が小さ
く、ジュール熱の発生を低く押さえられ、接続クランプ
の破損を防止出来、また大電流が流れる際の衝撃力のた
めの振動が加わっても接触面積、接触圧力に変化を与え
ない接続クランプ装置を提供するこを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の接続クランプ装置は、電線の絶縁被覆を貫通する接
触刃を設けた接続クランプ装置であって、クランプ本体
上部の電線保持部を、電線径毎に略電線径に等しい大き
さの溝としたことを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明の接続クランプ装置
の一実施例を示すもので、大径電線をクランプする時の
状態を示す側面図、図2は同正面図、図3は位置決めピ
ンの作用を説明するための説明拡大断面図、図4は接触
刃の拡大斜視図、図5は細径電線をクランプする時の状
態を示す側面図、図6は同正面図である。
【0007】図1乃至図6に示す本実施例は、電線径の
太い電線と細い電線の2種類の電線に対応するタイプの
接続クランプ装置で、略C字状に構成されたクランプ本
体1の下方に、電線の絶縁被覆を貫通する接触刃2を装
備した可動接触台3が配置され、クランプ本体1の上部
に、接触刃2と対向するようにして電線保持部4が配置
されている。
【0008】電線保持部4は、クランプ本体1と一体の
電線保持本体4aと、クランプ本体1の上部にピン6を
介して回動可能に取付けられた電線保持板7とからな
る。電線保持本体4aには大径電線の直径と略等しい径
の半円部分を有する略逆U字状の凹溝5aが設られ、電
線保持板7には細径電線の直径と略等しい径の半円部分
を有する略逆U字状の凹溝5bが設けられる。これら凹
溝5a、5bは、それぞれその内周面が大径電線、細径
電線の外周面と密着、すなわち圧着状態で面接触してこ
れら電線を動かないようにしっかり保持する。電線保持
板7の回転方向の位置決めは、クランプ本体1の上部に
ピン6の近くに突設した位置決めピン8と電線保持板7
に凹溝5bと略対角線上に設けた係止孔9との係止によ
って行う。位置決めピン8は、図3に示すように、クラ
ンプ本体1の上部に設けた取付孔10内に出没可能に取
り付けられ、該取付孔10に収容したバネ10aによ
り、その頭部が、取付孔10から突出するようになって
いる。位置決めピン8の頭部には、係止孔9に連通した
溝9a(図1参照)を通過し得る直径を有する細径部8
aが形成される。電線保持板7を、図5に示す位置から
図1に示す位置にピン6を支点として回転移動させる時
は、まず位置決めピン8を取付孔10内に押し込んで、
細径部8aを係止孔9内に位置させ、次いで電線保持板
7をピン6を支点として回転させる。これにより、溝9
aが細径部8aを通り、位置決めピン8と係止孔9との
係止が外れ、電線保持板7を図1に示す位置に回転移動
させることができる。
【0009】接触刃2は、断面正三角形の三角柱形状を
しており、3つの頂部2a、2b、2cの全てが電線の
絶縁被覆を貫通する切刃となっている。頂部2a、2
b、2cを60°に形成したのは、次の理由による。す
なわち、電線の絶縁被覆への食い込み性のみを考えるな
らば、45°、30°等の小さい角度に設定することが
好ましい。しかし、角度が小さくなれば、耐久性が劣
る。絶縁被覆への食い込み性と耐久性の両方を満足させ
るためには本実施例のように60°にすることが好まし
く、このようにすることにより上述の如く3つの頂部2
a、2b、2c全てを刃として使用することができる。
また、接触刃2は、材質が導電性の優れた銅合金、好ま
しくはベリリウム銅であり、例えば、JISH3270
に規定する種類C1720を焼き入れ、焼き戻しの時効
硬化処理を行って製造される。接触刃2は、全長が例え
ば30mmで、その長手方向が電線の軸線方向に合致して
(沿い)、その頂部(図1の場合、頂部2a)が凹溝5
a、5bの中心(電線の中心)を通る中心垂直線上に位
置するように、可動接触台3に着脱自在に取り付けられ
る。接触刃2の3つの面にはそれぞれネジ孔2d(図4
参照)が設けられ、可動接触台3に該ネジ孔2dに螺合
するネジ(図示せず)を取り付けることにより、接触刃
2が可動接触台3に対して着脱自在に取り付けられる。
頂部2a、2b、2cのいずれかが摩耗したり、欠けた
り等した場合には、一旦接触刃2を可動接触台3から外
し、別の頂部2a、2b、2cを凹溝5a、5bと対向
させ、接触刃2を再度可動接触台3に固定する。
【0010】可動接触台3には、その一端部から斜め下
方に延長した端子取付部11が一体に設けられ、該端子
取付部11にリード線(図示せず)が接続され、バイパ
ス線や接地線が引き出される。可動接触台3の底部に
は、クランプ本体1の下端基部12に螺合したネジ軸1
3の頭部が回転可能に接続される。また、可動接触台3
の他端部には、クランプ本体1の垂直にのびた中間部分
に上下方向にスライド可能に係合する係合部14が一体
に設けられる。ネジ軸13の回転により可動接触台3が
回転することなくクランプ本体1の上下方向に移動し、
接触刃2を凹溝5a、5b側に接近あるいは凹溝5a、
5b側から離すことが出来る。
【0011】ネジ軸13の下端には、ノブ15が固定さ
れ、このノブ15をトルクリミッターを装備した治具
(図示せず)を介して絶縁操作棒(図示せず)に連結す
る。
【0012】上述した本実施例の接続クランプ装置を架
空配電線Aに取り付けるには、大径電線の場合、電線保
持板7を図1に示すように凹溝5a上から逃がしてお
き、また細径電線の場合、図5に示すように電線保持板
7を凹溝5a上に重ね合わさるように回転移動させて係
止孔9を位置決めピン8に係止させる。次いで、絶縁操
作棒の先端に取り付けた治具にノブ15をセットし、接
続クランプ装置を架空配電線Aの所に持ち上げ、凹溝5
aまたは5bに該架空配電線Aが嵌合するように引っ掛
ける。この後、ノブ15(ネジ軸13)を回転操作して
可動接触台3を上昇させ、接触刃2を架空配電線Aの絶
縁被覆に貫通させて導体と接触させる。これにより、端
子取付部11に接続したリード線に電流が流れ、バイパ
ス線、接地線を取ることが出来る。
【0013】このとき、治具のトルクリミッターにより
ノブ15、ネジ軸13に150Kgcm〜200Kgcmの締付
トルクが作用した状態で架空配電線Aが凹溝5aあるい
は5bと接触刃2との間に挟持される。また、接触刃2
の長手方向全長(例えば30mm)が線接触する。
【0014】以上の条件の下で、図7に示すように電線
Aの導体と可動接触台3との間に抵抗計Ωを配置して接
触抵抗値を測定したところ、以下の表1に示す結果が得
られた。なお、比較のため、従来の接続クランプ装置に
使用されているアルミニウム青銅製の接触刃を同一形
状、同一寸法にして同様にして接触抵抗値を測定し、そ
の結果を併記した。なお、配電線はOCI80(80m
m2)を使用した。
【0015】
【表1】
【0016】上記表1から明らかなように、本実施例の
場合、従来のアルミニウム青銅の接触刃を使用した場合
よりも接触抵抗値が小さいことが判明した。また、比較
例では、大電流(10KA〜12.5KA)を通電すると、接続ク
ランプの破損や配電線の溶断するという不都合が生じた
が、実施例ではこのような不都合は生じなかった。
【0017】また、電線Aに大電流(10KA〜12.5KA)が
急激に流れると、電線Aが激しく振動する。この振動の
ため電線を挟持した接続クランプも激しく振動するた
め、150Kgcm〜200Kgcmの締付トルクで電線Aを溝
内で挟持しても、電線Aと溝との間で、すなわち溝内で
電線Aと接触刃2が振動して接触面積が小さくなり、こ
れに伴い接触抵抗が増大してジュール熱が増し、電線A
の溶断や接続クランプの破損の原因となっていた。本実
施例では、前述の如く、凹溝5a、5bをそれぞれ大小
の電線Aの径に対応させて電線径に略等しくなるように
形成してあるため、電線Aに大電流(10KA〜12.5KA)が
急激に流れたとしても、凹溝5a、5b内で電線Aは殆
ど動かず、電線Aが溶断したり、接続クランプが破損し
たりするおそれはない。
【0018】図8は本発明の他の実施例を示すもので、
電線保持部4(電線保持本体4a)の凹溝5aに接触刃
2と対向するように接触刃16を設けている。なお、端
子取付部11は可動接触台3ではなく、クランプ本体1
の上部に連接されている。その他の部分は図1乃至図6
の実施例と略同じである。
【0019】このように、クランプ本体1の上下に接触
刃2、16を互いに対向するように設けると、電線Aの
導体との接触面積が増加する上に、電線Aの絶縁被覆と
電線保持部4との間の接触圧力が余り大きくならないの
で、すなわち電線保持部4から絶縁被覆に大きな圧力が
作用しないので、長期間の使用においても絶縁被覆がク
リープ現象によって“へたる”ことがなく、接触面積、
接触圧力が低下せず、接触抵抗が大きくならず、安定す
る。
【0020】なお、上記実施例では電線保持板7に凹溝
5bを1つ設けた場合を示したが、電線径に合わせて複
数の凹溝を設けるようにしてもよく、また電線径に合わ
せた凹溝を有する複数枚の電線保持板をクランプ本体1
の上部に回転可能に取り付けるようにしてもよい。
【0021】また、断面正三角形状にした接触刃は、上
記実施例以外の従来のタイプの接続クランプにも適用す
ることができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の接続クラ
ンプ装置は、クランプ本体上部の電線保持部を、電線径
毎に略電線径に等しい大きさの溝としたので、溝と電線
とは面接触し、大電流が流れても接触刃と電線の導体と
の間の接触面積を確保し、導線への把持力、締付トルク
を管理することで一定した接触圧が得られ、しいては接
触抵抗が小さく、ジュール熱の発生を低く押さえられ、
電線接続クランプの破損を防止出来、また大電流が流れ
る際の衝撃力のための振動が加わっても接触面積、接触
圧力に変化を与えない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接続クランプ装置の一実施例を示すも
ので、大径電線をクランプする時の状態を示す側面図で
ある。
【図2】同正面図である。
【図3】位置決めピンの作用を説明するための説明拡大
断面図である。
【図4】接触刃の拡大斜視図である。
【図5】細径電線をクランプする時の状態を示す側面図
である。
【図6】同正面図である。
【図7】接触刃の接触抵抗を測定する方法の説明図であ
る。
【図8】本発明の接続クランプ装置の他の実施例を示す
もので、大径電線をクランプする時の状態を示す側面図
である。
【符号の説明】
1 クランプ本体 2 接触刃 2a、2b、2c 頂部 3 可動接触台 4 電線保持部 4a 電線保持本体 5a,5b 凹溝 6 ピン 7 電線保持板 8 位置決めピン 9 係止孔 11 端子取付部 13 ネジ軸 15 ノブ
フロントページの続き (72)発明者 清水 泰治 大阪府大阪市北区本庄東2丁目3番41号 株式会社きんでん内 (72)発明者 辰巳 昭 大阪府大阪市北区西天満4丁目11番29号 大東電材株式会社内 (72)発明者 三ツ谷 勝己 大阪府大阪市北区西天満4丁目11番29号 大東電材株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−222287(JP,A) 実開 平6−56973(JP,U)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被覆電線を保持する電線保持部と、 該電線保持部によって保持された被覆電線に押圧されて
    同電線の絶縁被覆を貫通して内部導体に接触する接触刃
    を備える接続クランプ装置であって、前記 電線保持部に、大小ある電線の径に略等しい大きさ
    幅を有するを複数備えていることを特徴とする接続
    クランプ装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の接続クランプ装置にし
    て、 前記電線保持部は、電線保持本体と、該電線保持本体に
    回転可能に取り付けられた電線保持板とを有し、該電線
    保持板が前記溝を備える ことを特徴とする接続クランプ
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の接続クランプ装
    置にして、 前記溝に突出するように設けられた接触刃を有し、該接
    触刃が同溝に保持される被覆電線の絶縁被覆を貫通して
    内部導体に接触可能にされている ことを特徴とする接続
    クランプ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載の接続クラン
    プ装置にして、 前記接触刃は、銅合金からなり、断面略三角形状で、そ
    の3つの全ての頂部を切刃とし、接触刃の長手方向を電
    線の軸線方向と同一にしたことを特徴とする接続クラン
    プ装置。
  5. 【請求項5】 電線の絶縁被覆を貫通する、着脱自在と
    された接触刃を有する接続クランプ装置であって、前記
    接触刃は断面正三角形の三角柱形状をしており、3つの
    頂部の全てが絶縁被覆を貫通する切刃となっており、所
    望の頂部を切刃として使用することができるようにした
    ことを特徴とする接続クランプ装置。
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