JP3244981U - 自動車用フロアマット - Google Patents
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Abstract
【課題】立体的な形状でありながら、有害物質に対して耐性を発揮する自動車用フロアマットを提供する。【解決手段】自動車用フロアマット(100)は、基布(10)と、基布に植毛されたパイル糸(20)と、基布の裏面にパイル糸の抜けを防止するために塗布されたゴム層(30)と、滑り止め機能を有し、ゴム層の裏面に貼り合わされたバッキング層(40)とを備える。バッキング層の外縁部は、上方に立ち上がった立壁形状を有している。パイル糸(20)の表面は、有害物質に対して耐性を有する薬剤層(21)で被覆されている。【選択図】図3
Description
本考案は、自動車用フロアマットに関し、特にドライバー席または助手席の床に置かれるフロアマットに関するものである。
近年、自動車用フロアマットとして立体的な形状の3Dマットが市場に提供されている。例えば、表面が皮調で塩化ビニル製の3Dマットが市販されている。表面が樹脂製のこの種の3Dマットの場合、表面が靴の踵や、小石や、砂利によって擦られてキズが付きやすく、また付いたキズは外観上目立つものとなる。
特開2007-153050号公報(特許文献1)は、表面層を織布、不織布等にした自動車用3Dフロアマットを開示している。この公報に開示されたフロアマットの本体は、中間層、上層および下層の3層材料により構成されており、それらがプレスにより加圧成形され、盆状の辺縁部が突起した形状を有している。
中間層は、比較的厚みのある架橋ポリエチレン発泡板材あるいはEVA発泡板材とし、上層は、耐用性を備えた織布、不織布、タフテッドカーペット、針織カーペット、滑り止め熱可塑性ゴム層あるいは熱可塑性エラストマー層とし、下層は滑り止め熱可塑性ゴムの薄い層とし、加熱して軟化させ金型内に入れてプレスし、必要な輪郭と、凹み部および突起模様をマット表面に形成している。
特許文献1(特開2007-153050号公報)に開示されたような立体形状の自動車用フロアマットの場合、人の靴等によって運ばれた水分や、外部から侵入した水分がマット内に溜まり、マット外部に逃げない。そのため、マット内に溜まった水分によってカビが発生しやすく、菌も増殖し易い。
上記問題は、外縁部を上方に立ち上がらせた形状の3Dマット特有のものである。
本考案の目的は、立体的な形状でありながら、有害物質に対して耐性を発揮する自動車用フロアマットを提供することである。
本考案に従った自動車用フロアマットは、基布と、この基布に植毛されたパイル糸と、基布の裏面に上記パイル糸の抜けを防止するために塗布されたゴム層と、滑り止め機能を有し、ゴム層の裏面に貼り合わされたバッキング層とを備える。バッキング層の外縁部は、上方に立ち上がった立壁形状を有しており、パイル糸の表面は、有害物質に対して耐性を有する薬剤層で被覆されている。
パイル糸の表面を覆う薬剤層は、例えば、抗菌、抗ウイルス、抗アレル物質および消臭からなる群から選ばれた少なくとも一つの機能を有する。好ましくは、薬剤層は、チタンアパタイト層を含む。
好ましい実施形態では、パイル糸の抜けを防止するためのゴム層中に、防カビ剤が含浸している。
一つの実施形態では、バッキング層は、滑り止め機能を発揮するために、裏面全体に亘って分布した多数の針状小突起を有する。この場合、好ましくは、バッキング層は、厚み方向の圧縮度が高い高圧縮度領域と、低い低圧縮度領域とを有する。多数の針状小突起は、高圧縮度領域に位置する第1針状小突起と、低圧縮度領域に位置し、第1針状小突起よりも高い高さを有する第2針状小突起とを備える。第2針状小突起は、床面に対して良好な滑り止め機能を発揮する。低圧縮度領域は、例えば、高圧縮度領域の海の中に島状に点在している。
本考案によれば、パイル糸の表面が、有害物質に対して耐性を有する薬剤層で被覆されているので、フロアマット自体が有害物質に対して耐性を発揮する。
図1~3を参照して、本考案の一実施形態に係る自動車用フロアマットの主要な構成を説明する。自動車用フロアマット100は、立体的な形状のいわゆる3Dマットであり、たとえば自動車のドライバー席または助手席の床面上に配置される。フロアマット100は上辺、下辺および左右の側辺を有する概ね四角形の形状を有しているが、その外縁部、特に左右の側辺部分および下辺部分が上方に立ち上がった立壁形状となっている。
フロアマット100は、下辺に近い領域に、自動車の床面に設けられた係止具を受け入れる2個の孔1を有している。
図3に示すように、フロアマット100は、基布10と、基布10に植毛されたパイル糸20と、基布10の裏面にパイル糸の抜けを防止するために塗布されたゴム層30と、滑り止め機能を有し、ゴム層30の裏面に貼り合わされたバッキング層40とを備えている。バッキング層40の外縁部は、上方に立ち上がった立壁形状を有している。
基布10は、例えば樹脂製シートであり、ポリプロピレンなどの硬質で融点の高い材料で形成される。パイル糸20の材質は、例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等である。ゴム層30は、典型的にはラテックスゴムである。基布10とパイル糸20とゴム層30とにより、タフテッドカーペットを構成する。タフテッドカーペットは、タフティングマシン(ミシン針)でパイル糸20を基布10に差し込んで植毛し、基布10の裏面にパイル糸20の抜けを防止するためにラテックスゴム30を塗布したものである。
基布10の表面に露出するパイル糸20の表面は、有害物質に対して耐性を有する薬剤層21で被覆されている。薬剤層21は、基布10にパイル糸20を植毛後、薬剤を上方からパイル糸20に向けて吹き付ける(噴霧)ことによって形成される。そのため、基布10の表面にも薬剤の被覆層が形成される。
薬剤層21は、好ましくは、抗菌、抗ウイルス、抗アレル物質および消臭からなる群から選ばれた少なくとも一つの機能を有する。本考案の一実施形態では、薬剤層21は、チタンアパタイト層を含む。チタンアパタイト層は、吸着性を有するカルシウムヒドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2のカルシウムの一部が、光触媒機能を有する酸化チタンTiO2のチタンイオンTi4-とイオン交換したもの、すなわちチタンアパタイトTiCa9(PO4)5(OH)2で形成される。チタンアパタイトのチタン分子は、アパタイト結晶中に取り込まれるように存在する。このような構造のため、チタンアパタイトはアパタイトの有する吸着機能とチタンの有する光触媒機能を併せもつことができる。
本考案の一実施形態に係るフロアマット100では、チタンアパタイト層自体が持つ吸着機能を利用して有害物質を吸着し、チタンアパタイト層自体が持つ光触媒機能を利用して有害物質を分解する。従って、本実施形態に係るフロアマット100は、半永久的に光触媒機能を発揮することができる。チタンアパタイト層は、その表面に菌、ウイルス、アレル物質、ダニ、臭いなどの有害物質を吸着し、太陽光などの光と反応することで、有害物質を二酸化炭素及び水に分解することができる。即ち、菌等を分解できるため、抗菌・防カビ効果を発揮できる。さらに、臭い成分を分解できるため、排気ガスなどの悪臭の消臭効果を有することができる。なお、光触媒機能を促進する光は、太陽光に限定されず、LED光源や蛍光灯等でもよい。
防カビ効果を高めるために、好ましくは、パイル糸20の抜けを防止するためのゴム層30中に、防カビ剤が含浸している。
ゴム層30の裏面に貼り合わされるバッキング層40は熱可塑性樹脂製シートであり、露出する裏面全面に亘って分布した針状小突起(ニブ)41を有する。針状小突起41は、自動車の床面マットとの間で高い摩擦係合力を発揮し、自動車用フロアマット100の滑り止め機能を高める。
パイル糸20と、基布10と、ゴム層30とからなる複合体は、バッキング層40に重ね合わされた状態でプレスによって加熱加圧される。図6は、プレスの上型51と下型52との間に、重ね合わされた積層体60が位置している状態を示している。積層体60は、加熱加圧処理後に自動車用フロアマット100となるものであり、多数の針状小突起41を有するバッキング層40は加圧時に下型52に接する。
加圧処理では、上型51を下型52に向かって下降させ、積層体60を加圧圧縮してバッキング層40とゴム層30とを熱圧着する。この加圧処理により、バッキング層40の裏面に分布した針状小突起41にも圧縮力が加わり、その高さが減ずるとともに、先端が丸められてしまう。高さが低く、先端が丸められた針状小突起は、加圧処理前の初期の形状の針状小突起に比べて、摩擦係合力が劣る。
そこで、好ましい実施形態では、下型52の表面のところどころに凹部52aを設けている。図6において、凹部52aが設けられている領域Lでは、積層体60に対する加圧圧縮力が相対的に小さく、凹部52aが設けられていない領域Hでは、積層体60に対する加圧圧縮力が相対的に大きい。
図4および図5は、バッキング層40が高圧縮度領域Hと低圧縮度領域Lとを有していることを示している。バッキング層40の裏面全面に分布した針状小突起41は、高圧縮度領域Hに位置する第1針状小突起41aと、低圧縮度領域Lに位置する第2針状小突起41bとを備える。図4に図解的に示すように、低圧縮度領域Lに位置する第2針状小突起41bの高さは、高圧縮度領域Hに位置する第1針状小突起41aの高さよりも高い。また、第1針状小突起41aの先端は加圧圧縮時に丸められてしまうが、第2針状小突起41bは比較的とがった先端形状を維持する。
図5に示した実施形態では、低圧縮度領域Lは、高圧縮度領域Hの海の中に島状に点在している。
プレスによって熱圧縮された後のフロアマット100においては、バッキング層40の裏面全面に多数の針状小突起41が分布し、さらに島状に点在する低圧縮度領域Lに位置する第2針状小突起41bの高さが比較的高く、とがった先端形状を維持しているので、良好な滑り止め機能を発揮することができる。
図面を参照して上記に説明した好ましい実施形態に係る立体形状の自動車用フロアマット(3Dマット)によれば、次の作用効果が得られる。
まず第1に、フロアマットの表面が植毛された多数のパイル糸で覆われているので、靴の踵、砂利、小石等で擦られてもキズが付きにくく、仮にパイル糸の一部にキズが付いたとてしても全体的には目立たない。
立体形状のフロアマット(3Dマット)では、水分が溜まりやすく、そのために菌が増殖したり、カビが発生したりする。本考案の好ましい実施形態における第2の作用効果は、パイル糸の表面が、有害物質に対して耐性を有する薬剤層で被覆されているので、仮に水分がフロアマット内に溜まったとしても菌の増殖等を抑えることができる。さらに、パイル糸の抜けを防止するために基布の裏面に塗布されるゴム層に防カビ剤を含浸させておけば、防カビ効果も高められる。
第3に、バッキング層の裏面全体に亘って針状小突起が分布しているので、自動車の床面マットとの摩擦係合力が高く、滑り止め効果の高いフロアマットを提供できる。好ましい実施形態では、バッキング層を加熱加圧してゴム層の裏面に熱圧着させた後においても、低圧縮度領域に位置する第2針状小突起が所定の高さおよびとがった先端形状を維持するので、良好な摩擦係合力が維持される。
以上、図面を参照して本考案の実施形態を説明したが、この考案は、図示した実施形態に限定されるものではない。図示した実施形態に対して、本考案と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変更を加えることが可能である。
本考案は、立体的な形状でありながら、有害物質に対して耐性を発揮する自動車用フロアマットとして有利に利用され得る。
1 孔、10 基布、20 パイル糸、21 薬剤層、30 ゴム層、40 バッキング層、41 針状小突起、41a 第1針状小突起、41b 第2針状小突起、51 上型、52 下型、60 重ね合わされた積層体、100 自動車用フロアマット、H 高圧縮度領域、L 低圧縮度領域。
Claims (7)
- 基布と、
前記基布に植毛されたパイル糸と、
前記基布の裏面に前記パイル糸の抜けを防止するために塗布されたゴム層と、
滑り止め機能を有し、前記ゴム層の裏面に貼り合わされたバッキング層とを備え、
前記バッキング層の外縁部は、上方に立ち上がった立壁形状を有しており、
前記パイル糸の表面は、有害物質に対して耐性を有する薬剤層で被覆されている、自動車用フロアマット。 - 前記薬剤層は、抗菌、抗ウイルス、抗アレル物質および消臭からなる群から選ばれた少なくとも一つの機能を有する、請求項1に記載の自動車用フロアマット。
- 前記薬剤層は、チタンアパタイト層を含む、請求項1に記載の自動車用フロアマット。
- 前記ゴム層には、防カビ剤が含浸している、請求項1に記載の自動車用フロアマット。
- 前記バッキング層は、裏面全体に亘って分布した多数の針状小突起を有する、請求項1に記載の自動車用フロアマット。
- 前記バッキング層は、厚み方向の圧縮度が高い高圧縮度領域と、低い低圧縮度領域とを有し、
前記多数の針状小突起は、前記高圧縮度領域に位置する第1針状小突起と、前記低圧縮度領域に位置し、前記第1針状小突起よりも高い高さを有する第2針状小突起とを備える、請求項5に記載の自動車用フロアマット。 - 前記低圧縮度領域は、前記高圧縮度領域の海の中に島状に点在している、請求項6に記載の自動車用フロアマット。
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