JP3238580U - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】前方部又は後方部におけるフィット性の高い吸収性物品に関する。【解決手段】吸収性物品は、表面シート、吸収体4及び裏面シートを含む本体と、前記本体の前記表面シート側に形成され対をなして配置された左右圧搾溝6と、を備える。前記左右圧搾溝各々は、本体の縦方向中間部M2においては縦方向に延び、かつ、本体の縦方向中間部の縦方向外方に位置する前方部M1又は後方部M3においては横方向内方に向かって相互に近接するように延びる本体溝部12と、前方部又は後方部の少なくとも一方において、本体溝部から延び左右圧搾溝が横方向に最も近接する基部14の縦方向外方側から横方向外方に向かって相互に離間するように延びる延在部15を含む端部溝部13と、を有する。延在部は、吸収性物品の厚み方向から見た平面視において、吸収体の第1横溝部と少なくとも一部が重なる。【選択図】図4

Description

本考案は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
特許文献1には、吸収体と、肌側シートと吸収性コアとが一体に凹陥してなる線状の溝部と、縦溝及び横溝とを有し周囲よりも坪量が小さい溝部と、を備えた吸収性物品が記載されている。
特開2018-102641号公報
低坪量の溝部では、剛性が低いため、吸収性コアの柔軟性が高められる。しかしながら、着用者の排泄部前方(腹側)には、恥骨の位置する略平坦な領域が存在する。同様に、排泄部後方(背側)には、仙骨等の位置する略平坦な領域が存在する。吸収性物品の前方部又は後方部における柔軟性が高い場合、このような略平坦な領域に沿わせるようなフィット性に関しては改善の余地があった。
本考案の課題は、前方部又は後方部におけるフィット性の高い吸収性物品に関する。
本考案の一形態に係る吸収性物品は、表面シート、吸収体及び裏面シートを含み相互に直交する縦方向及び横方向を有する本体と、前記本体の前記表面シート側に形成され対をなして配置された左右圧搾溝と、を備える。
前記左右圧搾溝各々は、
前記本体の縦方向中間部においては前記縦方向に延び、かつ、前記本体の前記縦方向中間部の前記縦方向外方に位置する前方部又は後方部においては前記横方向内方に向かって相互に近接するように延びる本体溝部と、
前記前方部又は後方部の少なくとも一方において、前記本体溝部から延び前記左右圧搾溝が前記横方向に最も近接する基部と、前記基部の前記縦方向外方側から前記横方向外方に向かって相互に離間するように延びる延在部と、を含む端部溝部と、を有する。
前記吸収体は、前記前方部又は後方部において前記横方向に延びる第1横溝部を有する。
前記延在部は、前記吸収性物品の厚み方向から見た平面視において、前記第1横溝部と少なくとも一部が重なる。
以上のように、本考案の吸収性物品によれば、第1横溝部が左右圧搾溝の延在部によって剛性が高められるため、前方部又は後方部におけるフィット性を高めることが可能である。
本考案の一実施形態に係る吸収性物品を示す平面図である。 図1のII-II線で切断した断面図である。 図1の要部拡大図である。 上記吸収性物品の吸収体と圧搾溝との位置関係を示す模式的な平面図である。 上記吸収性物品の表面シートの斜視図である。 図5のVI-VI線で切断した断面の一部を示す拡大断面図である。
以下、図面を参照しながら、本考案の実施形態を説明する。
[ナプキンの全体構成]
本考案の吸収性物品1は、図1に示すように、本体Mと、一対のウイング部Wと、左右圧搾溝6と、を備える。吸収性物品1は、生理用ナプキンとして構成され、以下、ナプキン1と称する。
ナプキン1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。さらに、ナプキン1は、縦方向X及び横方向Yの双方に直交する厚み方向Zを有する。なお、本明細書では、厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上又は肌側、着衣に近い側を下又は非肌側という事がある。
本体Mは、縦方向Xに沿って延び、着用時に着用者の着衣の内面に固定される。本体Mは、後述する吸収体4を有しており、着用者の経血等の液状物(以下、「液」とも称する)を吸収する機能を有する。
本体Mは、縦方向Xに沿って、前方部M1と、中間部(縦方向中間部)M2と、後方部M3と、に区分される。
中間部M2は、着用時に着用者の排泄領域に対向する領域である。図1において、中間部M2は、本体Mにおけるウイング部Wの前後基端部間の領域である。
前方部M1は、中間部M2の前方(着用者の腹側)に配置される領域であり、着用時に着用者の排泄領域の前方に対向するように構成される。
後方部M3は、中間部M2の後方(着用者の背側)に配置される領域であり、装着時に着用者の排泄領域の後方に対向するように構成される。
なお、ここでいう着用時は、通常の適正な着用位置(ナプキン1の想定される着用位置)が維持された状態を意味し、ナプキン1が当該着用位置からずれた状態にある場合は含まない。
なお、ナプキン1がウイング部Wを有さない場合には、本体Mを縦方向Xに沿って三等分して、中央の領域を中間部M2とし、その前方に配置される領域を前方部M1、後方に配置される領域を後方部M3とする。
ウイング部Wは、本体Mの中間部M2から横方向Yの外方に大きく突出するように構成される。
図2に示すように、ナプキン1は、吸収体4と、表面シート2と、裏面シート3と、一対のサイドシート5と、を備える。本体Mにおいて、ナプキン1は、裏面シート3、吸収体4及び表面シート2が厚み方向Zに積層された構成を有する。これらの構成は、例えば、接着剤やヒートシール等による接合、及び左右圧搾溝6によるエンボス加工等によって、適宜接合されて一体化している。
吸収体4は、縦方向Xに沿って延び、表面シート2と裏面シート3との間に配置される。吸収体4は、液を表面シート2側の面から吸収し、内部で拡散させて当該液を保持する。
吸収体4は、吸収性コア7と、コアラップシート8と、を有する。
吸収性コア7は、図2に示す例では、パルプ繊維等の親水性繊維で構成された繊維集合体に高吸水性ポリマーPを保持させた構成を有しているが、この構成に限定されない。
コアラップシート8は、吸収性コア7を被覆し、例えば吸収性コア7の形状を保持する機能等を有する。コアラップシート8は、例えばティッシュペーパー状の薄く柔らかい紙や液透過性の不織布等で形成される。
表面シート2は、液透過性のシート材として構成され、吸収体4の厚み方向Z上方に配置される。なお、表面シート2と吸収体4との間には、表面シート2から吸収体4への液の透過性の向上、吸収体4に吸収された液の表面シート2への液戻りの防止等の観点から、セカンドシート(サブレイヤーシート)が配置されていてもよい。表面シート2は、例えば、厚み方向Z外方に突出する凸部23を有する。表面シート2の詳細な構成については、後述する。
裏面シート3は、吸収体4の厚み方向Z下方に配置される。裏面シート3は、例えばその周縁において、表面シート2及びサイドシート5と接着剤、熱シール等によって接合される。裏面シート3は、接着剤等によって吸収体4に接合されていてもよい。
裏面シート3は、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。当該シート材としては、例えば熱可塑性樹脂のフィルムや、当該フィルムと不織布とのラミネート等を用いることができる。
なお、裏面シート3には、図示はしないが、着衣に対して本体M及びウイング部Wを固定する粘着部が設けられている。
一対のサイドシート5は、表面シート2の横方向Y外側に配置される。サイドシート5の材料としては、表面シート2よりも親水性が小さいシート材料が好ましく、具体的には、表面シート2よりも親水性の低い不織布、フィルム材料、及び不織布とフィルム材料のラミネート構造のシートが挙げられる。サイドシート5は、例えば接着剤Eによって表面シート2に接合されている。
[左右圧搾溝の全体構成]
図1及び図2に示すように、本体Mの表面シート2側には、左右圧搾溝6が形成されている。
左右圧搾溝6は、本体Mの中間部M2における横方向Y中央部を囲むように形成された線状溝であり、本体Mの表面シート2側から厚み方向Zに圧搾加工することによって形成される。左右圧搾溝6における「線状」は、溝の形状が平面視において直線状の態様に限られず、曲線状の態様や、直線状部分と曲線状部分とからなる態様を含む。
図2に示すように、左右圧搾溝6は、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥した構成を有する。左右圧搾溝6は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。左右圧搾溝6では、表面シート2及び吸収体4が熱融着等により一体化している。
このような構成により、左右圧搾溝6は、他の領域と比較して剛性が高く、変形しにくい部分となる。このため、左右圧搾溝6は、ナプキン1が外力を受けた場合に、周囲の低剛性領域の変形を促す変形起点や、当該外力に対する抗力を発揮する部分として機能し得る。
また、左右圧搾溝6は、周囲の領域と比較して繊維の密度が高くなるため、毛管作用によって排泄された液を吸液及び保持することができる。これにより、左右圧搾溝6は、吸収体4の外方への液の漏れを防止する防漏作用も有する。
図1及び図3に示すように、左右圧搾溝6は、好ましくは底部に高圧搾部9と低圧搾部10とを有する。高圧搾部9は、低圧搾部10よりも厚み方向Zに深い底面を有する。このような左右圧搾溝6は、例えば、外周面に設けられた低圧搾部形成用凸部と、低圧搾部形成用凸部からさらに突出する高圧搾部形成用凸部と、を備えたエンボスロールを用いて形成される。具体的には、表面シート2及び吸収体4等を含む積層体を、当該エンボスロールと、外周面が平坦なフラットロールとの間で一体的に加熱及び加圧する。これにより、高圧搾部形成用凸部によって押圧された領域に高圧搾部9が形成され、低圧搾部形成用凸部によって押圧された領域に低圧搾部10が形成される。
高圧搾部9は、上記高圧搾部形成用凸部によって低圧搾部10よりも高い圧力で圧搾されることで、低圧搾部10よりも密度の高く、かつ低圧搾部10よりも剛性の高い部分となる。
図1及び図3に示す例において、高圧搾部9の厚み方向Zから見た平面形状は、円形状であり、低圧搾部10の厚み方向Zから見た平面形状は、高圧搾部9を内部に含む線状(帯状)に形成される。但し、高圧搾部9の平面形状はこれに限定されず、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、その他の形状から選択される1又は2種以上を選択することができる。また、低圧搾部10の平面形状も、高圧搾部9を内部に含む線状の他、例えば隣接する高圧搾部9間を接続する断続的な線状でもよい。
なお、以下では、厚み方向Zから見た平面視における各圧搾溝の外形について詳細に説明するが、当該各圧搾溝の外形は、図1及び図3に示す例では、低圧搾部10によって形成された溝の外形である。
図1に示すように、左右圧搾溝6は、横方向Yに対をなして左右に配置されている。図1及び図3に示す左右圧搾溝6は、本体Mを横方向Yに2等分する縦中心線CLに関して線対称に構成される。
左右圧搾溝6では、縦方向Xに延びた左右両側の圧搾溝が前方部M1及び後方部M3において連結される。これにより、左右圧搾溝6は、全体として本体Mを周回するように構成される。なお、「周回」とは、左右圧搾溝6が連続状に延びて周回している形態と、複数の圧搾部が間欠的に配されていて全体として1つの溝として見做せる形状が周回している形態と、のいずれをも含む意味である。
また、ナプキン1は、左右圧搾溝6の他、左右圧搾溝6の内側に、横方向Yに延びる中間圧搾溝11を有していてもよい。中間圧搾溝11の構成については、後述する。さらに、ナプキン1は、図示はしないが、左右圧搾溝6の横方向Y内方又は横方向Y外方に位置し左右に対をなす補助圧搾溝を有していてもよい。
左右圧搾溝6は、周回溝として構成された本体溝部12を有する。本体溝部12は、本体Mの中間部M2においては縦方向Xに延び、かつ、本体Mの前方部M1又は後方部M3の少なくとも一方においては、横方向Y内方に向かって相互に近接するように延びる。
本体溝部12における「縦方向Xに延びる」とは、本体溝部12が縦方向Xに平行に延びる態様に限定されず、本体溝部12が全体として縦方向Xと平行なベクトル成分を含む方向に延びていればよく、例えば括れ部22を含んでいてもよい。図1に示す本体溝部12は、前方部M1と中間部M2の境界部近傍、及び中間部M2と後方部M3の境界部近傍に、それぞれ横方向Y内方に括れた括れ部22を含んでいる。また、本体溝部12は、前後の括れ部22間の領域が横方向Yに膨出した構成を有する。
本体溝部12の「横方向Y内方に延びる」とは、本体溝部12が横方向Yに平行に延びる態様に限定されず、横方向Y内方のベクトル成分を含む方向に延びていればよい。図1に示す例では、本体溝部12は、前方部M1及び後方部M3において、横方向Y内方に延びつつ、縦方向X外方にも延びる曲線状に構成される。
本体溝部12は、全体が連続的に構成される態様に限定されず、途切れ部を有して断続的に構成されていてもよい。
[左右圧搾溝の前方部又は後方部における構成]
図1及び図3に示すように、左右圧搾溝6は、さらに、端部溝部13を有する。なお、図3では、前方部M1を拡大して示すが、例えば後方部M3も同様に構成される。
端部溝部13は、図1に示す例では、本体Mの前方部M1及び後方部M3にそれぞれ設けられる。但し、端部溝部13は、本体Mの前方部M1又は後方部M3の少なくとも一方に設けられていればよい。
端部溝部13は、本体溝部12から延び左右圧搾溝6が横方向Yに最も接近する基部14と、延在部15と、を含む。
左右の基部14は、例えば縦方向Xに延びる左右圧搾溝6が横方向Yに並ぶ部分であり、後述するように、例えば横方向Yにおいて接続されていてもよい。
延在部15は、基部14の縦方向X外方側から横方向Y外方に向かって相互に離間するように延びる。ここで、「相互に離間する」とは、本実施形態において、圧搾溝における低圧搾部10が離間することを意味する。延在部15が「横方向Y外方に向かって延びる」とは、横方向Yと平行に延びる態様に限定されず、横方向Y外方のベクトル成分を含む方向に延在部15が延びていればよい。つまり、延在部15は、詳細を後述するように、曲線状でもよい。また、本実施形態の延在部15では、図1及び3に示すように、基部14と連接する側とは反対側に位置する端部が終端部としての端点15aをなしている。
端部溝部13は圧搾されているため、周囲の非圧搾部よりも高い剛性を有する。つまり、ナプキン1では、本体Mの前方部M1又は後方部M3において、剛性の高い左右圧搾溝6が横方向Y外方に向かって延びる構成となる。これにより、延在部15は、着用者の脚などによる横方向Yからの外力に対する抗力も発揮でき、延在部15及びその周囲の領域は、当該外力に対して変形しにくい領域となる。
[吸収体の詳細な構成]
図2及び図4に示すように、吸収体4の吸収性コア7は、縦方向Xに延びる複数の縦溝部19~21と、横方向Yに延びる複数の横溝部16~18と、によってブロック状に分割されている。これらの溝部において「縦方向Xに延びる」又は「横方向Yに延びる」とは、全体として縦方向X又は横方向Yに延びていればよく、少なくとも一部が湾曲又は蛇行している態様も含むものとする。
これらの溝部は、図2に示すように、例えば吸収性コア7の厚み方向Zの下面から上方に向かって形成された溝を含む。これらの溝部は、好ましくは周囲の領域よりも低い坪量で構成される。
なお、溝部の「低坪量」とは、吸収性コア7の材料が存在する形態の他、吸収性コア7の材料が存在しない形態も含む概念である。各縦溝部19~21及び横溝部16~18で吸収性コア7の材料が存在する形態では、各溝部を介してその両側に位置する吸収性コア7のブロック状部位が接続されているため、吸収性コア7の変形及び破壊等を抑制しつつ柔軟性を付与できるため、より好ましい。
なお、各縦溝部19~21及び横溝部16~18の詳細な構成については、後述する。
縦溝部19~21及び横溝部16~18は、周囲のブロック状部位と比較して薄く構成されるため、変形の起点となりやすい。そこで、本実施形態では、剛性を高める左右圧搾溝6と縦溝部19~21及び横溝部16~18の位置関係を以下のように調整することで、縦溝部19~21及び横溝部16~18における変形性を制御し、着用者に対するナプキン1のフィット性を向上させる。
[端部溝部と第1横溝部との位置関係]
図4に示すように、吸収体4は、前方部M1又は後方部M3において横方向Yに延びる第1横溝部16を有する。第1横溝部16は、図4に示す例において、前方部M1及び後方部M3の双方に設けられているが、前方部M1又は後方部M3の少なくとも一方に設けられていればよい。
延在部15の少なくとも一部は、ナプキン1の厚み方向Zから見た平面視において、第1横溝部16と重なる。延在部15は、図4に示す例において、前方部M1及び後方部M3の双方において第1横溝部16と重なっているが、前方部M1又は後方部M3の少なくとも一方において重なっていればよい。
延在部15の少なくとも一部が第1横溝部16と重なる態様としては、左右の延在部15の縦方向先端部15bが第1横溝部16上に位置していてもよいし、第1横溝部16が左右の延在部15をそれぞれ横切るように延びていてもよい。また例えば、延在部15の低圧搾部10のみが第1横溝部16上に形成されていてもよいし、延在部15の低圧搾部10及び高圧搾部9の双方が第1横溝部16上に形成されていてもよい。
第1横溝部16の横方向Yの長さは、少なくとも延在部15と重なる長さであればよく、例えば吸収性コア7の横方向Y全幅にわたっている。
このような構成により、第1横溝部16における左右の延在部15と重なった部分は、圧搾されて剛性が高められる。また、延在部15が横方向Yに延びるため、第1横溝部16には、横方向Yにある程度の長さを有する高剛性部が形成される。吸収体4は、本来第1横溝部16を起点として縦方向Xに屈曲するように折れ曲がりやすいところ、第1横溝部16の剛性が高められることで、第1横溝部16における過度な変形が抑制される。
ここで、着用者の排泄部の前方には、恥骨による略平坦な領域(恥骨部と称する)が存在する。同様に、排泄部の後方(背側)には、仙骨等の位置する略平坦な領域(仙骨部と称する)が存在する。
ナプキン1の前方部M1又は後方部M3の第1横溝部16が変形起点として機能しつつも、第1横溝部16における過度な変形が抑制されることで、着用者の略平坦な恥骨部や仙骨部にナプキン1がより沿いやすくなる。したがって、着用者に対する前方部M1又は後方部M3のフィット性を向上させることができるので、着用中の違和感を与えにくくなる。また、ナプキン1の前方部M1又は後方部M3が着用者の恥骨部や仙骨部の平坦形状に対して柔軟にフィットするので、当該領域ではナプキン1と着用者の間に隙間が生じ難くなり、液漏れも防止することができる。また、図4に示すように、第1横溝部16が、左右の延在部15との重なり部分から、それぞれの横方向Y外側に延在していると、第1横溝部16に沿った吸収体4の剛性が、横方向Yの中央側と両側部とで異なってくる。このため、相対的に剛性が低い第1横溝部16の両側部では吸収体4の柔軟性が高くなるため、良好な着用感を与えるのに有利である。
また、過度な変形が抑制されることで、変形によって生じる表面シート2の皺を防止することができる。これにより、表面シート2と吸収体4との密着性を維持でき、排泄された液が吸収体4に吸収されずに表面シート2の表面を伝ってナプキン1の外方へ漏れることを抑制できる。したがって、ナプキン1の防漏効果が一層高められる。
[端部溝部と第1縦溝部との位置関係]
図4に示すように、吸収体4は、吸収体4を横方向Yに2等分する仮想的な縦中心線CL上に延びる第1縦溝部19をさらに有する。
基部14の少なくとも一部は、厚み方向Zから見た平面視において、第1縦溝部19と重なる。具体的には、第1縦溝部19上には、基部14の低圧搾部10又は高圧搾部9の少なくとも一部が形成される。第1縦溝部19は、図4に示す例では、前方部M1及び後方部M3の双方において基部14と重なるが、前方部M1又は後方部M3の一方において基部14と重なっていてもよい。
第1縦溝部19の縦方向Xにおける長さは、少なくとも前後一方の基部14と重なる長さであればよいが、図4に示す例では、吸収体4(吸収性コア7)の縦方向X全長にわたっている。あるいは、第1縦溝部19は、前後の基部14の間の領域で途切れていてもよい。
圧搾溝である端部溝部13の基部14が低剛性の第1縦溝部19と重なることで、第1縦溝部19の前方部M1又は後方部M3における剛性が高まる。これにより、着用者の両脚などによって横方向Y外方から外力を受けた場合にも、第1縦溝部19で鋭く上方に折れ曲がるような過度な変形が抑制され、第1縦溝部19近傍が上方に緩やかに盛り上がる凸状の好ましい変形が促される。したがって、着用者の不快感を抑制でき、着用者に対する前方部M1又は後方部M3のフィット性を高めることができる。
また、第1縦溝部19は、厚み方向Zから見た平面視において、好ましくは低圧搾部10と重なり、高圧搾部9とは重ならない。図4に示す例において、第1縦溝部19上には、基部14の低圧搾部10が形成されており、高圧搾部9は第1縦溝部19の横方向Y外方に位置する。
この構成により、第1縦溝部19が基部14の低圧搾部10により補強されるとともに、第1縦溝部19の外側も基部14の高圧搾部9によって補強される。結果として、横方向Yから外力を受けた場合、第1縦溝部19が折れ起点となって鋭く上方に折れ曲がることが防止され、第1縦溝部19及びその近傍が緩やかな曲面状に盛り上がるような好ましい変形が誘導される。したがって、上記構成により、着用者に対する前方部M1又は後方部M3のフィット性を高めることができる。これにより、着用者の不快感を防止できるとともに、前方部M1又は後方部M3における液の漏れも防止できる。
[端部溝部と第2縦溝部との位置関係]
図4に示すように、吸収体4は、第1縦溝部19の横方向Y両隣りにそれぞれ位置し縦方向Xに延びる、一対の第2縦溝部20をさらに有する。「第2縦溝部20が第1縦溝部19の横方向Y両隣りに位置する」とは、第1縦溝部19と第2縦溝部20との間に別の縦溝部が配置されないことを意味する。
左右の延在部15の端点15aは、第2縦溝部20よりも横方向Y内方に位置する。「端点15aが第2縦溝部20よりも横方向Y内方に位置する」とは、左右の延在部15が第2縦溝部20を跨がないように設けられ、第2縦溝部20上に低圧搾部10及び高圧搾部9の双方が形成されていないことを意味する。
第2縦溝部20の縦方向Xにおける長さは、特に限定されないが、図4に示す例では、吸収体4(吸収性コア7)の縦方向X全長にわたっている。
この構成により、第2縦溝部20の変形しやすさを維持することができる。第2縦溝部20が変形の起点となることで、第2縦溝部20の横方向Y内側の領域が緩やかに上方に盛り上がるような好ましい変形を促進できる。したがって、着用者に対する前方部M1又は後方部M3のフィット性を向上させることができる。
[中間圧搾溝の構成]
ナプキン1は、左右圧搾溝6の他にも、補強や防漏作用等の観点から補助的な圧搾溝を備えていてもよい。
例えばナプキン1は、本体Mの端部溝部13が位置する前方部M1又は後方部M3における表面シート2側に形成された中間圧搾溝11をさらに備える。中間圧搾溝11は、図1及び図4に示す例では、本体Mの前方部M1及び後方部M3にそれぞれ設けられるが、前方部M1又は後方部M3の一方に設けられていてもよい。
中間圧搾溝11も、左右圧搾溝6と同様に、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥した構成を有し、圧搾加工等によって形成される。これにより、中間圧搾溝11も、他の領域と比較して繊維の密度が高くなるため、剛性が高まるとともに、排泄された液を毛管作用によって吸液及び保持することができる。
また図1、図3及び図4に示す例では、中間圧搾溝11は、左右圧搾溝6と同様に、高圧搾部9及び低圧搾部10を有する。
中間圧搾溝11は、本体溝部12によって構成された周回溝の内部に位置する。つまり、中間圧搾溝11は、本体溝部12の縦方向X端部よりも縦方向X内方で、かつ、本体溝部12の横方向Y最外部分よりも横方向Y内方に位置する。中間圧搾溝11は、吸収体4に形成された溝部に対しては、以下のような位置関係で設けられる。
図4に示すように、吸収体4は、横方向Yに延び第1横溝部16とは異なる第2横溝部17をさらに有する。第2横溝部17は、第1横溝部16の縦方向X内方に位置し、図4に示すように第1横溝部16と隣り合うように設けられてもよい。第2横溝部17は、図4に示す例において、前方部M1及び後方部M3の双方に設けられているが、中間圧搾溝11の位置する前方部M1又は後方部M3に設けられていればよい。
図4に示すように、中間圧搾溝11の少なくとも一部は、厚み方向Zから見た平面視において、第2横溝部17と重なる。中間圧搾溝11は、図4に示す例において、前方部M1及び後方部M3の双方において第2横溝部17と重なっているが、前方部M1又は後方部M3の少なくとも一方において重なっていればよい。
中間圧搾溝11の少なくとも一部が第2横溝部17と重なる態様としては、中間圧搾溝11の低圧搾部10のみが第2横溝部17上に形成されていてもよいし、中間圧搾溝11の低圧搾部10及び高圧搾部9の双方が第2横溝部17上に形成されていてもよい。
第2横溝部17の横方向Yの長さは、少なくとも中間圧搾溝11と重なる長さであればよいが、図4に示す例では、吸収性コア7の横方向Y全幅にわたっている。
吸収体4は、本来、第2横溝部17を起点に縦方向Xに屈曲するように折れ曲がりやすい。中間圧搾溝11を第2横溝部17と一部において重なるように設けることで、第2横溝部17の一部の剛性が高まり、第2横溝部17における過度な変形を抑制できる。ここで、着用者の身体には、上述の恥骨部や仙骨部の他、これらより前後方向内方の、排泄口の前側又は後ろ側にも略平坦な領域が存在する。第2横溝部17がこれらの身体の略平坦な領域に対向して配置される場合、第2横溝部17における過度な変形が抑制されることで、着用者の当該領域にナプキン1をフィットさせることができる。この結果、ナプキン1のフィット性をより向上させることができ、これに伴って防漏性を高めることができる。
中間圧搾溝11は、本体溝部12との関係では、例えば以下のような位置関係で設けられる。
本体溝部12は、上述のように、中間部M2と前方部M1又は後方部M3との境界部近傍で横方向Y内方に括れる括れ部22を有する。括れ部22は、図1又は図4に示す例において、前方部M1側及び後方部M3側の双方に設けられるが、前方部M1側又は後方部M3側の少なくとも一方に設けられていればよい。「中間部M2と前方部M1の境界部近傍」とは、中間部M2と前方部M1の境界部から縦方向X両側に20mm以内の領域を意味する。同様に、「中間部M2と後方部M3の境界部近傍」とは、中間部M2と後方部M3の境界部から縦方向X両側に20mm以内の領域を意味する。
中間圧搾溝11は、この場合、括れ部22よりも縦方向X外方に位置する。つまり、中間圧搾溝11が前方部M1に設けられている場合は、中間圧搾溝11は括れ部22よりも縦方向X前方に位置する。中間圧搾溝11が後方部M3に設けられている場合は、中間圧搾溝11は括れ部22よりも縦方向X後方に位置する。
これにより、中間圧搾溝11が着用者の排泄口の前方又は後方に位置することになる。つまり、中間圧搾溝11が着用者の仙骨部や、排泄口前側又は後ろ側の略平坦な領域に対向して配置されやすくなり、中間圧搾溝11による第2横溝部17の変形抑制効果をより効果的に発揮させることができる。これにより、着用者の身体形状にナプキン1がより沿いやすくなり、ナプキン1の着用者に対するフィット性をより一層向上させることができる。
中間圧搾溝11は縦方向X外方に凸な形状を有し、例えば、縦方向X外方に凸な曲線状を有する。中間圧搾溝11において「縦方向X外方に凸な形状」とは、好ましくは中間圧搾溝11全体が縦方向X外方に凸な形状であるが、例えば横方向Yの一部(例えば中央部)のみ縦方向X外方に凸な形状も含まれる。
中間圧搾溝11が縦方向X外方に凸な形状を有することにより、中間圧搾溝11が縦方向X内方へ向かうベクトル成分を含む方向に延びる部分を有する。これにより、横方向Y外方から外力が加わった場合に、中間圧搾溝11の上記部分が当該外力を受け止めて変形起点となり、中間圧搾溝11の凸状部に囲まれた吸収体4の横方向Y中央部を上方へ突出させ易くする。したがって、上記構成によれば、吸収体4の横方向Y中央部が上方へ盛り上がるような変形を促進し、着用者に対するナプキン1のフィット性をより一層向上させることができる。
[延在部のより詳細な構成]
端部溝部13の延在部15は、図1及び図3に示す例において、縦方向X外方に凸な形状を有する。つまり、延在部15は、厚み方向Zから見た平面視において、端点15a及び基部14から縦方向X外方に突出した形状を有する。これにより、延在部15は、まず基部14から縦方向X外方及び横方向Y外方のベクトル成分を含む方向へ延び、縦方向Xにおいて最も外方に位置する縦方向先端部15bに到る。さらに延在部15は、縦方向先端部15bから端点15aに向かって、縦方向X内方及び横方向Y外方のベクトル成分を含む方向に延びる。より具体的に、延在部15は、縦方向X外方に凸な曲線状に形成され、より具体的には円弧状又は楕円弧状に形成される。
このような延在部15で囲まれた内部の領域は、以下のように表面シート2の凸部23が配置されることで、より変形しにくい構成とすることができる。以下、表面シート2の構成について説明する。
[表面シートの構成]
図2、図3及び図5に示すように、表面シート2は、厚み方向Z外方にドーム状に突出する複数の凸部23を有する。凸部23は、表面シート2が厚み方向Zに圧縮されたエンボス部24で囲まれた部分として構成される。
なお、表面シート2は、ナプキン1において、その厚み方向とナプキン1の厚み方向とが一致するように配置される。このため、以下では、厚み方向Zを表面シート2の厚み方向Zと同義に用いる。
エンボス部24は、図3及び図5に示す例では、線状に構成される。エンボス部24は、相互に交差する第1線状エンボス群24a及び第2線状エンボス群24bを含む。第1線状エンボス群24a及び第2線状エンボス群24bは、延在方向が平行で、かつ一定の間隔で配列された複数の線状エンボスをそれぞれ含む。第1線状エンボス群24a及び第2線状エンボス群24bの各線状エンボスの交差する角度は、鋭角(鈍角)でも、90度でもよく、限定されない。
表面シート2は、例えば、所定の繊維を材料とした不織布ウェブに対してエンボス加工を行うことで形成される。エンボス加工は、例えば、格子状パターンのエンボス形成用凸部が周面に形成されたエンボスロールと、平滑な周面を有し当該エンボスロールに対向して配置されたフラットロールとを用いて行うことができる。
表面シート2を構成する繊維は、好適には、芯鞘型の熱接着性複合繊維を用いることができる。当該熱接着性複合繊維は、例えば、鞘部がポリエチレン樹脂(PE)、芯部がポリプロピレン樹脂(PP)からなる繊維、鞘部がポリエチレン樹脂(PE)、芯部がポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)からなる繊維等である。但し、表面シート2を構成する繊維は、これらに限定されない。
凸部23は、厚み方向Zから見た平面視において、第1線状エンボス群24aのうちの2本の線状エンボスと、第2線状エンボス群24bのうちの2本の線状エンボスとによって形成された矩形状の領域内に形成される。なお、表面シート2は、一方の面にのみ凸部23が形成されていればよく、他方の面は平坦又は起伏がより緩やかであってもよい。
図5に示すように、凸部23は、中実な凸状の繊維集合体として構成される。凸部23の表面は、巨視的にはドーム状の曲面で構成されるが、微視的には繊維に起因する凹凸が形成されていてもよく、各凸部23の形状が同一でなくてもよい。凸部23の構造は図5の例に限定されず、中空であってもよく、また角柱状、角錐台状等の種々の形状を採り得る。
このような複数の凸部23のうちの少なくとも一部の凸部23は、延在部15で囲まれた領域に形成される。この場合、凸部23は、少なくとも厚み方向Z外方に凸なドーム状部分が延在部15で囲まれた領域に位置していればよく、厳密に凸部23全体が当該領域内に含まれていなくてもよい。また、延在部15で囲まれた領域に、複数の凸部23が形成されていてもよい。
表面シート2におけるエンボス部24及び凸部23は、少なくとも延在部15に囲まれた領域に形成されていればよいが、表面シート2全体に形成されていてもよい。
表面シート2の繊維集合体としての凸部23が延在部15に囲まれた領域内に配置されることで、当該領域におけるナプキン1の厚みが厚くなり、延在部15に囲まれた領域が変形しにくくなる。したがって、延在部15と重なる第1横溝部16の変形がより抑制されやすくなり、着用者の身体の略平坦な領域にナプキン1がより一層沿いやすくなる。この結果、着用者に対する前方部M1又は後方部M3のフィット性をより一層向上させ、防漏効果を高めることができる。
[本実施形態の追加説明]
以下、本実施形態の説明を補足する。
(独立圧搾部の構成)
さらに、ナプキン1は、左右圧搾溝6の他、左右圧搾溝6から独立して圧搾された構成を備えていてもよい。例えば、ナプキン1は、端部溝部13が位置する本体Mの前方部M1又は後方部M3における表面シート2側に形成され、左右圧搾溝6とは離間している独立圧搾部25をさらに備える。「左右圧搾溝6と離間している」とは、端部溝部13及び本体溝部12のいずれからも離間していることをいう。
独立圧搾部25も、左右圧搾溝6と同様に、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥した構成を有し、圧搾加工等によって形成される。これにより、独立圧搾部25は、他の領域と比較して繊維の密度が高くなるため、周囲の領域と比較して剛性が高くなる。
独立圧搾部25は、図1に示す例では、本体Mの前方部M1及び後方部M3にそれぞれ設けられるが、前方部M1又は後方部M3の一方に設けられていてもよい。
独立圧搾部25の厚み方向Zから見た平面形状は、特に限定されず、様々な形状を採り得る。例えば、独立圧搾部25は、所定の平面形状を有する複数の要素(圧搾部)が近接して配置された構成を有している。図1及び図3に示す例では、前方部M1の独立圧搾部25は、4つの滴状の圧搾部分と2つのドット状の圧搾部分とが組み合わされた形状を有する。また、後方部M3の独立圧搾部25は、4つの滴状の圧搾部分が組み合わされた形状となっている。各要素の平面形状は、例えば、滴状、円形状、楕円形状、多角形状、曲線状、直線状、その他の形状から選ばれる1種又は2種以上を選択することができる。
また、「各要素が近接して配置される」とは、具体的には、隣接する要素の最も近接した部分間の距離が3mm以下となるように配置されることをいう。
図3に示すように、独立圧搾部25の縦方向Xにおいて最も外方に位置する縦方向先端部25aは、延在部15の縦方向Xにおいて最も外方に位置する縦方向先端部15bよりも、縦方向X外方に位置する。独立圧搾部25の縦方向先端部25aは、独立圧搾部25が複数の要素を含む場合、最も縦方向X外方に位置する要素の縦方向先端部である。
独立圧搾部25の縦方向先端部25aが延在部15の縦方向先端部15bよりも縦方向X外方に位置することで、本体Mの前方部M1又は後方部M3に縦方向X内方への外力が付加された場合に、剛性の高い独立圧搾部25が当該外力を受け易くなる。これにより、より縦方向X内方側に位置する延在部15が当該外力によって変形しにくくなり、本体Mの前方部M1又は後方部M3の変形をより確実に抑制することができる。
(圧搾溝の各寸法)
左右の延在部15の端点15a間のY軸方向における距離は、延在部15及びその近傍の剛性を十分に高める観点から、好ましくは15mm以上、より好ましくは20mm以上であり、そして好ましくは35mm以下、より好ましくは30mm以下である。
左右の本体溝部12の横方向Yにおいて最も離間している部分の距離は、吸収体4の外方への液の漏れを防止する観点から、好ましくは40mm以上、より好ましくは42mm以上であり、そして好ましくは60mm以下、より好ましくは55mm以下である。
中間圧搾溝11の端点間の横方向Yにおける距離は、中間圧搾溝11による変形制御作用を効果的に発揮させる観点から、好ましくは20mm以上、より好ましくは25mm以上であり、そして好ましくは50mm以下、より好ましくは45mm以下である。
延在部15の端点15aと縦方向先端部15bとの間の縦方向Xにおける距離は、延在部15に囲まれた領域を十分に確保して変形を防止する観点から、好ましくは2mm以上、より好ましくは4mm以上であり、そして好ましくは15mm以下、より好ましくは13mm以下である。
独立圧搾部25の縦方向先端部25aと延在部15の縦方向先端部15bとの間の縦方向Xにおける距離は、独立圧搾部25による延在部15の変形抑制作用を効果的に得る観点から、好ましくは7mm以上、より好ましくは10mm以上であり、そして好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下である。
独立圧搾部25の縦方向Xにおける長さ寸法は、独立圧搾部25による変形抑制作用を効果的に得る観点から、好ましくは7mm以上、より好ましくは10mm以上であり、そして好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下である。なお、独立圧搾部25の長さ寸法は、縦方向先端部25aから、その独立圧搾部25において縦方向X最内方に位置する部分までの縦方向Xにおける寸法である。
左右圧搾溝6の延在方向と直交する方向の溝幅は、上述の変形抑制作用及び防漏作用を効果的に得る観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、そして好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である。なお、ここでいう左右圧搾溝6の溝幅は、低圧搾部10内に高圧搾部9が含まれる場合は低圧搾部10の溝幅であり、低圧搾部10の溝幅よりも高圧搾部9の溝幅(径)が大きい場合には、高圧搾部9の溝幅(径)である。
本体Mの前方部M1及び後方部M3において、高圧搾部9が円形状である場合の高圧搾部9の径は、上述の変形抑制作用を効果的に得る観点から、好ましくは0.8mm以上、より好ましくは1mm以上であり、そして好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下である。
本体Mの前方部M1及び後方部M3において、左右圧搾溝6の延在方向に隣接する高圧搾部9間の距離は、上述の変形抑制作用を効果的に得る観点から、好ましくは0.8mm以上、より好ましくは1mm以上であり、そして好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2mm以下である。
(吸収体の他の溝部の構成)
図4に示すように、吸収体4(吸収性コア7)は、上述の第1縦溝部19、第2縦溝部20、第1横溝部16及び第2横溝部17以外にも、縦方向X又は横方向Yに延びる溝部を有していてもよい。具体的に、図4に示す吸収体4は、第2縦溝部20の横方向Y外側に位置する一対の第3縦溝部21と、第2横溝部17の縦方向X内方に位置する複数の第3横溝部18を有している。なお、吸収体4は、複数対の第3縦溝部21を有していてもよい。また、第3横溝部18の本数も図示の例に限定されない。
(吸収体の溝部の寸法)
吸収体4の縦溝部19~21及び横溝部16~18の幅は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上であり、また、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは5mm以下である。縦溝部19~21及び横溝部16~18の深さは、好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは10mm以下である。
(吸収体の突出部の構成)
図2に示すように、例えば吸収性コア7は、中間部M2において、横方向Y中央部に位置し、厚み方向Z上方に突出した突出部26を有している。突出部26は、吸収性コア7の他の領域と比較して、全体として高い坪量で肉厚に構成されることにより、中間部M2における吸収性を高めることができる。また、着用者の排泄部に対向して突出部26が設けられることで、着用者の排泄部に対するフィット性も高めることができる。
(表面シートの詳細な構成)
表面シート2を構成する不織布の坪量は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは15g/m以上であり、そして好ましくは80g/m以下、より好ましくは60g/m以下である。
表面シート2の凸部23における厚み寸法は、乾燥状態において0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、そして好ましくは3mm以下であることが好ましい。
以上、本考案の実施形態について説明したが、本考案は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
以上の実施形態では、吸収性物品として生理用ナプキンの例を示したが、これに限定されない。本考案の吸収性物品は、例えば、尿取りパットやおりものシート、使い捨ておむつ等であってもよい。
例えば、ナプキン1は、ウイング部Wを有さなくてもよいし、あるいは夜用として縦方向Xに長く構成され後方部M3に後方フラップを有していてもよい。
ウイング部Wを有さない場合の中間部M2は、ナプキン1の縦方向Xの全長を三等分して3領域に区分したときの中央の領域である。
1…ナプキン(吸収性物品)
2…表面シート
3…裏面シート
4…吸収体
6…左右圧搾溝
12…本体溝部
13…端部溝部
14…基部
15…延在部
16…第1横溝部
M…本体
M1…前方部
M2…中間部(縦方向中間部)
M3…後方部

Claims (8)

  1. 表面シート、吸収体及び裏面シートを含み相互に直交する縦方向及び横方向を有する本体と、前記本体の前記表面シート側に形成され対をなして配置された左右圧搾溝と、を備えた吸収性物品であって、
    前記左右圧搾溝各々は、
    前記本体の縦方向中間部においては前記縦方向に延び、かつ、前記本体の前記縦方向中間部の前記縦方向外方に位置する前方部又は後方部においては前記横方向内方に向かって相互に近接するように延びる本体溝部と、
    前記前方部又は前記後方部の少なくとも一方において、前記本体溝部から延び前記左右圧搾溝が前記横方向に最も近接する基部と、前記基部の前記縦方向外方側から前記横方向外方に向かって相互に離間するように延びる延在部と、を含む端部溝部と、を有し、
    前記吸収体は、前記前方部又は後方部において前記横方向に延びる第1横溝部を有し、
    前記延在部の少なくとも一部は、前記吸収性物品の厚み方向から見た平面視において、前記第1横溝部と重なる
    吸収性物品。
  2. 前記吸収体は、前記吸収体を前記横方向に2等分する仮想的な縦中心線上に延びる第1縦溝部をさらに有し、
    前記基部の少なくとも一部は、前記吸収性物品の厚み方向から見た平面視において、前記第1縦溝部と重なる
    請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記端部溝部は、底部に高圧搾部と低圧搾部とを有し、
    前記第1縦溝部は、前記平面視において、前記低圧搾部と重なり、前記高圧搾部とは重ならない
    請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収体は、前記第1縦溝部の前記横方向両隣りにそれぞれ位置し前記縦方向に延びる一対の第2縦溝部をさらに有し、
    左右の前記延在部の端点は、前記第2縦溝部よりも前記横方向内方に位置する
    請求項2又は3に記載の吸収性物品。
  5. 前記前方部又は前記後方部における前記表面シート側に形成され、前記本体溝部の前記縦方向端部よりも前記縦方向内方で、かつ前記本体溝部の前記横方向最外部分よりも前記横方向内方に位置し、前記横方向に延びる中間圧搾溝をさらに備え、
    前記吸収体は、前記横方向に延び前記第1横溝部とは異なる第2横溝部をさらに有し、
    前記中間圧搾溝の少なくとも一部は、前記厚み方向から見た平面視において、前記第2横溝部と重なる
    請求項1から4のうちいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記本体溝部は、前記縦方向中間部と前記前方部又は後方部との境界部近傍で前記横方向内方に括れる括れ部を有し、
    前記中間圧搾溝は、前記括れ部よりも前記縦方向外方に位置する
    請求項5に記載の吸収性物品。
  7. 前記中間圧搾溝は、前記縦方向外方に凸な形状を有する
    請求項5又は6に記載の吸収性物品。
  8. 前記延在部は、前記縦方向外方に凸な形状を有し、
    前記表面シートは、厚み方向外方にドーム状に突出する複数の凸部を有し、
    前記複数の凸部のうちの少なくとも一部の凸部は、前記延在部で囲まれた領域に形成される
    請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の吸収性物品。
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