JP3239065U - 炭素繊維原糸の水洗装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維原糸の洗浄効果を高めることができる水洗装置を提供する。【解決手段】複数の水洗槽100を備える炭素繊維原糸の水洗装置であって、槽本体を、オーバーフロー口118が設けられる上部112と、給水口116が設けられる下部114に仕切るように配置される仕切板120と、上部のトップ領域に設けられ、炭素繊維原糸を移動させるように配置される複数の伝動ローラ130と、上部に設けられ、伝動ローラの間にあり、炭素繊維原糸が上方を移動する複数の糸案内板140と、上部に設けられ、炭素繊維原糸に下方から散水するように配置される少なくとも1つのノズル150と、下部に設けられ、洗浄水の温度を制御するように配置される温度制御装置160と、仕切板に連結される多孔質板170と、洗浄水をノズルの各々にポンピングするように配置されるポンプ180と、を含む。【選択図】図1

Description

本考案は、炭素繊維原糸の水洗装置に関し、特に、ノズルを含む炭素繊維原糸の水洗装置に関する。
炭素繊維は、高強度を有する繊維材料であり、その中でもポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の市場シェアが最も大きい。ポリアクリロニトリル系炭素繊維は、ポリアクリロニトリル前駆体繊維から製造される。ポリアクリロニトリル前駆体繊維の製造としては、重合、濾過、凝固、水洗、乾燥緻密化及び延伸等の工程を含む。紡糸中、紡糸原液は、凝固時に紡糸口金を経て凝固液に入るが、紡糸原液と凝固液との間に濃度差があるため、紡糸原液中の溶剤は凝固液に拡散するとともに、凝固液中の水はアズスパン繊維(as-spun fiber)の皮質を透過して繊維内部に浸透する。この二重拡散の過程を経て、紡糸原液は、凝固してアズスパン繊維を形成する。アズスパン繊維にはまだ一定濃度の溶剤が含まれるため、アズスパン繊維を水洗装置に導入して、繊維の表面及び内部の溶剤洗浄作業を行う必要がある。
ポリアクリロニトリル前駆体繊維の製造中、水洗は、繊維中の残存溶剤の低減を主な目的とする重要な工程である。水洗の効果が良くなく、溶剤の残留量が高いと、繊維は、後の乾燥緻密化の過程中で単繊維の融着が発生しやすく、更に毛羽及び糸切れ等の欠陥を招く。なお、後期の酸化過程で溶断等の製造異常がある場合もあり、また、後処理プロセスで炭素繊維複合材として作製する際に、樹脂の含浸が不均一で、炭素繊維複合材の物性が低下し、及び外観が不良である等の問題を引き起こすことがある。
しかしながら、水洗効果を高めるために使用水量を増やすと、消費する洗浄水量が多いほど、蒸気使用量や廃水排出量も対応して増加し、生産コストが大幅に増加する。
上述に鑑みて、多量の洗浄水を消費することなく、繊維の水洗効果を効果的に高める炭素繊維原糸の水洗装置を提供することは急務である。
本考案は、水洗槽中に仕切板を設けて温度制御装置と炭素繊維原糸とを仕切ることで、洗浄水の温度を正確に制御し、またノズルの制御により炭素繊維原糸の洗浄効果を高めることができる炭素繊維原糸の水洗装置を提供する。
本考案の一態様によると、複数の水洗槽を備える炭素繊維原糸の水洗装置を提供する。水洗槽は、炭素繊維原糸の製造方向に沿って直列に配置される。各水洗槽は、槽本体と、仕切板と、複数の伝動ローラと、複数の糸案内板と、少なくとも1つのノズルと、温度制御装置と、多孔質板と、ポンプとを備える。槽本体は、洗浄水を収容するように配置され、糸入口端と、糸出口端と、を含む。糸入口端は、給水口とオーバーフロー口とを有する。仕切板は、槽本体を上部と下部とに仕切るように配置される。前記給水口は下部に設けられ、前記オーバーフロー口は上部に設けられる。伝動ローラは、上部のトップ領域に設けられ、炭素繊維原糸を移動させるように配置される。糸案内板は、上部に設けられ、伝動ローラの間にある。炭素繊維原糸は、糸案内板の上方を移動する。ノズルは、上部に設けられ、糸入口端と糸出口端との間にある。ノズルは、炭素繊維原糸に下方から散水するように配置される。温度制御装置は、下部に設けられ、洗浄水の温度を制御するように配置される。多孔質板は、糸出口端に設けられ、仕切板に連結される。ポンプは、槽本体と各ノズルとを連結する。洗浄水は、給水口から槽本体に流入し、温度制御装置及び多孔質板を流れ、上部に入る。
本考案の一実施例によると、前記水洗槽の各々は、上部で糸入口端の近くに設けられる温度計を更に含む。
本考案の一実施例によると、前記水洗槽の各々は、1~5個のノズルを含む。
本考案の一実施例によると、前記洗浄水の上部での流れ方向は、炭素繊維原糸の製造方向と逆方向である。
本考案の一実施例によると、前記洗浄水は、一方の水洗槽のオーバーフロー口から他方の水洗槽の給水口に流入し、前記一方の水洗槽の糸入口端が他方の糸出口端に直列連結される。
本考案の一実施例によると、前記ノズルの各々と炭素繊維原糸との距離は、2cm~5cmである。
本考案の一実施例によると、前記ノズルの散水量は、50L/hr~100L/hrである。
本考案の一実施例によると、前記ノズルの散水圧力は、1kg/cm2~2kg/cm2である。
本考案の一実施例によると、前記ポンプは、槽本体の上部に連結される。
本考案を適用した炭素繊維原糸の水洗装置は、水洗槽中に仕切板を設けて温度制御装置と炭素繊維原糸とを仕切ることで、洗浄水の温度を正確に制御し、またノズルの制御により炭素繊維原糸の水洗効果を高めることができる。
以下の詳細な説明に基づき、添付図面と合わせて、本開示の態様をよりよく理解することができる。業界の標準的な手法のように、多くの特徴は比例に従って示すものではないことに注意されたい。実際には、明確に検討するために、多くの特徴のサイズは任意にスケーリングすることができる。
本考案のいくつかの実施例による水洗槽を示す模式図である。
以下、本考案の実施形態による炭素繊維原糸の水洗装置を図面に基づいて説明する。
本考案は、水洗槽中に仕切板を設けて温度制御装置と炭素繊維原糸とを仕切ることで、洗浄水の温度を正確に制御することができ、また水洗槽中のノズルを制御することで炭素繊維原糸の水洗効果を高めることができる炭素繊維原糸の水洗装置を提供する。
本考案が提供する炭素繊維原糸の水洗装置は、炭素繊維原糸の製造方向に沿って直列に配置される複数の水洗槽を備える。洗浄水は、炭素繊維原糸が通過する最後の水洗槽に補給し、その後、各水洗槽を製造方向とは逆方向に順次流す。いくつかの実施例では、水洗装置は8~12個の水洗槽を備える。いくつかの実施例では、各水洗槽は、位置が勾配を持つ、言い換えれば、最初の水洗槽の高さが最も低く、その後、順次上昇するように配置される。なお、炭素繊維原糸の移動方向に沿って、水洗槽内の温度は徐々に上昇する。
本考案のいくつかの実施例による水洗槽100を示す模式図である図1を参照する。水洗槽100は、洗浄水を収容するための槽本体110を備える。槽本体110は、糸入口端110aと糸出口端110bとを有する。炭素繊維原糸CFは、製造方向Aに沿って糸入口端110aから水洗槽100に入ってから、糸出口端110bから水洗槽100の外に出ることに理解されるべきである。槽本体110は、糸入口端110a側に給水口に相応する給水管116及びオーバーフロー口に相応するオーバーフロー管118を更に有する。上述したように、水洗槽100のオーバーフロー管118から流出した洗浄水は、前の水洗槽の給水口を経て槽内に流入し、水洗槽100の糸入口端110aは、前の水洗槽の糸出口端110bに直列連結される。なお、最後の水洗槽の給水管116は、洗浄水を補給するために用いることができる。
水洗槽100は、槽本体110を上部112と下部114とに仕切るように配置される仕切板120を更に備える。なお、仕切板120は、糸出口端110bに近い側で多孔質板170と連結される。多孔質板170は、洗浄水が下部114から上部112に流れるように配置される。
いくつかの実施例では、給水管116は下部114に設けられ、オーバーフロー管118は上部112に設けられる。水洗槽100は、上部112のトップ領域に、炭素繊維原糸CFを案内するように配置される複数の伝動ローラ130が設けられる。伝動ローラ130の数は、水洗槽100の大きさに応じて変更可能である。いくつかの実施例では、2~3個の伝動ローラ130が設けられてもよい。図1に示すように、伝動ローラ130は、例えば逆時計回りに回転して、炭素繊維原糸CFを糸出口端110bに向かって移動させるように案内してもよい。伝動ローラ130は、炭素繊維原糸CFが水位下で移動することを確保するために、底部の位置が槽本体110内の水位レベルBよりも低い位置でなければならないことに注意すべきである。炭素繊維原糸CFは、水洗槽100への入出時にやはり空気に接触することを補説する。
水洗槽100は、上部112で伝動ローラ130の間に設けられる糸案内板140を更に備える。炭素繊維原糸CFは、水洗槽100を通過する際に、散水した水流で洗い流された後、ひねりが発生することがあり、しかしながら、ひねりは、炭素繊維原糸CFの洗浄に不利であり、しかも炭素繊維原糸CFのトウ同士が重なって絡み合うことを引き起こす可能性があるため、糸案内板140は、個々の炭素繊維原糸CFを分離し、更に炭素繊維原糸CFの水洗移動時の安定性を向上させるために、炭素繊維原糸CFの下方に設けられる。言い換えれば、炭素繊維原糸CFは、糸案内板140の上方を移動する。糸案内板140の数も水洗槽100の大きさに応じて変更可能である。いくつかの実施例では、3~5個の糸案内板140が設けられてもよい。糸案内板140は、炭素繊維原糸CFが水位下で移動することを確保するために、いずれも槽本体110の水位下に設けられる。
洗浄効果を高めるために、水洗槽100は、上部112で糸入口端110aと糸出口端110bとの間に設けられる少なくとも1つのノズル150を更に備える。いくつかの実施例では、ノズル150は、糸案内板140の間及び/又は伝動ローラ130と糸案内板140との間に設けられる。ノズル150は、移動中の炭素繊維原糸CFに下方から散水するように配置される。いくつかの実施例では、水洗槽100は1~5個のノズル150を備えるが、ノズル150の数は、水洗槽100の大きさに応じて変更可能である。いくつかの実施例では、ノズル150と炭素繊維原糸CFとの距離は2cm~5cmである。この距離の範囲内で、ノズル150は炭素繊維原糸CFに対して良好な洗浄効果を有し、かつトウを破壊することがない。いくつかの実施例では、ノズル150は、散水量が50L/hr~100L/hrであり、散水圧力が1kg/cm2~2kg/cm2である。ノズル150の散水量及び散水圧力を制御することは、炭素繊維原糸CFの洗浄効果にも役立ち、しかも散水した水柱が強すぎるため、後に得られる炭素繊維に毛羽等の欠点が生じることを回避することができる。
一般的には、水洗槽100内の水洗温度が高いほど、溶剤と水の拡散速度が速く、洗浄効果が高い。しかしながら、炭素繊維原糸CFを高温の水洗槽100に直接投入すると、単繊維が急速に芯鞘構造を形成してしまい、かえって洗浄効果に不利である。このため、水洗装置の水温は前手順の凝固槽の温度から徐々に上昇し、通常は20℃~100℃、好ましくは30℃~98℃である。このため、本考案の水洗槽100は、下部114に、洗浄水の温度を制御するように配置される温度制御装置160が設けられる。いくつかの実施例では、温度制御装置160は、洗浄水の昇温及び降温をそれぞれ蒸気及び冷水で制御する。いくつかの実施例では、洗浄水は、給水管116から水洗槽100の下部114に入り、次いで、温度制御装置160を通過して洗浄水を所望の温度に調整した後、多孔質板170を介して上部112に流入し、オーバーフロー管118を経て槽本体110の外に流出するため、洗浄水の上部112での流れ方向は、炭素繊維原糸CFの製造方向Aと逆方向となる。
水洗槽100は、槽本体110と各ノズル150とを管路により連結するポンプ180を更に備える。洗浄水は、槽本体110の上部112からポンプ180に供給され、またノズル150にポンピングされて噴出され、炭素繊維原糸CFを洗浄する。洗浄水は全て温度制御装置160を流れるため、ノズル150から噴出された水による洗浄温度の不均一という問題はない。
いくつかの実施例では、水洗槽100は、槽本体110の上部112に設けられる温度計190を選択的に備えることができる。この実施例では、温度計190は、ポンプ180に流れる洗浄水の温度を監視するために、糸入口端110aの近くに設けられることが好ましい。
以下では、いくつかの実施例を利用して本考案の適用を説明するが、それらは本考案を限定するものではなく、当業者は本考案の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができる。
実験例1
凝固後に得られたアズスパン繊維を4組の従来の含浸式水洗槽に導入してから、2組の本考案の新たな水洗装置に導入し、各新たな水洗装置は直列連結された2つの水洗槽を備え、かつ各水洗槽は2組のスプレーユニットを備え、各組のスプレーユニットは、それぞれ糸案内板の間に設けられる2つのノズルを含む。ノズルは水流量が100L/hr、洗い流し圧力が2kg/cm2である。ノズルとアズスパン繊維との距離は3cmである。洗浄後の炭素繊維原糸をサンプリングして残存溶剤、水洗効率及び単繊維融着を測定し、その結果を表1に示す。
次に、炭素繊維原糸は浴中引張、油付け、乾燥緻密化、及び加圧蒸気による延伸により、単繊維繊度が1デニール(d)で単繊維本数が3000本(合計デニール数3000d)の前駆体繊維を得た。得られた前駆体繊維の毛羽数を測定し、その評価結果を表1に示す。単繊維繊度は9000m長さの繊維のグラム単位での重量として定義されることを補説する。
その後、前駆体繊維を空気雰囲気下で240℃から280℃に徐々に昇温させ、前後の牽引ローラの速度比を1.0に制御して繊維の張力を維持しながら安定化工程を行う。安定化工程を経た繊維密度は1.35g/cm3である。続いて、繊維を窒素ガス中で300℃から800℃まで徐々に昇温させ、前後の牽引ローラの速度比を0.9に制御しながら低温炭化を行い、更に900℃から1800℃まで徐々に昇温させ、前後の牽引ローラの速度比を0.95に制御しながら高温炭化を行う。次いで、繊維を酸性溶液に導入して電解表面処理した後、水洗、乾燥、サイジングを経て炭素繊維完成品を製造した。炭素繊維完成品の強度と伸度を測定し、その測定結果を表1に示す。
実験例2から実験例8
実験例2から実験例8は実験例1と同じ製造設備と方法を使用して炭素繊維原糸及び炭素繊維完成品を製作し、その違いは、実験例2は、ノズル水流量が50L/hrで、かつ洗い流し圧力が1kg/cm2であり、実験例3は、ノズルとアズスパン繊維との距離が5cmであり、実験例4は、各水洗槽が3組のスプレーユニットを備え、実験例5は、各水洗槽が1組のスプレーユニットを備え、実験例6は、各水洗槽が5組のスプレーユニットを備え、実験例7は、ノズル水流量が250L/hrで、かつ洗い流し圧力が3.5kg/cm2であり、実験例8は、ノズルとアズスパン繊維との距離が、0.5cmである。得られた評価結果を表1に示す。
実験例9及び実施例10
実験例9は凝固して得られたアズスパン繊維を5組の従来の含浸式水洗槽に導入し、実験例10は凝固して得られたアズスパン繊維を8組の従来の含浸式水洗槽に導入する。従来の含浸式水洗槽にはノズル、仕切板がないため、アズスパン繊維と温度制御装置は仕切られていないことが理解されるべきである。言い換えれば、従来の含浸式水洗槽は温度制御装置がアズスパン繊維と同じ層にあるため、洗浄水の温度が不均一であった。得られた評価結果を表1に示す。
評価方式
残存溶剤
5g~10gの原糸試料を丸底フラスコに入れ、4時間加熱還流し抽出した後、静置冷却し、また試料中の残存溶剤量W1をガスクロマトグラフィー(SHIMADZU GC-2014-09)で測定した。続いて、抽出済みの試料を脱水機で2分間脱水し、また105℃で1.5時間乾燥し、10分間冷却した後、重量W2を秤量し記録した。残存溶剤量W1と試料乾燥重量W2の比(W1/W2)に100を乗じたものを残存溶剤とし、その結果を表1に示す。
水洗効率
水洗装置に入る前のアズスパン繊維を約10g取り、回転遠心分離機に投入し、3000rpmの回転速度で表面脱水を行い、3分間遠心分離した後、繊維及び内部に含まれる水の重量を含む繊維重量W1を記録した。続いて、このアズスパン繊維をオーブンに入れて105℃で2時間乾燥し、水を乾燥させた後、繊維重量W2を記録した。その後、このアズスパン繊維を三角フラスコに入れ、100mlの水を加え、三角フラスコ中のDMSO(溶剤)濃度を前記ガスクロマトグラフィーで測定し、CGCと記すと、水洗装置に入る前の繊維中のDMSO濃度(Ck-in)は次式(1)から求められる。
Figure 0003239065000002
また、水洗装置を通過して得られた炭素繊維原糸を前記手順に従って、水洗装置を通過した繊維中のDMSO濃度(Ck-out)を算出した。その後、ガスクロマトグラフィーで水洗槽内のDMSO濃度(Cw)を測定すると、水洗効率(η)を次式(2)に従って算出することができ、その結果を表1に示す。
Figure 0003239065000003
単繊維融着
水洗した炭素繊維原糸を片刃の刃で約3mmに切り、その後、非イオン界面活性剤溶液(0.1%)に注入し、60rpmで1分間分散させ撹拌した後、炭素繊維原糸を含む溶液を黒色ろ紙に分散させて単繊維間の融着(溶融による付着)の有無を観察し、その状態を1級から5級で評価し、1級は融着がほとんどないことを表し、5級は融着が深刻であることを表す。単繊維融着の評価結果を表1に示す。
毛羽量
蒸気による延伸した後の作動中の前駆体繊維を目視で観察し、1000m作動して発生した毛羽数を算出し、その状態を1級から5級で評価した。評価基準は、毛羽本数≦1を1級とし、1<毛羽本数≦2を2級とし、2<毛羽本数≦5を3級とし、5<毛羽本数≦60を4級とし、毛羽本数≧60を5級とする。毛羽量の評価結果を表1に示す。
炭素繊維物性
炭素繊維完成品を金属製フレームに繋ぎ、炭素繊維を樹脂で上から下へ浸潤する。浸潤した炭素繊維束を90℃で60分間乾燥し、更に150℃で120分間硬化乾燥して炭素繊維試験片を作製し、張力試験機(ZWICK ROELL Z005)でその強度及び伸度を測定し、その測定結果を表1に示す。
Figure 0003239065000004
繊維の品質を確保し、後の酸化と炭化の要件を満たすために、水洗後の残存溶剤量は200ppm未満である必要がある。上記の表1から、実験例1から4はいずれも優れた水洗効果と繊維評価を有し、かつ炭素繊維はいずれも5000MPa以上の強度と2%以上の伸度を有することが分かった。なお、実験例5では1組のスプレーユニットのみを使用し、明らかにその水洗効果も2組のスプレーユニットを使用した実験例1~4に劣り、同様に、実験例5の単繊維融着及び毛羽の評価も悪かった。逆に、実験例6では5組のスプレーユニットを使用し、水洗効果は明らかに向上したが、毛羽の評価は良くなく、これは炭素繊維原糸に過剰に散水して、毛羽数が増加し、更に得られた炭素繊維の物性に影響を及ぼしたためである。実験例7では洗浄水流量と洗浄圧力を高め、実験例8ではノズルと炭素繊維原糸との距離を近づけ、両者の結果も実験例6に類似し、水洗効果は良好であったが、散水距離が近すぎたり水柱が強すぎたりすることで、原糸が切れたり毛羽ができたり、更に得られた炭素繊維にマイナスの影響を与えた。実験例9及び実験例10はいずれも本考案が提供した新たな水洗装置を使用しておらず、水洗効果は明らかに悪く、かつ単繊維融着及び毛羽数の評価も良くなく、更に得られた炭素繊維の強度及び伸度も良くなかった。
上記実験例によると、本考案が提供した新たな水洗装置は炭素繊維原糸に対して良好な水洗効果を確実に果たすことができ、ノズルの条件を適切に調整することで、単繊維融着及び毛羽数の評価をよりよくし、更に得られた炭素繊維に優れた物性を持たせることができる。
以上、本考案は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、考案の趣旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態で実施可能である。
100:水洗槽
110:槽本体
110a:糸入口端
110b:糸出口端
112:上部
114:下部
116:給水管
118:オーバーフロー管
120:仕切板
130:伝動ローラ
140:糸案内板
150:ノズル
160:温度制御装置
170:多孔質板
180:ポンプ
190:温度計
A:製造方向
B:水位レベル
CF:炭素繊維原糸

Claims (9)

  1. 炭素繊維原糸の製造方向に沿って直列に配置される複数の水洗槽を備える炭素繊維原糸の水洗装置であって、
    前記水洗槽の各々は、
    洗浄水を収容するように配置され、給水口及びオーバーフロー口を有する糸入口端と、糸出口端と、を含む槽本体と、
    前記槽本体を、前記オーバーフロー口が設けられる上部と、前記給水口が設けられる下部に仕切るように配置される仕切板と、
    前記上部のトップ領域に設けられ、前記炭素繊維原糸を移動させるように配置される複数の伝動ローラと、
    前記上部に設けられ、前記伝動ローラの間にあり、前記炭素繊維原糸が上方を移動する複数の糸案内板と、
    前記上部に設けられ、前記糸入口端と前記糸出口端との間にあり、前記炭素繊維原糸に下方から散水するように配置される少なくとも1つのノズルと、
    前記下部に設けられ、前記洗浄水の温度を制御するように配置される温度制御装置と、
    前記糸出口端に設けられ、前記仕切板に連結される多孔質板と、
    前記槽本体と前記少なくとも1つのノズルの各々を連結し、前記洗浄水を前記少なくとも1つのノズルの各々にポンピングするように配置されるポンプと、
    を含み、
    前記洗浄水は、前記給水口から前記槽本体に流入し、前記温度制御装置及び前記多孔質板を流れ、前記上部に入る炭素繊維原糸の水洗装置。
  2. 前記水洗槽の各々は、前記上部で前記糸入口端の近くに設けられる温度計を更に含む請求項1に記載の炭素繊維原糸の水洗装置。
  3. 前記水洗槽の各々は、1~5個のノズルを含む請求項1に記載の炭素繊維原糸の水洗装置。
  4. 前記洗浄水の前記上部での流れ方向は、前記炭素繊維原糸の前記製造方向と逆方向である請求項1に記載の炭素繊維原糸の水洗装置。
  5. 前記洗浄水は、一方の前記水洗槽の前記オーバーフロー口から他方の前記水洗槽の前記給水口に流入し、前記一方の前記水洗槽の前記糸入口端が前記他方の前記水洗槽の前記糸出口端に直列連結される請求項1に記載の炭素繊維原糸の水洗装置。
  6. 前記少なくとも1つのノズルの各々と前記炭素繊維原糸との距離は、2cm~5cmである請求項1に記載の炭素繊維原糸の水洗装置。
  7. 前記少なくとも1つのノズルの散水量は、50L/hr~100L/hrである請求項1に記載の炭素繊維原糸の水洗装置。
  8. 前記少なくとも1つのノズルの散水圧力は、1kg/cm2~2kg/cm2である請求項1に記載の炭素繊維原糸の水洗装置。
  9. 前記ポンプは、前記槽本体の前記上部に連結される請求項1に記載の炭素繊維原糸の水洗装置。
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