JP3244356B2 - 二重効用吸収式冷凍機 - Google Patents

二重効用吸収式冷凍機

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JP3244356B2 JP20577193A JP20577193A JP3244356B2 JP 3244356 B2 JP3244356 B2 JP 3244356B2 JP 20577193 A JP20577193 A JP 20577193A JP 20577193 A JP20577193 A JP 20577193A JP 3244356 B2 JP3244356 B2 JP 3244356B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はいわゆる液膜流下式の二
重効用吸収式冷凍機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3は本発明者等が開発したこの種の吸
収冷凍機の一例を示したもので、高温再生器1の上部に
連設された縦型円筒状の気液分離器2と、その外周に同
心状に設けられた低温再生器3との間の隔壁を伝熱壁4
とし、低温再生器3の外周に吸収器5、蒸発器6及び凝
縮器7を同心状に配設すると共に、伝熱壁4の上端部の
全周に亙って設けた樋体8内に気液分離器2からの中濃
度溶液を注入し、樋体8の下面に設けたスリット8aか
ら、伝熱壁4の全周面に沿って中濃度溶液を流下せしめ
たものであり、また図4の従来例は、気液分離器2を上
端部がドーム状の縦型円筒状に形成してそのケーシング
を伝熱壁4とし、低温再生器3へ供給される中濃度溶液
の流出口9を、ドーム状部の真上に設けたものである。
【0003】まず図3〜4の従来例により、二重効用吸
収冷凍機の動作を説明すると、高温再生器1に供給され
た希溶液は、加熱濃縮されて気液分離器2で中濃度溶液
と冷媒蒸気に分離され、中濃度溶液は途中で高温熱交換
器12で希溶液を加熱しながら、中溶液配管13を通っ
て低温再生器3に供給され、低温再生器3では伝熱壁4
を通して気液分離器2の冷媒蒸気による加熱で更に濃縮
されて濃溶液と冷媒蒸気に分離される。濃溶液は濃溶液
配管14を通って途中で低温熱交換器15で希溶液を加
熱しながら吸収器5に入り、冷却コイル16上に滴下さ
れる。吸収器5は、その外周に設けられている蒸発器6
と連通しており、凝縮器7から蒸発器6に供給された冷
媒液は、被冷却コイル17から熱を奪って蒸発すると共
に、吸収器5において冷却コイル16に熱を奪われなが
ら、濃溶液に吸収されて希溶液となる。吸収器5内の冷
却コイル16を通った冷却水は、更に凝縮器7内の冷却
コイル16を通って、気液分離器2及び低温再生器3か
ら供給された冷媒蒸気を凝縮させる。また吸収器5の下
部に溜った希溶液は、溶液ポンプ18により希溶液配管
19を通って、途中で低温熱交換器15及び高温熱交換
器12により加熱されながら、高温再生器1へ送られ
る。なお20及び21は、吸収器5の冷却コイル16及
び蒸発器6の被冷却コイル17にそれぞれ吸収液及び冷
媒液を滴下する滴下装置である。
【0004】図3〜4のいわゆる液膜流下式吸収冷凍機
の特徴は、中濃度溶液を低温再生器3の上部に供給し、
伝熱壁4の全周面に沿って液膜として流下させるように
した点にある。従来は低温再生器3の下端から供給して
いたので、例えば特公平2−263067号のように濃
溶液を上部から取り出すようにすると、外方へ張り出し
た低温再生器3の気液分離部のために吸収器5、蒸発器
6及び凝縮器7の設置スペースが制限される上に、凝縮
器7への蒸気出口と沸騰する液面が接近し過ぎて分離不
良の原因となり、また図5に示すように、低温再生器3
内を円筒壁27により内外に仕切って内側から外側へオ
ーバーフローさせるようにすると、吸収器5などのスペ
ースの制約は解決するが、円筒壁の27の内外に溶液溜
まりが形成され、内側上部で溶液が沸騰するために伝熱
壁4が有効に利用されない上に、やはり分離不良を起こ
すおそれがある。その点で図3〜4の液膜流下式は、伝
熱壁4の全面積に溶液が接触するので、伝熱性能がきわ
めて良好であり、しかも溶液の溜まる下部では既に溶液
が濃縮されているので沸騰のおそれがなく、従って分離
不良を起こすおそれもないという利点があるが、次に述
べるような問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図3〜4の従来構成
は、図5における伝熱壁4の上部を液膜によって有効に
利用しようというものであるが、伝熱壁4の下半部は依
然として液溜まりの中に浸かっている。中濃度溶液を低
温再生器3の下部から供給していた特公平−26306
7号や図5の構成では、低温再生器3内に液溜まりが形
成されるのは止むを得ないが、図3〜4の液膜流下式で
は、この液溜まりは濃溶液配管14へ冷媒蒸気の気泡が
混入するのを防止するための液シールの役目を果しては
いるものの、むしろこの液溜まりのために本来中濃度溶
液の濃縮にのみ使用されるべき熱が濃溶液によって持ち
去られ、それだけ系の熱効率を低下させているという問
題があった。本発明はかかる問題点を解消することを目
的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1〜2に示
すように、高温再生器1の上部に連設した縦型円筒状の
気液分離器2と、その外周に同心状に配設した低温再生
器3と、更に低温再生器3の外周に同心状に配設した吸
収器5、蒸発器6及び凝縮器7により円筒状の本体ブロ
ックAを形成してなる吸収式冷凍機において、気液分離
器2から供給される中濃度溶液を低温再生器3の上部か
ら、伝熱壁4を構成する気液分離器2と低温再生器3の
隔壁4の全周面に沿って流下せしめると共に、低温再生
器3の液溜まり部を低温再生器3の器体下面から本体ブ
ロックAの下面に至るパイプ10で構成したものであ
る。
【0007】
【作用】図3〜4の構成においては、低温再生器3内は
約70mmHg、吸収器5内は冷却されているために約
7mmHgとなっており、この圧力差は低温再生器3か
ら吸収器5に至る濃溶液配管14の液柱高さと、吸収器
5の入り口付近に設けられたオリフィスとによって維持
されており、従って低温再生器3下部の液溜まりの液面
との間に所定の液柱高さを必要とする上に、流量が変動
しても低温再生器3内の冷媒蒸気の気泡が濃溶液配管1
4に侵入しないように低温再生器3の下部の液溜まりに
よって液シールを行っていたものであり、液膜流下式に
おいても、この液溜まりは濃溶液配管14へ冷媒蒸気の
気泡が混入するのを防止するための液シールの役目を果
してはいるが、一方ではこの液溜まりのために本来中濃
度溶液の濃縮にのみ使用されるべき熱が濃溶液によって
持ち去られて、それだけ熱効率が低下していたのである
が、本発明の構成によれば、従来低温再生器3内の液溜
まりであった部分をパイプ10に置き換え、所要の液シ
ールはこのパイプ10内の液溜まりで行うようにしたの
で、既に濃縮の済んだ溶液を徒に加熱して系の熱効率を
低下させるのを防止することができる。
【0008】
【実施例】図1は本発明の一実施例を示したもので、バ
ーナ23で加熱される高温再生器1の上部に揚液管24
を介して連設された縦型円筒形の気液分離器2と、気液
分離器2の外周に同心状に形成された低温再生器3との
隔壁4が、気液分離器2中の冷媒蒸気から低温再生器3
中の溶液へ熱を伝えるための伝熱壁4として形成されて
おり、気液分離器2内の下部は円筒状の仕切壁22によ
り、その内側の溶液受け部2aと外側の冷媒液受け部2
bに仕切られ、溶液受け部2aに溜まった中濃度溶液は
中濃度溶液配管13を通じて低温再生器3へ、冷媒液受
け部2bに溜まった冷媒液は冷媒配管11を通じて凝縮
器7へそれぞれ供給されるようになっている。なお溶液
受け部2aへの中濃度溶液配管13の接続を容易にする
ため、揚液管24はやや偏心して取り付けられている。
中濃度溶液配管13の他端は低温再生器3の上端部に接
続され、伝熱壁4の上端部の全周に亙って設けた樋体8
に中濃度溶液が注入されて、樋体8の下面に設けたスリ
ット8aから伝熱壁4の全周面に沿って流下するように
なっている。
【0009】樋体8の下面のスリット8aは、伝熱壁4
に接して設けられており、溶液は液膜となって流下しな
がら伝熱壁4の表面から熱を吸収し、冷媒蒸気を蒸発分
離する。こうして濃縮された溶液は、低温再生器3の下
端の濃溶液出口3bから濃溶液配管14を通って吸収器
5へ送られる。このように伝熱壁4の全表面積が、気体
に比し熱伝導率の高い液膜で覆われるので、伝熱壁4の
熱伝達効率が向上し、溶液が伝熱壁4の下端に達するま
でに、分離し得る全ての冷媒を分離して濃溶液となる。
この場合伝熱壁4及び低温再生器3の高さを、中濃度溶
液が濃縮されるのに必要十分な高さに設計すると、従来
液溜まり部を形成していた低温再生器3の下部が不要と
なるので、図3〜4において液溜まり部となっていた部
分すなわち図1における低温再生器3の器体の下面から
本体ブロックAの下端までの部分がパイプ10で代用さ
れている。従って低温再生器3の伝熱壁4に沿って流下
し濃縮の完了した溶液は、低温再生器3内には溜まら
ず、気泡が濃溶液配管14から吸収器5へ侵入するのを
防止するための液シールは、パイプ10内に溜まった濃
溶液によって達成される。この構成により、従来濃縮済
みの溶液を無駄に加熱していた弊害が除去され、気液分
離器2から低温再生器3へ必要十分な熱量のみが伝達さ
れることになって、系の熱効率が改善される。
【0010】図2は本発明の他の実施例を示したもの
で、ドーム状の天井を有する気液分離器2の器体が低温
再生器3の器体に下方から挿入された構造として、気液
分離器2の上面及び周側面を伝熱壁4として形成し、気
液分離器2から低温再生器3へ供給される中濃度溶液の
流出口9を、気液分離器2の上端ドーム状部の上方に設
けたものであり、26は溶液の飛沫が蒸気通路3cへ飛
び込まないようにするための邪魔板である。この方式に
よれば、気液分離器2の天井まで有効に伝熱壁4として
利用できて気液分離器2を一層コンパクトに設計するこ
とができる上に、本体外壁面に露出した溶接部を低減す
ることができるので、耐久性が向上し、製造工数及び検
査工数の低減に役立つという利点がある。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば上述のように、伝熱壁4
の伝熱効率の優れた液膜流下式吸収式冷凍機において、
低温再生器3の液溜まり部を低温再生器3の器体下面か
ら本体ブロックAの下端に至るパイプ10で構成したの
で、所要の液柱高さと液シールの役目をパイプ10内の
液溜まりに受け持たせると共に、伝熱壁4を中濃度溶液
の加熱に必要十分な高さまで低くすることができ、それ
によって低温再生器3内の液溜まりがなくなり、従って
気液分離後の濃溶液を無駄に加熱することがなくなり、
熱効率が向上するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の縦断面図。
【図2】本発明の他の実施例の縦断面図。
【図3】従来例の縦断面図。
【図4】他の従来例の縦断面図。
【図5】更に他の従来例の縦断面図。
【符号の説明】
1 高温再生器 2 気液分離器 2a 溶液受け部 2b 冷媒液受け部 3 低温再生器 3a 中濃度溶液入口 3b 濃溶液出口 3c 冷媒蒸気出口 4 伝熱壁 5 吸収器 6 蒸発器 7 凝縮器 8 樋体 8a スリット 9 流出口 10 パイプ 11 冷媒配管 12 高温熱交換器 13 中濃度溶液配管 14 濃溶液配管 15 低温熱交換器 16 冷却コイル 17 被冷却コイル 18 溶液ポンプ 19 稀溶液配管 20 滴下装置 21 滴下装置 22 仕切壁 23 バーナ 24 揚液管 25 断熱層 26 邪魔板 27 円筒壁 A 本体ブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上西 勝彦 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大 阪瓦斯株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−263068(JP,A) 特開 平3−247970(JP,A) 実開 昭54−94963(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 15/00 303 F25B 33/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温再生器の上部に連設した縦型円筒状
    の気液分離器と、その外周に同心状に配設した低温再生
    器と、更に低温再生器の外周に同心状に配設した吸収
    器、蒸発器及び凝縮器により円筒状の本体ブロックを形
    成した吸収式冷凍機において、気液分離器から供給され
    る中濃度溶液を低温再生器の上部から、伝熱壁を構成す
    る気液分離器と低温再生器の隔壁の全周面に沿って流下
    せしめると共に、低温再生器の液溜まり部を低温再生器
    の器体下面から円筒状ブロックの下端に至るパイプで構
    成したことを特徴とする二重効用吸収式冷凍機。
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