JP3235301B2 - 光電圧センサー - Google Patents

光電圧センサー

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JP3235301B2 JP28855693A JP28855693A JP3235301B2 JP 3235301 B2 JP3235301 B2 JP 3235301B2 JP 28855693 A JP28855693 A JP 28855693A JP 28855693 A JP28855693 A JP 28855693A JP 3235301 B2 JP3235301 B2 JP 3235301B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発変電所や送電ケーブ
ルだけではなく工場および家庭など、あらゆる電力部門
における電圧計測システムに利用できる光電圧センサー
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光電圧センサーは一次電気光学効果を利
用して光の変調から電圧を測定するものである。一次電
気光学効果とは、常光線および異常光線の2種の光の屈
折率が印加する電圧により、電圧に比例して変化する現
象である。光電圧センサーは測定系に一次電気光学効果
を持つ結晶と電界を印加する電極から構成されるポッケ
ルス素子を配置し、これに直線偏光した光を入射させる
と、直交する光の2成分のおのおのに対する屈折率が電
圧によって変化するので、両者間に位相差が生じ、全体
として楕円偏光となる。このため、この複屈折現象によ
る位相差を測定することにより、電圧を測定することが
できる。
【0003】この一次電気光学効果による位相差を測定
する方法は、一般的には以下のような光強度方式が、用
いられる。偏光子により偏光された光を、ポッケルス素
子の結晶軸(X軸、Y軸)に対し45度の偏光角度で入
射させる。この入射光はポッケルス素子において電圧に
比例して位相差Γを生じ出射する。さらにその出射光を
1/4波長板を通すことにより、X成分とY成分の位相
にπ/2を追加して、全体でΓ+π/2の位相差とな
る。この出射光を偏光子と90度向きの異なる検光子に
よって検光子主軸方向の光だけを取り出し、フォトダイ
オードにより電気信号に変えて出力させる。
【0004】ここで被測定電圧が光の伝搬方向に印加さ
れるように対向二電極を作製する場合と電圧が光伝搬方
向に垂直に印加されるように作製する場合とがあり、一
般には前者を縦型、後者を横型の変調方式と区別してい
る。ポッケルス素子に自然複屈折がなく比較的温度特性
の良いビスマス酸ゲルマ(Bi12GeO12)やビスマス
酸シリコン(Bi12SiO20)などの酸化物単結晶が用
いられるときは、縦型方式が選択され、一次電気光学効
果の大きいニオブ酸リチウム(LiNbO3 )やタンタ
ル酸リチウム(LiTaO3 )などの単結晶が用いられ
るときは横型方式が選択されている。光電圧センサーで
は、送光ファイバからの光をレンズで、一端平行光にし
て偏光子に入射し、検光子から得られる出射光をレンズ
で再び集光し受光ファイバで伝送出来るように各素子が
組み立てられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術で構成さ
れた光電圧センサーではフォトダイオード上での出射光
強度Pは次式のように表される。P≒Po{1+π・
(V/Vπ)}、但しπ・(V/Vπ)≪1である。こ
こでVπは半波長電圧、Poは入射光強度である。縦型
方式ではポッケルス素子の材料定数および入射光の波長
のみでVπが得られ、被測定電圧VはVπで規格され、
感度はπ/Vπとなり感度が直線性を示す範囲により被
測定電圧のダイナミックレンジの上限が制限されてい
た。また横型方式では光の伝搬長を変えることでVπを
任意に選べ、結晶長を長くすればVπは小さくなり、感
度が大きくなるので微弱な被測定電圧の測定が可能にな
るが、被測定電圧VはVπで規格され測定スパン(V/
Vπ比)は縦型方式と同様であった。しかも、横型方式
では屈折率の温度依存性が大きくなり、実用面では大き
な制限となっていた。
【0006】一方、コスト面でも光電圧センサー内部に
配置される偏光子、検光子および1/4波長板は方解石
から作製されたプリズムが使用されており、これら光学
部品は高価でありセンサーの価格が高くなるという問題
があった。
【0007】本発明は、高価な光学部品を用いず、被測
定電圧を高感度で測定できる光電圧センサーを作製する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、一次電気光学
効果をもつ基板の入出射面に形成される反射鏡と、該反
射鏡の表面に作製される二光束が入出射する2組の対向
透明電極と、反射光強度と透過光強度の比を調整できる
ように該2組の対向透明電極にDC電圧を印加する電気
回路と、該2組の対向透明電極のうちの1組の対向透明
電極に該DC電圧に重畳して被測定電圧を印加する電気
回路とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明の光電圧センサーは、前記2
組の対向透明電極のうち、DC電圧に重畳して被測定電
圧が印加される1組の対向透明電極を備えた測定光強度
を測定する系と、DC電圧のみが印加される残りの1組
の対向透明電極を備えた反射光強度と透過光強度を測定
する系とが、分波器、方向性結合器、集束性ロッドレン
ズを含む二光束型測定系をなすことを特徴とするもので
ある。
【0010】
【作用】本発明について光電圧センサー部の構成と作製
法を図1に基づいて説明する。光電圧センサーは、一次
電気光学効果をもつ異方性結晶、等方性結晶または等方
性物質(セラミック、高分子)である基板10の光入出
射面上に、反射率34%から99%までの範囲にある誘
電体多層膜または金属薄膜を真空蒸着法かスパッタ法に
より成膜する。
【0011】作製された反射鏡8の外側には2組の対向
透明電極9aおよび9bを備え、そのうちの1組の対向
透明電極9aには外部のDC電圧と被測定電圧とが重畳
できるように、また、残りの1組の対向透明電極9bに
は外部のDC電圧のみ印加出来るように、それぞれリー
ド線14を配線する。これらの対向透明電極9a、9b
は酸化インジウムと酸化スズの組成をもつ導電性薄膜を
用いる。基板10に使われる異方性結晶、等方性結晶ま
たは等方性物質(セラミック、高分子)は一次電気光学
効果をもつと同時に、光の伝搬方向に垂直面内では屈折
率の異方性のない結晶方位を選ぶ。このように作製され
た基板10、反射鏡8、対向透明電極9a、9bからな
るポッケルス素子には、入出射面で2個づつの集束性ロ
ットレンズ7および13を配置する。
【0012】入射側においては、送光ファイバ3aは分
波器1に接続され、分波器1は2本の送光ファイバ3b
でそれぞれ方向性結合器4に接続されている。各方向性
結合器4にはそれぞれ第2次送光ファイバ5aおよび5
bが結合され、2本の第2次送光ファイバ5aのもう一
方の端部は入射側の2個の集束性ロッドレンズ7と接続
される。一方、出射側においては、DC電圧と被測定電
圧とが重畳できる対向透明電極9aの出射側に配置され
た集束性ロッドレンズ13は透過光強度を測定するフォ
トダイオードである検出器2aに、およびDC電圧のみ
が印加される対向透明電極9bの出射側に配置された集
束性ロッドレンズ13は測定光強度を測定するフォトダ
イオードである検出器2dに、それぞれ受光ファイバ6
で結線される。また、ポッケルス素子の反射光強度を測
定するために、方向性結合器4に接続された第2次送光
ファイバ5bの一方の端面にフォトダイオードからなる
検出器2bおよび2cを配置する。これにより、DC電
圧に重畳して被測定電圧が印加される1組の対向透明電
極9aを備えた測定光強度を測定する系と、DC電圧の
みが印加される残りの1組の対向透明電極9bを備えた
反射光強度と透過光強度を測定する系とからなる二光束
型光電圧センサーが完成し、以下のごとく検出器2dの
電気出力I を測定して被測定電圧を求めることができ
【0013】送光ファイバ3a中の光は分波器1でほぼ
等分割され、そこで方向性結合器4を備えた二本の送光
ファイバ3bに光が送り込まれる。それぞれの方向性結
合器4でさらに等分割され、一部は集束性ロッドレンズ
7に入射する。光は集束性ロッドレンズ7で平行光とな
り、基板10で電圧に比例した位相差を受ける。ただ
し、この時点では、被測定電圧を透明電極9aに印加し
ない。そして検出器2aの電気出力I1 、検出器2bの
電気出力I2 とすると、その比SはS=2・I2/I1
と表わせるが、DC電圧をSが0.2〜0.8になるよ
うにポッケルス素子の二つの透明電極9aおよび9bに
印加する。ここで被測定電圧の測定中Sが一定になるよ
うにDC電圧を調整する。調整後、被測定電圧を透明電
極9aに重畳する。これより被測定電圧に比例した検出
器2dの電気出力I4 を測定する。
【0014】本発明の二光束型光電圧センサーは、ファ
ブリ・ペロー干渉計をその構成要素として有する。ファ
ブリ・ペロー干渉計においては、二つの反射鏡間の一次
電気光学効果をもつ物質に電圧が印加されたとき、光は
多重反射を繰り返し、反射回数の異なる部分波で干渉が
生じる。したがって偏光子や検光子を使用しなくとも印
加する電圧に比例した位相差を測定光強度として測定す
ることが可能である。
【0015】ここで、ポッケルス素子の最大の透過光強
度の半分付近で光電圧センサーの感度が最大になり、印
加される被測定電圧と測定光強度との直線性が最もよく
なる。しかし一般には電圧を印加する以前にポッケルス
素子の屈折率と結晶長の積で表される光路差が存在する
ため、最大透過光強度の半分付近に動作点を調整するの
は難しい。そこで反射光強度および透過光強度をモニタ
ーしDCバイアスで反射光強度と透過光強度の比を調整
すれば、動作点が調整される。しかもポッケルス素子の
屈折率の温度変化についても影響を打ち消すことができ
る。また、従来の方式では光電圧センサーの感度はπ/
Vπとなり材料定数で決定されるが、本発明の二光束型
光電圧センサーでは感度はF/Vπとなる(但しF=4
・R/(1−R)2 :Rは反射鏡8の反射率)。したが
って高反射率の反射鏡をもつポッケルス素子により高感
度の光電圧センサーが得られる。例えば90%の反射率
の場合、感度は従来の約115倍になる。
【0016】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明のより詳細な
説明を行う。ポッケルス素子は次のような基板10を用
いた。ニオブ酸リチウムを各稜がx軸、y軸およびz軸
方位に沿って平行に12×5×5mm3 のブロックに切
り出した。そしてx−y面をλ/4の面精度をもつ光学
研磨した。x−y面とz軸との垂直度20〜30分とな
るようにした。TiO2 とSiO2 の組み合わせによる
6組の誘電体多層膜をx−y面に電子ビーム蒸着装置で
成膜した。この膜については1.3μmの光波に対して
反射率は90%であった。この反射鏡8上にフォトリソ
グラフで3×3mm2 の電極パターンを形成し、スパッ
タ装置で38Ω/cm2 の2組の透明電極9aおよび9
bを作製した。アルミブロック15上に設置された集束
性ロッドレンズ7と13間に電極9a,9b、反射鏡8
を形成した基板10を挿入し、ワックスで固定した。
【0017】次に得られた光電圧センサーの動作につい
て述べる。波長1.3μmの半導体レーザから、送伝フ
ァイバ3aに光を送り込み、また外部電源よりDC電圧
490Vを透明電極9aおよび9bに印加した。この
時、検出器2aで230mVの電気出力と検出器2bで
40mVの電気出力となった。これはS=0.35に相
当する。ここで、0〜100Vの範囲で周波数50Hz
のAC電圧を透明電極9aに重畳した。図2に測定結果
を示した。この場合、測定精度は0.1V以下と高く、
動作点のドリフトも見られなかった。
【0018】
【発明の効果】本発明により高価な光学部品を用いず光
電圧センサーが作製され、かつセンサーの感度が高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電圧センサーの構成図である。
【図2】本発明の光電圧センサーの特性を示す線図であ
る。
【符号の説明】
1 分波器 2a 光検出器(透過光強度) 2b 光検出器(反射光強度) 2c 光検出器 2d 光検出器(測定光強度) 3a 送光ファイバ 3b 送光ファイバ 4 方向性結合器 5a 第二次送光ファイバ 5b 第二次送光ファイバ 6 受光ファイバ 7 集束性ロッドレンズ 8 反射鏡 9a 対向透明電極 9b 対向透明電極 10 基板 11 被測定電圧入力端子 12 DCバイアス端子 13 集束性ロッドレンズ 14 リード線 15 アルミブロック

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次電気光学効果をもつ基板の入出射面
    に形成される反射鏡と、該反射鏡の表面に作製される二
    光束が入出射する2組の対向透明電極と、反射光強度と
    透過光強度の比を調整できるように該2組の対向透明電
    極にDC電圧を印加する電気回路と、該2組の対向透明
    電極のうちの1組の対向透明電極に該DC電圧に重畳し
    て被測定電圧を印加する電気回路とを備えていることを
    特徴とする光電圧センサー。
  2. 【請求項2】 前記2組の対向透明電極のうち、DC電
    圧に重畳して被測定電圧が印加される1組の対向透明電
    極を備えた測定光強度を測定する系と、DC電圧のみが
    印加される残りの1組の対向透明電極を備えた反射光強
    度と透過光強度を測定する系とが、分波器、方向性結合
    器、集束性ロッドレンズを含む二光束型測定系をなす
    とを特徴とする請求項1に記載の光電圧センサー。
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