JP3236834B2 - 地下室構造体、その製造方法、その運搬方法およびその施工方法 - Google Patents

地下室構造体、その製造方法、その運搬方法およびその施工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生活空間または物
品収納空間として利用される鉄筋コンクリート製の地下
室構造体、その製造方法、その運搬方法およびその施工
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、通常の宅地においても狭い敷地面
積を有効に利用するため、地下室を設けることが盛んに
行われるようになっている。従来、地下室は、建築現場
でのコンクリート打設用の枠組み工事、枠組み後の枠内
への配筋工事、配筋後の枠組み内へのコンクリート打設
工事を行い、さらに長い養生期間を経て完成される。こ
のように従来の地下室工事は非常に面倒であり、多くの
人手と費用がかかるばかりか工期も長く、これらがネッ
クになって地下室の普及を遅らせている。
【0003】このような不都合を解消するものとして、
特開平3−76933号公報、特開平8−92973号
公報、特開平8−92974号公報等には、工場で大量
に生産し得る、いわゆるユニット式の地下室が提案され
ている。このユニット式の地下室は、取り扱いおよび運
搬が容易な程度の大きさに寸法設定された鉄筋コンクリ
ート製の地下室構造体(コンクリートブロック)を工場
で大量生産し、これらのコンクリートブロックを建築現
場に運び込み、予め掘削された縦穴に継ぎ足しながら埋
設することによって形成されるものであり、建築現場で
の一連のコンクリート打設工事等を省略することができ
るため、建設コストの低減および工期の短縮が実現す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記特開平
3−76933号公報に記載されたユニット式地下室に
あっては、コンクリートブロックが、地下室を縦方向に
切断して複数に分割した、いわゆる輪切り状態で形成さ
れているため、隣接したコンクリートブロック同士の垂
直面に沿う接合部分からの地下室内への地下水の侵入を
防止することが困難であるという問題点を有している。
【0005】このような問題点を解消するために、特開
平3−76933号公報に記載のユニット式地下室にお
いては、桝形の各コンクリートブロックの四隅部にワイ
ヤを通す挿通孔を穿設し、コンクリートブロックをシー
ル部材を介して並設した後、串刺し状態で各コンクリー
トブロックの挿通孔にワイヤを通して締結し、これによ
ってコンクリートブロック間の当接部分における水漏れ
を防止するようになされている。
【0006】しかしながら、複数のコンクリートブロッ
クをワイヤによって締結するために、各コンクリートブ
ロックにワイヤを通す挿通孔をわざわざ穿設しなければ
ならず、その分製造コストが嵩むという新たな問題点が
提起される。また、たとえワイヤで複数のコンクリート
ブロックを締結しても、長期間の内にワイヤが伸長した
り腐食することによって締結力が弱まり、これによって
コンクリートブロック間に隙間が形成されて地下水が侵
入するという問題点を有している。
【0007】また、上記特開平8−92973号公報お
よび特開平8−92974号公報に記載されたユニット
式地下室は、コンクリートブロックを上記特開平3−7
6933号公報に記載のものよりさらに細分化したもの
であり、各コンクリートブロック間の接合は、上記ワイ
ヤに代えてコンクリートブロックに埋設された接合金具
を介して行うようにしてあるが(特に特開平8−929
73号公報)、地下水の侵入に関しては上記特開平3−
76933号公報に記載のユニット式地下室の場合と同
様の問題点を有している。
【0008】さらに、特開平8−92973号公報およ
び特開平8−92974号公報に記載されたユニット式
地下室においては、床部は従来工法である現地でのコン
クリート打設工法が採用されているため、工期の短縮化
を図る上では不利である。
【0009】加えて、上記各公報に記載された地下室ユ
ニットは、いずれも一室を対象とした単一の構造体であ
り、複数の構造体を組み合わせて地下空間を変化に富ん
だものにするという考え方は存在しない。これに対し、
特開平4−44526号公報には、プレキャストコンク
リートパネルを工事現場で組み立てて複数の地下室を構
築する工法が提案されているが、工事現場での組み立て
作業が面倒であり、工期の短縮が図り難いという問題点
を有している。
【0010】そこで、複数の地下室ユニットを相互に隣
接させた状態で埋設して複数の地下室を形成することが
考えられるが、このようにすると、隣接した地下室間の
出入口を通して雨水や地下水等が室内に侵入するという
新たな問題点が提起される。このような問題点を解消す
るために、隣合った地下室ユニット間にシール部材を介
設するとともに、地下室ユニット同士をロープを巻き付
けてゆわえたり、ボルトやタイロッド等で締結して隣接
したユニット間に隙間がないようにすることが考えられ
るが、たとえこのようにしても長期間の内にロープ等に
よる締結状態が弛緩してユニット間に隙間が生じ、この
隙間を通って地下室内に雨水等が侵入することが予想さ
れ、結局、長期的な観点から複数の地下室ユニットを埋
設することができないという問題点を有している。
【0011】かかる問題点を解消するために、出願人
は、先に、底部と周壁とを備えた鉄筋コンクリート製の
下部構造体に、平面視の形状が上記下部構造体と同一形
状であり、かつ、周壁のみからなる鉄筋コンクリート製
の少なくとも1つの上部構造体を、上縁面と下縁面とが
互いに当接するように積み重ねることによって構造体本
体を形成し、しかも各構造体の上縁面と下縁面との間に
シール部材を介設した地下室構造体、この地下室構造体
の製造方法および施工方法を発明した(特願平9−96
105号)。かかる地下室構造体においては、地下室内
への雨水や地下水の侵入を確実に防止した上で、地下室
建設の工期短縮化を図ることができるとともに、複数の
地下室構造体を隣接させて接続した場合の接続部分の出
入口から雨水や地下水が地下室内に侵入しないようにす
ることができる、という利点を備えており、上記各問題
点を解消する上で有効である。
【0012】しかしながらこの地下室構造体は、底のあ
る下部構造体と、天井のない上部構造体とで構成され、
構造体が土中に埋設された状態で上面が開口しており、
この開口を塞ぐための現地施工が必要になる。
【0013】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、現地施工をより少なくし、
地下室建設の工期をより短縮化することができるととも
に、複数の地下室構造体を隣接させて接続した場合の接
続部分の出入口から雨水や地下水の地下室内への侵入を
より確実に防止することができる地下室構造体、その製
造方法、その運搬方法およびその施工方法を提供するこ
とを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
地下室構造体は、底部と周壁とを備えた鉄筋コンクリー
ト製の下部構造体に、平面視の形状が上記下部構造体と
同一形状であり、かつ、周壁と天井部とを備えた鉄筋コ
ンクリート製の上部構造体を、上縁面と下縁面とが互い
に当接するように積み重ねることによって構造体本体が
形成され、上記各構造体の上縁面と下縁面との間にはシ
ール部材が介設され、上記下部構造体の上縁面は、内外
に段差をもって連なる高縁部及び低縁部を有し、上記上
部構造体の下縁面は、上記下部構造体の上縁面に噛み合
うように内外に段差をもって連なる高縁部及び低縁部を
有し、上記上部構造体の下縁面と上記下部構造体の上縁
とには、それぞれの高縁部及び低縁部に配置されて、
各構造体内部に配筋されている鉄筋と一体に結合された
各一対の金属部材が設けられ、下部構造体の上に上部構
造体が積み重ねられた状態でこれらの上縁面と下縁面の
各高縁部に設けられた金属部材同士及び各低縁部に設け
られた金属部材同士が互いに溶接されていることを特徴
とするものである。
【0015】また、本発明の請求項8記載の地下室構造
体の製造方法は、底部と周壁とを備え、上縁面に内外に
段差をもって連なる高縁部及び低縁部を有し、かつ、上
縁面の高縁部及び低縁部に内部の鉄筋と一体に結合され
た一対の金属部材が配設された鉄筋コンクリート製の下
部構造体に、平面視の形状が上記下部構造体と同一形状
で周壁と天井部とを備え、下縁面に上記下部構造体の
縁面に噛み合うように内外に段差をもって連なる高縁部
及び低縁部を有し、かつ、下縁面の高縁部及び低縁部に
内部の鉄筋と一体に結合された一対の金属部材が配設さ
れた鉄筋コンクリート製の少なくとも1つの上部構造体
を、上縁面と下縁面との間にシール部材を介在させた状
態で積み重ね、上縁面と下縁面の各高縁部に設けられた
金属部材同士及び各低縁部に設けられた金属部材同士
溶接することによって構造体本体を形成することを特徴
とするものである。
【0016】これら地下室構造体およびその製造方法に
よれば、地下室構造体が大規模のものであっても、構造
体本体を分割して下部構造体と、上部構造体とにするこ
とによって、構造体本体を工場生産し得るようになるた
め、地下室を現地で施工する場合に比べて施工コストが
安価になる。
【0017】また、分割された各構造体の上縁面と下縁
面との間にシール部材が介設されているため、各構造体
が積み重ねられた状態で、各構造体の接合部分がシール
部材によってシールされ、これによって地下水の地下室
内への侵入が防止される。
【0018】そして、従来の鉛直面に沿うように分割し
た構造体の場合、シール部材の押圧挟持を確実に行うべ
く、ワイヤ等によって複数の構造体が締結されている
が、これによって施工コストが嵩むとともに、ワイヤの
伸長や腐食等による締結力の低下によって確実なシール
効果を得ることができなくなるという不都合が生じるの
に対し、本発明においては、シール部材は、上部の構造
体の重量によって常に押圧された状態になっているた
め、従来のようなワイヤ等による締結操作は必要なく、
施工コストの低減に寄与するとともに、地下水の地下室
への侵入が常に確実に防止される。
【0019】また、構造体を土中に埋設した状態で、構
造体にはすでに天井部が形成されているため、新たに上
部構造体の上縁部に梁を渡して構造体の上部開口を塞ぐ
ような現地工事を行う必要がなくなり、その分現地工事
コストの低減化が図られる。
【0020】また、下部構造体の上縁面および上部構造
体の下縁面にそれぞれ互いに噛み合う段差が設けられて
いるため、上下の構造体の接合時の位置決めが確実に行
われるとともに、上下の構造体の横ずれを有効に防止す
ることができる。しかも、上下の段差部分に水平方向で
若干の遊びを形成しておくことにより、噛み合い状態の
自由度を増大させることが可能であり、これによって上
下の構造体の寸法誤差の吸収や積層状態の微調整を簡単
に行うことができ、上下の構造体の製造が容易になると
ともに地下室の現場施工が容易になる。
【0021】加えて、下部構造体の金属部材と、上部構
造体の金属部材とが互いに溶接されることによって構造
体本体が一体化されるため、構造体本体は、水平方向に
向かう力に対する耐剪断性および耐曲げ性が向上し、上
下で分離するような不都合が確実に防止される。従っ
て、地震発生時に上部構造体が下部構造体に対して横ず
れするようなことがなく、地下室構造体は耐震性に優れ
たものになる。
【0022】本発明の請求項2記載の地下室構造体は、
請求項1記載の地下室構造体において、上記シール部材
はゴム製であることを特徴とするものである。
【0023】この地下室構造体によれば、ゴムは柔軟性
および防水性に優れているため、上下の構造体間の防水
が確実に行われる。
【0024】本発明の請求項3記載の地下室構造体は、
1または2記載の地下室構造体において、上記構造体本
体の内壁面および外壁面のいずれか一方または双方に防
水処理が施されていることを特徴とするものである。
【0025】この地下室構造体によれば、この防水処理
によって周壁を通した地下水の地下室内への侵入が防止
される。
【0026】本発明の請求項4記載の地下室構造体は、
請求項1乃至3のいずれかに記載の地下室構造体におい
て、上記下部構造体および上部構造体は、210kgf
/cm2以上の圧縮強度を有するコンクリートが用いら
れ、かつ、下部構造体の底部および周壁並びに上部構造
体の周壁の厚み寸法が150mm以上に設定されている
ことを特徴とするものである。
【0027】この地下室構造体によれば、構造体本体が
地下に埋設されて地下室が形成された状態で、地下室そ
のものの強度が非常に大きなものになるとともに、構造
体本体の上縁部を地上設置の建造物の基礎として利用す
ることが可能になる。
【0028】本発明の請求項5記載の地下室構造体は、
請求項4記載の地下室構造体において、上記コンクリー
トは、防水機能を有する混和剤が混入されたものである
ことを特徴とするものである。
【0029】この地下室構造体によれば、地下水の周壁
を通した地下室内への侵入が防止される。
【0030】本発明の請求項6記載の地下室構造体は、
請求項1乃至5のいずれかに記載の地下室構造体におい
て、上記下部構造体および上部構造体は、幅寸法が2.
5m〜3.5m、高さ寸法が0.8m〜1.6m、およ
び長さ寸法が2.5m〜9.0mであることを特徴とす
るものである。
【0031】この地下室構造体によれば、各構造体が、
生産、移送、取り扱いおよび搬送に適した寸法になる。
特に、構造体を工場から地下室の施工現場に搬送するに
際し、所定の運送車両を用いて公道を利用することが可
能になる。
【0032】本発明の請求項7記載の地下室構造体は、
請求項1乃至6のいずれかに記載の地下室構造体におい
て、上記下部構造体は、周壁の平面状の部分に上縁部か
ら切り欠かれて形成された上部開放切欠き部を有し、上
記上部構造体は、上記上部開放切欠き部に対応した下部
開放切欠き部を有し、上部構造体が下部構造体に積み重
ねられた状態で上記上部開放切欠き部と上記下部開放切
欠き部とで開口部が形成され、この開口部の内周面に
は、周壁の外面側に向かって開放した第1環状隅部が凹
設され、この第1環状隅部の内周面には、周壁の外面側
に向かって開放した第2環状隅部が凹設されていること
を特徴とするものである。
【0033】この地下室構造体によれば、一の構造体本
体と他の構造体本体とを、それぞれの開口部が対向する
ように隣接施工することによって、二つの構造体本体間
を行き来する連絡口が形成された状態になる。そして、
この連絡口には、それぞれの構造体本体の第1環状隅部
によって形成された狭幅溝と、同第2環状隅部によって
形成された広幅溝とが形成された状態になるため、狭幅
溝にシール部材を装填した上で、広幅溝に生コンクリー
ト(例えば止水モルタル)を流し込む、いわゆるグラウ
ティング処理を施すことにより、各構造体本体の開口部
からの構造体本体内部への地下水の侵入が防止される。
【0034】本発明の請求項9記載の地下室構造体の製
造方法は、請求項8記載の地下室構造体の製造方法にお
いて、上記下部構造体の立体形状に沿う第1型枠内に配
筋した後、第1型枠内に生コンクリートを流し込んで下
部構造体を製造するとともに、上記上部構造体の立体形
状に沿う第2型枠に配筋した後、第2型枠内に生コンク
リートを流し込んで上部構造体を製造することを特徴と
するものである。
【0035】この地下室構造体によれば、型枠内に生コ
ンクリートを流し込むことによって各構造体が製造され
る。特に下部構造体については、底部が上位に位置する
ような型枠を用いたため、型抜きが容易になる。
【0036】本発明の請求項10記載の地下室構造体の
運搬方法は、請求項6記載の地下室構造体の運搬方法で
あって、上記下部構造体および上記上部構造体の各々に
ついて、長尺側の側面が水平になるように構造体を90
°横転し、この横転した構造体を保護用のラックに装填
し、ついでこのラックに装填された構造体を、載置面が
運送車両に装着された状態で路面から30cm以下に高
さ設定されたパレットを介して運送車両に積載し、搬送
することを特徴とするものである。
【0037】この地下室構造体によれば、構造体を90
°横転させることにより、所定の運送車両への積載高さ
寸法および幅寸法が法規による規制の範囲内に納めるこ
とが可能になり、構造体を公道を利用して搬送すること
ができる。また、構造体をラックに装填することによ
り、構造体は、搬送中の衝撃から保護される。
【0038】本発明の請求項11記載の地下室構造体の
運搬方法は、請求項10記載の地下室構造体の運搬方法
において、上記ラックとして、上記構造体を支持する支
持プレートと、この支持プレートに支持された構造体に
被せる枠体とからなり、かつ、枠体を構造体に被せた状
態で枠体と支持プレートとを一体に締結し得るように構
成されたものを用いることを特徴とするものである。
【0039】この地下室構造体によれば、構造体を支持
プレートに載置した後、枠体を構造体に被せ、ついで支
持プレートと枠体とを一体に締結することにより、構造
体がラック内に収納された状態になり、これによって構
造体のラック内への装填操作が容易になる。
【0040】本発明の請求項12記載の地下室構造体の
運搬方法は、請求項10または11記載の地下室構造体
の運搬方法において、上記構造体が装填された上記ラッ
クを運送車両から荷降ろしするに際し、ラックを吊持部
材によって斜めになるように吊持し、この斜めに吊持し
たラックを、水平軸回りに回動自在に軸支され、かつ、
ラックの下端縁部を受ける回動治具上に吊り降ろし、つ
いで回動治具を水平軸周りに回動させることによって構
造体を横転させた状態で荷降しすることを特徴とするも
のである。
【0041】この地下室構造体によれば、構造体の装填
されたラックの荷降し操作時の衝撃が、回動治具によっ
て緩衝される。
【0042】本発明の請求項13記載の地下室構造体の
施工方法は、請求項1乃至6のいずれかに記載の地下室
構造体の施工方法であって、地面に少なくとも上記下部
構造体を埋設し得る縦穴を掘削し、上記縦穴の底部に砕
石を敷き詰めた後、底部が砕石側になるように吊持した
下部構造体を上記砕石上に吊り降ろし、ついで下部構造
体の上縁面と、上記上部構造体の下縁面との間に上記シ
ール部材を介在させた状態で上部構造体を下部構造体の
上に吊り降ろし、下部構造体と上部構造体との接合部分
をシール構造にすることを特徴とするものである。
【0043】この地下室構造体によれば、各構造体を縦
穴に順次吊り降ろして積み重ねることにより、縦穴内に
地下室が形成される。そして、地下室が形成された状態
で、下部構造体の下部には砕石が敷設されているため、
この砕石によって下部構造体の底部が均一に支持され
る。また、下部構造体と上部構造体との間に介在された
シール部材によって両者の接合部分がシール構造になっ
ており、これによって接合部分からの地下室内への地下
水の侵入が防止される。
【0044】本発明の請求項14記載の地下室構造体の
施工方法は、請求項13記載の地下室構造体の施工方法
において、上記シール部材を介した上記下部構造体と上
部構造体との当接部分に、構造体本体の内側から防水用
のライニング処理を施すことを特徴とするものである。
【0045】この地下室構造体によれば、構造体の接合
部分が、シール部材によるシールに加えてライニング処
理によってもシールされるため、地下水の地下室への侵
入がさらに確実に防止される。
【0046】本発明の請求項15記載の地下室構造体の
施工方法は、請求項13または14記載の地下室構造体
の施工方法において、上記下部構造体の上記縦穴への埋
設前に、縦穴の底部に所定本数の摩擦杭を杭打ちするこ
とを特徴とするものである。
【0047】この地下室構造体によれば、摩擦杭の施工
で縦穴の底に強固な基礎が形成されるため、地下室の耐
震性能が向上するとともに、摩擦杭に支持された構造体
を、地上設置の建造物の安定した基礎として利用するこ
とが可能になる。
【0048】本発明の請求項16記載の地下室構造体の
施工方法は、請求項1乃至7のいずれかに記載の地下室
構造体の施工方法であって、地面に少なくとも上記下部
構造体を埋設し得る縦穴を掘削し、上記縦穴の底部にコ
ンクリート製の基礎盤を敷設し、この基礎盤上に上記下
部構造体を支持する弾性体製のスペーサーを所定ピッチ
で配設した後、基礎盤上にセメントと砂とを混練した空
練りモルタルを上記スペーサーが隠れる程度で、かつ、
同一厚み寸法になるように敷き詰めて空練りモルタル層
を形成し、この空練りモルタル層の上に上記下部構造体
を吊り降ろし、ついで下部構造体の上縁面と、上記上部
構造体の下縁面との間に上記シール部材を介在させた状
態で上部構造体を下部構造体の上に吊り降ろし、下部構
造体と上部構造体との接合部分をシール構造にすること
を特徴とするものである。
【0049】この地下室構造体の施工方法によれば、基
礎盤上に空練りのモルタル層を形成した後、下部構造体
を縦穴内に吊り降ろすことによって、下部構造体は基礎
盤上の複数のスペーサーに支持される。弾性体製の複数
個のスペーサーは下部構造体の重量によってそれぞれ圧
縮弾性変形する。このときモルタル層も圧縮され、基礎
盤や下部構造体の底面の凹凸に対応して厚み寸法が変化
し、下部構造体底面と基礎盤表面との間に基礎盤や下部
構造体の寸法誤差を吸収して挟持された状態になる。こ
の状態で長期間放置されることにより、空練りのモルタ
ル層は土中の水分を吸収して所定の化学反応が進行し、
これによってモルタル層が固化して下部構造体の底面に
フィットした基礎が形成される。
【0050】このように、空練りモルタルで基礎を形成
することによって、生コンクリートで継ぎ打ちを行う場
合に比べて基礎形成工事が容易になるとともに、構造体
の重力を、基礎盤を介して地盤に受けさせることが可能
になり、片加重に起因して構造体が傾くような不都合の
発生が防止される。
【0051】本発明の請求項17記載の地下室構造体の
施工方法は、請求項7記載の地下室構造体の施工方法で
あって、二つの下部構造体を、互いに隣接し、かつ、そ
れぞれの上部開放切欠き部が互いに対向するように縦穴
内に吊り降ろした後、各下部構造体の上に上部構造体
を、それぞれの下部開放切欠き部が互いに対向するよう
に吊り降ろし、形成された連絡口の一対の第1環状隅部
による狭幅溝にシール部材を充填し、ついで同一対の第
2環状隅部による広幅溝に止水モルタルを充填すること
を特徴とするものである。
【0052】この地下室構造体の施工方法によれば、二
つの構造体本体が縦穴内で隣接配置されることによって
形成された連絡口は、その内周面の狭幅溝に充填された
シール部材と、同広幅溝に充填された止水モルタルとで
接続部分が二重にシールされた状態になり、各構造体本
体の開口部からの構造体本体内部への地下水の侵入が確
実に防止される。
【0053】本発明の請求項18記載の地下室構造体の
施工方法は、請求項13乃至17のいずれかに記載の地
下室構造体の施工方法において、施工された構造体本体
の天井部の上面に根太を設けることを特徴とするもので
ある。
【0054】この地下室構造体の施工方法によれば、根
太の上に建造物を構築することができ、構造体本体が地
上建造物の基礎として利用される。
【0055】本発明の請求項19記載の地下室構造体の
施工方法は、請求項13乃至18のいずれかに記載の地
下室構造体の施工方法において、構造体本体を縦穴に吊
り降ろした後、上記縦穴の上縁部に、内周面が上記構造
体本体の外周面に当接するように、内部に鉄筋の配筋さ
れた環状基礎を敷設することを特徴とするものである。
【0056】この地下室構造体の施工方法によれば、環
状基礎が構造体本体を取り囲んだ状態になっているた
め、構造体本体に加わる土圧が環状基礎によって緩和さ
れる。特に、構造体本体の周りに束基礎や布基礎が存在
する場合、これら基礎上に構築された構造物の重量が土
圧となって構造体本体に加重されるが、環状基礎がこの
加重された土圧を遮ることによって構造体本体への影響
が少なくなる。従って、構造体本体の壁厚を厚くした
り、束基礎や布基礎の直下の土壌に杭打ちを施したり、
さらには布基礎の基礎底部(フーチング)を構造体本体
から離間した位置に敷設して敷地を無駄に使用するよう
な不都合が回避される。
【0057】また、環状基礎を設けることにより、状況
に応じて上部に構築される構築物を環状基礎に支持させ
ることが可能になり、べた基礎としての構造体本体を含
めて基礎の対応性が向上する。
【0058】本発明の請求項20記載の地下室構造体の
施工方法は、請求項19記載の地下室構造体の施工方法
において、上記構造体本体の上記環状基礎に対応する部
分に予め所定寸法だけ外部に突出したアンカー部材を所
定本数埋設し、これらアンカー部材と上記鉄筋とを配筋
した状態で上記環状基礎を敷設することを特徴とするも
のである。
【0059】この地下室構造体の施工方法によれば、ア
ンカー部材と鉄筋とを配筋することによって環状基礎と
構造体本体とが一体化するため、環状基礎上に構築物が
構築された場合であっても、環状基礎に加わった構築物
の重量は、環状基礎の底面に加えて構造体本体の底面で
も支持され、構築物の支持状態がより確実なものにな
り、耐震性も向上する。
【0060】本発明の請求項21記載の地下室構造体の
施工方法は、請求項7記載の地下室構造体の2体を互い
に隣接するように吊り降ろす施工方法であって、地面に
少なくとも上記下部構造体の2体を埋設し得る縦穴を掘
削し、上記縦穴の底部にコンクリート製の基礎盤を敷設
し、この基礎盤上に上記下部構造体を支持する弾性体製
のスペーサーを所定ピッチで配設した後、基礎盤上にセ
メントと砂とを混練した空練りモルタルを上記スペーサ
ーが隠れる程度で、かつ、同一厚み寸法になるように敷
き詰めて空練りモルタル層を形成し、この空練りモルタ
ル層の上に一方の下部構造体を吊り降ろした後、この下
部構造体の上にシール部材を介して一方の上部構造体を
吊り降ろして第1構造体本体を形成し、この第1構造体
本体の開口部周りの外壁面に環状シール部材を貼設し、
引き続き他の下部構造体および上部構造体からなる第2
構造体本体の開口部が第1構造体本体の開口部に対応す
るように、かつ、上記環状シール部材を押圧挟持するよ
うに他の下部構造体および上部構造体を、シール部材を
介して順次吊り降ろすことを特徴とするものである。
【0061】この地下室構造体の施工方法によれば、第
1および第2構造体本体の各開口部は、第1および第2
構造体本体に押圧挟持されて圧縮弾性変形した状態にな
っているため、各開口部を通した地下水等の室内への侵
入が確実に防止される。
【0062】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る地下室構造
体の第1実施形態を示す一部切欠き分解斜視図であり、
図2はその組立て斜視図である。これらの図に示すよう
に、構造体本体10は、地下室の下半分を形成する下部
構造体1と、同上半分を形成する上部構造体2とを備え
た基本構成を有している。上記下部構造体1は、平面視
で長方形状に形成され、底部に形成された基礎床(底
部)11と、この基礎床11の周縁部から上方に向かっ
て延設された周壁12とからなっている。
【0063】上記基礎床11は平面視で長方形状に形状
設定され、これによって上記周壁12は、基礎床11の
短辺側に互いに対向するように立設された一対の短辺側
壁13と、同長辺側に互いに対向するように立設された
一対の長辺側壁14とを備えた状態になっている。ま
た、下部構造体1の周壁12は、その上縁部に外方が低
くレベル設定された低縁部15aと、この低縁部15a
の内方に低縁部15aより高くレベル設定された高縁部
15bとからなる段差縁部15を有している。
【0064】上記上部構造体2は、下部構造体1に対応
して同一平面形状に形成され、上記下部構造体1の短辺
側壁13に対応した短辺側壁22と、同長辺側壁14に
対応した長辺側壁23とからなる周壁21を有してい
る。上部構造体2の周壁21の下縁部には、外方に形成
された、下部構造体1の周壁12の低縁部15aに対応
する低縁部24aと、内方に形成された上記周壁12の
高縁部15bに対応する高縁部24bとを備えた段差縁
部24が形成されている。
【0065】また、上部構造体2の上部には、周壁21
に支持された天井壁20が設けられている。この天井壁
20の適所には、矩形状の出入口20aが設けられ、上
部構造体2が下部構造体1上に積み重ねられた状態(図
2)で、この出入口20aを介して構造体本体10内に
対して出入りし得るようになっている。そして、下部構
造体1の周壁12の上縁部に、上部構造体2の周壁21
の下縁部を当接させるように上部構造体2を下部構造体
1上に積み重ねることによって、下部構造体1の段差縁
部15と上部構造体2の段差縁部24とが互いに嵌まり
合い、これによって下部構造体1と上部構造体2とが合
体した構造体本体10が得られるようにしている。
【0066】図3は、下部構造体1および上部構造体2
の段差縁部15,24を示す断面図であり、(イ)は上
部構造体2が下部構造体1に積み重ねられる直前の状
態、(ロ)は上部構造体2が下部構造体1に積み重ねら
れた状態をそれぞれ示している。図3の(イ)に示すよ
うに、下部構造体1の段差縁部15に、上部構造体2の
段差縁部24を対向させた状態で、上部構造体2の低縁
部24aが下部構造体1の低縁部15aに対向してい
る。また、上部構造体2の高縁部24bが下部構造体1
の高縁部15bに対向し、図3の(ロ)に示すように、
上部構造体2を下降させて上部構造体2の段差縁部24
を下部構造体1の段差縁部15に当接させた状態で、下
部構造体1の段差縁部15と上部構造体2の段差縁部2
4とが互いに嵌まり合うように各低縁部15a,24a
および各高縁部15b,24bの幅寸法が設定されてい
る。これによって、下部構造体1に積み重ねられた上部
構造体2の下部構造体1に対する横ずれが確実に阻止さ
れるようにしている。
【0067】このような各構造体1,2は、縦横に配筋
された鉄筋Fの周りがコンクリートで囲われた、いわゆ
る鉄筋コンクリート製で形成されている。そして、下部
構造体1の段差縁部15には、図3の(イ)に示すよう
に、上部構造体2が積み重ねられる前にゴム等の柔軟性
および防水性を備えた材料からなるシール部材3が配設
され、これによって上部構造体2が下部構造体1上に積
み重ねられた状態で、図3の(ロ)に示すように、両段
差縁部15,24間にシール部材3が上部構造体2の自
重で押圧挟持され、これによって構造体本体10が地下
に埋設された状態で、段差縁部15,24の当接部分か
らの地下水の地下室内への侵入を防止するようにしてい
る。
【0068】そして、本実施形態においては、各構造体
1,2の周壁12,21、上部構造体2の天井壁20お
よび下部構造体1の基礎床11の厚み寸法は、それぞれ
少なくとも150mmを越えるように寸法設定され、こ
れによって構造体本体10が埋設された状態で、地上に
露出している上部構造体2の天井壁20が、地上建造物
の基礎として利用し得るようにしている。
【0069】上記鉄筋Fは、本実施形態においては、直
径13mmのものが使用されている。この鉄筋Fが、柱
軸方向に延びるように配筋される軸方向主鉄筋、および
これに直交するように配筋される背力鉄筋の双方に用い
られ、これらが常法によって縦横に組み合わされてい
る。そして、軸方向主鉄筋および背力鉄筋の双方は、構
造体本体10の用途(例えば地下室としてのみ使用され
るのか、あるいは地上建造物の基礎として兼用されるの
か等)に応じて配置間隔が設定されている。
【0070】ところで、基礎床11が地表から1.8〜
2.0mの深さになるように下部構造体1を地下に埋設
した状態で、底から0.6mの位置の下部構造体1の周
壁12に作用する土圧は、裏込め土が水分飽和の通常の
普通土である場合、内部摩擦角が30°、地震時の水平
震度kが0.3と仮定して、周壁12に加わる外力は常
時で1.0tf/mであり、地震時で1.7〜2.0t
f/mであることから、上記直径(13mm)の鉄筋F
を用い、かつ、配筋を適切に施すことにより、下部構造
体1は、普段は勿論のこと、地震時にも十分に対応し得
るものになる。
【0071】また、特に各構造体1,2の段差縁部1
5,24については、図3に示すように、本体から外部
に突出した下部構造体1の高縁部15bおよび上部構造
体2の低縁部24aにも鉄筋Fが配筋され、これによっ
て高縁部15bおよび低縁部24aの強度を大きくして
下部構造体1と上部構造体2との結合部分の脆弱性を補
うようにしている。
【0072】上記構造体本体10の幅寸法(各構造体
1,2の短辺側壁13,22の水平方向の寸法)および
長さ寸法(長辺側壁14,23の水平方向の寸法)は、
日本家屋の実情に合うように、外寸法が0.9mの倍数
になるように寸法設定されている。また、各構造体1,
2の高さ寸法は1.2mまたは1.3mに設定され、従
って各構造体1,2が合体された構造体本体10の高さ
寸法は2.4mまたは2.6mになっている。本実施形
態においては、構造体本体10は、4畳半用、6畳用、
8畳用および10畳用のものをユニット製品として工場
生産するようにしている。表1に、本実施形態の構造体
本体10の寸法を地下室の規模別に示す。
【0073】
【表1】
【0074】そして、本実施例において、上記のような
サイズの構造体本体10を採用したのは、このようなサ
イズが日本家屋の実情に合うことや、工場生産が容易な
ことの他、構造体本体10を二分割した状態の下部構造
体1および上部構造体2を横転させることにより、道路
運送車両法等の交通法規に抵触することなく構造体1,
2を公道を利用して運送車両で搬送することができるか
らである。
【0075】以下図4を基に本発明に係る地下室構造体
の製造方法について説明する。図4は、構造体本体10
の製造方法を説明するための断面視の説明図であり、
(イ)は下部構造体1用の配筋が施された型枠内に生コ
ンクリートが充填された状態、(ロ)は上部構造体2用
の配筋が施された型枠内に生コンクリートが充填された
状態をそれぞれ示している。
【0076】下部構造体1を製造するには、図4の
(イ)に示すような第1型枠41を使用する。この第1
型枠41は、180°逆転させた下部構造体1の立体形
状に沿うキャビティ41aを有しており、このキャビテ
ィ41a内にまず鉄筋Fを配筋する。ついで、鉄筋Fの
配筋されたキャビティ41a内に生コンクリートを流し
込み、図略の振動手段の駆動によるキャビティ41aへ
の振動付与によってキャビティ41a内の生コンクリー
トの締め固めを行い、その後、生コンクリートが固化す
るまで放置(養生)される。そして、生コンクリートが
固まってからキャビティ41a内から抜き出されて下部
構造体1が得られる。なお、生コンクリートの養生中に
第1型枠41に蒸気等を供給して加熱し、これによって
生コンクリートの固化を促進させることもある。
【0077】上部構造体2を製造するには、図4の
(ロ)に示すような第2型枠42が使用される。この第
2型枠42は、逆転させない状態の上部構造体2の立体
形状に沿うキャビティ42aを有しており、このキャビ
ティ42a内に配筋した後、生コンクリートを流し込ん
で上部構造体2が製造される。生コンクリートを流し込
んでからの処理は、先の下部構造体1の場合と同様であ
る。
【0078】このようにして製造された各構造体1,2
は、型抜きされた後、図5の(イ)および(ロ)に示す
ように、90°横転され、これによってL字形状の吊持
部材Hを用いて以後の工場内での取り扱いや移送を容易
にするとともに、運送車両による搬送に適した姿勢にな
るようにしている。各構造体1,2の横転については、
図略の横転機の対向した回転腕間に各構造体1,2の両
短辺側壁13,22を押圧挟持させ、ついで上記回転腕
を90°回転させることによって行われる。
【0079】図6は、工場内における各構造体1,2の
移送の一例を説明する説明図であり、(イ)は構造体
1,2が吊持部材Hによって吊持された状態、(ロ)は
構造体1,2がコンベアCによって移送されつつある状
態をそれぞれ示している。まず、型枠41,42(図
4)から外された構造体1,2は、型抜き現場において
上記横転機によって90°横転された後、図6の(イ)
に示すように、天井クレーン等の移送手段に付設された
吊持部材Hの水平腕が構造体1,2内に差し入れられ、
天井クレーン等の駆動で吊り揚げられてコンベアCに移
送される。
【0080】ついで、コンベアCの上方に移送された構
造体1,2は、図6の(ロ)に示すように、吊持部材H
の下降でコンベアC上に配置されたラックベース(支持
プレート)61上に載置され、以後、コンベアCの駆動
で運送車両への積み込み現場に運ばれ、上記ラックベー
ス61共々運送車両に搭載される。
【0081】つぎに運送車両による構造体1,2の搬送
について説明する。構造体1,2は、運送車両に搭載さ
れる前に、予めラック6内に装填されて保護され、これ
によって搬送中の構造体1,2の横転や破損を防止する
ようにしている。以下ラック6について説明する。図7
は、ラック6の一実施形態を示す斜視図である。この図
に示すように、ラック6は、上記ラックベース61と、
このラックベース61に着脱自在に結合されるラック本
体(枠体)62とを備えて形成されている。このラック
本体62は、ラックベース61上に載置された構造体
1,2に被せられてラックベース61に結合されるもの
であり、こうすることによって搬送中の構造体1,2を
保護するものである。
【0082】上記ラックベース61は、平板状の底板6
1aと、この底板61aの幅方向両側縁部に立設された
上下幅の狭い一対の側板61bと、これら側板61bか
ら外方に向かって突設されたフランジ部61cとを備え
て形成されている。また、上記ラック本体62は、角鋼
を直方体状に組み付けて形成された枠体62aと、この
枠体62aの下端縁部に上記フランジ部61cに対応し
て形成された幅方向一対のフランジ部62bとを備えて
形成されている。
【0083】ぞして、ラックベース61のフランジ部6
1c上にラック本体62のフランジ部62bを載置した
状態で、両フランジ部61c,62bがボルトBによっ
て締結され、これによってラックベース61とラック本
体62とが相互に結合されるようにしている。また、枠
体62aは、その頂部の四隅部に上方に向かって突設さ
れたリング体62cを有しており、これらのリング体6
2cにワイヤロープを通してクレーン等で吊り揚げるこ
とにより、ラックベース61に対する着脱操作を行い得
るようにしている。
【0084】図8は、構造体1,2の積込み準備工程を
示す説明図であり、(イ)は構造体1,2の載置された
ラックベース61がクレーンのフックに吊持された状
態、(ロ)はクレーンのフックに吊持されたラックベー
ス61が搬送用パレット5上に吊り降ろされた状態をそ
れぞれ示している。また、図9はラック本体装着工程を
示す説明図である。また、図10は、運送車両への積込
み工程を示す説明図であり、(イ)は地上に載置された
搬送用パレット5に対して運送車両7が進入した状態、
(ロ)は、搬送用パレット5が運送車両7に搭載された
状態をそれぞれ示している。なお、図11は、図10の
(イ)の一部切欠きA−A線視図であり、運送車両7の
機能を説明するためのものである。
【0085】以下、図6(ロ)および図8〜図11を基
に、構造体1,2の運送車両への積込み操作について説
明する。まず、図6の(ロ)に示すコンベアCによって
運送車両への積込み現場に送り出された、構造体1,2
を搭載したラックベース61は、そのフランジ部61c
の四隅に4本のワイヤW(図8においては二隅のワイヤ
Wのみが示されている)が装着され、これらワイヤWの
上端部が束ねられて図略のクレーンのフックSに係着さ
れて吊り揚げられる。
【0086】ついで、図8の(ロ)に示すように、ワイ
ヤWで吊持されたラックベース61は、地上に配置され
た搬送用パレット5上に吊り降ろされ、はみ出さない状
態で搬送用パレット5上に載置される。
【0087】ところで、上記搬送用パレット5は、ラッ
ク6を運送車両7(図10)に搭載するためのラック6
と運送車両7との間に介在されるものであり、車両の前
後方向(図8の紙面に直行する方向)に延びる左右一対
の支持枠51と、これら一対の支持枠51間に架橋され
た上下一対の架橋材52とから構成されている。上記各
支持枠51の外側部には、それぞれ前後方向に延びる凹
溝53が凹設され、搬送用パレット5はこれらの凹溝5
3を介して運送車両7に搭載されるようになっている。
【0088】そして、図8の(ロ)に示す状態でワイヤ
Wがラックベース61から外され、ついで、図9に示す
ように、ワイヤWを介してクレーンのフックSに吊持さ
れたラック本体62がラックベース61上の構造体1,
2に被せられ、二点鎖線で示すように、上下のフランジ
部61c,62b同士が互いに当接された状態でボルト
Bによって両者が締結され、これによってラックベース
61上にラック本体62が固定され、この固定で形成さ
れたラック6内に構造体1,2が収納された状態にな
る。この状態でラック本体62からワイヤWが外され、
ラック6に納められた構造体1,2の運送車両7への積
込み操作の準備が完了する。
【0089】ついで、搬送用パレット5が運送車両7
(図10)に搭載される。運送車両7は、図10に示す
ように、荷台71が左右に分離された、いわゆる左右軸
分離型の極低床セミトレーラ車が採用されている。この
運送車両7は、これに装着された搬送用パレット5の底
部と路面との間の距離が4cm〜30cmの範囲内にな
るように搬送用パレット5を昇降させ得るようになって
いる。
【0090】このような運送車両7の左右に分離した各
荷台71は、図11に示すように、車両の前後方向に延
びる底板72と、この底板72の幅方向(図11の紙面
に直交する方向)両側部に立設された一対の側板73
と、両側板73の頂部に架橋される天井板74と、これ
ら底板72、一対の側板73および天井板74に囲繞さ
れた装着空間70内に装備される昇降機構75と、幅方
向一対の荷台71の底板72から互いに対向する方向に
向けて水平に突設された一対のパレット支持板72aと
を備えて形成されている。上記パレット支持板72a間
の距離は、凹溝53の底部間の距離より若干大きめにな
るように寸法設定され、これによって一対のパレット支
持板72aが左右の凹溝53に嵌まり込み得るようにな
っている。
【0091】上記昇降機構75は、装着空間70内に車
両の前後方向に複数設けられた側面視で三角形状のカム
76と、このカム76に対応して設けられ、かつ、カム
76を動かす複数基のシリンダ装置77と、上記各カム
76に装着されたタイヤ78とからなっている。上記三
角形状を呈したカム76は、その底辺が路面と略平行に
なるように配置され、図11における左方の隅部が両側
板73に支持された支持軸76a回りに回動自在に軸支
されている。また、カム76の右方の隅部に中心軸76
b回りに回転可能にタイヤ78が軸支されている。
【0092】そして、上記シリンダ装置77は、側板7
3に前後方向に延びるように固定されたエアシリンダ7
7aと、このエアシリンダ77aからカム76に向けて
突出したピストンロッド77bとからなっている。この
ピストンロッド77bの先端部はカム76の支持軸76
a側の上縁部に当接され、これによってカム76の支持
軸76a回りの反時計方向の回動が規制されている。
【0093】従って、シリンダ装置77の駆動によって
エアシリンダ77aからピストンロッド77bを突出さ
せることにより、ピストンロッド77bの先端部がカム
76の上縁部を押圧し、これによってカム76は支持軸
76a回りに時計方向に回動し、その反力で荷台71は
上昇する。逆にピストンロッド77bをエアシリンダ7
7a内に没入させることによって荷台71は下降する。
すなわち、運送車両7は、その荷台71がシリンダ装置
77の正逆駆動によって昇降し得るように構成されてお
り、この昇降操作によって搬送用パレット5を荷台71
に搭載したり、荷降しするのである。
【0094】以下、ラック6を介して搬送用パレット5
に載置された構造体1,2の運送車両7への搭載につい
て図10を基に説明する。まず、搭載に先立ってシリン
ダ装置77を駆動させることによって荷台71の上下高
さを調節し、パレット支持板72aの高さ位置を地面に
置かれた搬送用パレット5の凹溝53の位置に合わせ
る。ついで、左右の荷台71間に搬送用パレット5を納
めるように運送車両7を後退させる。そして、左右の荷
台71によって搬送用パレット5が挟まれた状態で車両
を止めることによって、図10の(イ)に示すように、
搬送用パレット5の左右の凹溝53に左右のパレット支
持板72aが差し込まれた状態になる。
【0095】ついで、シリンダ装置77(図11)の駆
動でピストンロッド77bを突出させることにより、カ
ム76が支持軸76a回りに時計方向に回動して荷台7
1が上昇し、これによる左右のパレット支持板72aの
上昇によって搬送用パレット5は地面から離れてパレッ
ト支持板72aに支持された搬送可能状態になる。この
状態で、ラック6に保護された構造体1,2は運送車両
7によって工事現場にまで搬送される。
【0096】なお、ラック6の頂部のリング体62c
と、荷台71の天井板74に突設されたリング体74a
との間にワイヤWが張設され、これによって搬送途中で
のラック6の横転を防止するようにしている。また、上
記ワイヤWにはホイストW1が取り付けられており、こ
のホイストW1の操作によってワイヤWの張り具合を調
節し得るようにしており、これによってワイヤWの張設
状態を確実なものにすることができる。
【0097】以下、建築現場に搬送された構造体1,2
の荷降しについて説明する。図12は、荷降し時に地上
側に設置される荷受け治具(回動治具)8の一実施形態
を示す側面図である。この図に示すように、荷受け治具
8は、矩形状の枠体からなる治具本体81と、この治具
本体81の互いに対向する枠部材間に架橋された水平軸
82と、この水平軸82回りに回動自在に軸支された荷
受け部材83と、この荷受け部材83の回動範囲から外
れた部分の枠部材間に設けられた荷保護部材であるダン
ネージ84とを備えて構成されている。
【0098】上記治具本体81の底部には複数のスパイ
ク81aが設けられている。そして、荷受け治具8を地
面に配置することによりこのスパイク81aが地面に食
い込み、これによって荷受け治具8の配置状態が安定す
るようにしている。
【0099】上記荷受け部材83は、第1部材83aと
第2部材83bとが各基端部で直角になるように一体に
結合され、これによって側面視でL字形状を呈するよう
に形成された部材であり、第1および第2部材83a,
83b間に、クレーンで荷降しされるラック6の下縁部
を嵌め込んでラック6を傾動させながら荷受け部材83
を水平軸82回りに回動させることにより、ラック6内
の構造体1,2に衝撃を与えないようにして荷降しする
ことができるようになっている。
【0100】また、治具本体81の枠内には、第1部材
83aの図11における右方にストッパ81bが設けら
れ、第1部材83aがこのストッパ81bに当止するこ
とによって第1部材83aの水平方向に対する角度がα
になるようにしてあり、これによって荷受け部材83は
これ以上の水平軸82回りの反時計方向の回動が阻止さ
れるようになっている。
【0101】本実施形態においては、荷受け部材83の
反時計方向の回動が阻止された状態で、第1部材83a
と水平面との間の角度が略30°になるようにストッパ
81bの設置位置および設置寸法が設定されている。ま
た、荷受け部材83は、第1部材83aがストッパ81
bに当止した状態から時計方向には水平軸82回りに略
90°回動し得るようにしてある。
【0102】上記ダンネージ84は、普段はコイルばね
等の弾性部材の付勢力によって治具本体81から上部に
所定高さだけ突出するように高さレベルが設定されてい
るが、ダンネージ84上にラック6が降ろされた状態で
弾性部材の付勢力に抗して治具本体81の枠内に没入す
るようになっている。これによって荷受け部材83に荷
降しされたラック6が水平軸82回りに回動してダンネ
ージ84に当接し、このときのダンネージ84の治具本
体81内への没入によってラック6の横転の衝撃を緩和
するようにしている。
【0103】また、図12に示す荷受け治具8の右方に
は、木材製の角材85を配置するようにしている。この
角材85は、高さ寸法が治具本体81の上下方向の厚み
寸法と同一に寸法設定され、これによって荷受け治具8
を介して倒されたラック6は、水平姿勢が維持されるよ
うにしている。
【0104】図13は、構造体1,2を内装したラック
6の荷降し工程を示す説明図であり、(イ)は構造体
1,2の載置されたラック6がクレーンのフックSに吊
持された状態、(ロ)はクレーンのフックSに吊持され
たラック6が傾けられた状態、(ハ)はクレーンのフッ
クSに吊持されたラック6が荷受け治具8上に吊り降ろ
された状態をそれぞれ示している。
【0105】構造体1,2を搭載した運送車両7が建築
現場に到着すると、まず、搬送用パレット5が地上に降
ろされる(図10の(ロ)の状態から(イ)の状態にし
て降ろされる)。ついでラック6は、図13の(イ)に
示すように、図略のクレーンのフックSとラック6の各
側部の二つのリング体62cとの間にそれぞれワイヤW
が掛け廻されてから吊り揚げられる。
【0106】その後ラック6は、図13の(ロ)に示す
ように、ワイヤWに設けられたホイストW1の操作によ
って時計方向に回るように傾倒され、ついで、図13の
(ハ)に示すように、荷受け治具8の直上まで移動され
て最下端の縁部が荷受け部材83上に位置するように、
すなわち上記縁部が荷受け部材83の第1および第2部
材83a,83bとの間に嵌まり込むように降ろされ
る。
【0107】その後、図13の(ハ)に二点鎖線で示す
ように、クレーンの操作でフックSが緩やかに下降さ
れ、これによって荷受け部材83に支持されたラック6
は、水平軸82回りに時計方向に回動して傾倒し、最後
に荷受け治具8と角材85とに支持された水平姿勢にな
る。この状態で図略の所定の作業機械を用いて構造体
1,2からラック6を取り除き、外部に露出した構造体
1,2を、予め掘削された縦穴に埋設することによって
地下室が形成される。
【0108】以下、地下室構造体の施工について説明す
る。構造体本体10を地下に施工するに当っては、ま
ず、地面に少なくとも上記下部構造体1を埋設し得る縦
穴を掘削する。ついで、上記縦穴の底部に砕石を敷き詰
めた後、底部が砕石側になるように吊持した下部構造体
1を上記砕石上に吊り降ろす。ついで下部構造体1の上
縁面と、上部構造体2の下縁面との間に上記シール部材
3を介在させた状態で上部構造体2を下部構造体1の上
に吊り降ろすことにより、縦穴内に構造体本体10が施
工された状態になる。
【0109】そして、上記シール部材3を介した上記下
部構造体1と上部構造体2との当接部分に、構造体本体
の内側から防水用のライニング処理を施すようにしても
よい。こうすることによって地下水の地下室内への侵入
をより確実に防止し得るようになる。
【0110】また、上記下部構造体1の上記縦穴への埋
設前に、縦穴の底部に所定本数の摩擦杭を杭打ちしても
よい。こうすることによって、構造体本体10の上縁部
を建築基礎として利用し、地下室の上部に建造物を建築
しても、上記摩擦杭によって建造物を確実に支持するこ
とができる。
【0111】図14および図15は、本発明に係る地下
室構造体の第2実施形態を示す斜視図であり、図14
は、一の構造体本体に対して他の構造体本体を隣接配置
する直前の状態、図15は、下部構造体本体に対して上
部構造体本体を隣接配置した状態をそれぞれ示してい
る。また、図16は、図15のB−B線断面図である。
なお、図14および図15において、X−X方向を横方
向、Y−Y方向を縦方向という。これらの図に示すよう
に、第2実施形態においては、隣接する第1構造体本体
10aと、第2構造体本体10bとが、所定厚み寸法を
有する平面視で長方形状の基礎盤100上に配置されて
いる。
【0112】上記第1構造体本体10aは、第1下部構
造体1aと、この第1下部構造体1aに積み重ねられる
第1上部構造体2aとからなっている。また、第2構造
体本体10bは、第2下部構造体1bと、この第2下部
構造体1bに積み重ねられる第2上部構造体2bとから
なっている。これら第1構造体本体10aと第2構造体
本体10bとが、基礎盤100上で互いに隣接するよう
に配置されることによって、2室からなる地下室構造体
が形成されるようになっている。
【0113】上記第1上部構造体2aおよび第2上部構
造体2bの構造は、基本的に第1実施形態の上部構造体
2と同様であるが、これらの縦方向に延びる対向面に下
縁部から切り欠かれた矩形状の下部開放切欠き部201
がそれぞれ設けられている。また、第1下部構造体1a
および第2下部構造体1bの上記切欠き部201に対応
した部分には、上縁部から下方に向けて切り欠かれた上
部開放切欠き部202が設けられ、第1および第2上部
構造体2a,2bがそれぞれ第1および第2下部構造体
1a,2b上に積み重ねられた状態、すなわち第1構造
体本体10aおよび第2構造体本体10bが形成された
状態で、それぞれの対向壁面に下部開放切欠き部201
および上部開放切欠き部202からなる長方形状の連絡
口(開口部)200が形成されるようになっている。
【0114】上記基礎盤100は、コンクリート製で所
定厚み寸法を有する平板状に形成され、平面寸法は第1
構造体本体10aと第2構造体本体10bとを合わせた
平面寸法よりも若干大きく寸法設定されている。このよ
うな基礎盤100の表面に、弾性体としての耐圧性ゴム
からなる多数のスペーサー101が基礎盤100上で均
等に分布するように配置されているとともに、基礎盤1
00上にスペーサー101の頂部が僅かに隠れる程度の
層厚みに設定された空練りモルタル102(図14に点
描で表示)が散布された状態とされ、このような状態の
基礎盤100上に第1構造体本体10aおよび第2構造
体本体10bが順次吊り降ろされることによって各構造
体本体10a,10bがスペーサー101および空練り
モルタル102を介して基礎盤100に支持されるよう
になっている。
【0115】上記スペーサー101は、構造体本体10
a,10bを支持するのに十分な強度を有するように支
持断面の大きさや重量や形状が設定されており、複数の
スペーサー101を所定の密度分布で基礎盤100上に
配置することにより、構造体本体10a,10bが一定
間隔を確保した状態で基礎盤100上に据え付けられる
ことになる。
【0116】上記空練りモルタル102は、水を加えな
いでセメントと砂とを混練したものである。かかる空練
りモルタル102を構造体本体10a,10bと基礎盤
100との間に介在させることにより、構造体本体10
a,10bをスペーサー101上に据え付けた直後に
は、空練りモルタル102が基礎盤100の表面および
構造体本体10a,10bの底面の凹凸に追随して層厚
みが上記凹凸に対応したものになるとともに、時間の経
過に伴って空練りモルタル102は地中の水分を吸収
し、これによる化学反応の進行によって固化するため、
構造体本体10a,10bの重量が固化した空練りモル
タル102を介して均等に基礎盤100に加わることに
なり、基礎盤100による構造体本体10a,10bの
支持状態が安定したものになる。
【0117】上記各構造体本体10a,10bの連絡口
200(すなわち構造体本体10a,10bの下部開放
切欠き部201および上部開放切欠き部202の双方)
には、周壁の外面側に向かって開放した第1環状隅部2
03が凹設され、さらにこの第1環状隅部203の内周
面には、周壁の外面側に向かって開放した第2環状隅部
204が凹設され、これによって連絡口200は内周面
が階段状に形成されている。
【0118】そして、第1構造体本体10aと第2構造
体本体10bとが並設された状態で、各構造体本体10
a,10bの連絡口200の内周面には、それぞれの第
1環状隅部203が合わさった環状広幅溝205が形成
されるとともに、この環状広幅溝205の溝底部分にそ
れぞれの第2環状隅部204が合わさった環状狭幅溝2
06が形成されるようにしている。
【0119】上記環状狭幅溝206には、図16に示す
ように、ゴム等の弾性部材からなるシール部材31が詰
め込まれている。このシール部材31は、吸水すること
によって膨張し、これによってシール効果を向上させる
ような性質を有するものが好適に使用される。
【0120】環状狭幅溝206にシール部材31が充填
された後、上記環状広幅溝205には、図16に示すよ
うに、生コンクリート状の止水モルタル32を流し込
む、いわゆるグラウティング処理が施され、これによっ
て連絡口200からの地下室内への地下水等の侵入が確
実に防止されるようになっている。
【0121】第2実施形態の地下室構造体によれば、構
造体本体10a,10bは、固化した空練りモルタル1
02を介して基礎盤100と一体化しているため、地震
時の横揺れに起因した水平方向に向かう力が構造体本体
10a,10bに加わっても、構造体本体10a,10
bが基礎盤100に対して横ずれするような不都合の発
生を防止することができる。
【0122】また、各構造体本体10a,10bの接続
部分には連絡口200が設けられているが、通常、基礎
盤100や各構造体本体10a,10bの寸法誤差およ
び施工時の施工誤差によって第1構造体本体10aの周
壁と第2構造体本体10bの周壁との当接が良好に行わ
れることは困難であり、従って、上記周壁間に形成され
た隙間を通って地下水等が地下室内に侵入するという不
都合が生じ易いが、第2実施形態の地下室構造体にあっ
ては、連絡口200の内周面に環状広幅溝205が凹設
されているとともに、この溝底にさらに環状狭幅溝20
6が凹設され、環状狭幅溝206にシール部材31が充
填された状態で、環状広幅溝205に止水モルタル32
が充填され、シール部材31と止水モルタル32とによ
る二重の防水処理が行われた状態になっているため、地
下水等の侵入を確実に防止することができる。
【0123】図17は、完成した第2実施形態の地下室
構造体の頂部に根太が設けられた状態を示す斜視図であ
る。この図に示すように、完成した地下室構造体の天井
面には、1本の連結根太301、4本の横根太302お
よび2本の縦根太303が設け等れている。上記連結根
太301は、第1構造体本体10aおよび第2構造体本
体10bの各対向壁の頂部に架橋状態で設けられている
とともに、上記横根太302は各構造体本体10a,1
0bの横方向に延びる壁部の頂部に、上記縦根太303
は同縦方向に延びる壁部の頂部にそれぞれ設けられてい
る。
【0124】これらの根太301,302,303は、
各壁内に埋設されて頂部が上方に突出したアンカーボル
ト400に所定の貫通孔が外嵌され、ナットで締結する
ことによって構造体本体10a,10bに固定されてい
る。そして、これらの根太301,302,303を基
礎として地上建造物を構築し得るようにしている。本実
施形態においては、上記各根太301,302,303
は、木製のものが用いられているが、木製に代えてプレ
キャストコンクリート製であってもよいし、合成樹脂製
であってもよい。
【0125】このように、基礎盤100上に配置された
第1構造体本体10aおよび第2構造体本体10bの頂
部に根太301,302,303を付設することによ
り、これら根太301,302,303に家屋等の地上
建造物を構築することができるとともに、各構造体本体
10a,10bを地上建造物の基礎として利用すること
ができる。特に、連結根太301は、第1構造体本体1
0aと第2構造体本体10bとに跨って設けられている
ため、両構造体本体10a,10bは連結根太301に
よって上部で相互に連結され、下部が基礎盤100によ
り相互に結合されていることと相俟って各構造体本体1
0a,10bの結合状態がより確実なものになる。
【0126】また、各構造体本体10a,10bにはそ
れぞれ天井部が設けられているため、断面積が比較的小
さい間仕切り壁を支える程度の根太であれば、それを天
井部上面のいずれの位置にでも配することが可能であ
り、根太敷設の自由度を向上させることが可能になる。
【0127】 図18は、本発明に係る地下室構造体の第
2実施形態の変形形態を示す斜視図である。この変形形
態においては、基本的には先の第2実施形態のものと同
様に構成されているが、連絡口200の内周縁部の構造
が相違している。すなわちこの変形形態においては、第
1構造体本体10aおよび第2構造体本体10bの各連
絡口200内周面には、先の実施形態のような第2環状
隅部204は設けられずに第1環状隅部203のみが設
けられ、これによって連絡口200内周面の段差構造を
先のものより単純なものにしている。
【0128】その代わり、第1構造体本体10aの連絡
口200周りの外壁面には、連絡口200を取り囲むよ
うに防水ゴム等の弾性材料からなる環状シール部材33
が貼設され、この環状シール部材33が、第1構造体本
体10aと第2構造体本体10bとに挟持されることに
よって連絡口200を介した各室内への地下水等の侵入
が防水されるようにしている。
【0129】そして、この環状シール部材33と、第1
および第2構造体本体10a,10bが互いに並設され
た状態で各第1環状隅部203によって形成された環状
広幅溝205に装填されるシール部材31とでより良好
な防水効果が得られるようにしている。
【0130】図19および図20は、第2実施形態の変
形例を対象とした施行方法を説明するための説明図であ
り、図19の(イ)は、先に施工された第1構造体本体
10aに隣接して第2構造体本体10bの第2下部構造
体1bが吊り降ろされつつある状態、図19の(ロ)
は、第2下部構造体1bが吊り降ろされた状態、図20
の(イ)は、第2下部構造体1b上に第2上部構造体2
bが吊り降ろされつつある状態、図20の(ロ)は、第
2下部構造体1b上に第2上部構造体2bが吊り降ろさ
た状態をそれぞれ示している。
【0131】2体の構造体本体10a,10bを所定の
縦穴の底部に施工するに際しては、まず、図19の
(イ)に示すように、基礎盤100の上にスペーサー1
01を配置した状態で空練りモルタル102が散布さ
れ、この空練りモルタル102の層上に第1構造体本体
10aが吊り降ろされる。そして、吊り降ろされた第1
構造体本体10aの重量によってスペーサー101が弾
性圧縮し、かつ、空練りモルタル102が充分に圧縮さ
れ、これ以上第1構造体本体10aが沈下しない状態を
見極めた時点以後に、第2下部構造体1bをクレーン等
の作業機械を用いて第1構造体本体10aに隣接するよ
うに隣の空練りモルタル102の層上に吊り降ろす。
【0132】なお、第2下部構造体1bを吊り降ろす時
点については、第1構造体本体10a下部の空練りモル
タル102が充分に水分を吸収し、固化した状態になっ
た後が理想的であるが、空練りモルタル102が固化し
ないまでも充分に圧縮されていることが見極められれば
第2下部構造体1bを吊り降ろしてもよい。
【0133】第2下部構造体1bの吊り降ろしに際して
は、第2下部構造体1bを、第1構造体本体10aに対
して斜めに姿勢設定する。具体的には、第1構造体本体
10aの連絡口200に第2下部構造体1bの上部開放
切欠き部203を対向させるようにし、かつ、連絡口2
00に対向した第2下部構造体1bの壁面下端縁部Pが
予め連絡口200の周りに貼設されている環状シール部
材33の下部のものより下方位置に位置するとともに、
反対側の壁面下端縁部Qが空練りモルタル102上に位
置するように斜めに姿勢設定するのである(図19の
(イ))。
【0134】この状態で第2下部構造体1bを吊り降ろ
すことにより、第2下部構造体1bは、下端縁部Q回り
に反時計方向に回動し、これによって第2下部構造体1
bの第1構造体本体10aに対する対向壁面が全体的に
第1構造体本体10aに接近する。そして、第2下部構
造体1bの底面が空練りモルタル102の上面に当接し
た時点では、図19の(ロ)に示すように、第2下部構
造体1bの対向壁面が環状シール部材33を押圧し、こ
れによって環状シール部材33は、その下部半分が圧縮
弾性変形して第1下部構造体1aと第2下部構造体1b
との間に押圧挟持された状態になる。
【0135】ついで、図20の(イ)に示すように、第
2上部構造体2bを第2下部構造体1b上に吊り降ろ
す。このときは第2上部構造体2bの右側壁の下端縁部
Rを、第2下部構造体1bの右側壁の上端縁部に当接す
るように斜めに吊り下げ、この状態で緩やかに吊り降ろ
す。そうすると第2上部構造体2bは、下端縁部R回り
に反時計方向に回動し、図20の(イ)に二点鎖線で示
すように、第2下部構造体1bの上に積み重ねられて第
1構造体本体10aに第2構造体本体10bが隣設され
るとともに、環状シール部材33の上半分が第1上部構
造体2aと第2上部構造体2bとの間に圧縮弾性変形し
て押圧挟持された状態になる。
【0136】そして、第1および第2構造体本体10
a,10bが隣設された状態で所定期間放置すると、第
2構造体本体10bの重量によって空練りモルタル10
2が圧縮されながら周りの水分を吸収して固化し、これ
により第2構造体本体10bが沈み込むことによって、
図20の(ロ)に示すように、第1構造体本体10aと
第2構造体本体10bとの高さレベルが同一になる。高
さレベルが同一になってから連絡口200の内周面に凹
設された環状広幅溝205にシール部材31が施工され
る。連絡口200はこのシール部材31と上記環状シー
ル部材33とで二重のシール処理が施され、これによっ
て地下水等の地下室内への侵入を防止する確実な防水効
果を得ることができる。
【0137】図21および図22は、本発明に係る地下
室構造体の第3実施形態を示す一部切欠き斜視図であ
り、図21は、下部構造体と上部構造体とが分離した状
態、図22は上部構造体が下部構造体に積み重ねられた
状態をそれぞれ示している。地下室構造体は、上記同様
に直方体状を呈した構造体本体10によって形成されて
いる。構造体本体10は、下半分を形成する下部構造体
1と、同上半分を形成する上部構造体2とを備えた基本
構成を有している。上記下部構造体1は、平面視で長方
形状に形成され、底部に形成された長方形状の基礎床1
1と、この基礎床11の周縁部から上方に向かって延設
された周壁12とからなっている。
【0138】上記周壁12は、基礎床11の短辺側に互
いに対向するように立設された一対の短辺側壁13と、
同長辺側に互いに対向するように立設された一対の長辺
側壁14とからなっている。また、下部構造体1の周壁
12は、その上縁部に外方が低くレベル設定された低縁
部15aと、この低縁部15aの内方に低縁部15aよ
り高くレベル設定された高縁部15bとからなる階段状
上縁部15を有している。
【0139】上記上部構造体2は、下部構造体1に対応
して同一平面形状に形成され、上記下部構造体1の短辺
側壁13に対応した短辺側壁22と、同長辺側壁14に
対応した長辺側壁23とからなる周壁21を有してい
る。上部構造体2の周壁21の下縁部には、下部構造体
1の周壁12の低縁部15aに対応する低縁部24a
と、この低縁部24aの内側に形成された上記周壁12
の高縁部15bに対応する高縁部24bとを備えた階段
状下縁部24が形成されている。
【0140】また、上部構造体2の上部には、周壁21
に支持された天井壁20が設けられている。この天井壁
20の適所には、矩形状の通過口20aが設けられ、上
部構造体2が下部構造体1上に積み重ねられた状態(図
22)で、上位階からこの通過口20aを介して構造体
本体10内に対して出入りし得るようになっている。な
お、通過口20aは、上位階との間で行き来する必要が
ある構造体本体10を対象として設けられるものであ
り、行き来する必要のない場合は、通過口20aを設け
なくてもよい。
【0141】また、下部構造体1の周壁12の適所に
は、階段状上縁部15から下方に向かって所定幅で切り
欠かれて形成した上部開放切欠き部201が設けられて
いるとともに、上部構造体2の周壁21には、上記上部
開放切欠き部201に対応して階段状下縁部24から上
方に向かって切り欠かれて形成した下部開放切欠き部2
02が設けられている。そして、上部構造体2が下部構
造体1に積み重ねられた状態で、図22に示すように、
上部開放切欠き部201と下部開放切欠き部202とで
出入口200が形成されるようにしている。本実施形態
では、短辺側壁13,22と、長辺側壁14,23とに
それぞれ1つずつで合計2つの出入口200が設けられ
ているが、1つの構造体本体10当り出入口200が2
つ設けられることに限定されるものではなく、1つであ
ってもよいし、3つ以上であってもよく、またその大き
さも任意に設定することができる。
【0142】そして、下部構造体1の周壁12の上縁部
に、上部構造体2の周壁21の下縁部を当接させるよう
に上部構造体2を下部構造体1上に積み重ねることによ
って、下部構造体1の階段状上縁部15と上部構造体2
の階段状下縁部24とが互いに嵌まり合い、これによっ
て下部構造体1と上部構造体2とが合体した構造体本体
10が得られるようにしている。
【0143】図23は、下部構造体1および上部構造体
2の階段状縁部15,24を示す断面図であり、(イ)
は上部構造体2が下部構造体1に積み重ねられる直前の
状態、(ロ)は上部構造体2が下部構造体1に積み重ね
られた状態をそれぞれ示している。図23の(イ)に示
すように、下部構造体1の階段状上縁部15と、上部構
造体2の階段状下縁部24とを対向させた状態で、上部
構造体2の低縁部24aが下部構造体1の低縁部15a
に対向しているとともに、上部構造体2の高縁部24b
が下部構造体1の高縁部15bに対向し、図23の
(ロ)に示すように、上部構造体2を下降させて上部構
造体2の階段状下縁部24を下部構造体1の階段状上縁
部15に当接させた状態で、下部構造体1の階段状上縁
部15と上部構造体2の階段状下縁部24とが互いに嵌
まり合うように各低縁部15a,24aおよび各高縁部
15b,24bの幅寸法が設定されている。これによっ
て、下部構造体1に積み重ねられた上部構造体2の下部
構造体1に対する横ずれが確実に阻止されるようにして
いる。
【0144】そして、階段状上縁部15の低縁部15a
の角部には、長手方向の全長に亘って角部を保護するよ
うに山形鋼L1が被せられているとともに、高縁部15
bの外方側の角部にも同様に山形鋼L2が被せられ、こ
れによって階段状上縁部15の角部が欠けるのを防止す
るようにしている。また、階段状下縁部24の低縁部2
4aおよび高縁部24bにも同様に山形鋼L3,L4が
被せられている。各山形鋼L1,L2,L3,L4は、
それぞれの構造体1,2に内装され、かつ、縦方向に延
びた後述する鉄筋Fに溶接止めで固定され、これによっ
て各構造体1,2の接続状態が確実なものになるように
している。
【0145】また、各山形鋼L1,L2,L3,L4
は、各周壁12,21の表面から若干内側に凹んだ部分
に設けられ、これによって周壁12,21の表面と山形
鋼L1,L2,L3,L4との間に僅かな寸法の段差部
10cが形成されている。
【0146】このような各構造体1,2は、縦横に配筋
された鉄筋Fの周りがコンクリートで囲われた、いわゆ
る鉄筋コンクリート製で形成されている。そして、下部
構造体1の階段状上縁部15には、図23の(イ)に示
すように、上部構造体2が積み重ねられる前にゴム等の
柔軟性および防水性を備えた材料からなるシール部材3
が配設され、上部構造体2が下部構造体1上に積み重ね
られた状態で、図23の(ロ)に示すように、両階段状
縁部15,24間にシール部材3が上部構造体2の自重
で押圧挟持され、これによって構造体本体10が地下に
埋設された状態で、階段状縁部15,24の当接部分か
らの地下水の地下室内への侵入を防止するようにしてい
る。本実施形態においては、シール部材3として合成ゴ
ムが採用されている。
【0147】また、上部構造体2の階段状下縁部24が
シール部材3を介して下部構造体1の階段状上縁部15
に嵌め合わされた状態で、下部構造体1の山形鋼L1と
上部構造体2の山形鋼L3との対向部分が溶接止めされ
るとともに、同山形鋼L2,L4同士が溶接止めされ、
これによって下部構造体1と上部構造体2との結合状態
が確実なものになるようにしている。さらに、山形鋼
(山形鋼L1と山形鋼L3および山形鋼L2と山形鋼L
4)同士が溶接止めされた後に、上下の段差部10c間
にモルタルグラウトMが施工され、これによって周壁1
2,21の見栄えがよくなるとともに、防水効果が向上
するようにしている。
【0148】そして、本実施形態においては、各構造体
1,2の周壁12,21、上部構造体2の天井壁20お
よび下部構造体1の基礎床11の厚み寸法は、それぞれ
少なくとも120mmを越えるように寸法設定され、こ
れによって構造体本体10が埋設された状態で、地上に
露出している上部構造体2の天井壁20が、地上建造物
の基礎として利用し得るようにしている。
【0149】上記鉄筋Fは、本実施形態においては、直
径13mmのものが使用されている。この鉄筋Fが、柱
軸方向に延びるように配筋される軸方向主鉄筋、および
これに直交するように配筋される背力鉄筋の双方に用い
られ、これらが常法によって縦横に組み合わされてい
る。そして、軸方向主鉄筋および背力鉄筋の双方は、構
造体本体10の用途(例えば地下室としてのみ使用され
るのか、あるいは地上建造物の基礎として兼用されるの
か等)に応じて配置間隔が設定されている。
【0150】以下図24を基に第3実施形態の地下室構
造体の製造方法について説明する。図24は、構造体本
体10の製造方法を説明するための断面視の説明図であ
り、(イ)は下部構造体1用の配筋が施された型枠内に
生コンクリートが充填された状態、(ロ)は上部構造体
2用の配筋が施された型枠内に生コンクリートが充填さ
れた状態をそれぞれ示している。
【0151】下部構造体1を製造するには、図24の
(イ)に示すような第1型枠41を使用する。この第1
型枠41は、180°逆転させた下部構造体1の立体形
状に沿うキャビティ41aを有しており、このキャビテ
ィ41a内にまず鉄筋Fを配筋する。上記鉄筋Fの図2
4における下端部には予め山形鋼L1,L2が溶接され
ている。ついで、鉄筋Fの配筋されたキャビティ41a
内に生コンクリートを流し込み、図略の振動手段の駆動
によるキャビティ41aへの振動付与によってキャビテ
ィ41a内の生コンクリートの締め固めを行い、その
後、生コンクリートが固化するまで放置(養生)され
る。そして、生コンクリートが固まった後にキャビティ
41a内から抜き出されて下部構造体1が得られる。な
お、生コンクリートの養生中に第1型枠41に蒸気等を
供給して加熱して生コンクリートの固化を促進させるこ
ともある。
【0152】上部構造体2を製造するには、図24の
(ロ)に示すような第2型枠42が使用される。この第
2型枠42は、逆転させない状態の上部構造体2の立体
形状に沿うキャビティ42aを有しており、このキャビ
ティ42a内に配筋した後、生コンクリートを流し込ん
で上部構造体2が製造される。鉄筋Fの下端部には、上
記同様に予め山形鋼L3,L4が溶接されている。生コ
ンクリートを流し込んでからの処理は、先の下部構造体
1の場合と同様である。
【0153】図25は、本発明に係る施工方法の第2実
施形態を説明するための環状基礎91の側面視の断面図
であり、図26は同平面図である。この実施形態におい
ては、構造体本体10として壁面に出入口が存在しない
タイプのものが基本的に採用されている。本発明は、第
2実施形態の施工方法の対象となる構造体本体10が出
入口の存在するものであることに限定されるものではな
く、出入口が設けられていないものも第2実施形態の施
工方法の対象とすることができる。
【0154】本実施形態の施工方法を実施するために、
上部構造体2の周壁21には、その上部位置に、縦方向
に3本を一組として複数組のアンカーロッド(アンカー
部材)9が周方向に等ピッチで埋設されている。これら
のアンカーロッド9は、先端側が上部構造体2の周壁2
1から水平方向に向けて所定寸法だけ突出して設けられ
ている。
【0155】このようなアンカーロッド9の上部構造体
2内への埋設については、上部構造体2を製造するとき
の型枠内にアンカーロッド9を配設した後、型枠内に生
コンクリートを流し込むことによって行われる。本実施
形態においては、基端側の折り曲げられた鉄棒がアンカ
ーロッド9として採用されているが、かかる鉄棒に代え
て長尺筒状のナットを、その開口部を外方に向けた状態
で上部構造体2内に埋設し、後でこのナットに雄ねじの
螺設されたアンカーロッド9を螺着することにより、上
部構造体2にアンカーロッド9を付設するようにしても
よい。
【0156】そして、かかるアンカーロッド9を備えた
構造体本体10を、敷地に掘設された縦穴に吊り降ろし
た後、各アンカーロッド9の先端部に交差するように所
定本数の鉄筋Fを配筋する。ついで、常法によってこれ
ら鉄筋Fが埋設されるように現場施工で生コンクリート
を流し込むことにより、図25および図26に示すよう
に、上部構造体2の上部に環状基礎91が形成される。
【0157】第2実施形態の施工方法によれば、環状基
礎91が構造体本体10を取り囲んだ状態になっている
ため、構造体本体10に加わる土圧を環状基礎91によ
って緩和することができる。特に、構造体本体10の周
りに束基礎や布基礎が存在する場合、これら基礎上に構
築された構造物の重量が土圧となって構造体本体10に
加重されるが、環状基礎91がこの加重された土圧を遮
ることによって構造体本体10への影響が少なくなる。
従って、構造体本体10の壁厚を厚くしたり、束基礎や
布基礎の下部に杭打ちを施したり、さらには布基礎の基
礎底部(フーチング)を構造体本体10から離間した位
置に敷設して敷地を無駄に使用するような不都合を回避
することができる。
【0158】また、環状基礎91を設けることにより、
状況に応じて上部に構築される構築物を環状基礎91に
支持させることが可能になり、べた基礎としての構造体
本体10を含めて基礎の対応性を向上させることができ
る。
【0159】そして、上記構造体本体10の上記環状基
礎91に対応する部分に予め所定寸法だけ外部に突出し
たアンカーロッド9を所定本数埋設し、これらアンカー
ロッド9と鉄筋Fとを配筋した状態で環状基礎91を敷
設することにより、アンカーロッド9と鉄筋Fとの配筋
によって環状基礎91と構造体本体10とが一体化する
ため、環状基礎91上に構築物が構築された場合であっ
ても、環状基礎91に加わった構築物の重量は、環状基
礎91の底面に加えて構造体本体10の底面でも支持さ
れ、構築物の支持状態がより確実なものになり、耐震性
をも向上させることができる。
【0160】本発明は、上記の実施形態に限定されるも
のではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0161】(1)上記の実施形態においては、下部構
造体1の上縁面および上部構造体2の下縁面には、両者
が接合した状態で互いに噛合する階段状縁部15,24
が設けられているが、本発明は、上記両縁面にそれぞれ
階段状縁部15,24を設けることに限定されるもので
はなく、下部構造体1の上縁面および上部構造体2の下
縁面のいずれか一方に長手方向に延びる凹溝を設け、同
他方に上記凹溝に嵌まり込む突条が設けるようにしても
よい。上記凹溝および突条の断面形状については、円弧
状や三角形状等、任意の形状を設定することが可能であ
る。また、特に階段状縁部15,24や凹溝・突条を設
けずにフラットであってもよい。
【0162】(2)上記の実施形態においては、シール
部材3として板状のゴム製品が採用されているが、本発
明はシール部材3がゴム製品に限定されるものではな
く、柔軟性および耐水性に優れた合成樹脂を採用するこ
とも可能であり、さらに高粘度を有したゴムや合成樹脂
を主成分にするエマルジョンを塗布することでシール部
材3を形成させるようにしてもよい。さらに例えばエポ
キシ系等の接着剤をシール部材3として用いることも可
能である。
【0163】(3)上記の実施形態において、構造体本
体10の内壁面および外壁面のいずれか一方または双方
に防水処理を施すようにしてもよい。こうすることによ
って周壁12,21を通した地下水の地下室内への侵入
がさらに確実に防止される。
【0164】(4)上記の実施形態においては、構造体
本体10は、下部構造体1と上部構造体2との2層構造
で形成されているが、本発明は、構造体本体10が2層
構造であることに限定されるものではなく、3層構造以
上であってもよい。
【0165】(5)上記の第2実施形態においては、基
礎盤100は、その上に2体の構造体本体(第1構造体
本体10aおよび第2構造体本体10b)を配置し得る
大きさに寸法設定されているが、本発明は、基礎盤10
0が2体の構造体本体用であることに限定されるもので
はなく、1体用であってもよいし、三体以上の構造体本
体を配置し得る大きさに寸法設定してもよい。
【0166】(6)上記の実施形態においては、下部構
造体1,1a,1bと基礎盤100との間に介設され
る、弾性体からなるスペーサー101として耐圧性ゴム
が採用されているが、本発明は、スペーサー101が耐
圧性ゴムであることに限定されるものではなく、所定の
耐圧強度を備えた弾性体であればどのようなものでもよ
く、例えば、合成樹脂や鋼片であってもよい。合成樹脂
としていわゆる廃プラスチックを利用すると、資材コス
トの低減化に寄与することができるとともに、環境保全
上も好都合である。また、鋼片としては、弾性力を付与
するためにコイルバネ状やU字形状に成形したもの、あ
るいは皿ばね状に成形したものを好適に使用することが
できる。
【0167】(7)上記の第2実施形態の変形例におい
ては、図19〜図20に示すように、第2下部構造体1
bおよび第2上部構造体2bを第1構造体本体10aに
対して斜めに吊り降ろし、これによって最終的に第2構
造体本体10bが第1構造体本体10aに隣設されたと
きには環状シール部材33が両構造体本体10a,10
b間に押圧挟持されるようにしているが、こうする代わ
りに第2下部構造体1bおよび第2上部構造体2bを水
平姿勢のまま吊り降ろして第1構造体本体10aに隣設
し、その後、ハンマリング等によって第2構造体本体1
0bを第1構造体本体10aの方向に移動させて近接さ
せ、これによって環状シール部材33を両構造体本体1
0a,10b間に押圧挟持させるようにしてもよい。
【0168】
【実施例】以下、本発明が実際に適用された実施例につ
いて説明する。なお、この実施例は、縦穴の底部に基礎
盤100に代えて砕石を敷設した場合のものである。図
27は、本発明の地下室構造体が適用された家屋の南側
の側面図であり、図28は、図27に示す家屋の1階の
間取り図である。また、図29は、図27に示す地下室
の一部断面斜視図である。これらの図に示すように、本
実施例では地下室Uは、本発明に係る6畳タイプの構造
体本体10(表1参照)が南に面した8畳の居間の地下
に適用されて形成されている。居間Lの南側には略1.
8mの幅寸法を有するガラス戸が設けられているととも
に、地下室に出入りするための階段U1が設けられ、地
下室Uの採光の一助となるように配慮されている。
【0169】本実施例では、構造体本体10を構成する
セメントは、早強ポルトランドセメント(JISR57
10)が用いられている。このセメントに混合剤として
のAE減水剤およびシリカヒュームと、軽量骨材として
の細骨材および粗骨材(MA317)とが混合され、こ
れによってコンクリートの水密性および軽量性が良好に
発揮されるようにしている。また、構造体1,2(図
1)内に配筋される鉄筋Fとして、直径9mmおよび1
3mmのものを採用した。さらに、下部構造体1と上部
構造体2との接続部分に介設されるシール部材3(図
3)として、ゴムアスファルトエマルジョンからなるペ
ーストタイプのものを使用した。上記各材料の諸元を表
2に示す。
【0170】
【表2】
【0171】表2に示すような材料を用いたことによ
り、各構造体1,2を構成するコンクリートの圧縮強度
を210kgf/cm2以上にすることができるととも
に、水密性の指標である拡散係数を10×104cm2
/sec以下にすることが可能になる。また、本実施例
では、各構造体1,2を工場で製造するに際し、上記材
料を混合してなる生コンクリートを型枠41,42に流
し込み、3時間が経過してから蒸気を型枠に通して内部
の生コンクリートを20℃/hrで65℃にまで昇温
し、この温度を4時間継続して養生した。ついで生コン
クリートが常温になるまで自然放冷してから構造体1,
2を型枠41,42から取り出した。本実施例では、こ
のようにして得られた構造体1,2を使用している。構
造体1,2の諸元を表3に示す。
【0172】
【表3】
【0173】つぎに、本実施例における基礎工事および
各構造体1,2の埋設工事について説明する。図30
は、基礎および埋設工事を説明するための側面断面視の
説明図であり、図31は同平面図である。本実施例にお
いては、図30に示すように、居間L(図28)の北側
に設けられた東西に延びる建屋基礎Xの南側(図30の
右方)に、まず、居間Lに対応した直方体状の縦穴U2
がトレンチ工法等の適当な工法で掘削される。この縦穴
U2は、深さ寸法が1.9m、東西寸法が4.5m、お
よび南北寸法が3.5mに設定されている。
【0174】ついで、この縦穴U2の底部に断面寸法が
30cm角で長さ寸法が6mのコンクリート製摩擦杭U
1の4本を、図31に示すように、頂部を土中から10
cmだけ突出させた状態にまで杭打ちする。その後、縦
穴U2の底部に、厚さ寸法が10cmになるように平均
粒径が略40mmの砕石U3を敷き積めて押し固める。
上記摩擦杭U1の支持力は、1本当り略7.2tfであ
るため、4本で合計28.8tfになり、本実施例の構
造体本体10の重量である11.7tfの2倍以上にな
り、これによって構造体本体10の不等沈下が確実に防
止される。
【0175】このような基礎工事を行った後に、まず、
下部構造体1をクレーン等で吊り揚げてから縦穴U2内
に吊り降ろし、ついで下部構造体1の階段状上縁部15
に上記シール部材3を30mmの厚さに塗布する。この
シール部材3が乾燥してから、図30に示すように上部
構造体2がクレーンによって下部構造体1の上に吊り降
ろされ、これによって二点鎖線で示すように、縦穴U2
内には下部構造体1の上に上部構造体2が積み重ねられ
た構造体本体10が形成される。
【0176】そして、縦穴U2内に構造体本体10が形
成された状態では、上部構造体2が縦穴U2の上縁部か
ら略60cm上方に突出している。ついで縦穴U2の内
周面と、構造体本体10の外周面との間に上記同様の砕
石U3が充填され、これによって縦穴U2内に構造体本
体10が埋設された状態になる。その後、この構造体本
体10の上部開口が天井パネルで覆われるとともに、昇
降用の階段が付設され、さらに内装工事が施されること
によって図29に示すような地下室が完成した。本実施
例においては、構造体本体10の地上に突出した部分が
上部の居間Lの基礎として利用されている。
【0177】本実施例においては、第1および上部構造
体1,2の縦穴U2への埋め込み開始から天井パネルの
設置完了までの工期は1.5日であった。この工期は、
従来工法であるコンクリートの現地打設方式に比べて1
/10〜1/20であり、格段の工期短縮が実現すると
ともに、その分施工コストを大幅に削減できることが確
認された。
【0178】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の地下室構造体お
よび請求項8記載の地下室構造体の製造方法によれば、
底部と周壁とを備えた鉄筋コンクリート製の下部構造体
に、平面視の形状が上記下部構造体と同一形状であり、
かつ、天井部と周壁とを備えた鉄筋コンクリート製の上
部構造体を、上縁面と下縁面とが互いに当接するように
積み重ねることによって構造体本体を形成し、各構造体
の上縁面と下縁面との間にはシール部材を介設したた
め、まず、地下室構造体が大規模のものであっても、構
造体本体を分割して下部構造体と、少なくとも1つの上
部構造体とに分割することによって、構造体本体を工場
生産し得るようになり、これによって現地で施工する場
合に比べて地下室の施工コストを極めて安価にすること
ができる。
【0179】また、分割された各構造体の上縁面と下縁
面との間にシール部材が介設されているため、各構造体
が積み重ねられた状態で、各構造体の接合部分がシール
部材によってシールされ、これによって地下水の地下室
内への侵入を確実に防止することができる。
【0180】そして、従来の鉛直面に沿うように分割し
た構造体の場合、シール部材の押圧挟持を確実に行うべ
く、ワイヤ等によって複数の構造体が締結されている
が、これによって施工コストが嵩むとともに、ワイヤの
伸長や腐食等による締結力の低下によって確実なシール
効果を得ることができなくなるという不都合が生じるの
に対し、本発明においては、シール部材は、上部の構造
体の重量によって常に押圧された状態になっているた
め、従来のようなワイヤ等による締結操作は必要なく、
施工コストの低減化にに寄与することができるととも
に、地下水の地下室への侵入を常に確実に防止すること
ができる。
【0181】また、構造体を土中に埋設した状態で、構
造体にはすでに天井部が形成されているため、新たに上
部構造体の上縁部に梁を渡して構造体の上部開口を塞ぐ
ような現地工事を行う必要がなくなり、その分現地工事
コストの低減化を図ることができる。
【0182】さらに、下部構造体の上縁面および上部構
造体の下縁面にそれぞれ互いに噛み合う段差が設けられ
ているため、上下の構造体の接合時の位置決めが確実に
行われるとともに、上下の構造体の横ずれを有効に防止
することができる。しかも、上下の段差部分に水平方向
で若干の遊びを形成しておくことにより、噛み合い状態
の自由度を増大させることが可能であり、これによって
上下の構造体の寸法誤差の吸収や積層状態の微調整を簡
単に行うことができ、上下の構造体の製造が容易になる
とともに地下室の現場施工を容易に行うことができる。
【0183】加えて、上部構造体の下縁面と下部構造体
の上縁面とにそれぞれの内部に配筋されている鉄筋と一
体に結合された金属部材を設け、下部構造体の上に上部
構造体が積み重ねられた状態で上下の金属部材を互いに
溶接しているため、下部構造体の金属部材と上部構造体
の金属部材とが一体化されることにより、構造体本体
は、水平方向に向かう力に対する耐剪断性および耐曲げ
性が向上し、上下で分離するような不都合を確実に防止
することができる。従って、地震発生時に上部構造体が
下部構造体に対して横ずれするようなことがなく、地下
室構造体を耐震性に優れたものにすることができる。
【0184】本発明の請求項2記載の地下室構造体によ
れば、シール部材としてゴム製のものを用いたため、ゴ
ムは柔軟性および防水性に優れており、上下の構造体間
の防水を確実に行う上で好都合である。
【0185】本発明の請求項3記載の地下室構造体によ
れば、構造体本体の内壁面および外壁面のいずれか一方
または双方に防水処理を施すようにしたため、周壁を通
した地下水の地下室内への侵入を確実に防止することが
できる。
【0186】本発明の請求項4記載の地下室構造体によ
れば、下部構造体および上部構造体は、210kgf/
cm2以上の圧縮強度を有するコンクリートを用いて厚
み寸法が150mm以上になるようにしたため、構造体
本体が地下に埋設されて地下室が形成された状態で、地
下室そのものの強度を非常に大きなものにすることがで
きるとともに、構造体本体の上縁部を地上設置の建造物
の基礎として利用することができる。
【0187】本発明の請求項5記載の地下室構造体によ
れば、コンクリートに防水機能を有する混和剤を混入し
たため、地下水の周壁を通した地下室内への侵入を確実
に防止することができる。
【0188】本発明の請求項6記載の地下室構造体によ
れば、下部構造体および上部構造体を、幅寸法が2.5
m〜3.5m、高さ寸法が0.8m〜1.6m、および
長さ寸法が2.5m〜9.0mに設定したため、各構造
体は、生産、移送、取り扱いおよび搬送に適した寸法に
なる。特に、構造体を工場から地下室の施工現場に搬送
するに際し、所定の運送車両を用いて公道を利用して運
ぶことができる。
【0189】本発明の請求項7記載の地下室構造体によ
れば、下部構造体に周壁の平面状の部分に上縁部から切
り欠かれて形成された上部開放切欠き部を設け、上部構
造体に上部開放切欠き部に対応した下部開放切欠き部を
設け、上部構造体が下部構造体に積み重ねられた状態で
上部開放切欠き部と下部開放切欠き部とで開口部が形成
されるようにし、この開口部の内周面に周壁の外面側に
向かって開放した第1環状隅部を凹設し、この第1環状
隅部の内周面に周壁の外面側に向かって開放した第2環
状隅部を凹設したため、一の構造体本体と他の構造体本
体とを、それぞれの開口部が対向するように隣接施工す
ることによって、二つの構造体本体間を行き来する連絡
口が形成された状態にすることができる。そして、この
連絡口には、それぞれの構造体本体の第1環状隅部によ
って形成された狭幅溝と、同第2環状隅部によって形成
された広幅溝とが形成された状態になるため、狭幅溝に
シール部材を装填した上で、広幅溝に生コンクリート
(例えば止水モルタル)を流し込む、いわゆるグラウテ
ィング処理を施すことにより、各構造体本体の開口部か
らの構造体本体内部への地下水の侵入を確実に防止する
ことができる。
【0190】本発明の請求項9記載の地下室構造体の製
造方法によれば、下部構造体を上下逆転させた状態の立
体形状に沿う第1型枠内に配筋した後、第1型枠内に生
コンクリートを流し込んで下部構造体を製造するととも
に、上記上部構造体の立体形状に沿う第2型枠に配筋し
た後、第2型枠内に生コンクリートを流し込んで上部構
造体を製造するようにしているため、型枠内に生コンク
リートを流し込むことによって各構造体が製造され、特
に下部構造体については、底部が上位に位置するような
型枠を用いたため、型抜きを容易に行うことができる。
【0191】本発明の請求項10記載の地下室構造体の
運搬方法によれば、下部構造体および上記上部構造体の
各々について、長尺側の側面が水平になるように構造体
を90°横転し、この横転した構造体を保護用のラック
に装填し、ついでこのラックに装填された構造体を、載
置面が運送車両に装着された状態で路面から30cm以
下に高さ設定されたパレットを介して運送車両に積載し
て搬送するようにしているため、まず、構造体を90°
横転させることにより、所定の運送車両への積載高さ寸
法および幅寸法が法規による規制の範囲内に納めること
が可能になり、構造体を公道を利用して搬送することが
できる。また、構造体をラックに装填することにより、
構造体を搬送中の衝撃から確実に保護することができ
る。
【0192】本発明の請求項11記載の地下室構造体の
運搬方法によれば、構造体を支持する支持プレートと、
この支持プレートに支持された構造体に被せる枠体とか
らなるラックを用い、枠体を構造体に被せた状態で枠体
と支持プレートとを一体に締結するようにしているた
め、構造体を支持プレートに載置した後、枠体を構造体
に被せ、ついで支持プレートと枠体とを一体に締結する
ことにより、構造体がラック内に収納された状態にな
り、これによって構造体のラック内への装填を容易に行
うことができる。
【0193】本発明の請求項12記載の地下室構造体の
運搬方法によれば、構造体が装填されたラックを運送車
両から荷降ろしするに際し、ラックを吊持部材によって
斜めになるように吊持し、この斜めに吊持したラック
を、水平軸回りに回動自在に軸支され、かつ、ラックの
下端縁部を受ける回動治具上に吊り降ろし、ついで回動
治具を水平軸周りに回動させることによって構造体を横
転させた状態で荷降しするようにしたため、構造体の装
填されたラックの荷降し操作時の衝撃が、回動治具によ
って緩衝され、構造体を破損させない状態で荷降しする
上で好都合である。
【0194】本発明の請求項13記載の地下室構造体の
施工方法によれば、地面に少なくとも上記下部構造体を
埋設し得る縦穴を掘削し、上記縦穴の底部に砕石を敷き
詰めた後、底部が砕石側になるように吊持した下部構造
体を上記砕石上に吊り降ろし、ついで下部構造体の上縁
面と、上記上部構造体の下縁面との間に上記シール部材
を介在させた状態で上部構造体を下部構造体の上に吊り
降ろし、下部構造体と上部構造体との接合部分をシール
構造にするものであるため、各構造体を縦穴に順次吊り
降ろして積み重ねることにより、縦穴内に地下室を容易
に形成させることができる。そして、地下室が形成され
た状態で、下部構造体の下部には砕石が敷設されている
ため、この砕石によって下部構造体の底部が均一に支持
され、地下室が傾く等の不都合を確実に防止することが
できる。また、下部構造体と上部構造体との間に介在さ
れたシール部材によって両者の接合部分がシール構造に
なっており、これによって接合部分からの地下室内への
地下水の侵入を確実に防止することができる。
【0195】本発明の請求項14記載の地下室構造体の
施工方法によれば、シール部材を介した上記下部構造体
と上部構造体との当接部分に、構造体本体の内側から防
水用のライニング処理を施すようにしているため、構造
体の接合部分が、シール部材によるシールに加えてライ
ニング処理によってもシールされるため、地下水の地下
室への侵入をさらに確実に防止することができる。
【0196】本発明の請求項15記載の地下室構造体の
施工方法によれば、下部構造体の縦穴への埋設前に、縦
穴の底部に所定本数の摩擦杭を杭打ちしたため、摩擦杭
の施工で縦穴の底に強固な基礎が形成され、地下室の耐
震性能が向上するとともに、摩擦杭に支持された構造体
を、地上設置の建造物の安定した基礎として利用するこ
とができる。
【0197】本発明の請求項16記載の地下室構造体の
施工方法によれば、地面に少なくとも下部構造体を埋設
し得る縦穴を掘削し、縦穴の底部にコンクリート製のの
基礎盤を敷設し、この基礎盤上に下部構造体を支持する
スペーサーを所定ピッチで配設した後、基礎盤上にセメ
ントと砂とを混練した空練りモルタルをスペーサーが隠
れる程度で、かつ、同一厚み寸法になるように敷き詰め
て空練りモルタル層を形成し、この空練りモルタル層の
上に下部構造体を吊り降ろし、ついで下部構造体の上縁
面と、上部構造体の下縁面との間にシール部材を介在さ
せた状態で上部構造体を下部構造体の上に吊り降ろし、
しかも下部構造体と上部構造体との接合部分をシールし
たため、基礎盤上に空練りのモルタル層を形成した後、
下部構造体を縦穴内に吊り降ろすことによって、下部構
造体を基礎盤上の複数のスペーサーに支持させることが
できる。そしてモルタル層を、基礎盤や下部構造体の底
面の凹凸を吸収して状態で下部構造体底面と基礎盤表面
との間に介在させることができる。この状態で長期間放
置されることにより、空練りのモルタル層は土中の水分
を吸収して所定の化学反応が進行し、これによってモル
タル層が固化して下部構造体の底面にフィットした基礎
を形成することができる。
【0198】このように、空練りモルタルで基礎を形成
することによって、生コンクリートで継ぎ打ちを行う場
合に比べて基礎形成工事が容易になるとともに、構造体
の重力を基礎盤を介して均等に地盤に流すことが可能に
なり、片加重に起因して構造体が傾くような不都合の発
生を防止することができる。
【0199】本発明の請求項17記載の地下室構造体の
施工方法によれば、二つの下部構造体を、互いに隣接
し、かつ、それぞれの上部開放切欠き部が互いに対向す
るように縦穴内に吊り降ろした後、各下部構造体の上に
上部構造体を、それぞれの下部開放切欠き部が互いに対
向するように吊り降ろし、形成された連絡口の一対の第
1環状隅部による狭幅溝にシール部材を充填し、ついで
同一対の第2環状隅部による広幅溝に止水モルタルを充
填したため、二つの構造体本体が縦穴内で隣接配置され
ることによって形成された連絡口は、その内周面の狭幅
溝に充填されたシール部材と、同広幅溝に充填された止
水モルタルとで接続部分が二重にシールされた状態にな
り、各構造体本体の開口部からの構造体本体内部への地
下水の侵入を確実に防止することができる。
【0200】本発明の請求項18記載の地下室構造体の
施工方法によれば、施工された構造体本体の天井部の上
面に根太を設けたため、根太の上に建造物を構築するこ
とができ、構造体本体を地上建造物の基礎として有効利
用することができる。
【0201】本発明の請求項19記載の地下室構造体の
施工方法によれば、構造体本体を縦穴に吊り降ろした
後、縦穴の上縁部に、内周面が構造体本体の外周面に当
接するように、内部に鉄筋の配筋された環状基礎を敷設
するようにしているため、環状基礎が構造体本体を取り
囲んだ状態になり、構造体本体に加わる土圧を環状基礎
によって緩和させることができる。特に、構造体本体の
周りに束基礎や布基礎が存在する場合、これら基礎上に
構築された構造物の重量が土圧となって構造体本体に加
重されるが、環状基礎がこの加重された土圧を遮ること
によって構造体本体への影響を少なくすることができ
る。従って、構造体本体の壁厚を厚くしたり、束基礎や
布基礎の直下の土壌に杭打ちを施したり、さらには布基
礎の基礎底部(フーチング)を構造体本体から離間した
位置に敷設して敷地を無駄に使用するような不都合を回
避することができる。
【0202】また、環状基礎を設けることにより、状況
に応じて上部に構築される構築物を環状基礎に支持させ
ることが可能になり、べた基礎としての構造体本体を含
めて基礎の対応性を向上させることができる。
【0203】本発明の請求項20記載の地下室構造体の
施工方法によれば、構造体本体の環状基礎に対応する部
分に予め所定寸法だけ外部に突出したアンカー部材を所
定本数埋設し、これらアンカー部材と鉄筋とを配筋した
状態で環状基礎を敷設するようにしているため、アンカ
ー部材と鉄筋とを配筋することによって環状基礎と構造
体本体とが一体化し、環状基礎上に構築物が構築された
場合であっても、環状基礎に加わった構築物の重量は、
環状基礎の底面に加えて構造体本体の底面でも支持さ
れ、構築物の支持状態がより確実なものになり、耐震性
を向上させることができる。
【0204】本発明の請求項21記載の地下室構造体の
施工方法によれば、第1構造体本体の開口部周りに貼設
された環状シール部材を押圧挟持するように他の下部構
造体および上部構造体を順次吊り降ろすようにしている
ため、第1および第2構造体本体の各開口部は、第1お
よび第2構造体本体に押圧挟持されて圧縮弾性変形し、
これによって各開口部を通した地下水等の室内への侵入
を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地下室構造体の一実施形態を示す
一部切欠き分解斜視図である。
【図2】図1の地下室構造体の組立て斜視図である。
【図3】下部構造体および上部構造体の階段状縁部を示
す断面図であり、(イ)は上部構造体が下部構造体に積
み重ねられる直前の状態、(ロ)は上部構造体が下部構
造体に積み重ねられた状態をそれぞれ示している。
【図4】構造体本体の製造方法を説明するための断面視
の説明図であり、(イ)は下部構造体用の配筋が施され
た型枠内に生コンクリートが充填された状態、(ロ)は
上部構造体用の配筋が施された型枠内に生コンクリート
が充填された状態をそれぞれ示している。
【図5】横転された構造体を示す斜視図であり、(イ)
は下部構造体、(ロ)は上部構造体をそれぞれ示してい
る。
【図6】工場内における各構造体の移送の一例を説明す
る説明図であり、(イ)は構造体が吊持部材によって吊
持された状態、(ロ)は構造体がコンベアによって移送
されつつある状態をそれぞれ示している。
【図7】ラックの一実施形態を示す斜視図である。
【図8】構造体の積込み準備工程を示す説明図であり、
(イ)は構造体の載置されたラックベースがクレーンの
フックに吊持された状態、(ロ)はクレーンのフックに
吊持されたラックベースが搬送用パレット上に吊り降ろ
された状態をそれぞれ示している。
【図9】ラック本体装着工程を示す説明図である。
【図10】運送車両への積込み工程を示す説明図であ
り、(イ)は地上に載置された搬送用パレットに対して
運送車両7が進入した状態、(ロ)は、搬送用パレット
が運送車両に搭載された状態をそれぞれ示している。
【図11】図10の(イ)の一部切欠きA−A線視図で
ある。
【図12】荷降し時に地上側に設置される荷受け治具の
一実施形態を示す側面図である。
【図13】構造体を内装したラックの荷降し工程を示す
説明図であり、(イ)は構造体の載置されたラックがク
レーンのフックに吊持された状態、(ロ)はクレーンの
フックに吊持されたラックが傾けられた状態、(ハ)は
クレーンのフックに吊持されたラックが荷受け治具上に
吊り降ろされた状態をそれぞれ示している。
【図14】本発明に係る地下室構造体の第2実施形態を
示す分解斜視図であり、下部構造体に対して上部構造体
を隣接配置する直前の状態を示している。
【図15】本発明に係る地下室構造体の第2実施形態を
示す分解斜視図であり、下部構造体に対して上部構造体
を隣接配置した状態を示している。
【図16】図15のB−B線断面図である。
【図17】完成した第2実施形態の地下室構造体の頂部
に根太が設けられた状態を示す斜視図である。
【図18】本発明に係る地下室構造体の第2実施形態の
変形形態を示す斜視図である。
【図19】第2実施形態の変形例を対象とした施行方法
を説明するための説明図であり、(イ)は、先に施工さ
れた第1構造体本体に隣接して第2構造体本体の第2下
部構造体が吊り降ろされつつある状態、(ロ)は、第2
下部構造体が吊り降ろされた状態をそれぞれ示してい
る。
【図20】第2実施形態の変形例を対象とした施行方法
を説明するための説明図であり、(イ)は、第2下部構
造体上に第2上部構造体が吊り降ろされつつある状態、
(ロ)は、第2下部構造体上に第2上部構造体が吊り降
ろさた状態をそれぞれ示している。
【図21】本発明に係る地下室構造体の第3実施形態を
示す一部切欠き斜視図であり、下部構造体と上部構造体
とが分離した状態を示している。
【図22】本発明に係る地下室構造体の第3実施形態を
示す一部切欠き斜視図であり、上部構造体が下部構造体
に積み重ねられた状態を示している。
【図23】下部構造体および上部構造体の階段状縁部を
示す断面図であり、(イ)は上部構造体が下部構造体に
積み重ねられる直前の状態、(ロ)は上部構造体が下部
構造体に積み重ねられた状態をそれぞれ示している。
【図24】構造体本体の製造方法を説明するための断面
視の説明図であり、(イ)は下部構造体用の配筋が施さ
れた型枠内に生コンクリートが充填された状態、(ロ)
は上部構造体用の配筋が施された型枠内に生コンクリー
トが充填された状態をそれぞれ示している。
【図25】本発明に係る施工方法の第2実施形態を説明
するための環状基礎の側面視の断面図である。
【図26】本発明に係る施工方法の第2実施形態を説明
するための環状基礎の平面図である。
【図27】本発明の地下室構造体が適用された家屋の南
側の側面図である。
【図28】図27に示す家屋の1階の間取り図である。
【図29】図27に示す地下室の一部断面斜視図であ
る。
【図30】基礎および埋設工事を説明するための側面断
面視の説明図である。
【図31】基礎および埋設工事を説明するための平面視
の説明図である。
【符号の説明】
10 構造体本体 10a 第1構造体本体 10b 第2構造体本体 1,1a,1b 下部構造体 11 基礎床 100 基礎盤 101 スペーサー 102 空練りモルタル 2,2a,2b 上部構造体 20 天井壁 20a 出入口 21 周壁 22 短辺側壁 23 長辺側壁 24 段差縁部 12,21 周壁 13,22 短辺側壁 14,23 長辺側壁 15,24 段差縁部 200 連絡口(開口部) 201 下部開放切欠き部 202 上部開放切欠き部 203 第1環状隅部 204 第2環状隅部 205 環状広幅溝 206 環状狭幅溝 3,31 シール部材 33 環状シール部材 32 ゴムテープ 301 連結根太 302 横根太 303 縦根太 4 ラック 41 第1型枠 42 第2型枠 41a,42a キャビティ 5 搬送用パレット 51 支持枠 52 架橋材 53 凹溝 6 ラック 61 ラックベース 62 ラック本体 7 運送車両 71 荷台 72 底板 73 側板 74 天井板 75 昇降機構 76 カム 77 シリンダ装置 8 荷受け治具 81 治具本体 82 荷受け治具 83 荷受け部材 84 ダンネージ B ボルト F 鉄筋 W ワイヤ U 地下室 U1 摩擦杭 U2 縦穴 U3 砕石 L 居間 L1〜L4 山形鋼
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−199121(JP,A) 特開 平3−76933(JP,A) 特開 昭59−130923(JP,A) 特開 昭61−109870(JP,A) 実開 昭60−150264(JP,U) 実開 昭63−165003(JP,U) 実開 昭61−168250(JP,U) 実開 平4−92051(JP,U) 実開 平2−112736(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 29/00 E04H 1/02

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底部と周壁とを備えた鉄筋コンクリート
    製の下部構造体に、平面視の形状が上記下部構造体と同
    一形状であり、かつ、周壁と天井部とを備えた鉄筋コン
    クリート製の上部構造体を、上縁面と下縁面とが互いに
    当接するように積み重ねることによって構造体本体が形
    成され、上記各構造体の上縁面と下縁面との間にはシー
    ル部材が介設され、上記下部構造体の上縁面は、内外に
    段差をもって連なる高縁部及び低縁部を有し、上記上部
    構造体の下縁面は、上記下部構造体の上縁面に噛み合う
    ように内外に段差をもって連なる高縁部及び低縁部を
    、上記上部構造体の下縁面と上記下部構造体の上縁面
    とには、それぞれの高縁部及び低縁部に配置されて、各
    構造体内部に配筋されている鉄筋と一体に結合された各
    一対の金属部材が設けられ、下部構造体の上に上部構造
    体が積み重ねられた状態でこれらの上縁面と下縁面の各
    高縁部に設けられた金属部材同士及び各低縁部に設けら
    れた金属部材同士が互いに溶接されていることを特徴と
    する地下室構造体。
  2. 【請求項2】 上記シール部材はゴム製であることを特
    徴とする請求項1記載の地下室構造体。
  3. 【請求項3】 上記構造体本体の内壁面および外壁面の
    いずれか一方または双方に防水処理が施されていること
    を特徴とする1または2記載の地下室構造体。
  4. 【請求項4】 上記下部構造体および上部構造体は、2
    10kgf/cm2以上の圧縮強度を有するコンクリー
    トが用いられ、かつ、下部構造体の底部および周壁並び
    に上部構造体の周壁の厚み寸法が150mm以上に設定
    されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    に記載の地下室構造体。
  5. 【請求項5】 上記コンクリートは、防水機能を有する
    混和剤が混入されたものであることを特徴とする請求項
    4記載の地下室構造体。
  6. 【請求項6】 上記下部構造体および上部構造体は、幅
    寸法が2.5m〜3.5m、高さ寸法が0.8m〜1.
    6m、および長さ寸法が2.5m〜9.0mであること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の地下室
    構造体。
  7. 【請求項7】 上記下部構造体は、周壁の平面状の部分
    に上縁部から切り欠かれて形成された上部開放切欠き部
    を有し、上記上部構造体は、上記上部開放切欠き部に対
    応した下部開放切欠き部を有し、上部構造体が下部構造
    体に積み重ねられた状態で上記上部開放切欠き部と上記
    下部開放切欠き部とで開口部が形成され、この開口部の
    内周面には、周壁の外面側に向かって開放した第1環状
    隅部が凹設され、この第1環状隅部の内周面には、周壁
    の外面側に向かって開放した第2環状隅部が凹設されて
    いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載
    の地下室構造体。
  8. 【請求項8】 底部と周壁とを備え、上縁面に内外に段
    差をもって連なる高縁部及び低縁部を有し、かつ、上縁
    面の高縁部及び低縁部に内部の鉄筋と一体に結合された
    一対の金属部材が配設された鉄筋コンクリート製の下部
    構造体に、平面視の形状が上記下部構造体と同一形状で
    周壁と天井部とを備え、下縁面に上記下部構造体の上縁
    に噛み合うように内外に段差をもって連なる高縁部及
    び低縁部を有し、かつ、下縁面の高縁部及び低縁部に内
    部の鉄筋と一体に結合された一対の金属部材が配設され
    鉄筋コンクリート製の少なくとも1つの上部構造体
    を、上縁面と下縁面との間にシール部材を介在させた状
    態で積み重ね、上縁面と下縁面の各高縁部に設けられた
    金属部材同士及び各低縁部に設けられた金属部材同士
    溶接することによって構造体本体を形成することを特徴
    とする地下室構造体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項記載の地下室構造体の製造方法
    において、上記下部構造体の立体形状に沿う第1型枠内
    に配筋した後、第1型枠内に生コンクリートを流し込ん
    で下部構造体を製造するとともに、上記上部構造体の立
    体形状に沿う第2型枠に配筋した後、第2型枠内に生コ
    ンクリートを流し込んで上部構造体を製造することを特
    徴とする地下室構造体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項6記載の地下室構造体の運搬方
    法であって、上記下部構造体および上記上部構造体の各
    々について、長尺側の側面が水平になるように構造体を
    90°横転し、この横転した構造体を保護用のラックに
    装填し、ついでこのラックに装填された構造体を、載置
    面が運送車両に装着された状態で路面から30cm以下
    に高さ設定されたパレットを介して運送車両に積載し、
    搬送することを特徴とする地下室構造体の運搬方法。
  11. 【請求項11】 上記ラックとして、上記構造体を支持
    する支持プレートと、この支持プレートに支持された構
    造体に被せる枠体とからなり、かつ、枠体を構造体に被
    せた状態で枠体と支持プレートとを一体に締結し得るよ
    うに構成されたものを用いることを特徴とする請求項
    記載の地下室構造体の運搬方法。
  12. 【請求項12】 上記構造体が装填された上記ラックを
    運送車両から荷降ろしするに際し、ラックを吊持部材に
    よって斜めになるように吊持し、この斜めに吊持したラ
    ックを、水平軸回りに回動自在に軸支され、かつ、ラッ
    クの下端縁部を受ける回動治具上に吊り降ろし、ついで
    回動治具を水平軸周りに回動させることによって構造体
    を横転させた状態で荷降しすることを特徴とする請求項
    10または11記載の地下室構造体の運搬方法。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至6のいずれかに記載の地
    下室構造体の施工方法であって、地面に少なくとも上記
    下部構造体を埋設し得る縦穴を掘削し、上記縦穴の底部
    に砕石を敷き詰めた後、底部が砕石側になるように吊持
    した下部構造体を上記砕石上に吊り降ろし、ついで下部
    構造体の上縁面と、上記上部構造体の下縁面との間に上
    記シール部材を介在させた状態で上部構造体を下部構造
    体の上に吊り降ろし、下部構造体と上部構造体との接合
    部分をシール構造にすることを特徴とする地下室構造体
    の施工方法。
  14. 【請求項14】 上記シール部材を介した上記下部構造
    体と上部構造体との当接部分に、構造体本体の内側から
    防水用のライニング処理を施すことを特徴とする請求項
    13記載の地下室構造体の施工方法。
  15. 【請求項15】 上記下部構造体の上記縦穴への埋設前
    に、縦穴の底部に所定本数の摩擦杭を杭打ちすることを
    特徴とする請求項13または14記載の地下室構造体の
    施工方法。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至のいずれかに記載の地
    下室構造体の施工方法であって、地面に少なくとも上記
    下部構造体を埋設し得る縦穴を掘削し、上記縦穴の底部
    にコンクリート製の基礎盤を敷設し、この基礎盤上に上
    記下部構造体を支持する弾性体製のスペーサーを所定ピ
    ッチで配設した後、基礎盤上にセメントと砂とを混練し
    た空練りモルタルを上記スペーサーが隠れる程度で、か
    つ、同一厚み寸法になるように敷き詰めて空練りモルタ
    ル層を形成し、この空練りモルタル層の上に上記下部構
    造体を吊り降ろし、ついで下部構造体の上縁面と、上記
    上部構造体の下縁面との間に上記シール部材を介在させ
    た状態で上部構造体を下部構造体の上に吊り降ろし、下
    部構造体と上部構造体との接合部分をシール構造にする
    ことを特徴とする地下室構造体の施工方法。
  17. 【請求項17】 請求項7記載の地下室構造体の施工方
    法であって、二つの下部構造体を、互いに隣接し、か
    つ、それぞれの上部開放切欠き部が互いに対向するよう
    に縦穴内に吊り降ろした後、各下部構造体の上に上部構
    造体を、それぞれの下部開放切欠き部が互いに対向する
    ように吊り降ろし、形成された連絡口の一対の第1環状
    隅部による狭幅溝にシール部材を充填し、ついで同一対
    の第2環状隅部による広幅溝に止水モルタルを充填する
    ことを特徴とする地下室構造体の施工方法。
  18. 【請求項18】 請求項13乃至17のいずれかに記載
    の地下室構造体の施工方法において、施工された構造体
    本体の天井部の上面に根太を設けることを特徴とする地
    下室構造体の施工方法。
  19. 【請求項19】 請求項13乃至18のいずれかに記載
    の地下室構造体の施工方法において、構造体本体を縦穴
    に吊り降ろした後、上記縦穴の上縁部に、内周面が上記
    構造体本体の外周面に当接するように、内部に鉄筋の配
    筋された環状基礎を敷設することを特徴とする地下室構
    造体の施工方法。
  20. 【請求項20】 上記構造体本体の上記環状基礎に対応
    する部分に予め所定寸法だけ外部に突出したアンカー部
    材を所定本数埋設し、これらアンカー部材と上記鉄筋と
    を配筋した状態で上記環状基礎を敷設することを特徴と
    する請求項19記載の地下室構造体の施工方法。
  21. 【請求項21】 請求項7記載の地下室構造体の施工方
    法であって、地面に少なくとも上記下部構造体の2体を
    埋設し得る縦穴を掘削し、上記縦穴の底部にコンクリー
    ト製の基礎盤を敷設し、この基礎盤上に上記下部構造体
    を支持する弾性体製のスペーサーを所定ピッチで配設し
    た後、基礎盤上にセメントと砂とを混練した空練りモル
    タルを上記スペーサーが隠れる程度で、かつ、同一厚み
    寸法になるように敷き詰めて空練りモルタル層を形成
    し、この空練りモルタル層の上に一方の下部構造体を吊
    り降ろした後、この下部構造体の上にシール部材を介し
    て一方の上部構造体を吊り降ろして第1構造体本体を形
    成し、この第1構造体本体の開口部周りの外壁面に環状
    シール部材を貼設し、引き続き他の下部構造体および上
    部構造体からなる第2構造体本体の開口部が第1構造体
    本体の開口部に対応するように、かつ、上記環状シール
    部材を押圧挟持するように他の下部構造体および上部構
    造体を、シール部材を介して順次吊り降ろすことを特徴
    とする地下室構造体の施工方法。
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