JP3235503B2 - 光学的情報記録用媒体及び光記録方法 - Google Patents

光学的情報記録用媒体及び光記録方法

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JP3235503B2 JP06619697A JP6619697A JP3235503B2 JP 3235503 B2 JP3235503 B2 JP 3235503B2 JP 06619697 A JP06619697 A JP 06619697A JP 6619697 A JP6619697 A JP 6619697A JP 3235503 B2 JP3235503 B2 JP 3235503B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光照射に
よる相変化によって生じる反射率差または反射光位相差
を利用した記録消去可能な光学的情報記録用媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光ディスクには再生専用型、光記録可能
型、書換可能型があり、再生専用型はビデオディスク、
オーディオディスク、さらには大容量コンピューター用
ディスクメモリーとしてすでに実用化している。光記録
可能型の代表的なものには孔あけ・変形型、光磁気型と
相変化型がある。孔あけ・変形型としてはTe等の低融
点金属または染料等の記録層が用いられ、レーザー光照
射により局所的に加熱され、孔もしくは凹部が形成され
る。光磁気型は記録層の磁化の向きにより記録や消去を
行い、磁気光学効果によって再生を行う。CDフォーマ
ット信号の記録をおこなうディスクとしては、基板上に
色素または色素を含むポリマー等からなる記録層を有す
る光ディスク、および該光ディスクを用いる光情報記録
方法が提案されている。
【0003】一方、相変化型は相変化前後で反射率また
は反射光の位相が変化することを利用するものであり、
外部磁界を必要とせず反射光量の違いを検出して再生を
行う。相変化型は光磁気型と比較すると、磁石を必要と
しない、光学系が単純である等の理由によりドライブ作
製が容易で、小型化、低コスト化にも有利である。さら
に、レーザー光のパワーを変調するだけで、記録・消去
が可能であり、消去と再記録を単一ビームで同時に行
う、1ビームオーバーライトも可能であるという利点を
有する。
【0004】相変化記録方式に用いられる記録層材料と
しては、カルコゲン系合金薄膜を用いることが多い。例
えば、Ge−Te系、Ge−Te−Sb系、In−Sb
−Te系、Ge−Sn−Te系、Ag−In−Sb−T
e系合金薄膜等の使用が試みられている。1ビームオー
バーライト可能な相変化記録方式では、記録膜を非晶質
化させることによって記録ビットを形成し、結晶化させ
ることによって消去を行う場合が一般的である。この場
合、as−depo状態はアモルファスである場合が一
般的であるため、初期状態を結晶状態とするためにディ
スク全面を短時間で結晶化する必要がある。この工程を
初期結晶化とよぶ。通常この初期結晶化は数十〜百ミク
ロン程度に絞ったレーザービームを回転するディスクに
照射することにより行なう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、共晶組成近傍の
合金材料は非晶質形成能は高いものの、結晶化の際に相
分離を伴うため、100nsec未満の短時間の加熱で
は結晶化できず、オーバーライト可能な光記録媒体の記
録層としては不適当であると考えられてきた(文献 Ap
pl.Phys.Lett.,vol.49(1986),502ページ等)。
特に、GeSbTe、3元合金に注目した場合、Te85
Ge15共晶組成近傍では実用的な結晶化速度は得られて
いない。一方、Sb70Te30共晶組成近傍では、反射率
変化のみをモニタした極めて初歩的な方法であるけれど
も、SbxTe1-x、0.58<x<0.75、2元合金
が結晶−非晶質状態間で繰り返し記録消去可能であるこ
とは米国特許5015548でも開示されている。
【0006】Sb70Te30に第3元素を加えた先願とし
ては特開平1−115685、平1−115686、平
1−251342、平1−303643各号公報等が挙
げられる。それ以後SbTe共晶組成近傍の相変化媒体
に関しては、実用化にむけての進展はなかった。特に、
成膜後の記録層を結晶化させる初期化操作が困難である
ために、生産性が低く実用に供されないという深刻な問
題があった。
【0007】このため、初期化の容易な金属間化合物組
成近傍の材料、あるいはその擬似2元合金のみが、実用
的な特性を示すと考えられていた(特開平2−2433
88、平2−243389、平2−243390、平2
−255378、特開昭63−228433、昭61−
89889各号公報,文献Jpn.J.Appl.Phys., vol.69(1
991),2849ページ)。例えば、GeSbTe、3元合金
については、近年、GeTe−Sb2Te3擬似2元合金
近傍組成のみが注目され実用化されてきた。こうした動
向は、例えば1991年より毎年開催されている、「相
変化光メモリシンポジウム」の発表論文(予稿集に掲載
されている)に顕著にあらわれている。
【0008】本発明者らは、単純化のためSbTeから
なる2元合金に注目し、従来の説にとらわれず共晶組成
組成近傍の結晶化/非晶質化特性につき、より高密度記
録に適した光ディスク評価機を用い、マーク長記録への
適性の観点から再検討を行った。その結果、Sb70Te
30共晶組成近傍のSbTe合金を主成分とする記録層は
初期結晶化は困難であるものの、一旦初期結晶化してし
まえば以後の非晶質−結晶相変化による記録消去は極め
て高速に行なうことができることを見出した。さらに、
この共晶組成近傍でInを添加した3元系材料につき評
価したところ、SbTe共晶近傍のInSbTe、3元
合金は、特定の記録パルスパターンを用いた場合、繰り
返しオーバーライトにおいて広く知られているInGe
Te−Sb2Te3疑似2元合金近傍の材料より劣化が少
ない、あるいは、マーク長記録したときのマークエッジ
のジッタが小さいという利点があることを見出した。ま
た、結晶化温度がSb70Te302元共晶合金より高く、
経時安定性に優れていることもわかった。しかしなが
ら、成膜によってできた非晶質膜をいったん全面結晶化
し初期化するのがSbTe共晶合金に比べても極めて困
難なため、実際上、量産には不向きであった。
【0009】近年、Sb70Te30共晶組成近傍にAg、
Inを同時に添加することで、Inによる経時安定性の
改善と、Agによる初期化の容易化が同時に達成される
ことが報告されている(特開平4−232779、平5
―185732各号公報)。これは、特定の組み合わせ
の2元または3元素を適量添加することにより、Sb 70
Te30共晶組成2元材料の特性が飛躍的に改善され実用
的レベルに達しうることを示している。このような記録
層のうち有用な材料は、4または5元合金の組み合わせ
及び組成をそれぞれ最適化する必要から、きわめて限定
的な場合にだけ明らかにされている(特開平8−267
926号公報等)。さらに未知の限定的組み合わせ及び
組成があり、一層の改善が得られることが期待される。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に、少
なくとも下部保護層、相変化型光記録層、上部保護層、
反射層からなる多層構成を有し、該相変化型光記録層が
ZnαInβMχSbδTeε、MはSn、Ge、S
i、Pbのうちの少なくとも一種、0.01<α<0.
1、0.001<β<0.1、0.01<χ <0.
1、0.5<δ<0.7、0.25<ε<0.4、0.
03≦β+χ<0.15、α+β+χ+δ+ε=1なる
組成を有し、結晶状態を未記録状態、非晶質状態を記録
状態とし、少なくとも強弱2値の光強度の変調により非
晶質ビットの重ね書きをすることを特徴とする光学的情
報記録用媒体に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明ZnMInSbTe合金薄
膜、MはSn、Ge、Si、Pbのうちの少なくとも一
種、合金薄膜の組成範囲はSb70Te30共晶組成近傍を
ベースにZn、In、及びM(MはSn、Ge、Si、
Pbのうちの少なくとも一種)を添加したものである。
本発明記録層材料を用いる最大の利点は、非晶質マーク
の周辺部あるいは、消去されたマーク内に初期化状態と
反射率の異なる粗大グレインが生じにくいということで
ある。これは、結晶成長が相分離によって律速されてい
る共晶点近傍の合金に特有の現象である。本発明記録層
材料は、固相での結晶化速度を高めると、非晶質マーク
形成時の再凝固時の再結晶速度まで極端に速くなってし
まい、溶融領域の外周部が再結晶化して非晶質マークの
形成が不十分になりやすいという特徴がある。すなわち
本発明記録層は共晶点近傍の組成であるため、結晶化速
度は相分離のための原子の拡散速度によって支配されて
おり、拡散速度が最大となる融点直下まで加熱しないと
結晶化による高速消去ができない。現在広く使用されて
いるGeTe−Sb2Te3擬似2元合金組成近傍の記録
層にくらべて、高結晶化速度が得られる温度範囲が狭
く、かつ、高温に偏っている。従って、高結晶化速度と
十分な大きさの非晶質マークの形成とを両立させるため
には、再凝固時、融点近傍での冷却速度をとりわけ大き
くしてやる必要がある。本発明記録媒体では、Sb70
30比を一定に示した線上では基本的にSb相とSb2
Te3相が相分離することを逆に利用している。平衡状
態で熱アニールした場合には、相分離はX線回折で確認
できる。しかし、光記録媒体において非晶質マークを形
成するような非平衡な過冷却状態では、過剰のSbが含
まれると再凝固時にまず微小Sbクラスタが析出する。
このSbクラスタが結晶核となって非晶質マーク中に残
存するため、以後の非晶質膜の消去(再結晶化)は相分
離に時間をかけることなく短時間で終了するものと考え
られる。過剰Sbの添加効果については、奥田等、Pr
oc.Int.Symp.on Optical Me
mory,1991,73ページに詳しい。しかし、本
発明Sb70Te30共晶点組成を母体とする話ではない。
【0012】本発明は、本記録層組成のこうした特徴に
関する考察に基づいてなされた。本発明記録媒体は前述
のようにSb70Te302元共晶組成をベースにしてお
り、これにZn、In、および必要に応じてMを添加す
る。本発明において、M添加は記録媒体のさらなる特性
改善に有効ではあるが、わずかながら原材料コストを上
昇させるので、その添加の要否はコストパフォーマンス
によって判断される事柄である。本発明記録媒体の記録
特性すなわち非晶質および結晶化の可逆的プロセスは、
ほとんどSb/Te比、すなわち母体となるSb70Te
30共晶組成に含まれる過剰Sb量で決まる。Sbが多く
なれば急冷状態で析出するSbクラスタサイトが増え、
結晶核生成が促進されると考えられる。これは、各結晶
核から同一結晶成長速度を仮定しても、成長した結晶粒
で埋め尽くされるに要する時間が短縮され、結果として
非晶質マークを結晶化するに要する時間が短縮されるこ
とを意味する。従って、高線速度で短時間のレーザー光
照射で消去する場合に有利である。一方、記録層の冷却
速度は記録時の線速度にも依存する。すなわち、同一層
構成であっても低線速度ほど冷却速度は低下する。従っ
て、低線速度ほど非晶質形成のための臨界冷却速度が小
さい組成、すなわち過剰Sb量の少ない組成が望まし
い。まとめるとSb70Te30共晶組成を基準として、過
剰Sb量が多い組成ほど高線速度に適している。
【0013】本発明記録層に含まれる各元素の組成は次
式の範囲であることが好ましい。すなわち、ZnαIn
βMχSbδTeε、0.01<α<0.1、0.00
1<β<0.1、0.01<χ<0.1、0.5<δ<
0.7、0.25<ε<0.4、 0.03≦β+χ<
0.15、α+β+χ+δ+ε=1なる組成範囲であ
る。 本発明者らの検討によれば、上記のように組成を
限定することにより少なくとも1〜10m/sの線速で
オーバーライト可能となり、特にCD−Eとして高々C
D線速の6倍速程度(7.2〜8.4m/s)でオーバ
ーライトする場合に、繰り返しオーバーライト耐久性と
経時安定性にすぐれた組成として選択的に用いることが
できることがわかった。この組み合わせ及び個々の元素
の最適な組成範囲はこれまで知られていない。
【0014】InとM(=Sn、Ge、Si、Pbのう
ちの少なくとも1種)は結晶化温度を高め、経時安定性
を高める効果については一見同様であるが、Mのみを添
加した場合には、経時安定性を得るためにはおよそ3原
子%以上が必要であるが、10原子%を越えると経時安
定性の改善と引き替えに、急激に初期結晶化が困難にな
るという問題点がある。一方、Inを単独で添加した場
合、室温での保存安定性を確保するためには、およそ3
原子%は必要であるが、5原子%以上含まれると相分離
が生じ易く、繰りしオーバーライトにより偏析が起きる
ため好ましくない。繰り返しオーバーライト耐久性を1
0000回以上保証するためには上記In添加量を5原
子%未満に減らす必要があるが、非晶質マークの経時安
定性が不十分である。In及びMを同時に少量添加する
ことにより、初期化操作を困難にすることなく、また、
繰り返しオーバーライトによる偏析を招くことなく、非
晶質状態の熱的安定性を改善し、非晶質の記録ビットを
経時安定性を高める効果がある。 すなわち、MとIn
の合計の添加量については、3原子%以上15原子%未
満であることが望ましい。3原子%未満では経時安定性
改善効果が不十分であり、15原子%以上ではGeもし
くはIn量がどのような割合で添加されようとも、繰り
返しオーバーライトによる偏析や初期化の困難さを招
く。また、InもしくはM含有量が単独でそれぞれ10
原子%以上になると上記のような問題が生じやすいので
好ましくない。より好ましくはIn含有量が5原子%以
下であることである。Mの中ではGeは結晶化速度の低
下を招きにくく、偏析も生じにくいので、特に好まし
い。
【0015】Znは成膜直後の非晶質膜の初期化を容易
にするために1原子%より多く用いられる。初期化方法
にもよるが10原子%未満の添加で十分であり、多すぎ
るとかえって経時安定性を損ねるので好ましくない。Z
n添加により初期化が容易になるメカニズムは必ずしも
明らかではないが、Sbクラスタと併せて微細なZnS
b相が析出し結晶核として働くためと考えられる。Sb
Te共晶にIn、Zn、Mを添加することにより、非晶
質マークの経時安定性を維持しつつ、後述の初期化操作
における結晶化時間が短縮される。 M、In、Znの
添加により、母体となるSbTeが共晶となるのはSb
60Te40からSb65Te35程度にずれるようである。従
って、本発明ZnInMSbTe合金全体としての線速
依存性は上記のようにこの組成をベースに過剰のSbを
どれだけ含むかによって決まる。高線速に対応させるに
は、前述のように過剰なSb量を増やせばよいが、あま
り増やすと非晶質ビットの安定性が損なわれるので、
0.5<δ<0.7であることが好ましい。より好まし
くは、0.55<δ<0.65である。また、Teの含
有量としては、0.25<ε<0.4となる。
【0016】本発明におけるディスクの層構成は図1に
模式的に示すように、基板1上に少なくとも下部保護層
2、相変化型記録層3、上部保護層4、反射層5を設け
てなる。反射層5上に保護コート層を設けてもよく、紫
外線硬化樹脂などが用いられる。保護層2、4、記録層
3、反射層5はスパッタリング法などによって形成され
る。記録膜用ターゲット、保護膜用ターゲット、必要な
場合には反射層材料用ターゲットを同一真空チャンバー
内に設置したインライン装置で膜形成を行うことが各層
間の酸化や汚染を防ぐ点で望ましい。また、生産性の面
からもすぐれている。
【0017】本発明における記録媒体の基板1として
は、ガラス、プラスチック、ガラス上に光硬化性樹脂を
設けたもの等のいずれであってもよいが、コストを含む
生産性の面ではポリカーボネート樹脂が好ましい。本発
明の記録層3は前述のような相変化型の記録層であり、
その厚みは15nmから30nmの範囲が好ましい。記
録層の厚みが15nmより薄いと十分なコントラストが
得られ難く、また結晶化速度が遅くなる傾向があり、短
時間での記録消去が困難となりやすい。一方30nmよ
り厚いと熱容量が大きくなり記録感度が悪くなる傾向が
ある。
【0018】上下の保護層2、4の材料は、屈折率、熱
伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意し
て決定される。一般的には透明性が高く高融点であるM
g、Ca、Sr、Y、La、Ce、Ho、Er、Yb、
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Al、S
i、Ge、Pb等の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物や
Ca、Mg、Li等のフッ化物を用いることができる。
これらの酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、フッ化物は
必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の
制御のために組成を制御したり、混合して用いることも
有効である。繰り返し記録特性を考慮すると誘電体混合
物がよい。より具体的にはZnSや希土類硫化物と酸化
物、窒化物、炭化物等の耐熱化合物の混合物が挙げられ
る。
【0019】下部保護層2は、特にプラスチック基板の
熱変形を抑える機能も求められるので、少なくともその
膜厚は50nmであることが好ましいが、500nm以
上になると内部応力によりクラックが生じ易くなるので
好ましくない。従って膜厚範囲は50nm以上、500
nm以下と広いが、通常はこの範囲から、光干渉効果を
考慮して反射率や、記録前後の反射率差、位相差が適当
な値になるように選ばれる。
【0020】上部保護層4も同様の材料が使用される
が、その膜厚範囲は10nm以上50nm以下が好まし
い。その最大の理由は、反射層5への放熱を有効に作用
させるためである。放熱を促進し、記録層再凝固時の冷
却速度を高める層構成を採用することで、再結晶化の問
題を回避しつつ、高速結晶化による高消去比を実現す
る。上部保護層の膜厚が50nmより厚くなると、記録
層の熱が反射層に到達する時間が長くなり、反射層によ
る放熱効果が有効に作用しない恐れがある。上部保護層
の熱伝導率にもよるが、一般に、100nm未満の薄膜
の熱伝導率はバルクの熱伝導率より2−3桁以上小さく
大差はないから、厚さが重要な因子となる。
【0021】一方、上部保護層が10nmより薄いと、
記録層溶融時の変形等によって破壊されやすく好ましく
ない。また、放熱効果が大きすぎて記録に要するパワー
が不必要に大きくなる点でも好ましくない。ここで提案
した層構成は、相変化媒体では「急冷構造」と呼ばれ、
それ自体は公知である(特開平2−56746号公報、
文献Jpn.J.Appl.Phys., Vol.28(1989), suppl.28-3, 12
3ページ)。
【0022】反射層5は反射率の大きい物質が好まし
く、本発明記録層では特に急冷の程度を大きくするため
に、熱伝導率が大きく上部誘電体層を介しても、放熱効
果が期待できるAu、Ag、Alを90原子%以上含有
する金属合金層が好ましく用いられる。一般には薄膜の
熱伝導率はバルク状態の熱伝導率と大きく異なり、小さ
くなっているのが普通である。特に40nm未満の薄膜
では成長初期の島状構造の影響で熱伝導率が1桁以上小
さくなる場合があり好ましくない。さらに、成膜条件に
よって結晶性や不純物量が異なり、これが同じ組成でも
熱伝導率が異なる要因になる。本発明において良好な特
性を示す高熱伝導率の反射膜を規定するために、反射膜
の熱伝導率は直接測定することも可能であるが、その熱
伝導の良否を電気抵抗を利用して見積もることができ
る。金属膜のように電子が熱もしくは電気伝導を主とし
て司る材料においては熱伝導率と電気電導率は良好な比
例関係があるためである。
【0023】薄膜の電気抵抗はその薄膜や測定領域の面
積で規格化された抵抗率値で表す。体積抵抗率もしくは
面積抵抗率は通常の4深針法で測定でき、JIS K7
194によって規定されている。薄膜の熱伝導率そのも
のを実測するよりもはるかに簡便かつ再現性の良いデー
タが得られる。本発明において好ましい反射層は体積抵
抗率で言うと20以上300nΩ・m以下である。
【0024】上記のような低体積抵抗率は、不純物含有
量10原子%未満のほぼ純粋なAl、Au、Ag膜で得
られる。本発明に適したAl合金材料をより具体的に述
べると、少なくとも、Siを0.3以上0.8重量%以
下、及びMgを0.3以上1.2重量%以下含むAl−
Mg−Si合金が従来CD用の反射膜やICの配線材料
として、スパッタ膜として用いられた実績もあり好まし
い。この他、AlにTa、Ti、Co、Cr、Si、S
c、Hf、Pd、Pt、Mg、Zr、Mo、もしくはM
nを0.2原子%以上2原子%未満含むAl合金は、添
加元素濃度に比例して体積抵抗率が増加し、また、耐ヒ
ロック性が改善されることが知られている(岩村ら、日
本金属学会誌、弟59巻(1995)、pp673−6
78)(大西ら、J.vac.Sci.Tech.,A
14(1996),pp2728−2735)ので、耐
久性、体積抵抗率、成膜速度等を考慮して用いることが
できる。Al合金に関しては、添加不純物量0.2原子
%未満では、成膜条件にもよるが、耐ヒロック性は不十
分であることが多い。経時安定性をより重視する場合に
はTaが好ましい。
【0025】一方、上記反射膜がAg合金薄膜である場
合にはTi、V、Ta、Nb、W、Co、Cr、Si、
Ge、Sn、Sc、Hf、Pd、Rh、Au、Pt、M
g、Zr、Mo、もしくはMnを0.2原子%以上含む
ものが望ましい。経時安定性をより重視する場合にはT
i、Mgが好ましい。本発明者らは上記、Alへの添加
元素、Agへの添加元素は、その添加元素濃度に比例し
て、体積抵抗率が増加することを確認している。不純物
の添加は一般的に結晶粒径を小さくし、粒界の電子散乱
を増加させて熱伝導率を低下させると考えられる。不純
物量を限定することは、結晶粒径を大きくすることで材
料本来の高熱伝導率を得るために必要である。
【0026】なお、反射層は通常スパッタ法や真空蒸着
法で形成されるが、ターゲットや蒸着材料そのものの不
純物量もさることながら、成膜時に混入する水分や酸素
量も含めて全不純物量を2原子%未満とする必要があ
る。このためにプロセスチャンバの到達真空度は1×1
-3Pa未満とすることが望ましい。また、10-4Pa
より悪い到達真空度で成膜するなら、成膜レートを1n
m/秒以上、好ましくは10nm/秒以上として不純物
が取り込まれるのを防ぐことが望ましい。あるいは、意
図的な添加元素を1原子%より多く含む場合は、成膜レ
ートを10nm/秒以上として付加的な不純物混入を極
力防ぐことが望ましい。
【0027】成膜条件は不純物量とは無関係に結晶粒径
に影響を及ぼす場合もある。たとえば、AlにTaを高
々2原子%混入した合金膜は、結晶粒の間に非結晶相が
混在するが、結晶相と非結晶相の割合は成膜条件に依存
する。たとえば、低圧でスパッタするほど結晶部分の割
合が増え、体積抵抗率が下がる(熱伝導率は増加)。膜
中の不純物組成あるいは結晶性は、スパッタに用いる合
金ターゲットの製法やスパッタガス(Ar、Ne、Xe
等)にも依存する。上記のように薄膜状態の体積抵抗率
は金属材料、組成のみによっては決まらないから、たと
えばAl合金反射層材料を規定した先願(特開平3−1
338、平1−169571、平1−208744等)
は直接本願を示唆するものではないことは明らかであ
る。
【0028】反射層の膜厚としては、透過光がなく完全
に入射光を反射させるために50nm以上が望ましい。
膜厚500nmより大では、放熱効果に変化はなくいた
ずらに生産性を悪くし、また、クラックが発生しやすく
なるので500nm以下とするのが望ましい。上部保護
層の膜厚が30〜50nmの場合には特に、反射層を高
熱伝導率にするため、含まれる不純物量を2原子%未満
とする。
【0029】本発明では、この急冷構造にさらに、以下
の記録方法を合わせ用い、記録層の再凝固時の冷却速度
を正確に制御することで、マーク長記録に適した本発明
記録層材料の特徴を遺憾なく発揮させることが可能とな
る。図2は、光記録時のレーザーパワーの照射パターン
の一例を示す図である。長さnT(Tは基準クロック周
期、nはマーク長変調記録において取りうるマーク長で
あり、2以上の整数値をとる)にマーク長変調された非
晶質マークを形成する。本発明記録媒体に対しては、長
さnTのマークに記録する際に、m=n−k(0≦k≦
2なる整数、ただしnの最小値をnminとしてnmin−k
≧1)個の記録パルスに分割し、個々の記録パルス幅を
αiTとし、個々の記録パルスにβiT(ただし、2≦i
≦m−1においてαi≦βi)なる時間のオフパルス区間
が付随する。ここでkは、mがnより小さい値を取るた
めのパラメーターである。例えばn=3の場合、m=
1、2、3の値を取りうる。オフパルス区間では0<P
b≦0.5Peなるバイアスパワーを照射する。ここ
で、マーク長を検出した際に、正確なnTマークが得ら
れるよう、Σαi+Σβiはn−j(jは0≦j≦2なる
実数)のように調整できるものとする。jは、最後のパ
ルスによる加熱の影響を防ぐために、加熱分少なく照射
するためのパラメーターである。
【0030】本発明媒体はこれまでGeTe−Sb2
3擬似2元合金系で用いられてきたような記録パワー
Pwと消去パワーPeの2値変調よりも、上記オフパル
ス区間を設け、バイアスパワーPbを照射する3値変調
により記録消去を行うことが望ましい。2値変調のオー
バーライトも可能ではあるが、3値変調方式を用いるこ
とで、パワーマージン、記録時線速マージンを広げるこ
とができる。特に、本発明記録層ではオフパルス時のバ
イアスPbを0<Pb≦0.5Peなるように十分低く
とることが必要である。ただし、βmTにおいては0<
Pb≦Peとなってよい。
【0031】図3は、本発明媒体に光記録を行ったとき
の記録層の温度変化の模式図である。αi=βi=0.5
とした時に、Pb=Peとした場合(a)と、Pb≒0
(極端な場合)とした場合(b)である。3個に分割さ
れた分割パルスの、1番目のパルスが照射される位置を
想定している。(a)では後続の記録パルスによる加熱
の影響が前方に及ぶために、1番目の記録パルス照射後
の冷却速度が遅く、かつオフパルス区間でもPeが照射
されるため、オフパルス区間での温度降下で到達する最
低温度TLaが融点近傍に留まっている。(b)では、オ
フパルス区間のPbがほとんど0のため、TLbは融点か
ら十分下がった点まで下がり、かつ、途中の冷却速度も
大きい。非晶質マークは1番目のパルス照射時に溶解
し、その後のオフパルス時の急冷によって形成される。
前述のように、本発明相変化媒体における記録層は融点
近傍でのみ大きな結晶化速度を示すと考えられる。従っ
て、図3(b)に示す温度プロファイルをとることは、
再結晶化を抑制し、良好な非晶質マークを得る上で重要
なことである。
【0032】逆に、冷却速度及びTLを制御することで
再結晶化をほぼ完全に抑制し、溶融領域とほぼ一致する
クリアな輪郭を有する非晶質マークが得られるためマー
ク端において低ジッタが得られる。一方、GeTe−S
2Te3擬似2元系合金では、図3(a)、(b)いず
れの温度プロファイルでも非晶質マーク形成プロセスに
大差がない。なぜなら、広い温度範囲で速度は若干遅い
ものの再結晶化を示すと考えられるからである。この場
合、パルス分割方法によらずある程度の再結晶化が生
じ、これが非晶質マーク周辺の粗大グレインとなってマ
ーク端でのジッタを悪化させる傾向がある。この記録層
組成では、オフパルスを行うよりも、むしろ従来の2値
変調によるオーバーライトが単純で望ましい。すなわ
ち、本発明記録層にとってオフパルスは好適であるが、
従来のGeTe−Sb2Te3系記録層あるいは本記録層
を特開平1−303643の実施例に示されたようなピ
ット位置記録に適用した場合にとっては必須要件ではな
い。
【0033】本発明媒体は記録層を結晶化温度以上で固
相にて結晶化させる初期結晶化では結晶化が遅く生産性
が良くないことは既に述べた。これは、本記録層組成は
成膜直後の非晶質状態から、いったん相分離させ安定な
結晶状態を形成する必要があるためと考えられ、この相
分離には通常、固相(融点以下)では1μ秒以上の加熱
が必要である。
【0034】例えば記録層としてGe2Sb2Te5を用
いた場合に成膜後(as−depositedあるいは
as−depo.状態)のディスクを十分高速に結晶化
できる条件で、Ge10Sb66Te24等の記録層のディス
クの初期結晶化を試みると多くの部分が結晶化しないま
まアモルファス状態として残ってしまう。この操作を数
十回繰り返すことにより相分離が完了し、初期化できる
場合もあるがこれでは生産性が低く実用的でない。しか
しながら、いったん初期化してしまえば、以後は高速で
結晶化(消去)できるようになる。as−depo.状
態の膜が、結晶化しにくい原因の一つはas−depo
のアモルファスの状態が記録マークのアモルファスの状
態と異なり結晶化しにくいためと考えられる。また、結
晶核がas−depo状態の記録層にはほとんどないこ
とが結晶化しにくい原因となっていることも考えられ
る。実際、光学顕微鏡で初期結晶化を試みた部分の観察
をすると、結晶化のすすんだ部分が高反射率の島状に観
察される。これは結晶核のできた部分でのみ結晶化がす
すんでいるとすれば理解できる。
【0035】このように初期結晶化が困難である場合生
産性は著しく悪化する。本発明では、Znを適量添加す
ることにより上記初期化の困難さを解決した。添加する
Znの量は、単独もしくはあわせて、1原子%より大で
10原子%より少ないことが望ましい。1原子%以上で
は添加効果不十分で、10原子%以上では、In、M添
加による非晶質ビット安定化効果が失われてしまう。ま
た、新たな合金相が析出するためと考えられるが、記録
マーク端のジッタが悪化するので好ましくはない。
【0036】さらに、初期化に要する時間を短縮し、確
実に1回の光ビームの照射で初期化するための一つの方
法として、本発明記録層には溶融初期化が有効なことを
見出した。上記層構成を有する限り、溶融したからとい
って記録媒体がただちに破壊されるものではない。例え
ば、直径10〜数百μm程度に集束した光ビーム(ガス
もしくは半導体レーザー光)あるいは長軸50―数百μ
m短軸1−10μm程度の楕円状に集光した光ビームを
用いて局所的に加熱し、ビーム中心部に限定して溶融さ
せれば、記録媒体は破壊されることはない。加えて、ビ
ーム周辺部の加熱により、溶融部が余熱されるため冷却
速度が遅くなり、良好な再結晶化が行われる。
【0037】溶融初期化自体は公知の方法であるが、本
発明記録媒体にとっては非常に好適であることを見出し
た。この方法を用いれば、例えば、従来の固相結晶化に
対して10分の1に初期化時間を短縮でき、生産性が大
幅に短縮できるとともに、オーバーライト後の消去時に
おける結晶性の変化を防止できる。従来、GeSbT
e、3元合金が相変化媒体に摘要された例があるが、基
本的にSb2Te3−GeTe擬似2元合金をベースとし
たもの(特開昭61−89889、62−53886、
62−152786各号公報等)は、本発明の組成範囲
とは大きく異なり、本発明組成範囲は実用的なディスク
への応用検討からは、実際上、見捨てられていたのであ
る。
【0038】一部の特許で前述のように、SbTe共晶
近傍組成の合金が開示されている(米国特許46703
45、特開平1−115685、平1−251342、
平1−303643、平4−28587各号公報)が、
本発明で開示したマーク長記録に適した記録方法を摘要
することについては述べられていない。従って、本発明
の組成・層構成・記録法限定はSb70Te30共晶組成近
傍の合金を実用的相変化媒体とするために欠かせないも
のである。また、従来、省みられることの少ない組成で
も、いったん初期化し、本発明記録方法と組み合わせて
使用すればむしろ高密度記録に適していることを見出し
たことは、驚嘆すべきことでもある。さらに、短時間で
初期化するために本発明記録媒体に適した初期化方法を
組み合わせたことも産業上重要なことである。
【0039】
【実施例】以下実施例をもって本発明を詳細に説明す
る。以下の実施例では書き換え可能CDの基準で評価を
行ったが、本発明記録媒体は必ずしも、特定のフォーマ
ットの媒体に限定されるものではない。以下で示す、本
発明合金記録層の検討にあたっては、Zn5In3Ge3
Sb60Te30、Zn5In7Ge5Sb53Te30もしくは
Zn7In5Sb58Te30合金ターゲットとSb、Ge、
ZnもしくはInSb、ZnSb等の金属もしくは合金
ターゲットの少なくとも2種のターゲットでのコスパッ
タを利用した。各ターゲットの放電パワーを調整するこ
とで組成の調整を行った。得られた合金薄膜の組成は、
化学分析によって校正された蛍光X線強度で測定した。
【0040】(実施例1)ポリカーボネート基板上に
(ZnS)80(SiO220層を80nm、記録層とし
てZn5In3Ge3Sb59Te30層を20nm、(Zn
S)80(SiO220層を20nm、Al98.5Ta1.5
金層を170nm、順次マグネトロンスパッタリング法
にて積層し、さらに紫外線硬化樹脂を4μm設けディス
クを作製した。このディスクを、楕円形の照射ビームの
長軸の長さを80μm短軸の長さを1.4μm程度とし
た光ディスク初期化装置を用い、線速度3.5m/s、
ビーム送り速度(ディスク半径方向)50μm/回転、
レーザーパワー550mWで溶融再結晶化初期結晶化を
試みたところ、一回走査で初期結晶化が可能であった。
光ディスク評価装置(レーザー波長780nm、NA
0.55)を用いて、2.4m/sの線速度でEFMラ
ンダム信号(クロック周期115nse、以下同様)の
記録を行なった。記録時には図2においてα1=1、αi
=0.5(i≧2)、βi=0.5とし、Pw=13m
W、Pe=6.5mW、Pb=0.8mWとした。すな
わち、m=n−1、j=0.5である(以下同様)。実
際の信号特性を示すジッタの値は最短マーク長でクロッ
ク周期の10%未満となり良好な値が得られた。また、
2000回オーバーライト後もこの特性は維持された。
さらに、記録された信号は、温度80℃、湿度80%R
Hの環境下に1000時間放置した後にも劣化はみられ
なかった。
【0041】(実施例2)ポリカーボネート基板上に
(ZnS)80(SiO220層を80nm、記録層とし
てZn7In3Ge3Sb58Te29層を20nm、(Zn
S)80(SiO220層を20nm、Al98.0Ta2.0
金層を200nm、順次マグネトロンスパッタリング法
にて積層し、紫外線硬化樹脂を4μm設けディスクを作
製した。このディスクを、楕円形の照射ビームの長軸の
長さを80μm短軸の長さを1.4μm程度とした光デ
ィスク初期化装置を用い、線速度3.5m/s、ビーム
送り速度(ディスク半径方向)50μm/回転、レーザ
ーパワー550mWで初期結晶化を試みたところ、一回
走査で初期結晶化が可能であった。光ディスク評価装置
(レーザー波長780nm、NA0.55)を用いて、
2.4m/sの線速度でEFMランダム信号の記録を行
なった。実際の信号特性を示すジッタの値は最短マーク
長でクロック周期の10%未満となり良好な値が得られ
た。また、2000回オーバーライト後もこの特性は維
持された。さらに、記録された信号は、温度80℃、湿
度80%RHの環境下に1000時間放置した後にも劣
化はみられなかった。
【0042】(比較例1)ポリカーボネート基板上に
(ZnS)80(SiO220層を80nm、記録層とし
てGe12Sb66Te22層を20nm、(ZnS)80(S
iO220層を20nm、Al98.0Ta2.0合金層を20
0nm、順次マグネトロンスパッタリング法にて積層
し、さらに紫外線硬化樹脂を4μm設けディスクを作製
した。このディスクを、楕円形の照射ビームの長軸の長
さを80μm短軸を1.4μm程度とした光ディスク初
期化装置を用い、線速度2.0〜5.0m/s、ビーム
送り速度10〜50μm/回転、レーザーパワー500
〜900mWで数回照射し、初期結晶化を試みたが不完
全なむらのある初期結晶化しかできなかった。800m
W以上では熱による劣化のため欠陥が発生してしまっ
た。
【0043】(比較例2)ポリカーボネート基板上に
(ZnS)80(SiO220層を80nm、記録層とし
てAg5In3Sb62Te30層を20nm、(ZnS)80
(SiO220層を20nm、Al98.5Ta1.5合金層を
170nm、順次マグネトロンスパッタリング法にて積
層し、さらに紫外線硬化樹脂を4μm設けディスクを作
製した。このディスクを、比較例1と同じヒ゛ーム形状を有
する初期化装置を用い、線速度3.5m/s、ビーム送
り速度10μm/回転、レーザーパワー550mWで初
期化が可能であった。光ディスク評価装置(レーザー波
長780nm、NA0.55)を用いて、2.4m/s
の線速度でEFMランダム信号の記録を行なった。実際
の信号特性を示すジッタの値は最短マーク長でクロック
周期の10%未満となり、初期特性は良好であった。ま
た、1000回オーバーライト後もこの特性は維持され
た。しかし、記録された信号は、温度80℃、湿度80
%RHの環境下に1000時間放置した後に劣化し、ジ
ッタがクロック周期の20%に達した。一部で非晶質ビ
ットが再結晶化し、消えかけていることがわかった
【0044】(比較例3)ポリカーボネート基板上に
(ZnS)80(SiO220層を80nm、記録層とし
てZn5In10Sb60Te25層を20nm、(ZnS)
80(SiO220層を20nm、Al98.0Ta2.0合金層
を200nm、順次マグネトロンスパッタリング法にて
積層し、さらに紫外線硬化樹脂を4μm設けディスクを
作製した。このディスクを、楕円形の照射ビームの長軸
の長さを80μm短軸の長さを1.4μm程度とした光
ディスク初期化装置を用い、線速度4m/s、ビーム送
り速度50mm/回転、レーザーパワー600mWで初期
結晶化を試みたところ、初期結晶化が可能であった。光
ディスク評価装置(レーザー波長780nm、NA0.
55)を用いて、2.4m/sの線速度でEFMランダ
ム信号の記録を行なった。実際の信号特性を示すジッタ
の値は最短マーク長でクロック周期の10%未満とな
り、初期特性は良好であった。しかし、また、100回
オーバーライト以降に、急激にジッタが増加した。特
に、11Tなどの長マークに消え残りがみられた。In
が多量に含まれるため偏析を生じ、再結晶化(消去)が
阻害されたものと考えられる。
【0045】(比較例4)ポリカーボネート基板上に
(ZnS)80(SiO220層を80nm、記録層とし
てZn5In2Sb62Te31層を20nm、(ZnS)80
(SiO220層を20nm、Al98.0Ta2.0合金層を
200nm、順次マグネトロンスパッタリング法にて積
層し、さらに紫外線硬化樹脂を4μm設けディスクを作
製した。このディスクを、楕円形の照射ビームの長軸の
長さを80ミクロン短軸の長さを1.4μm程度とした
光ディスク初期化装置を用い、線速度4.5m/s、ビ
ーム送り速度50μm/回転、レーザーパワー500m
Wで初期結晶化を試みたところ、初期結晶化が可能であ
った。光ディスク評価装置(レーザー波長780nm、
NA0.55)を用いて、2.4m/sの線速度でEF
Mランダム信号の記録を行なった。実際の信号特性を示
すジッタの値は最短マーク長でクロック周期の10%未
満となり、初期特性は良好であった。また、1000回
オーバーライト後のジッタもやはりクロック周期の10
%未満で良好であった。しかし、記録された信号は、温
度80℃、湿度80%RHの環境下に500時間放置し
た後に劣化し、ジッタがクロック周期の20%に達し
た。一部で非晶質ビットが再結晶化し、消えかけている
ことがわかった。
【0046】(比較例5)実施例1において記録層をZ
15In5Sb51Te29とした。実施例1と同様に初期
化を行い、光ディスク評価装置(レーザー波長780n
m、NA0.55)を用いて,2.4m/sの線速度で
EFMランダム信号の記録を行なった。初回記録時に
は、ジッタの値は最短マーク長でクロック周期の15%
程度で若干高めであった。その上、1000回オーバー
ライト後にはジッタが著しく増加し、クロック周期の2
0%以上となった。
【0047】
【発明の効果】本発明記録媒体を用いることにより、高
密度なマーク長記録において、低いジッタ、繰り返しオ
ーバーライトにおける高い耐久性、優れた経時安定性を
有する相変化型光学的情報記録用媒体が実現できる。ま
た、本発明光記録方法を併せ用いることにより、より高
精度のマーク長記録を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学的情報記録用媒体における層構成
の模式図
【図2】本発明の光学的情報記録用媒体への光記録時の
レーザーパワーの照射パターンの一例を示す説明図
【図3】本発明の光学的情報記録用媒体に光記録を行っ
たときの温度変化の模式図
【符号の説明】
1・・・・基板 2・・・・下部保護層 3・・・・記録層 4・・・・上部保護層 5・・・・反射層 6・・・・保護コート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−303643(JP,A) 特開 平9−7176(JP,A) 特開 平8−127176(JP,A) 特開 平8−180414(JP,A) 特開 昭61−258787(JP,A) 特開 平3−231889(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26 G11B 7/24 511

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも下部保護層、相変化
    型光記録層、上部保護層、反射層からなる多層構成を有
    し、相変化型光記録層がZnαInβMχSbδTe
    ε、MはSn、Ge、Si、Pbのうちの少なくとも一
    種、0.01<α<0.1、0.001<β<0.1、
    0.01<χ <0.1、0.5<δ<0.7、0.2
    5<ε<0.4、0.03≦β+χ<0.15、α+β
    +χ+δ+ε=1なる組成を有し、結晶状態を未記録状
    態、非晶質状態を記録状態とし、少なくとも強弱2値の
    光強度の変調により非晶質ビットの重ね書きをすること
    を特徴とする光学的情報記録用媒体。
  2. 【請求項2】上記MがGeである請求項1記載の光学的
    情報記録用媒体。
  3. 【請求項3】相変化型光記録層の厚みが15nm以上3
    0nm以下、上部保護層の厚みが10nm以上50nm
    以下であり、該反射層が厚み50nm以上500nm未
    満で、体積抵抗率が20以上300nΩ・m未満である
    Au、Ag、またはAlを90原子%以上含む金属であ
    る請求項1又は2記載の光学的情報記録用媒体。
  4. 【請求項4】上記相変化型光記録層及び多層構成を成膜
    後、該記録層にエネルギービームを照射して結晶化せし
    める初期化操作を行うにあたり、該記録層を局所的に溶
    融せしめ再凝固する際に結晶化させる請求項1乃至3記
    載の光学的情報記録用媒体。
  5. 【請求項5】請求項1及至4のいずれかに記載の記録媒
    体に、集束された光ビームを照射してマーク長変調され
    た情報を記録するにあたって、長さnT(Tは基準クロ
    ック周期、nは2以上の自然数)の非晶質マークを形成
    する際に、該マーク間ではすでに記録された非晶質マー
    クを消去するにたる消去パワーPeを照射し、記録パワ
    ーPwを印加する期間をα1T、α2T、・・・、αm
    とし、かつバイアスパワーPbを印加する期間をβ1
    β2T、・・・βmTとして、レーザーパワーのための印
    加期間を順次にα1T、β1T、α2T、β2T、・・・、
    αmT、βmTとしてレーザーパワーをm個のパルスに分
    割するとともに、2≦i≦m−1においてはαi≦βi
    し、kを0から2までの整数からなるパラメータ、jを
    0から2までの実数からなるパラメータとし、かつ前記
    nの最小値をnminとして、nmin−k≧1、m=n−
    k、α1+β1+・・・αm+βm=n−jとしたとき、P
    w>Pe、0<Pb≦0.5Pe(ただし、βmTにお
    いては、0<Pb≦Peとなりうる)であることを特徴
    とする光記録方法。
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