JP3236151B2 - ポリ(2−オキセタノン)の製造方法 - Google Patents

ポリ(2−オキセタノン)の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環境中で微生物の作用
により分解するポリ(2−オキセタノン)の製造方法に
関する。さらに詳しくは、プラスチック材料として優れ
た加工成型性を有し、生ゴミ用ゴミ袋、レジ袋、農業用
フィルム、紙おむつ、衛生用品などの成型品に用いら
れ、これらの成型品の使用廃棄後は微生物分解処理が可
能なポリ(2−オキセタノン)の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】2−オキセタノンから合成されるポリエ
ステルであるポリ(2−オキセタノン)は、微生物の作
用により環境中で分解されることが知られている。近年
の深刻な廃棄物問題の対策の一つとして、環境中で分解
するプラスチックが望まれており、ポリ(2−オキセタ
ノン)は、まさにその要望されているプラスチック材料
である。
【0003】2−オキセタノンからポリ(2−オキセタ
ノン)への重合反応式は、下式の通りである。
【0004】
【化1】
【0005】ポリ(2−オキセタノン)を得るための2
−オキセタノンの重合については、これまでに多くの検
討が為されており、アニオン重合、配位アニオン重合、
或はカチオン重合のいずれでも重合が進行することが知
られている。
【0006】2−オキセタノンの重合を行う場合の重合
様式としては、一般に溶剤を一切用いないバルク重合、
モノマーおよびポリマーを共に溶解する溶剤中で行う溶
液重合、モノマーだけを溶解する溶剤中で行う沈澱重
合、さらにはモノマーもポリマーも溶解しない溶剤中で
行う懸濁重合などの重合方法が用いられている。
【0007】例えば、マチスンら(T.Mathisen and A.-
C.Albertsson, Journal of AppliedPolymer Science, V
ol. 39, 591-601(1990))は、ピリジンを開始剤として
バルク重合で高分子量のポリ(2−オキセタノン)を合
成している。また、鍵谷ら(鍵谷、左納、福井、工業化
学雑誌、第67巻、第6号、951ー956〔196
4)、第68巻、第6号、1141−1144(196
5)〕は、ピリジン系および金属リン酸塩開始剤を用い
て、バルク重合および各種溶剤中で高分子量ポリ(2−
オキセタノン)を合成している。スロムコウスキー(St
anislaw Slomkowski, Polymer, Vol.27, 71(1986) )、
およびイェドリンスキーら(Zbigniew Jedlinski et a
l.,Macromolecules, Vol.18, 2679(1985))はジメチル
ホルムアミドおよびテトラヒドロフランを溶剤として用
いて、溶液もしくは沈澱重合で高分子量のポリ(2−オ
キセタノン)を合成している。岡村ら〔岡村、東村、田
中、工業化学雑誌、第65巻、第5号、707−711
(1962)〕は、アルカリ触媒を用いてトルエン中で
重合を行っている。
【0008】以上のように、多くの重合に関する研究が
為されているにもかかわらず、未だにポリ(2−オキセ
タノン)は工業的に製造されるに到っていない。この原
因は、上記の様な多くの検討が為されているにもかかわ
らずプラスチック材料として必要な十分な高分子量、一
般的には分子量100、000のポリ(2−オキセタノ
ン)を工業的規模で合理的に製造する方法が確立されて
いないためである。
【0009】ポリマーを工業的に製造するに当たり重要
なことは、ポリマーの重合方法、収率や分子量だけでな
く、重合後のポリマーの分離取得方法も非常に重要な問
題である。ポリマーの分離取得方法は重合方法と強く関
連し合っており、重合後、装置内よりポリマーを取り出
す際、ポリマーが溶液状であるか、塊状であるか、ある
いは粒子状、粉状であるかによって、その後の処理操作
に大きな影響を与える。
【0010】溶液重合の場合、重合後の溶液は粘稠な溶
液であり、この中からポリマーを取り出すために沈澱操
作などを必要とし、そのための大量の沈澱用溶剤を必要
とする。塊状重合の場合、ポリマーの融点以上の熱をか
けてポリマーを溶融して取り出すなどの操作が必要であ
り、熱分解性を示すポリ(2−オキセタノン)には適当
な方法ではない。沈澱あるいは懸濁重合の場合、ポリマ
ーは粒子状あるいは粉状で得られ、ポリマーの分離取得
は濾過だけであり、きわめて容易である。
【0011】沈澱あるいは懸濁重合に類似した方法とし
てシード重合法がある。坪川らは、基体としてカーボン
ブラックあるいはカーボンウイスカーを用いて、バルク
重合あるいはジクロロメタンやニトロベンゼンを用いて
溶液重合を行い、基体上にポリ(2−オキセタノン)を
グラフト化した複合体を得る方法を報告している。(Jo
urnal of Polymer Science: Polymer Chemistry Editio
n, Vol.20,3297-3304(1982)、 Journal of Applied Pol
ymer Science, Vol.28,2381-2387(1983)、高分子論文
集,Vol.42,509-516(1985)、Polymer Bulletin, Vol.30,
421-428(1993)、Polymer Journal, Vol.25, 83-89(199
3))。この報告は、グラフト重合による複合化を目的と
したものであり、粒子状あるいは粉末状のポリ(2−オ
キセタノン)を製造することを意図したものでなく、ま
た、達成されてもいない。分子量的にも最大33、00
0(絶対粘度[η]=0.46程度)であり、工業的利
用に用いられうる分子量100、000に達していな
い。
【0012】従って、高分子量ポリ(2−オキセタノ
ン)の製造において、重合後に粒子および粉末状態でポ
リマーを分離取得する技術は未だ達成されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、高分子
量のポリ(2−オキセタノン)を工業的に製造するに際
しての重要な課題の一つは、重合後のポリマーの粒子化
あるいは粉末化である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の製造方法にお
いて高分子量のポリ(2−オキセタノン)を粒子状(以
下、単に生成粒子ともいう。)で安定的に製造しうる事
を見いだし、本発明を完成するに到った。
【0015】即ち、本発明は、内表面が無極性化された
重合装置を用い、ポリ(2−オキセタノン)粒子(以
下、単に担体粒子ともいう。)に重合開始剤を担持した
担持型重合開始剤を分散させた溶解性パラメーターが1
5.0〜18.0MPa1/2 で且つ2−オキセタノンを
溶解する溶剤中で、2−オキセタノンを重合することを
特徴とするポリ(2−オキセタノン)の製造方法であ
る。
【0016】本発明に於て、内表面が無極性化された重
合装置を用いるということは必須の要件である。ここ
で、重合装置とは、後述する重合反応容器のみならず重
合反応容器内に付属するじゃま板、攪拌装置、および重
合温度モニター用のセンサー保護管等の重合に使用され
重合時に系の液相が直接接触する装置、部品から構成さ
れる重合機器の総称である。
【0017】重合に用いる重合反応容器は特に限定され
るものではなく、従来公知の重合反応容器が何等制限な
く用いられる。例えば、オートクレーブのようなバッチ
式重合反応容器、多段バッチ式重合反応容器、管状の連
続重合反応容器などである。これらの重合反応容器の内
表面部には、均一攪拌用にじゃま板、凹凸構造が付属し
ていてもよい。また、重合系の攪拌のために、一般的に
これらの重合反応容器の内部には、攪拌機が付属してい
たり、あるいは重合反応容器そのものが回転、振動など
の攪拌作用を行う機能を有している。
【0018】攪拌機としては、特に限定はなく、一般公
知の種々の構造のものが用いられ得る。例えば、パドル
型、平板型、傾斜櫂型、プロペラ型、鋸歯型、タービン
型、ブルーマージン型、錨形、ヘリカル型、スクリュー
型、上下振動盤型、および磁気攪拌子型などが好適に使
用される。
【0019】本発明において用いられる重合装置の材質
は後述するように内表面が無極性化される限り何ら限定
されず、ステンレスなどの金属製、セラミック製、ガラ
ス製並びに四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−
六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、四フッ
化エチレン−エチレン共重合樹脂、三フッ化塩化エチレ
ン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹
脂、三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂などの
フッ素系樹脂およびポリエチレン、ポリプロピレン、4
−メチルペンテンなどのポリオレフィンプラスチック樹
脂製のいずれも用いることができる。
【0020】本発明において、重合装置の内表面(以
下、重合装置内表面ともいう)とは重合容器内表面、並
びに重合容器内に付属するじゃま板、凹凸構造、攪拌装
置、および重合温度モニター用のセンサー保護管等の重
合時に少なくとも重合系の液相が直接接触する表面を指
す。
【0021】通常は重合系の各物質が直接接触する重合
装置の内表面部分だけを無極性化すれば十分であるが、
2−オキセタノンは気化し易いため、気化したモノマー
の気相重合によるラインの閉塞などが起こる場合もあ
る。そのため、重合容器内に種々の原材料を仕込むため
のラインおよび重合後の生成物、溶剤などを取り出すた
めの様々なラインの内表面もすべて無極性化することが
望ましい。
【0022】本発明の必須要件の一つは、上記重合装置
内表面の無極性化という点である。無極性化とは、誘電
率や水素結合性の低下もしくは消滅化を意味している。
表面の極性の目安としては、接触角などが用いられる
が、一般に金属表面は極性が高く、したがって極性物質
が付着しやすい。無極性化とは、この極性の高い表面を
化学的、あるいは物理的に極性の非常に低いか或は無い
状態にすることを意味している。
【0023】この無極性化の方法としては、とくに限定
されるわけではなく、従来公知の方法が制限なく用いら
れる。好適に用いられる無極性化の方法としては、重合
装置の内表面をフルオロアルキル基、飽和アルキル基な
どの無極性基を持つ化合物(以下、無極性化合物とい
う)、或はフルオロアルキル基を有するフッ素系樹脂、
飽和アルキル基を有するポリオレフィン樹脂などの無極
性基を持つ樹脂(以下、無極性樹脂という)で被覆する
方法、装置全体または内表面部分を無極性樹脂で作製す
る方法、もしくはこれらの方法で少なくとも内表面が無
極性化された内容器を重合装置内に設置する方法などで
あり、これらの方法を、単独で、あるいは組み合わせて
行うことができる。
【0024】上記の無極性化の方法の中でも、とりわ
け、代表的な無極性樹脂であるフッ素系樹脂またはフル
オロアルキル基を有する無極性化合物で重合装置内表面
を被覆する方法、フッ素系樹脂で装置全体あるいは内表
面部分を作製する方法、あるいはこれらの方法で作製さ
れた内容器を重合装置内に設置する方法が、無極性の効
果ばかりでなく、撥油性、耐熱性、耐油性の効果も加わ
り、あらゆる溶剤の使用が可能であり、且つ幅広い重合
温度の選択が可能であるため、最も好適な方法である。
【0025】ステンレス等の金属製、セラミックス製、
ガラス製或はグラスライニングされた金属またはセラミ
ックス製などの重合装置の内表面を被覆して無極性化す
る方法としては、フルオロアルキル基、飽和アルキル基
などの無極性基を持つシランカップリング剤(以下、無
極性シランカップリング剤という)などの無極性化合物
で表面処理する方法、無極性樹脂を含有したコーティン
グ剤を塗布する方法、さらに、フッ素樹脂加工などの無
極性樹脂を焼付けなどによりコーティング処理する表面
樹脂加工方法などが好適に用いられる。その他、一般に
行われている無極性化合物を用いた撥水処理方法も適宜
選択して用いることができる。
【0026】好適に用いられる無極性化合物を具体的に
例示すると、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシ
ラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラ
ン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、
トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデ
カフルオロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプ
ロピルトリメトキシシランなどの無極性シランカップリ
ング剤;ペンタデカフルオロオクタン酸、パーフルオロ
デカン酸、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、パーフ
ルオロオクタン酸無水物、トリフルオロエチルアクリレ
ート、トリフルオロエチルメタクリレート、トリフルオ
ロメチルベンゾイルクロライドなどの反応性表面処理
剤;パーフルオロ基を含むアクリレートあるいはメタク
リレートを主体とするポリマーの水性ディスパージョン
または有機溶剤溶液の形で繊維の撥水撥油加工などに用
いられる表面コーティング剤などである。
【0027】フッ素系樹脂としては、四フッ化エチレン
樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹
脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合樹脂、四フッ化エチレン−エチレン共重合
樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹
脂、ポリフッ化ビニル樹脂、三フッ化塩化エチレン−エ
チレン共重合樹脂などの各種フッ素含有樹脂が挙げられ
る。
【0028】ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ(4ーメチルペンテン)など
のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0029】前記重合装置内表面の表面樹脂加工方法と
しては、一般公知の方法を何等制限なく用いる事ができ
る。好適に実施し得る方法を例示すれば、上記無極性樹
脂粉末を分散させたエマルジョンを内表面に吹き付けた
後焼き付ける方法、内表面と同型状に作製された無極性
樹脂成形体を内表面に接着剤を用いて張り付ける方法、
および無極性樹脂母材を重合装置内に入れた後、加熱し
ながら装置全体を回転して、装置内表面に溶融した無極
性樹脂を展開する回転成形ライニング方法等が用いられ
る。
【0030】重合装置を無極性樹脂を用いて作製する方
法としては、無極性樹脂母材からくり抜いたり、あるい
は削り出しによって装置全体あるいは内表面部分を作製
する方法、射出成形および真空、圧縮成形などの一般公
知の樹脂の溶融成形方法を用いて装置全体あるいは内表
面部分を作製する方法などが好適に用いられる。これら
の方法によって作製された重合装置は、無極性化されて
いるのでこれ以上の内表面処理を必要としないが、重合
装置の各部品同士を組み立てる際に必要とする接着層や
他の材質で作製された部品、および種々のラインで重合
時の液相および気相が直接接触する部分の内表面の無極
性化処理は必要である。
【0031】以上の重合装置内表面の無極性化の方法
は、重合装置の構造や重合溶媒、重合温度および重合時
間などの重合条件によって適宜選択して用いることがで
きる。但し、無極性化の方法と重合条件との組み合せに
よっては、長期的に実施した時、溶剤の浸透に基づく膨
潤による被覆層のはがれや亀裂などの問題が生じる場合
がある。フッ素系樹脂を用いる場合は、ほとんどの溶剤
に対して変化が無く、かつ良好な耐熱性のため、あらゆ
る重合条件下で好適に用いることができる。
【0032】本発明において、第二の要件は、溶解性パ
ラメーターが15.0〜18.0MPa1/2 の範囲にあ
り且つ2−オキセタノンを溶解する溶剤を使用するとい
う点である。
【0033】溶解性パラメーターとは、液体同士の溶解
性を見積るための指標であり、液体のモル蒸発エネルギ
ーΔEv をモル体積Vで割った値である凝集エネルギー
密度の平方根(ΔEv/V)1/2で表される。2種類の液
体が溶解するかどうかは混合前後の自由エネルギー差Δ
Gのの大きさによって議論される。正則溶液の熱力学に
よればΔGは、 ΔG=ΔH−TΔS ΔH=Vm{(ΔE1 v/V11/2−(ΔE2 v
21/22φ1φ2 ΔS=−R{n1lnφ1+n2lnφ2} として表される。ここで、添え字の 12 は2種の液状
物質を表す。φiは体積分率、niはモル数、Vmは体積
を表す。上式より、ΔHは0以上であり、−TΔSは負
の値を取る。従って、(ΔE1 v/V11/2−(ΔE2 v
21/2の絶対値が0あるいは十分に小さいとき、ΔG
<0となり、液状物質1と2は溶解する。
【0034】ポリ(2−オキセタノン)の良溶媒の溶解
性パラメーターは19.0(クロロホルム)〜19.8
MPa1/2 (ジクロロメタン)程度の範囲であり、ポリ
(2−オキセタノン)を溶解し得る溶剤の溶解性パラメ
ーターの最低値は18.6MPa1/2 (テトラヒドロフ
ラン)である。従って、本発明における溶解性パラメー
ターが15.0〜18.0MPa1/2 の範囲の溶剤とい
うのは、ポリ(2−オキセタノン)を溶解しない溶剤で
ある。
【0035】一方、2−オキセタノンは、溶解性パラメ
ーターが27.2MPa1/2 と高いにもかかわらず、低
分子量化合物であるために溶解性パラメーターが15.
0〜18.0MPa1/2 の範囲の多くの溶剤に溶解す
る。しかし、水素結合性の弱いオクタン(15.6MP
1/2 )やシクロヘキサン(16.8MPa1/2 )など
には溶解しない。2−オキセタノンの溶解には、溶解性
パラメーターの他に水素結合による相互作用が強く働い
ている。但し、強い水素結合性を有する溶剤、例えばア
ルコールやアミン、カルボン酸、カルボン酸無水物など
は、2−オキセタノンや重合成長末端と反応するため重
合を阻害する。従って、本発明において好適に使用され
る溶剤は、その分子内にアルコール性水素やカルボン酸
水素などの活性水素や、窒素、リンなどの活性ヘテロ原
子を有さない重合不活性な溶剤であることが望ましい。
【0036】本発明において好適に用いられる溶剤を例
示すれば、例えば、n−プロピルクロライド(溶解性パ
ラメーター 17.4MPa1/2 、以下()内は同
じ)、イソプロピルクロライド(16.6)、n−ブチ
ルクロライド(17.3)、2−クロロブタン(16.
0)、イソブチルクロライド(16.6)、n−ペンチ
ルクロライド(17.0)、1−クロロ−3−メチルブ
タン(16.7)、2−クロロ−2−メチルブタン(1
5.8)、1−クロロ−2,2−ジメチルプロパン(1
5.8)、n−ヘキシルクロライド(17.1)などの
塩素化炭化水素類;蟻酸イソプロピル(17.3)、蟻
酸イソブチル(16.8)、蟻酸−t−ブチル(16.
4〜16.7)、酢酸−n−プロピル(18.0)、酢
酸イソプロピル(17.2)、酢酸−t−ブチル(1
6.3)、プロピオン酸エチル(17.9)などの脂肪
酸エステル類;エチルメチルエーテル(15.6)、プ
ロピルメチルエーテル(15.4)、プロピルエチルエ
ーテル(15.4)、ジ−n−プロピルエーテル(1
5.4)、n−ブチルメチルエーテル(15.6)、ジ
−n−ブチルエーテル(15.7)、ジメトキシメタン
(16.2)、ジメトキシエタン(17.6)、ジエト
キシメタン(15.9)、ジエトキシエタン(17.
0)などの非環状エーテル類;ペンタン−3−オン(1
8.0)、ヘプタン−4−オン(18.0)、イソプロ
ピルメチルケトン(18.0)などの脂肪族ケトン類な
どである。
【0037】これらの溶剤の中でも、更に、その沸点が
30〜80℃である溶剤は特に好ましい。沸点が30℃
未満の溶剤の場合、重合を30℃以上で行う際に、常に
加圧状態を保つ必要があり装置的な制約を受ける場合が
ある。又、重合後の溶剤回収が難しいという問題もあ
る。一方、80℃を超える溶剤の場合は、ポリ(2−オ
キセタノン)の融点が80℃付近であるため、ポリ(2
−オキセタノン)から溶剤を分離するために加熱乾燥す
る際にポリマーの融着が起こる場合がある。
【0038】沸点が30〜80℃である溶剤を例示すれ
ば、例えば、n−プロピルクロライド(沸点 46.6
℃、以下()内は同じ)、イソプロピルクロライド(3
4.8)、n−ブチルクロライド(78.44)、2−
クロロブタン(68.25)、イソブチルクロライド
(68.85)、t−ブチルクロライド(50.7)な
どの塩素化炭化水素類;蟻酸イソプロピル(68)など
の脂肪酸エステル類;プロピルメチルエーテル(3
9)、プロピルエチルエーテル(63.6)、イソプロ
ピルメチルエーテル(32)、イソプロピルエチルエー
テル(54)、n−ブチルメチルエーテル(70)、ジ
メトキシメタン(41−42)などの非環状エーテル類
などである。これらの溶剤の中でも、重合反応活性の面
から塩素化炭化水素類溶剤が最も好適に使用される。
【0039】溶剤の使用量は、重合熱を十分に除去しう
る量が必要であり、重合開始剤の量、および重合温度に
よって最適量が異なるが、一般的に、2−オキセタノン
に対して、100〜1000容量%、好ましくは、20
0〜700容量%で使用される。
【0040】本発明における第三の要件は、重合開始剤
がポリ(2−オキセタノン)粒子に担持された担持形開
始剤を用いて2−オキセタノンの重合を行う点である。
【0041】担体として使用されるポリ(2−オキセタ
ノン)粒子は、その形状に関して特に限定されるもので
はない。長径および短径が1mm〜1μm、好ましくは
500μm〜10μmの範囲であれば、球状、楕円状、
板状、繊維状、棒状、あるいは異形であっても良い。粒
径が1μmよりも小さい場合、凝集が起こり易くなる。
一方、粒径が大きい場合、重合速度を抑制する作用が発
現する場合がある。粒子の添加量は、モノマーに対し
て、0.1〜50%、好ましくは0.5〜20%の範囲
で用いられる。少なすぎた場合、通常の沈澱重合と変わ
らず、凝集体も生成しやすい。一方、添加量を50%以
上にした場合、効果は特に変わらない。
【0042】このようなポリ(2−オキセタノン)粒子
は、2−オキセタノンを単に沈澱重合することによって
も一部生成する。又、バルク重合などで生成したポリ
(2−オキセタノン)を切削、破砕、粉砕などの方法に
よっても作成可能である。さらに、クロロホルムなどに
溶解した溶液状のポリ(2−オキセタノン)をメタノー
ルなどの溶剤に注ぎ、沈澱させる事によっても得られ
る。好適なポリ(2−オキセタノン)粒子の調製方法の
一つは、本発明のポリ(2−オキセタノン)の製造方法
により得られる粒子状のポリ(2−オキセタノン)をそ
のまま使用する事である。従って、本発明のポリ(2−
オキセタノン)の製造方法によって生成した粒子状ポリ
(2−オキセタノン)を次の2−オキセタノンの重合の
ための担体粒子として順次用いて行くことも好適に実施
される。
【0043】重合開始剤としては、高分子量のポリ(2
−オキセタノン)を得るために、アニオン重合開始剤が
好適に使用される。さらに好ましくは、安定化されたカ
チオンとカルボキシレートアニオンからなる塩がより好
適に使用される。
【0044】好適に使用される重合開始剤を例示すれ
ば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチ
ルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウム
アセテート、テトラメチルアンモニウムピバレート、テ
トラエチルアンモニウムピバレート、テトラブチルアン
モニウムピバレート、テトラメチルアンモニウムプロピ
オネート、テトラエチルアンモニウムプロピオネート、
テトラブチルアンモニウムプロピオネート、ビス(テト
ラメチルアンモニウム)アジペート、ビス(テトラメチ
ルアンモニウム)−1,18−オクタデカンジカルボキ
シレート、トリス(テトラメチルアンモニウム)−1,
3,5−ペンタントリカルボキシレートなどの第4級ア
ンモニウムカルボキシレート類開始剤;カルボキシメチ
ルトリメチルアンモニウムヒドロキサイドの無水物、オ
クチルベタイン、デシルベタイン、ウンデシルベタイ
ン、ドデシルベタイン、テトラデシルベタイン、ヘキサ
デシルベタインなどのベタインカルボキシレート類開始
剤;テトラエチルホスフォニウムアセテート、ビス(テ
トラエチルホスフォニウム)アジペート、トリス(テト
ラエチルホスフォニウム)−1,3,5−ペンタントリ
カルボキシレートなどのホスフォニウムカルボキシレー
ト類開始剤;トリメチルスルフォニウムアセテートなど
のスルフォニウムカルボキシレート類開始剤;トリメチ
ルスルフォキソニウムアセテートなどのスルフォキソニ
ウムカルボキシレート類開始剤;N−メチルピリジニウ
ムアセテート、N−セチルピリジニウムアセテートなど
のピリジニウムカルボキシレート類開始剤;および、酢
酸カリウム/18−クラウン−6−エーテル、酢酸カリ
ウム/ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、酢酸
ナトリウム/15−クラウン−5−エーテル、アシ゛ヒ゜ン酸
二カリウム/18−クラウン−6−エーテル、1,3,
5,−ペンタントリカルボン酸三カリウム/18−クラ
ウン−6−エーテルなどのアルカリ金属カルボキシレー
トのクラウンエーテル錯体類開始剤である。また、上記
開始剤を混合して用いることも可能である。
【0045】重合開始剤の適当な使用量は、その開始剤
の種類、使用態様によって異なる。一般に、重合開始剤
の量の変化は、分子量調節および重合速度調節に利用さ
れるが、より重合速度を早くするときは、重合開始剤の
量を多く用いる。しかし、過剰に用いた場合、生成する
ポリマーの分子量が不十分となる場合がある。一方、よ
り高分子量ポリマーを得たい場合はより少ない量の開始
剤が用いられる。多官能の重合開始剤を用いた場合、ポ
リマーの分子量を低下させる事なく重合速度を上昇する
ことが可能である。通常、モノマーの2−オキセタノン
に対し、1当量%以下、さらに好ましくは0.1〜0.
001当量%の範囲で用いられる。
【0046】本発明においては、上記重合開始剤をポリ
(2−オキセタノン)粒子に担持させて担持型重合開始
剤として用いる。2−オキセタノンを安定化されたカチ
オンとカルボキシレートアニオンからなる塩を用いて重
合した場合、重合は基本的にリビング重合として進行す
るため、本発明のポリ(2−オキセタノン)の製造方法
によって生成した生成粒子上には、既に少量の重合開始
剤が担持されている。従って、新たに重合開始剤を担持
せずとも、本生成粒子をそのまま担持型重合開始剤とし
て用いても2−オキセタノンの重合を開始するが、適切
な重合速度および分子量を達成するためには、新たに重
合開始剤を生成粒子表面に担持させた上で使用すること
が好適である。
【0047】担体粒子への重合開始剤の担持方法として
は、粒子と溶液状の重合開始剤を混合した後、溶剤を気
化除去する方法、粒子と固体状の重合開始剤を直接攪拌
混合する方法、適当な溶剤を用いて膨潤させた粒子に重
合開始剤を浸透付着させる方法、および化学的反応によ
って結合させる方法など、特に限定されずいかなる方法
も採用可能である。
【0048】上記の溶液状の重合開始剤を調製するため
に用いられる溶剤としては、開始剤の種類によって適宜
選択されるが、一般には、気化除去が容易であり、残留
した場合にも2−オキセタノンの重合を阻害しない溶剤
が好適に用いられる。
【0049】好適に用いられる溶剤を例示すると、例え
ば、アセトニトリル、アセトン、クロロフォルム、ジメ
チルスルフォキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、トルエン、ベンゼンなどである。また、メタノー
ル、エタノール、水なども使用後に気化除去することに
よって用いられ得る。
【0050】本発明において、ポリ(2−オキセタノ
ン)を工業的に製造する際、重合温度は、20〜60℃
の範囲で好適に実施される。また、重合時間は48時間
以内、好ましくは20時間以内で完結されることが望ま
しい。低温で重合した場合、重合速度が遅いが連鎖移動
が少ないという利点がある。一方、高温で重合した場
合、重合速度は早くなるが、連鎖移動反応が活発化して
ポリマーの分子量が低下するという問題点がある。又、
重合条件は重合開始剤の種類と量によっても異なり、重
合開始剤が多い場合、より低温で実施される場合が多
い。又、多官能重合開始剤を使用した場合、単官能開始
剤とは異なる重合条件が目的に応じて選択される。従っ
て、重合速度と分子量、重合開始剤の種類などを勘案し
た上で、本製造方法においては上記製造条件が好ましい
が、ポリマーの用途によっては上記製造条件を超えた範
囲で製造することも実施され得る。
【0051】重合の終点は、重合系内の液相及び気相の
一部を取り出し、ガスクロマトグラフや液体クロマトグ
ラフを用いて、2−オキセタノンの残量を分析すること
により確認できる。一般的にモノマーが10%以下、好
ましくは5%以下に減少した時点で重合を終了するが、
目的に応じて適宜選択することは可能である。
【0052】重合後、生成したポリマーは、一般公知の
方法で、溶剤などの共存物質と分離し取得すればよい。
分離手段としては、濾過、スプレードライヤーによる溶
剤および未反応モノマーとの分離、モノマー抽出溶剤に
よる洗浄、熱および乾燥空気の流通による溶剤およびモ
ノマーとの分離などが、単独あるいは組み合わせて行う
ことができる。
【0053】本発明の製造方法においては、重合後の重
合装置の後処理はポリマーなどの付着が非常に少ないた
め特に必要でなく、そのまま次の重合の仕込み、重合へ
と移行が可能である。必要に応じて、重合溶剤などによ
るフラッシュ洗浄などの公知の洗浄手段を適宜選択して
行うことができる。
【0054】
【作用】本発明の要点は、ポリ(2−オキセタノン)を
製造するに際し、ポリマーを粒子状あるいは粉末状とし
て取得する点にある。このためには、三つの要件を満足
することが最も好ましい結果を発現する。即ち、2−オ
キセタノンを内表面が無極性化された重合装置中で、
溶解性パラメーターが15.0〜18.0MPa1/2
で且つ2−オキセタノンを溶解する溶剤並びに重合開
始剤をポリ(2−オキセタノン)粒子に担持させた担持
型重合開始剤を用いて重合するという要件である。
【0055】第一に、重合装置内表面を無極性化するこ
とは以下の理由により必須条件である。生成した重合粒
子が凝集を始める開始点として重合装置内表面に付着し
たスケールが最も典型的な開始点である。従って、凝集
を防ぐ大きな要因は重合装置内表面への重合粒子の付着
を防止する点にある。無極性化された重合装置内表面は
表面エネルギーが低いため、重合系内物質との相互作用
が殆ど無い。従って、2−オキセタノンおよびポリ(2
−オキセタノン)は重合装置内表面に付着することが無
い。重合装置内表面の無極性化はさらにもう一つの重要
な働きを有している。即ち、異常重合および連鎖移動の
防止である。2−オキセタノンは重合し易い物質であ
り、アニオンでもカチオンでも重合が開始され、また、
プロトン性物質によって連鎖移動を起こし易い。従っ
て、極性の高い重合装置内表面の無極性化は、装置表面
の不要なアニオン、カチオン開始種および活性プロトン
などの重合抑制要因を防止し、正常な重合形態を維持す
る作用を持っている。
【0056】第二に、溶解性パラメーターが15.0〜
18.0MPa1/2 の範囲で且つ2−オキセタノンを溶
解する溶剤を使用することは、ポリ(2−オキセタノ
ン)粒子を粒子のまま成長させるための必要要件であ
る。この範囲外、例えば、溶解性パラメーターが15.
0未満の極性の低い、2−オキセタノンを溶解しないよ
うな溶剤中では2−オキセタノンはポリ(2−オキセタ
ノン)に付着し、ポリ(2−オキセタノン)の凝集を引
き起こす。逆に、溶解性パラメーターが18.0を超え
る極性の高い溶剤中では、ポリ(2−オキセタノン)が
溶解あるいは膨潤して、重合体を粒子あるいは粉末状に
して取得することは非常に難しく、その取り扱いは厄介
なものとなる。
【0057】第三に、重合開始剤をポリ(2−オキセタ
ノン)粒子に担持させた担持型重合開始剤を用いて2−
オキセタノンの重合を行うということが、生成物として
の粒子状のポリ(2−オキセタノン)をほぼ完全に且つ
安定的に取得するための重要な要件である。この理由に
ついては未だ明かではないが、おそらく、凝集という現
象は、溶剤中に溶解している重合体分子が凝集剤的な役
割を果たし、非常に微細なポリ(2−オキセタノン)粒
子を捕捉して凝集するためと推測される。本発明の製造
方法においては、これらの溶解した自由な重合体分子に
よって捕捉、凝集される以上の大きなポリ(2−オキセ
タノン)を重合初期より共存させ、次々と生成してくる
重合体分子をその粒子表面上に逆に補足するような作用
が起こったため、凝集体の生成が抑制されたものと考え
られる。この際、粒子表面上に重合開始剤を担持させた
粒子担持型重合開始剤を用いたため、溶剤中に溶解し自
由に存在する重合体分子の数が低減されたことも考えら
れる。
【0058】
【発明の効果】本発明のポリ(2−オキセタノン)の製
造方法は、工業的に有用な粒子状あるいは粉末状の高分
子量ポリ(2−オキセタノン)を安定的に製造する製造
方法を提供するものである。
【0059】本発明の製造方法は、重合装置の内表面を
無極性化することにより、ポリマーの重合容器内表面へ
の付着を防止し、極性表面からの異常重合を抑制する。
さらに、特定の重合溶剤およびポリ(2−オキセタノ
ン)粒子に担持された重合開始剤を用いて2−オキセタ
ノンの重合を行うことにより、生成したポリマーの分離
回収の容易な粒子状あるいは粉末状のポリ(2−オキセ
タノン)を製造することを可能とした。重合後の重合装
置の後処理も容易であるため、次の仕込み−重合への効
率的な移行を可能とする製造方法である。
【0060】本発明の製造方法により、分子量10万以
上におよび高分子量のポリ(2−オキセタノン)を工業
的に効率よく生産することができる。
【0061】廃棄物問題が深刻化する中、自然界の微生
物によって分解されるプラスチック材料の必要性はます
ます高まってゆく方向にあり、フィルム製品ばかりでな
く、繊維や不織布などへの応用の要望も強くなってきて
いる。本発明の製造方法によって製造される高分子量の
ポリ(2−オキセタノン)は、その高い分子量によりフ
ィルム、繊維、および不織布への加工が十分可能であ
る。
【0062】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
【0063】実施例1担体の製造 攪拌装置およびコンデンサーを付設した500ml容量
のガラス製セパラブル三口フラスコの内表面およびプロ
ペラ型攪拌羽根を、四フッ化エチレン樹脂微粒子を含ん
だエアーゾールを用いてスプレーコーティングし、内表
面を無極性化したセパラブルフラスコの中に、2−オキ
セタノン50.00g(693.9mmol)を入れ、
これを0℃恒温槽中で冷却した後、テトラメチルアンモ
ニウムアセテートのアセトニトリル溶液(濃度2.06
5x10 −7 mol/μl)375μl(77.4μm
ol)を加え攪拌混合した。続いて、sec−ブチルク
ロライドロ250ml溶液を添加した。攪拌速度400
rpmで攪拌しながら、恒温槽の温度を40℃に昇温し
た。重合は15時間行い、その後、反応液を濾過して生
成したポリ(2−オキセタノン)と溶剤および未反応モ
ノマーとを分離した。ポリ(2ーオキセタノン)は、減
圧下に溶剤および未反応モノマーを完全に除去した後に
秤量した結果、重合率は99.8%であった。得られた
重合体を卓上型篩振とう機(MIRK−RETSCH社
製)により、分析用ステンレス製篩(東京スクリーン社
製)を用いて分級し、目開150μmの篩下を、更に5
0μmの篩により50μm以下の微粉を除去して、粒径
50〜150μmのポリ(2−オキセタノン)を得た。
このものは、重量平均分子量455,000であった。
【0064】重合 上記で得られた粒径50〜150μmのポリ(2−オキ
セタノン) 5.00gに、テトラメチルアンモニウムア
セテートのアセトニトリル溶液(濃度2.065x10
−7mol/μl)375μl(77.4μmol)、
およびアセトニトリル20mlを加え攪拌混合した。そ
の後、減圧下、4時間/40℃でアセトニトリルを気化
除去した。残ったポリ(2−オキセタノン)粒子を、ポ
リ(2−オキセタノン)用の担持型重合開始剤とした。
【0065】内表面を無極性化処理したセパラブルフラ
スコ中に上記担持型重合開始剤を添加し、このフラスコ
を40℃恒温水槽中に入れ温度コントロールを行った。
次に、2−オキセタノン50.04g(694.4mm
ol)/sec−ブチルクロライドロ250ml溶液を
添加した。続いて、攪拌速度400rpmで攪拌を開始
した。重合は15時間行い、その後、反応液を濾過して
生成したポリ(2−オキセタノン)と溶剤および未反応
モノマーとを分離した。ポリ(2−オキセタノン)は、
減圧下に溶剤および未反応モノマーを完全に除去した後
に秤量した結果、重合率は99.1%であった。サイズ
排除クロマトグラフィーを用いて分子量を測定した結
果、重量平均分子量は340、000だった。かさ比重
は0.348g/ml、粒度分布は、1mm以上(0
%)、1mm〜350μm(1.4%)、350μm〜
150μm(88.9%)、150μ以下(9.7%)
であった。
【0066】比較例1 攪拌装置およびコンデンサーを付属した500ml容量
のガラス製セパラブル三口フラスコの内表面およびプロ
ペラ型攪拌羽根を、四フッ化エチレン樹脂微粒子を含ん
だエアーゾールを用いてスプレーコーティングした。
【0067】内表面を無極性化処理したセパラブルフラ
スコ中に、2−オキセタノン50.00g(693.9
mmol)を入れ、これを0℃恒温槽中で冷却した後、
テトラメチルアンモニウムアセテートのアセトニトリル
溶液(濃度2.065x10ー7mol/μl)375μ
l(77.4μmol)を加え攪拌混合した。続いて、
sec−ブチルクロライドロ250ml溶液を添加し
た。攪拌速度400rpmで攪拌しながら、恒温槽の温
度を40℃に昇温した。重合は15時間行い、その後、
反応液を濾過して生成したポリ(2−オキセタノン)と
溶剤および未反応モノマーとを分離した。ポリ(2−オ
キセタノン)は、減圧下に溶剤および未反応モノマーを
完全に除去した後に秤量した結果、重合率は99.8%
であった。サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分子
量を測定した結果、重量平均分子量は472、000だ
った。かさ比重は0.166g/ml、粒度分布は、1
mm以上(14%)、1mm〜350μm(35.7
%)、350μm〜150μm(23.9%)、150
μ以下(26.4%)であった。このように、重合開始
剤をポリ(2−オキセタノン)に担持せずに用いると、
粒径が1mm以上の凝集体の生成が生じた。
【0068】実施例2 攪拌装置およびコンデンサーを付属した500ml容量
のガラス製セパラブル三口フラスコの内表面およびプロ
ペラ型攪拌羽根を、四フッ化エチレン樹脂微粒子を含ん
だエアーゾールを用いてスプレーコーティングした。
【0069】実施例1の「担体の製造」と同様の方法で
沈澱重合及び分級を行って得た粒径が50〜150μm
のポリ(2−オキセタノン)(重量平均分子量380,
000)5.00gに、テトラメチルアンモニウムアセ
テートのアセトニトリル溶液(濃度2.065x10
−7mol/μl)375μl(77.4μmol)、
およびアセトニトリル20mlを加え攪拌混合した。そ
の後、減圧下、4時間/40℃でアセトニトリルを気化
除去した。残ったポリ(2−オキセタノン)粒子を、ポ
リ(2−オキセタノン)用の担持型重合開始剤とした。
【0070】内表面を無極性化処理したセパラブルフラ
スコ中に上記担持型重合開始剤を添加し、このフラスコ
を40℃恒温水槽中に入れ温度コントロールを行った。
次に、2−オキセタノン50.57g(701.8mm
ol)/イソプロピルクロライドロ250ml溶液を添
加した。続いて、攪拌速度400rpmで攪拌を開始し
た。イソプロピルクロライドの沸点は34.8℃である
ため、系内の温度の上昇と共にイソプロピルクロライド
の還流が始まった。重合は10時間行い、その後、反応
液を濾過して生成したポリ(2−オキセタノン)と溶剤
および未反応モノマーとを分離した。ポリ(2−オキセ
タノン)は、減圧下に溶剤および未反応モノマーを完全
に除去した後に秤量した結果、重合率は99.6%であ
った。サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分子量を
測定した結果、重量平均分子量は392、000だっ
た。かさ比重は0.434g/ml、粒度分布は、1m
m以上(0%)、1mm〜350μm(10.9%)、
350μm〜150μm(86.8%)、150μ以下
(2.3%)であった。
【0071】実施例3 重合開始剤としてテトラメチルアンモニウムアセテート
の代わりに、ビス(テトラメチルアンモニウム)アジペ
ートのアセトニトリル溶液(濃度2.05x10ー7mo
l/μl)375μl(76.9μmol)を用いて、
実施例2と同様にして2−オキセタノンの重合を行っ
た。生成したポリ(2−オキセタノン)の重合率は10
0.0%、重量平均分子量は369、000、粒度分布
は、1mm以上(0%)、1mm〜350μm(0.6
2%)、350μm〜150μm(73.7%)、15
0μ以下(25.7%)であった。
【0072】実施例4〜6実施例1の「担体の製造」と同様に沈澱重合及び分級を
行って得た 粒径が150〜350μmのポリ(2−オキ
セタノン)(重量平均分子量340,000)0.30
gに、テトラメチルアンモニウムアセテートのアセトニ
トリル溶液(濃度2.065x10−7mol/μl)
60μl(12.4μmol)、およびアセトニトリル
2mlを加え攪拌混合した。その後、減圧下、4時間/
40℃でアセトニトリルを気化除去した。残ったポリ
(2−オキセタノン)粒子を、ポリ(2−オキセタノ
ン)用の担持型重合開始剤とした。
【0073】15ml容量の四フッ化エチレン製の重合
容器中に上記担持型重合開始剤0.30g、表1に示し
た溶剤15ml、および2−オキセタノン3g(41.
6mmol)を採り、密栓した後に磁気攪拌をしながら
重合を行った(15時間/40℃)。重合後、生成した
ポリ(2−オキセタノン)は、濾過、乾燥、秤量を行
い、分子量測定および粒度分布の測定を行った。得られ
た重合率、重量平均分子量、粒度分布の結果は表1に併
記した。
【0074】比較例2〜5 重合溶剤として表1に示した溶剤を用いた以外は実施例
4〜6と同様にして2−オキセタノンの重合(15時間
/40℃)を行った。比較例4のトルエンを重合溶剤と
した場合、重合中、生成ポリ(2−オキセタノン)がト
ルエンによって膨潤して均一な攪拌および重合後の取り
扱いが難しくなった。しかし、乾燥後は均一な粒子に変
化した。重合後、生成したポリ2−オキセタノンは、実
施例4〜6と同様に濾過、乾燥、秤量を行い、分子量測
定および粒度分布の測定を行った。得られた重合率、重
量平均分子量、粒度分布の結果は表1に併記した。
【0075】比較例2および3のように、溶剤の溶解性
パラメーターが15.0MPa1/2未満の場合、極性が
低すぎるため、生成したポリマーは凝集物である。一
方、比較例5のように溶剤の溶解性パラメーターが1
8.0MPa1/2 より高く、極性が高すぎる場合、重合
は溶液重合に近い状態になり、大きな塊状のポリ(2−
オキセタノン)が得られる。
【0076】
【表1】
【0077】比較例6 粒径が50〜150μmのポリ(2−オキセタノン)
(重量平均分子量380、000)5.00gに、テト
ラメチルアンモニウムアセテートのアセトニトリル溶液
(濃度2.065x10ー7mol/μl)375μl
(77.4μmol)を加え攪拌混合した。その後、減
圧下、4時間/40℃でアセトニトリルを気化除去し
た。残ったポリ(2−オキセタノン)粒子を、ポリ(2
−オキセタノン)用の担持型重合開始剤とした。
【0078】内表面を無極性化処理していないコンデン
サーを付属した500ml容量のガラス製セパラブル三
口フラスコに、表面を無極性化した攪拌装置を付け、次
にこのフラスコ中に上記担持型重合開始剤を添加し、こ
のフラスコを40℃恒温水槽中に入れ温度コントロール
を行った。次に、2−オキセタノン50.69g(70
3.4mmol)/sec−ブチルクロライドロ250
ml溶液を添加した。続いて、攪拌速度400rpmで
攪拌を開始した。重合は15時間行った。反応容器の気
液界面付近には凝集したポリマーがスケールとして付着
していた。スケールを削り取り、反応液を濾過して生成
したポリ(2−オキセタノン)と溶剤および未反応モノ
マーとを分離した。ポリ(2−オキセタノン)は、減圧
下に溶剤および未反応モノマーを完全に除去した後に秤
量した結果、重合率は99.4%であった。サイズ排除
クロマトグラフィーを用いて分子量を測定した結果、重
量平均分子量は382、000だった。かさ比重は0.
307g/ml、粒度分布は、1mm以上(25.5
%)、1mm〜350μm(11.9%)、350μm
〜150μm(61.8%)、150μ以下(0.9
%)であった。このように、内面を無極性化していない
重合容器を用いると、生成したポリ(2−オキセタノ
ン)が容器内面に付着しやすく、結果として粒径が1m
m以上の凝集体を生じた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内表面が無極性化された重合装置を用
    い、ポリ(2−オキセタノン)粒子に重合開始剤を担持
    した担持型重合開始剤を分散させた溶解性パラメーター
    が15.0〜18.0MPa1/2 で且つ2−オキセタノ
    ンを溶解する溶剤中で、2−オキセタノンを重合するこ
    とを特徴とするポリ(2−オキセタノン)の製造方法。
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