JP3494044B2 - 光学的情報記録用媒体及び情報記録装置 - Google Patents
光学的情報記録用媒体及び情報記録装置Info
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Description
体、光磁気記録媒体等の光学的情報記録用媒体に関す
る。
高速に大量のデータの記録・再生ができる情報記録装置
及びそれに適した記録媒体が求められているが、光ディ
スクはまさにこうした用途に応える媒体として期待され
ている。光ディスクには一度だけ記録が可能な追記型
と、記録・消去が何度でも可能な書き換え型がある。書
き換え型光ディスクとしては、光磁気効果を利用した光
磁気記録媒体や、可逆的な結晶状態の変化に伴う反射率
変化を利用した相変化型記録媒体があげられる。
ず、レーザー光のパワーを変調するだけで記録・消去が
可能であり、記録・再生装置を小型化できるという利点
を有する。さらに、現在主流の800nm程度の波長で
の記録消去可能な媒体から特に記録層等の材料を変更す
ることなく、短波長光源による高密度化が可能であると
いった利点を有する。
コゲン系合金薄膜を用いることが多く、例えば、GeS
bTe系、InSbTe系、GeSnTe系、AgIn
SbTe系合金があげられる。層構成は通常、保護層、
記録層、保護層、反射層の4層構造をとる。書換可能な
相変化型記録媒体として現在実用化されているものは、
結晶状態が未記録・消去状態であり、非晶質状態が記録
状態である。
層を融点より高い温度まで加熱し急冷することによって
行う。消去、すなわち結晶化は、記録層の結晶化温度よ
りは高く融点よりは低い温度まで記録層を加熱して行
う。このような加熱・冷却による記録層の蒸発・変形を
防ぐため、通常は、記録層の上下を耐熱性でかつ化学的
にも安定な誘電体保護層で挟みサンドイッチ構造とす
る。保護層は、記録時の記録層からの熱拡散を促し過冷
却状態を実現し、非晶質マークの形成にも寄与し、消去
時は記録層を固相結晶化に十分な高温に保つ蓄熱層とし
て働く。
層を設けて4層構造とすることで、熱拡散をさらに促し
非晶質マークをより安定に形成する。消去と再記録過程
を1つの集束光ビームの強度変調のみによって行う1ビ
ームオーバーライトが可能な相変化型記録媒体は、記録
媒体の層構成およびドライブの回路構成を簡単にするこ
とができるため、安価で高密度な大容量記録システム用
媒体として注目されている。
を用いて、CD(Compact Disc)あるいはDVD(Digi
tal Versatile Disc もしくは Digita Video Disc)が
開発されている。書換型CD(CD-Rewritable、CD−
RW)は、反射率70%以上という現行CDの規格は達
成困難であるものの、反射率15〜25%の範囲内で
は、CDとの記録信号および溝信号の互換性が確保で
き、反射率の低いことをカバーするための増幅系を再生
系に付加すれば、現行CDドライブ技術の範疇で互換性
を確保できる。
にはアドレス情報を含む蛇行(ウオブル、Wobble)を使
用する。蛇行は、搬送波周波数22.05kHzをアド
レス情報などで周波数変調した周波数でなされ、その振
幅(Wobble Amplitude)は溝ピッチ(1.6μm)にく
らべて非常に小さく30nm程度である。蛇行を周波数
変調し、あるトラックの特定の位置のアドレス情報を組
み込んだものをATIP信号(Absolute Time In Pre-g
roove)という。
なライトワンスディスク(CD-Recordable、CD−R)
で既に利用されている。ATIP信号の使用により未記
録ディスクでも回転数制御が可能になり、CDの線速
(1.2〜1.4m/s)の1倍速、2倍速、さらには
4倍、6倍速での記録ができるようになった。現に、市
場に普及しているCD−RはCDの2倍速もしくは4倍
速いずれにおいても良好な記録ができる媒体が一般的で
ある。
いてもCD線速の少なくとも2倍速(2.4〜2.8m
/s)から4倍速(4.8m/s〜5.6m/s)、さ
らには6倍速(7.2m/s〜8.4m/s)、8倍速
(9.6m/s〜11.2m/s)の範囲の線速で良好
にオーバーライト可能な媒体が望まれている。一方、同
様の相変化光記録技術を用いて、さらなる高密度な書き
換え型光ディスクである書き換え型DVDもさかんに開
発が進められている。ここでも、CD−RWの場合と同
様に、再生専用DVDの基準再生速度3.5m/sを1
倍速として少なくとも2倍速(7m/s)から4倍速
(14m/s)までのすべての線速範囲においてオーバ
ーライト可能な媒体が求められている。
ロック周波数を線速に反比例させるだけで同じマーク長
が高品質に記録できなければならない。また、記録には
半導体レーザーを用いるため記録パワーをあまり大きく
できず、どの線速でも概ね15mW以下で記録できるの
が好ましい。しかしながら、相変化型記録媒体では、オ
ーバーライト時の最大線速度と最小線速度の比が2倍以
上だといずれかの線速で正常な記録ができないことが多
い。
録層を同じ温度まで昇温させるのに要する照射パワーが
異なり、また、照射パワーを調整して記録層の最高到達
温度を同じにしても、昇温・冷却速度や温度分布など必
ずしも同じ熱履歴が達成されるわけではない。記録時に
は記録層を一旦加熱溶融させたのち臨界冷却速度以上の
速さで冷却して非晶質マークを形成し、消去時には記録
層を加熱したのち比較的ゆっくり冷却して結晶化する
が、この冷却速度は同一層構成を用いた場合線速度に依
存する。つまり、高線速では冷却速度が速くなり低線速
では冷却速度は遅くなる。
くなるにつれて融点近傍の冷却速度も速くなり非晶質化
マークは形成されやすくなる。逆に、線速度が遅くなる
につれて冷却速度も遅くなり記録時の再結晶化が懸念さ
れる。このことは、本発明者らによる以下のシミュレー
ション結果によっても明らかである。
2とからなる保護層を100nm、Ge2Sb2Te5から
なる記録層を25nm、ZnSとSiO2とからなる保
護層を20nm、Al合金からなる反射層を100nm
それぞれ形成したディスクに、記録パワー、消去パワー
を照射した場合の熱拡散式を解いて熱分布シミュレーシ
ョンを行った。
置で、記録層を加熱し最高到達温度1350℃ののち温
度が降下する過程での、融点(600℃)近傍の冷却速
度を調べたところ、線速1.4m/sでは0.9K/n
sec、線速4m/sでは2.2K/nsec、線速1
0m/s以上では数K/nsec以上であった。一方、
消去時には、記録層を結晶化温度以上融点以下に昇温し
たのち一定時間結晶化温度以上に保温する必要がある。
従って、線速度が速くなると光ビーム照射部分の記録層
の熱分布が時間的、空間的に比較的急峻になるため、結
晶化しにくく、消し残りが生じやすくなる。
化速度の速い(再結晶化しやすい)組成の合金としたり
熱の逃げにくい層構成とする必要がある。遅い線速で記
録を行うには、逆に、記録層を結晶化速度の遅い組成の
合金としたり熱の逃げやすい層構成とする必要がある。
つまり、線速度に応じて2種類の媒体を作製することに
なる。
4倍速で記録するのに別種のCD−RWディスクを用意
するのは好ましいことではない。同様にDVDの2倍
速、4倍速で記録するのに別種の書き換え型DVD媒体
を用意するのも好ましくない。
に、オーバーライト時のパルスストラテジー、即ち照射
ビームをパルスに分割しコントロールする方式、を線速
度に応じて変化させることが考えられる。これにより1
m/s程度から10m/s程度の線速範囲において良好
なオーバーライト特性を得る方法については、GeTe
−Sb2Te3疑似2元合金系記録層の相変化型記録媒体
において本発明者らも含めいくつか報告がある。
変とすることはパルス発生回路等を複雑化させドライブ
の製造コストを高くするので、可能ならば単一パルスス
トラテジーで、あるいはできるだけ単純なパルスストラ
テジーの変更で広い線速度範囲をカバーできることが望
ましい。本発明者らは、先に、このような問題点を解決
するために米国特許出願09/048,042号におい
て特定の膜厚及び体積抵抗率の反射層を用いること、特
に銀或いは金を主体とする反射層を用いることを提案し
た。
分とする材料からなる反射層を用いることは光学的な干
渉効果を高めるとともに放熱効果を高めるため好まし
く、特に銀は金属中で最も熱伝導率が高く、100nm
以下の比較的薄膜でも十分な放熱効果が得られる。さら
に、膜形成のしやすさや経済面でも有利である。しかし
本発明者らのさらなる検討により、金や銀は誘電体との
密着性があまり良くないという問題があり、特に銀は、
硫黄によって腐蝕されるため、保護層が硫黄を含有する
場合に特有の問題が生じることが判明した。
ミニウム合金からなる第1反射層を設け、その上に銀か
らなる第2反射層を設ける多層の反射層も提案してい
る。しかしこの場合には、アルミニウムと銀との間で相
互原子拡散が生じ、成膜直後には良好な記録特性が得ら
れるものの、保存安定性が悪く高温高湿下におくと正確
な記録ができなくなるという問題点が生じることが分か
った。
反射層として用いると、保存安定性が不十分であり、特
に媒体を過酷な環境下で長期保存した後に記録を行った
場合、記録感度や記録信号強度等が変化してしまうとい
う現象が観察され問題となることが分かった。本発明は
上記問題点を解決するためになされたものであり、本発
明の目的は、広い線速範囲、広い照射パワー範囲にわた
って良好なディスク特性を有する光学的情報記録用媒体
を提供することにある。また、本発明の他の目的は、保
存安定性に優れた光学的情報記録用媒体を提供すること
にある。
と、記録層と、硫黄原子を含有する保護層と、該保護層
に接する中間層と、該中間層に接し銀を主成分とする反
射層とからなり、該中間層は金属又は合金で形成され、
該金属又は合金が、該反射層と接する側においては銀と
化合物を形成せず、かつ、銀への該中間層元素の固溶度
及び該中間層元素への銀の固溶度のいずれもが5原子%
以下の元素からなり、該保護層と接する側においては硫
黄との反応性が低いか又はその硫化物が化学的に安定で
ある元素からなることを特徴とする光学的情報記録用媒
体に存する。あるいは、該中間層は銀と完全固溶体を形
成する元素からなることを特徴とする光学的情報記録用
媒体に存する。
有する保護層と銀を主成分とする反射層とを組み合わせ
て使用した媒体は、初期特性は問題ないものの繰返し記
録や長期保存を行うと劣化が著しく、そのままでは実用
的に用いるのは困難なことを見いだした。
銀を主成分とする反射層の間に中間層として例えばアル
ミニウムを主成分とする層を設けると、やはり初期特性
は問題がないが保存安定性が悪く耐環境試験により著し
く劣化し、実用には適さないことを見いだした。そこ
で、硫黄原子を含有する保護層と銀を主成分とする反射
層の間に設ける中間層について様々な検討を行った結
果、中間層が特定の要件を満たす場合に保存安定性及び
繰返し記録特性に優れた実用的な媒体を提供できること
を見いだし、本発明に至った。
射層と接する側においては銀と化合物を形成せず、か
つ、銀への該中間層元素の固溶度及び該中間層元素への
銀の固溶度のいずれもが5原子%以下の元素からなり、
保護層と接する側においては硫黄との反応性が低いか又
はその硫化物が化学的に安定である元素からなる。ある
いは、中間層は銀と完全固溶体を形成する元素からなる
か、金属又は半導体の酸化物、窒化物、炭化物である
か、もしくは非晶質カーボンからなる。
ガラス基板上にZnS層、強磁性層であるMnBi層、
ZnS層、銀層を積層した光磁気記録媒体が記載されて
いるものの、硫黄原子を含有する保護層と銀を主成分と
する反射層の組み合わせは繰返し記録特性や保存安定性
に問題があることについて何ら記載がなく、当然上記特
定の要件を満たす中間層を設けることでこれら問題が解
決されることについても示唆はない。
ーボネート基板上にAu50Ag50反射層、(ZnS)80
(SiO2)20保護層、(Ge2Sb2Te5)90(Cr4
Te5)10記録層、(ZnS)80(SiO2)20保護層、
Si第1反射層、Al97Ti3第2反射層を積層した相
変化型記録媒体が記載され、また第1/第2反射層材料
としてAl、Au、Cu、Pt、Pd、Sb−Biやそ
の合金等と共にAgとその合金が列挙されているが、硫
黄原子を含有する保護層と銀を主成分とする反射層の組
み合わせは繰返し記録特性や保存安定性に問題があるこ
とについて何ら記載がなく、当然上記特定の要件を満た
す中間層を設けることでこれら問題が解決されることに
ついても示唆はない。
カーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20保護
層、(Cr4Te5)7(Ge2Sb2Te5)93記録層、
(ZnS)80(SiO2)20保護層、Si第1反射層、
タングステン拡散防止層、Al9 7Ti3第2反射層を積
層した相変化型記録媒体が記載され、また第1/第2反
射層材料としてAl、Au、Cu、Mo、Ta、W、C
o、Ptやその合金等と共にAgとその合金が列挙され
ているが、多数の元素中の1例示にとどまり、反射層と
して特に銀を主成分とする材料を用いることとその有用
性について記載されていない。従って硫黄原子を含有す
る保護層と銀を主成分とする反射層の組み合わせは繰返
し記録特性や保存安定性に問題があることについても記
載はなく、当然上記特定の要件を満たす中間層を設ける
ことでこれら問題が解決されることについても示唆はな
い。
光磁気記録媒体、相変化型記録媒体等各種の記録方式の
媒体が採用できるが、好ましくは、相変化型記録媒体、
特に結晶状態と非晶質状態との間の反射率の差を利用し
た相変化型記録媒体である。以下、好ましい例である相
変化型記録媒体について本発明を説明する。従来の相変
化型光ディスク等は基板上に保護層、記録層、保護層、
反射層をこの順に主にスパッタリング法を用いて設け、
さらにその上に紫外線硬化樹脂層を設けた構造が主流で
ある。反射層を設けるのは、光学的な干渉効果をより積
極的に利用して信号振幅を大きくするためと、放熱層と
して機能させるためであり、相変化型記録媒体の場合は
非晶質マークの形成に必要な過冷却状態が得られやすい
ようにするためである。このため、反射層としては、一
般的に、高反射率、高熱伝導率の金属が望ましく、具体
的にはAu、Ag、Al等があげられる。
しい。スパッタリングターゲットとしての値段が比較的
安く、放電が安定で成膜速度が速く、空気中で安定で、
しかも反射率、熱伝導度の面でも優れた特性を示すから
である。もちろんAgに少量の不純物を混合した系でも
同様の効果が期待できる。しかしAgと接して設ける膜
がAgと相性が悪い場合も多い。たとえばAg膜内に拡
散しやすい元素を含む層が接している場合は熱伝導度が
大幅に小さくなる場合がある。この場合、新たに信号を
記録しようとすると記録時の熱分布の違いにより記録感
度が変化する、マークがきれいに形成されないため信号
特性が悪い、等の現象が起こり好ましくない。
gを用いることはせずに、AlにTa、Ti、Cr、M
o、Mg、Zr、V、Nb等を0.5〜5原子%添加し
たAl合金が反射層として一般的であった。しかしその
場合も過酷な環境下での保存後には程度の差はあれ同様
の現象がおこる。記録層が、Maw(SbzTe1-z)1-w
合金薄膜(ただし、0≦w≦0.3、0.5≦z≦0.
9、MaはIn、Ga、Zn、Ge、Sn、Si、C
u、Au、Ag、Pd、Pt、Pb、Cr、Co、O、
N、S、Se、Ta、Nb、V、Bi、Zr、Ti、M
n、Mo、Rh及び希土類元素から選ばれる少なくとも
一種)からなる場合、熱分布の違いがマーク形状に反映
されやすいので特に重要である。
l、S等である。したがってたとえば保護層として相変
化型光ディスクに用いられることの多いZnS−SiO
2を用いた場合には、Ag反射層を前記の従来型構造の
ようにZnS−SiO2保護層に接して設けると記録特
性が時間とともに変化してしまう。またAg側から顕微
鏡観察で観察可能な欠陥が多数現れ、さらには時間経過
していないディスクでも記録を繰り返すと100回程度
で記録特性は劣化してしまうため使用可能な状態ではな
い。
射層に対し、保護層からの拡散を防止すると同時に、熱
伝導性等に実用上の支障をきたさない中間層を設けるこ
とを考えたのである。本発明の相変化型記録媒体は、基
板と相変化型記録層、保護層、反射層からなり、保護層
と反射層とに接して中間層を設ける。例えば、基板上
に、下部保護層、相変化型記録層、上部保護層、中間
層、反射層をこの順に有する。本層構成をとり、基板を
通して記録再生を行えば、基板のキズや塵埃によるエラ
ーをかなり防ぐことができ、媒体の信頼性を高めること
ができる。
層、相変化型記録層、保護層をこの順に有する。或いは
基板の両側にこれら層構成を有しても良い。本層構成を
とり、基板を通さずに記録再生を行うことで、浮上型ヘ
ッドや接触型ヘッドを用いて光ヘッドと記録層の距離を
極端に狭くすることができ、媒体の記録密度を大きく向
上させることができる。
合は、中間層は、反射層と接する側においては銀と化合
物を形成せず、かつ、銀への該中間層元素の固溶度及び
該中間層元素への銀の固溶度のいずれもが5原子%以下
の元素からなり、保護層と接する側においては硫黄との
反応性が低いか又はその硫化物が化学的に安定である元
素からなる。
素が満たすべき条件については、基本的に銀もしくは硫
黄と、中間層を構成すべき元素の2元合金状態図を参照
して決定される。このような2元合金状態図として権威
ある出版物としては、"Constitution of Binary Alloy
s",(Max Hansen and Kurt Anderko, second edition (1
985), Genium Publishing Corporation, New York)を挙
げることができる。
属中へ拡散しやすく、そのような拡散による固溶体や化
合物の形成は、一般には、本来銀が有する高反射率、高
熱伝導率を損ねるものであり好ましくない。従って、中
間層の反射層に接する側は、まず銀との固溶体や化合物
を形成しない元素からなる必要がある。本発明におい
て、ある元素が銀と固溶体を形成しないとは、銀と全く
固溶体を構成しないこと、及び銀への固溶度及び銀のそ
の元素への固溶度が5原子%以下で非常に銀に溶けにく
いことである。
べての温度域において最大の固溶度を参照する。上記、
Hansenによる2元合金相図において、銀と固溶体を形成
せず、かつ、化合物も形成しない元素としては、具体的
には、ナトリウム、鉛、ビスマス、シリコン、タンタ
ル、コバルト、クロム、タングステン及びバナジウムが
挙げられる。
晶温度が500℃以下の比較的低温に存在し、熱的安定
性がやや劣る。すなわち相図によればそれぞれ共晶温度
は、ナトリウム(97℃)、鉛(304℃)、ビスマス
(262℃)、シリコン(830℃)、クロム(961
℃)である。タンタル、コバルト、タングステン、及び
バナジウムについては詳細な相図は記載されていないも
のの、銀とは、化合物も存在せず溶融状態においてさえ
ほとんど溶け合わないことが知られている。ニッケル
は、銀中への固溶度はほとんどなく、銀のニッケル中へ
の固溶度がわずかばかり存在するようであるが、5原子
%をはるかに下回るようである。
性からもあまり好ましくはない。一方、ジルコニウム、
マグネシウム、マンガン、インジウム、チタン、アンチ
モン、ゲルマニウム、テルル、亜鉛等は銀と化合物を形
成するか、広範囲の濃度で固溶体を形成するので不適当
である。また、アルミニウムも銀と固溶体を形成するの
で銀に接する側の中間層元素としては好ましくない。
素(シリコン、タンタル、コバルト、クロム、タングス
テン及びバナジウム)と銀とを積層した場合の膜界面の
安定性については、実際に薄膜の積層膜を形成し加速試
験によって確認し、合金化に伴う熱伝導率の変化によ
り、放熱効果が減じていないことを確認している。これ
らの元素のうち、特に、タンタル、ニッケルは膜の内部
応力による剥離も生じにくく最も好ましい元素である。
全固溶体を形成する場合は相分離を生じないため熱伝導
率に影響を及ぼすことがほどんとなく、むしろ好ましい
場合がある。銀と完全固溶体を形成する好ましい例とし
ては金、パラジウムが挙げられる。一方、中間層は、硫
黄を含有する保護層に接する側では、腐食性の高い硫黄
との反応性が低い元素、すなわち、相図において硫黄と
の化合物を全く形成しない元素か、或いは界面に硫化物
が形成されても化学的に安定で不動態として硫化物自体
が拡散防止効果を有する元素からなる。
に熱重量減少スペクトルを測定することで確認できる。
上記ハンセンの相図からは、アルミニウムは硫黄と全く
化合物を形成しない希少な元素であり最も好ましいこと
がわかる。シリコン、タンタル、タングステン、ゲルマ
ニウム及びバナジウムはそれぞれ、SiS2、TaS2、
WS2、GeS2、V2S3を主として形成すると考えられ
るが、いずれも融解、分解、昇華等の熱重量変化を生じ
るのは500℃より高温である。
るが、相図から見てそれら硫化物自体の融点、分解温度
は500℃より高温である。これら元素をZnS:Si
O2保護層上に成膜して実験的に安定性を確認したが、
少なくとも硫化反応の進行による腐食はみられず、反射
率も変化しなかった。銀及び銅の硫化物であるAg2S
やCu2Sは、相図によれば化合物そのものは熱的に安
定であるようであるが、実験的にはZnS:SiO2保
護層上においてなんらかの不安定性を示した。相図にお
いて500℃以下の固相で相変態を示しており、必ずし
も安定ではないためと考えられる。
は、該中間層は金属又は半導体の酸化物、窒化物、炭化
物か、もしくは非晶質カーボンからなる。これらはそれ
自身が安定な化合物である。相変化媒体を記録層とする
場合には融点が1000℃以上の耐熱性化合物であるこ
とが好ましい。硫化物は銀との反応性が有るため好まし
くない。
の波長に対して透明な化合物であることは銀の高反射率
を有効に活用する上で望ましい。この点で、非晶質カー
ボンとしては、透明度の高い水素化非晶質カーボンが好
ましい。反射層は、銀を主成分とする。銀を主成分とす
るとは銀を70原子%以上含むことをいう。好ましくは
銀を95原子%以上、さらに好ましくは98原子%以上
含有する。特に好ましくは、反射層は、Ti、V、T
a、Nb、W、Co、Cr、Si、Ge、Sn、Sc、
Hf、Pd、Rh、Au、Pt、Mg、Zr、Mo及び
Mnからなる群から選ばれた少なくとも一種を0.2原
子%以上2原子%以下含有する銀合金、又は純銀からな
る。
は、硫化亜鉛、硫化タンタル、希土類硫化物のような硫
化物を含有する。これらを20〜90mol%含有し、
残部を融点または分解温度が1000℃以上の耐熱性化
合物、すなわち、金属や半導体の酸化物、窒化物、弗化
物、炭化物とした混合膜が特に望ましい。中間層の厚さ
は、通常10Å以上、好ましくは50Å以上であり、一
方、銀の高熱伝導率を有効に機能させるためには、通常
1000Å以下、好ましくは500Å以下、さらに好ま
しくは200Å以下である。
成される。中でも、中間層の好ましい態様として、以下
の2つの態様を挙げることができる。 態様(1):中間層が、アルミニウムを主成分とする層
とアルミニウムと銀との合金化を防止する拡散防止層と
の2層からなり、前者の層は保護層と接し、後者の層は
反射層と接する。 態様(2):中間層を構成する元素が、銀と化合物を形
成せず、かつ、銀への該中間層元素の固溶度及び中間層
元素への銀の固溶度のいずれもが5原子%以下の元素か
らなり、さらに、硫黄との反応性が低いか又はその硫化
物が化学的に安定である元素からなる。あるいは、中間
層は銀と完全固溶体を形成する元素からなるか、金属又
は半導体の酸化物、窒化物、炭化物であるか、もしくは
非晶質カーボンからなる。
(1)は、一般的には次のように表現される。保護層の
上に、第1反射層、拡散防止層、体積抵抗率が20nΩ
・m以上80nΩ・m以下の第2反射層を設ける。この
場合、アルミニウムを主成分とする層が第1反射層に対
応し、アルミニウムと銀との合金化を防止する層が拡散
防止層に対応し、反射層が第2反射層に対応する。
まうアルミニウムをあえて、銀との間に拡散防止層を設
けてまで用いようとする理由を以下に述べる。本発明の
目的は、銀の高熱伝導率を有効に利用しつつ、安定な光
記録媒体を得ることにあるが、そのためには保護層と銀
反射層との間に設ける中間層が高熱伝導率であることが
望ましい。また、中間層自体が高反射率であれば、中間
層と銀反射層が全体として高反射率で高熱伝導率の反射
層として機能するため好ましい。
率、熱伝導率、化学的安定性において最も好ましい材料
であり、さらに拡散防止層を設けてでも使用する価値が
高い。本構成によれば、保護層と反射層のあいだに中間
層を設けても熱伝導性にほとんど支障をきたさず、広範
囲の線速や広範囲のパワーに亘って良好なディスク特性
を有し、かつ保存安定性にも優れた媒体を得ることがで
き、実用上極めて好ましい。
された態様を元に説明する。態様(1)の媒体は、図1
に示すように、通常、基板1/下部保護層2/相変化型
記録層3/上部保護層4/第1反射層5/拡散防止層6
/第2反射層7の構成を有する。その上を紫外線もしく
は熱硬化性の樹脂で被覆(保護コート層8)されている
ことが望ましい。
の材料としては従来公知の様々なものが使用でき、Ge
SbTeやInSbTe、AgSbTe、AgInSb
Te、AgGeSbTeなどが例示できるが、結晶・非
晶質いずれの状態も安定でかつ両状態間の高速の相転移
が可能なSb70Te30共晶点近傍のSbTe合金を主成
分とする合金が最も好ましい。繰り返しオーバーライト
を行った時に偏析が生じにくく、最も実用的な材料だか
らである。特に好ましい相変化型記録層3の組成は、M
aw(SbzTe1-z)1-w合金(ただし、0≦w≦0.
3、0.5≦z≦0.9、MaはIn、Ga、Zn、G
e、Sn、Si、Cu、Au、Ag、Pd、Pt、P
b、Cr、Co、O、N、S、Se、Ta、Nb、V、
Bi、Zr、Ti、Mn、Mo、Rh及び希土類元素か
ら選ばれる少なくとも一種)からなる。さらに好ましく
は0≦w≦0.2であり、0.6≦z≦0.8である。
本発明者らの検討によれば、線速依存性は主成分である
SbとTeによって決まり、Sb70Te30共晶点近傍で
は、Sb/Te比が大きいほど結晶化速度が速くなる傾
向がある。
3元系材料は、特定の記録パルスパターンでの繰返しオ
ーバーライトにおいて、従来から広く知られているGe
Te−Sb2Te3、InTe−Sb2Te3疑似2元合金
近傍材料より劣化が少ない、あるいは、マーク長記録し
たときのマークエッジのジッタが小さく、優れた材料で
ある。また、結晶化温度が高く経時安定性にも優れてい
る。
非晶質であるため、後述のように記録層全面を結晶化し
て初期化状態(未記録状態)とするのが好ましい。態様
(1)においては、記録時の最低線速度と最高線速度の
比が少なくとも2倍以上である広線速で良好なオーバー
ライト可能な媒体を提供する。より具体的な例として、
CD線速の少なくとも2倍速(2.4〜2.8m/s)
から4倍速(4.8m/s〜5.6m/s)あるいはD
VD線速の1倍速(3.5m/s)から2倍速(7m/
s)の範囲で良好なオーバーライト可能な媒体を提供す
る。
近い高速で十分消去できるほど結晶化速度が速くなけれ
ばならない。前述の様に態様(1)の記録層は好ましく
はSb70Te30共晶組成を基本とするが、Sb/Te比
により線速依存性が左右される。このため、上記記録層
の組成はMaw(SbzTe1-z)1-w合金(ただし、0≦
w≦0.3、0.5≦z≦0.9、MaはIn、Ga、
Zn、Ge、Sn、Si、Cu、Au、Ag、Pd、P
t、Pb、Cr、Co、O、N、S、Se、Ta、N
b、V、Bi、Zr、Ti、Mn、Mo、Rh及び希土
類元素から選ばれる少なくとも一種)が好ましい。
1Inβ1Sbγ1Teη1(ただし、0.03≦α1≦
0.1、0.03≦β1≦0.08、0.55≦γ1≦
0.65、0.25≦η1≦0.35、0.06≦α1
+β1≦0.13、α1+β1+γ1+η1=1、Mb
はAg又はZnの少なくとも一種)なる組成が挙げられ
る。
03≦α1≦0.1、0.05≦β1≦0.08、0.
6≦γ1≦0.65、0.25≦η1≦0.30、0.
06≦α1+β1≦0.13、α1+β1+γ1+η1
=1を満たす組成である。この組成範囲において、10
m/s近くまでのオーバーライト時に十分な消去比が得
られる。また、経時安定性にも優れた組成として用いる
ことができる。
を高める効果があり、室温での保存安定性を確保するた
めに3原子%以上添加することが好ましいが、8原子%
を超えて含まれると相分離が生じ易く、繰り返しオーバ
ーライトにより偏析が起きやすい。より好ましくは5原
子%以上8原子%以下である。Ag又はZnは成膜直後
の非晶質膜の初期化を容易にする。初期化方法にもよる
が10原子%以下の添加で十分であり、多すぎるとかえ
って経時安定性を損ねるので好ましくない。
原子%を超えると繰り返しオーバーライト時に偏析を生
じ易いので好ましくない。好適な記録層の他の例とし
て、McvGey(SbxTe1-x)1-y-v(ただし、0.
6≦x≦0.8、0.01≦y≦0.15、0≦v≦
0.15、0.02≦y+v≦0.2、McはAg又は
Znの少なくとも1種)なる組成があげられる。
e合金における低融点金属InおよびIn化合金の析出
のしやすさを改善することができる。しかし一方で、G
eの添加とともに急激に初期化プロセスに時間を要する
ようになる。Inの析出しやすさとGeによる初期化の
しにくさの両方を克服するために、Mdα2Inβ2Ge
δ2Sbγ2Teη2(ただし、0.01≦α2≦0.
1、0.001≦β2≦0.1、0.01≦δ2≦0.
1、0.5≦γ2≦0.7、0.25≦η2≦0.4、
0.03≦β2+δ2≦0.15、α2+β2+δ2+
γ2+η2=1、MdはAg又はZnの少なくとも一
種)なる組成を用いてもよい。
nmから100nmの範囲が好ましい。10nmより薄
いと十分な光学的コントラストが得られ難く、また結晶
化速度が遅くなる傾向があり、短時間での消去が困難と
なりやすい。一方100nmを越すとやはり光学的なコ
ントラストが得にくくなり、また、クラックが生じやす
くなる。
とれるほどのコントラストを得るためには10nm以上
30nm以下が極めて好ましい。10nm未満では反射
率が低くなりすぎ、30nmより厚いと熱容量が大きく
なり記録感度が悪くなる傾向にある。また記録層の相変
化に伴う体積変化は記録層が厚いほど大きくなり、繰り
返しオーバーライトによる微視的変形が蓄積しやすい。
この観点からは記録層の膜厚の上限は30nm以下、よ
り好ましくは25nm以下である。
ライトに合わせるのが好ましい。高線速で十分消去可能
な組成を用いると、低線速で記録する場合に、一旦溶融
した記録層が再結晶化しやすいために、良好な非晶質マ
ークが形成されにくいからである。従来のGeTe−S
b2Te3系においては、低線速で十分な記録層の冷却速
度を得るため、上部保護層4の膜厚が薄い「急冷構造」
が望ましいとされ、20nm〜30nmとすることが一
般的であった。
開催されている相変化記録研究会の発表(応用物理学会
相変化記録研究会主催、予稿集が発行されている。)に
顕著に現れている。その最大の理由は、反射層への放熱
を有効に作用させるためである。いわゆる急冷構造では
放熱を促進し、記録層再凝固時の冷却速度を高める層構
成を採用することで、再結晶化の問題を回避しつつ、高
速結晶化による高消去比を実現する。
ると記録層3の熱が反射層に到達する時間が長くなり、
反射層による放熱効果が有効に作用しないとされてい
た。本発明者らは、むしろ30nm以上60nm以下と
厚く設けた上部保護層4に高熱伝導率の反射膜を組み合
わせることにより、従来の急冷構造よりも線速依存性を
より改善できることを見いだした。より好ましくは35
nm以上55nm以下とする。
れる。記録のためにまず記録層温度を融点以上に昇温す
る必要があるが、熱伝導には有限の時間が必要であるか
ら、昇温過程(初期の数十ナノ秒以下)では、平面方向
の熱伝導は顕著ではなく、膜厚方向の熱伝導のみでほと
んど温度分布が決まる(図3(a))。
の温度まで昇温するときには、この膜厚方向の熱伝導が
効いてくる。一方、昇温開始後数十nsec以降になる
と図3(b)に示すように横方向の熱伝導による温度分
布の平面的変化が重要になる。なぜなら、膜厚方向は高
々0.1μmの距離の熱拡散の問題であるのに対して、
平面方向は1μmのオーダーの熱拡散の問題だからであ
る。
速度はこの平面分布に依存し、前述の冷却速度の線速度
依存性はまさにこの平面温度分布で支配されている。低
線速では光ビームの走査速度が遅いため、同一照射時間
でも周辺部まで加熱しながら進むことになり、平面方向
の熱伝導の影響が大きい。また比較的長時間連続して記
録光ビームが照射される長マークの後端部分でも、平面
方向の熱伝導の影響が大きい。
度と最小線速度比が2倍以上になる様な広線速範囲で良
好に行うためには、単に膜厚方向の温度分布や時間依存
性のみならず、平面方向の分布や時間変化を正確に制御
する必要がある。図3(b)において、上部保護層の熱
伝導率を低くし、適度な厚みを持たせた方が反射層への
熱の流れに一定の遅延効果をもたらすことができ、平面
方向の温度分布を制御しやすくなるのである。
の遅延効果に十分に留意していなかった。本発明におい
ては、熱伝導の遅延効果を十分発揮するために上部保護
層4の材料としては熱伝導が低いものが望ましく、例え
ばZnS、ZnO、TaS2もしくは希土類硫化物を単
独または混合物として20mol%以上90mol%以
下含むのが好ましい。さらに、融点もしくは分解温度が
1000℃以上の耐熱性化合物を含む複合誘電体も望ま
しい。
希土類の硫化物を50mol%以上90mol%以下含
む複合誘電体や、ZnS、ZnOもしくは希土類硫化物
を70〜90mol%含有する複合誘電体が望ましい。
融点もしくは分解点が1000℃以上の耐熱化合物材料
としては、Mg、Ca、Sr、Y、La、Ce、Ho、
Er、Yb、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Z
n、Al、Si、Ge、Pb等の酸化物、窒化物、炭化
物やCa、Mg、Li等のフッ化物を用いることができ
る。
は、Y、La、Ce、Nd等希土類の硫化物あるいは硫
化物と酸化物の混合物が望ましい。SiO2、Ta
2O5、Al2O3、AlN、SiN等を主成分とする薄膜
は、それ自身の熱伝導率が高すぎて好ましくない傾向に
ある。特に、上部保護層は硫黄を含有するのが好まし
く、特に、ZnS、TaS2、希土類硫化物等の硫化物
を含有するのが好ましい。
0%以上であることが機械的強度の面から望ましい。な
お、混合物誘電体薄膜を用いる場合にはバルク密度とし
て下式の理論密度を用いる。 ρ=Σmiρi (1) mi:各成分iのモル濃度 ρi:単独のバルク密度 上部保護層4は記録層3と反射層5の相互拡散を防止す
る効果もある。
30nm以上60nm以下、好ましくは35nm以上5
5nm以下とする。膜厚が30nm未満では十分な熱伝
導の遅延効果が得られず、60nmを超えると反射層へ
の放熱効果が十分得られないうえ、保護層内部に繰返し
オーバーライト時のヒートサイクルによる塑性変形が蓄
積され、オーバーライト回数に伴い劣化が進みやすくな
る傾向にある。
る熱伝導の遅延効果を得る際、単に上部保護層を厚くす
ると、冷却速度が小さくなりすぎるので、一定の遅延時
間の後は十分な急冷効果が得られるように、とりわけ高
熱伝導率の反射層を用いる。しかしながら、本発明の反
射層のような薄膜の熱伝導率測定はかなり困難で、再現
性にも問題がある。
伝導率と大きく異なり、小さいのが普通である。特に4
0nm以下の薄膜では成長初期の島状構造の影響で熱伝
導率が1桁以上小さくなる場合があり好ましくない。そ
こで本発明では、熱伝導率に代えて反射膜の電気抵抗を
指標とする。金属膜のように、主として電子が熱もしく
は電気伝導を司る材料においては、熱伝導率と電気伝導
率は良好な比例関係があるため、熱伝導の良否を電気抵
抗を利用して見積もることができる。
積で規格化された抵抗率値で表される。例えば体積抵抗
率と面積抵抗率は通常の4探針法で測定でき、JIS
K7194によって規定されている。これにより薄膜の
熱伝導率そのものを実測するよりもはるかに簡便かつ再
現性の良いデータが得られる。なお、体積抵抗率が低い
ほど熱伝導率は高い。
を、膜厚が5nm以上50nm以下のアルミニウムを主
成分とする第1反射層と、膜厚が40nm以上200n
m以下で体積抵抗率が20nΩ・m以上80nΩ・m以
下の銀を主成分とする第2反射層の少なくとも2層で構
成する。すなわち、少なくとも1層は上記低体積抵抗率
材料として実質的に放熱効果を司り、他の層が耐食性や
保護層との密着性、耐ヒロック性の改善に寄与するよう
に構成する。
g等の金属に対する腐食性が高いため、このような構成
とすることが望ましい。第1反射層の厚さは好ましくは
5nm以上50nm以下とする。5nm未満では保護効
果が不十分で、50nmを超えると第2反射層への放熱
効果が犠牲になる傾向にある。
上200nm以下とする。40nm未満では放熱効果が
不十分になりやすい。また、200nmを超えるとクラ
ックが入りやすくなったり、成膜時間が長くなり生産性
が落ちる傾向にある。なお、光学特性を向上させるため
に、第2反射層の上にさらに第3の反射層を設けてもよ
い。この場合、第3反射層は体積抵抗率が高い材料であ
っても全くかまわない。
50nΩ・m以下であれば熱伝導率の高い反射層として
使用可能である。体積抵抗率20nΩ・m未満の材料は
薄膜状態では実質的に得にくい。体積抵抗率150nΩ
・mより体積抵抗率が大きい場合、たとえば300nm
を超える厚膜とすれば面積抵抗率を下げることはできる
が、本発明者らの検討によれば、このような体積抵抗率
の高い材料では面積抵抗率のみ下げても十分な放熱効果
は得られなかった。厚膜では単位面積当たりの熱容量が
増大してしまうためと考えられる。
かり、材料費も増えるため製造コストの観点から好まし
くない。従って、膜厚300nm以下で面積抵抗率0.
2以上0.9Ω/□以下であるような体積抵抗率の低い
材料を用いるのが好ましい。従って、アルミニウムを主
成分とする第1反射層は耐食性や保護層との密着性、耐
ヒロック性の改善の目的で設けられるが、熱伝導率があ
まり高いと第2反射層の放熱効果が得られにくいため、
好ましくは体積抵抗率20nΩ・m以上150nΩ・m
以下とする。
反射層はアルミニウムを95原子%以上、より好ましく
は98原子%含有させる。特に好ましくは、Ta、T
i、Co、Cr、Si、Sc、Hf、Pd、Pt、M
g、Zr、Mo及びMnからなる群から選ばれた少なく
とも一種を0.2原子%以上2原子%以下含有するアル
ミニウム合金、又は純アルミニウムである。特に前者は
添加元素濃度に比例して体積抵抗率が増加し、また、耐
ヒロック性が改善されることが知られており(日本金属
学会誌、第59巻(1995)、pp673〜678、J.Vac.Sci.Tec
h.、A14(1996)、pp2728〜2735等)、耐久性、体積抵抗
率、成膜速度等考慮して用いることができる。
条件にもよるが、耐ヒロック性は不十分であることが多
い。また、2原子%を超えると上記の低抵抗率が得られ
ないことがある。経時安定性をより重視する場合には添
加成分としてはTa又はTi、特にTaが好ましい。
%以下、Mgを0.3重量%以上1.2重量%以下含有
するAl−Mg−Si系合金も好ましい。態様(1)に
おいては、銀を主成分とする第2反射層の体積抵抗率を
20nΩ・m以上80nΩ・m以下とする。体積抵抗率
20nΩ・m以上80nΩ・m以下の薄膜としては、好
ましくは、Ti、V、Ta、Nb、W、Co、Cr、S
i、Ge、Sn、Sc、Hf、Pd、Rh、Au、P
t、Mg、Zr、Mo及びMnからなる群から選ばれた
少なくとも一種を0.2原子%以上2原子%以下含有す
る銀合金、又は純銀が挙げられる。
分としてはTi、Pd、Mgが特に好ましい。上述のA
l、Agの体積抵抗率は不純物濃度に比例して増加す
る。不純物の添加は一般的に結晶粒径を小さくし、粒界
の電子散乱を増加させて熱伝導率を低下させると考えら
れる。添加不純物量を調節することは、結晶粒径を大き
くすることで材料本来の高熱伝導率を得るために必要で
ある。
法で形成されるが、ターゲットや蒸着材料そのものの不
純物量もさることながら、成膜時に混入する水分や酸素
量も含めて全不純物量を2原子%以下とする必要があ
る。このためプロセスチャンバの到達真空度は1×10
-3Pa以下とすることが望ましい。
合、成膜レートを1nm/秒以上、好ましくは10nm
/秒以上として不純物が取り込まれるのを防ぐことが望
ましい。あるいは意図的な添加元素を1原子%より多く
含む場合は、成膜レートを10nm/秒以上として付加
的な不純物混入を極力防ぐことが望ましい。
ぼす場合もある。例えば、AlにTaを2原子%程度添
加した合金膜は結晶粒の間に非晶質相が混在するが、結
晶相と非晶質相の割合は成膜条件に依存する。低圧でス
パッタするほど結晶部分の割合が増え、体積抵抗率が下
がるのである(熱伝導率は増加する)。
スパッタガス(Ar、Ne、Xe等)も、膜中の不純物
組成あるいは結晶性に影響する。従って、反射層材料と
して上記Al合金組成が開示されていても(特開平3−
1338号公報、特開平1−169571号公報、特開
平1−208744号公報等)、必ずしも本願に示す体
積抵抗率層構成を示すとは限らない。
に、不純物量を少なくするのが望ましいが、一方で、A
lやAgの純金属は耐食性や耐ヒロック性に劣る傾向が
あるため、両者のバランスを考慮して最適組成が決ま
る。しかし、この2層反射層の媒体は、このままでは保
存安定性が悪いという問題があることが分かった。高温
高湿下におくと全く記録ができなくなるのである。
反射層が合金化していることが分かった。前述のよう
に、金属は不純物を添加すると熱伝導率が低下する。A
lとAgの合金化が起こると、熱伝導率は急激に悪化し
てしまうため、非晶質マークの形成に必要な急激な冷却
速度が得られなくなり、記録が不可能となったのであ
る。
てアルミニウムを主成分とする材料を用いかつ第2反射
層として銀を主成分とする材料を用いるので、拡散防止
層としては、アルミニウムと銀との拡散を防止する層で
あるのが好ましい。拡散防止層の材料としては、金属、
半導体、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、半導体
酸化物、半導体窒化物、半導体炭化物、カーボン等を用
いることができる。拡散防止層として使用できる金属と
しては、Ta,Ni,Co,Cr,Si,W,Vからな
る群から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。中でも
Ta及び/又はNiが好ましい。
導体の酸化物、窒化物又は炭化物としては、酸化ケイ
緊、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化タンタル、酸化セリ
ウム、酸化ランタン、酸化イットリウムからなる群から
選ぱれる少なくとも一種が挙げられる。拡散防止層とし
て使用できる非晶質カーボンとしては、特に非晶質の水
素化カーボンを挙げることができる。特に好ましい材料
は、第1反射層や第2反射層に用いられる材料と酸素及
び/又は窒素との化合物である。また、タンタルも特に
好ましい材料である。特に好ましい態様として、第1反
射層にアルミニウムを主成分とする材料を用い第2反射
層に銀を主成分とする材料を用いかつ拡散防止層として
酸化アルミニウム又はタンタルからなる材料を用いる。
成させることもできるが、好ましくは、以下のような方
法で形成させる。第1反射層を成膜後インライン真空を
一度破り、大気解放することでディスクの第1反射層上
に大気中の酸素(または水分)と第1反射層材料との自
然酸化膜が形成される。その後、再び真空引きした中に
ディスクを戻し、スパッタリング等の成膜により第2反
射層を成膜する。これにより容易に拡散防止層を設ける
ことができる。大気中での自然酸化を促進して短時間で
十分な拡散防止層膜厚を得るためには、大気中でオゾン
処理することも有効である。
1反射層と第2反射層の拡散を界面層である酸化物層が
抑制し、80℃、85%RH下、1000時間放置して
もディスク特性が成膜直後のまま保存される。あるい
は、第1反射層の成膜終了後、または成膜終了直前に、
意図的に成膜装置内真空中に酸素あるいは窒素を導入
し、酸化物または窒化物の層を極く薄くスパッタ成膜し
ても良い。この方法は真空を破る必要がないため、作業
工程上好ましい。
抗として邪魔にならないよう、通常200Å以下、好ま
しくは100Å以下、さらに好ましくは50Å以下とす
る。最も好ましくは0.1〜5nm程度である。これだ
けでも十分アルミニウムと銀の相互拡散が防止できるこ
とは同じオージェデプスプロファイルで確認できる。以
上述べたことは、本発明の極めて限定的かつ具体的な応
用例である低反射率ながらCD互換のCD−RWについ
て述べたが、本発明は相変化型記録媒体一般のマーク長
記録における線速度依存性及び記録パワー依存性を改善
するのに有効であり、特にこのCD−RWに限定される
ものではない。現在提案がなされている、書き換え可能
タイプの高密度のディジタル・ビデオ・ディスク(いわ
ゆるDVD)にも有効であると考えられる。
たことで、いわゆるCAV(constant angular velocit
y)やZCAV(zoned CAV)といった回転速度一定で使
用されるディスクの内外周における線速差で生じる、記
録特性差の問題をも克服できる。以下、図1を参照して
本発明光記録媒体の他の設計要素について述べる。
金属を用いることができる。基板側から光を入射させる
場合は透明樹脂あるいは透明ガラスが用いられ、ポリカ
ーボネート、アクリル、ポリオレフィン、透明ガラスを
用いることができる。なかでもポリカーボネート樹脂は
CDにおいて最も広く用いられている実績もあり、安価
でもあるので最も好ましい。
は不透明な樹脂、ガラス、あるいは金属も用いることが
でき、樹脂としては、アクリル系樹脂、ノルボルネン系
などのポリオレフィン樹脂、液晶ポリマー、ポリカーボ
ネート等が挙げられ、例としてポリメチルメタクリレー
ト(PMMA)、ARTON(日本合成ゴム社 ノルボ
ルネン系エステル置換環状オレフィン開環重合体水添
物)、ZEONEX(日本ゼオン社 ノルボルネン系環
状オレフィン開環重合体水添物)、芳香族ポリエステル
系液晶ポリマー、ポリカーボネートなどが挙げられる。
防止するために設ける。下部保護層2の材料は、屈折
率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に
留意して決定される。一般的には透明性が高く高融点で
ある金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物やCa、M
g、Li等のフッ化物を用いることができる。その他、
上部保護層に使用できる各種の材料を使用できる。
物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率
等の制御のために組成を制御したり混合して用いること
も有効である。繰り返し記録特性を考慮すると誘電体混
合物がよい。より具体的にはZnSや希土類硫化物と酸
化物、窒化物、炭化物等の耐熱化合物の混合物が挙げら
れる。これらの保護層の膜密度は上部保護層と同様、バ
ルク状態の80%以上であることが機械的強度の面から
望ましい。
である。下部保護層の厚さが薄すぎると基板や記録膜の
変形防止効果が不十分であり、保護層としての役目をな
さない傾向がある。また厚すぎると誘電体自体の内部応
力や基板との弾性特性の差が顕著になって、クラックが
発生しやすくなる傾向がある。特に、下部保護層は、熱
による基板変形を抑制する役割があるため通常は50n
m以上である。あまりに薄いと、繰り返しオーバーライ
ト中に微視的な基板変形が蓄積され、再生光が散乱され
てノイズ上昇が著しくなることがある。
点から通常200nm程度が実質的に上限となるが、あ
まり厚いと記録層面で見た溝形状が変わってしまうこと
がある。すなわち、溝深さが基板表面で意図した形状よ
り浅くなったり、溝幅がやはり、基板表面で意図した形
状より狭くなってしまうことがある。従って、より好ま
しくは150nm以下である。
とする第1反射層、拡散防止層、銀を主成分とする第2
反射層という層構成は、全体として高反射率の光反射機
能と高熱伝導率の放熱機能を有し、かつ、経時的に安定
である。従って、これらを硫黄を含まない保護層上に設
けても、非常に優れた光情報記録用媒体が得られる。特
に、第1反射層を0.1〜2原子%のタンタル含むアル
ミニウム合金とし、拡散防止層をタンタル、第2反射層
を純銀とした層構成は、相互の合金化もなくかつ第1反
射層内部のタンタルの析出も少なく、極めて長期にわた
って安定な反射率及び熱伝導率が得られる。
形成せず、かつ、銀への該中間層元素の固溶度及び該中
間層元素への銀の固溶度のいずれもが5原子%以下の元
素からなり、さらに硫黄との反応性が低いか又はその硫
化物が化学的に安定である元素からなる。あるいは、中
間層は銀と完全固溶体を形成する元素からなるか、金属
又は半導体の酸化物、窒化物、炭化物であるか、もしく
は非晶質カーボンからなる。
記録特性の経時変化が抑えられる。態様(2)において
中間層に使用できる材料としては、前記態様(1)にお
いて拡散防止層の材料として例示した各種の材料と同じ
ものが使用できる。即ち、金属、半導体、金属酸化物、
金属窒化物、金属炭化物、半導体酸化物、半導体窒化
物、半導体炭化物、非晶質カーボン等各種の化合物を例
示することができる。
W,Vからなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げら
れる。中でもTa及び/又はNiが好ましいく、特に好
ましくはTaである。本中間層としては銀と合金化しや
すいアルミニウムやゲルマニウムは単層ではもちいるこ
とができない。また、金属又は半導体の酸化物、窒化物
又は炭化物としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケ
イ素、酸化タンタル、酸化セリウム、酸化ランタン、酸
化イットリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種
が挙げられる。
ンとしては、非晶質の水素化カーボンが挙げられる。特
に好ましい材料は金属又はカーボンである。また、酸化
タンタルは、拡散防止層と誘電体保護層の両方の役割を
果たすことも可能である。相変化型記録媒体において
は、酸化タンタルは数少ない優れた保護層材料であるた
め特に好ましい。
光を吸収する材料を用いる場合には光学的に不利になる
ため記録された信号の強度が多少小さくなる場合があ
る。そのため保護層としてZnS−SiO2層を用い、
かつ生産性、経済性に優れたAgを反射層として用いた
い場合にはZnS−SiO2上に薄いAl合金層、本発
明の中間層、Ag層をこの順で設けることが有効とな
る。
害しない範囲で他の元素を添加してもよい。中間層の膜
厚については、通常1nm以上、好ましくは5nm以上
であり、また通常100nm以下、好ましくは50nm
以下、特に好ましくは20nm以下である。1nmより
薄いと中間層としての効果がなくなり、100nmを越
えると反射層の放熱層としての効果が薄れる傾向にある
からである。また膜の応力により基板が変形したりクラ
ックが入る場合もある。生産コスト、タクトの面でも悪
くなる。
の他の部分について説明する。態様(2)においても基
本的な層構成は態様(1)と同様である。基板として
は、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィンなど
の透明樹脂、あるいはガラスを用いることができる。中
でも実績もあり安価でもあるポリカーボネートが好まし
い。
を用い、ヘッドを媒体に近接させて記録再生する場合
は、基板の剛性や耐熱性のより高い樹脂又はガラス、金
属を用いても良い。また、基板を通して記録再生を行わ
ない場合は基板は透明である必要はない。記録層は、通
常その上下を保護層で被覆されている。
率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決
定される。一般的には透明性が高く高融点である金属や
半導体の酸化物、硫化物、窒化物やCa、Mg、Li等
のフッ化物を用いることができる。これらの酸化物、硫
化物、窒化物、フッ化物は必ずしも化学量論的組成をと
る必要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御した
り、混合して用いることも有効である。繰り返し記録特
性を考慮すると誘電体混合物がよい。より具体的にはZ
nSや希土類硫化物と酸化物、窒化物、炭化物等の耐熱
化合物の混合物が挙げられる。たとえばZnSとSiO
2の混合物は相変化型光ディスクの保護層に用いられる
場合が多い。
は硫黄を含有し、好ましくはZnS、TaS2、希土類
硫化物等の硫化物を含有する。その他上下の保護層の材
料としては態様(1)において例示した具体的な材料が
使用できる。これらの保護層の膜密度はバルク状態の8
0%以上であることが機械的強度の面から望ましい(Th
in Solid Films、第278巻(1996年)、74〜8
1ページ)。
る。薄すぎると、基板や記録膜の変形防止効果が不十分
であり、保護層としての役目をなさない傾向がある。ま
た厚すぎると誘電体自体の内部応力や基板との弾性特性
の差が顕著になって、クラックが発生しやすくなる傾向
にある。特に、下部保護層は、熱による基板変形を抑制
する必要があり、通常は50nm以上である。あまり薄
いと、繰り返しオーバーライト中に微視的な基板変形が
蓄積され、再生光が散乱されてノイズ上昇が著しくなる
ことがある。
点から通常200nm程度が実質的に上限となるが、あ
まりに厚いと記録層面で見た溝形状が変わってしまうこ
とがある。すなわち、溝深さが基板表面で意図した形状
より浅くなったり、溝幅がやはり、基板表面で意図した
形状より狭くなってしまうことがある。従って、より好
ましくは150nm以下である。
ためには通常5nm以上、好ましくは10nm以上とす
る。また、あまりに厚いと、上部保護層内部に繰り返し
オーバーライト中に微視的な塑性変形が蓄積されやす
く、これが、また再生光を散乱させノイズを増加させ
る。上限値としては通常60nm、好ましくは50nm
である。
使用でき、例えばGeSbTeやInSbTe、AgS
bTe、AgInSbTeといった化合物がオーバーラ
イト可能な材料として選ばれる。なかでも、{(Sb2
Te3)1-x(GeTe)x}1-ySby合金(0.2<x
<0.9、0≦y<0.1)、またはMaw(SbzTe
1-z)1-w合金(ただし、0≦w≦0.3、0.5≦z≦
0.9、MaはIn、Ga、Zn、Ge、Sn、Si、
Cu、Au、Ag、Pd、Pt、Pb、Cr、Co、
O、N、S、Se、Ta、Nb、V、Bi、Zr、T
i、Mn、Mo、Rh及び希土類元素から選ばれる少な
くとも一種)を主成分とする薄膜は、結晶・非晶質いず
れの状態も安定でかつ、両状態間の高速の相転移が可能
である。
時に偏析が生じにくいといった利点があり、最も実用的
な材料である。記録層は相変化型の場合、通常その厚み
は10nm以上、100nm以下である。記録層の厚み
が薄すぎると十分なコントラストが得られ難く、また結
晶化速度が遅くなる傾向があり、短時間での記録消去が
困難となりやすい。
ラストが得にくくなり、また、クラックが生じやすくな
る。そして特に好ましくは10nm以上、30nm以下
である。10nm未満では反射率が低くなりすぎ、30
nmより厚いと熱容量が大きくなり記録感度が悪くなり
やすい傾向にある。
ス、特にArガス中でスパッタして得られることが多
い。なお、記録層および保護層の厚みは、上記機械的強
度、信頼性の面からの制限の他に、多層構成に伴う光学
的干渉効果も考慮して、レーザー光の吸収効率が良く、
記録信号の振幅すなわち記録状態と未記録状態のコント
ラストが大きくなるように選ばれる。
スパッタリング法などによって形成される。記録膜用タ
ーゲット、保護膜用ターゲット、必要な場合には反射層
材料用ターゲットを同一真空チャンバー内に設置したイ
ンライン装置で膜形成を行うことが各層間の酸化や汚染
を防ぐ点で望ましい。また、生産性の面からも優れてい
る。
を主成分とする材料は前記態様(1)において第2反射
層として使用する銀を主成分とする材料と同様の物を使
用できる。また、その厚さは通常30〜300nm、好
ましくは40〜200nmである。厚すぎると反射層自
体の熱容量が大きくなりすぎて記録感度が低下したり、
また、クラックも生じ易い。薄すぎると光を透過してし
まい十分な反射率が得られない。また、銀反射層本来の
放熱効果も得られない。
越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
各元素の固溶度は“Constitution of Binary Alloys",
(Max Hansen and KurtAnderko, second edition(1985),
Genium Publishing Corporation, New York)の値を用
いた。
X線励起光電子分光法等を組み合わせて確認した。保護
層膜の密度は基板上に数百nm程度に厚く成膜した時
の、重量変化から求めた。膜厚は蛍光X線強度を触針計
で測定した膜厚で校正して用いた。反射層の面積抵抗率
は4探針法抵抗計(三菱油化(現ダイアインスツルメン
ト)社製Loresta FP )で測定した。抵抗測
定は、絶縁物であるガラスもしくはポリカーボネート樹
脂基板上に成膜した反射層、あるいは、図1の4層構成
(紫外線硬化樹脂保護コート前)成膜後、最上層となる
反射層で測定した。
め、面積抵抗率測定に影響はない。また、実質的に無限
大の面積とみなせる、直径120mmのディスク基板形
状のまま測定している。得られた抵抗値Rを以下の式に
あてはめ、面積抵抗率rS及び体積抵抗率rVを計算し
た。ただし、tは膜厚、Fは測定する薄膜領域の形状で
決まる補正係数であって4.3〜4.5の値をとる。こ
こでは、4.4とした。
た。記録再生評価にはパルステック製DDU1000評
価機を用い、記録線速を1.2m/sから4.8m/s
とし、再生速度はCDの2倍速(2.4m/s)とし
た。光ヘッドの波長は780nm、NAは0.55であ
る。
て、EFM(Eight-Fourteen modulation)ランダムパ
ターンを記録した。クロック周期Tとし、記録マーク形
成部においては記録パルス区間で記録パワーPwを、オ
フパルス区間でバイアスパワーPbを交互に照射し、マ
ーク間部には消去パワーPeを印加する。ただし、線速
2.8m/s以上でマーク最後端のオフパルス区間にお
いてPb=Peとした場合がある。Pbはすべての線速
度において0.8mWで一定とした。
ク周期は115nsecであり、線速切り替え時にはク
ロック周期Tを線速に反比例させた。再生速度は2倍速
であるから、ジッタの許容値はCD規格では17.5n
secになる。成膜直後の記録層は非晶質であり、長軸
約70μm、短軸約1.3μmに集光した波長830n
mのレーザー光ビームにより線速3.5m/sで初期化
パワー500〜600mWを照射して全面結晶化させ初
期(未記録)状態とした。
再凝固する際に結晶化していると考えられる。基板は厚
さ1.2mmのポリカーボネート基板で、特に断らない
限り、射出成形により1.6μmピッチで幅0.53μ
m、深さ32nmの溝が形成されている。記録はこの溝
内に行った。
用いて測定した。もちろん、走査型電子顕微鏡や走査型
プローブ顕微鏡で溝形状を実測しても良い。この場合、
溝深さの半分の位置における溝幅を用いる。実施例1ポ
リカーボネート基板に、下部保護層(ZnS)80(Si
O2)20を95nm、Ag5In5Sb61.5Te28.5記録
層を17.5nm、上部保護層(ZnS)80(Si
O2)20を38nmを成膜し、さらに第1反射層として
膜厚40nmのAl99Ta1合金、第2反射層として膜
厚60nmのAgを成膜した。下部保護層から第1反射
層までは真空を解除することなくスパッタ法で作成し、
第1反射層を成膜後大気解放し5時間放置後、再び真空
にてスパッタ法により第2反射層を成膜した。
紫外線硬化樹脂をオーバーコート層として4μm積層し
た。第1反射層の成膜は到達真空度2×10-4Pa以
下、Ar圧0.54Pa、成膜レート1.3nm/秒で
行った。体積抵抗率は92nΩ・mであった。酸素、窒
素等の不純物はX線励起光電子分光での検出感度以下
で、全部併せてもほぼ1原子%未満であると見なせた。
Pa以下、Ar圧0.54Pa、成膜レート1.3nm
/秒で行った。体積抵抗率は32nΩ・mであった。酸
素、窒素等の不純物はX線励起光電子分光での検出感度
以下で、全部併せてもほぼ1原子%未満であると見なせ
た。(ZnS)80(SiO2)20保護層の膜密度は3.
50g/cm3で理論的バルク密度3.72g/cm3の
94%であった。
ーを用いPe/Pw=0.5として2倍速(2.4m/
s)記録を行った場合の3Tマークジッタおよび3Tス
ペースジッタの記録パワー依存性を図4に初期値として
示した。同様に、図2のパルスストラテジーでクロック
周期のみ半分とし、Pe/Pw=0.5として4倍速
(4.8m/s)記録を行った場合の記録パワー依存性
を図5に初期値として示した。この場合には最後のオフ
パルス区間を0とした。
ーライト後、測定は2倍速(2.4m/s)で行ってい
る。図4及び図5より、2倍速、4倍速において3Tマ
ークジッタ、3Tスペースジッタともに広いパワーマー
ジンを有することがわかる。このディスクを80℃、8
0%RHの高温高湿下に500時間放置した後、2倍速
及び4倍速記録部を再生したところ、図4及び図5に加
速試験後の値として示すように、通常使用する記録パワ
ーの範囲においてジッタには全く劣化がみられなかっ
た。
び記録パワーマージンが得られた。また、繰り返しオー
バーライトは5000回程度まで可能であった。また、
加速試験前のディスクのCD規格におけるブロックエラ
ーレートは平均10個/秒、最大30個/秒以下で、5
00時間加速試験後もほとんど増加しなかった。
にて分析したところ第1反射層と第2反射層の界面に酸
素の存在を示すピークがあり、界面にAgやAlの酸化
物層が形成されていることを確認した。 比較例1 層構成および成膜条件は実施例1と全く同じとした。た
だし、下部保護層から第2反射層までのすべての薄膜は
スパッタ法で真空を解除せずに成膜した。
例1と同じであり、同様の体積抵抗率を示した。2倍
速、4倍速において、3Tマークジッタ、3Tスペース
ジッタともに広いパワーマージンを測定したところ実施
例1とほぼ同等の特性を示した。また、繰り返しオーバ
ーライトは5000回程度まで可能であった。
高湿度の条件下に50時間放置し再生したところジッタ
が大きく悪化した。また、平均ブロックエラーレートは
100個/秒以上に増加した。このディスクに2倍速記
録しようとしたが、全く非晶質マークが形成されなくな
っていた。このディスクを反射層側から目視にて観察す
ると、成膜直後の時点では表面が銀色に見えていたが、
上記500時間加速試験後はやや青みを帯びて変質して
いた。これについてオージェデプスプロファイルを測定
したところ、Al合金である第1反射層とAgである第
2反射層が相互拡散により完全に合金化していることが
わかった。 すなわち反射層の合金化が起こって熱伝導
率が低くなってしまい、記録ができなくなったものと考
えられる。
であった。 比較例2 ポリカーボネート基板に、下部保護層(ZnS)80(S
iO2)20を95nm、Ag5In5Sb61.5Te28.5記
録層を17.5nm、上部保護層(ZnS)80(SiO
2)20を38nm、反射層Agを50nm成膜した。
空を解除せずに成膜した。反射層成膜後、スピンコート
法により紫外線硬化樹脂をオーバーコート層として4μ
m積層した。反射層の成膜は到達真空度2×10-4Pa
以下、Ar圧0.54Pa、成膜レート1.3nm/秒
で行った。その体積抵抗率は32nΩ・mであった。酸
素、窒素等の不純物はX線励起光電子分光での検出感度
以下で、全部併せてもほぼ1原子%未満であると見なせ
た。
度は3.50g/cm3で理論的バルク密度3.72g
/cm3の94%であった。本ディスクを評価したとこ
ろ、2倍速、4倍速において3Tマークジッタ、3Tス
ペースジッタともに広いパワーマージンを有することが
わかった。しかし、繰り返しオーバーライトは1000
回程度しか得られなかった。
すると、成膜直後の時点では表面が銀色に見えていた
が、500時間加速試験後は変色していた。Agが上部
保護層中の硫化物の硫黄と反応したものと考えられる。
成膜後室温にて数日放置した媒体にも同様のAg膜の変
色が見られた。 実施例2 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(105nm)、Ag5In5Sb62Te28記
録層(17nm)、(ZnS)80(SiO2)2 0上部保
護層(40nm)、Ta2O5中間層(10nm)、Ag
反射層(90nm)の構成をスパッタ法により作成し、
この上にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行
った。このディスクを初期結晶化した後、溝内に非晶質
マークを形成して記録を行った。
ーを用い、Pe/Pw=0.5、記録パワー10mWと
して2倍速記録を行った。その後このディスクを80
℃、80%RHの環境に500時間保った後、同様の記
録を再度行なった。(以降では、80℃、80%RHの
環境に500時間保つ操作を加速試験と記す。)加速試
験前後の記録で3Tスペースジッタはそれぞれ12.5
nsec、14.3nsecで劣化は小さかった。上部
保護層と中間層の合計の膜厚を変えないように中間層
(酸化タンタル層)の膜厚を10〜50nmまで変化さ
せたディスクも結果はほぼ同様だった。信号強度も十分
に大きく劣化もほとんど見られなかった。
下部保護層(95nm)、Ag5In5Sb62Te28記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Ta中間層(40nm)、Ag反射層
(70nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上
にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
実施例2と同様の記録、評価をしたところ、加速試験前
後の記録で3Tスペースジッタはそれぞれ15.0ns
ec、17.4nsecで劣化は小さかった。中間層
(Ta層)の膜厚を10〜40nmまで変化させたディ
スクも結果はほぼ同様だった。信号強度は実施例2のも
のよりは小さかったが、問題ないレベルであった。
考えられる。 実施例4 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In5Sb62Te28記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Ni中間層(40nm)、Ag反射層
(70nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上
にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
実施例2と同様の記録、評価をしたところ、加速試験前
後の記録で3Tスペースジッタはそれぞれ15.0ns
ec、15.0nsecで劣化は小さかった。中間層
(Ni層)の膜厚を10〜40nmまで変化させたディ
スクも結果はほぼ同様だった。信号強度は実施例2のも
のよりは小さかったが、問題ないレベルであった。
あり、AgのNiへの固溶度は2at%以下であると考
えられる。 比較例3 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In5Sb62Te28記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Ag反射層(70nm)の構成をスパ
ッタ法により作成し、この上にさらに紫外線硬化樹脂か
らなる保護コートを行った。実施例2と同様の耐環境試
験をおこなったところ、Ag側から顕微鏡観察で観察可
能な欠陥が多数現れ、さらには加速試験前のディスクで
も記録を繰り返すと100回程度で記録特性は劣化して
しまった。
下部保護層(95nm)、Ag5In5Sb62Te28記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Al合金反射層(40nm)、Ag反
射層(70nm)の構成をスパッタ法により作成し、こ
の上にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行っ
た。実施例2と同様の記録、評価をしたところ、加速試
験後は記録マークが書けず測定できないほどに劣化し
た。オージェ電子分光法により加速試験後のディスクの
解析を行ったところAlとAgが相互拡散していること
を確認した。
下部保護層(105nm)、Ag5In5Sb62Te28記
録層(17nm)、(ZnS)80(SiO2)2 0上部保
護層(50nm)、Al99Ta1合金反射層(220n
m)の構成をスパッタ法により作成し、この上にさらに
紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。実施例2
と同様の記録、評価をしたところ、加速試験前後の記録
で3Tスペースジッタはそれぞれ11.7nsec、3
0.1nsecで劣化が大きかった。
下部保護層(95nm)、Ag5In5Sb62Te28記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Ti層(40nm)、Ag反射層(7
0nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上にさ
らに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。実施
例2と同様の記録、評価をしたところ、加速試験後は記
録マークが書けず測定できないほどに劣化した。Tiと
Agが相互拡散し、合金化したためと考えられる。
850℃において約5at%であった。しかしながら、
TiとAgは化合物TiAgを形成する。 比較例7 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In5Sb62Te28記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Zr層(40nm)、Ag反射層(7
0nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上にさ
らに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。実施
例2と同様の加速試験をおこなったところ目視で観察可
能な多数の欠陥が現れた。
ものの、ZrはAgと化合物ZrAg、おそらくZr2
Ag、Zr3Agを形成する。 比較例8 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In6Sb63Te26記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Ge層(40nm)、Ag反射層(7
0nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上にさ
らに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。実施
例2と同様の加速試験をおこなったところ目視で反射膜
の色が試験前は白銀色だったものが、赤同色がかって変
色しているのが分かった。2倍速の通常の記録条件では
全く非晶質マークが記録できなくなっていた。4倍速の
線速で、信号を通常よりも短いパルスで記録したところ
アモルファスマークが記録できた。
1℃において約9at%であった。 実施例5 0.6mm厚のポリカーボネート基板に、下部保護層
(ZnS)80(SiO2)20を205nm、Ag5In6
Sb63Te26記録層を18nm、上部保護層(ZnS)
80(SiO2)20を20nmを成膜し、さらに第1反射
層として膜厚40nmのAl99.5Ta0.5合金、第2反
射層として膜厚70nmのAgを成膜した。
除することなくスパッタ法で作成し、第1反射層を成膜
後大気解放し3日間放置後、再び真空にてスパッタ法に
より第2反射層を成膜した。第2反射層成膜後、スピン
コート法により紫外線硬化樹脂をオーバーコート層とし
て4μm積層した。出来たディスクは2枚をオーバーコ
ート層が向かい合うように貼り合わせた。
Pa以下、Ar圧0.55Paで行った。体積抵抗率は
55nΩ・mであった。酸素、窒素等の不純物はX線励
起光電子分光での検出感度以下で、全部併せてもほぼ1
原子%未満であると見なせた。第2反射層の成膜は到達
真空度4×10-4Pa以下、Ar圧0.35Paで行っ
た。体積抵抗率は32nΩ・mであった。酸素、窒素等
の不純物はX線励起光電子分光での検出感度以下で、全
部併せてもほぼ1原子%未満であると見なせた。
0.60の評価機を使用して、線速3.5m/s、8ー
16変調、0.266um/bit(3T=0.4u
m)、図6に示すパルスストラテジーを用いPe/Pw
=0.5として2倍速記録を行った場合のジッター、反
射率、及び変調度のPw依存性を図7に初期値(Tim
e0)として示した。
多少変更したパルスストラテジーを用いて線速度3.5
m/s、記録パワー13mWで記録を行ったところ、ジ
ッターは10%以下であった。このディスクを80℃、
80%RHの高温高湿下に100時間放置した後、同様
に7m/sで記録を行ったところ図7(Time 10
0h)に示すように全く劣化がみられなかった。
下部保護層(95nm)、Ag5In6Sb62Te27記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Al99.5Ta0.5合金第1反射層(4
0nm)、Ta中間層(40nm)、Ag第2反射層
(80nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上
にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
実施例1と同様の記録、評価をった場合のジッター、反
射率、及び変調度のPw依存性を図8及び図9に初期値
(Time 0)として示した。
高湿下に100時間放置した後、同様に記録を行ったと
ころ図8及び図9(Time 100h)に示すように
劣化がみられなかった。なお、TaのAgとの固溶度は
0at%と考えられる。 実施例7 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In6Sb63Te26記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、非晶質カーボン中間層(40nm)、
Ag反射層(70nm)の構成をスパッタ法により作成
し、この上にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コート
を行った。実施例2と同様の記録、評価をしたところ、
加速試験前後の記録で3Tスペースジッタは変化が見ら
れなかった。
った。 実施例8 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In6Sb63Te26記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Co中間層(40nm)、Ag反射層
(70nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上
にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
実施例2と同様の記録、評価をしたところ、加速試験前
後の記録で3Tスペースジッタは変化が見られなかっ
た。
あった。 実施例9 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In6Sb63Te26記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Cr中間層(40nm)、Ag反射層
(70nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上
にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
実施例2と同様の記録、評価をしたところ加速試験前後
の記録で3Tスペースジッタは変化が見られなかった。
あった。 実施例10 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In6Sb63Te26記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Si中間層(40nm)、Ag反射層
(70nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上
にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
加速試験後に反射膜の合金化は見られず、実施例2と同
様の記録、評価をしたところ、反射率に変化が見られた
が記録は可能であった。
あった。 実施例11 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In6Sb63Te26記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、W中間層(40nm)、Ag反射層
(70nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上
にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
加速試験後に反射膜の合金化は見られなかった。
った。 実施例12 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In6Sb63Te26記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、V中間層(40nm)、Ag反射層
(70nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上
にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
加速試験後に反射膜の合金化は見られなかった。
えられる。 実施例13 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In6Sb63Te26記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Au中間層(40nm)、Ag反射層
(70nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上
にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
加速試験後に反射膜の合金化が見られたものの、実施例
2と同様の記録、評価をしたところ、加速試験前後の記
録で3Tスペースジッタは変化が見られなかった。
していたかもしれないが、AuとAgは完全固溶体を形
成するため、反射率や熱伝導性を大きく変化させるよう
な相分離は生じなかったと考えられる。 実施例14 ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO2)20
下部保護層(95nm)、Ag5In6Sb63Te26記録
層(18nm)、(ZnS)80(SiO2)20上部保護
層(40nm)、Pd中間層(40nm)、Ag反射層
(70nm)の構成をスパッタ法により作成し、この上
にさらに紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行った。
加速試験後に反射膜の合金化が見られたものの、実施例
2と同様の記録、評価をしたところ、加速試験前後の記
録で3Tスペースジッタは変化が見られなかった。
していたかもしれないが、PdとAgは完全固溶体を形
成するため、反射率や熱伝導性を大きく変化させるよう
な相分離は生じなかったと考えられる。
のパワーに亘って良好なディスク特性を有し、かつ保存
安定性にも優れた光学的情報記録用媒体を得ることがで
きる。また、光ヘッドと本媒体を用いることにより小型
で高密度・高速記録再生可能な情報記録装置を得ること
ができ、さらに浮上型ヘッドまたは接触型ヘッドと組み
合わせることによりさらに高密度で記録可能な情報記録
装置を得ることができる。
図
例の説明図
ワー依存性を示すグラフ
ワー依存性を示すグラフ
の一例の説明図
パワー依存性を示すグラフ
グラフ
存性を示すグラフ
Claims (26)
- 【請求項1】 基板と、記録層と、硫黄原子を含有する
保護層と、該保護層に接する中間層と、該中間層に接し
銀を主成分とする反射層とからなり、該中間層は金属又は合金で形成され、 該金属又は合金が、該反射層と接する側においては銀と
化合物を形成せず、かつ、銀への該中間層元素の固溶度
及び該中間層元素への銀の固溶度のいずれもが5原子%
以下の元素からなり、 該保護層と接する側においては
硫黄との反応性が低いか又はその硫化物が化学的に安定
である元素からなることを特徴とする光学的情報記録用
媒体。 - 【請求項2】 反射層における銀の含有量が95原子%
以上である請求項1に記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項3】 反射層が、Ti、V、Ta、Nb、W、
Co、Cr、Si、Ge、Sn、Sc、Hf、Pd、R
h、Au、Pt、Mg、Zr、Mo及びMnからなる群
から選ばれた少なくとも一種を0.2原子%以上2原子
%以下含有する銀合金、又は純銀からなる請求項2に記
載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項4】 保護層が硫化物を含有する請求項1乃至
3のいずれかに記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項5】 記録層が、Maw(SbzTe1-z)1-w合
金薄膜(ただし、0≦w≦0.3、0.5≦z≦0.
9、MaはIn、Ga、Zn、Ge、Sn、Si、C
u、Au、Ag、Pd、Pt、Pb、Cr、Co、O、
N、S、Se、Ta、Nb、V、Bi、Zr、Ti、M
n、Mo、Rh及び希土類元素から選ばれる少なくとも
一種)からなる請求項1乃至4のいずれかに記載の光学
的情報記録用媒体。 - 【請求項6】 請求項5において、0≦w≦0.2であ
る光学的情報記録用媒体。 - 【請求項7】 請求項5又は6において、0.6≦z≦
0.8である光学的情報記録用媒体。 - 【請求項8】 中間層は、反射層と接する側において
は、銀との2元合金相図において共晶温度が500℃以
上の元素からなる請求項1乃至7のいずれかに記載の光
学的情報記録用媒体。 - 【請求項9】 中間層は、反射層と接する側において
は、タンタル、ニッケル、コバルト、クロム、シリコ
ン、タングステン及びバナジウムから選ばれる少なくと
も一種からなる請求項8に記載の光学的情報記録用媒
体。 - 【請求項10】 中間層は、反射層と接する側において
は、タンタルもしくはニッケルから選ばれる少なくとも
一種からなる請求項9に記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項11】 中間層は、保護層と接する側において
は、硫黄との2元合金相図において硫黄と化合物を形成
しないか又は硫黄との化合物が500℃以下で分解、昇
華、融解、相変態を生じない元素からなる請求項1乃至
10のいずれかに記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項12】 中間層は、保護層と接する側において
は、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、タンタ
ル、ニッケル、コバルト、クロム、タングステン及びバ
ナジウムから選ばれる少なくとも一種からなる請求項1
1に記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項13】 中間層は、保護層と接する側において
は、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、タンタル
及びニッケルから選ばれる少なくとも一種からなる請求
項12に記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項14】 中間層は、保護層と接する側において
は、アルミニウム、タンタル及びニッケルから選ばれる
少なくとも一種からなる請求項12に記載の光学的情報
記録用媒体。 - 【請求項15】 中間層が、保護層に接して設けられた
アルミニウムを主成分とする層と、反射層に接して設け
られたアルミニウムと銀との拡散を防止する層との少な
くとも2層からなる請求項1乃至7のいずれかに記載の
光学的情報記録用媒体。 - 【請求項16】 アルミニウムと銀との拡散を防止する
層が、アルミニウム又は銀と、酸素及び/又は窒素との
化合物である請求項15に記載の光学的情報記録用媒
体。 - 【請求項17】 アルミニウムと銀との拡散を防止する
層が、アルミニウム又は銀と、酸素との化合物である請
求項16に記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項18】 アルミニウムと銀との拡散を防止する
層が、タンタルもしくはニッケルを主成分とする請求項
15に記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項19】 アルミニウムを主成分とする層におけ
るアルミニウムの含有量が95原子%以上である請求項
15乃至18のいずれかに記載の光学的情報記録用媒
体。 - 【請求項20】 アルミニウムを主成分とする層が、T
a、Ti、Co、Cr、Si、Sc、Hf、Pd、P
t、Mg、Zr、Mo及びMnからなる群から選ばれた
少なくとも一種を0.2原子%以上2原子%以下含有す
るアルミニウム合金、又は純アルミニウムからなる請求
項19に記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項21】 中間層が、タンタル、ニッケル、コバ
ルト、クロム、シリコン、タングステン及びバナジウム
から選ばれる少なくとも一種からなる請求項1乃至7の
いずれかに記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項22】 集光された光ビームを照射してマーク
長変調された非晶質マークの記録・再生・消去を行う媒
体であって、 基板と、下部保護層、膜厚が10nm以上30nm以下
のMaw(SbzTe1-z)1-w合金薄膜(ただし、0≦w
≦0.2、0.6≦z≦0.8、MaはIn、Ga、Z
n、Ge、Sn、Si、Cu、Au、Ag、Pd、P
t、Pb、Cr、Co、O、N、S、Se、Ta、N
b、V、Bi、Zr、Ti、Mn、Mo、Rh及び希土
類元素から選ばれる少なくとも一種)からなる相変化型
記録層、 膜厚が30nm以上60nm以下の上部保護層、膜厚が
5nm以上50nm以下のアルミニウムを主成分とする
第1反射層、第1反射層と接する拡散防止層、拡散防止
層と接し膜厚が40nm以上200nm以下で体積抵抗
率が20nΩ・m以上80nΩ・m以下の銀を主成分と
する第2反射層、とからなることを特徴とする光学的情
報記録用媒体。 - 【請求項23】 第1反射層の体積抵抗率が20nΩ・
m以上150nΩ・m以下である請求項22に記載の光
学的情報記録用媒体。 - 【請求項24】 基板と、記録層と、硫黄原子を含有す
る保護層と、該保護層に接する中間層と、該中間層に接
し銀を主成分とする反射層とからなり、該中間層は、銀
と完全固溶体を形成する元素からなることを特徴とする
光学的情報記録用媒体。 - 【請求項25】 中間層が、少なくとも、誘電体保護層
に接するアルミニウムを主成分とする層と、銀を主成分
とする反射層に接するタンタルもしくはニッケルからな
る層からなる請求項15に記載の光学的情報記録用媒
体。 - 【請求項26】 中間層が、厚さ5nm以上50nm以
下のタンタルを0.1以上2原子%以下含むアルミニウ
ム合金からなる層と、厚さ5nm以上50nm以下のタ
ンタルからなる層からなり、反射層が厚さ30nm以上
200nm以下である請求項25に記載の光学的情報記
録用媒体。
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-
1998
- 1998-11-12 JP JP32184898A patent/JP3494044B2/ja not_active Expired - Lifetime
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