JP3245196B2 - 自動血圧モニタリングのための装置 - Google Patents

自動血圧モニタリングのための装置

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JP3245196B2
JP3245196B2 JP27957491A JP27957491A JP3245196B2 JP 3245196 B2 JP3245196 B2 JP 3245196B2 JP 27957491 A JP27957491 A JP 27957491A JP 27957491 A JP27957491 A JP 27957491A JP 3245196 B2 JP3245196 B2 JP 3245196B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、患者の血圧を自動的に
無侵襲的にモニタリングのための方法に関しており、下
記ステップから構成される。
【0002】- 患者の腕のまわりにマンセッテを当てが
うステップ、 - 該マンセッテを予め定められた圧力に膨張させるステ
ップ、 - 該マンセッテに加えた圧力を徐々に(段階的に)減ら
すステップ、 - 下記になるまで各ステップにおいて加える圧力を一定
に保つステップ、 - 心臓の拍動により引き起こされる少なくとも1回の重
畳振動が起こるまで、 または - 予め定められた時間が終了するまで、 - 該重畳信号の振幅を測定し、心臓収縮期の血圧(心臓
収縮期圧)、心臓拡張期の血圧(心臓拡張期圧)または
平均血圧のいずれか、またはそれらの組合せを決定する
ために該振幅を処理するステップ。
【0003】本発明は、発明の方法を実施することので
きる装置にも関している。
【0004】
【従来の技術】無侵襲的方式で患者の血圧を測定するた
めの手動的方法は、患者の手、例えば腕、に圧力マンセ
ッテを当てがうことから成る。マンセッテの圧力は、次
に、患者の心臓収縮期の血圧よりも大きな圧力にされ
る。患者の腕の動脈はそれによってふさがれる。マンセ
ッテの圧力は、今度は連続的に減少されて、動脈が開く
始まりおよび終わりを示す音(コロトコフ音(Korotkof
f sounds))の現れるのを医者または看護婦がモニタす
る。該音の現れた時点での圧力の読み取り値が、心臓収
縮期および心臓拡張期の血圧を表す。
【0005】自動的に上記の測定(聴診技法(ausculta
tion technique)とも呼ばれる)を行う試み、すなわち
周期的に血圧マンセッテの圧力を上げて、収縮中にマイ
クを通してコロトコフ音を記録することのできるモニタ
による試みがある。しかし、該モニタの読み取り値は必
ずしも信頼できるとは限らない。
【0006】今日、自動血圧モニタリングに最も一般的
に用いられている手法は、脈拍と同時に起こる動脈の壁
の振動すなわち揺動を利用するいわゆる振動測定法(os
cillometric method)である。振動測定法に依れば、マ
ンセッテは、患者の心臓収縮期圧を越えた圧力にまで膨
張され、次に個々のステップで収縮される。各ステップ
中(マンセッテの圧力が一定に保たれている)は、圧力
センサは、動脈壁の動きにより引き起こされ、一定のマ
ンセッテ圧に重畳される振動を記録する。該振動の振幅
(ピークツーピーク振幅が望ましい)が記録される。あ
る圧力ステップ中に特定量の振動が観察されるとすぐ
に、マンセッテの圧力はある量だけ減少され、次のステ
ップ中に振動を記録することができる。
【0007】観察された振動の振幅、あるいはそのピー
ク値の包絡線を用いて、心臓収縮期の血圧、心臓拡張期
の血圧または平均血圧が決定される。この測定手法、お
よび振動の評価の詳細については、例えば、米国特許第
4,349,034号、欧州特許公開第208520号、欧州特許公開
第353315号および欧州特許公開第353316号などの刊行物
に記載されている。
【0008】自動血圧モニタの設計プロセスでは、該測
定は無侵襲的手法に基づくものであるが、動脈の逆圧お
よび一時的な閉塞を与えることにより、患者にストレス
が加わることを考慮に入れなければならない。特に、準
連続的な血圧記録を得るために必要な繰返し加えられる
逆圧により、感覚機能の阻害を引き起こす。このような
感覚機能は患者の防御的動きを招くことがあり、それ
は、突然の血圧変化により、人為的作用を引き起こす。
人為的作用は、測定サイクルを混乱させたり、少なくと
も長引かせる。これは、術後の患者や新生児の場合だけ
でなく、特に患者が外傷を負っている場合に起こること
がある。
【0009】したがって、測定サイクル(すなわち、逆
圧を加えてからマンセッテが完全に収縮するまでの時
間)をできる限り短くすることが、自動無侵襲的血圧モ
ニタリング装置の設計上の主要な目標である。測定サイ
クルを短くするための1つのアプローチは、例えば、必
要なステップ数を最小にするために、収縮ステップの高
さ、すなわち2つのステップ間の圧力差を、患者に適応
させることである。この方法については、すでに述べた
欧州特許公開第353315号に記述されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】血圧の測定時間をさら
に減少させることのできる方法および装置をもたらすこ
とが、本発明の主要な目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】既に述べた方法に依れ
ば、この目的は以下のステップにより達成される。
【0012】- 患者の心拍動間の時間間隔あるいは心拍
数を測定するステップ、および、 - 該時間間隔が増加したとき、あるいは該心拍数が減少
したときに、予め定められた時間期間が増加するよう
に、時間間隔または心拍数の逆数に応じて、予め定めら
れた時間期間を計算し及び/または変動させるステッ
プ。
【0013】本発明の新しいアプローチでは、収縮プロ
セスにおける1つの圧力ステップの継続時間を考慮に入
れている。該ステップの継続時間は、次の2つの要因に
より決定することができる。
【0014】a) ある圧力レベルにおいて、予め定めら
れた回数の振動が観察されるとすぐに (たいてい2回
の振動)、圧力は、次のステップに減少させることがで
きる。この時間は短くすることができない。
【0015】b) 他方、ある圧力レベルでは、振動が観
察されない、すなわち、振幅が非常に小さくて心拍動を
表示できないこともある。これは、測定のはじめ、すな
わちマンセッテの圧力が患者の心臓収縮期圧をまだ越え
ているとき、または測定の終わり、すなわちマンセッテ
の圧力が患者の心臓拡張期圧より小さいときに特にあて
はまる。第二の場合を回避する可能性があり、例えば測
定が進むにつれて必要な計算を行って、心臓拡張期圧を
検出するとすぐにマンセッテを完全に収縮させる方法は
あるが、最大マンセッテ圧を加えてから最初の振動のは
じまりまでの段階(phase)を避ける方法はない。これ
は最初の測定サイクルにおいて特にあてはまる。すなわ
ち、患者の心臓収縮期圧はそのときに分かっていないの
で、最初に加えたマンセッテ圧と最初の振動のはじめと
の間に著しい相違のあることがある。以後の測定では、
最初のマンセッテ圧は、前の測定サイクル中に検出され
た心臓収縮期圧に適応させることができる。しかし、最
初の圧力は心臓収縮期圧よりも依然としてかなり高くな
ければならない。そうでなければ、患者の心臓収縮期圧
の増加を記録することができない。
【0016】先行技術の血圧モニタでは、1つの圧力ス
テップの最大長さすなわち継続時間が指定されていた。
該最大の長さすなわち継続時間中に振動が観察されなか
った場合、マンセッテ圧は次のレベルにまで減少され
る。しかし、心拍動中にだけ振動を観察することがで
き、低い心拍数の患者の場合にもモニタを作動しなけれ
ばならないので、1つのステップの最大継続時間はかな
りなものである。例えば、心拍数が40bpm(脈拍/分)
の患者の場合、最大継続時間を、2回の連続する心拍動
間の時間間隔に相当する1.5秒(または、安全性の面か
らは、さらにそれ以上)に設定していた。最初の振動を
観察する前に幾つかの圧力ステップが必要である場合に
は、(起こらなかった)振動を待つために要する合計時
間が、実際の測定に要する時間を越えることさえある。
【0017】本発明では、幾つかの最新技術水準のモニ
タが、診断上重要な幾つかの患者のパラメータを記録す
ることのできるマルチチャンネルモニタであることを利
用している。1つの標準パラメータは、例えば、心電図
(ECG)である。血圧だけでなくECGも記録する場
合には、連続する心拍動間の時間間隔または(さらに)
心拍数を計算することができるように、ピークトリガが
ECGのQRS群を検出することができる。これらのパ
ラメータのいずれかが分かれば、1つの圧力レベルにお
ける最大継続時間(または「予め定められた時間期
間」)を、患者の既知の心拍数に適応させることができ
る。
【0018】すなわち、患者の心拍動間の時間間隔ある
いは、心拍数が分かれば、振動を待っている時間を減ら
すことができる。振動が起こらなければ、心拍数または
連続する心拍動間の時間間隔に依存するが、圧力をより
早い時点で減少させることができる。完全な測定をする
ために要する時間は、それにより、相当程度、平均して
約25%も減少することができる。患者の心臓収縮期圧が
まだ分かっていない最初の測定では、低減率は50%にも
なることがある。
【0019】したがって本発明の主要な貢献は、各圧力
レベルにおける最大時間期間を、患者の心拍数に適応さ
せることにより、測定に要する全時間を相当程度減少さ
せることができるというところにある。心拍動間の時間
間隔または心拍数の測定において、幾つかの選択のある
ことが理解される。心電図についてはすでに述べた。そ
の代りに、プレチスモグラム記録(plethysmogram reco
rding)、特に光学式プレチスモグラム(optical pleth
ysmogram)を用いて、脈拍および、したがって心拍数を
検出することができる。同じ情報は、例えばドイツ特許
公開第3703458号に記述されているような光学式酸素飽
和トランスジューサ(optical oxygensaturation trans
ducer)から得ることもできる。侵襲的血圧センサを用
いる場合には、その脈拍信号を用いて心拍数を測定する
こともできる。最後になったが重要な問題として、特に
無侵襲的血圧以外のパラメータを用いない場合(例え
ば、無侵襲的血圧用のみの独立形モニタの場合)、血圧
記録に現れる振動を心拍動を示すものとして用いて、例
えば、ある最大振動から次の振動までの時間間隔を測定
することもできる。これは、心拍動間の時間間隔、それ
に対応する心拍数もまた表している。患者パラメータが
患者の脈拍または心臓の活動状態を示すならば、該パラ
メータから心拍数を測定する他の可能性があることも理
解される。
【0020】モニタは、必ずしも多重パラメータモニタ
リング装置である必要がないことも明らかである。その
代りに、無侵襲的血圧に加えて、心臓の活動状態を示す
信号を測定するだけで充分である。同様に、心拍動また
は心拍数を示す外部で(例えば別のモニタにより)発生
された信号は、血圧を無侵襲的に測定するためだけに装
備されたモニタに送ることができる。
【0021】心拍数、または拍動から次の拍動までの心
拍動の間の時間間隔を測定することができる。しかし、
平均値を用いることが望ましい。なぜなら、1つの人為
結果、期外収縮などが、ある圧力レベルにおける計算さ
れた時間期間の最大継続時間に、確かにそれ程大きな影
響を及ぼさないということが保証されるからである。平
均心拍数は、例えば、n回の連続する心拍動間の時間間
隔を測り、それをnで割り、次にその逆数をとることに
より得ることができる。
【0022】ある圧力レベルにおける時間期間の継続時
間を、どの時間的なポイントで、患者の心臓の活動状態
に適応させるか、ということも選択の問題である。各測
定前に時間期間を計算すること、およびその測定中にそ
れを一定に保つことが望ましいが、各収縮ステップ前に
新たな計算をすること、または測定全体でこの時間期間
を一定に保つこともできる。
【0023】さらに本発明は、時間期間の計算だけでな
く、その継続時間を変える他の方法からも構成される。
例えば、後で述べるような参照テーブルを用いることが
できるが、これによれば、計算のためのプロセッサの時
間を費やす必要はない。
【0024】本発明の望ましい実施態様では、予め定め
られた時間期間は心拍動間の時間間隔に実質的に比例す
る、すなわち、心拍数には反比例する。すなわち、時間
期間の継続時間は以下の式により計算される。
【0025】tmax =Δt (1) ここで、tmax はある収縮ステップにおける最大時間期
間であり、Δtは心拍動間の時間間隔(これは、すでに
述べたように、平均値でもありうる)である。同様に、
tmax は以下の式にしたがって計算することができる。
【0026】
【数1】
【0027】ここで、HRは心拍数(脈拍/分)である
(平均値として計算することもできる)。
【0028】また、最大時間期間は、離散的関数、非線
形関数などにより計算または測定することもできる。あ
る範囲を予め定められた時間期間に割り当てることもで
き、例えば、50および70bpmの間の心拍数に、tmax=1
秒を割り当てることができる。
【0029】別の望ましい実施例に依れば、予め定めら
れた時間期間にオフセットが追加される。これは心拍数
が下がった場合に心拍動を見逃さないために、安全上の
理由から行われる。
【0030】該オフセットは、心拍数に依存するが、一
定かまたは可変にすることができる。後者の場合、心拍
数が上昇したときには、オフセットを減少させることが
望ましい。その一例として、オフセットは、120bpmを越
える心拍数では0.2秒、120bpm以下の心拍数では0.3秒に
することができる。
【0031】優れた解法に依れば、予め定められた時間
期間は、上限および/または下限に制限される、すなわ
ち「固定」される。すなわち、計算値または測定した時
間期間が下限より下がると、この下限に設定される。同
様に、時間期間が上限を越えることを避けることができ
る。下限は主として安全上の理由から設けられている
が、上限は、生理学的に意味のある心拍数に関係ない程
長い時間期間となることを避けるために設けられてい
る。
【0032】すでに述べたように、予め定められた時間
期間は、参照テーブルにより決定することもできる。こ
れは、血圧モニタの動作を制御するためにマイクロプロ
セッサを使用する場合に特に有用である。参照テーブル
は、心拍数と予め定められた時間期間との間、または心
拍動の時間間隔と予め定められた時間期間との間の相互
参照を含む。参照テーブルは、テーブルから時間期間の
値が明らかになったならばさらに計算をする必要がない
ように、一定または可変のオフセットおよび/または上
限および下限を予め含めておくように作成することがで
きる。
【0033】参照テーブルは範囲ごとに整理することも
でき、例えば、時間期間値tmax=1秒を80および90bpm
の間の心拍数に割り当てることができる(これにはすで
に述べたオフセットも含まれる)。
【0034】本発明は、患者の血圧の無侵襲的測定のた
めの装置にも関しており、次から構成される。
【0035】- マンセッテ膨張手段、特にポンプ、 - マッセッテ収縮手段、特にバルブ、 - 少なくとも一つの圧力センサ、 - 該マンセッテ膨張手段、該マンセッテ収縮手段および
該圧力センサは、患者の腕のまわりに当てがうためのマ
ンセッテと空圧接続(pneumatic connection)するため
にセットアップされる、 - 該マンセッテ膨張手段、該マンセッテ収縮手段および
該圧力センサと動作可能に接続された制御手段であっ
て、該制御手段は、マンセッテを予め定められた圧力に
膨張させて、加えた圧力を徐々に(段階的に)減少させ
るようにセットアップされ、該制御手段は、さらに、少
なくとも1回の重畳振動が観察されるまで、または予め
定められた時間期間が終了するまで、加えた圧力を各ス
テップにおいて一定に保つようにセットアップされる。
【0036】- 該圧力センサにより記録された重畳振動
の振幅から心臓収縮期の血圧、心臓拡張期の血圧および
/または平均血圧を計算するための、血圧計算手段、特
にマイクロプロセッサ。
【0037】該装置は次により特徴づけられる。
【0038】- 心拍数測定手段または心拍動間の時間間
隔を測定するための間隔測定手段、および - 該心拍数測定手段により示される心拍数に応じて、ま
たは該間隔測定手段により示される心拍動間の時間間隔
に応じて、該予め定められた時間期間を計算するように
セットアップされた時間期間計算手段。
【0039】既に述べたように、該装置は、血圧専用の
モニタとすることができるが、その場合には、心拍数ま
たは心拍動間の間隔を示す外部信号を与えなければなら
ない。また、該装置は、無侵襲的血圧だけでなく、患者
の心臓の活動状態を示す別のパラメータも測定して処理
することのできるモニタとすることができる。望ましい
実施態様では、該時間期間計算手段は、心拍数の値及び
範囲とそれに対応する予め定められた時間期間の値を保
持する参照テーブルを含む。
【0040】本発明の他の特徴および利点は、発明の詳
細な説明のみならず特許請求の範囲で確認することがで
きる。
【0041】添付の図面を参照し、本発明を制限するこ
とを意図しない一例を用いて、以下に本発明を説明す
る。
【0042】
【実施例】本発明にしたがう血圧モニタの基本的構成要
素を図1に示す。モニタ1は、モニタの動作を制御し、
血圧を計算するための血圧計算手段(ここでは、マイク
ロプロセッサ)2を含む。マイクロプロセッサは、ポン
プ(ここでは、圧力ポンプ)3とともに動作するように
接続され、圧力ポンプは、空気管すなわちホース4を介
して、患者の腕のまわりに当てがうためのマンセッテ5
と接続される。
【0043】マンセッテをモニタから分離するために必
要な空圧システム(pneumatic system)の離脱可能な接
続は図1に示していない。
【0044】マイクロプロセッサ3は、さらに、空圧シ
ステムとも接続されているバルブ5aおよび圧力センサ
6を制御する。
【0045】心拍数測定手段(ここでは、心拍数検出回
路7)は、心拍数トランスジューサ8およびマイクロプ
ロセッサ2と電気的に接続されている。心拍数トランス
ジューサ8は、例えばECG(心電図)電極から構成す
ることができ、その場合には、心拍数検出回路7は、Q
RS群を検出するためのピークトリガ回路を含む(心拍
数を測定するために血圧記録の振動を用いる場合には、
構成要素である、心拍数検出回路7および心拍数トラン
スジューサ8を省くことができる)。心拍数の計算は、
心拍数検出回路7または、望ましくはマイクロプロセッ
サ2により行うことができる。
【0046】動作時、バルブ5aは最初閉じられてい
る。マイクロプロセッサ2は、ポンプ3により、マンセ
ッテ5の圧力を予め定められた最大値にまで増加させ
る。マンセッテ圧は、次に徐々に(段階的に)減少さ
れ、このときにバルブ5は短い間だけ開く。これらのス
テップ(「収縮ステップ」)の各々では、圧力センサ6
はマンセッテ圧に重畳された振動を記録するが、これは
脈拍中の動脈壁の動きに関連している。マイクロプロセ
ッサ2は、振動のピークツーピーク振幅を利用して、患
者の心臓収縮期の血圧、心臓拡張期の血圧および/また
は平均血圧を測定する。一定の遅延後、たいてい5〜15
分の間に、次の測定が開始される。それとは対照的に、
心拍数は絶えず記録される。
【0047】図2および図3に、マイクロプロセッサの
動作の基本的なフローチャートを示す。これは、1回の
測定に関しており、すなわち測定(血圧測定)を開始す
る毎に、ラベル「開始」(参照番号9)で開始する。
【0048】測定開始後に、プロセッサはまず、ある特
定の測定サイクル、すなわちある特定の患者(参照番号
10)に対しての最初の測定であるかどうかを確認する。
そうであれば、患者の予想心臓収縮期圧はまだ分かって
いないので、マンセッテは絶対最大圧力にまで増加され
る(参照番号11)。しかし、大人と新生児とでは、絶対
最大圧力(Pmax)に差を設けることができる。
【0049】最初のサイクルでなければ、患者の以前の
サイクルの心臓収縮期圧は分かっているので、マンセッ
テ圧は、最後のサイクルの心臓収縮期圧により決まる圧
力にまで増加される(参照番号12)。
【0050】次のステップ13では、そこに示された式に
したがって予め定められた時間期間(tmax)が計算さ
れる。HRは心拍数(脈拍/分)を指し、Δは、それ自
体が心拍数により決まる安全オフセットを指す。すなわ
ち、安全オフセットは、低い心拍数では長く、高い心拍
数では短い。
【0051】計算により予め定められた時間期間(tma
x)は、次に、この場合には0.7秒である下限と比較され
る(参照番号14)。これが該限界値よりも小さい場合に
は、予め定められた時間期間が0.7秒の下限に設定され
る(ステップ15参照)。そうでなければ、変更されな
い。
【0052】同様に、時間期間(tmax)が1.6秒の上限
と比較され(参照番号16)、それを越えている場合には
この上限に設定される(参照番号17)。
【0053】ステップ18では、変数(OSC_CTR)はゼロ
に設定される。この変数は、1つの収縮ステップで観察
された振動を計数するために用いられる。動作は次に、
ラベル「A」を介して、ボックス19(図3)に進み、そ
こでタイマがスタートされる。このタイマは、各収縮ス
テップの継続時間を計時する。
【0054】モニタは次に、現在の収縮ステップで振動
が起こるのを待つ(参照番号20)。振動が検出されない
場合、システムは、予め定められた時間期間(tmax)
を越えたかどうか(参照番号21)、すなわち、振動をま
だ期待することができるかどうか、または2回の心拍動
の間の考えられる時間をすでに越えていることが、患者
の心拍数から明らかであり、現収縮ステップでは振動を
もはや期待することができないかどうかをチェックす
る。予め定められた時間間隔(tmax)を越えている場
合、動作は、後で説明するステップ22に進む。そうでな
ければ、システムは、引き続いて次の振動を探索する
(経路23)。
【0055】振動を検出したならば(経路24)、変数
(OSC_CTR)(「振動カウンタ」)が1つだけ増加され
る(ステップ25参照)。次に、振動のピークツーピーク
振幅が、さらに処理されるために記録される(ステップ
26)。ステップ27では、変数(OSC_CTR)がすでにその
最終値2に達したかどうか、すなわち図2および図3で
記述されたモニタが各収縮ステップにおいて2回の振動
を待つかどうかがチェックされる(これは選択の問題で
あること、すなわち各収縮ステップにおいて、1回の振
動または3回以上の振動を待つようにモニタを設計する
こともできることが理解される)。変数(OSC_CTR)が
その最終値2に達していない場合には、現収縮ステップ
において、1回の振動だけが起こり、プロセスが再び開
始されることを意味している(経路28)。
【0056】2回の振動を記録した場合、または予め定
められた時間期間(tmax)を越えた場合には、動作は
ステップ22に進む。このときに、モニタは、マンセッテ
圧(p)が、それ自体が患者の以前のサイクルの心臓拡
張期圧(pdia)により決まる最小圧力(pmin)以下で
あるかどうかをチェックする。前のサイクルが存在しな
い場合、すなわち最初の測定の場合には、その代りに最
小圧力の絶対値が用いられる。
【0057】最小マンセッテ圧にまだ達しない場合に
は、動作はステップ29に進む。このステップでは、マン
セッテ圧は1ステップだけ減らされる。すなわち次のサ
イクルのマンセッテ圧p(n+1)は、現サイクルのマ
ンセッテ圧p(n)から圧力差Δpを引いた値になる。
Δpの値(「ステップの高さ」)も、例えば欧州特許公
開第353315号に記載されているように、現マンセッテ圧
p(n)に依存することが望ましい。モニタは次に、次
の収縮ステップ(経路30)における測定からスタートす
る。
【0058】マンセッテ圧が最小圧力以下であることを
ステップ22で確認したならば、マンセッテは完全に収縮
される(ステップ31)。患者の心臓収縮期の血圧、心臓
拡張期の血圧および/または平均血圧を測定するため
に、記録された振動が次に評価される(ステップ32)。
ステップ33で、動作が停止する。
【0059】患者をモニタしている間は、ラベル9から
はじまる手順全体が繰返し開始される。例えば、測定は
10または15分毎に行うことができる。
【0060】図2および図3のフローチャートには、本
発明に直接関係しているステップだけを示している。モ
ニタ動作の他の部分、例えば、収縮ステップの高さの決
定、または振動のピークツーピーク振幅の評価などは、
図2および図3に示すものよりより詳細に処理されるこ
とが理解される。
【0061】発明の主要な利点、すなわち測定サイクル
を短くする点については、図4および図5に示してあ
る。図4には先行技術によるモニタによって観察された
振動(OSC)(下図)とともに、時間に関するマンセッ
テ圧(Pc)の図(上図)を示す。
【0062】図4の上図でわかるように、マンセッテ圧
はまず、患者の心臓収縮期圧を越えたある特定の最大圧
力まで増加される(参照番号34)。これは、測定サイク
ルルの第I相とも呼ばれる。
【0063】オーバシュート35の後に、マンセッテ圧
(Pc)は最初の収縮ステップ36の圧力レベルで安定す
る。この圧力レベルでは、マンセッテ圧がまだ患者の心
臓収縮期圧を著しく越えているので、振動を観察するこ
とはできない。図4の例では、モニタは、少なくとも40
bpmの心拍数に対して指定される。これは、振動が起こ
ることがまだありうるので、収縮ステップ36での圧力レ
ベルを少なくとも1.5秒間維持しなければならないこと
を意味する。安全上の理由から、図4に示すような最大
待機時間1.6秒が必要である。
【0064】同様のことが、次の収縮ステップ37、およ
び第IIa相(振動は観察することができない)の以後の
すべての収縮ステップにもあてはまる。
【0065】第IIb相中に振動が起こる。すなわち、2
回(2回より大きくても、小さくても良い)の振動が記
録されるまで、ある特定の収縮ステップでの圧力を維持
しなければならないだけである。
【0066】第III相では、振動は起こらない。したが
って、マンセッテ圧(Pc)は、収縮ステップ38だけでな
く、収縮ステップ39においても、さらに、1.6秒間一定
でなければならない。収縮ステップ39よりも後では、振
動をさらに期待することができないと結論を下すことが
できるので、マンセッテを完全に収縮させることができ
る。
【0067】先行技術のモニタでは、決して起こらない
振動を待つことにより、かなりの時間を失っていること
は明らかである。これは、測定結果に対して無意味であ
る第IIa相が、実際の測定が行われる第IIb相よりもさら
に長いという事実により具体的に例証されている。
【0068】それとは対照的に、図5には、本発明にし
たがう血圧モニタについての対応する図を示す。この例
では、モニタが患者の心拍数120bpmを検出することが仮
定されている。したがって、心拍動間の平均時間間隔は
0.5秒である。安全上の理由から、予め定められる時間
期間(tmax)は0.7秒に設定される。
【0069】図5では、図4と同じグラフの部分に対し
て、同一の参照番号(アポストロフィ(’)をつけて)
を用いている。
【0070】第I相中には、先行技術によるモニタと本
発明によるモニタとの間に相違はない。しかし、収縮ス
テップの長さが今度は1.6秒ではなく0.7秒であるから、
第IIa相中には著しい相違がある。したがって、第IIa相
中の各収縮ステップ36’、37’および以後の収縮ステッ
プは、図4の対応する収縮ステップ36、37等よりもかな
り短くなる。
【0071】図5の第IIb相は、図4の第IIb相と同じで
ある。収縮ステップ40’が第IIa相中のどの収縮ステッ
プよりも時間的に長いことに注意すべきである。これ
は、単に、2回の振動が記録されたからである。したが
って、第IIb相中の1回の収縮ステップの最大継続時間
は2×tmaxである。
【0072】収縮ステップ38’および39’(第III相)
も、図4の対応するステップ38および39よりもかなり短
い。
【0073】図4および図5を比較すると、本発明にし
たがう血圧モニタは、第IIa相を処理するために要する
時間を低減するために、先行技術のモニタよりも本質的
に優れていることが明らかである。患者の心拍数が120b
pmよりも少ない場合には、新しいモニタ(本発明による
モニタ)と先行技術によるモニタとの間の1回の測定の
継続時間の差はより小さくなるということを認めなけれ
ばならない。さらに、新モニタの優位性は、第IIa相中
のステップ回数、すなわち最初の振動が起こるまでに必
要なステップ回数に依存する。しかし、平均して、全測
定時間の25%を節約することができる。第IIa相中に5
回の収縮ステップを想定した場合、節約は絶対値で約5
秒である。
【0074】さらに、節約は、患者の心臓収縮期圧の分
かっていない最初の測定サイクル中の方が以後のサイク
ル中よりも、ずっと顕著である。
【0075】図4および図5では、振動は、マンセッテ
圧に重畳されているのであるが、別々の図に描かれてい
る。これは、その振幅が非常に小さいのでマンセッテ圧
の図ではほとんど観察することができないという、図示
上の理由からそうしているにすぎない。したがって、振
動を示している図面の縮尺は、マンセッテ圧(Pc)の縮
尺とは異なる。
【0076】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、各圧力
レベルにおける最大時間期間を患者の心拍数に適応させ
ることにより、測定に要する全時間がかなり減少され
る。すなわち、患者の心拍動間の時間間隔または心拍数
が分かれば、振動を待っている時間を減らすことができ
る。振動が起こらなければ、心拍数または連続する心拍
動間の時間間隔に依存するが、圧力を、時間的に早い段
階で減少させることができる。完全な測定をするために
要する時間は、それにより、平均して約25%程度減少さ
せることが可能であり、患者の心臓収縮期圧がまだ分か
っていない最初の測定では、低減率は50%にも及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にしたがう血圧モニタの主要構成要素の
概略ブロック図である。
【図2】本発明に関する範囲の動作の基本的ステップを
示すフローチャートである。
【図3】本発明に関する範囲の動作の基本的ステップを
示すフローチャートである。
【図4】先行技術の血圧モニタに関する、重畳された振
動のタイミング図と、1回の測定による圧力図である。
【図5】本発明にしたがう血圧モニタのマンセッテ圧お
よび振動のタイミングを示す。
【符号の説明】
1 モニタ 2 マイクロプロセッサ 3 圧力ポンプ 4 ホース 5 マンセッテ 5a バルブ 6 圧力センサ 7 心拍数検出回路 8 心拍数トランスジューサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 399117121 395 Page Mill Road Palo Alto,Californ ia U.S.A. (56)参考文献 特開 昭61−85922(JP,A) 特開 昭61−11020(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/02 - 5/0295

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】患者の血圧を無侵襲的に測定するための装
    置であって、 (6.1)マンセッテ膨張手段、特にポンプ(3)と、 (6.2)マッセッテ収縮手段、特にバルブ(5a)と、 (6.3)少なくとも一つの圧力センサ(6)と、 (6.4)該マンセッテ膨張手段、該マンセッテ収縮手段
    および該圧力センサ(6)は、患者の腕のまわりに当て
    がうためのマンセッテ(5)と空圧接続するためにセッ
    トアップされることと、 (6.5)該マンセッテ膨張手段、該マンセッテ収縮手段
    および該圧力センサ(6)と動作可能に接続された制御
    手段であって、該制御手段は、前記マンセッテ(5)を
    予め定められた圧力に膨張させて、加えた圧力を段階的
    に減少させるようにセットアップされ、該制御手段はさ
    らに、少なくとも1回の重畳振動が観察されるまで、ま
    たは予め定められた時間期間(tmax)が終了するま
    で、加えた圧力を各ステップにおいて一定に保つように
    セットアップされることと、 (6.6)該圧力センサ(6)により記録された前記重畳
    振動の振幅から心臓収縮期と心臓拡張期の血圧および/
    または平均血圧を計算するための血圧計算手段、特にマ
    イクロプロセッサ(2)とからなる装置であって、 (6.7)心拍数測定手段(7)または心拍動間の時間間
    隔を測定するための間隔測定手段と、 (6.8)該心拍数測定手段(7)により示される心拍数
    に応じて、または該間隔測定手段により示される心拍動
    間の時間間隔に応じて、該予め定められた時間期間(t
    max)を計算するようにセットアップされた時間期間計
    算手段とからなることによって特徴づけられる装置。
  2. 【請求項2】前記時間期間計算手段が、心拍数の値また
    は範囲と、それに対応する前記予め定められた時間期間
    の値を保持する参照テーブルから構成されることからな
    る請求項の装置。
  3. 【請求項3】前記心拍数測定手段または前記間隔測定手
    段は、心電図記録手段及びピークトリガ手段から成り、
    該心電図記録手段は、心電図電極と接続するためにセッ
    トアップされていることからなる請求項またはの装
    置。
  4. 【請求項4】前記心拍数測定手段または前記間隔測定手
    段が、プレチスモグラム記録手段及びピークトリガ手段
    から成り、該プレチスモグラム記録手段は、プレチスモ
    グラムトランスデューサまたは酸素飽和トランスジュー
    サと接続するためにセットアップされていることからな
    る請求項またはの装置。
  5. 【請求項5】前記心拍数測定手段または前記間隔測定手
    段は、侵襲的、または、無侵襲的な血圧記録手段及びピ
    ークトリガ手段から構成されることからなる請求項
    たはの装置。
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