JP3239403B2 - 複合分離膜 - Google Patents

複合分離膜

Info

Publication number
JP3239403B2
JP3239403B2 JP33730191A JP33730191A JP3239403B2 JP 3239403 B2 JP3239403 B2 JP 3239403B2 JP 33730191 A JP33730191 A JP 33730191A JP 33730191 A JP33730191 A JP 33730191A JP 3239403 B2 JP3239403 B2 JP 3239403B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separation
membrane
polyvinyl alcohol
film
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP33730191A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05168879A (ja
Inventor
幸雄 弥永
勲 今野
美智子 熊澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP33730191A priority Critical patent/JP3239403B2/ja
Publication of JPH05168879A publication Critical patent/JPH05168879A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3239403B2 publication Critical patent/JP3239403B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パーベーパレーション
法による液体混合物の分離に用いられる分離膜に関す
る。詳しくは、本発明は、パーベーパレーション法によ
って、液体混合物から水分を除去する分離方法に用いら
れる、水親和性に富んだ高分子材料を用いた分離膜に関
する。
【0002】
【従来の技術】産業界では、水可溶性液体から水分を除
去する必要がしばしばあり、蒸発法、冷凍法、抽出法、
透析法、逆浸透法等の分離方法が使用条件に合わせて使
い分けられている。水可溶性液体としては、アルコール
類、フェノール類、エステル類、ケトン類、エーテル
類、アルデヒド類、有機酸類等の酸素含有有機化合物、
ニトリル類等の窒素含有有機化合物、無機酸類等の無機
化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0003】液体混合物からの水分の除去としては、上
述した方法が挙げられるが、共沸混合物を形成するもの
や、沸点の近い物質同志の分離には、必ずしも適してい
るとは言えず、近年ではエネルギー面からの要請もあっ
てパーベーパレーション法による分離の研究、開発が盛
んになってきた。更に実際の使用時には耐熱性と耐薬品
性、機械的強度も分離能力に劣らず重要になるのでこれ
らの点に充分に配慮しつつ、分離能力の高い材料の開発
が求められている。
【0004】この目的のためには、分離したい化合物に
存する特徴的な親和性を膜にどう与えるか、実用的な分
離能力を引出すため、いかにして効率の良い、多くの場
合、ピンホールのない極薄膜を形成させるか、更に、分
離したい化合物を含んでいる他の化合物に対する耐久性
をいかに保つかが大きな問題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、かかる目的のた
めに、ポリイミド又はポリアミドイミド等のポリイミド
系膜が用いられてきた。これは、水の選択分離に際し
、イミド結合、アド結合を有しているため水に対す
る親和力が有効あると考えられるからである。しか
し、前述した様に、実用的な分離能力を高分子材料から
引き出すためには、ピンホールの無い、極く薄い高分子
膜を形成する必要がある。同じ材料であれば実質的な膜
厚が薄ければ薄いほど実用分離能力は優れるが、ピンホ
ールが存在すれば分離能力は致命的に低下する。したが
って、理想に近い膜を形成するためには、膜の原料とな
る高分子材料は、製膜性に富んでいなければならない。
即ち、実際的には、できれば室温で可溶性である事が必
要である。そうであれば製膜、又は中空糸紡糸に際し、
様々な工夫が容易に採用でき、極めて薄い均質膜も、支
持体と一体構造的な非対称膜も製造は簡単である。しか
しながら、この要件を満たすためには、どんなポリイミ
ドやポリアミドイミドであっても良いという事ではな
く、この要件を満たす好適な材料の開発が望まれてい
た。
【0006】一方、ポリビニルアルコールを用いた液体
混合物の分離方法としては、特開昭52−47579、
特開昭47−10549、特開昭58−40103、特
開昭58−40104、特開昭58−58105、特開
昭59−109204、特開平2−6823が挙げられ
るが、実用膜として要求される透過性能、分離性能、耐
久性、高温での使用性能等が十分でない。
【0007】ポリイミド、ポリアミドイミドを用いた液
体混合物の分離方法としては、特開昭63−27050
6が挙げられるが、実用膜として性能が不十分である。
このように、工業界において、上述した諸条件を満足す
る高性能なパーベーパレーション膜は、未だ実用化され
ていないのが現状である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題点に鑑み、実際の使用上の耐熱性、耐薬品性及び機
械的強度に優れ、かつ透過流速及び分離能の高い高分子
材料について開発検討した結果、芳香族ポリイミド、芳
香族ポリアミドイミド等からなる微多孔膜上に、ポリビ
ニルアルコールからなる薄膜層を有する複合膜が、耐久
性の点からも、更に、透過流速、分離能の点からも優れ
ていることを見い出し、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、パーベーパレ
ーション法による液体混合物の分離に用いられる分離膜
であって、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド
またはこれらの混合物からなる微多孔膜上にポリビニル
アルコールからなる薄膜層を有することを特徴とする複
合分離膜に存する。以下に本発明を詳しく説明する。
【0010】本発明でいうパーベーパレーション法と
は、高分子膜又はセラミック製の膜を用いて、液体混合
物から特定の成分を分離する方法である。多数の分離法
の中でも共沸混合物を形成するものの分離、成分の沸点
が近いものの分離又は熱安定性の低い成分を含む混合物
の分離には効果的であり、近年研究開発が盛んである。
本発明では分離対象物は特に限定されないが、主として
次の様な実質的には均質な液体混合物からの水の除去を
目的とする。即ち、液体混合物とは、主として各種の液
体成分と水との混合物であり、均質であればその割合は
限定されない。
【0011】特に液体混合物がアルコール類、フェノー
ル類、エステル類、ケトン類、エーテル類、アルデヒド
類、有機酸類等の酸素含有有機化合物、ニトリル類等の
窒素含有有機化合物、無機酸類等の無機化合物、および
これらの混合物の水溶液の場合、好適に分離される。ア
ルコール類としてはメタノール、エタノール、イソおよ
びノルマルプロパノール、ブタノール、オクタノール、
ベンジルアルコールの他、多価アルコールとしてエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等
が挙げられる。
【0012】フェノール類としては、クレゾール、フェ
ノール、カテコール等が挙げられる。エステル類として
は、酢酸エチル、酢酸メチル、蟻酸エチル、プロピオン
酸メチル等の水溶性エステルが挙げられる。ケトン類と
しては、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノ
ン等が挙げられる。
【0013】エーテル類としては、ジエチルエーテル、
ジブチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジフェニルエ
ーテル、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラ
ン等が挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアル
デヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。有機酸類と
しては、蟻酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸等が挙げ
られる。ニトリル類としては、アセトニトリル、アクリ
ロニトリル等が挙げられる。無機酸類としては、塩酸、
硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。
【0014】本発明で用いられる芳香族ポリイミドとし
ては、一般的には、下記一般式(1)で表わされる芳香
族ジアミンと一般式(2)で表わされる芳香族テトラカ
ルボン酸無水物と縮重合体であって、一般式(3)で表
わされる繰り返し単位を有するものである。
【0015】
【化1】
【0016】(式中、Ar’は2価の芳香族残基であ
り、好ましくは置換されていてもよいフェニル基、アリ
ール基、ビフェニル基、ナフチル基、ビスフェノール残
基等が挙げられる。式中Arは、4価の芳香族テトラカ
ルボン酸残基を表わす。) 本発明で特に好ましく使用される芳香族ポリイミドは、
下記一般式(4)の繰返し単位の存在を特徴とする芳香
族コポリイミドであり、更に好ましいものは、上記繰返
し単位の10〜30モル%はRが下記式(5)で示され
る残基を表わし、上記繰り返し単位の90〜70モル%
はRが下記式(6)および/または(7)で示される残
基を表わすものである。
【0017】
【化2】
【0018】このコポリイミドは例えば、USP3,7
08,458号に記載されているように3,3’,4,
4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を適当
なモル比の4,4’−メチレンビスフェニルイソシアネ
ート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)
およびトリレンジイソシアネート(2,4−異性体、
2,6−異性体、あるいはそれらの混合物)とともに極
性溶媒の存在下で反応させることにより容易に得ること
ができる。この際、他のジイソシアネート化合物あるい
は他のテトラカルボン酸化合物を少量用いることも可能
である。
【0019】本発明で用いられる芳香族ポリアミドイミ
ドとしては、一般的には、下記一般式(8)で表わされ
る繰り返し単位を有するものである。本発明において特
に好ましく使用される芳香族ポリアミドイミドは繰り返
し単位の10〜90モル%、好ましくは70〜90モル
%が下記式(9)で表わされる構造を有し、かつ繰り返
し単位の90〜10モル%、好ましくは30〜10モル
%が下記式(10)で表わされる構造を有する芳香族コ
ポリアミドイミドである。
【0020】
【化3】
【0021】このコポリアミドイミドは、USP3,9
29,691号に記載の操作を用いて、すなわち約10
モル%から約90モル%対約90モル%から約10モル
%の割合のトリメリット酸無水物とイソフタル酸の混合
物と、ほぼ等量の100モル%割合の4,4’−メチレ
ンビスフェニルイソシアナートを極性溶媒の存在下反応
させて容易に得ることができる。また、この際、他のジ
イソシアネート化合物を少量使用することができる。
【0022】これらコポリイミド及びコポリアミドイミ
ドの重合、および溶解させるのに用いられる溶媒は、極
性有機溶媒でありジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、
テトラメチル尿素、ピリジンなどが例示されるが、特に
限定されるものではない。また、これらを混合して使用
してもかまわない。好ましくはジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンが用い
られ、より好ましくはジメチルホルムアミドが用いられ
る。
【0023】上述の重合に使用する極性有機溶媒の分量
は、すべての反応体が最初に溶解するのに少なくとも十
分なものであることが好ましい。溶媒の使用量は求める
コポリイミドの粘度によって調節されるものであり、コ
ポリイミドの重量%はそれほど重要でないが、通常5重
量%から約35重量%までが好ましい。分離に供される
液体混合物中に存在する他の有機化合物に対する耐薬品
性の点から芳香族コポリイミド又はコポリアミドイミド
はかなり優れているが万能ではない。既に製造された分
離膜を加熱、電子線照射又はその他の方法で、架橋させ
る事により不溶化させ耐久性を上げる事は、実用上有効
であり、このようにして、製膜後に架橋化、且つ不溶化
する事も本発明のいうところの高分子材料に含まれる。
更に又、当該高分子に対し、製膜を阻害しない他の高分
子材料、耐熱安定剤、製膜安定剤、後架橋用反応試薬、
耐酸化安定剤、単なる可塑剤等を製造される分離膜の5
0重量%以下なら加えても良い。耐久性を向上させるた
めの種々の安定剤はかえって良い結果を与える場合もあ
る。
【0024】本発明で用いられる前記コポリイミド、コ
ポリアミドイミド対数粘度(ηinh)は0.1dl/
g以上、より好ましくは0.3〜4dl/g(N−メチ
ルピロリドン中、0.5%,30℃で測定)の範囲から
選ばれる。本発明においては、上記芳香族ポリイミド及
び芳香族ポリアミドイミドの混合物を用いることもでき
る。
【0025】本発明において使用されるポリビニルアル
コールとしては好適には、平均重合度500〜350
0、ケン化度80〜100モル%のポリビニルアルコー
ル、またはその共重合体であり、共重合体としては、ア
クリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不
飽和カルボン酸またはそのエステルをビニール酢酸と共
重合ケン化してCOONa基を官能基として導入したカ
ルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アミノアルキ
ルメタアクリルアミド系モノマー等を酢酸ビニルと共重
合ケン化したカチオン変性ポリビニルアルコール、Si
基含有ビニルポリマーを酢酸ビニルと共重合ケン化した
Si変性ポリビニルアルコール、分子内に反応性に富む
官能性を有するアセトアセチル変性ポリビニルアルコー
ル等のポリビニルアルコール共重合体(ブロック共重合
体、グラフト共重合体を含む)が挙げられる。
【0026】上述した本発明の芳香族ポリイミド、芳香
族ポリアミドイミドまたはこれらの混合物(以上、本発
明の芳香族ポリイミド等という。)の微多孔質膜の製造
法としては、乾式製膜法、湿式製膜法、押出法等の公知
の製膜法により容易に製造しうるものであるが、好まし
くは湿式製膜法が用いられ、例えばポリマードープから
薄膜を形成し、水等の貧溶媒中で凝固させた後十分に洗
浄し、更に乾燥させて得られる、表面にスキン層を有す
る非対称型微多孔質膜が特に好ましい。
【0027】本発明で使用される微多孔質膜としては、
孔径が5Å〜1μから成り、水蒸気の透過速度が10-4
cm3/cm2・sec.cmHg以上であり、かつ、水
素と窒素ガスの透過速度比が2.5以上のものが好まし
く、通常膜厚は10〜500μが好ましい。中空糸の場
合外径は100〜3000μが特に好ましい。
【0028】微多孔質膜の製造法については、例えば、
特開昭62−231017号、同63−175116
号、及び同63−175115号に記載された分離膜の
製造法に準じて製造されうる。微多孔質膜の形態は、分
離膜の外側表面又は内側表面又は外側、内側両面に緻密
層を有する非対称膜が好ましい。
【0029】また分類膜の外側表面と内側表面にはさま
れた内部に、指型構造の空孔を有する非対称膜も好まし
い。指型構造の空孔とは中空糸の内側表面と外側表面に
はさまれた内部に形成されており、円周方向に1列ある
いは複数列形成されている。空孔の大きさは、たとえば
空孔が円周方向に1列に形成される場合、空孔の長径が
中空糸の肉厚未満であればよく、好ましくは肉厚の99
〜1%、より好ましくは99〜50%であればよい。ま
た、たとえば空孔が円周方向に2列以上に形成される場
合、同一直径上の各空孔の長径の和が肉厚未満であれば
よく、好ましくは肉厚の99〜1%、より好ましくは9
9〜50%であればよい。空孔の短径の大きさは、上記
長径と同等か短かければよい。
【0030】指型構造の空孔以外の部分は両表面に連通
し、かつその平均孔径が厚み方向において変化している
傾斜型多孔質構造をとっており、空孔の表面にも連通し
た細孔が存在するため、空孔部分の透過抵抗は実質的に
無視することが可能であり、十分な透過速度及び機械的
強度を得ることができる。微多孔質膜に本発明のポリビ
ニルアルコールからなる薄膜層を形成する方法として
は、ポリビニルアルコールを溶媒に溶解した希薄溶液を
微多孔質膜に塗布する方法やプラズマ重合法等による方
法が挙げられる。塗布する方法としては、浸漬法、ドク
タープレード、バーコーター、ロール転写法、スプレー
法等の公知の方法が用いられるが、中空糸微多孔質膜へ
の塗布は、浸漬法が特に好ましい。塗布は中空糸の内表
面及び外表面の両面またはいずれか一方の面に行うこと
ができる。
【0031】ポリビニルアルコールの希薄溶液の調製
は、該ポリビニルアルコールを溶解する溶媒で、かつ微
多孔質膜に対して貧溶媒であれば特に限定はされない
が、特に好ましい溶媒として、水、または水/アルコー
ル混合溶媒が挙げられる。ポリマー濃度は用いられる微
多孔質膜の孔構造または透過性能によって適宜調整され
うるが、好ましくは0.05重量%〜10重量%であ
る。
【0032】本発明の複合分離膜を浸透気化膜による有
機溶剤の脱水等の耐薬品性が要求される分野に使用する
には、可溶性ポリビニルアルコールを架橋剤で架橋して
使用することが好ましい。該ポリビニルアルコールを架
橋する方法としては、例えばポリビニルアルコール希薄
溶液中に架橋剤を含有せしめ、その溶液を微多孔質膜に
塗布して乾燥させた後に50℃〜300℃、好ましくは
100℃〜200℃で熱処理することによって行うこと
が出来る。用いられる架橋剤は特に限定されることはな
いが、好ましいものとしては、ホルマリン、有機酸、ジ
アルデヒド、メラミン樹脂、ブロックイソシアナート等
が挙げられる。
【0033】又、架橋させる方法として、該複合膜を1
50℃以上、好ましくは180〜225℃の範囲で熱処
理させることが挙げられる。即ち、これによって、ポリ
ビニルアルコールを熱水不溶にすることも出来る。この
熱処理の温度は、低すぎると不溶化が十分でなく、又高
すぎると熱劣化が生じ、好ましくない。
【0034】架橋度は、パーベーパレションに使用され
る有機溶媒の耐薬品性に応じて、調節されるものであ
る。ポリビニルアルコールを用いて得られた薄膜層の膜
厚は、通常100Å〜50μm、好ましくは500Å〜
5μmである。ポリビニルアルコールと微多孔質膜の複
合化において、ポリビニルアルコールと微多孔質膜との
密着性を高めるために、該微多孔質膜の表面をシランカ
ップリング剤で処理することが好ましい。
【0035】そのシランカップリング剤としては、γ−
ウレイドプロピル・トリエトキシシラン、γ−アミノプ
ロピル・トリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が特に
好ましい。
【0036】複合化におけるシランカップリング剤の処
理方法としては、シランカップリング剤のアルコール溶
液又は水浴液中に微多孔質膜を浸漬又は、スプレー等の
方法で塗布し、次いで該微多孔質膜にポリビニルアルコ
ール溶液を塗布して100℃以上の温度、好ましくは1
50℃以上、特に好ましくは180℃以上の温度で熱処
理を行なう。
【0037】又、本発明においは、ポリビニルアルコー
ル溶液にシランカップリング剤を添加し、これを該微多
孔質膜表面に塗布することもできる。この場合シランカ
ップリング剤の濃度は0.001重量%〜5重量%の
水、水/アルコール、又はポリビニルアルコール溶液に
調整して使用される。尚、該複合膜の熱処理温度が15
0℃以下であるとシランカップリング剤の密着処理効果
が不十分な場合がポリビニルアルコールと本発明の芳香
族ポリイミド等の構成から成る複合分離膜においては、
分離比を高めるには、該芳香族ポリイミド等の微多孔質
膜の分離係数は、水/イソプロピルアルコール=13/
87(重量比)、温度80℃が真空度5トールにおい
て、少なくとも1.0以上好ましくは1.8以上であ
る。
【0038】一方、ポリビニルアルコールの分離係数が
あまり高いと透過流速が低くなり、ポリビニルアルコー
ル薄膜層の厚みによっては透過流速が極端に低下するの
で好ましくない。従って、分離比及び透過流速の両者の
バランスした透過性能を得るには、当該芳香族ポリイミ
ド等のみからなる均質なフィルムとした場合の該フィル
ムの分離係数が、ポリビニルアルコールのみからなる均
質なフィルムとした場合の分離係数より、10%以上高
くなるように本発明の芳香族ポリイミド等及びポリビニ
ルアルコールを選択して用いることが好ましく、特に2
倍以上となるようにするのが好ましい。
【0039】この分離は、水/イソプロピルアルコール
=13/87(重要比)、温度80℃、真空度5トール
で、20〜30μの均質なフィルム(非多孔膜)におい
て評価される特性値である。パーペーパレーションに用
いる分離膜とは処理液室と透過蒸気室を隔てる隔膜の事
であり、上述のようなポリビニルアルコールを塗布した
芳香族ポリイミド又は芳香族ポリアミドイミドを主たる
上記構成材料としているものであれば、形状としては、
シート状、スパイラル状、管状、中空糸状等各種のもの
が用途に応じて採用できる。
【0040】このような分離膜の形状のうち、特に中空
糸状のものは単位容積当りの有効膜面積を大きくするこ
とができ、また中空糸の外周側から加圧する場合には、
管壁の厚さが小さい割に高圧に対する機械的強度が高い
等の利点が得られる。本発明の複合分離膜において、液
体分離性能の向上が発現する機構は明確ではないが、本
来高分離能を有する芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミ
ドイミドの微多孔膜の製造過程で発生した微密層の欠陥
をある程度の分離能を有し、かつ透過速度の早いポリビ
ニルアルコールで修復することによって、意外にも透過
性能(分離比、透過流速)が飛躍的に向上することが見
出されたものである。
【0041】また、微多孔質膜とポリビニルアルコール
の密着性を向上させるための処理としてシランカップリ
ング剤により微多孔質膜の表面を行なうことによって、
耐久性も一層向上し、経済的にも有利に液体混合物の分
離を行なうことができる。
【0042】
【実施例】次に本発明を実施例によってさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限
されるものではない。尚、以下の実施例における各種透
過性能に対する評価は、中空糸12本をエポキシ樹脂で
結束して成るモジュールを用いて次の方法で行った。
【0043】(1)浸透気化法による水とイソプロピル
アルコール(以下、IPAと略す。)との混合液の透過
性能テスト(浸透気化テスト) 1次側に水/IPA=13/87(重量比)の混合溶液
を80℃に設定し、2次側を2〜3mmHgにして、該
混合溶液の脱水性能の評価を行った。透過ガスは液体窒
素で捕集し、重量測定により透過流速(g/m2・H
r)を求めた。
【0044】(2)分離係数α(水/IPA)は、次の
式によって求められた値である。 分離係数α(水/IPA)=[透過側の水/IPA(重
量比)]/[原料側の水/IPA(重量比)]
【0045】比較例−1 米国特許第3708458号の実施例−4中に述べられ
ている手順に準拠し、ポリマー原料として、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物及び
それに対し80モル%のトルエンジイソシアナートと2
0モル%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナー
トを含むDMF溶液中で重合して得たポリマー溶液を中
空糸製造用ノズルから一定流量で押出し、同時に空気を
中空糸内に一定流量で流した。次いでこれを水からなる
凝固浴中へ直接導き、一定速度で引き取り、水中で巻き
取った。これを一昼夜風乾燥した後、100℃で30分
乾燥し、310℃〜30分の条件下乾燥・熱処理し、微
多孔質膜中空糸を得た。この中空糸の外径は750μで
あり、内径は350μであった。得られた微多孔質膜の
各透過性能テストの結果を表−1に示す。
【0046】比較例−2、3 熱処理を各々300℃−30分(比較例−2)、325
℃〜30分(比較例−3)の条件下で行った以外は比較
例−1と同方法で微多孔質膜中空糸膜を製造した。この
分離膜の浸透気化法による水/IPA混合液の透過性能
を表−1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】比較例−4 微多孔質中空糸の製造において中空糸内にアセントを流
し水中で凝固させ、100℃の熱水中で5分間処理し得
られた中空糸を300℃−30分間とした以外は比較例
−1と同様にして中空糸を製造した。結果を後記表−2
に示す。
【0049】比較例−5 ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、KM−11
8)の15重量%溶液をガラス板上に流延し、フィルム
を作成後、180℃−30分熱処理した。この均質フィ
ルム(22μ)を用いて、水/IPAのパーベーパレシ
ョン評価を行った。水の透過流速は、446g/m2
Hr、分離係数は1280であった。
【0050】比較例−6 ポリビニルアルコールとしてGH−20(日本合成
(株)製)を用いた以外は比較例−5と同法で製膜(2
0μ)し、評価を行った。水の透過流速は31480g
/m2・Hr、分離係数は27であった。
【0051】比較例−7 ポリビニルアルコールとしてNH−17Q(日本合成
(株)製)を用いた以外は比較例−5と同法で製膜し
(25μ)パーベパレション評価を行った。水の透過流
速は、62g/m2・Hr、分離係数は4,450であ
った。
【0052】比較例−8 比較例−1で製造された芳香族ポリイミドの溶液をガラ
ス板上に流延し、乾燥後、300℃−30分熱処理を行
い均質なフィルムを作成した。この均質フィルム(35
μ)を用いて水/IPAのパーベーパレション評価を行
った。水の透過流速は35g/m2・Hr、分離係数は
750000であった。
【0053】実施例−1 ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、KM−11
8)の3重量%水溶液を3μのフィルターでろ過した溶
液に、比較例−4で得られた微多孔質中空糸膜をシラン
カップリング剤(日本ユニカー製、A−1120)の1
重量%エタノール溶液で表面処理したものを、1分間浸
漬し、風乾後200℃−30分の条件で熱処理を行っ
た。該複合膜を用いて水/IPAのパーベーパレション
評価を行った。(表−2)
【0054】実施例−2〜6 ポリビニルアルコールの水溶液の濃度4〜10重量%に
した以外は実施例1と同法で複合膜を作成した。結果を
表−2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】実施例−7,8 ポリビニルアルコール(PVOH)をGH−20(日本
合成(株)製)、及びHN−17Q(日本合成(株)
製)にした以外は実施例−1と同法で複合膜を作成し
た。結果を表−3に示す
【0057】
【表3】
【0058】実施例−9、10、11、12 実施例−1膜を用いてエタノール、アセトン、メチルエ
チルケトン及びメチレンクロライド(MC)について表
−4に示す。パーベーパレーション条件下で評価を行っ
た。結果を表−4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】実施例−13 トリメリット酸無水物(3.2モル)、イソフタル酸
(0.8モル)、’4.4’メチレンビスフェニレンイ
ソシアナート(4.0モル)の組成からなるポリアミド
イミドと、比較例−1で製造されたポリイミドを等量混
合した組成物を使用して製造した微多孔質中空糸に実施
例−4と同法で複合膜を製造した。水/IPA=13/
87wt%、80℃の条件下でパーベパレション法によ
る評価を行った。分離係数は>50000で透過流速1
550g/m2・Hrであった。
【0061】実施例−14〜19 実施例−3のモジュールを使用して水/イソプロピルア
ルコールのパーベーパレションを110℃で行い、下記
表−5に示す供給液組成で評価を行った。
【0062】
【表5】
【0063】
【発明の効果】本発明の複合分類膜は、耐久性、耐熱
性、透過流速、分類性能のいずれにも優れており、パー
ベーパレーション法による液体混合物の分離に好適であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−129107(JP,A) 特開 平5−31333(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 61/00 - 71/82

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パーベーパレーション法による液体混合物
    の分離に用いられる分離膜であって、芳香族ポリイミ
    ド、芳香族ポリアミドイミドまたはこれらの混合物から
    なる微多孔質膜上にポリビニルアルコールからなる薄膜
    層を有することを特徴とする複合分離膜。
JP33730191A 1991-12-19 1991-12-19 複合分離膜 Expired - Fee Related JP3239403B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33730191A JP3239403B2 (ja) 1991-12-19 1991-12-19 複合分離膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33730191A JP3239403B2 (ja) 1991-12-19 1991-12-19 複合分離膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05168879A JPH05168879A (ja) 1993-07-02
JP3239403B2 true JP3239403B2 (ja) 2001-12-17

Family

ID=18307336

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33730191A Expired - Fee Related JP3239403B2 (ja) 1991-12-19 1991-12-19 複合分離膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3239403B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05168879A (ja) 1993-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5725769A (en) Solvent-resistant microporous polymide membranes
EP0509260B1 (en) Composite or asymmetric fluorine-containing polyimide membrane, a process for manufacturing the same and a method for the separation and concentration of gas using the same
CA2297594C (en) Composite solvent resistant nanofiltration membranes
US5178940A (en) Composite or asymmetric fluorine-containing polyimide membrane, a process for manufacturing the same and a method for the separation and concentration of gas using the same
JP3171947B2 (ja) ポリアクリロニトリル共重合体選択透過膜およびその製造方法
JP2006528057A (ja) 耐溶剤性を有する一体的にスキンで覆われた非対称膜
US5391219A (en) Method for the separation and concentration of gas using a composite or asymmetric fluorine-containing polyimide membrane
JP4057217B2 (ja) 耐溶剤性微孔質ポリベンゾイミダゾール薄膜の製造方法
EP0321569B1 (en) Process for separating liquid mixture
JP3239403B2 (ja) 複合分離膜
JPH05168880A (ja) 複合分離膜
JP3992345B2 (ja) 分離膜およびこれを用いたオレフィンの分離方法
JP2984716B2 (ja) 芳香族系分離膜
JP2002126479A (ja) 多孔質膜、ガス分離膜及びその製造方法
JP2900184B2 (ja) 芳香族系共重合分離膜
EP3621997B1 (en) Copolymers and terpolymers based on chlorotrifluoroethylene and vinyl chloride and uses thereof
US10752716B2 (en) Copolymers and terpolymers based on chlorotrifluoroethylene and vinyl chloride and uses thereof
EP0753336A2 (en) Solvent resistant microporous polyimide membranes
JPH06254363A (ja) 複合分離膜
JPS63270506A (ja) 液体混合物の分離方法
JP2022538578A (ja) Nmp系膜中の反応性添加剤
JP2506837B2 (ja) 複合分離膜の製造方法
JPH0516290B2 (ja)
JP2782770B2 (ja) 有機物水溶液の浸透気化分離法
JPH0884916A (ja) 複合分離膜

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071012

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081012

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081012

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091012

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111012

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees